志乃「助けて幸子ちゃん」 (25)


早苗「いえーい!幸子ちゃんようこそ!」

楓「さちこちゃん、さっちこう寄れ、ふふっ」

美優「あぁ楓さんそんなだらしない格好で…」

友紀「ビール!ビール!」

菜々「ななななな菜々が飲んでいるのはジュースですからねっ!」

幸子「…どうしてボクが呼ばれたのですか?」

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瑞樹「ごめんなさいね、幸子ちゃん。実は今大人組で『地元のお酒と料理で飲み会!』っていうのやってるの」

幸子「はあ…」

瑞樹「それでそれぞれ持ち回りで地元のお酒と地元の料理を作って飲み会をやっていて、今日の担当が――」

志乃「私よ」

幸子「はあ…」

瑞樹「そして用意してきたのが」

志乃「このワインよ」どーん

瑞樹「いやおつまみもなしに大量のワインだけってどうなのよ!つまみなしで飲めっていうの?」

志乃「ワインでワインを飲めばいいじゃない」

早苗「と謎の供述をしていてねー」

菜々「この飲み会はそれぞれ地元のお酒と料理を楽しむって飲み会でみんなそれを楽しみにしているんですよ」

菜々「あっ!もちろん私はジュースですけれどねっ!」

美優「まあここで私や菜々さんが軽くおつまみを作ろうかと思っていたのですが…」

友紀「あたしや楓さんだって料理作ったんですよー!!志乃さんだけ作らないのはずっるーい!」

楓「そうですね。山梨のおつまみはあまり食べたことがないですから」

友紀「んじゃせめて同じ山梨出身アイドル連れてこーい!そしてつまみをつくれー!」

幸子「まさかそんな理由で呼ばれたんですか!?」


瑞樹「ごめんなさいね。後で?んだくれ達は早苗さんがシメてくれるから」

美優「何か知っているレシピだけでも教えてくれたら私たちで何とかしますから」

幸子「そういうことですか」

友紀「ところで幸子ちゃんって料理出来るのー?」

幸子「フフーン!カワイイボクを舐めてもらっては困りますよ!バラエティ番組やサバイバル番組で料理の腕は磨いていますからね!」

瑞樹「……自慢することなのかしら」

幸子「食材とかはあるんですか?」エプロンつけつけ

菜々「なんだかわからないですけれど大量の食材があるから大丈夫ですよ」テツダイマスヨ

志乃「お酒巡りのロケ先の人たちが色々くれるのよ」

美優「腐らせたらもったいないですよ」ワタシモテツダイマス

楓「あら、チーズの燻製があるわ」がさごそ

幸子「あっそれは清里のチーズ燻製ですね!全国どこにでもあるものですがとりあえず条件にはあっているのでこれでもつまんで待っていてください!」

楓「はーい」


幸子「……砂肝に鳥レバーっと。本当になんでこんなものがあるんですか」

幸子「じゃあまずはとりもつ煮からですね!」

美優「とりもつ煮?」

瑞樹「そういえばB級グルメでそういうのあったわね」

幸子「フフーン!とりもつ煮は山梨発祥のB級グルメですね!B-1グランプリで優勝したこともある一品ですよ!」

菜々「作るのはむずかしくないんですか?」

幸子「B級グルメなんてパパッと作れてなんぼの物が多いですからね!簡単に出来ちゃいますよ」


幸子「まずは鳥の砂肝、レバー、ハツを食べやすい大きさに切ります。といっても砂肝以外はそのまま入れちゃっても問題ないと思いますよ」

美優「はい…。砂肝は思ったより硬いですね」ざくっ

菜々「鳥の砂肝なんて滅多に調理しないですもんねー」とんとん

幸子「切れましたら全部まとめて小ぶりの手鍋に入れちゃいます。大体底が見えないくらいまで入れてください!」

菜々「はーい!」

幸子「そこに醤油と砂糖、みりんを混ぜたたれを入れますよ。醤油と砂糖は1:1くらいでみりんはちょっと混ぜますよ!」さーっ

美優「えっ!砂糖多くないですか?」

幸子「フフーン!ざっくりで美味しいのがB級グルメですからね!たれはお鍋にいれたモツが浸るくらい入れます」とくとく

菜々「モツ煮っていう割にはたれが少ないですね」

幸子「じゃあ強火にかけて煮ますね」かちっ


ぐつぐつ…

美優「あっというまに泡立ってきましたね」

幸子「底が焦げ付かないように菜箸でぐるぐる混ぜます」ぐるぐーる

菜々「たれの焦げるいい匂いがしますね!」

幸子「たれがほとんどなくなるくらいで鍋をふってっと」がこんがこん

幸子「はい!完成です!」どーん

美優「えっ!もうできたのですか?」

菜々「材料切るのを合わせても5分くらいですよ!」

幸子「フフーン!ぱぱっと出来ちゃうのがB級グルメですよ!お好みで七味をかけてどうぞ!」


友紀「わーい!いただきまーす!」ぱくっ

友紀「ん~!うまい!ビールに合う!!」ごくごくっ

早苗「ほうほう!たれの甘じょっぱさとこりこりした砂肝がいいわね!ザ・おつまみって感じ!」ぐびぐび

美優「モツ煮というからには癖の強い味を想像していましたが意外にもすっと食べれますね」

菜々「醤油と砂糖で癖を抑え込んでいる感じですね!」

志乃「お肉系なので赤ワインにも合うわよ」とくとく

幸子「というか志乃さんは食べる側なんですね…」

瑞樹「しかたないわよ…」


楓「ふむ…」

美優「おや?楓さんどうかしましたか?」

楓「いえ…。おいしいのはおいしいのですが白ワインや日本酒と合わせるのは微妙かと」

菜々「あー、確かに肉系はビールや赤ワインには合いますけれどそっちとはあまり合わないかもしれませんねっ」

菜々「あっ!菜々はお酒とか飲んだことないからわかんないですけどね!」

幸子「フフーン!じゃあ次はおさかなにしますよ!」

早苗「おお!山梨にもおさかなのおつまみあるの?」

幸子「すぐ出来るので待っててくださいね!」

美優「それにしても海のない山梨でおさかなって何がでてくるんでしょうか」

楓「楽しみですね」

志乃「おさかな…おつまみ…あっ」


楓「♪」

志乃「期待しているところ悪いけれど『出来ました!』」

菜々「はや!また5分もかかってないですよ!」

幸子「フフーン!どうぞ」どんっ

友紀「これは…」

早苗「これは…」

瑞樹「これは…」

楓「……マグロですね」

美優「マグロですね」

菜々「赤身のマグロですね」

幸子「山梨のおさかなおつまみといえば『マグロのブツ』です!」フフーン!


志乃「やっぱり…」

瑞樹「志乃さん解説を」

志乃「意外かもしれないけれど山梨は日本一マグロの消費量が多い県なのよ」

菜々「海がないのにですか?」

志乃「逆に海がないから冷凍でも味が落ちにくいマグロしか食べれないともいえるけれどね」

幸子「山梨で刺身や寿司っていえばマグロですね!青魚なんて全然見たことないです」

楓「普通のマグロのブツね」もぐもぐ

瑞樹「まあ、マグロを切ってわさびを添えただけですものね」もぐもぐ

幸子「……やっぱりダメでした?」おそるおそる

楓「そんなことないわよ」

幸子「?」


楓「他の県の人からみたら何てことない品でもそこに県民のストーリーが出るから面白いのよ」

幸子「楓さん!」

瑞樹「自分の回で梅干ししか出さなかった楓さんが言うと説得力があるわね」

幸子「楓さん…」

楓「うめはうめーですから。ふふっ」

幸子「まあとりあえず置いといて最後の料理を作りますよ!」

楓「スルーされた…やけ酒です」

幸子「さてこれはちょっとだけ時間がかかるので待っていてください!」

美優「あっ、手伝いますよ」

菜々「私も行きますよ!」

幸子「ありがとうございます!」てくてく

志乃「……幸子ちゃんは本当に頼りになるわ」

早苗「志乃さん後でチョークスリーパーよ」

志乃「えー」

瑞樹「一回食らった方がいいと思うわよ」


楓「ところでさっきから私たちががぶがぶ飲んでいるお酒について聞いてなかったわね」

友紀「そういえば!このビールも地ビール?」

志乃「そうよ。『タッチダウン』っていう八ヶ岳地ビールね」

友紀「麦の香りがガツンってくる感じ!それでいて後味がフルーティでおいしー」

早苗「キ〇ン一番搾りでも飲むようにがぶがぶ飲んでいたけど、コレそれなりに重いビールよね」

志乃「ちなみにタッチダウンはそのキリ〇一番搾りを作った人が造ったビールよ」

早苗「ええ!そうなの!?」

志乃「山梨はワインが有名だけれど水がいいから色んなお酒が造られているのよ」

志乃「有名所だとサ〇トリーの白州の白州醸造所があるわね。見学にいくとタダで白州が飲めるわ」

早苗「マジで!?」

瑞樹「味見と言いなさい」


楓「この日本酒は?」

志乃「谷櫻酒造の『谷桜』ね。山梨といえば『七賢』を推す人が多いけれど、これもすっきりした味でおいしいわよ」

楓「飲みやすいのですいすいいっちゃいますね」くいっ

瑞樹「さて、本命のワインだけれど…」

早苗「一升瓶のワインって…」

志乃「山梨では普通よ?きちんとした瓶に入っているワインは観光客向けって感じがするじゃない」

瑞樹「そうかもしれないけれど…おいしいの?」

志乃「もちろんよ。今日のは蒼龍葡萄酒の『蒼龍契約ワイン』よ」

瑞樹「ラベルがない…」

志乃「まさにワイン製造関係者にしか出回っていなかったワインよ。今では通販でも買えるわ」

瑞樹「辛めだけれどブドウの味がしっかりするワインね!おいしいわ」くいっ

志乃「観光客には高く少ない不味いワインを売って自分たちは安くて多いおいしいワインを飲むのが甲州商人よ」

早苗「まじ?」

幸子「さらっと嘘を教えないでくださいよ、志乃さん」ことこと

瑞樹「あら?出来たの?」

美優「幸子ちゃん本当に料理の手際がいいですね。ほとんどやることがありませんでした」

幸子「フフーン!まあボクはカワイイだけじゃありませんから当然ですね!」

友紀「お!おいしそうなお鍋!」

菜々「お皿とか用意しますからちょっと待ってくださいねー」かちゃかちゃ

早苗「山梨でお鍋と言えば!」

幸子「そうです!ほうとうです!!」バーン

ぐつぐつ…

早苗「おおー!うまそう!」

瑞樹「あれ?でもほうとうの麺なんてあったかしら?」

幸子「フフーン!このほうとうは正確にはみみほうとうと呼ばれるやつですね!小麦を水で練って伸ばして切っただけです!」

菜々「菜々たちでやりましたよ☆」

幸子「作り方は味噌、だしの元を溶かしてあり合わせの野菜とほうとうを煮込むだけ!簡単ですよ!」

美優「今回はかぼちゃがあったのでかぼちゃほうとうですね」

幸子「かぼちゃを入れるときは溶けやすいように薄切りでいれるといいですよ。あとはネギ、サトイモ、鶏肉が入ってますよ」


早苗「じゃあさっそく頂きまーす!」ぱくっ

早苗「おおう!ねっとりとしたほうとうとかぼちゃの甘さに濃い味噌の味がグッとくる!」

美優「一歩間違えば物凄い濃い味になりかねないですが絶妙なバランスでおいしいですね」

楓「このほうとうはほうっとうっとりする味ですね、ふふっ」

友紀「このワンタンみたいなほうとうも美味しいね!分厚くて食べごたえがあるし!」

菜々「お酒のシメにいい感じですね!」

瑞樹「……」

幸子「どうしたのですか。瑞樹さん?」


瑞樹「いえ、この前山梨にロケがあってその時にお店でほうとうを食べたのだけれど――」ずずっ

瑞樹「うん!やっぱりこっちのほうが断然おいしいじゃない!あの時食べたほうとうはなんだか味気なかったわ」

志乃「ああ、それは観光客用ほうとうね」

瑞樹「観光客用?」

幸子「ほうとうはいわゆる家庭料理ですから、ほうとう麺らしきものが入っていればなんでもほうとうなんです!」

志乃「私の家ではかぼちゃは入ってなかったわね。イモをごろごろ煮たイモぼうとうだったわ」

幸子「味噌を使わなければいけないなんて決まりもありませんからね!カレー粉を入れてカレーほうとうや、チゲ鍋の素を入れてチゲぼうとうなんかもありますよ」

志乃「でもお店で出すほうとうは具や麺がぐずぐずに煮溶けるまで煮込むことは難しいわ。見た目もよくないし」

幸子「観光客が入るような某県内チェーンのほうとうは野菜の味も溶け込んでいないし高いので県民は誰もいきませんね」

志乃「だからほうとうはお土産屋やスーパーで売っているほうとうを買って自分で具がくたくたになるまで煮て食べるのが正解よ」

幸子「県内スーパーにはほうとう麺だけで何種類も売っていますよ!」

瑞樹「わかったわ」

志乃「つまりまとめると観光客には高くてマズいほうとうを売って自分たちは安くてうまいほうとうを食べるのが甲州商人ね」

幸子「……それについてはあまり否定できませんね」

早苗「あはは…」


美優「それにしても助かりましたよ幸子ちゃん」

瑞樹「本当ね。志乃さんがこんなぐうたら酒飲みじゃなければよかったのに」

友紀「ほんとだねー」

志乃「……そんなにいわれるよ腹が立つわね」

志乃「いいわ。最後に私が一品出してあげるわよ」

早苗「え!本当!!」

志乃「ええ、確かこの辺に」がさごそ

志乃「あっあったわ。はいどうぞ」

瑞樹「…これって」

美優「…これって」

友紀「…これって」

早苗「…これって」

菜々「…これって」

楓「……これって」


志乃「よっちゃんいかよ」ばーん!

幸子「ああ……」

※よっちゃんいかは山梨のよっちゃん食品工業でつくられているのれす~


おわり!

吉田のうどんとシャトレーゼをくれ


志乃さん誕生日おめでとうございました(過去形)

山梨出身コンビのお話が増えるといいなと思って書いたステマSSです

あと地味に東京のお隣で中央 線も通っている山梨県もどうぞよろしくお願いいたします

>>18
吉田のうどんは本当においしいのでぜひ皆さん食べてほしいですね
甲府市内にもおいしいお店があるのでお越しの際には是非どうぞ

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