高垣楓「プロデューサーさんと、クリスマス」 (44)

四日ほど遅れましたが、楓さんとプロデューサーのクリスマスSSです。
自分はデレステと劇場しか見た事ないので、楓さんのキャラとか口調にブレがあるかもです、すみません。
良かったら読んでください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1483015504

楓「幼稚園訪問、ですか?」

P「はい、クリスマスに、サンタとして……我が社の社会貢献活動の一環としてのイベントなのですが……お願いできないでしょうか?」

楓「……うーん、構いませんけど、どうして私なのですか? もっとそういうのに相応しい他の方に頼んだ方が……イブ・サンタクロースちゃんとか適任だと思いますけど……」

P「彼女はその日、サンタとして都内10箇所以上を回るイベントに駆り出されてまして……他のアイドルの方たちも、みんな忙しく……」

楓「なるほど……でも、プロデューサーさん、知ってますよね? 私、これでも一応、人見知りで……私を知っているファンの方達の前ならともかく、子供は私の事を知らない子も多いと思うと、ちょっと不安です。大勢の子供を相手にするのも、初めての事ですし……」

P「はい、それは勿論知ってるというか覚えているというか……」

P(なんか接してると普通に忘れそうになるけど……それくらい心を開いてくれてるって事かな、だったら嬉しいけど)

P「なので、その件には俺も付き添わせていただきますよ。スタッフも馴染みの人ばかり選びました。それなら安心出来ますよね?」

楓「……本当ですか?」

P「はい」

楓「……そのイベントの始まりから終わりまで、ちゃんと見ていてくれます?」

P「勿論です」

楓「……ふふっ、わかりました。それではそのイベントに出させていただきますねっ♪」

P(ん? 何だか急に明るく……気のせいかな?)

P「ありがとうございます。よろしくおねがいしますね」

イベント当日。

P(参ったなぁ、降水確率は30%くらいだったのに、雪か……面倒な事になったなぁ)

P(とりあえず、高垣さんに連絡するか)

プルルルル。

P「あっ、高垣さん。お疲れ様です」

楓「お疲れ様です。雪、降っちゃいましたね」

P「はい。確か高垣さんは電車通勤でしたよね? 電車も動くか分かりませんので、社用車で迎えに行きますね。それまでは自宅で待機しといてください」

楓「はい、すみません……あっ、たまたまですが、私の家から今日のお仕事先、歩いて30分くらいの近場なので、私は歩いて行きましょうか?」

P「いえ、万が一滑ったりしたら大変ですし、お体を冷やして体調を崩されても困るんで迎えに行きますよ。車をスタッドレスタイヤに替えるので、ちょっと時間掛かりますんで、ゆっくり待っててください」

楓「……すみません、お手数おかけします。それでは、プロデューサーさん達を出迎える為の雪だるまさんでも作っておきますね」

P「ふふっ、わかりました」

P(雪だるまか……いつもの冗談なんだろうけど……何だか作ってる姿想像したら可愛いな)

P「さーて、それじゃあ、とっとと替えますか」

P(ふぅ……事故が怖いからゆっくり走ってきたけど、問題なく到着、と)

P(さて、高垣さんに電話電話……って、あれ)

ブーン(車のドアを開ける音)

P「……高垣さん?」

楓「あら、プロデューサーさん。お早い到着で……」

P「……なにされてるんですか?」

楓「ふふっ、電話で言ったとおり、雪だるまさんを作ってました」

P(……こ、この25歳児は……本当に作ってんかい……まぁ、高垣さんが楽しそうだからいいけど……)

楓「さて、それじゃあ車に乗らせていただきますね……あっ、その前に、はい、どうぞ」

P「ん……? タンブラー……? これは……」

楓「暖かいココアです。雪が降る中、タイヤ交換してくれたプロデューサーさん達のお体が少しでも暖まればいいなと思って」

モブスタッフ1「ありがたいです!」

モブスタッフ2「高垣さんお手製ココアが飲めるなんてついてるぜ!」

P「あ、ありがとうございます。いただきます……ごくごく……ん、うまいですっ」

楓「ふふっ、それは良かったです。それじゃあ行きましょうか」

P「はい……あの、本当に美味しいです、ありがとうございます。体も温まって……助かります」

モブスタッフ3「最高です!」

楓「いえいえ、それほどでも」

P(……何でもないように笑ってるけど……やっぱり、楓さんって気が利くよなぁ……)

P(ひょっとして、雪だるまを作ってたのも、自分一人だけ暖かい部屋にいるのは……なんて、思ってたりしたからだろうか)

楓「それにしても、今日は雪がよく降りまスノー」

P(……このダジャレ好きさえ無かったら、素敵な大人の女性なのに、なぁ……)

P(さて、幼稚園に着いて、園長さんや先生達への挨拶、スタッフ間の打ち合わせも終わったし、あとは高垣さんの準備だけか)

P「高垣さん、準備出来ましたか?」

楓「はい。出来ましたよ。どうですか、プロデューサーさん。私のサンタ姿……似合いますか?」

P「……」

P(……職業柄と時節柄、ここ数週間、沢山の美人さんや可愛い子のサンタ服を見たけど……やっぱ、高垣さんは別格、だな……超絶似合ってる……)

楓「プロデューサーさん?」

P「あ、すみません……いや、もう似合うとか似合わないとかそういう次元じゃありませんね、完璧です」

楓「……ふふっ、そうですか。ありがとうございます。自信が持てました」

P「いやもう……自信しか持って無くて大丈夫ですよ」

楓「ふふっ、なに言ってるんですか、変なプロデューサーさん」

P「……いえ、ちょっと高垣さんのサンタ姿に見惚れちゃって、上手く頭が回らず……すみません」

楓「そ、そうですか……もう、お口がお上手ですね、プロデューサーさんは」

P(……我ながら、訳の分からん事を口走ってしまったけど……楓さんの機嫌がよくなったのなら、なによりだ……)

楓「……」ジー

P「……何ですか? じっと見て……ええと、俺の顔に、何かついてます?」

楓「いえ、何だかこうして、プロデューサーさんが私のお仕事に付きっきりなのも、久しぶりだなぁ、と」

P「……言われてみれば、確かに……最初から最後まで一緒なのは、2、3ヶ月ぶりですかね?」

楓「……2ヶ月と18日ぶりです」

P「……そ、そんな具体的によく覚えてましたね」

楓「だって最近のプロデューサーさん、私の現場に来ても、一言二言話して状況把握したら、すぐ次の現場に行っちゃうじゃないですか」

P「う……それは、すみません。でも他の……特に若い子の方がやっぱり、どうしても色々手間が掛かるもので……」

楓「私より、若い子の方がいいんですね」

P「そ、そういう意味では……でもやはり高垣さんはモデルとしても活躍されてましたし、現場にも慣れてますから……一番信用してるというか……」

楓「(一番、信用……)……誰にでもそういう事言ってるんじゃないですか?」

P「そんな事はないです……むしろ一番最初、心配してたのは高垣さんでしたよ」

楓「え?」

P「アイドルからモデルならまだしも、モデルからアイドルなんて聞いた事ないですしね……それにモデルの現場との違いとかもあるじゃないですか」

楓「……ええ、まぁ、やはり色々と勝手が違くて、最初は苦労してましたね」

P「ええ、それに人見知りですし、だから最初は出来る限り現場に行かせて貰いました」

楓「……ふふっ、そう言えば最初の頃は、慣れない現場でプロデューサーさんの顔を見ると、ホットミルクを飲んだ時みたいに、ほっとしました」

P「……」

楓「……」

P「(スルーしよう)まぁ、でも今は現場のスタッフさんとかとも仲良くやってるようですし……あんまり付き添えないのは申し訳ないと思っていますけど……でも、一番信用してるのは、本当ですよ」

P「スカウトしてよかったと、心から思ってます」

楓「……プロデューサーさんって」

P「はい?」

楓「モテますよね」

P「……いや、そんな事はないですけど……普通ですよ」

楓「そういう事を、真っ直ぐ目を見て言われると、女性はドキッとするものなんですよ」

P「そ、そうですか……」

P(う……そう言えば、ちょっと恥ずかしい事を言ってしまった。高垣さんも、心なしか顔が赤いし……う、どうしようこの空気……)

楓「……もう動悸が止まりません。心臓がどーきどーきです」

ズルッ(Pがずっこける音)

楓「どうしたんですか? プロデューサーさん、ずっこけて……」

P「いえ、なんでも……」

P(本当に、このダジャレ好きさえ無かったらなぁ……)

モブスタッフ「失礼しまーす。プロデューサーさん。高垣さん。そろそろ時間なんで準備の方、お願いします」

P「了解です。それじゃあ高垣さん、よろしくお願いしますね」

楓「はい」

モブスタッフ「あっ、それとですね、言ってなかったんですけど、プロデューサーさんに一つ、お願いが……」

P「?」

幼稚園の先生「良い子のみんなー。今日は何の日か、わかりますかー?」

園児たち「「「クリスマスー!!!」」」

先生「はーい。いいお返事ですねー。それじゃあクリスマスと言えばー?」

園児たち「「「サンタさーん!!!」」」

先生「はーい。その通りです。そして、なんと今日はそのサンタさんと、トナカイさんも、この幼稚園に来てくれました―!」

園児たち「「「えええええ~~~!?」」」

先生「それではサンタさんと、トナカイさんの登場です。どうぞ~~!」



楓「良い子のみなさーん、メリークリスマース! サンタでーす。サンタさんですよー」

P「こ、こんにちはー。トナカイでーす……メリー……クリスマス……」

楓「プロデューサーさん。もっと大きな声で言わないと、伝わりませんよ」

P「こ、こんにちはー! トナカイでーす!! メリークリスマス!!」

P(……う……例え相手が幼稚園児だろうと、人前に出るのは緊張するな……というか、何で俺が……)

~回想~


モブスタッフ「やっぱサンタさんと言えば、白い袋にいっぱいプレゼントを持って登場するじゃないですか」

モブスタッフ「で、実際に白い袋にいっぱいプレゼントを詰め込んだんですけど、すごく重たいんですよね。高垣さんに持たすのはちょっと危険かなってくらいに」

モブスタッフ「なんでプロデューサーさんに持ってもらおうかなと。あと、ついでにトナカイのキグルミも着て貰っていいですか?そしたら多分園児たちも喜ぶと思うんですよね!」

~回想終わり~


P(なんて言われて、言われるがままに出てしまったけど……まぁでも、普段アイドル達に派手な服着せたり、露出激しい格好させたりするし、俺もたまにはな……)

園児たち「「「……」」」

P(う……園児たちが黙っちゃったぞ……やばいな、ウケが悪かったか……?)

園児たち「「「わー!! サンタさんだけじゃなくてトナカイさんもいるー!!!」」」

P「お、おう……?」

園児1「ねぇねえ、どこから来たの!?」

園児2「プレゼントなーにー!?」

園児3「ソリは? ねぇソリはどこにあるの?」

園児4「女のサンタさんって珍しいー!」

P(な、なんか……群がられてる……ど、どうしよう)

楓「プロデューサーさん、不安な顔見せちゃ駄目ですよ」ボソッ

P「……は、はい」

楓「はぁーい。良い子のみんなー。ちゃーんと人数分、プレゼントはありますから、順番に並んでくださいねー」

楓「焦らないでねー。年に一度のイベントのクリスマスを、ゆっくり済ますましょー」

P(園児相手にもブレずにダジャレを……!?)

園児1「あははは、お姉さん面白ーい」

園児2「ダジャレを言うのは、誰じゃ!」

楓「うふふ、あらあら、面白い事を言ったのは誰かしら?」

P(しかもウケてる……!? それに、和やかな雰囲気になって、なんか俺も気持ち的に楽になったし……やっぱ高垣さんすげえ……)

楓「はい、プレゼントですよ。中身は何かなー? お家に帰るまでのお楽しみ、ね?」

園児4「わーい! サンタさん、ありがとうー!」

楓「うふふ。はい、どうしたしまして」

園児5「ねーねー、サンタのお姉さん」

楓「はーい? なんですか?」

園児5「私もねー、大人になったら、サンタのお姉さんみたいに、綺麗になれるー?」

楓「ええ。なれますよ。女の子は誰でも、シンデレラで、お姫様ですから」

園児5「やったー!えへへ、あのね、サンタのお姉さんも、お姫様みたいだよ!」

楓「……ふふっ。ありがとう。あなたもとっても可愛いですよ」

P(大勢の子供を相手にするのは初めてだし、人見知りだから不安って言ってたのに……ちゃんとサンタに徹してるな、高垣さん)

P(さっきも、俺にアドバイスをくれたし……高垣さんって、やっぱりプロだなぁ……)

女児園児1「ねーねー。トナカイのお兄ちゃん、イケメンだねー」

女児園児2「結婚してるのー? 彼女いるのー?」

P(ず、随分マセた質問だな……外見や背丈から察するに、この子達は年長さん組か……)

P「ううん、お兄さんはトナカイだからねー。結婚とかしないし、彼女とかはいないんだー」

女児園児1「えー? 本当? いそうなのにねー」

女児園児2「ねーねー、だったら。私のカレシになってくれるー?」

P「(トナカイって言う設定はガン無視か……まぁいいけど)あー……そうだね、考えておくよ」

女児園児1「えー! ずーるーいー! 私がトナカイのお兄ちゃんと付き合うのー!」

女児園児2「先に約束したのは私だもーん!」

女児園児1「ねえねえお兄ちゃん! 私だよね? 私のカレシになってくれるんだよね?」

女児園児2「私の方が早かったから、私だよね!?」

P「あー……あはは……」

楓「……モテモテですね。プロデューサーさん」

P「ははは。本当、モテモテで参っちゃいま……え、えっと高垣さん、なんか、ちょっと怒ってます?」

楓「怒ってるって、何がですか? なんにも怒ってませんよ。こんな楽しいイベントで、怒る理由がないじゃないですか」

P「で、ですよね。ははは」

P(……それにしては、なんか、さっき、一瞬表情が固まってて、なんか目も笑ってなかったような)

楓「はい、プレゼントですよ」

園児6「ありがとう……あ、あの、サンタのお姉ちゃん!」

楓「はい?」

園児6「サンタのお姉ちゃん綺麗だから、お、俺と結婚して!」

楓「……ふふっ、嬉しい事言ってくれるんですね。でも、どうしましょうか」

園児6「俺はすごいよ!! 足し算だって、みんなの中で一番速く出来たし、かけっこだって一番だ! だから俺と結婚して!!」

P(俺も子供の頃は、すぐに結婚するとか言ってたな……)

楓「うーん。なるほど。それはすごいですね。でも、私は……そういうのよりも、どれだけ好きでいてくれるかの方が、大事かな」

園児6「……う、ううん?」

楓「私とあなたは出会ったばかりですから、いきなり結婚してと言われても、本当に私の事を好きなのかなって思ってしまいます」

園児6「本当だよ! 本当に好き!」

楓「ふふっ、ありがとう。でも、あなたはまだ幼いですから、結婚は出来ません。それがルールです。ルールは守らないと、めっ!って、先生に言われていますよね?」

園児6「……うん。でも……」

楓「うん。大丈夫、気持ちは十分伝わりました。だから、あと十数年……あなたが大きくなって、それでも私の事を好きでいてくれたら、結婚してあげます」

園児6「ほ、本当!?」

楓「ええ。でも、あなたは頭も良くて、運動も出来るんでしょう? きっとこれから、女の子にモテモテですね……私の隣の、トナカイさんみたいに」

P(え? 何で俺が急に出てくる?)

楓「それでもあなたは私の事をずっと想ってくれますか?」

園児6「うん!!ずっと好きでいるよ!!隣のトナカイのお兄ちゃんとは違う!ずっとずっと!!約束する!!」

P(……)

楓「ありがとう。ふふっ、そんなに好かれて、私は幸せ者ですね。それじゃあ約束の指切りしましょうか。ゆーびきりげんまん、うーそついたら針千本飲ーます。指切った♪」

園児6「約束だよ!サンタのお姉ちゃん!」

楓「はい、約束ですよ」

なでなで(頭を撫でてあげる楓)

P(……よく分からんけど、高垣さんと子どもたちが楽しそうなら、まぁいいか……)

モブスタッフ「プロデューサーさん、ちょっと……」

P「(ん? 呼ばれてるな) すみません高垣さん、ちょっと外れますね」

楓「? 分かりました」



P「何かありましたか?(なんか深刻そうな顔だ、トラブルか? でも、今のところつつがなく進行してるけど……)」

モブスタッフ「はい。実はさっき、違う現場に向かうスタッフから連絡がありまして……この雪で滑った車にぶつけられて、事故ちゃったらしいんですよ」

P「え? ま、マジですか? スタッフのみなさんに怪我とかありませんでしたか!?」

モブスタッフ「あ、はい。そっちは大丈夫みたいだったんですけど……」

P「ふぅ……よかった。でもならなぜそんな深刻そうな顔に……?」

モブスタッフ「実は……事故った衝撃で、カメラとか音声とかの機材がおしゃかになっちゃったらしいんですね」

モブスタッフ「んで……今は、クリスマスとか年末の特番とかで、諸々の機材が足りて無くて……それで、俺たちの仕事を早々に切り上げて、機材を持って応援しに行って欲しいって言われたんですよ」

モブスタッフ「まぁ一応、高垣さんが園児にプレゼントを配ってる画とか……短いですけど、使える映像は録れましたが……どうします?」

P「……なるほど」

P(まいったな……どうする?)

園児7「あのね、私ね! サンタさんに会うのが夢だったの!! だからね、今日サンタのお姉さんに会えて、すっごく嬉しい!」

楓「……ふふっ、そうですか。私も、あなたに会えて、とっても嬉しいですよ♪」


P(……)


P「……わかりました。では、そちらの現場の応援、お願いします」

モブスタッフ「……了解です。じゃあプロデューサーさん達も、切り上げる準備を」

P「いえ、俺と高垣さんは残ります」

モブスタッフ「え?」

P「最後までやりきるのが仕事ですから。それに高垣さんはカメラが無くなったからと言って手を抜くような人ではないですし、仕事を途中でほっぽり出す事を良しとはしないと思いますので」

モブスタッフ「……そう、ですね。でもいいんですか? 映像には残りませんが……」

P「……映像には残らなくても、園児たちの心には残りますから」

モブスタッフ「……わかりました。では、機材を届けたら、迎えに来ますんで!」

P「お願いします。事故にはくれぐれも気をつけて」


楓「……」

P「ただいま戻りました。あ、それでですね、高垣さん。お耳を貸していただきたいんですが……実は諸事情がありまして、ここから先は映像に残らないんですが……大丈夫ですか?」

楓「わかりました」

P「……な、納得が速いですね」

楓「何かあったんですよね? そして、プロデューサーさんがそれに対して何かの判断を下した……それなら、私はプロデューサーさんの指示に従うまでです」

楓「プロデューサーさんが私の事を信頼してくれているのと同じように、私もプロデューサーさんの事、信頼してますから」

P「……ありがとうございます」

園児8「ねー!サンタさん、プレゼントまだ―!?」

園児9「待ちくたびれちゃったよー!!」

楓「……ふふっ、ごめんなさい。さっ、プロデューサーさん。続きですよ」

P「……はい!」

P(そこからは、なんというか、とても楽しい時間だった)

P(プレゼントを配り終えたあとは、サンタさんへの質問コーナーという事で、高垣さんに色んな質問をぶつけて、それを高垣さんが冗談やダジャレ混じりに応え、園児たちの笑いを誘い)

P(実はこのサンタさんはダンスが得意なんでーす、という先生の言葉のあと、高垣さんが今流行ってるドラマのダンスをノリノリで踊り、それを見た園児たちも踊りだし)

P(さらには、トナカイさん、どっか連れてってーと言われ、俺の背中に何人もの園児が乗って、それを見た高垣さんが楽しそうに笑って)

P(最終的には、何故か俺対高垣さん&園児たちによる、だるまさんがころんだが始まり……)

P(そして何故かそれに超真剣な顔付きで参加してる高垣さんにタッチされた所で、イベントの終了時刻となった)


先生「え~いい子のみなさん。そろそろサンタさんとトナカイさんとお別れの時間です」

園児1「えー!」

園児2「いやだー!」

園児3「もっと遊んでー!」

楓「そろそろ他のいい子達のところへ、プレゼントを配りに行かないといけないんです。ね? トナカイさん」

P「そうなんです。ごめんなさい」

先生「でも、サンタさん。いい子にしてれば、次のクリスマスにもきっと、来てくれますよね?」

楓「はい、勿論です。みんなは来年まで、いい子に出来るかな~?」

園児たち「「「は~~~~い!!」」」

楓「ふふっ、とってもいいお返事です。サンタさん。とっても嬉しいです」

先生「それじゃあ良い子のみなさん。プレゼントをくれたサンタさんとトナカイさんに、お礼をこめて、お歌を歌いましょう!」


P(そして歌われた、赤鼻のトナカイと、サンタが街にやってくる)

P(子どもたちの可愛らしい歌声と、一生懸命歌うその姿に、なんだかとても心が暖かくなった)

園児1「サンタさんバイバーイ!!」

園児2「サンタさん、ありがとー!!」

園児3「絶対また遊ぼうねー!!!」


P(そんな園児達の声を後にして、俺と高垣さんは控え室に戻っていった)





楓「お疲れ様でした」

P「お疲れ様です……その……さっきの事ですが」

楓「いいですよ。なにも言わなくて……さっきみたいな、カメラも音声もない状況も、アイドルになりたての頃を思い出して、懐かしかったです。初心を思い出しました」

楓「最近は、ライブ会場の規模も大きくなり、テレビ番組などにも出演していますけど……一番大切なのは規模やメディアへの露出ではなく、目の前のお客さんを笑顔にして、いかに楽しませるかだなと、改めて確認できましたよ」

P「……高垣さん」

楓「素直で、いい子ばかりで……とっても楽しかったですね、プロデューサーさん」

P「……ええ、とても」

楓「……ところで、私、実はサンタのコスプレをするの、初めてだったんですよね」

P「え?そうなんです?学生の時や、モデル時代は、そういう服装はしなかったんですか?」

楓「ええ、学生の時はそういうキャラじゃありませんでしたし、私の外見的に、事務所は私の事を、可愛い系よりもカッコいい系で売りたかったみたいで……」

P「……なるほど(確かに高身長で、顔も整ってるし、そういう系統で売りたくもなる事務所の気持ちは分かるな)」

楓「今日、サンタのコスプレしたのもそうですが……アイドルになって、今までにない事だらけで、毎日とっても新鮮な気持ちです」

楓「まさか子どもたちの前で、サンタの格好してプレゼント配るなんて、夢にも思わなかったですから」

P「あはは……まぁ、高垣さんの人生に置いて、アイドル業が何かしらの刺激になっているなら、それは俺にとっても嬉しいですよ」

楓「ええ、毎日刺激的です。すごく」

P(そう言って、高垣さんはニッコリと笑ったあと、窓の外の相変わらず降りしきる雪を見つめた)

楓「……プロデューサーさんは、何か、クリスマスの思い出はありますか?」

P「クリスマスの思い出、ですか? んー、特にはないですね。まぁ学生時代、友達とワイワイパーティーしたくらいですかね。まぁ後は小学校低学年くらいまでは、サンタを信じていたので……朝、枕元にプレゼントがあったら、大はしゃぎしてましたね」

楓「ふふっ、可愛い思い出ですね」

P「まぁ、昔は純粋だったもんで……高垣さんは?」

楓「似たようなものですね……でも、私はサンタさんについて、ずっと疑問に思っていた事がありました」

P「本当にサンタさんなんているのか? みたいな事ですか?」

楓「いえ……そういうメタ的な事ではなくて……寂しくはないのかなって」

P「?」

楓「プレゼントを配る……それも、ひっそりと真夜中に……誰にも知られないように……そして、名前も残さず、去っていく」

楓「夢のある、いい話ですけど……サンタさん本人は、そのプレゼントを見た時の、子供の笑顔さえも見れません」

楓「それは何だか、とても寂しいお話だな、とずっと思っていました」

P「……言われて見れば、たしかに……」

楓「ええ。ですから私は、せめてもの思いとして、『サンタさんありがとう』ってメッセージカードを入れてましたね」

P「……可愛い事しますね、高垣さん」

楓「ふふっ、私も昔は純粋でしたから」

P(そう答えると、高垣さんは、窓の外の雪を見つめるのをやめて、俺の方へと向き直った)

楓「でも、プロデューサーさん。私、今日分かりましたよ……サンタさんはきっと、寂しくはなかったって」

楓「……だって、トナカイさんがいますから」

P「……?」

楓「最初にこの仕事の話が出た時言ったとおり、私、大勢の子供を相手にするのは初めてで、ちょっと緊張してたんですけど……でも、隣のトナカイさんが私以上に緊張してましたから。おかげで緊張がほぐれました」

P「あー……それは、すみません……なんとも頼りないというか、情けないというか……」

楓「ふふっ。いいんですよ。プロデューサーさんがいなければ、私はステージに立つ事も出来ませんから」

楓「……だから、思うんです」

楓「きっと、本物のサンタさんとトナカイさんも、こんな風に助け合って、子どもたちにプレゼントを配るんだなって」

P「……」

楓「サンタさんは、プレゼントを集めて配る役、そしてトナカイさんは、そのサンタさんを運ぶ役……」

楓「全ての子どもたちにプレゼントを配り終わった時の、その達成感、幸福感、充実感……それを分かち合える仲間が居れば、きっとサンタさんはそれだけで十分だったと思うんです」

楓「……だから絶対、サンタさんは寂しくはなかったって、そう思うんです」

P「……はい、きっと、そうですよ」

楓「ええ……あ、すみません。唐突にこんな事を……子供の頃からの疑問が解決したので、つい……」

P「いえ……サンタさんと気持ちを分かち合うのが、トナカイの役目ですから……そうでしょう?」

楓「……ふふっ、そうですね」

P(俺の言葉に、高垣さんはとても嬉しそうな顔をした)

楓「……あっ、ところでプロデューサーさん。私、もう一つわかりました」

P「なんですか?」

楓「アイドルとサンタさんって、ちょっとだけ似てますよね」

P「?」

楓「直接プレゼントを配る事は出来ませんが……ファンの皆さんに夢を見せる所とか……笑顔にさせる、という点では、一緒ですよね」

P「そう……ですね。高垣さんに言われるまで、気付きませんでしたが、ちょっとだけ似てますね」

楓「ええ。それにツアーなどでは、家までは行けませんが、ファンの皆さんの地元まで行けますし……そういう所も似ています」

楓「年明けからはまた、全国ツアーもありますしね。ふふっ、まだ行ったことのない県や地方の皆さんに会いに行ける事を考えただけで、ワクワクやドキドキが止まりません」

P「楽しみですか?」

楓「ええ、とっても……きっと、クリスマス前のサンタさんも、こんな気持ちだったんでしょうね……でも、私はサンタですから、トナカイさんの力がないと、そこまで行く事はできません」

P(高垣さんのそれぞれ色が違う両の瞳が、俺の目を捉えた)

楓「私のトナカイさんは、これからもずっと、私を色んな場所へ……ドキドキする場所へ……ファンの皆さんの笑顔が待つ場所へと、運んでくれますか?」

P(そうイタズラっぽく、微笑む高垣さん)

P(俺は恭しく頭をたれて、こう応えた)

P「はい。どこへでも、どこまでも……運んでいきますよ、俺のサンタさん」

楓「……雪、止みませんね」

P「ですね。タクシーも通らなくて、電話をかけても、タクシー会社も繋がりにくいですし……繋がっても、迎えに行けるのが約1時間後とか……みんな利用を考えるみたいで……」

P(もう着替えは済ませてあるし、荷物やゴミは明日持って帰ればいいって幼稚園の先生方は言ってくれたけど……さて、どう帰るか)

P(迎えに来る父兄さんの車や幼稚園のバスに乗らせてもらおうかと思ったけど、そうしたら確実に俺と高垣さんがサンタとトナカイだと園児たちにバレて、さっきまでのクリスマス会が台無しになるし……)

P(まいったな……違う現場に向かったスタッフさん達も、ロケが終わるのはまだまだ先だろうし)

楓「……プロデューサーさん。もうこうなったら歩いて帰りましょうか」

P「……そうですね、とりあえずどこか、タクシーを拾えるような場所まで……ああ、そう言えば高垣さんはここから歩いて30分くらいの場所に自宅があるんでしたよね?」

楓「はい、幸い、風は吹いていませんし。歩けないほど強い雪ではありませんから」

P「ですね。それでは高垣さん宅までお送りしますよ……そじゃあ傘を二本借りてきますね」

楓「あっ、大丈夫ですよ。プロデューサーさんが電話している内に、借りておきましたから」

P「……気が利きますね。ありがとうございます。それじゃあ……って、あれ、一本しか……」

楓「だって、プロデューサーさん。朝電話の時言ったじゃないですか。万が一滑ったりして、怪我でもしたら大変だって。もし私が滑った時、近くにいなかったら私を支えられないじゃないですか」

P「まぁ、それもそうですけど……」

楓「それにプロデューサーさんが滑る可能性もありますし、その時、同じ傘に入るくらい近くにいないと、あんぶれえらぁ、です」

P(……? ああ、傘が英語でアンブレラで、アンブレラと危ないをちょっと掛けたのか……)

P「……まぁ、そうですね。わかりました。ご一緒させていただきます」

楓「はい。傘の中にようこそ、プロデューサーさん♪」

P(……寒さも忘れるくらいの、いい笑顔だな……)

P(流石に雪の日は、人通りも車通りも少ないな……)

楓「シーンとした街に、しんしんと雪が降ってますね」

P「……ですねえ」

P(なんかさっきからダジャレが絶好調だな……)

P「機嫌いいですか? 高垣さん」

楓「ええ。知っていますか? プロデューサーさん。東京でホワイトクリスマスになるのって30年ぶりくらいなんですよ」

P「え? そうなんですか? 言われてみれば確かに、ホワイトクリスマスになった記憶はありませんが……」

楓「はい。去年か一昨年、品川で一瞬だけ降ったみたいですが、こんな雪景色になるほどではなかったようですし」

P「へぇー……」

楓「ホワイトクリスマスなんて、なんだか特別な気分になるじゃないですか。神様にご褒美を貰ったみたいで」

P「……詩人ですね」

楓「ふふっ、ダジャレ以外の事だって、ちゃんと考えてますよ? ……今も、ご褒美みたいなものですけど」

P「ん? 何かいいましたか?」

楓「いいえ、なーんでも♪」

P(? よく分からないけど……本当、機嫌いいなぁ……)

P「でも、言われて初めて気付きましたが、俺も人生初のホワイトクリスマスです」

楓「あ、プロデューサーさんも東京生まれ東京育ちなんですね。どうですか、初ホワイトクリスマスの感想は?」

P(感想か……辺り一面が白く染まって……静かで……なんだか別の世界に来たというか……この真っ白な静寂な世界に取り残されたっていうか……)

P「なんだか、世界中に二人だけみたいですね」

楓「……っ、はっ、えっ?……そ、そうですね……ふふっ、もうプロデューサーさんったらっ♪」

P(なんか、さらに機嫌の良さに拍車がかかったな……そんなに上手い事言ったかな、俺)

楓「ところでプロデューサーさん、この後の予定は? もし良かったら飲みませんか?」

P(……聖夜に、よく誘ってくるなぁ……俺以外の男だったら絶対勘違いするぞ)

P(とはいえ、俺だって今日の雰囲気に流されない……とは残念ながら言い切れない。高垣さん超絶美人だしなぁ……断ろう)

P「いえ、俺はちょっと……いつもの飲み仲間の方達と、飲まれたりしないので?」

楓「今日はこの雪でお流れになっちゃいました……付き合ってくださいよ、プロデューサーさん。あ……それとも、何か……用事でも……?」

P(……なんか、今までに見たないくらい、すごい不安げな表情なんですけど……こんな表情見せられたら、流石に断れないな……)

P「あー、何人かのアイドルの皆さんに、クリスマスに飲もうと誘われましたが、全員仕事が入ってこちらもお流れです……なんで、まぁ高垣さんがそこまで言うなら」

楓「やったっ♪ 付き合ってくれるんですね、ありがとうございますっ」

P(なんかすげえ嬉しそうなんですけど……まぁ、聖夜に一人で飲むのが寂しいって気持ちは分からんでもないしな……)

楓「美味しいお酒はたっぷりありますし、おつまみも、腕によりをかけて作っちゃいますからね、今日は朝まで付き合ってくださいね、プロデューサーさん♪」

P(……うっ……無邪気な笑顔が、か、可愛い……)

P(自制心自制心……)

P(いいか、落ち着け俺……浮かれるな……高垣さんは、相手がいなかったら、寂しかったら、たまたま近くに居た俺を誘っただけだ、勘違いするな……)

P(本当に1、2杯……体が暖かくなったらすぐに帰るんだぞ、俺……)

数時間後


P「高垣さ~~~~~~~ん」

楓「はぁぁ~~いっ、なんですかプロデューサーさぁん」

P「今日はぁ、高垣さんの家にあるお酒をぉ、全部ぅ、開けちゃいましょ~~~~!!」

楓「うふふふふふ!!それは素敵なアイデアですね、プロデューサーさん!!」

P(あれ……なんだか、意識が朦朧としてるぞ……)

P(確か、高垣さんに、本当に美味しいですからと進められたウイスキーのロックを進められた辺りから、意識が……)

P(……まぁ、なんかすっごい気分いいし、気にしないでいっかぁ!!)

P「どんどん飲みましょ~~~~~!!」

楓「いぇ~~~~~い!!!どんどんぱふぱふ~~~~~!!」

~さらに数時間後~


楓「助けてぇ~~~プロデューサーさぁ~~~ん!!」

P「なんですかぁ高垣さぁん!」

楓「この缶ビールのフタが開かないんですぅ、なんかぁ、指に力が入らなくてぇ」

P「ふふふ、俺に任せてくださいよ……俺がこうセイヤって掛け声かけて力入れれば一瞬で開きますよ、聖夜だけに!」

楓「……ふふふふふ」

P「あはははははは!!!」

楓「ねぇねぇ見てぇ、プロデューサーさぁん!」

P「どうしましたぁ高垣さん!」

楓「このおしゃけのラベル、とってもおしゃけ(おしゃれ)!」

P「……ぶはははははは!!」

楓「うふふふふふ!!」

P「も~、高垣さんには敵いませんなぁ!!ははは!! ささっ、どうぞどうぞもう一杯!」

楓「お~っととと。これはこれはご丁寧に!!うふふふ!!」

P「いや~~それにしても高垣さんは本当に酒豪ですねえ!!しゅご~い!」

楓「……うふふふ!!!!もうプロデューサーさんったらお上手!!!」

P「だ~っはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

~~さらにさらに数時間後~~


P「いや、だから……マジでおかしいんスよ、この会社……本当におかしいっす。どうかしてますって……現場の事なんにも分かってないんですから」

楓「そうですね……プロデューサーさんは、よく頑張ってますよ」

P「乗務とか、あと、緑の服を着ている方とか……俺の苦労をこれっぽちも分かってないんスよ……もう嫌んなりますよ……」

楓「ふふっ、はい……プロデューサーさんは、とっても偉いですよ」

P「……あ、すみません、さっきからなんか、愚痴ちゃって……」

楓「いいえ。いくらでも聞きますよ。プロデューサーさんの愚痴なら」

P「……うぅ……ありがとうございます……」

P(……優しいなぁ、高垣さんは……)

P(ていうか、あれ? なんか俺、いつの間にか寝っ転がってないか……なんか、頭に柔らかい感触が……あと、いい匂いもする……それと、なんか、撫でられてるような……)

P(ひょっとして、高垣さんに膝枕されてる……?)

P「高垣さん」

楓「はい」

P「ひょっとして、俺、高垣さんに膝枕されてますか?」

楓「いえ、プロデューサーさんは、私のベッドに寝てますよ」

P「あ、そうですか。すみません、なんか、大分酔っ払ってるみたいで……こんな情けない姿、見せちゃって……」

楓「いいですよ。ふふっ、プロデューサーさんと飲むのも久しぶりですから。どんどん酔っ払ってください」

P「……そう言えば、最近は、飲む機会もないくらい忙しくて……はぁ、キツイっす……」

楓「……毎日毎日、私達の為に、お疲れ様です」

P「いえ、まぁ、勿論楽しいっすけどね、給料もそこそこの金額を頂いてますし……それに、沢山の可愛い子とか美人さん見れますし……」

楓「……」

P「でも」

楓「?」

P「一番美人なのは、高垣さんですよ」

楓「……え?」

P「初めて会った時、こんな綺麗な人が、この世にいるんだって思いました……今日のサンタ姿も、もう最高でしたよ……」

楓「……」

P「俺、高垣さん……に出会えて……良かったっす……ねえ、高垣さん……」

楓「はい」

P「おれ……絶対に、高垣さんのこと……」

楓「……」

P「……」

楓「……プロデューサーさん?」

P「……ZZZzzz」

楓「……寝ちゃった」

楓(肝心な所で……プロデューサー、何言おうとしてたんだろう)

楓(……でも、ふふっ、酔ってるプロデューサーさん、可愛かったな)

楓(私の料理も、美味しい美味しいって食べてくれて……とっても嬉しかったですよ、プロデューサーさん)

楓「……」頭なでなで

P「……ZZZzzz」

楓(髪の毛、さらさら……)

楓(私が膝枕してることにも気づかないくらい泥酔して……それだけ、心を開いてくれてるって事ですか? そうだったら、いいなぁ)

楓(……頬、ぷにぷにしちゃお)

P「……んがっ……ZZZzzz」

楓(……可愛い)

楓(でも、こんなに無防備な姿晒して……私の前だけですか? そうじゃなかったら、駄目ですよ、プロデューサーさん)

楓(プロデューサーさんの事を狙ってる女の子は、沢山いるんだから)

楓(鈍感で生真面目で、仕事に一生懸命だから気付いてないかも知れないけど……)

楓「……真面目すぎです」

楓(クリスマスに、二人きりで、部屋で飲んで……手も出さないって……私、自信無くしちゃいそうですよ)

楓(でもその癖、ドキッとするような事、平気で言うんですから……こまった人ですね、プロデューサーさんは)

P「……ZZZzzz」

楓「……」

楓(寝顔、可愛い……)

楓(……キス、したいな……)

楓(……キスの一つくらい、してもバチは当たらないですよね)

楓「……」ドキドキ

楓(では……顔を、近づけて……)

楓(プロデューサーの、鼻息が当たって……あと、数センチ)

楓「……っ」ドキドキ

P「……高垣さん」

楓「ひゃっ!」

楓(ひょ、ひょっとして、起きてた……?)

P「……俺、絶対に、高垣さんの事、トップアイドルに、しますから……絶対に……ZZZzzz」

楓「……寝言、ね」

楓(本当に、真面目な人。夢の中でも、仕事なんて……)

楓「真摯な紳士、ですね……ふふっ」

楓(でも……うん、そうね。キスをするのは……また今度にしようかな)

楓(今、キスをするのは、なんだか裏切りのような気がして)

楓(だから、キスをするのは……私がトップアイドルになったらかな)

楓(そうしたら多分、プロデューサーさんも、私の事を気兼ねなく受け入れてくれそうな、そんな気がする)

P「……ZZZzzz」

楓(……でも、最後にちょっとだけ、クリスマスプレゼント代わりに……プロデューサーさんの、寝顔を……)
 


パシャ。

数日後、事務所。

P「あー……高垣さん、すみません。先日は酔っ払っちゃって……」

楓「いいえ、とっても楽しかったですから。また飲みましょうね、プロデューサーさん♪」

P「それは構いませんが……次はもうちょっと度数の弱いお酒で……」

楓「ふふっ、考えておきます」

P「お手柔らかに……それじゃあ俺は、次の仕事に行ってきますんで」

楓「はい、行ってらっしゃい」

楓「……」←スマホを見てる

川島さん「あら、楓ちゃん。どうしたの? ニコニコしてスマホ見て……あっ、まさかクリスマスにサンタさんから貰ったプレゼントでも眺めてるのね、分かるわ」

楓「あはは、可愛い事言いますね、川島さん」

川島さん「アイドルですもの♪ 実は瑞樹の所にもサンタさんが来てぇー……っていうのは、流石にキツいかしら」

川島さん「それで、本当は何を眺めてたの?」

楓「ふふっ、秘密です。シークレットな事なので、しーっとしといてくれ、です」

川島さん(微妙にダジャレを言ったわね……)

楓「……でも、そうですね、敢えて言うなら」

川島「言うなら?」

楓「トナカイさんからのプレゼントです……私が勝手に貰ったものですけどね」

川島「……わ、分からないわ」

楓「ふふっ」



終わり。

以上です。
楽しんでいただければ幸いです。
楓さんと一緒に聖夜を過ごしたいだけの人生だった。

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