善子「何度言ったらわかるの！私はヨハネよ！ヨハネ！」

梨子「えっ…でも普段からそんな呼ばれ方したら恥ずかしくない？」

善子「恥ずかしいわけないでしょ！これがヨハネの本当の名前なんだから！」

梨子「わ、わかったわよ…ヨハネちゃん」

善子「よろしいっ！！」

花丸「善子ちゃーん！おはようずらー」

善子「私はヨハネよ！」

花丸「えーでも善子ちゃんは善子ちゃんだよー」

善子「もーう！ずら丸は物分りが悪い！」

花丸「オラだってずら丸じゃなくて花丸ずら！」

梨子「ふふっ、二人とも元気ね」

曜「おはヨーシコー！」

善子「だから私はヨハネ！」

曜「おっ！元気だねー！善子ちゃん！」ｸﾞｲｸﾞｲ

善子「ヨーハーネー！！」ｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞ

梨子「曜ちゃん、ヨハネちゃんが困ってる」

善子「梨子…」ｼﾞｰﾝ

梨子「どっ、どうしたの？」

善子「あなただけよ！私のことをヨハネって呼んでくれるのは…」ｳﾙｳﾙ

梨子「そ、そう…」

千歌「あれー？善子ちゃんどうしたの？泣いてるの？」

善子「だからヨハネだってば！！」

善子（やっぱり私のリトルデーモンにふさわしいのは梨子だけのようね…）ﾌﾝｯ

善子「梨子、お昼一緒に食べましょう」

梨子「う、うん…」



善子「梨子、この後時間があるなら少しお茶していかない？」

梨子「え？いいけど…」



善子「梨子、明日の休みに映画に行かない？」

梨子「わかった」



曜「最近梨子ちゃん、善子ちゃんに懐かれてるよねー」

千歌「後輩に慕われるなんて羨ましいなぁ」

梨子「私がヨハネって呼ぶからかしら」

千歌「単純だなぁ善子ちゃん」

曜「また善子って呼べば元にもどると思うよ」

梨子「そっか…でも私は善子ちゃんに慕われて悪い気しないし、別にこのままでいいかも」

千歌「ほうほう？」ﾆﾔﾆﾔ

曜「妬けますなぁ」ﾆﾔﾆﾔ

梨子「そういうのじゃないから」

善子「おはよう、梨子」

梨子「あ、おはようヨハネちゃん」

善子「聞いて、リトルデーモン1号である梨子のために特別にあだ名を考えてきたわ」

梨子「あだ名…？」

善子「そう！その名も『リリー』よ」

梨子「り、リリー？」

善子「そう、リトルデーモン梨子！略してリリーよ」

梨子「ええ…」

善子「てことでこれからあなたのことをリリーって呼ぶわ！」

善子「よろしくね、リリー」

梨子「う…うん…」

梨子（でも私のために一生懸命考えてきてくれたんだよね）

梨子（ちょっと嬉しいかも…）

善子「ねぇリリー、今度また映画行かない？」

梨子「うん、ヨハネちゃん」

千歌「ねぇねぇ、『リリー』って何？」

梨子「ああ、善子ちゃんがつけてくれたあだ名よ」

曜「へぇ、リリーかぁ」

千歌「いいなぁあだ名！私もリリーって呼ぼっかなぁ」

曜「あ、じゃあ私も！」

善子「だっ、駄目よ！！」

千歌「えー、なんでー」

善子「リリーって呼んでいいのは堕天使である私だけなんだから！」

千歌「ほうほう？」ﾆﾔﾆﾔ

曜「妬けますなぁ」ﾆﾔﾆﾔ

善子「もうっ！別にいいでしょっ！リリーは私だけのリトルデーモンなのっ！」

梨子（わっ、私だけのって…）ﾄﾞｷｯ

【1年教室】

善子（明日はリリーと映画♪楽しみね♪）

花丸「善子ちゃん今日もご機嫌ずら」

善子「だから私はヨハ…」ﾊｯ

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

善子（そうだ…教室では津島善子として過ごさなきゃダメなんだった！）

善子「ふふっ♪今日も善子はご機嫌よ♪」

花丸（今更ごまかしても多分クラスの人にはもうバレバレずら）

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

梨子「ヨハネちゃーん！いるー？」

善子（リリー！？）

梨子「あの、すみません、ヨハネちゃんいますか？」

生徒B「えっ、ヨハネ…？」

善子「あああああーっ！待ってえええええ！！」

【屋上】

善子「ごめん！クラスの人の前ではヨハネ禁止なの！」

梨子「えっ、でも普段から呼ばれても恥ずかしくないって…」

善子「あのクラスでは津島善子として過ごしてるのよ！前にも話したでしょ！」

梨子「えぇー…」

善子「だからクラスの人の前では善子で、その他の時はヨハネで…」

梨子「わ、わかった…」



梨子「ねぇ、善子ちゃん」

善子「私はヨハネ！！」



梨子「あ、ヨハネちゃん」

善子「い、今は善子って呼んで！」


梨子「善子ちゃん」

善子「ヨハネ！！」


梨子「ヨハネちゃん」

善子「善子！！」


梨子「…」

梨子（あーもう、訳がわからなくなってきた…）ｽﾞｰﾝ

梨子（クラスの人以外も善子ちゃんの一部の知り合いには知られてないとかで配慮しなきゃいけないし…）

梨子（廊下とかで誰か他にその場にいるか確認しなきゃいけないし…）

梨子（うん、めちゃくちゃめんどくさいわ！！）

梨子（めんどくさい女と付き合ってる男の気持ちがわかった感じね！）

梨子（でもせっかく善子ちゃんが私を慕ってくれてるんだからへこたれないわよ！）

梨子（ファイトよ！私！）


善子「あっ、リリー！」

梨子「あっ…よ…」

梨子（えっと今は…どっちだ…この場ではNGだっけ、OKだっけ…えっと…えっと）ｸﾞﾙｸﾞﾙｸﾞﾙ

梨子「よ…よ…」

梨子「よっちゃん！」

善子「え」

梨子（なんか新しい名前創造しちゃったぁあああ！！）

梨子「ご、ごめん！今どっちを呼ぶべきかわからなくて…！」

善子「あ…うん…」

梨子「ごめんね！…えっと…よ…よ…」

善子「…ごめんなさい！！」

梨子「えっ？」

善子「リリーが私の呼び方で何回も戸惑ってるのことに気が付いたの！」

善子「リリーのことを何も考えずにこんなことに付き合わせちゃって…」

梨子「…」

善子「これからは、みんなと同じように善子でいいわ」

善子「こんな堕天使ごっこに付き合わせちゃって本当にごめん…」ｳﾙｯ

梨子「私はリリーって呼ばれて嬉しかったわよ？」

善子「えっ？」

梨子「私、あだ名で呼び合ったりするの、ちょっと憧れてたんだ」

梨子「東京にいた頃もあだ名で呼んだり呼ばれたりすることなかったし」

梨子「だから、気にしないで？これからもあだ名で呼び合えると嬉しいな」

善子「リリー…」ｳﾙｯ

梨子「これからもよろしくね、よっちゃん♪」

善子「えっ」

梨子「…あれ？」

善子「わ…」

善子「私はヨハネよーっ！！」

【数日後】

梨子「よっちゃん！今度の日曜なんだけど…」

善子「あ、リリー」

千歌「むむ…『よっちゃん』…？」

曜「ヨハネから改名したの？」

善子「してないわよっ！」

梨子「ヨハネを略してよっちゃんって呼ぶことにしたわ」

曜「なるほど…」

千歌「じゃあ私もこれからよっちゃんって呼ぶよ！」

曜「私も私も！」

善子「駄目！！」

千歌「また！？」

善子「リリーだけには特別に許してるの！他のリトルデーモンはヨハネと呼びなさいっ！」

千歌「ほうほう？梨子ちゃんだけねぇ」ﾆﾔﾆﾔ

曜「妬けますなぁ」ﾆﾔﾆﾔ

善子「だからニヤニヤするなぁーっ！！」

梨子「ふふっ」

善子「もう！…ほら、今度の日曜の予定を決めるわよ！リリー！」

梨子「うん、よっちゃん♪」


おしまい