モバP「めざまし柚」 (19)
朝の事務所
柚「おはようございまーす!」
P「zzz」
柚「あれ、Pサン寝てる?」
柚「つんつん」
P「zzz」
柚「うーん、これはぐっすりだね」
柚「そういえば、昨日は夜遅くまで仕事やらなきゃって言ってたような……それで寝ちゃったのかな」
穂乃香「お疲れなら、ギリギリまで眠らせてあげたいですね」ヒョコ
あずき「プロデューサーすやすや大作戦だねっ」ヒョコ
忍「でも、Pさん朝から会議だって言ってなかった? 準備とかあるかもしれないし、早めに起こしたほうがいいかも」ヒョコ
あずき「プロデューサーめざまし大作戦だねっ」
穂乃香「あずきちゃん、なんでも大作戦をつければいいと思ってません?」
あずき「む、穂乃香ちゃんにツッコまれちゃった」
柚「これはいけませーん!」
あずき「不覚……!」
穂乃香「私にツッコまれただけでなぜこの世の終わりみたいな雰囲気に……」
忍「穂乃香ちゃん、天然だから?」
穂乃香「なるほど」
忍「納得するんだ……」
あずき「やっぱりツッコまれるなら忍ちゃんかな」
柚「王道だー♪」
忍「かといってアタシをツッコミ担当みたいにするのはどうかと思う」
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柚「いやあ、やっぱり忍チャンがいると安心するね! なんとかしてくれるって思えるし」
あずき「頼れる感じだよね」
穂乃香「確かに、忍ちゃんにはいつも助けられています」
忍「え? そ、そうかな」
柚「そうそう♪ いつも感謝してるよー」
忍「そんな、急に持ち上げないでよ~」テヘヘ
柚「さすがはフリルドスクエア四天王の一角だよ!」
忍「えへへ……」
穂乃香「フリルドスクエアはもともと4人だから全員四天王なのでは?」
あずき「そこに気づかないとは、忍ちゃんのツッコミもまだまだ……」
柚「それで、話をPサンに戻すけど」
穂乃香「会議があるのなら、そろそろ起こしたほうがよさそうですね」
忍「Pさん、Pさん! 起きて!」ユッサユッサ
柚「ゆっさゆっさはPサンの身体が揺れる音です。忍チャンのバストが揺れる音ではありません」
忍「その注釈必要ある!?」
P「zzz」
忍「起きないし……」
穂乃香「Pさん、朝ですよ。会議、あるんでしょう?」ユッサユッサ
あずき(揺れてる)
柚(揺れてる)
忍(すっごい揺れてる)
柚「ちょっと方向性を変えてみよう」
忍「方向性?」
柚「ああっ、ダメだよ穂乃香チャン! いくらPさんが寝てるからって、目の前でいきなり服を脱いで着替えだすなんて!」
穂乃香「え、ええっ!?」
あずき「おお! お色気大作戦! そういうことならあずきも一肌脱ぐよー!」シュル
柚「おおっとあずきチャンも脱ぎ始めたぞーー!」
忍「いやいやホントに脱ぐポーズする必要ないでしょ!」
穂乃香「『も』って、私は脱いでませんからねっ」
P「zzz」
あずき「む~~。お色気大作戦も失敗かあ」
柚「セクシー担当の2人がダメとなると、うーん」
忍「………」
忍「Pさん。柚ちゃんお着換え中だよ」
P「ここで着替えるのはダメだぞ」パチッ
柚「えっ」
穂乃香「これは……」
あずき「は~ん♪ なるほどぉ~」
柚「な、なに、あずきチャン」
あずき「プロデューサーは、柚ちゃんのボディに一番興味があるみたいだなーって」
穂乃香「ぼでーですね」
柚「や、やだなあ! たまたま今のタイミングでPサンの眠りが浅くなっただけだって」
柚「たまたま、たまたま」テレリ
あずき「といいつつ、ちょっと顔が赤くなっている柚ちゃんでした」
柚「なってないってば!」
忍「おはよう、Pさん」
P「おはよう……って、俺、寝ちゃってたのか」
忍「うん、ぐっすり。いろいろ声かけてたのに、柚ちゃんの着替えの話をするまで全然起きないくらい」
P「そうか……」
忍「ちなみに、どうして柚ちゃんにだけ反応したの?」
P「どうしてって、寝てたからわからないぞ。たぶん、柚はちゃんと見ておかないと、と思ってるからじゃないか?」
忍「ふむふむ、そういうことか」
忍「ちょっと安心した」
P「?」
P「ふわあ……さて、そろそろ会議行かないと」
あずき「プロデューサー、まだ眠そうだね」
P「ああ。昨日あんまり眠れなかったからな……今日は一日居眠りしないようにしないと」
穂乃香「疲れているなら、休んでもいいのでは」
P「そういうわけにもいかないさ。明日は休みだし、今日だけは頑張るよ」
忍「ふふ、Pさんらしいな」
柚「がんばってね、Pサン!」
P「ああ。その言葉で眠気も吹き飛んだよ」
柚「え、そう? さすが柚チャンだ♪」
あずき「いいこと思いついちゃった!」
穂乃香「いいこと?」
あずき「柚ちゃんがプロデューサーの目覚まし時計になってあげたらいいんだよ」
柚「アタシがめざまし?」
あずき「そう! 名付けて『めざまし柚ちゃん大作戦!』」
会議中
専務「であるからして、次の戦略としてはーー」
P「眠い……」
柚「ガンバレPサン!」
P「柚……」
柚「アタシがついてるよ」
P「ああ、頑張るよ」
柚「うん♪」
専務「あー。ところで、そこはなぜアイドルを会議室に連れてきている」
柚「大丈夫です! 耳栓してるので会議の内容は聞こえてません! あと聞こえていても内容わかりません!」
専務「そういう問題ではないのだが」
P「やっぱりダメだろう?」
柚「うーん、通ると思ったのに」
柚「仕方ないかあ。Pサン、これをアタシだと思って頑張って」
P「これは……」
柚「フリスクだよ!」
P「最初から渡して欲しかった」
柚「またネ!」
ガチャ、バタン
専務「では、会議を続ける」
P「申し訳ありませんでした」
専務「今後の我がプロダクションの方針としては」
専務「………」
専務「そうか、フリスクとフリルドスクエアをかけているのか」
P「気づくのが若干遅い」
会議終わって
P「………」
柚「………」
P「柚」
柚「なに?」
P「なぜ俺の膝に乗っている」
柚「んー、めざまし時計だから?」
P「理由になってないんだが」
柚「まあまあ、細かいことは気にしなーい♪」
柚「それでPサン、美少女を膝の上に乗せた感想は?」
P「女の子の匂いがする」
柚「わー、ヘンタイだー♪」
柚「ねえ、それっていい匂い?」
P「そこ掘り下げるのか」
柚「いいじゃん、ね?」
P「……まあ、いい匂いだけど」
柚「ヘンタイだー♪」
P「言わされたのにひどい」
あずき「などとからかいながらも、自分が汗臭くないことがわかってうれしい柚ちゃんでした」
柚ちゃん「あずきちゃん!」
P「どうした、顔が赤いぞ」
お昼
P「もぐもぐ」
柚「起きろー!」
P「食事中に寝るほど追い込まれてはいないぞ」
柚「そっかー」
柚「でも眠い?」
P「まあな」
柚「そっか」
柚「………」
P「ふわあ」
柚「あーん」ヒョイ
P「もぐっ……!? お前、いきなりプチトマトを突っ込んでくるな」
柚「えへへ、スキあり♪」
P「まったく」
柚「仕返ししてもいいよ?」
P「………」
P「あーん」
柚「ぱくっ」
柚「んー、おいしい♪」ニコニコ
P「それはよかった」
柚「ね、ねっ。目、覚めた?」
P「まあまあな。柚が隣にいると、騒がしいから」
柚「おーっ! って、騒がしいって言い方はどうなのさ」
P「褒めてるつもりだぞ?」
柚「表現変えてみよう。柚はかわいい、とか」
P「柚はかわいい」
柚「お、ノリがいいね!」
P「柚はかわいい」
柚「うんうん」
P「柚かわいい」
柚「ちょ、そろそろ止めていいから」
P「ゆずかわ」
柚「新語生まれた!?」
P「かわいいかわいいかわいい」
柚「………」
柚「………すとっぷ、ほんとに」カアァ
P「勝った」
柚「そ、そーいう攻め方は卑怯だと思うなぁ!」ポカポカ
P「ははは」
後日
P「………ふわぁ」
柚「起きろーーっ!」
P「のわっ!? な、なんだびっくりした!」
柚「へへっ。目覚まし柚チャン参上♪」
P「まだ続いてたのか、それ」
柚「好評だったからね」
P「そうだったか?」
柚「細かいことはきにしなーい」
柚「というわけで、何したら目が覚める? カニバサミ?」
P「さっきので目覚めたぞ」
柚「トラバサミ?」
P「俺は野生の動物か。さっきの大声で意識が覚醒したから、今は目覚ましは必要ないぞ」
柚「えー?」
P「『こいつつまんないな』って顔するのやめないか」
柚「わかった! じゃあこうしよう!」
柚「ここに五円玉があります」
P「あるな」
柚「アイハブアゴエンダマ」
P「おそらくその英訳は間違っている」
柚「で、糸もあるでしょ」
柚「アイハブア………イト!」
P「糸の英訳思いつかなかったか」
柚「これを結び付けて、ゆらゆら揺らします」
P「まさか、そんな古典的な催眠術を」
柚「揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け光のアーク!」
P「ゆず! ゆずうううううう!!」
柚「………」
P「………」
P「茶番に付き合ってたらますます目が冴えてきた」
柚「がーん!!」
P「いや、残念がるのは目覚ましとしてどうなんだ」
また別の日
P「ふわあ……昼飯食べた後は眠くなるなあ」
P「暖房かなり効いてるし、余計に身体が睡眠を求めている」
柚「今日から12月だもんネ。暖房も本気出してるよ」
P「温度調節してるのはちひろさんだけどな」
柚「Pサン、これはあれだよ。ギジンホーってやつ」
P「覚えたての言葉をたどたどしく使う姿はかわいらしい」
柚「えへへ」
P「しかし、眠いな」
P「柚、ちょっとビンタしてくれないか」
柚「ビンタ? はっ、まさかPサンそういう趣味が」
P「違う違う。自分で自分の頬叩くよりも、人に叩いてもらったほうが目が覚めるんだ」
柚「なるほどー。じゃあ」
ぺちり
P「……遠慮しすぎだ。もっと強くていいぞ」
柚「そう? じゃあ、えいっ」
ぺちんっ!
P「お、いい感じだ。もっと頼む」
柚「よしきた!」
ぺちんっ!!
P「もっとだ!」
柚「よーし、アタシも本気でいくよ!」グッ
P「って、待て待て! さすがにグーはやめろ!」
あずき「話は聞かせてもらったよ! つまり、セクシーボンテージ大作戦だね!」バーン!
柚「おおっ! 突如あずきちゃんがボンテージ姿で鞭ふりながら入ってきた!」
あずき「プロデューサーさんのためなら、あずきも心を鬼にして時子様から教わった技術を」
P「いつの間にそんなものを教わったんだ!?」
柚「あ、それアタシも教わった! 面白そうだったから!」
P「フリルドスクエアの方向性!」
夕方
P「ふう。疲れた……」
柚「Pサン、まだ帰らないの?」
P「ん? ああ、今日はもともと事務所に泊まる予定だし」
柚「そうなんだ」
P「ああ。家結構遠いし、ここのベッド家よりふかふかだし。割と快適なんだよ」
柚「ふーん……」
柚「ねえねえ、アタシも泊まっていいカナ?」
P「え? どうして」
柚「なんだか面白そうだし!」
P「面白いって……別に、なんにもないぞ?」
柚「それでいいんだって。仕事の邪魔はしないから、ね?」
P「……親御さんが許可くれたらな」
柚「やったー!」
P「そんなにうれしいことなのか?」
柚「あ、そうだ! PサンPサン」
P「ん?」
柚「今夜は、帰りたくないの……」ウルウル
P「お前、まさかそれ言いたかっただけじゃないだろうな」
柚「うーん、7割?」
P「意外と多いな!」
柚「じょーだんじょーだん♪」
柚「ここキッチンあるよね? せっかくだし、お鍋でもつくろっか」
P「作れるのか?」
柚「舐めてもらっちゃ困るなあ。これでも料理番組に出演したことあるんだから!」
P「あの時はほとんど食べる専門だったけどな」
その後
柚「は~♪ こたつ最高~♪」ヌクヌク
P「くつろいでるなあ」
柚「Pサン、仕事終わったならこっちおいでよー。気持ちいいよー?」
P「完全にこたつの虜だな」
柚「そうだよー。もういっそこたつと合体してもいいかなあなんて」
P「ははっ。みかんあるから、食べていいぞ」
柚「食べるー。みかん好き」
P「好きなのか」
柚「うん。親戚みたいなものだからね!」
P「『ゆず』だから?」
柚「その通り! 正解者のPサンにみかんひとつプレゼント!」
P「もともと俺が出したみかんなんだが」
柚「ちなみにPサンはみかん好き?」
P「好きだぞ」
柚「ゆずは?」
P「好き」
柚「食べ物のゆず? 人間のゆず?」
P「両方好き」
柚「てへへ」
数時間後
柚「すぴー」
P「こたつが気持ちよすぎたか」
柚「むにゃむにゃ……」
P「ほら、柚。起きろ。まったく、目覚ましが起こされてどうするんだ」ユッサユッサ
柚「んにゅ……なぁに?」
P「寝るならこたつじゃなくてベッドに行かないと。もう日付変わってるぞ」
柚「そっかー……わかったぁ」
P「それと、もうひとつ」
柚「?」
P「お誕生日おめでとう、柚」
柚「………」
柚「覚えててくれたんだ……」
P「そりゃあ、担当アイドルだもんな」
柚「アリガト」
P「プレゼントは、また朝にでも渡すよ。今はとりあえず、お祝いの言葉だけ」
柚「うん」ニコニコ
柚「えへへ……誕生日、一番最初に祝ってくれたの。Pサンになったね」
P「そうだな」
柚「去年のクリスマスに、街中でPサンにスカウトされて。それから一年間、楽しいことがたくさんあって」
柚「そんな一年が終わって。次の一年の始まりが、またPサンから……ロマンチック、かも」
P「かもしれないな」
柚「アタシ、少しずつ変わってきたと思うんだ。なんていうか、自分から一歩踏み出すってことが、ちょっとずつできるようになってきたかなって」
柚「たくさん友達も増えたし……あの時、Pサンがアタシを見つけてくれたから」
柚「だから、いつか恩返ししないとね」
P「お返しは、柚がトップアイドルになってくれることでいいぞ」
柚「あはは、そう言うと思った!」
柚「……なら、最後までプロデュースよろしくネ!」ニパー
P「ああ。また一年、よろしく」
翌朝
P「………」スヤスヤ
柚「Pサン。Pサン!」
P「………ん」
柚「Pサン。朝だよ」
P「柚……ああ、早起きだな」
柚「だって、目覚まし柚チャンだし♪」
P「そうだったな、はは」
柚「なんなら毎朝モーニングコール入れてあげようか?」
P「さすがにそこまでは申し訳ないよ」
柚「そっか」
P「さて。目も覚めたし、約束通り誕生日プレゼントを渡そう」
柚「わーい、やった! 早く早く!」
P「わかったわかった。そんなにはしゃぐな」
P「今とってくるから」
柚「はーい……あ、そうだ! すっかり言い忘れてた!」
P「ん?」
柚「おはよう、Pサン! 今日もよろしくね!」ニコッ
P「………」
P「ああ。面白く、楽しくいこう」
柚「うんっ!」
おしまい
おわりです。喜多見柚ちゃん誕生日おめでとう。Pとの距離感が大好きです
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