鷹富士茄子「クリスマスと言えば」 (16)

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茄子「みなさん!クリスマスですよ、クリスマスっ!」


朋「そうね、今日は確かに12月24日だわ」


美優「年に一度の、大きなイベント…残念ですが、雪は降りませんでしたね」


茄子「雪、降らせましょうか?」


朋「帰れなくなるから遠慮しておくわ」


美優「交通機関が麻痺したら、私が送りますよ?」


朋「それはそうとさ…ねぇ、今日はクリスマスなのよ?」


茄子「そうですね、年に一度の大きなイベントですっ!」


美優「残念ですが、雪は降りませんでしたね」


朋「会話ループしてるわよ」



朋「…なんで事務所でカレー食べてるの?」


茄子「クリスマスですからっ!」


朋「クリスマスって…いったい…」


美優「躊躇わない事です…青春ね」


朋「茄子さんから、割と大真面目に困っているから事務所に来て下さいって連絡来たから飛んで来たのに…」


美優「ついに、朋さんも飛行可能になったんですか?」


朋「違うわよ!」


茄子「恥ずかしながら、気合を入れ過ぎてカレーを作りすぎてしまったので…」


朋「そもそもなんでカレー作ったのよ…」


茄子「実は、唐突にカレーが食べたくなってしまって…」


朋「凄く普通過ぎる理由だったわ」


美優「ありますよね…寒い日の夕方、道を歩いていると空気に乗って食卓の匂い…その中でも一際強い、カレーの匂い」


茄子「急いで食材を買って、事務所に来たんです」


朋「なんで事務所なのよ。それとクリスマスの夜にカレー作ってる家庭もあるのね」


茄子「残り物を温めていただけかもしれませんね」


朋「で、結果この大きな鍋並々にカレーを作ったはいいけど消化しきれない、と」


茄子「明日からしばらく事務所には顔を出せませんし、今晩中に食べないと傷んでしまいますから」


朋「仕方ないわね、いけるだけ食べてあげるわ」


茄子「ありがとうございますっ!」





朋「いいわねー、掘りごたつであったまりながらカレーなんて」


美優「何か、テレビでもつけましょうか」


茄子「なら、借りて来たDVD観ませんか?」


朋「いいわね、何々?サメ?」


茄子「違いますよ、私の出演した心温まるハートフルストーリーです」


美優「なにかしら…期待が高まります」


朋「なんてタイトルなの?」


茄子「世にも奇妙な」


朋「アウト、別のにしよ?」



茄子「では、普通に私の出演したドラマでも流しておきますね」


朋「それも世にも奇怪な物語よね?」


美優「あったかい…事務所に掘りごたつなんて、素晴らしいですね」


朋「そう言えば、ツッコむの忘れてたけどなんで事務所に掘りごたつ?」


茄子「なんとなく応募してみた懸賞でスコップ&掘りごたつが当たったので」


朋「どんな企画なのよ…」


茄子「先ほど自動販売機でお茶を買ったら当たりで二本目が出たので、後ろに並んでいた肇ちゃんにあげたら掘ってくれたんですよっ!」


朋「だからお昼まではなかったのね」


美優「こうなると、みかんとお煎餅が欲しくなりますね」




茄子「あ、でしたらでしたらっ!食後のデザートに栗羊羹は如何でしょうか?」


朋「なんでまたクリスマスに栗羊羹?」


茄子「さぁ?」


美優「では、お茶を淹れてきますので…朋さん、カレー残りをお願いします」


朋「まってまだ鍋半分も消化してないから」


茄子「仕方ありませんね、後で文香さんのところへ持って行きましょう」


朋「最初からそれで良かったんじゃない?」


茄子「クリスマスを朋さんと美優さんと一緒に過ごしたかったんですよっ!」


朋「…あ、ありがと。そう言われると何も言い返せないわね」


茄子「決して思い付かなかったからとかじゃないんだから!勘違いしないで下さいねっ!」


美優「ツンデレ、と言うものでしょうか…?でしたら、私も…」


朋「取り敢えず先に栗羊羹切らない?」


茄子「ロウソクは何本さしますか?」


朋「誕生日じゃないんだし、そもそもケーキじゃないんだし要らないんじゃないかしら?」


朋「クリスマスになんであたしはカレー食べて栗羊羹切ってるのかしら…」


美優「もしかして…他に何か予定が…?」


茄子「すみません…私達なんかとクリパは嫌でしたか?」


朋「なんで急に卑屈になるのよ…あとクリパって栗羊羹パーティ?」


美優「お茶、はいりました」


茄子「爪楊枝も準備万端ですっ!」


朋「クリスマスの歌でも歌う?」


茄子「では、snow wingsを歌いましょうか」


美優「ミュージック、スタート…っ!」



美優「…ふぅ…はぁ…」


朋「はぁ…なんで途中から全力で踊ってたのかしら?ちょっと疲れたわ」


茄子「やるからには全力ですっ!それに、ノッてくれてありがとうございます」


朋「初めて踊ったけどなんとかなるものね」


美優「まさか…フルコーラスなんて…ふぅ」


茄子「では、そろそろ栗羊羹を食べましょうか!」


朋「そうね、そろそろ落ち着いてクリスマス気分を味わいたいわ」


みんな「いただきまーす」


美優「おいしい…どこのお店のなのかしら…?」


茄子「なんと、私の手作りです!」


朋「へー、凄いわね。ちくわぶも羊羹も作れるなんて」


茄子「餡子を型に流して寒天で固めるだけですから。ちなみに、寒天の量によって固さが変わるので練り羊羹や水羊羹になるんですよ」


朋「ものしりね、まるで羊羹博士だわ」


茄子「羊羹博士になるのが夢でしたからっ!」


美優「ちくわぶはどうなのですか?」


茄子「それは別の専門家に任せます」


茄子「あっ、もうすぐ終電終わりですけど大丈夫ですか?」


朋「えっ、うそっ?!」


美優「あら…もう、23時半まわっていますね…」


朋「えー、これ事務所でお泊まりコース?」


茄子「仕方ありません、知り合いのサンタの方にタクシーお願い出来ないか頼んでみます」


朋「多分それあたしも知ってる」


茄子「…配送業が忙し過ぎて厳しそうです」


美優「では…朋さん、プレゼントにタクシーを頼んでみたらどうでしょう?」


朋「斬新過ぎるでしょ…いやサンタのソリをタクシー代わりにするのもアレだけど」


茄子「ここに靴下と短冊がありますので是非使って下さい」


朋「えっと…タクシーを下さい、っと。靴下の中にいれ、て…」


ドンッ!


朋「…タクシーね」


美優「降ってきましたね…」


茄子「流石サンタさん、迅速な対応ですね」


朋「タクシー、運転手いないしそもそも室内なんだけど」


茄子「今晩は諦めて、一緒に栗羊羹つつきましょうか」


美優「着替え、どうしましょうか…」


茄子「サンタさんに頼んでみては?」


朋「二回目もいけるものなのかしら?」


茄子「やってみなければ分かりませんよっ!」


朋「ええと?三人分の着替え、でいいかしら?」


茄子「それでお願いします」



朋「ええと、三人分の…」


美優「茄子さん、私もその…栗羊羹を作ってみたいのですが」


茄子「でしたら、今度私の家で一緒にやりましょう!」


朋「…栗羊羹、っと。あっ」


茄子「では、それを靴下の中に入れましょう!」


朋「待って待って!間違えてるから!」


ドンッ!


美優「…栗羊羹が3棹も…」


朋「仏の顔も三度まで、って手紙が添えられてるわ…」


茄子「朝まで一緒にクリパですねっ!」


朋「いいわ!もう栗羊羹博士にでもなってやるわよ!」


羊羹、大好きです
作った事はありませんが
お付き合い、ありがとうございました
よいクリスマスを

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