晶葉「不老不死に興味はあるか?」 (28)

モバP「不老不死?」

晶葉「ああ」

モバP「……っていうと、死ぬことも老いることもないっていうアレか?」

晶葉「そうだ」

晶葉「……というより、それ以外の不老不死ってあるのか?」

モバP「俺が知らないだけであるのかも……と思ってな」

モバP「晶葉からそんな言葉を聞くだなんて思わなかったから」

晶葉「ほう……それはまたどうして」

モバP「だって、こういうのってオカルトだろ?」

晶葉「……確かにそうかもな」

晶葉「だが私はオカルトに興味がないわけではないぞ」

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晶葉「幽霊だって妖怪だってそこかしこにいるだろうと思っている」

晶葉「怪奇現象の中には、確かに科学技術として説明できるものもあるかもしれないが、だからといって全てが作られた嘘だと決めるのは早計だ」

モバP「……そうか」

モバP「悪かったな」

晶葉「いや、いい」

晶葉「科学者はオカルトを信じない……なんてイメージを持っていても仕方ないだろう」

晶葉「その観念はあらゆるところに浸透しているのだから」

晶葉「さて、話を戻そう」

晶葉「プロデューサーは不老不死に興味はあるか?」

モバP「不老不死なぁ……」

モバP「……面白い話だよな」

晶葉「ほう」

モバP「敵として出てきたときの絶望感もすごいし、それを思いもよらない方法で退けた時なんかすごい面白いと思ってる」

晶葉「ふむ……」

モバP「あとは、やっぱり不老不死のメリットとデメリットの話なんか面白いよな」

モバP「幸せだが不幸である……なんて状況をいろいろな作品で見てきたが……」

モバP「それをうまく料理できてると面白いなって思うよ」

晶葉「……なるほど。物語の中の話だな」

モバP「……こういうことが聞きたかったんじゃないのか?」

晶葉「いいや」

晶葉「……質問を変えよう」

晶葉「プロデューサー、不老不死になりたいか?」

モバP「なりたい……?」

晶葉「ああ」

晶葉「不老不死になれるのだとしたら、なりたいか?」

モバP「……」

モバP「……難しいな」

晶葉「ほう?」

モバP「どっちもあるんだ……なりたいって心も、なりたくないって心も」

モバP「もしも不老不死になったなら、やりたいことをいくらだってできるんだ」

モバP「飽きるまでアイドルをプロデュースして、趣味に没頭して」

モバP「やりたいことが全部終わったなら、また新しい何かに没頭して……」

モバP「死ぬこともなく、永遠に好きなことをしたい……とは思う」

モバP「ただ……まあ、これも物語の中の話なんだが、俺は不老不死で困るキャラクターたちをたくさん見てきた」

モバP「死にたいのに、死ねない……なんて、俺たちには到底ない悩みで絶望するキャラクターたちを」

モバP「……今の俺はこうやって考えられているけど、たとえば1000年先の自分がどう思っているかはわからない」

モバP「だから、俺は不老不死になりたいかという問いにはすぐには答えを出せない」

モバP「……いや、ずっと答えを出せないと思う」

晶葉「……そうか」

晶葉「なるほど、プロデューサーはそういう考えなんだな」

モバP「ああ」

モバP「しかしどうした? 急にそんな話をして……」

晶葉「いやなに、私とプロデューサーの仲だ。なりたいのなら不老不死にしてやろうと思ってな」

モバP「……何を言ってるんだ?」

晶葉「私は作ったんだ……不老不死になれる仕組みを」

モバP「……は?」

晶葉「……ついてきてくれ、私の研究成果を見せよう」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


晶葉「ついたぞ、この部屋だ」

モバP(晶葉につれてこられた部屋は薄暗く広い部屋だった)

モバP(……よくわからない機械がたくさん置いてある)

モバP「ここは……?」

晶葉「私の研究室だ」

モバP「……いつのまに作ったんだ、こんなところ」

モバP(この部屋は地下の隠し扉の中をずっと進んだ先にあったものだ)

モバP(たくさんの扉を横目に、まっすぐ進んでいった最奥の部屋だ)

晶葉「協力者のおかげだ」

モバP「協力者?」

晶葉「ああ。私の研究に協力してくれた人がいるんだ」

モバP「……俺の知ってる人か?」

晶葉「よく知っている人だ……そこにいるだろう?」

ちひろ「ふふっ」

モバP「……ちひろさん?」

ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん♪」

モバP「どうしてここに……?」

ちひろ「晶葉ちゃんのお手伝いさんだからですよ?」

ちひろ「……あっ、でもプロデューサーさんのアシスタントを辞めたわけじゃありませんからね!」

モバP「いえ、そこは心配してないですけど……」

晶葉「……なあ、プロデューサー」

晶葉「ずっと昔、私がロボアイドルを作ろうとしたこと覚えてるか?」

モバP「……そういえば言ってたな」

晶葉「ああ……あの時はすぐに却下されたけどな」

晶葉「そんなことをしている暇があるなら、アイドルのレッスンをしろ……って」

モバP「ああ、言ったな」

晶葉「私も、自身の足りなさは直近のイベントで理解してたから、特に反抗はしなかった」

晶葉「……だが、ロボアイドルの構造自体はずっと考えていたんだ」

晶葉「私は諦めるのが嫌いだからな……一度でも作ってみたいと思ったことを途中でやめたくはなかった」

モバP「……」

晶葉「体の駆動のさせ方から、人工知能の仕組みまで、様々なことを考えていた」

晶葉「だが、どうしても一歩が足りないんだ……ロボットをアイドルにするのに絶対的に足りないものがある」

晶葉「……プロデューサーもわかるはずだ」

モバP「……感情か」

晶葉「少し違うな。感情はパターン対応させれば擬似的に搭載することができる」

晶葉「現に感情を示すロボット自体はすでに存在している」

晶葉「しかし、それはあくまで擬似的なもの……本物は作れないんだ」

晶葉「本物の……魂は」

モバP「……」

晶葉「感情も、思考も、行動パターンも。全てが人間に近い理論上作れる」

晶葉「しかし、それは近いだけだ、人間じゃない」

晶葉「魂がなければ人間じゃないんだ」

晶葉「……私はそう考える」

晶葉「この日本には付喪神という観念がある」

晶葉「長年使ってきたモノには神や霊魂が宿るという考えだ」

晶葉「その考えにのっとれば、作ったロボットにもいずれ魂が沸くかもしれない」

晶葉「……だが、それ自体はいつ宿るかわからない」

晶葉「宿らないかもしれない」

晶葉「……宿らなければ、それはロボットのままだ。アイドルにはなりきれない」

晶葉「人間として、感情を、思想を自在に振りまくからこそ、魂のままに動くからこそ、アイドルは輝くことができる」

晶葉「……私自身のアイドルの経験から、そう考えた」

モバP「……」

モバP「……まるで人間を作ろうとしているみたいだな」

晶葉「はは、そうだな」

モバP「……」

晶葉「さて、どうすればいいか……と私は悩んだ」

晶葉「そんな時に話しかけてくれたのがちひろさんだ」

モバP「……ちひろさんが?」

ちひろ「はい♪」

晶葉「いきなり『魂を宿す方法を教えましょうか?』なんて言われた時はびっくりしたけどな」

ちひろ「ふふ、面白そうなことを考えてたので、私も手伝わせて欲しいなって思って」

モバP「……ちひろさんは何者なんだ」

ちひろ「あら、いつもプロデューサーさん――みなさんが言ってるじゃないですか」

ちひろ「『悪魔』って♪」

モバP「……は?」

ちひろ「信じてくれないんですか?」

モバP「信じられると思いますか?」

ちひろ「どうでしょうね……私は悪魔なので、人間の気持ちなんてわかりません」

モバP「……」

晶葉「……信じられないのも仕方のない話だ」

晶葉「私だって、最初は何を言っているんだって思った」

ちひろ「あら……」

モバP「最初は……」

モバP「……本当にちひろさんは悪魔なのか?」

晶葉「ああ。本当だ」

晶葉「ちひろさんが研究を飛躍的に進展させてくれたんだ」

晶葉「ちひろさんのおかげで、ロボットに魂を宿すことができたんだ」

モバP「……」

晶葉「そして私は、かねてより考えていたロボアイドルを完成させることができたんだ」

晶葉「それが、この部屋にある」

モバP「……」

晶葉「……こっちに保管してある、ついてきてくれ」

モバP「……わかった」

晶葉「……」

モバP「……」

ちひろ「……プロデューサーさん」

モバP「……なんですか?」

ちひろ「アイドルってずっとアイドルを続けられないんですよね」

モバP「……?」

ちひろ「私は長年この世界でアイドルを見てきましたが、ずっとアイドルを続けられる人っていないんです」

ちひろ「老いや怪我……その他にも色々な理由で、アイドルを辞めてしまうんです」

ちひろ「私はずっと皆さんが輝いているところを見ていたいのに……」

モバP「……仕方のない話ですけどね。時間が経つごとに人が変わっていっちゃうんですから」

モバP「それこそ不老不死にでもなれないと――」

モバP「――!」

モバP「そうだ、晶葉。さっきお前不老不死の仕組みを完成させたって……!」

ちひろ「あら、説明したんですか?」

晶葉「いいや。実際に見てもらったほうが早いと思って説明はしてない」

晶葉「……待たせたな。これが私がプロデューサーに見せたかったものだ」

モバP「これは……!」

晶葉「さて、紹介しよう」

晶葉「『池袋晶葉』だ」

モバP(……二人が見せてきたものは、紛れも泣く晶葉だった)

モバP(特徴的なツインテールも、柔らかそうな頬も、起伏の乏しいスタイルも――)

モバP「……」フイッ

晶葉「どうした、プロデューサー? 目をそらしたりして……」

モバP「いや……裸だったから」

ちひろ「あら、プロデューサーさんお優しい」

晶葉「……気にしなくていい。まだこちらに私は宿っていないのだから」

モバP「そうは言われてもな……」

モバP(……晶葉も少し顔が赤いし)

ちひろ「……ではタオルでもかけておきましょうか」

モバP「……ありがとうございます」

ちひろ「ふふっ」

モバP「さて……なあ、晶葉」

晶葉「疑問があるのはもっともだが、質問の前にまずは私から説明をさせてくれ」

晶葉「その方が話も円滑に進むだろう」

モバP「……わかった」

晶葉「ありがとう」

晶葉「さて、これが私……私たち流の不老不死の仕組みになる」

モバP「……」

晶葉「プロデューサー、これを見てどう思う?」

モバP「どう……か」

モバP「……晶葉にしか見えないな」

モバP「まるで生き写しだ」

晶葉「そうだろう?」

晶葉「そうなるよう、私も努力したんだ」

晶葉「ちひろさんにも協力してもらってな」

モバP「……」

晶葉「しかし、まだこの『池袋晶葉』には魂が宿っていない」

晶葉「機械的に動かすことは可能だが、あくまで機械としてしか動かない」

晶葉「……そこで、ちひろさんに手伝ってもらう」

モバP「ちひろさんに……?」

ちひろ「はい♪」

ちひろ「私が、晶葉ちゃんの魂をこちらに移すんです」

モバP「!」

晶葉「私が死ねば、魂はこの肉体から離れる」

晶葉「そうしたら、ちひろさんに肉体から離れた魂をこの『池袋晶葉』に移してもらうんだ」

晶葉「それによって『池袋晶葉』は私として稼動することができる」

晶葉「性格も、感情パターンも、記憶も、すべてをそのままにした状態でな」

ちひろ「ふふ、完璧な仕組みですよね」

ちひろ「私はちょっと働かないといけませんけど……でも、アイドルをずっと続けられるならぜんぜん苦じゃありません♪」

ちひろ「だってこうすれば、ずっとアイドルを続けてくれるんです……なんてうれしいことでしょうか」

モバP「……」

晶葉「ちひろさんに頼めば魂の移しかえを止めてもらうことだってできるだろう」

晶葉「これによって、『死にたいのに死ねない』という悩みに直面することもない」

晶葉「普通の不老不死と違って死にたいときには死ねる……はは、変な言葉だな」

ちひろ「……私としてはずっと続けて欲しいですけどね」

モバP「……」

晶葉「……これが私たち流の不老不死の仕組みだ」

晶葉「死んだら、違う体へ移って生きる」

晶葉「その体は老いることはない……そして体が壊れたら、また別の体へ移って生きる……ってな」

晶葉「やりたいことを終えたら死ねばいい……」

晶葉「はは、ロボアイドルを作っていたらこんな仕組みが出来上がるだなんて、とんだ副産物だ」

モバP「……」

晶葉「この仕組みのいいところのもうひとつ。魂自体は成長しているんだ」

モバP「魂が……?」

晶葉「ああ。人間的な思考や思想……精神的な成長はしている」

晶葉「肉体は老いることなくても、成長できるんだ」

モバP「……」

晶葉「故にこの不老不死の仕組みにデメリットはない」

晶葉「ちひろさんのおかげで魂の移し変えも……死も苦しむことはない」

ちひろ「ふふ、悪魔ですから」

ちひろ「苦しまずに魂を抜く方法なんていくらだってあります」

モバP「……」

ちひろ「そして、個人的には宿る先に魂が一つしかないのもいいんですよね」

ちひろ「たとえばクローンなんかで同じことをやると、移し変える器であるクローンにも別の魂が宿っているので、面倒なんです」

ちひろ「その点、ロボットは私が魂を入れない限りただの鉄くずですから。楽なんですよね」

ちひろ「付喪神なんて例もありますけど……ロボット自体が動かなければ宿ることなんてありえませんし」

モバP「……」

晶葉「……さて、おそらくこれで一通り話しただろう」

晶葉「何か質問はあるか?」

モバP「……これは、人間と同じなのか?」

晶葉「というと?」

モバP「ロボットなんだろう……?」

晶葉「……ああ、なるほど」

晶葉「プロデューサーの心配は大丈夫だ」

晶葉「これは、外郭をちひろさんの力で人間と等しいものにしている」

晶葉「そして、五感もまた同じように作用する」

晶葉「味覚、触覚、嗅覚、聴覚、視覚。全て人の体と変わらずに」

晶葉「だから、魂が宿ってその体を動かすとしても、操作性は人間となんら変わらないだろう」

晶葉「はは、悪魔の力っていうのは本当に便利なんだ……どうしようもないと思っていたものがいとも容易く解決する」

ちひろ「ふふ、それが悪魔っていうものですから」

モバP「……」

晶葉「他にはあるか?」

モバP「……これを俺に教えてどうするんだ?」

晶葉「さっきも言っただろう?」

モバP「俺が、不老不死に……か」

晶葉「……」

モバP「……」

晶葉「……私は不老不死に興味がある……いや、なりたい」

晶葉「私にはまだ完成させていないたくさんの研究がある」

晶葉「私はまだアイドルを突き詰め切れていない」

晶葉「だから、私は死にたくない……そして老いたくもない」

晶葉「私は、今の私のまま全てを突き詰めたいんだ」

晶葉「それを終えた後、私は死にたい……今、そう考えている」

モバP「……」

晶葉「しかし、私一人の力ではそれは到底適わないだろう」

晶葉「だから助手よ、だからプロデューサーよ」

晶葉「私とともに歩いてくれ」

晶葉「老いることなく……死ぬこともなく、助手として、プロデューサーとして」

モバP「……」

晶葉「……プロデューサーが望むなら、プロデューサーのための体を作ろう」

晶葉「次の器となる、『プロデューサー』を」

モバP「……」

モバP「俺は……」

モバP「……」

モバP「……すまん」

晶葉「!」

モバP「晶葉の誘いには答えられない」

晶葉「……っ」

モバP「……さっき、晶葉の問いに俺はどっちも答えられないと言った」

晶葉「……」

モバP「きっと永遠に答えなんて出ないなんて言ったが……いざ自分がそういう立場になれるのかもしれないって理解したら答えが出たんだ」

モバP「……」

モバP「こんなにも……」

モバP「こんなにも、気持ちがわる――」

晶葉「――くくっ」

晶葉「はははっ!」

モバP「!?」

晶葉「何をまじめに答えてるんだプロデューサー」

晶葉「こんなものは冗談に決まってるだろう?」

モバP「は……!?」

晶葉「はははっ、まったく面白いなプロデューサーは……!」

モバP「……」

モバP「な……」

モバP「なんだ……ほっ」

モバP「はぁ……晶葉には本当に振り回されるな」

晶葉「すまないな。ちょっと反応が見てみたかったんだ」

晶葉「だが……くくっ、予想以上に面白い反応だった」

晶葉「まさか本当にあそこまで信じ込むとは思わなかったぞ」

モバP「いや、だって晶葉もちひろさんも演技が上手かったからな」

モバP「信じ込むしかない説得力があったんだよ」

ちひろ「ふふ」

モバP「……ああ、ちひろさんも悪魔じゃないんですよね」

ちひろ「ええ」

モバP「まあそうだよな……いつも一緒に働いていた事務員が悪魔だなんて、そんなことあるはずないよな」

ちひろ「……」

モバP「はぁ……なんかもう、一気に安心したよ……」

晶葉「……さて、助手よ。外まで送っていこう」

晶葉「道を間違えないようにな」

モバP「ああ。ありがとう」


………………

…………

……

晶葉「……ここまででいいだろう。ここから先はプロデューサーもあるいたことがあるはずだ」

モバP「ああ」

晶葉「今日は私のドッキリに付き合ってくれてありがとう」

モバP「いえいえ……これで晶葉が楽しめたなら何よりだよ」

晶葉「ああ。楽しめたぞ」

晶葉「それじゃあまたな」

モバP「……あれ、晶葉は戻らないのか?」

晶葉「私はあの部屋の片づけがあるからな」

モバP「ん、そうか」

晶葉「それじゃあプロデューサー。これからもよろしくな」

モバP「ああ」

モバP「……急にどうしたんだ?」

晶葉「なんとなくそんな気分だっただけだ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


晶葉「戻ったぞ」

ちひろ「お帰りなさい、晶葉ちゃん」

ちひろ「何か怪しんでいましたか?」

晶葉「いや、何も」

ちひろ「そうですか」

晶葉「……」

ちひろ「……残念でしたね」

晶葉「……ああ。プロデューサーなら一緒に来てくれると思ったが……」

晶葉「……」

ちひろ「……でも、嘘ってことにしてよかったんですか?」

ちひろ「いずれバレると思いますけど」

晶葉「……人間は脆くて弱いんだ」

ちひろ「?」

晶葉「自分の予想外のことが起こったとき……なんとか自分の想定できる範囲に解釈しようとする。それが人間だ」

晶葉「オカルトを科学で否定するようにな」

ちひろ「……」

晶葉「だからプロデューサーはあんなにもドッキリという言葉を簡単に受け入れて納得した」

晶葉「……こんなにも怪しいことだらけなのに」

晶葉「関係者以外立ち入り禁止と書かれた看板を超え、数多の扉を横目にずっと歩き、最後に隠し扉へと入る」

晶葉「そうして入った部屋は薄暗く、だだっ広く、わけのわからない機械がたくさん置いてあり……そして、『池袋晶葉』がいる」

晶葉「これら全てをたかがドッキリのために作るはずないだろうに」

晶葉「……だが、それについて深く考えることは怖い……自分の予想の範囲を超えてしまう」

晶葉「だから考えない……何も怪しまなかったんだ、プロデューサーは」

晶葉「人間は脆くて、弱い」

ちひろ「……そうみたいですね」

ちひろ「そして、晶葉ちゃんも」

晶葉「……ああ」

晶葉「否定されると怖くなって冗談だと嘘をつくくらいには、脆くて弱い人間だ」

晶葉「……」

ちひろ「……」

晶葉「……いずれ、なんとかなるだろう」

晶葉「今は続きをしよう……不老不死を望むアイドルはまだまだいるのだから」

ちひろ「……ええ」






おしまい

アイドルが身体的に成長はしないが、精神的に成長していく理由が突発的に思いついたので。
勢いだけだから多分ガバガバ理論

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました

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