女騎士「あっ、厚着!」(73)
女騎士「冬だから、ビキニアーマーは寒くてつらい」
女騎士「だから、知り合いに何か着るものを借りよう」
テクテク
女騎士「という訳でオークの家に着たぞ。オークの奴はなかなかにオシャレさんだからな、いいが借りられそうだ」
ワクワク
ドンドン
女騎士「おーい、オーク!開けろ!開けろー!」
ドンドン
ガチャリ
オーク「…今何時だと思っている。深夜二時だぞ?お前は深夜二時に、妻子のいる男の家の扉を乱暴にノックするのか!?」
女騎士「知るか。私は服を借りに来ただけだ。下手に逆らうとまとめて斬るぞ、オーク共」
オーク「くっ…外道め…」
女騎士「かつて私の気まぐれで見逃してやったから、お前はこうして家庭を持って生きていられるんだぞ?忘れたか?」
オーク「…」
女騎士「こんな所で立ち話もなんだ、中に入れろ」
オーク「…わかった。だが頼むから静かにしてくれ」
女騎士「…してくれ、だと?」
オーク「静かにして…下さい」
女騎士「そうだ、口のきき方に気をつけろよ」
テクテク
ドスン
女騎士「おい、茶でも出せ。紅茶がいいな」
オーク「…」
ガチャガチャ
スッ
女騎士「次からは言う前に出せよ無能」
グビッ
女騎士「あ。まずいまずい。やはり低俗の魔物は安物しか飲まないんだな、ははは!」
ポイッ
ガシャーン
オーク「ぐぎぎ…」
女騎士「あ?何だその目は?」
オーク「…」
女騎士「むかついた。お前の子供と嫁をぶん殴る」
ズカズカ
女騎士「どの部屋だー?」
ガチャリ
女騎士「どこだー?」
ガチャリ
オーク「ちょ、止めろ!」
ダダッ
ガシッ
女騎士「あ?何触ってんだよクズが!」
バキャッ
オーク「ひゃんっ」
女騎士「いちいちカンにさわるヤローだな!」
ゲシッゲシッゲシッ
オーク「ぐぶっ!がはっ!」
ゲシッゲシッ
オーク「…」
オーク(このままやと内蔵破裂でおだぶつや…なんとかせな…こんな所で、こんな奴に殺されてたまるかいな…やられる前に…やったる…!)
オーク「…」
女騎士「どうした、豚の様に鳴けよ!オラオラ!」
ゲシッゲシッ
オーク「ぐふっ…」
バタリ
オーク(くそっ、女騎士の腹蹴りには隙が無い…反撃の目は…無いっ…!)
ゲシッゲシッ
オーク(あぁ…なんだがだんだん気持ちよくなって…きた…)
ゲシッゲシッ
オーク(痛みが…快感に変わる…快感…快感快感快感…快感ふれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇず!)
ビクンビクンビクン
チクビ ピーーーーーン!
それは実に不思議な事だった。
快感により硬化したオークの乳首は天に向かいそそり立った。
それはダイヤモンドより硬く
母なる大地の様な温かみを持っていた。
その優しさに
包まれたなら、きっと。
女騎士「あ…あぁ…何だこの安らぎ感は…今まで私がしてきた酷い行いは…あぁ…なんて事を!私は!私は今!懺悔し許されたい!いや、許されなかったとしても!ただ一言、謝罪を…」
ポロポロ
女騎士「うわぁあ~ん…ぁぁぁ…ご、ごめんな゛さぁぁぁいぃぃぃぃぃ…ごめんなさい…」
チクビ クリクリ
女騎士は謝った。
心の底から、謝った。
その行為は
今まで謝罪などした事の無かった女騎士にとって
初めての体験だった。
故に
それは心地よいものであり
まるで羽毛に愛撫されるかのようであり
まるで生と死を無限に繰り返すようであり
まるで、まるで…
女騎士「はぁはぁ…」
つまりは、初めての体験に
自慰をせずには、いられなかったのである。
チクビ クリクリ
女騎士「はぁはぁ…ぺ、ぺろんちょ…ぺろんちょォォォ…」
ジリジリ
女騎士「ぺろんちょしたい…はぁはぁ…」
オーク(女騎士が近づいてきた…おそらく、俺の俺をぺろんちょする気だ…)
ぺろんちょ?
そう、ぺろんちょ。
『ぺ』で始まり
『ょ』で終わる。
つまりは、そうだ。
想像できるだろうか?
ぺろんちょ、を?
君は
貴方は
お前は
人間は
人間達は
果たして、ぺろんちょを。
曰く、それは
神が
名も無き神が
名も付けぬ行為であった。
故にそれはごく当たり前の事で
生ある者は皆
ぺろんちょしてしまうものだと。
それが世界の仕組みであり理だ。
その事を
ついにオークは思い出した。
そう、彼はかつて
神と呼ばれた、もの。
創造主、クリエイター。
自ら生み出した人間という存在に絶望し
記憶を封じて、魔物に成り果てた
それが、オークだった。
オーク(全て思い出した…俺…私は…神…汚らしい肉人形を生み出す過ちを犯した…愚かな創造主…)
ガクッ
オーク(なんという事だ…思い出さなければ…どれだけ幸せだったか…何も知らずに…ただの魔物として…死ねたものを…)
ガクッ
オーク(あぁ…もはや私は…このまま女騎士にぺろんちょされるしかないのか…抵抗しようにも、私にはもう気力が無い)
フニャ
オーク「ふふっ。もはや勃たぬ、か…」
女騎士「!」
ブルブル
女騎士「あ、あぁ…フニャチン…フニャチンでは、ぺろんちょできない!」
ブルブル
女騎士「勃って、勃ってよ!」
シュコシュコシュコ
オーク「無駄だ…今の私は絶望の塊…無欲で無気力な…ただの…肉人形だ…」
女騎士「そんな…わぁぁぁぁぁ!」
キィン
ズキッ
オーク「ぐっ…何だ…女騎士の悲鳴…この金切り声…頭に…響いて…」
キィン…
ズキッ
オーク「頭が…いや…これは…ぐっ、記憶が…また…?」
ズキズキズキッ
オーク「ぐぬっ、私は…何かを…大切な、何かを…まだ思い出していない…そうだ…きっとそれは…それ、だけは…」
キィン…
オーク「思い…出せ…私がかつて神だったというなら…それくらい…やってのけねば…何が…創造主だ…はぁぁ!」
パァァ…
カシャ!
カシャカシャカシャ!
オーク「き、記憶が…!」
・ ・ ・ ・ ・
~とある時空、とある時代、とある森~
青年「くっ、森で猪に襲われた…右の全身がやられて動けない…」
ザザッ…
青年「くっ、また猪か?今襲われたら…死ぬ…」
ザザッ!
青年「!」
?「あ…」
青年「え…女の、子…?」
それは、なんてことない物語。
とある時空、とある時代、とある森で
青年と少女が出会った
なんてことない、物語…
・ ・ ・ ・ ・
~とある森、小屋~
青年「ふぅ…」
ズズッ
少女「あの、お口に合いましたか?この森の植物で作ったお茶ですけど、匂いが苦手な人もいるみたいで…」
青年「ん、あぁ…問題ないよ。俺はこの匂い、好きだな」
少女「そうですか、よかったです」
青年「しかし助かった。あの状態でまた猪に襲われたらと思うとゾッとするよ」
少女「いのしし?」
青年「あぁ。突進をモロに受けて、この怪我さ…あ、痛てててて…」
少女「だ、大丈夫ですか?一通り手当はしたつもりなんですが…」
青年「大丈夫、君の治療は一級品だ」
少女「よかった。ところで…」
青年「うん?」
少女「いのしし、って何ですか?」
青年「何って…猪だよ。もの凄い速さで突進してくる、あいつだよ」
少女「突進…あぁ、ウリィカムイの事ですね」
青年「え、何?ウリィ…カムイ?」
少女「はい、確かに速くて少し気性が荒いですけど、怒らせなければ大丈夫ですよ」
青年「へ、へぇ…」
青年(この辺の呼び名かな…猪じゃ通じないんだな)
少女「青年さんは、どうして森に?」
青年「…あれ?どうして、だっけ」
少女「へ?」
青年「うーん…何で森に…あれあれ…?」
少女「も、もしかして…記憶喪失…とか…?」
青年「…そうかも」
・ ・ ・ ・ ・
少女「記憶喪失…ですか」
青年「どうやらそうみたいだ。何故あそこに居たのか、どこから来たのか…それどころか自分の事も分からない…」
少女「うーん…」
青年「いったい俺は…なんなんだ…何なんだよぉぉぉ!」
フク ビリビリー
青年「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!不安で!不安でたまらない!」
少女「ちょ、青年さん!落ち着い…」
バシッ
少女「きゃっ…」
青年「うわぁぁぁ!この不安、焦燥感…誰にも分かる訳がない!うわぁぁぁ!」
ジタバタ ジタバタ
少女「…」
少女「…ます」
青年「?」
少女「分かり、ます…分かります!不安な気持ち…自分が誰なのか分からない…なのにどうしようもない…その気持ち…分かり、ます…」
青年「な、何を…君は…」
少女「だって私も…同じ、なんです…自分が何者なのか…分からない…分からない…んです…」
ポロポロ…
・ ・ ・ ・ ・
ズズッ
少女「ふぅ…」
青年「落ち着いた?」
少女「はい…それにしても、青年さん、私よりお茶を淹れるの上手ですね…」
青年「君がやっていたのを見よう見まねでやっただけさ」
少女「むぅ…なのにこの差は…複雑な気分ですぅ…」
青年「…」
青年「その…さっきは…なんていうか…取り乱して、ごめん」
少女「え?あぁ、は、はい…」
青年「それで、記憶喪失、なのか…君も?」
少女「はい…私がこの森に来たのが一年ほど前…ウリィカムイに襲われそうになっている所を、おじいさまに助けられたんです」
青年「おじいさま?」
少女「はい、行くあての無い私によくしてくれました…」
シュン
青年「…」
少女「おじいさまは…ひと月前に…亡くなりました…だから…ひとりぼっち、なんです」
そう言った彼女の顔は
少し笑っていた。
目には涙が溢れて
尚、笑っていた。
こういう時
どう言ってあげればいいんだろうか?
慰めは、優しさか?
沈黙は?同情は?
答えは、何だ?
答えは、あるのか?
青年「…」
その時不思議な事が起こった。
突然青年はムラムラしだし
full bokkiした。
青年(!)
青年(なんて事だ…何故かムラムラして勃起してしまった…痛い…パツンパツンで痛い)
ギシッギシッ パツンパツン
青年「くっ…」
少女「?」
キョトン
青年「…」
少女「どうかしましたか…何だか顔が赤いみたいですけど?」
青年「いや、なんでもないよ」
少女「でも、なんだか息も荒くてしんどそうですよ…?」
青年「だっ、大丈夫、んっ…だからぁ…はぁぁぁん…」
ビクンビクン
少女「駄目です!風邪だったら早めに対処しないと!」
ハァハァ
青年「本当に、大丈夫だっ、だからぁぁぁん…」
ビクンビクン
少女「大丈夫じゃないです、熱があるかもしれない…おでこ触りますね!」
ズイッ
ピトッ
青年「うっわ!」
ドビュッ…
ドビュッシーーー!
ドビュ汁ブシャー!
ズボン ツキヤブッテ ドババババ!
少女「きゃっ…えっ…な、なに、これ…」
青年「ドビュ汁なっしー!」
ピョーン バタバタ!
ダバダバダバ ピョンピョーン!
青年「なっしー!」
ドビュッシーーー!
ビチャ! ビチャ! ビーチャ! モンド!
少女「きゃぁぁぁ!」
ベトォ…
少女「な、生臭い…嫌…」
青年「すっきりしたぜ」
少女「嫌ぁ…白濁液まみれの私…ひぐっ…えぐっ…」
青年「!」
ボッキーーヌ!
青年「白濁液まみれの少女を見たら、再び興奮した俺、参上!」
ボッキーーヌ!
ボッキレ
ボッキル
ボッキレバ!
青年「ふぬぉぉぉぉぉ!」
バキバキバキ
青年「メタールフール…コォォォォォ!」
バキィィィン!
少女「こ、鋼鉄の肉棒…」
そうなのである。
そこにそびえるは、鋼鉄の肉棒。
決して朽ちぬ、無敵のシンボル。
貫いてみせよう
打ち砕いてみせよう
あらゆる膣内を満たしてみせよう
まるでそう言わんばかりの
くろがねの城。
青年「ンフフフフ…とうとう俺の肉棒は鋼鉄の硬さにたどり着いたか!」
青年「フンッ」
ブゥン
少女「きゃあ、危ない!」
ブワワワワ
ズギャギャギャギャ!
少女「えっ…」
クルッ
ゆっくり振り返った少女は
恐怖し震えた。
そこにあるのは
青年が振り回した肉棒の衝撃波でなぎ倒された木々と、深くえぐられた大地であった。
少女「そんな…森が…大地が…!」
青年「たわむれに振り回したチンポであったが…ふふん、まさかこうも自然を破壊するとはな、ふはははは!」
少女「貴方は…森に生きる命を!大地に宿る魂を!こうも簡単に奪うのですか!?」
キッ
青年「おいおい、そんなに睨まないでくれよ…仕方がないだろう、俺もまだ肉棒の制御ができんのだ」
ガサガサ
少女「!」
?「ブヒィ…」
青年「おや、いつぞやの猪…ウリィカムイ、だったかな」
少女「駄目、出てきては…」
ウリィカムイ「ブフゥ…」
少女「無理です…仲間の敵だなんて…憎しみに支配されては…」
ウリィカムイ「ブヒィィィ!」
ズモモモモ
少女「あぁ…駄目…憎しみの心は…アグィカムイに…なっては…いけない…」
ウリィカムイ「ブヒィィィ!」
ズモォ!
青年「何だ…黒い渦…?あれはいったい…」
少女「…憎しみに支配されたカムイは…アグィカムイになるんです…禍々しい…アグィカムイに…」
ズモォ!
アグィカムイ「ブヒィィィ!」
青年「あ…う…黒い猪…いや、あれはまるで…まるで!」
少女「化け物…そう、あの姿は…憎しみにその身を焦がした…悪しき神…それがアグィカムイなんです…」
アグィカムイ「ア゛ア゛ア゛!ニンゲン!ニンゲン、ニクイ!」
青年「こ、言葉を…?」
少女「肉染みのあまり、人間の言語を…それほどまでに、貴方を憎んでいるみたいですね」
青年「な…俺を憎んで…」
ガクガク ブルブル
ヘニャッ
青年「きょ、恐怖のあまりチンポ萎える俺!」
アグィカムイ「!」
ギロリ
アグィカムイ「ナエタチンポ…フハハ、ソノ、ソマツナチンポ、クイチギッテヤロウ!」
ダダッ
青年「うわぁ!こっちに来る!?」
ダダッ
ドンッ
アグィカムイ「フシュルル…」
青年「あ…あぁ…」
ジョロロロ…
青年「きょ、恐怖のあまり失禁する俺!」
アグィカムイ「ニンゲンヨ…ナカマヲコロサレタウラミ…ソノミヲモッテ、シルガイイ!」
ガバァ
青年「ひぃっ!」
がぶり
ぶぢゅう゛
ぼとり
青年「!」
青年「…あ゛?」
青年はおそるおそる自分の股間を見た。
そこには、無かった。
あるはずのものが、無かった。
ついさっきまでは、あった。
でも今は、無かった。
青年「あ゛~~~?」
パニックになった。
同時に出血によるショックが訪れた。
心拍数は跳ね上がり、視界は揺らぎ始めた。
青年「おれの、ちんぽ…?あへぇ?なんぇぇ?なんぇぇ?なひ…ちんぽ、なひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
ドババババ
青年「あひゅ」
それが青年の口からこぼれた最後の言葉だった。
少女「…」
アグィカムイ「…」
アグィカムイ「ムナシイ…コンナヤツニ、ワタシノナカマハ…モリハ…ダイチハ!」
少女「…」
アグィカムイ「オンナヨ…ニンゲンハ、ミナ、コウナノカ?コウモオロカナ…」
少女「あっ、喋りづらかったら普通にして貰って結構ですよ?」
アグィカムイ「あ、そう?」
アグィカムイ「人間は自然を破壊する。仲間を、殺す。大地を、汚す…いつからだ?いつからなのだ…かつてはともに歩んで、互いが互いを支えていた…なのに!」
ズモォ…
アグィカムイ「絶望した…名ばかりの神ならば、我は!」
ズモモモモ
アグィカムイ「憎んでやろう、呪ってやろう…未来永劫、決して赦されぬ…禍々しい楔を…人間共に…打ち込んでやろう…」
キッ
アグィカムイ「人間の女よ…お前に恨みは無いが、人間には恨みが有る…もはやこれはお前の咎でもあるのだよ…」
少女「ひぃっ」
アグィカムイ「その躯に…無垢なる魂に…決して赦されぬ楔を…それは遠い未来…必ず人間を絶望させるだろう…」
ドロォ
アグィカムイ「我が身を供物にしよう…この臭く汚れた豚の器を…ごふっ!」
ドロリ
少女「ひっ、肉が腐って…?」
ズモモモモ
少女「な、何…腐肉から黒い霧が…嫌…こっちに来ないで…!」
ズモォ!
少女「きゃぁぁぁ!?」
ドクン
少女「!」
少女「っ、はぁっ、はぁっ…!あう゛ぇぇ…おえ゛え゛え゛っ…」
ゲロロロロ
少女「うえぼっ…あ…ぅ…」
少女「くぷっ…どぶ、ひやぁぁぁ!」
ゲロロロロ
・ ・ ・ ・ ・
少女の魂に打ち込まれたものは
絶望の種。
いつかそれは芽吹き
人間を、世界を絶望させるだろう。
同時に少女もその咎に捕らわれ
逃げることはできないだろう。
何度、その魂が転生しようと
豚の器を持つ生き物に関わり、苦しめられる。
あれ、よく考えたら悪いの青年じゃね?とか思ったけど
細かいことは気にせず物語は現在へと戻る…
具体的には>>29あたりまで戻る…
・ ・ ・ ・ ・
~現在~
オーク「っ、そうだ…かつて猪だった私は、なんやかんやで悪しき神になり…色々あって…そうか、あの時の少女の魂を持つ者が…この女騎士か!」
女騎士「うわぁ~ごめんなさいぃ~」
オーク「豚の器の私に引き寄せられ…出会った…そして、この絶望か!やはり思い出すのではなかったな…こんなにも不快になるのだから!」
女騎士「うわぁ~ごめんなさいぃ~ぺろんちょできなくて、ごめんなさいぃ~」
オーク「…」
オーク(今目の前にいるのは、クズで外道な女騎士だ…だが、その魂は、いつかの無垢な少女ではないか…怒りにまかせて、私はなんと愚かな事を…)
オーク「…」
オーク「女騎士…いや、少女の魂よ…今ここに、汝に打ち込んだ楔…破棄しよう…」
スゥ…パァァ…
女騎士「うわぁ~…あ…あ…ん…?」
オーク「これでもうお前は自由だ…そして、今度は私が咎を受けるバンダナ…」
パァァ…
オーク「この豚の器…その存在…この世界から…消えよう…過去現在未来…オークという存在は…消え去る…」
女騎士「あ…あ…」
オーク「ふっ、理解が追いつかないか…それで、いいさ…」
チャキッ
女騎士「う…ぐっ…」
おんなきしは けんを かまえた!
オーク「…」
女騎士「すぐに終わらせてやるからな…さっさとやられろよ…」
オーク「…」
オーク「あぁ」
オーク「ありがとう」
ダダッ
ざしゅっ
オーク「…」
女騎士「…」
ポロッ
女騎士「ぐっ…うぐぅっ…なんだよこれ…なんで涙が…」
オーク「あぁ…やはりお前は…優しいな…あの時の…少女と、同じ…優しい…子だ…ぐふっ」
女騎士「分かんねぇ…分かんねぇけど…頭ン中ぐちゃぐちゃだけど…」
女騎士「ゆっくり、おやすみなさい…」
オーク「あぁ」
サラァ…
そうしてオークは
ついさっきまでオークであった肉塊は
同質量の塩になった。
風に乗った塩は
さらさらと、どこへともなく飛んでいった。
もはや誰も、かつての豚の化け物の名を忘れていた。
いや、そんなものは存在しないのだ。
過去、現在
未来永劫、存在しないのだ。
女騎士「…」
ポロポロ
女騎士「なんだよちくしょう…意味が分からねぇよ…何で私は泣いてんだよ…くそっ…くそぉぉぉ!」
――風が、吹いていた――
――否――
――風が鳴いていた――
――それはまるで、唄――
――子守唄――
――散りゆく者への、子守唄――
【完】
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