「罪を背負いしプリキュア」 (24)

・オリジナルプリキュア
・七つの大罪モチーフ




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Sins pretty cure
特に自らの罪を自覚している者が能力に目覚めプリキュアとして覚醒する。

物草なまこ(キュアスロウス)
中2。いつもやる気を出さない。めぐみ、いかりと同じクラス。白

原福らむ(キュアグラトニー)
中2。食べるのが好き。穏やかな性格でよくいかりを宥める。桃

立腹いかり(キュアラース)
中2。怒りっぽいが、何かと真面目で面倒見がいい。赤

夜久はりこ(キュアグリード)
中1。幼いながらも恐ろしいほどの美貌を持つが、手に入れたいと思う物に対しての執着が強く、それを手に入れるための努力を惜しまない。たかみとは同じクラス。緑

豪然たかみ(キュアプライド)
中1。金持ち。金で解決できないものはないと思っている。プライドが高いため弱い部分を攻撃されるとすぐにへこたれる。黄

好色あい(キュアラスト)
中3。いつも胸元をはだけさせている大人びた少女。愛を求めているらしい。いつもこころの傍にいる。生徒会副会長。紫

根田未こころ(キュアエンヴィー)
中3。誰かしらによく嫉妬する。いつも他人の上にいようとするので何事もトップの位置に就いてしまうようになった。生徒会長。青

サタン
小さな狼のような外見をしている。従者として異世界から飛んできた。能力などプリキュアとしてのノウハウを教える。他にも従者がいるらしい。



Clean Agent
世の中のあらゆる悪を浄化しようという名目で結成された秘密組織。スローガンは世界平和だが、それは表向きで本来の目的は小さな悪もないきれいな世界を征服すること。罪の意識により目覚めたプリキュアを標的として抹消しようと目論む。

なまこ「はぁ……やっと休み時間がきたぞと」

らむ「うんうん。やっと焼きそばパンを食べる時間がきたぞと♪」

いかり「ちょっとあんたたちね…まだ休み時間といっても2時限目が終わったばかりじゃないの。何のんきに寝て食べて気楽にやってんの」

なまこ「ぐぅ。」

らむ「もぐ、もぐ。いかりちゃんも一口、あーん♪」

いかり「もぐ!!」

らむ「うわあ、そんな手ごと食べないでよ~」

いかり「ふん。そんな油断してるのが悪い」

なまこ「ぐぅ。」

いかり「……たく、こいつちゃんと家で寝てんのかしら」

キーンコーン

らむ「そだねー。あ、予鈴だ」

いかり「おらいかり。起きなさい!授業始まるわよっ」

なまこ「……まじ?早いなあ」

いかり「授業は集中しなさいよ。アホ」

なまこ「はいはい」

なまこ「(あー、いかん。だるいな)」

なまこ「(いかりちゃんはこういう所は意外と真面目なんだよね。イライラが顔に出ながらもちゃんとノートとってるし)」

なまこ「(私は昔からこんな感じでなんでやる気が出ないんだろう。少なくとも、席が前でなくてよかったなぁ。寝てもばれない死角だし。うん)」

なまこ「(こうやって大概の大変なことを回避するの、駄目だよなあ。改善しないと、いけないよね……)」

なまこ「……」

らむ「あ、なまこちゃ~ん。起きて、起きて(小声)」

なまこ「…zzz…」

いかり「(あのバカ……)」

教師「あー、物草。お前は廊下に立っとれ」

らむ「災難だったねえ。なまこちゃん」

いかり「自業自得よ。いつも寝てたら先生にもマークされるってことがあいつも分かったんじゃない?」

らむ「そんでもって提出物も集めるように言われちゃって、ちょっとかわいそうだよね」

いかり「ま、あいつが珍しく1人で持って行ったんだからいいでしょ」

らむ「にしてもなまこちゃん遅いな~。見に行った方がいいかなぁ」

いかり「説教でも受けてんじゃない?何度も言うけど何度も眠りこけるなまこもなまこだからね」

らむ「……」

いかり「ちょっと、らむ?出て行ったきり戻らないけど、外に何かあんの?」

らむ「……」

いかり「らむ……ッ!?」

いかり「(その時、出て行ったはずのらむがいない廊下を見てから私の意識は途切れた)」

いかり「(何故か、その廊下はまるで、違う世界への入り口のように真っ暗で……)」

なまこ「遅れてごめん~。あの先生お説教長くてさ……アレ?」

なまこ「教室にいるって言ってたよな…もしかして帰っちゃったか。後で謝らないと」

なまこ「(ん、でも鞄は残ってるな。しかも投げ付けたように転がってるし。まだ学校には残ってるのかな)」

なまこ「よし。ちっと探しにいきますか~。ジュースでも買って」

なまこ「まずはどこを行くか。図書室にでも……ん!?」

なまこ「……2人とも廊下に倒れてるっ!?」

らむいかり「……」

なまこ「ちょっと、2人ともっ。しっかりして!!貧血かな。大丈夫?おーい」

なまこ「駄目だ。重症みたいだなぁ。とりあえず保健室に運ぼう」

保健室にて

先生「あらあら大変。2人眠っちゃってるの?」

なまこ「はぁ、よく分かりませんが2人とも廊下に倒れてて」

先生「貧血かしらね。とにかく目が覚めたら事情を聞くことにしましょうか。連れてきてくれてありがとう。お疲れ様」

なまこ「(ちょっともう一回話しかけてみよう)」

なまこ「おーい、いかりちゃん」

いかり「うう、ん……」

なまこ「らむちゃん?」

らむ「はぁ、はぁ」

なまこ「……なんだかとても苦しんでいるみたいだけど」

先生「そっとしておいてあげなさい。若い時も確かに大変よね~」

なまこ「は、はい」

なまこ「(なんか嫌な予感がするなぁ)」

魔空間にて

いかり「……ハッ」

いかり「何よ。ここどこ…学校じゃないし」

らむ「いかりちゃん!!」

いかり「らむ!声だけで判断したけどあんたなのね!?」

らむ「そ、そう!私だよ……腹福、らむ」

いかり「ねぇ、あんたここどこか分かる?ってごめん。言うだけ無駄ね……だってここ、」

いかり「何も見えないもの」

らむ「……」

いかり「(何でこんな真っ暗なの…?もしかして私ら2人とも監禁されてるとか?今まで、あのアホのなまこを待って教室にいたのに?)」

いかり「(ああ、駄目だ。混乱してイライラしてきた……早く脱出して、らむをお家に返さないといけないし、何よりなまこも心配してあたしらのこと探してるかもしれないのに)」

いかり「(何も見えなくて、分からないのがこんなに怖いなんて)」

らむ「……いかりちゃん」

いかり「……」

らむ「でもね、ほら。いかりちゃんが近くにいることは分かるよ。手が、柔らかくて、いつも触ってる手だもん。優しい手」

いかり「……あんたってほんと呑気なやつ」

らむ「大丈夫。もしかしたら夢かもしれないよ~。悪夢かも」

いかり「んなわけ」

?「フッフフフフフフフ」

いかり「誰!?そこで声が聞こえたけど、あんたがここに閉じ込めた犯人なの?」

?「楽しんでいただけましたカ。この空間。まるで外の世界とは違った時間を過ごせたのでは?」

いかり「何も楽しくねーっての……変なマネしたら一発で殺してやるから!!」

らむ「あ、あの…よかったら帰していただけませんか。何なら、この子だけでも」

いかり「な、何考えてんのっ!?」

?「イイエ、なりません。御二方ともここから一歩たりとも出てはならないのデ。あなた方は、この世界から消えてもらわなくてはならない存在デスから」

らむ「えええ……!酷い言い方!」

いかり「ふざけてんの……ッ!?」

らむ「は、はぁー。なんか、いかりちゃん、苦しいな。私」

いかり「(やばい……一気に苦しくなってきたような気がする。この空間、なんか息苦しいんだけど)」

いかり「落ち着いて、らむ。あたしは、ここにいるから」

らむ「いかり、ちゃ……」

?「サテ、あと2時間程度でしょうカ。この空間が腐るまで……あの者は生き残れないでしょう」

パンツの色と各イメージカラーです

路地にて

なまこ「やっべ~。皆ノロウイルスとかに感染してんのかなぁ。あんな苦しそうにしてたし」

なまこ「明日からマスク着けて来よう」

なまこ「……ん?」

なまこ「(後ろから足音が近付いて来ているような気がする。わたしが歩く度に同じように足音が……)」

なまこ「(自意識過剰かな。でも確かにつけられているような)」

なまこ「(何となく気になって振り返ると、同時にわたしの近くで何かが爆発したような音が響いた)」

なまこ「(ドラマとか映画とかでしか聞いたことのない、例えるなら銃を乱射したような、発砲音だ)」

ぱぱぱぱ~ん!

なまこ「のわっ!?」

?「ちっ、外れたか。悪運の強いやつ」

なまこ「な、何なんですかあんた!」

?「ハッ、こいつがあのプリキュアの一味なわけ。ただのガキじゃねーの」

なまこ「(わたしにジリジリと近付いてきたのはゴスロリ風のイタい格好をした女だった。容姿だけ見ると高校生くらいの年齢だろうか。しかしまるでわたしに恨みでもあるかのように口調は汚かった)」

なまこ「それ!そんな鉄砲持ってたら……あれです、銃刀法違反かなんかで捕まりますよ!って、うわ!?」

ダダダダダッ……ダダダッ……

なまこ「(火薬の匂いと、痛い程の銃の狙撃の音が背後から響いてくる)」

なまこ「(女は忠告にも耳を傾けず、そのまま銃を乱射した。わたしは久々に走った。柱や壁で狙撃からカバーしつつ、駆け抜けた)」

なまこ「(何故かわたしの走る道に人は1人も通らず、というかいなくて、思わず女と2人の世界になってしまったのかと錯覚してしまうほどであった)」

?「今、何でお前以外の人間が通らないか、不思議に思ったろ。そりゃあ、アタシがアンタを別空間に送り込んでるってのがホントよ。即ちここはダミーの街なの。アンタの元いた街をコピーさせてもらってるわ」

なまこ「……やべー、意味分かんね」

なまこ「(とりあえず、女がペラペラと説明に集中しているうちに、誰もいないレンタルビデオ屋のトイレに逃げ込んだ)」

バタン

なまこ「とりあえず、ここで時間をつぶすか」

なまこ「……マジで誰もいないし」

なまこ「あー、早く覚めないかな。これ夢だわ。うん。悪夢」

なまこ「…zzz…」

?「何やってんだ。起きろ!!」

なまこ「!?」

?「呑気に寝てんじゃねーよ。それでも戦士かテメーは」

なまこ「えっ。犬じゃん。誰が連れてきたんだろう。ほら、窓から出なよ」

サタン「犬じゃない。オレはサタンだ。お前にプリキュアの能力を授けに来た」

なまこ「……」

サタン「何だその死んだ目は。お前は、なまこだな。第一の戦士としてさっさとあのゴスロリ女を倒してこい」

なまこ「何だよぅ。戦士とか、つーかこれ夢だから。わたし今から起きる準備をだな」

サタン「あー、今は長々と説明出来んが、あの女はお前とその連れを殺しにかかってるぞ。これはマジだ」

なまこ「……? 何でわたしとらむちゃんいかりちゃんが殺されないといけないわけ。狙われてるってこと?」

サタン「あいつらにとってはお前たちは邪魔な存在なんだ。とにかく行け。トイレから出ろ。外に行け」

なまこ「しゃーない。まぁわたしはいいとして、らむちゃんといかりちゃんが消えたら悲しいしなぁ」

サタン「おっと、忘れる所だった。こいつを持っていけ」

なまこ「何これ、ブレスレット?」

サタン「そいつにお前の想いを込めな。そしたら力をくれるだろうよ」

なまこ「へえ。とりあえずオッケー、分かったよ」

なまこ「(どうせ夢の中だし、まぁ大丈夫でしょ)」

なまこ「(レンタルビデオ屋から出ると、道路のど真ん中にゴスロリの女が仁王立ちしていた。案の定、車も人も通っていなかった)」

?「あっ!やっと出てきたわね。ドブネズミ!」

なまこ「ドブネズミって……」

?「ふん。どうせアンタは死ぬ運命なんだから、アタシの高貴な名前を教えといてやるわ。心して聞きなさい」

なまこ「決め付けられてるなぁ」

イノセンス「アタシはイノセンス。清廉潔白な世界を守る者。そしてこれからこの全世界を支配する組織の第一のしもべ」

なまこ「ちょっと待って、支配するって。なんか悪役みたいに聞こえるけど」

イノセンス「悪なわけないわ。罪を犯さず、悪が一切蔓延らない世界なら、これ以上の人類にとっての幸せってある?その平和な世界を支配するのはそれを創り上げた人たちしか認められないじゃない」

なまこ「なんじゃそれ」

イノセンス「ふふ。貴方みたいな子供に言っても分からないことね」

イノセンス「さ、お遊びはここまで。消えてもらいましょうか」

イノセンス「出でよ、セイレーン!」

なまこ「うわっ!?」

なまこ「(女が叫び、カードを空中に投げつけると美しい女神のような人が現れた。しかし、その人の目から光線が発射され、街灯がめちゃくちゃに破壊したので、この人も怪物だということが見て取れた)」

イノセンス「ふふ。じゃ、ここで解体ショーを見学させてもらおうかしらね」

なまこ「はぁ、もうちょっとで街灯と同じ様になる所だった」

サタン「アレはあの女の従者のようなものだ。早くそいつに想いを込めろ」

なまこ「あ、そういえばこのブレスレットが大事なんだっけ。オッケー」

なまこ「うーん、ナムアミナムアミ……」

サタン「おい。想いを込めろといってもそんな念仏を唱えろといってるわけじゃ」

なまこ「~ッ、何だ!?」

サタン「おい!なまこ!!」

なまこ「(ブレスレットに気を取られている間に、セイレーンは近くに迫っており、思い切り殴られてしまった。右頬に痛いと思ったら、近くのレンガに突き飛ばされ、全身に痛みが走った)」

なまこ「カハッ……ねーちゃんのくせに、すごい力」

サタン「なまこ!!」

イノセンス「アハハ!ざまぁないわね。セイレーン、さっさと止めを刺してやりなさい」

なまこ「……そろそろ本気を出さないと駄目な感じだね。夢にしてはタチが悪過ぎる」

なまこ「ねーちゃん、そんなきれいなだけの世界なんてあるわけないって。人間って、色んな嫌なこと抱えて生きてるし……わたしだって、怠け癖あるから、色々怠いし」

なまこ「それ含めて乗り越えていかなきゃならないこと、沢山あるから、わたしも」

なまこ「(その時、ブレスレットから目が痛いくらいの光が溢れ、わたしを包んだ)」

なまこ「アレ、何か服変わってる?こんなヒラヒラしたやつ動きにくいんだけど」

サタン「……覚醒か」

イノセンス「くっ、面倒なことになった……構わない、セイレーン!さっさと倒しなさい!」

なまこ「おっ、ジャンプしただけでこんな飛べるもんかな。というか、運動神経が上がってるのか。なるほど、これが変身の力ってやつ。べんりだなぁ」

なまこ「(セイレーンからまず距離を取るために走ると、さっきまでとは段違いに身体が軽い。まるで、自分の身体ではないような錯覚を覚えた)」

サタン「なまこ、最後にセイレーンに向かって真の力を放て!その装備があれば技で攻撃できる!」

なまこ「なるほど。じゃー、やるか」

サタン「なまこ……いや、今のお前は罪から選ばれ、自分を受け入れた者、キュアスロウスだ」

なまこ「……汝の罪を数えよ」

なまこ「(セイレーンは目と鼻の先にいた。そして何故かわたしの右手には光が溢れており、そこから力が満ち満ちているような気がした)」

なまこ「ーースロウス・アタック」

なまこ「(セイレーンは叫び声を上げ、光の中へ消えていった)」

イノセンス「なっ……まさか、セイレーンが倒されるなんてっ。ぐ、ここは撤退か」

なまこ「……」

イノセンス「ふんっ。次会ったら、今日みたいには済まないわよ。抹殺してやるんだから!」

なまこ「……はぁ、はぁ」

なまこ「(イノセンスはこちらを睨みつけながらも、空間を切り裂いてその穴から去っていった)」

なまこ「あ、れ。車が……人が、いる」

サタン「まあ、元に戻ったってわけだ」

なまこ「あ。わたしも制服に戻ってる」

サタン「あいつらとの戦闘が終わったら変身も解けるわけよ」

なまこ「へえ。一応、あの人らは倒せたってこと」

サタン「まだまだ。しぶといからな……あの秘密組織は徹底的に世界を浄化しようと目論んでいる」

なまこ「大変だね。ってか、疲れたなあ。今日はゆっくりしよう」

サタン「じゃあな。また俺もまた現れるぜ」

なまこ「アレ……あの犬もう消えちゃったのか。ま、2度と会うことはないかな」

なまこ「いかりちゃんとらむちゃん、大丈夫かな」

なまこ「よし。帰りにお見舞い行ってみますか」

いかり「……」

らむ「……」

いかり「はぁ、なんか嫌な夢見たわ」

らむ「いかりちゃんも?私もだよ」

いかり「ふぅ、正夢にならないといいけどね「

らむ「ふんふん、確かにね」

いかり「……よく倒れたあとにもぐもぐ食べられるわね」

らむ「疲れた時は、食べ物で癒されないとね~。いかりちゃんもいる?」

いかり「……もらっとくわ」

いかり「(ほんと、嫌な夢だった)」

?「ふむ、取り込むのにもうちょっとでしたガ……あの女、取り逃がしましたネ」

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