のようなもの (23)


(空き巣被害者宅)

鑑識「どうやら、犯人は裏口を破って侵入したようですね」

刑事「そうみたいだな」


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鑑識「恐らく、バールのようなものを使って裏口を…」

刑事「ああ。しかし…」

鑑識「ん?どうされました?」


刑事「前から思ってたんだが、バールのようなものって何だ」

刑事「バールでいいじゃないか。現にこうやって裏口を破ってるんだし」

鑑識「ああ、それはですね」


鑑識「犯人を実際捕まえて、何を使って裏口を破ったかハッキリするまで
   断言できないわけですよ」

刑事「面倒だな」

鑑識「もし、仮に犯人が使ったのがバールではなくて金槌の釘抜きだったら
   大変なことになります」

刑事「大して違わないじゃないか」


鑑識「いえいえ、これが元で犯人を特定しそこなったら大変ですよ?例えば…」

刑事「わかったわかった。それで、犯人は進入した後どうしたんだ?」

鑑識「ああ、それでは中へどうぞ」


(室内)

刑事「何か、色々飲み食いした跡があるな」

鑑識「そうですね。犯人は誰も居なくて安心したのか、冷蔵庫をあさって」

鑑識「ビールのようなもので一杯やった形跡がありますね」

刑事「ビールのようなものって何だ」


刑事「缶がころがってるじゃないか。ビールでいいじゃないかビールで」

鑑識「いえいえ、缶がころがってるからと言ってビールを飲んだとは限りませんよ?」

鑑識「中身を捨てて、持ってきた焼酎を飲んだのかも知れません」

刑事「いや、そんなヤツは居ないだろ」


鑑識「断言できるんですか?犯人を実際捕まえて、何を飲んだかはっきりするまで…」

刑事「ああわかったわかった。それで、その後犯人はどうしたんだ?」


鑑識「そうですね。おつまみを食べた跡がありますね」

刑事「おつまみ?」

鑑識「ええ。台所に丁度あったカールのようなものを…」

刑事「カールのようなものって何だよ。カールの空き袋があるじゃないか。
   カールでいいじゃないか」


鑑識「いえわかりませんよ?製造の手違いで中身がかっぱえびせんだったかも知れませんよ?」

鑑識「犯人を実際捕まえて、何を食べたかはっきりするまでは…」

刑事「事件に関係あるのか?」


鑑識「話を戻しましょう。犯人はそのあと、少し遊んだ形跡がありますね」

刑事「遊んだ?」

鑑識「ええ。そこに転がってるボールのようなもので…」

刑事「いや、これはさすがにボールでいいだろ」


鑑識「いえわかりませんよ?ドイツ製でボールンゲンとか言うかも知れませんよ?」

鑑識「ドイツ語よくわかりませんけど」

刑事「ただ後ろにルのつく単語に、ようなものってつけてるだけじゃないだろうな?」


鑑識「まぁ、そうカリカリしないで」

鑑識「物事がはっきりするまで、うかつに断言できません」

鑑識「それがこの業界の、ル…」

刑事「ルールのようなものだから」




鑑識「…」

刑事「…」



鑑識「ルールですから」

刑事「オイ!」


おしまい

以上SSのようなものでした。
依頼出してきます

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