理樹「西園さんがデジカメを買ったらしい」 (25)

注意事項

・リトバスのSSです
・途中安価挟む予定
・更新は不定期

以上です。次から始まります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481638655

土曜・夕方

美魚と葉留佳の部屋―――

美魚「ただいまです」

葉留佳「おっかえりー美魚ちん!」

美魚「相変わらず元気ですね、三枝さん」

葉留佳「そりゃーそれがあたしのアイデンティティですから」

美魚「………」ストン

葉留佳「無視!?美魚ちん無視なの!?」

美魚「私は今から少々取り込みますので、お静かにお願いします」

葉留佳「取り込む?どうかしたの?」

美魚「………これです」ゴソゴソ スッ

葉留佳「そ……それはっ……!?」

美魚「別に引っ張る必要性はありませんよね。デジタルカメラです」

葉留佳「美魚ちん相変わらず毒舌っ!?って、デジカメ?」

美魚「はい」

葉留佳「なんでまたそんなものを買って来たの?本屋さんに行ったんじゃなかったの?」

美魚「実は、話すと長くなるのですが……」

~回想~

美魚「……思ったより本にお金を使わなかったですね……」

美魚「まぁ、無駄遣いをしなくてよかったと考える事にしましょう」

美魚「………あら、電気屋さんが特売?デジカメがお買い得……」

美魚「………」

~回想終わり~

美魚「と、言う事がありまして……」

葉留佳「みじかっ!!長くなるんじゃなかったの美魚っち!?」

美魚「私の中では葛藤と苦悶に満ちていたんです」

葉留佳「葛藤と苦悶ねぇ」

葉留佳「で、それは何に使うつもりなの?」

美魚「特に使い道は考えていません。いわゆる衝動買い、という奴ですね」

葉留佳「美魚ちんが衝動買いねえ」

美魚「他意はありませんよ?」

葉留佳「む。何やら怪しげな雰囲気」

美魚「とにかく、静かにお願いしますね」

葉留佳「今からいじり方を勉強するの?」

美魚「そういうことです」

葉留佳「まぁ美魚ちんならすぐに使いこなせるようになると思うけどね」

美魚「………」

翌日―――

葉留佳「ふわぁぁ……おはよー美魚ちん」

美魚「……………」

葉留佳「美魚ちん?」

美魚「……あ、おはようございます」

葉留佳「こんな朝早くからデジカメいじってるなんて、よっぽど気に入ったんですネ?」

美魚「え、えぇ、まぁ」

葉留佳「そろそろ全機能把握なんかしちゃってたり?試しに一枚撮ってみてよ!」キラッ☆彡

美魚「………」

葉留佳「……美魚ちん?」

美魚「……Zzz」カクン

葉留佳「み、みおちーーーーーーん!!!」

美魚「……すみません」

葉留佳「い、いやまぁ、とりあえず無事で何よりですヨ、やはは」

美魚「昨夜からずっと睨めっこしていたのですが、どうにも使い方が……」

葉留佳「本当に機械の操作は苦手なんだねぇ美魚ちんは」

美魚「もう少しだけ勉強して、仮眠を取る事にします」

葉留佳「今日が日曜でよかったデスね」

美魚「昨日から引き続きで申し訳ないのですが、今日もお静かにお願いします」

葉留佳「それは別に構わないけど、夕方の野球には出て来るんだよね?」

美魚「ええ、それはもちろんです」

葉留佳「それじゃ、美魚ちんの邪魔しちゃ悪いし、あたしはちょっと出掛けて来るね」

美魚「申し訳ありません、なんだか追い出すような形になってしまって」

葉留佳「いやいやそんなメッソーもないですヨ。いじれるようになったら一枚写真撮ってよね!んじゃーね!」ガチャ タッタッタ……

美魚「………ふぅ。それでは、もう少しだけ勉強することにしましょう……」

夕方―――

美魚「……ん」ムク

美魚「……もうこんな時間。グラウンドに行かないと……」ノソノソ

グラウンド―――

恭介「西園のやつ、遅いな」

葉留佳「あー、もしかしたら美魚ちんは来ないかもですよ、恭介さん」

理樹「西園さんが?何かあったの、葉留佳さん?」

葉留佳「いやー実はカクカクシカジカでして」

真人「何?昨日、西園がデジカメを買って来て、昨夜から徹夜でいじり方を勉強してたせいで寝不足だと?」

葉留佳「まあ単刀直入に言うとそういうことですネ」

クド「大丈夫なのでしょうか?」

来ヶ谷「確か西園くんは機械系が苦手ではなかったか?何故急にデジタルカメラなどを?」

理樹「携帯電話は苦手って言ってたけど、それに限った話じゃなかったんだね……まぁ、当然と言えば当然か」

鈴「寝不足で寝てるんなら無理して起こすのはかわいそーじゃないか?」

小毬「私も鈴ちゃんに同意。寝てるんならそっとしておいてあげようよ」

恭介「そうだな……全員が揃っていないと出来ないというわけでもないし、そっとしておいてやろう」

美魚「仲間外れにしてもらっては困ります」

葉留佳「美魚ちん!」

小毬「美魚ちゃん、大丈夫なの?」

美魚「ええ、心配をお掛けしました。仮眠も取ったので、もう大丈夫です」

恭介「あまり無理はするんじゃないぞ?」

美魚「ありがとうございます。本当にきつくなったら帰らせてもらいます」

来ヶ谷「ほう、その首から下げてるのが件のデジタルカメラか」

美魚「はい」

クド「扱い方は覚えたんですか?」

美魚「とりあえず、写真を撮るくらいは出来るようになりました」

葉留佳「ホント!?ねえねえ、じゃあ一枚撮ってよ!」

美魚「ええ、いいですよ」

葉留佳「ブイッ!!」

美魚「ええと、確かここに合わせて……」

パシャッ

葉留佳「おおっ!?シャッター音!撮れた?」

美魚「はい、この通りです」スッ

葉留佳「おぉぉぉーー!撮れてるー!」

恭介「よし、ならこれから西園には練習風景の撮影もお願いする事にしよう」

美魚「はい、任せてください」

恭介「よし、それじゃ練習開始だ、お前ら!」

全員「おーっ!!」

美魚「ふむふむ、ここのつまみを調整することで微妙なピント合わせが出来るんですね」

美魚「それで、ここを押すとフラッシュ機能を切る事が出来る、と」

美魚「練習風景を……と」

カキーーーン

パシャッ

美魚「なるほど、分かって来たような気がします」

鈴「うにゃっ!」

理樹「うわっ!?」ヒラリ ドサッ

鈴「あっ!?」

恭介「理樹!!」

謙吾「理樹、大丈夫か!?」

理樹「いてて……うん、大丈夫だよ。ちょっと手のひらをすりむいちゃったけど」

恭介「見せてみろ、理樹」グイッ

理樹「ちょっ、恭介!?」

美魚「!!! これはシャッターチャンス!?」


科学部部室―――

マッド鈴木「む!?」ピピッ

部員「どうかしましたか、部長!?」

マッド鈴木「どこからかNYPが検出された!それも膨大な量だ!!」

部員「本当ですか!?」

恭介「西園!消毒液と絆創膏はあるか!?」

美魚「え、あ、はい!」タッタッタッ

鈴「す、すまない、理樹……」ショボン

理樹「大丈夫だってば、鈴。球は当たらなかったしさ」

鈴「でも……」

恭介「理樹の言うとおりだぞ、鈴。球がすっぽ抜けるなんて誰にでもあることだ。あまり自分を追い詰めるな」

鈴「……それでも、ごめん」

理樹「あはは……うん、大丈夫だから」

恭介「少し沁みるぞ」トントン

理樹「っつ……」

美魚(写真を撮らなければ写真を撮らなければ写真を撮らなければ)アタフタ

恭介「よし、これで後は絆創膏を貼って……っと」ペタ

理樹「ありがとう、恭介」

恭介「それこそ気にするな、理樹」

美魚(あ、あ、あぁ………直枝さんの治療が終わってしまいました……)ガックリ

科学部部室―――

マッド鈴木「……む、急激にNYP検出値が落ちて行く」

部員「原因は?」

マッド鈴木「不明だ……むぅ」

部員「本当になんだかよくわからないパワーですね……」

マッド鈴木「引き続き研究する必要があるな。絶対に物にしてみせる!!」

部員「どこまでもついて行きます、部長!!」

葉留佳「美魚ちん?なんだかすごい落ち込んでない?」

美魚「いえ……なんでもありません」

クド「何でもない風には見えないのですが……」

美魚「絶好のシャッターチャンスを逃したというだけの話です……次こそは……!」ゴゴゴゴ

葉留佳「お、おお……美魚ちんの背後にメラメラと燃える炎が見える……気がする」

来ヶ谷「……なるほど、そういうことか」ニヤリ

夜、葉留佳と美魚の部屋―――

美魚「………」ポチポチピッピッポチポチ

葉留佳「ねえ美魚ちん」

美魚「…………」パシャッ カチカチカチッ ピッピッ

葉留佳「美魚ちんってば」

美魚「……………」ピッ ウィーーーン カチカチッ

葉留佳「おーーーーい美魚ちんさんやーーーーーい」

美魚「うるさいです」

葉留佳「開口一番それ!?」

美魚「静かにしていただけませんか」

葉留佳「だってー暇なんだもーん」

美魚「このカメラを使いこなすことが出来るようになったら、三枝さんが撮って欲しい写真も撮ってあげますから、だから静かにしてください」

葉留佳「ホホウ?それは本当ですかな美魚さんや?」

美魚「ええ、約束しましょう」

来ヶ谷「では、わたしが望む一枚もお願いしたいのだが」

葉留佳「あ、姐御っ!?」

美魚「来ヶ谷さん、いらしてたんですか」

来ヶ谷「ノックをしても返事はなかったが中から話し声が聞こえたのでな、お邪魔させてもらった」

葉留佳「んでこっそり部屋に入って来てちゃっかり美魚ちんにお願いごととは、抜け目ないですナー」

来ヶ谷「まあまあいいじゃないか。こういうものは楽しく使ってなんぼだろう?」

美魚「なるほど、一理ありますね」

来ヶ谷「さて、ここにノートPCがある」

葉留佳「ノパソ持参!?一体何が始まると言うのかっ!」

美魚「それをどうするというのですか?」

来ヶ谷「まあ慌てるな。西園くん、デジカメを買った時に一緒に用途のわからないコードが入っていなかったか?」

美魚「そういえばあったような……充電コードにも繋がらなく、用途不明なので箱にしまってあります」ゴソゴソ

美魚「あった、これですね」

来ヶ谷「うむ。これは簡単に言えばパソコンとカメラを繋ぐコードだ。そのカメラで撮った写真をパソコンに取り込むことが出来るようになる」

美魚「? 写真をパソコンに取り込んで、どうするんです?」

来ヶ谷「ふふ、まあ少し待つがいい。試しに今日の野球風景の写真を取り込もう」

葉留佳「姐御、何かを企んでますねこりゃ……」

来ヶ谷「………よし、こんなところか。さあ、西園くん、見てみるがいい」

美魚「一体何を………っ!!?」

葉留佳「み、美魚ちん?鼻を押さえてどうしたんです?」

美魚「そ、そんな……っ、こんなことが……っ!!」

来ヶ谷「どうだ?キミが買ってきたそのカメラには、無限の可能性があると思わないか?」

美魚「来ヶ谷さん……一生ついていきますっ!」ガシッ

来ヶ谷「はっはっは。交渉成立だな」



葉留佳「どれどれー……何これ?恭介さんと理樹くんが見つめあってるだけじゃん。周りはキラキラのエフェクトを入れて加工してあるみたいだけど」

葉留佳「美魚ちんの考えてることは分からぬ……」

続くっ!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom