【ラブライブ】雪穂「夕暮れのプリンセス」 (54)

今回でSS二作目の初心者です。
多少読み辛いところもあると思いますが、
ご了承ください。


誤字、脱字、ミスなどがあれば、言ってください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1483896043




昔、お姉ちゃんとことりさんと海未さんと一緒に、隣町に遊びに行ったことがある。


でも、道にはぐれてしまった。


雪穂『どうしよう海未ちゃん。ことりちゃん
とお姉ちゃんとはぐれちゃったよ!』


海未『大丈夫です。雪穂は私が何があっても
守ります。』


雪穂『でも、道に迷っちゃったよ?』


海未『大丈夫です。確か、ここを通れば…』


そう言った海未さんは、誰よりもかっこよくて…


しばらくついていくと、


海未『ほら、見てください!雪穂!この道、
覚えているでしょう?』

雪穂『…ぁ』


雪穂『良かった…』


海未『これで帰れますよ。』


そこには、そう言って笑う夕陽を纏ったプリンセスがいた。
私はその場所を、忘れていない。


そこで私は…海未さんのことが好きになった。


その後、


穂乃果『ごめんね!海未ちゃん、雪穂!』


ことり『大丈夫だった?』


お姉ちゃん、ことりさんが泣きながら謝った。


海未『私たちは大丈夫ですよ。』


そのまま丸く収まる…
わけもなく、


それぞれの親に怒られた。


でも、一生に残る体験をした。


今でも鮮明に覚えている。
私の大事な、思い出…


ぁあ!つい昔のことを…


雪穂「そういえば亜里沙遅いなぁ…」


今日はμ'sのライブがある。
ここで雪穂と待ち合わせしているんだけど、
まだ亜里沙が来ていない。


電話掛けてみよう。


雪穂「おーい、亜里沙ー、今日μ'sのライブで
しょ?早く行かないと。」


亜里沙『ごめん雪穂。今いくよ。』


亜里沙『後少しでつくから。』


雪穂「まぁいいけど…」


数分後、亜里沙がやってきた。


雪穂「どうしたの?遅くなって。」

すみません
言い忘れましたが、ちょっとシリアスです。

亜里沙「雪穂…私が海未さんに憧れてるの…
知ってるよね。」


雪穂「知ってるよ…」


その気持ちは、私も…


亜里沙「今日…告白してみようかなって…思
ってさ。」


雪穂「え…」


亜里沙「手紙書いてたら遅くなっちゃった。
ごめんね。」


雪穂「…!」


私はどう反応したらいいか分からなかった。
やめといた方がいい、というのもどうかと思うし、友達として、応援するほかなかった。


亜里沙「雪穂?聞いてる?」

雪穂「…聞いてるよ。頑張ってね!告白、応
援するよ!」


亜里沙「本当に!?ありがとう雪穂!」


雪穂「分かった。分かったから恥ずかしい
な。」


雪穂「それで…どうやって告白するの?」


亜里沙「今日のライブが終わった後、この手
紙を渡そうと思って。」


雪穂「なるほどね。」


亜里沙「緊張するなぁ…」


雪穂「大丈夫だよ。亜里沙なら。」


亜里沙「ありがとう。」



……
…………


ライブ後に海未さんに告白する。
亜里沙はそう言った。
そして…
μ'sのライブが終わった。

雪穂「亜里沙…いよいよだね。」


亜里沙「そうだね…」


さすがに緊張の色が伺える。


雪穂「あ、海未さんだよ!」


亜里沙「やっぱやめておこうかな…」


雪穂「何言ってんの、弱気になっちゃダメだ
よ。当たって砕けろだよ!」


亜里沙「砕けちゃダメでしょ。」


雪穂「まぁそうだけどね。」


亜里沙「やっぱり雪穂は穂乃果さんの妹だ
ね。」


雪穂「行ってきな…」


これでいい…
これでいいんだ。
亜里沙に…幸せになってもらいさえすれば。


……


どれくらい待っただろうか。
まだ、亜里沙は帰ってこない。


雪穂「遅いなぁ。」


亜里沙「雪穂。」


雪穂「亜里沙!どうだった?」


亜里沙「ダメだった。」


今の自分は最低だ。
少し…喜んでしまった。


雪穂「そっか…」


雪穂「しかたないよ。で、どんな理由で断ら
れたの?」


亜里沙「好きな人がいるって…」


雪穂「そっか…」


一体誰なんだろうか。

雪穂「亜里沙!今日はたくさん遊んで忘れよ
う!」


亜里沙「え、でももう夕方___」


雪穂「まだまだこれからだよ!」


亜里沙「えぇ~。」



……
…………


それから1週間。
亜里沙はもうすっかり立ち直っていた。
でも、びっくりした出来事があった。
海未さんから、話があるから神社に来てくれということを聞いた。

海未「あ、雪穂。」


雪穂「海未さん、こんにちは。」


海未「すみません。わざわざ来ていただい
て。」


雪穂「いえいえ、こちらこそですよ。」


雪穂「それで…話って何ですか?」


海未「はい…」


海未「先日…亜里沙にその…告白をされてで
すね。」


ここで、どういう返しをすればいいのか、私は迷った。知ってるとも言えないし、嘘はつきたくない。


いや、嘘も方便なのかもしれない。


雪穂「あ、そ、そうなんですか?」

自分でも気が付いた。
私は嘘が下手すぎる。


海未「そうなんです。それで、私、亜里沙の
告白を拒否したんですよ。いわゆる、
フったというんですかね。」


それに私は小さく頷くと、海未さんは続けてこう言った。


海未「そ、それで…亜里沙が、悲しんでない
かと思いまして。」


優しい。
これだから私はこの人が好きなんだ。


雪穂「大丈夫です。亜里沙はしっかり立ち直
りましたよ。」


海未「…!良かった…」

雪穂「それで海未さん…聞きましたよ…海未
さん、好きな人がいるんですってね。」


言ったあと、私は後悔した。
この情報は、亜里沙が海未さんに告白したということを知らないと、入手できない。


海未「なぜそれを…?」


ま、まずい。


雪穂「風の噂で…」


海未「じゃあ、知れ渡ってると…」


雪穂「い、いやぁ、そんなことないですよ。
多分、私しか知らないですよ?」


海未「ならいいですが…」


なんとか取り繕うことに成功した。
…したのか?

もう突き進むしかない。


雪穂「誰なんですか?」


海未「やめて下さい、その話はぁ…」


雪穂「あはは、冗談ですよ海未さん。」


海未「もうっ…雪穂。」


そう言って海未さんは赤面した。


その後、暫く談笑した。
そろそろ暗くなるので、帰ることにした。


雪穂「それでは、また何かあったら言って下
さい。」


海未「はい。今日はありがとうございまし
た。」


雪穂「いえいえ。」

海未「あ、そうだ、何かあった時のために、
メールアドレスを交換しまさんか?」


雪穂「わ、私でいいのなら喜んで!」


海未さんとメール出来るなんて…












亜里沙「……」

とりあえず今日はこれで終わりたいと思います。

ちょっと時間が空いたので、もうちょっと書きたいと思います。


……
…………


翌日、学校に行ったが、
亜里沙の姿はなかった。
風邪で休んでるらしい。



雪穂「亜里沙…一体どうしたんだろう。昨日
まであんなに元気だったのになぁ…」


雪穂「何かあったのかな…」


亜里沙のことで気が気でならなかったが、
とりあえず家に帰ろう。


雪穂「ただいまー。」ガラガラ  


穂乃果「雪穂!?海未ちゃんと付き合ってる
って本当!?」


雪穂「…!?」


その時の私の顔はどのようなことになっていただろうか。
おそらく人生で一番目を開いたんじゃないかと思うくらい、びっくりした。

雪穂「え、え!?何でそうなってんの?」


穂乃果「絵里ちゃんが言ってたよー、海未ち
ゃんと2人きりでいたって…」


まさか…
あのとき誰か私たちを見ていた?


雪穂「絵里さんは誰からその話を…?」


穂乃果「うーん…」


そうだ。


穂乃果「あ、思い出した!」


絵里さんが誰から聞いたか、
なんとなく分かってた。


穂乃果「亜里沙ちゃんから聞いたらしい
よ。」

やっぱり…


雪穂「その話、海未さんは知ってるの?」


穂乃果「いいや、海未ちゃんはその時のいな
かった___」


お姉ちゃんの言葉を最後まで聞く前に、
亜里沙の家に向かって走った。
今、行かないと手遅れになりそうで、


穂乃果「雪穂、どうしちゃったんだろ。」


走った。
おそらく限界を超えていた。
それよりも、亜里沙が心配で…


ピンポ-ン 


絵里「どうしたの?雪穂ちゃん。」ガチャ


雪穂「急にすみません。亜里沙に会わせてく
れませんか?」

絵里「なんだかよくわからないけど、とりあ
えず入って。」


雪穂「お邪魔します…」



……
…………


絵里「お茶淹れたわよ。」


雪穂「あ、すみません、わざわざ。」


絵里「それで、なんで亜里沙に会いたい
の?」


雪穂「私は海未さんとお付き合いしてないと
いうことを伝えたくて…」

絵里「あぁ、あの話ね、付き合ってなかった
のね。」


雪穂「はい。」


雪穂「それで、その誤解を解くために…合わ
せて下さい。」


絵里「そうね…」


絵里「わかった。ついてきて。」


雪穂「はい。」


私は亜里沙の部屋のドアの前に案内された。


絵里「ここに亜里沙いるから。」


そう言って絵里さんはその場を離れた。


雪穂「ありがとうございます。」


正直、何も考えていない。
行き当たりばったりの出たとこ勝負で、上手くいくのだろうか。


でも、
やるしかない!

雪穂「亜里沙~?いるの?」





雪穂「いるなら返事して~、雪穂だよ。」


亜里沙『おめでとう、雪穂…』


扉越しからでもわかった…
いつもの亜里沙の声ではない。
冷たさと鋭さを兼ね備えている。


雪穂「おめでとうって…何が…」


亜里沙『海未さんと付き合ったことに決まっ
てるでしょ。』


亜里沙『雪穂、海未さんのこと好きだったん
でしょう?』

雪穂「何で…そんなこと。」


亜里沙『見てれば分かるよ。』


おっと、それより言わなきゃいけないことがあるんだった。


雪穂「亜里沙、私は海未さんとお付き合いし
てないよ。」


亜里沙『でも、会ってたじゃん。』


雪穂「でも、それだけで付き合っているとい
うことにはならないでしょ。」


亜里沙「私、お姉ちゃんから聞いたんだ。」


絵里さんから…?


雪穂「何を…?」


亜里沙『海未さんが、雪穂のこと、好きだっ
て___』


……
…………


帰り道、1人がこんな寂しいと感じたことなんて一度もなかった。


頭の整理が全くできない。
一気に情報を得すぎたんだろう。


…未だに信じられない。
海未さんが私のことを、


好きでいてくれてるなんて…


帰る時間は異常に長く感じられた。






雪穂「ただいま…」


穂乃果「おかえり雪穂。どうしたの?顔色悪
いよ?」


雪穂「そんなことないよ…」


穂乃果「…」


今日はもう寝よう。
明日起きて、また頭を整理しよう。


……
…………


あの日から1週間経った。
亜里沙は学校に来た。
でも、私とは目を合わそうともしない。


そんな中、私に一本のメールが来た。



海未
今日、またあの神社で話ができませんか?




簡単な文だったが、
理解するのに時間がかかった。


海未さんが私に話を…?


行ってみよう。




神社に行ってみると、もう海未さんがいた。


雪穂「すみません…待ちましたか?」


海未「いえ、私も今来たところですので安心
してください。」


雪穂「そうなんですか。」


雪穂「それで、話って何ですか?」


海未「実は私…」


海未「雪穂のことが…」


海未「恋愛的な意味で、大好きです…」

海未「ですので、付き合っていただきたいな
ぁ…と思っているのですが、どうでし
ょうか。」


知っている。
海未さんは軽々とこんなこと言う人ではない。海未さんも、覚悟を決めてでの告白だろう。


でも、
この告白を受けてしまうと…


亜里沙とは一生仲直りできない…


海未「どうなのですか?雪穂…」


海未「ダメ、ですか?」

あぁ!
そんな顔で見つめられると…


雪穂「少し、時間をください。もちろん夢み
たいな話なんですが、どうも頭の整理
がつかなくて…」


海未「そうですか…」


雪穂「すみません…」


海未「いえ、待ってます。」


それを聞いた私は、海未さんと別れ、自宅へと向かった。


完全に…逃げてしまった。




もうどうでもいい。
私は、自暴自棄になっていた。
今更考えても仕方がない。
自分には決められない。


そう思いながら家の戸を開けた。


雪穂「ただいま…」


穂乃果「雪穂?また顔色悪いよ?」


そんなお姉ちゃんの言葉など、聞こえないほど、頭が混乱していた。


すると、右腕を掴まれた。

雪穂「…お姉ちゃん?」


そこに立っていたのは、いつもの表情とは違うお姉ちゃんだった。


穂乃果「雪穂、最近どうかした?」


穂乃果「雪穂見てると、心配になってくる
よ。」


穂乃果「私でいいなら相談に乗るよ?お姉ち
ゃんを信頼してって。」


これが、
これが、今の私が一番欲しかった言葉なんだろう。
私は、嬉しかった。
お姉ちゃんは、いつも私のペースに合わせてくれた。
そして、今も…


雪穂「…ちゃんと解決できるの?」

私はからかうように言った。


穂乃果「それは分からないけど…頑張る
よ!」


雪穂「ふふっ…信頼してるよ、お姉ちゃ
ん。」


穂乃果「えへへ。」


私は、危うく恋も友達も手放すところだった。


雪穂「ありがとう。お姉ちゃん。」ボソッ


穂乃果「雪穂、何か言った?」


雪穂「いや、何も。」

穂乃果「そっか、それで、悩みって?」


雪穂「悩みってわけじゃないんだけどさ、実
は私、海未さんに告白されて…」


穂乃果「ええっ!?良かったじゃん!」


雪穂「良かったじゃん?」


穂乃果「だって雪穂、海未ちゃんのこと好き
なんでしょ?」


あれ、私、そんなわかりやすいの?


雪穂「気付いてたの…」


穂乃果「そりゃあね、なんたって姉ですか
ら!」

雪穂「誇られても困るよ…」


雪穂「まぁそれでね、亜里沙ちゃんが、海未
さんに告白して、失敗したんだ…」


穂乃果「なるほど…」


穂乃果「それで、海未ちゃんと付き合いたい
けれど、亜里沙ちゃんのことを考え
ると、踏み込めないと。」


雪穂「正解、やるね。」


穂乃果「なるほど…それは悩むね…」


雪穂「何かいい案、ないかな…」


穂乃果「ここは私の腕の見せどころだね。」

そう言ってお姉ちゃんは立ちあがった。


穂乃果「大丈夫、雪穂が思ってるより、私、やるときはやるん
だから。」


私は、疑問に思った。
こんな私より、なぜ、お姉ちゃんやことりさんを選ばなかったんだろう。と。


穂乃果「雪穂、自信持って。」


本当、敵わないや。


穂乃果「ここは私に任せて、雪穂は海未ちゃんと付き合った後
のことでも考えててよ。」


雪穂「…///」


穂乃果「あ、本当に考えてるよ…」


……
…………


翌日


今日も、亜里沙は口を聞いてくれなかった。





穂乃果『ここは私の腕の見せ所だね。』





とは言われたものの、大丈夫なんだろうか。
確かにあの時のお姉ちゃんは、頼りになりそうだったからなー。


今は信じるしかない。

雪穂「ただいまー。」ガラッ


亜里沙「ごめん、雪穂。」


玄関の戸を開けると、そこには亜里沙がいた。


最近、玄関開けた瞬間にビックリすることが多い気がする。
そんな冷静なことを考えられるようになったのは、慣れっていうものなのか。


雪穂「…え?亜里沙…?」


私はそれしか言えなかった。


亜里沙「本当ごめん、雪穂。私、雪穂の気持
ちも考えないまま、雪穂に当たって
ばっかりで…」


亜里沙「本当…ご、めん…」


そう言って、亜里沙は泣き崩れた。

雪穂「顔上げて、亜里沙。」


亜里沙「ぇ…?」


ここで、私にできることは…
前の私にはできなかったこと。


雪穂「私こそ、ごめん。」


亜里沙「なんで…雪穂が謝るの…?」


雪穂「私…亜里沙の友達、いや、親友とし
て!何もわかってあげられなかった!」


雪穂「私が親友にもっともさせなければな
らないこと…それは…」


雪穂「親友…亜里沙を、笑顔にさせるこ
と…。」

雪穂「私はそれを忘れていた。」


雪穂「本当にごめん。」


亜里沙「雪穂ぉ!」


亜里沙は私に抱きついてきた。


雪穂「ほらほら、泣かないの。」


そういえば、今まで気が付かなかったけど、


雪穂「そういえば亜里沙、なんで私の家
に…?」

穂乃果「心温まるスピーチだったねぇ…」


絵里「涙が出てくるわね。」


こりと「雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん…偉いね
ぇ。」


雪穂「まさか、今までのを…」


穂乃果「バッチリ聞いたよ!」


ことり「雪穂ちゃんかっこよかったよぉ!」


絵里「ほんとにね。」


雪穂「///」


穂乃果「あ~、恥ずかしがってる。」

雪穂「ぅるさいっ!」


亜里沙「私の親友をいじめてあけないでくだ
さい!」


絵里「やるわね、亜里沙。」


ことり「2人ともお熱いねぇ。」


そう言って笑う私達は、みな最高の笑顔を浮かべていた。


ことり「あ、そうだ雪穂ちゃん。」


絵里「海未が、待ってるわよ。」


穂乃果「雪穂と海未ちゃんの思い出の場所、
夕日の見える場所に。」


雪穂「!」

でも…


亜里沙「行ってきて、雪穂。」


亜里沙「私、気付いたの。私は新しく、大切
なもの、真友ができたから。」


そう言って亜里沙は、
背中を押してきた。


私は何を危惧していたのだろう。


こんないい人が…親友だなんて。


穂乃果「泣くのはまだ早いよ!雪穂!」


絵里「そうね、行ってきなさい!」


ことり「頑張ってね!」


亜里沙「そうだよ!」

その4つの笑顔は、ほんとに純粋で、綺麗な笑顔だった。
私には到底その笑顔を裏切れない。


やるべきことはただ1つ。


走るだけだ。
あの場所へ!





ちょうど、夕暮れ時、あの日と同じ時間だった。


あの場所に、海未さんは立っていた。

海未「来ましたね。」


雪穂「海未さん、は、話って。」ゼェゼェ


海未「ふふっ、ずいぶん走って来たのです
ね。」


雪穂「もちろん。」


海未「雪穂、この場所を、覚えています
か?」


雪穂「当たり前です。片時も忘れたことなん
かありませんよ。」


海未「あの日から…かなり時間が過ぎました
ね。」

海未「あの頃は、小さかったのに。」


雪穂「早いもんですね。」


海未「そうですね。」


私は、この状況がとても楽しかった。
側から見ると、普通の会話だ。
だけど、この会話がとても落ち着いた。


海未「それで、話ですけど。」


海未さんが切り開いた。


雪穂「あ、はい。」


海未「この間、言いましたよね。私は、雪穂
のことが好きだと。」


私は頷いた。

海未「あの日、雪穂と一緒に迷子になっ
て…」


海未「その時、母性本能っていうんですか
ね…雪穂を、守りたいと、思ったんで
す。」


海未「だから…あの、前にも言いましたが、
その…」


海未「私と…」


海未雪穂「「付き合って下さい。」」


海未「え?」


雪穂「気付いてなかったんですか?実は私も
あの日、海未さんのことを好きになった
んですよ?」


海未「嘘…」


雪穂「本当です。」

海未「良かった…本当に…」


雪穂「私も、よかったです。」


海未「付き合っても、いいんですよね…?」


雪穂「こちらこそ、よろしくお願いしま
す。」


海未「緊張しました…」


雪穂「じゃあ帰りましょう。私たちの街
へ。」


海未「あ、あの、すみません。」

雪穂「?」


海未「手を…繋いでもいいですか?」


雪穂「海未さん…」


海未「あ、あと、海未ちゃんで、お願いしま
す。」


雪穂「海未さ…いいや、海未ちゃん!帰ろ
っ!」


私は海未ちゃんの手を握った。


海未「はい!」


その笑顔は、あの日と変わらず、
屈託のない、笑顔だった。
あの日のプレンセスは、そこにいた。

終わり

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