凛「脚本家未央」 (39)

作中で出てくる話はこちらになります。

花売りの姉妹
花売りの姉妹 - SSまとめ速報
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ガチャ

未央「しぶりんできたよー!」

凛「出来たって何が?」

未央「ふっふっふ…未来のスーパー脚本家本田未央のデビュー作だよ!」

凛「脚本家?アイドルなんだから未央は演じる方でしょ。」

未央「甘い甘い!主演本田未央、脚本本田未央、ついでに監督演出まとめて本田未央だよ!」

凛「ふーん。」

未央「そしてしぶりんには特別にこの舞台に出演する権利を進呈するよ!」

凛「え?もう上演決まってるの?」

未央「未央ちゃんにかかれば余裕だよ!」

凛「すごい…!」

未央「プロデューサーに頼めば会場を押さえてもらうことくらい余裕だよ!」

凛「プロデューサーも納得したんだ。すごいね。」

未央「あ、今から話しに行くんだけどね。」

凛「押さえてないんじゃん。」

未央「まあまあ堅いこと言わない♪共演のしぶりんには先に台本を渡しとくね♪」

凛「はいはい。」

未央「ちゃんと表紙にサインしといてね♪」

凛「後でオークションに出すやつでしょそれ。」

未央「バレたかー。」

凛「そもそも上演しないんじゃ売れないでしょ。」

未央「そうだよねー。今からプロデューサーに見せてお願いしてくるよー。じゃあねしぶりん♪」

凛「うん。」

凛「未央が脚本、かあ…本当にやるかはともかく、せっかくだし読んでみようかな。」

凛「えーっと、タイトルは…『花売りの姉妹』?私だから花にしたのかな?」

数分後

凛「…………」

凛「く、暗い…。」

凛「え?なに?これ本当に未央が書いたの?」

凛「私の役も未央の役も救いがなさすぎる…」

凛「未央のことだから最後に無理矢理ひっくり返ってハッピーエンドになるのかと思ったのに…」

凛「うーん…」

ガチャ

P「凛、ちょっと時間あるか?」

凛「うん、こっちもちょっと話があるんだけど。」

P「あー、未央の話だろ?」

凛「うん。」

P「凛は…どう思う?」

凛「え?まあ未央と舞台なんて新鮮だしやってみたいけど。」

P「ああ、それも確認したかったんだが聞きたいのは脚本の中身だな。」

凛「あー…その、ちょっと言いにくいけど…あまりの暗さにびっくりしてる。」

P「だよなあ…まさか未央があんな話書くなんてな…」

凛「ちょっと意外だよね…」

P「ああ、いや待てよ…でも…そんな、まさかな…」

凛「どうしたの?」

P「…もしかしたら、俺たちは未央のことを誤解してたんじゃないのか?」

凛「誤解?」

P「明るくて元気だけど、その…けっこう溜め込むタイプだしな…」

凛「…あー、そうかも。」

P「思えば俺も凛も、卯月に比べて未央には雑な対応してなかったか?」

凛「うっ…」

P「あのおちゃらけた言動も、距離感を測りかねて苦し紛れに様子見で出してるだけ…だとしたら…?」

凛「…!」

P「あるいは傷ついてるのを悟られたくないから、とりあえずふざけて誤魔化してる、とか…?」

凛「…!!」

P「なのに、俺たち『はいはい未央の言う通りだねー』みたいに、雑に流してなかったか?」

凛「そ、それは…」

P「俺たちの前では明るく振る舞ってるけど、実は人知れず心に闇を抱えてたり…?」

凛「心に闇…!」

凛「プロデューサー!私、ちょっと未央と話してくる…!」

バンッ

未央「うおっ、しぶりんどうしたの?そんなあわてて。」

凛「ねえ未央!」

未央「え、なに?」

凛「なんかさ…!悩みとかない?私でよかったらいくらでも聞くから!」

未央「へっ?悩み?」

凛「そう!なんでもかまわないから…!」

未央「うーん、悩みかぁ………あっ」

凛「…!なに!」

未央「いや、明日夜まで仕事なんだけど見たい歌番組と映画かぶっちゃっててさー、どっち録画しよっかなーって

凛「そういうのじゃなくて!もっと大きな悩みとかないの?!」

未央「え、聞いてきてそれ?わりと真剣に悩んでるけど?!」

凛(…はっ!そうだった!こういうのがよくないんだ!)

凛「あっ…ご、ごめん。歌番組と映画だっけ?」

未央「え?あ、うん。」

凛「歌番組録画しなよ。」

未央「え?もしかして明日やる映画って面白くない?」

凛「そんなことない!すっごい面白いから!」

未央「えー?じゃあなんで

凛「だから今からDVD借りてきて見よ!一緒に見よ!」

未央「え?今から?」

凛「あ…いや、今からじゃなくてもいいけど。」

未央「…ううん!いいよどうせ暇だし♪」

レンタルビデオ屋

未央「あ、これだねー。」

凛「見つけるの早いね。」

未央「話題作だったし目立つとこにあったよ。」

凛「じゃあさっそく

未央「あっ!」

凛「どうかした?」

未央「ちょっと待ってて!」

凛「うん…?」

未央「ごめんごめーん♪これも一緒にお願い♪」

凛「ちょっ…!か、返してきてよ!」

未央「えー?なんでー?」

凛「やだよ…!」

未央「いーじゃんいーじゃん♪」

凛「自分のグラビアDVDなんか見たくないって!」

未央「えー?」

凛「未央だって自分の水着とか見たくないでしょ?!」

未央「しぶりんにだったらいくらでも見せていいよ…」キリッ

凛「そ、そういうのいいからっ…!」

未央「あー、やっぱり私の水着とか興味ないかー。うーむ、未央ちゃんはまだまだ精進が足りませんなあ…!」

凛「…!」

―傷ついてるのを悟られたくなくて誤魔化してるだけとか…

凛「そ、そんなことないっ!」

未央「…えっ?」

凛「水着の未央、すごく可愛いし、その…セクシーだと思う…!」

未央「え…あ、そ、そう…?」

凛「だからそんなこと言わなくてもいい!未央は十分魅力的だから!」

未央「え、えっと…しぶりん…?」

凛「ごめんね、さっきはひどいこと言ったよね…」ぎゅっ

未央「あ、あの…渋谷さん…?」

凛「なに?」

未央「ちょっとだけ…その…周りを見ていただけたらなあ…なんて…」カァァァッ

凛「え?」クルッ

アレシブリントチャンミオジャネ

スゲーノキイチャッタナー

キマシタワー

凛「あっ…」カァァァッ

未央「と、とりあえず映画は今度にして…今日は帰ろっか…ははは…///」

凛「そ、そうだね…///」

数日後

未央「しぶりんおつかれ!」

凛「おつかれ。舞台の稽古ってこんなに疲れるんだね。」

未央「でしょ?私も初めて稽古したときびっくりしたもんなあ。」

凛「あ、そう言えば台本で聞きたいところがあったんだけど時間ある?」

未央「うん。今日はもう予定ないし大丈夫だよー。しぶりんは?」

凛「うん。私もこの後はオフだよ。」

未央「じゃあさ!お茶しようよ♪この前テレビで見たナントカってお店行きたいんだ♪」

凛「ナントカじゃ分かんないよ。場所は分かるの?」

未央「うむ!ホンダの純正ナビにお任せあれ!」

未央「着いたよー!」

凛「へー、スイーツのお店?」

未央「うん!たまには女子っぽいとこ来ないとね♪」

凛「あんまりこういうお店来ないしちょっと新鮮だね。」

未央「さあ食べ放題だし食べまくるよ!」

凛「女子っぽくない…いや、女子っぽいけど。」

未央「このお店はケーキが一口サイズなんだよねー。」

凛「だからってそんなにたくさん取ってこなくても…」

未央「甘いものは別腹なのだよ♪」

凛「確かに言うけど。」

未央「ほら、あーん。」

凛「え?」

未央「あーん。」

凛「いや、自分のあるし。」パクッ

未央「えー?」

凛「ほら、時間決まってるんだし早く食べなよ。」パクッ

未央「ちぇー」モグモグ

未央「しぶりんが食べてるの美味しそう!」

凛「うん美味しいよ。」

未央「一口ちょうだい♪」

凛「うん、いいよ。」

未央「あーん」ジーッ

凛「…好きなだけ持っていきなよ。」

未央「しぶりんにあーんしてほしいな♪」

凛「…いらないなら私が食べるよ。」

未央「むぅ~、今日のしぶりんはガードが堅いなあ。」パクッ

………

凛「そろそろ時間だね…ってそんなにたくさん取ってきて食べきれるの未央?」

未央「だめかもしんない…!」

凛「えっ?どうすんの…?」

未央「と、いうことでこうしちゃおう♪あーん♪」

凛「結局それ?」

未央「大丈夫♪ちゃんとしぶりんが美味しいって言ってたのだけ選んできたから♪」

凛(確かに全部私が美味しいって言ってた気がする…)

凛「…しょうがないなあ。」アーン

未央「おおっ!未央ちゃんの愛が届いたね!」

凛「は、早くしてよ恥ずかしいんだから…!」

未央「はいはい、あーん♪」

凛「あ、あーん…///」パクッ

未央「ふふっ、美味しい?」

凛「お、美味しいけど…うぅ…」

凛「残りは普通に食べて

未央「やーだー」

凛「え?」

未央「しぶりんからのお返しがほしーな♪」

凛「は、はぁっ?!」

未央「あーんしてくれたらそれでいいから♪」

凛「あーもう!お、お返し!はいっ!あーんして!」

未央「おおっ!ついにしぶりんがデレた!」

凛「ほら!あーん!」

未央「あーんっ♪」パクッ

未央「ほいひぃ~♪」

凛「これで満足?」

未央「うん♪お腹一杯♪ごちそうさま♪」

凛「え?まだ残ってるけど食べないの?」

未央「違う違う、しぶりんのいろんな顔でお腹一杯って意味♪」

凛「え?」

未央「笑った顔も照れた顔もたくさんありがとね♪ごちそうさま♪」

凛「う、うぅ…///」

………

店員「では食べ放題コース2名様で…」

未央「あっ、まだこのキャンペーンってやってますよね?」スッ

店員「はい♪」

未央「しぶりーん、こっちこっち♪」

凛「ケータイのクーポンでも使うの?」

未央「あっ、こっち来るだけでいいよー。」

凛「??いいけど…?」スッ

チュッ

凛「み、みみみ未央?!///」

未央「これでオッケーですよね?」

店員「はい♪食べ放題コース1割引きになります♪」

未央「ほっぺにキスしたら割引きになるキャンペーンなんだよ♪…しぶりーん?」

凛「そ、そういうのは先に言って…///」

未央「先に言うと嫌がるでしょ?」

凛「嫌とかじゃなくて心の準備が…」

未央「じゃ、次はしぶりんの番だよ?」

凛「え?」

未央「しぶりんちゅーしてないでしょ?安くなんないよ?」

凛「う、嘘?!」

未央「ほら、準備できたでしょ?」

凛「え、ちょっと待って

未央「でもしぶりん恥ずかしがり屋だからやんないかー。」

凛「だって急に言われても…!」

未央「あー、やっぱり無理かー。お会計やっちゃってください。嫌われちゃったみたいなんでーあははー」

凛(ち、違うっ!別に嫌ってなんか…!)

未央「じゃあとりあえず私がまとめて払うからあとで半分

チュッ

未央「…えっ?」

凛「こ、これで私も割引ですよねっ!」

未央「しぶりん…?」

凛「べ、別に未央のこと嫌ってなんかないから!」

未央「しぶりん…!」

店員「あの…どちらか一回でお二人とも割引になりますが…」

未央「えっ」

凛「えっ」

数日後

未央「ねえしぶりん?」

凛「なに?」

未央「しぶりん最近何かあった?」

凛「え?」

未央「だってやけに私に優しいし、なんかこっちがびっくりするくらい大胆なことするし。」

凛「そ、そうかな?」

未央「こう、未央ちゃんは心配なわけですよ、愛しのしぶりんが何か悩みを抱えてたりしてないかなあ、と。」

凛「な、ない!ないない!」

未央「そう?そうやって誰にも相談しないで、人知れず心に闇を抱えてしまったりしてるのではないかと!未央ちゃんは心配なのだよ!」

凛「!!」

凛「そ、それを言うなら未央こそ!」

未央「え?」

凛「未央こそなんか悩んでないの?!」

未央「え?」

凛「だ、だって!未央があんな話書くなんて!」

未央「あんな話?」

凛「未央が書いた脚本のこと!未央が暗い話書くなんて思わなかったから…」

未央「あー、あれ?」

凛「そう!」

未央「あれはねー、しぶりんとイチャイチャしたかっただけ。」

凛「…はぁ?」

未央「寒い設定にしたら暖め合うために抱きつけるでしょ?」

凛「…うん。」

未央「貧乏な設定にしたら布団一枚で一緒に寝てることにできるでしょ?」

凛「…うん。」

未央「しぶりんがお姉ちゃんなら妹の私を甘やかしてくれるでしょ?」

凛「…うん。」

未央「それだけ。」

凛「じゃあさ!」

未央「んー?」

凛「なんで最後死んじゃうの?最後に誰か助けてくれるとかでもいいじゃん!」

未央「最後に天使ウヅキエルが出てきてぜーんぶ解決するお話にしようと思ったんだけど、しまむーのスケジュールが全然押さえらんなくてさー。」

凛「えっ?」

未央「まあ、あと、書いてる頃にたまたまマッチ売りの少女読んでてそれに影響されたってのもあるよねー。」

凛「本当に悩んでるとか思い詰めてるとかないんだよね?」

未央「ないない。」

凛「心に闇を抱えてるとか…」

未央「はははっ!私が心に闇?ないない!そんなタイプじゃないって!」

凛「でも、いつもニコニコしてるし、普段あんまり泣いたり怒ったりしてないから、意外と溜め込んでるんじゃないかって…」

未央「大丈夫大丈夫!ちゃんとみんなに癒してもらってるから心配しないでよ!」

凛「だったらいいけど…」

未央「そーれーに♪」

凛「?」

未央「こうやって私のこと心配してくれる人がいるでしょ?闇抱える前になんとかしてくれるよね♪」ぎゅっ

終わりです。
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