梨子「みんなでお祭り」 (83)


千歌「梨子ちゃーん、今日お祭り行かなーい?」

梨子「お祭り?」

千歌「そー。近くの神社でやるんだ」

梨子「うん、良いよ」

千歌「じゃあ、うちの前で待ち合わせね。四時に」

梨子「わかった」

ーお祭り会場ー

ワイワイ ガヤガヤ

千歌「はぁあ……いい匂い……」グゥー

梨子「千歌ちゃん……すごいお腹鳴ってるよ」

曜「やー、でも分かるなぁ。お祭りってさ、お腹空くよね」

梨子「それは確かに……。ソースの香りとかね」

千歌「うんうん! というわけで、早速突撃!」

曜「ヨーソロー!」

梨子「あっ、ちょっと、置いていかないで~!」



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千歌「焼きそばだ!」

曜「お祭りと言えば焼きそば! テンション上がるね!」

千歌「少し焦げたソースの香り! B級の極地!」

曜「プラスチックの容器に入れられたそれはもう王様! お祭りの王様だよ!!」

梨子「どうしたの二人とも」

焼きそば屋「お、千歌ちゃんに曜ちゃん! それと……そっちは?」

千歌「うちの隣に越してきた桜内梨子ちゃんだよ!」

焼きそば屋「あー、あの都会から来たっつう桜内さんか。娘さんは見たこと無かったが、なかなかの美人だな」

曜「そうですよねー!」

梨子「え、あの……私のこと知ってるんですか?」

焼きそば屋「当たり前よ、都会の人にゃあわからんかもしれんけどな、田舎じゃそういうことはアッという間に知れ渡るんだ」

梨子「そうなんですか」

焼きそば屋「でっ、どうよ? 食ってくか? 割引するぜ」

梨子「はい」

千歌「駄目だよ梨子ちゃん」


梨子「えっ」

曜「まだ私達は来たばかり……最初に食べ物……まぁ悪くは無い。だけどね」

千歌「お腹いっぱいになっちゃうとね……思う存分遊べなくなるんだよ」

梨子「うん……テンションの緩急がすごいね」

梨子「でも、そっか。確かに遊んでから食べた方が良いよね。前の家の近くのお祭りじゃ、食べ物しかなくて……」

千歌「え、じゃあじゃあ、射的とかやったことないの?」

梨子「うん」

曜「なら早速行こう! まずは射的だ~!」

千歌「また後でねおじさーん!」

焼きそば屋「おーう」


ーーーーー

曜「射的! やらずにはいられないッ!」ジャキ

梨子「すごい本格的っぽい持ち方だね」

千歌「実際曜ちゃんの射的は本格的だよ。見てよ、店主の目を」

射的屋「……」ギラ

千歌「真剣勝負……これは、曜ちゃんと射的屋さんの真剣勝負なんだよ」

梨子「ゴクリ」

曜「……」ゴゴゴゴゴ

射的屋「……」ゴゴゴゴゴ

曜「ていっ」パン

パコーン

曜「ったぁ!」ガッツポーズ

梨子「すごい! 一番小さいの!」

射的屋「ちっ……今年もか。ほら、景品」

曜「ありがとうございまーす」ニヒッ

梨子「買い物券?」

千歌「そう、お祭りの」

曜「後で何か奢るよ」

千歌「やったあ!」


梨子「すごいね曜ちゃん」

曜「裁縫にも正確さは必要だからね」

梨子「関係あるの?」

曜「多分ない」

梨子「……」

曜「……」

千歌「あ! ねぇ、金魚すくいやろうよみんなで」

梨子「あ、金魚すくい? うん、一度やってみたかったんだ」

曜「初めて?」

梨子「スーパーボールすくいならやったことある」

千歌「スーパーボールすくいのほうが難しいよね」

曜「私は金魚のほうが難しいと思うけど……まぁ、人それぞれだよね」



ーーーーー

梨子「うぅ……緊張する」

曜「なんでよ」クスッ

梨子「だって初めてなんだもん」

千歌「あれ、なんか金魚が隅っこに固まってるね」

梨子「え? ……本当だ。なんだか、怯えてるみたい」

曜「まぁそんなことは気にしないっしないで」

千歌「魚達のパーティ」

梨子「楽しもうか♪ ……って魚達はパーティって気分じゃないよねこれ」

曜「じゃあ梨子ちゃん……やめる? 金魚すくい」

梨子「やる」

千歌「だってまだやったことないんだもんね。ゼロなんだもんね。イチにしたいよね」

梨子「なんで良い感じの話に持ってこうとしてるの? いや良い感じになってないけど」


ーーーーー

梨子「じゃあ、やるよ? ……」

曜「うん……」

千歌「頑張れ!」

梨子「……」チャプ

梨子「……」

梨子「……えいっ」パシャ

梨子「あー……」

千歌「破けちゃったね……」

曜「私と千歌ちゃんも駄目だったし、全滅だね」

梨子「そうだね」グー

梨子「……あ」カァァァ

千歌「お腹鳴ったくらいでそんなに顔赤くしなくてもいいのに」

梨子「だって……恥ずかしい……」

千歌「梨子ちゃんは可愛いなぁ」

千歌「そういえば私もお腹すいてるんだった。でも焼きそばは帰りだね」

曜「ふっふっ。ではこの渡辺が君たちにあそこのたこ焼きを恵んであげよう」

梨子「ありがとう」

千歌「ありがとー」


ーーーーー

曜「丁度六個入りが二つ買えるから、四個づつ分けようか」

千歌「うん……奢ってもらうんだから、たこさん食べれなくても文句言わない」

ようりこ「「……」」

千歌「あ、今のはたこ焼きの『たこ』と『たくさん』をかけた……」

梨子「分かってるから安心して」

曜「六個入り二つくださーい」

たこ焼き屋「あいよ」

千歌「あれ……一舟限定の激辛たこ焼き、売れたんですか!?」

たこ焼き屋「あー、うん。さっき、女の子が美味そうに食べてった」

千歌「そんなぁ……美渡ねぇに買って帰ろうと思ったのに」

梨子「嫌がらせに使われる前に美味しく食べてもらって良かったねその激辛たこ焼き……」


ーーーーー

ちかりこ「「いただきまーす」」

曜「どうぞ召し上がれ」

千歌「あむ」

梨子「えっ、一口で!?」

千歌「うん」モグモグ

梨子「熱くないの?」

曜「内浦っ子ならみんなこうだよ」モグモグ

梨子「内浦すごい」

果南「嘘を教えるんじゃない」ペシッ

千歌「いたっ」

曜「果南ちゃん」

千歌「!?」

梨子「ダイヤさんに鞠莉さんも」

ダイヤ「こんばんは」

鞠莉「本当にnot hot? 千歌っち」

千歌「そんなわけないじゃないですか」ナミダメ

梨子「私を騙すために体張ったの? 呆れた」

曜「私は大丈夫」

梨子「果南さんたちも来てたんですね」

果南「えっ?」

果南「……うん、久しぶりにね」

鞠莉「私もたこ焼き食べたくなっちゃった? ダイヤ、果南、行こっ」

ダイヤ「分かりましたわ。あなた達、あまり遅くまで遊ばないように」

ちかようりこ「「「はーい」」」


ーーーーー

梨子「ねぇ、どこに向かってるの?」

梨子(たこ焼きを食べたあと、私は二人にお祭りからは少し離れたところに連れていかれた)

千歌「えっへへ。お楽しみー」

梨子「……?」

千歌「うわあ、なんか踏んだ」

梨子「なにこれ……ベビーカステラ?」

千歌「なんでそんなのが落ちてるの……」

曜「この辺りでいいかな」

梨子「え? 何もないけど……」

千歌「そろそろだよね……」

梨子「?」

千歌「あ! 空飛ぶ犬!!」

梨子「!?」

梨子「どこ!? そんなのどこに!!?」キョロキョロ

曜「ほら! あそこだよ!」

梨子「ん……何も……見えないけど」ジー

千歌「もっとじっと見て!」


梨子「どこ……あ」


…パァァアン


梨子「わぁ……っ」

千歌「ふふっ」

曜「たーまやー!」

梨子「あれって、花火? これを見せたかったの?」

千歌「そうだよー」

梨子「……」ワクワク

梨子「……」

梨子「あれ、一発だけ?」

曜「うん」

梨子「あ……そうなんだ」

千歌「だからこそ、なんだよ」


梨子「え?」

千歌「あの花火さ、毎年一発だけこのお祭りの日に打たれるの。花火職人さんが特別に作ってるんだけどね」

曜「たった一発だけ打ち上がる花火……すごい特別な感じでしょ?」

梨子「ええ」

千歌「だからね、いつからかは分かんないけど、……あの花火を、『一緒に見た人はずっと一緒にいられる』って言われてるんだ」

千歌「ここ縁結びで有名な神社だしね」

曜「友達でも家族でも恋人でも……ずーっと一緒にいられるんだって!」

梨子「……!」

千歌「梨子ちゃん、ずーっと一緒だよ!」ニコッ

曜「えへへー」ニッ

梨子「二人とも……」

梨子「──うんっ! ずっと、一緒にいようね!」ニコッ

ーーーーー


梨子「ところでさ千歌ちゃん曜ちゃん」

千歌「なにー?」

梨子「なんで私に黙ってここまで来たの?」

曜「え。サプライズのほうが良いじゃん。驚いたでしょ?」

梨子「……うん。びっくりした。花火、綺麗だった」

千歌「ふふん、そうでしょ? 毎年ちょっと違ってていつも綺麗なんだよねー」

曜「なんで千歌ちゃんが得意気なのさ」

千歌「あはは」

梨子「二人とも……」

梨子「今日は、──ありがとう?」

曜「どういたしまして」ニカッ

千歌「へへ……でも梨子ちゃん、夜はこれから、お祭りもこれからだよ!」

梨子「……うん!」

テスト

♡

>>9はミスです。これが正しいです


ーーーーー

ちかりこ「「いただきまーす」」

曜「どうぞ召し上がれ」

千歌「あむ」

梨子「えっ、一口で!?」

千歌「うん」モグモグ

梨子「熱くないの?」

曜「内浦っ子ならみんなこうだよ」モグモグ

梨子「内浦すごい」

果南「嘘を教えるんじゃない」ペシッ

千歌「いたっ」

曜「果南ちゃん」

千歌「!?」

梨子「ダイヤさんに鞠莉さんも」

ダイヤ「こんばんは」

鞠莉「本当にnot hot? 千歌っち」

千歌「そんなわけないじゃないですか」ナミダメ

梨子「私を騙すために体張ったの? 呆れた」

曜「私は大丈夫」

梨子「果南さんたちも来てたんですね」

果南「えっ?」

果南「……うん、久しぶりにね」

鞠莉「私もたこ焼き食べたくなっちゃった♪ ダイヤ、果南、行こっ」

ダイヤ「分かりましたわ。あなた達、あまり遅くまで遊ばないように」

ちかようりこ「「「はーい」」」


>>13はミスです。これが正しいです


梨子「ところでさ千歌ちゃん曜ちゃん」

千歌「なにー?」

梨子「なんで私に黙ってここまで来たの?」

曜「え。サプライズのほうが良いじゃん。驚いたでしょ?」

梨子「……うん。びっくりした。花火、綺麗だった」

千歌「ふふん、そうでしょ? 毎年ちょっと違ってていつも綺麗なんだよねー」

曜「なんで千歌ちゃんが得意気なのさ」

千歌「あはは」

梨子「二人とも……」

梨子「今日は、──ありがとう♪」

曜「どういたしまして」ニカッ

千歌「へへ……でも梨子ちゃん、夜はこれから、お祭りもこれからだよ!」

梨子「……うん!」



二年生編 終わり



まだ続きます

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使える記号テスト


ダイヤ「……」カリカリ

ダイヤ「……」カリカリ

プルルル…

ダイヤ(電話……?)チラ

ダイヤ(……! 果南さんからですわね)パカ

ダイヤ「はい、もしもし?」

ダイヤ「……ええ……はい! もちろんですわ」

ダイヤ「……」

ダイヤ「……え? ルビィに?」

ダイヤ「はい……はい、分かりましたわ」

ダイヤ「それでは、また後で」ポチ


ーお祭り会場ー

鞠莉「……なんっっっで浴衣じゃ無いの!?」

果南「なんでって言われても」

ダイヤ「遅れてきてそうそうやかましいですわ」

鞠莉「私は果南とダイヤの浴衣を楽しみに今日一日を生きてたのよ!?」

果南「馬鹿じゃないの?」

鞠莉「それなのに……あぁ! ふっつう! 普通の洋服着てお祭りなんて二人にはJapanese mindは無いの!!?」

ダイヤ「あなたこそ着てないではないですか」

鞠莉「えー、だってアレって動きにくいじゃない? 遊びに行くのにはちょっと」

ダイヤ「喧嘩売ってますの?」イラ…

果南「落ち着いてダイヤ」

鞠莉「They are all jokes!」

ダイヤ「鞠莉さんッ!!」ダッ

鞠莉「あははははは」ダッ

果南「ちょっと二人ともー、走ったら危ないって……」

果南「……ったくもー……」ハァ…

果南「……ホント仲良いなぁ、ダイヤと鞠莉は」フフ


ーーーーー

ガシッ

鞠莉「うわっ」

ダイヤ「つ……捕まえましたわ……」ゼェ…ゼェ…

鞠莉「あ、金魚すくいだ。やろうよダイヤー」

ダイヤ「全く……あなたはいつもいつもいつも人をそうやっておちょくって……って、金魚すくい?」

鞠莉「誰が一番多く取れるか勝負!」

ダイヤ「……ふふ……鞠莉さん……私は、自分で言うのもなんですが……金魚すくいの達人ですわよ?」

鞠莉「そう言う割には今までやってるところを見たことがないんだけど」

ダイヤ「能ある鷹は爪を隠すものですわ」

鞠莉「へぇ……。お手並み拝見といこうじゃない」ニヤ

果南「お、金魚すくい?」

鞠莉「三人で勝負よ!」

果南「いいよ。やろう!」

鞠莉「おじさん、三人ねー!」


ーーーーー

ダイヤ「な……な……!」ワナワナ

果南「私は二匹取れたけど……」

鞠莉「私は一匹! で──、た、つ、じ、ん、さんは何匹取れたのカナー?」ニヤニヤ

ダイヤ「~~~ッ! この金魚達が悪いのですわ! 珍妙な動きばかりするこの金魚達が!!」

金魚「!?」ビクッ

果南「やめなよダイヤ……みっともない」

ダイヤ「……すみません、取り乱しましたわ」

果南「あーあ、金魚たち怯えちゃったじゃん。謝りなよダイヤ」

鞠莉「金魚って怯えたりするの?」

果南「魚たちは何でも分かるんだよ」

ダイヤ「……ごめんなさい金魚さん達」

鞠莉「まぁ……私もダイヤを煽りすぎたわ……ごめん」


果南「二人は三日に一回は喧嘩っぽいことして仲直りするねぇ」

鞠莉「喧嘩するほど仲が良いってね♪」

ダイヤ「そういうことにしておきますわ」

鞠莉「もちろん果南も大好きだよー!」

果南「ありがと」ギュー

鞠莉「oh! こんなところで……大胆♪」

ダイヤ「馬鹿なことやってないで行きますわよ」

鞠莉「馬鹿なこととは何よ」

果南「どこ行く? なんか食べようか」

ダイヤ「軽い物が良いですわね」

鞠莉「ならりんご飴なんてどう?」

果南「いいね。じゃあ買いに行こう」


ーーーーー

りんご飴屋「はい、みかん飴1個にりんご飴2個ね。好きなの取っていいよ。当たりが出たらもう1個!」

果南「当たり? そんなシステムあったっけ?」

りんご飴屋「去年からね」

果南「去年来てないや」

ダイヤ「ガリ〇リ君みたいですわね」

鞠莉「私あれで当たったことないんだけど本当に当たりってあるのかな?」

りんご飴屋「ガ〇ガリ君がどうかは知らないけど、うちのには50個に1個あるよ、本当。私もどれかは分かんないけどね……そうそう、ついさっきも出たよ」

鞠莉「ふーん……」

ーーーーー

鞠莉「当たるといいなぁ」ペロペロ

ダイヤ「2個も食べきれますの?」

果南「これを2個はお腹いっぱいになっちゃいそうだね」ガリッ

鞠莉「……当たりの棒を取っておいて、来年タダで貰うっていうのはどうかな?」ペロペロ

ダイヤ「駄目でしょうね」ペロ

鞠莉「駄目かぁ……」ガリ

ダイヤ「はい……」カリ

果南「久しぶりにみかんの方食べたけど美味しーなぁ」ペロペロ


ーーーーー

鞠莉「お腹も膨れたことだし、次は射的!」

ダイヤ「射的ですか……私はいいですわ」

鞠莉「どうして?」

ダイヤ「苦手だからです。というか以前言ったことありましたよね?」

鞠莉「ははっ☆」

ダイヤ「……」

鞠莉「なら果南と私の一騎打ち! 良い景品をとった方が勝ちだよ!」

果南「面白そうだね……おじさん、二人分」チャリ

鞠莉「フフ……」チャリ

射的屋「はい」カタン カタン

果南「よいしょっと」パン

鞠莉「早っ!?」

ダイヤ「でも外れましたわ」

果南「ダイヤに言われたくないな……」パンッ

鞠莉「私も……っ」パン

果南「……よっ」パン


パタン

果南「! ……やった! 3等!」

鞠莉「うぐぐ……」パンッ

鞠莉「やっ」パンッ

果南「1等を狙ってるの? あれは難しいよー」

鞠莉「……」パン

ダイヤ「あと1発……」

鞠莉「んー……」

鞠莉「うりゃ」パンッ

パコッ

鞠莉「……やったぁ!!!」

射的屋「はぁー……またかよ……」

果南「えっ、さっきも1等当てた人出たの?」

射的屋「曜ちゃんだよ。毎年恒例だ」

果南「あぁ……」

鞠莉「景品は? 景品はなに?」ワクワク

射的屋「祭りの買い物券」スッ

鞠莉「おー!」

果南「3等は飴玉……完璧に負けたね」

鞠莉「ふふーん♪」


ーーーーー

ダイヤ「えらく自信たっぷりでしたけど、もしかして射撃を習ったりしてたんですの?」

鞠莉「あ、バレた? ちょっと嗜み程度にシャイニーしたことがあったんだー」

果南「シャイニーするって何なのさ……あ、千歌たちだ」

エッ、ヒトクチデ!?

ウン

ウチウラッコナラミンナコウダヨ

ウチウラスゴイ

果南「嘘を教えるんじゃない」ペシッ

千歌「いたっ」

曜「果南ちゃん」

千歌「!?」

果南(え? なんでそんなに驚く?)

梨子「ダイヤさんに鞠莉さんも」

ダイヤ「こんばんは」


鞠莉「本当にnot hot? 千歌っち」

千歌「そんなわけないじゃないですか」ナミダメ

梨子「私を騙すために体張ったの? 呆れた」

曜「私は大丈夫」

梨子「果南さんたちも来てたんですね」

果南「えっ?」

果南(……あっ! 忘れてた……!)

果南「……うん、久しぶりにね」

鞠莉「私もたこ焼き食べたくなっちゃった♪ ダイヤ、果南、行こっ」

ダイヤ「分かりましたわ。あなた達、あまり遅くまで遊ばないように」

ちかようりこ「「「はーい」」」


ーーーーー

鞠莉「たこ焼き12個! 私の奢りだー!!」

ダイヤ「奢りなんて悪いですわ。払います」

果南「えー、奢ってくれるって言うんだから素直に貰えば良いのに」パク

ダイヤ「そんなわけには……ってもう食べてますの!?」

果南「熱いものは熱いうちに食べた方が美味しいよ?」

鞠莉「さっきの景品で買ったんだから、別に気にしなくていいのに」

ダイヤ「はぁ……ではいただきます」モグ

果南「あ」

ダイヤ「っ! あっつい!!? ゲホ! えほっ、ぅえ……」

鞠莉「何やってんのダイヤ……」


ダイヤ「っよく……普通に食べられますわね……果南さん……」

果南「これが内浦じゃ当たり前らしいからね」

鞠莉「まさか! 本当に内浦生まれ内浦育ちの生粋の内浦人は……そんな特殊能力を……!?」

ダイヤ「ないですわ。あったら私はこんなことにはならないでしょう」

果南「はは……こっちのやつは作り置いてあったやつだからさ。少し冷めてたんだよ」

ダイヤ「先に言ってください! ……はぁ……お茶を買ってきますわ……」

果南「自分で確認しなよそれくらい……たまにおっちょこちょいなんだよなぁ」

鞠莉「……あっ、そろそろ花火の時間じゃない?」

果南「えっ。……あ、ヤバイ、本当だ。もう行かなきゃ」

鞠莉「ダイヤー、行くよー!」


ーーーーー

果南「良かった、間に合った。……普通に出てきちゃったけど、ここ明かり少ないし気づかれないよね?」

ダイヤ「人もそれなりにいますし、大丈夫でしょう」

鞠莉「そろそろね──!」

果南「お」

…パァァアン

鞠莉「……So beautiful!」

ダイヤ「花火というものはいつ見ても美しいものですわね……」

果南「三人で見るのは……三年ぶりだね」

ダイヤ「……そうですわね」

鞠莉「いつまでも一緒にいられるのよね、これを見たら。……でも嘘っぱちね」

果南「なんで?」

鞠莉「だって私達、二年間もすれ違って、離れ離れになって……」

ダイヤ「しかし、それも互いを想った結果でしょう?」

果南「ダイヤ……」


ダイヤ「それに、今こうして三人でまた笑って花火を見ている……それで充分ではないですか」ニコッ

果南「……そうだね」

鞠莉「うん、たまには良いこと言うね。ダイヤ」

ダイヤ「たまにはってどういうことですの……!?」ムギュー

鞠莉「いたたたた」ムギュー

鞠莉「……ちょっとダイヤぁ! 顔は女の命! ましてやschool idolなのよ私は!!」

ダイヤ「知ってますけれど」

鞠莉「ぬぐぐ……」

果南「あっはははは!」

鞠莉「!?」

ダイヤ「えっと……そんなに面白かったですか? 今のやり取りが?」

果南「いや……違くて……」

果南「昔から本当に変わんないなぁって」

ダイヤ「そう……でしょうか? 結構変わったと思うのですが……」

鞠莉「うんうん」

果南「いや、変わらないよ」

果南「……でも、それでいい」

果南「……ずっと変わらない私達で、いようね」

まりダイ「「……!」」

鞠莉「Off course!」

ダイヤ「もちろんですわ」

果南「ふふ」

果南「約束──だよ?」



三年生編 終わり



善子「……」

善子母「さっきから携帯の画面じっと見つめてどうしたの?」

善子「いや……なんでもない……」

善子(……もちろんなんでもないわけはない。私は今、電話をかけようとしている)

善子(相手はルビィと花丸。今日のお祭りに誘う予定だ)

善子(友達を電話で遊びに誘う……なんというリア充……)ウットリ

善子(しかしそう思い立ったはいいものの、これがなかなかどうして緊張する。いや……あるいは……私の中の何らかの何かが何らかの理由で『それ』を拒んでいるのか……)

善子(そんな感じで、かれこれ15分は携帯の画面に映し出されたルビィの電話番号を見つめてばかりいる)

善子(……)

善子(あぁもう! なんで!? なんで電話をかけるなんて簡単なことが出来ないのヨハネ! いや津島善子!)

善子(そりゃ確かに電話なんてあんまりしたことないけど! かける友達もいなかったけど!)

善子(友達とお祭りだなんて最っ高の青春イベント、みすみす逃すわけにはいかないわ!)

善子(……もうメールでも……)

善子(……いや! 駄目よ! リア充は電話をするものなのよ! よく知らないけど)

善子(そうよ……覚悟を決めなさい私……『今日の夜、お祭りに行きましょう……もちろん答えはYesよね? ふふ、リトルデーモンは私の命令には逆らえないのよ?』とか、そんなんでいいのよ……)スー…ハー…

善子(……今だっ!)

プルルルル


善子「うわぁ!!? なんで押してないのに鳴るのよ!」

善子母「どうしたの?」

善子「あ……大丈夫……大丈夫」

善子(……)

善子(!)

善子(ルビィからの電話じゃない!)ピッ

ルビィ『あ、善子ちゃん? 今日』

善子「お祭りに行かない!?」

ルビィ『えっ』

善子(しまった……いきなり何言ってんの……)

ルビィ『……うん、いいよ?』

善子「え……え、本当に!!?」

ルビィ『うん』

善子「あ、あの、待ち合わせ場所はどこにする? 何時?」

ルビィ『あ、その前に善子ちゃん、あのね』

ーーーーー

ルビィ『じゃあお祭りでねー』

善子「うん、それじゃあ」ピッ

善子「……っはぁー……」

善子(……こうもやすやすとかけてくるとは……)

善子(流石はルビィね)

善子(……みんなでお祭り、かぁ)

善子(……)

善子(ふへへ……)ニヤニヤ


ーお祭り会場ー

ワイワイガヤガヤ

花丸「甘い匂いがするずらぁ~!」キラキラ

ルビィ「本当だぁ~!」キラキラ

善子「何かしらこの匂い」クンクン

花丸「これは……りんご飴!」

ルビィ「食べたい」

花丸「行こう!」

ルビィ「うん!」

善子「あっ……ちょっと! 待ちなさいよ!」

ーーーーー

花丸「美味しいずら」ガリ

善子「豪快に行くわねアンタ……」ペロ

ルビィ「当たってるといいねー」ペロペロ

善子「私はどーせ当たらないわ。なぜなら……私は地上に堕とされた時に、運気を奪われてしまったから」

花丸「へぇー」バリ

善子「少しは興味持ちなさいよ!!」


ルビィ「でも、何度も聞いてるし……神様が善子ちゃんの可愛さに嫉妬しちゃったんだよね?」

善子「ヨハネよ!! ……ふ、まぁ、その通りよ。少し違うとすれば『可愛さ』ではなく『美しさ』──ね」

ルビィ「ふーん……」ペロペロペロ

善子「……」ガリッ

善子「……それにしてもりんご飴に最初に目をつけるとは、なかなかリトルデーモンとしての才覚があるじゃない? あなたたち」

花丸「どうして?」

善子「りんごっていうのはね……闇の果実なのよ」

ルビィ「そ、そうなのぉ!?」

善子「そうよ。死神だってりんごが好物なんだから」ペロ

花丸「どうせ善子ちゃんが勝手に言ってるだけずら」

善子「違うわよ! 死神に関する書物でちゃんと読んだんだから!」

花丸「はいはい」

善子「流すなぁーーーっ!!!」

ルビィ「あはは……」ニガワライ


ーーーーー

ルビィ「……あっ」

善子「どうしたの?」

ルビィ「これって……!」

花丸「棒の先が赤くなってる……マルのはなってなかったけど……! もしかして!?」

善子「当たったの!?」

ルビィ「そう、みたい」

善子「すごいじゃない!」

花丸「すごいねー!」

善子「……でも二本目……いくの?」

ルビィ「うーん……二個はちょっと……いらないかなぁ……。花丸ちゃんいる?」

花丸「えっ!? くれるの!?」

ルビィ「うん」

花丸「ありがとうずら~♪」

善子「飲み物無しじゃきついでしょ。なんか買ってくるわ、何が良い?」

花丸「あ、ありがとう~。緑茶でいいよ、お金は後で渡すずら」

ルビィ「私も行くよ、善子ちゃん」テテッ


ーーーーー

善子「うぅー、冷たいっ!」ゴクゴク

ルビィ「お祭りとかの氷水に入ったペットボトルって、なんかいいよね」ゴクゴク

善子「あ? そ、そうね。良いわよね」

善子(わからないけど……)

善子「……ん」ピタ

ルビィ「? どうしたの、善子ちゃん」

善子「……美味しそう」ボソッ

ルビィ「?」チラッ

ルビィ「……わたあめ?」

善子「はっ。い、いやいや! いらないわよ! わたあめなんて女子供の食べるもの……」

ルビィ「女の子だよね」

善子「……」

ルビィ「食べたいんでしょ? ……食べたことないの?」

善子「……ない」

善子「ま、まぁ? 天界にいた頃はよく食べてたけどね。地上の奴なんてどーせ天界の劣化版でしょ」

ルビィ「……むー」プク

善子「え……そんなむくれてどうしたのよ」

ルビィ「地上のわたあめだって美味しいんだよ! ルビィ大好きなんだから!」

善子「えっごめん」

ルビィ「ついてきて!」ガシッ

善子「あっはい」



ーーーーー

善子「うは……ふっわふわ」

ルビィ「食べてみて」

善子「……いただきます」モフ

善子「……」

善子「美味しい……!」

ルビィ「でしょ?」フフッ

善子「さらっと溶けていくこの直球の甘さ……」モフモフ

善子「クセになるっていうか……一旦味わうと引きずり込まれる甘さっていうか……」モグモグ

ルビィ「ほ、褒めすぎじゃない?」

善子「いや、本当に美味しいわこれ。いちご味なのね」

ルビィ「そうだよ。善子ちゃん、いちご好きだったよね?」

善子「……そんなこと、覚えててくれたの?」

ルビィ「うんっ! 友達だもん!」

善子「あ、ありがとう……」モフモフモフ

善子「……」モフ

善子(……やっばぁああ……。超嬉しい……。顔にやけてないかな……真顔を保たないと……)

ルビィ(!? ルビィ何かしたのかな……善子ちゃん、すごい顔してる……)

善子(平常心……平常心よ……)モフモフ

一年生編後半は明日か明後日投下します


ーーーーー

善子「お待たせー」

花丸「遅いよー、どっかで迷子になってるのかと思っちゃったずら」

ルビィ「ごめんなさい……」

善子「ていうかもう食べ終わったの? 早いわね。これお茶」

花丸「ありがとー」ゴクゴク

善子「次どこいく? なんか遊びたいわね」

ルビィ「じゃあ、射的とか?」

善子「射的……フフ。いいわ、腕が鳴るわね」ニヤリ

花丸「フラグずら~」

善子「なんか言った?」

花丸「何も」

ーーーーー

花丸「あれ、はぐれちゃった」キョロキョロ

花丸(どうしよう……あっ、そっか、射的の所に行けば普通に会えるずら)

花丸(射的は……向こう……。!)

花丸(マ、マルの目の前にある、このお店は……! この美味しそうな香りは……!)


ーーーーー

善子「……で、何してんのよずら丸」

花丸「たこ焼き美味しいよ? 食べる?」モグモグ

善子「会話をしなさいよ会話を」

ルビィ「善子ちゃん、射的は後で行くとして、私達も食べる?」

善子「ん……いや、私はいいわ」

ルビィ「……花丸ちゃんもう食べ終わりそうだし、ルビィもいいかな」

善子「……あ、いや、待って。 一舟限定の……激辛たこ焼き?」

花丸「すっごい辛いらしいずら。……まさか、食べるの?」

善子「美味しそうね。おじさん、激辛一つ」

花丸「本当にいっちゃった……」

たこ焼き屋「えぇっ、本当に? 辛いよ?」

善子「承知の上よ」

たこ焼き屋「……いい目をしてやがる……その気風の良さそうな感じも良い……気に入った! 気合い入れて作ってやるよ」

善子「並の辛さじゃ私は満足しないわよ?」

たこ焼き屋「言ってくれるじゃあねえか……」

ルビィ(えっと……なんだろうこの雰囲気)


ーーーーー

たこ焼き屋「お待ち」

善子「ありがとう」チャリ

善子「──いただきます」

善子「ふー、ふー」

善子「あむ」

善子「……」ハフハフ

善子「んー……美味しいっ!」パァァ

たこ焼き屋「なッ」

善子「堕天使の涙のほうが辛いわね。でも丁度いい辛さ、美味しいわ」モグモグ

ルビィ「そんなに辛くないの?」

善子「ええ。食べる?」

花丸「はー、美味しかったずらー」

ルビィ「それなら……一個……」

花丸「ん?」

ルビィ「ふー、ふー」

花丸「えっ、ルビィちゃんなんでそれ食べようとして」

ルビィ「あむ♪」


花丸「……」ミミオサエー

ルビィ「……ぴぎゃぁぁあああああ!!?」

たこ焼き屋「うおっ」

ルビィ「よよっ、善子ちゃん! ゲホ! えほっ……うぇ……」

善子「だ、大丈夫ルビィ……?」

ルビィ「これ、辛いよ!」

善子「そうでもないでしょ?」

ルビィ「え……」

善子「?」キョトン

花丸「ルビィちゃん……海の家でのこと忘れたずらか?」

ルビィ「覚えてるけど、だって辛くないっていうから」

花丸「純粋すぎるずら……善子ちゃんの『辛い』とルビィちゃんの『辛い』は別物なんだよ?」

ルビィ「身にしみてわかったよ……」

善子「本当に美味しいわねー、これ」モグモグ

たこ焼き屋(俺でもギリギリなくらいの辛さなのに……)


ーーーーー

ルビィ「射的楽しかったねー! でもみんな外れちゃったから景品は貰えなかったね。もうすぐ花火だから良く見える所に行かなきゃ」

花丸「場面の説明ありがとうねルビィちゃん」

善子「花丸?」

ルビィ「あー、花丸ちゃんベビーカステラ持ってる」

善子「いやそこじゃなくて……もういいや」

花丸「善子ちゃんがやってる時に買ったの。みんなで分けて食べようね」

ルビィ「わーい! ありがとう花丸ちゃん!」

花丸「いえいえ~」

ルビィ「美味しい~♪」モグ

善子「一個ちょーだい……って、私のもちゃんと見てなさいよ!」

花丸「自分で取ってよ……はい」

善子「……ありがと」パク

善子「……」

善子「ねぇ、花火が良く見える場所っていうのがあるのよね?」


花丸「そうだよー」パク

善子「そこに向かってるわけよね? でもこっちに来てる人があんまりいない気がするけど。暗いし」

ルビィ「わざわざ見ようって人はあんまりいないから……。あと、まだ少し早いし」

花丸「お祭りの真ん中でも見えることは見えるずら」パク

善子「ふーん……」ガサ

善子「随分狭い道を通るのね」

花丸「普通は通らない道だからねぇ」パク

善子「はぁ!? なんでそんなとこ通るのよ!」

ルビィ「だって、気づかれないように行かなくちゃ……」

善子「あ、ああ。そうだったわね……」


花丸「善子ちゃんはすぐ忘れちゃうんだから」パク

善子「そんな設定ないから! ……あ、少し広い道に出たわね」

ルビィ「ここはみんなが使う道だよ」

花丸「急いで向こうの方行かなくちゃね」パク

善子「っていうかアンタ流石にノンストップ過ぎじゃない?」

花丸「一口サイズだからつい食べちゃうずら」パク

ルビィ「太っちゃうよ……?」

花丸「これくらい大丈夫ずらぁ~」ポロ

善子「? なんか落としてるわよ」

花丸「え?」


花丸「……あーーーっ!? ベビーカステラの袋に穴がーーーっ!!!」

ルビィ「わっ、本当だ、通ってきたところにカステラが点々と落ちてる……」

善子「さっきのとこで枝かなんかに引っ掛けたのね」

花丸「もったいない……」

善子「……拾うんじゃないわよ」

花丸「えっ!? はは……いやだなぁ善子ちゃん。いくらマルでもこんなに砂のついたカステラは……」チラッ チラッ

善子「未練たらたらじゃないの!」

ルビィ「花丸ちゃん、行こっ。早く行かなきゃ、来ちゃうよ?」

花丸「あぁ~……マルのベビーカステラ……」

善子「諦めなさいよ……」


ーーーーー

善子「……少し人が増えてきたわね」

ルビィ「やっぱり、一番いい所で花火を見たいって人もいるからね」

花丸「ベビー……カステラ……」パク

善子「いつまで言ってんのよ」

善子「……」

善子(も、もうすぐね……)ワクワク

善子(ここの花火を見たらずっと友達でいられるのよね……中学の時にクラスの子が話してたのを聞いた)

善子(その時からの私の夢──友達とこの花火を見ること──がついに叶うのねー!!)ドキドキ

ルビィ「もうすぐだよっ。花丸ちゃんも空見て!」

花丸「ずらー……」

善子「あっ」

…パァァアン


善子「うわ……うわぁ……!」キラキラ

花丸「今年も綺麗ずら~」

ルビィ「ちゃんと見れて良かったね!」

善子「……ふ、ふふふふふふふ」ニタァ

ルビィ「ピギィ!? ど、どうしたの善子ちゃん……怖いよ……」

善子「あ、あなた達! このヨハネと共にあの花火を見たわね!」

花丸「見たよ?」

善子「ふ、フフ……今更後悔しても遅いわよ? いい? あなた達二人とも、ずーっと……私のリトルデーモン、なんだからねっ!!」

ルビィ「……」

花丸「……」

善子「……な、何よ? なんか……不満?」

ルビィ「……ううん、ぜーんぜん♪」

花丸「これからもよろしくね、善子ちゃん♪」

善子「う、うん」

善子「……」

善子「って! ヨハネ! ヨハネだってばぁーーーっ///!!!」




一年生編 終わり



千歌「あ、果南ちゃん? おはよー」

果南『おはよう。どうしたの千歌? もしかして今日練習ある?』

千歌「ないよ」

果南『じゃあ、何の用? あ、そういえば今日お祭りだよね。みんなで行く?』

千歌「あ、そのことで電話したんだけどね、果南ちゃん、ダイヤさんと鞠莉さんと行きなよ。私は曜ちゃんと梨子ちゃんと行くから」

果南『どうして? みんなで行けば良いじゃん』

千歌「えー、だって九人で回ったら邪魔になっちゃうよ」

果南『あー……それは確かに』

千歌「それにさ……ふふふ……梨子ちゃんをびっくりさせたいんだよねぇ……」

果南『びっくり?』


千歌「そう! 最初は別々に行って、花火の時にみんなに集まって欲しいんだ。梨子ちゃんには気づかれないように!」

千歌「あの花火を見たあとにふと周りを見てみたらみんながいる……素敵なサプライズでしょ!?」

果南『ふーん……なかなかロマンチックだね』

果南『良いよ。分かった。一年にも伝えとく?』

千歌「えっ。果南ちゃん電話してくれるの?」

果南『ダイヤにルビィに伝言してもらえばいいでしょ?』

千歌「そっかぁ。ありがと、じゃあよろしく! あ、集合場所は『花火のところ』ね」

果南『あそこね。わかった』

千歌「いーい? 梨子ちゃんにみんながいるって気づかれないように、だよ?」

果南『それって結構な無茶ぶりだと思うんだけど……不可抗力でばったり会っちゃっても怒んないでよ? じゃ、夜にねー』

千歌「はーい」


ー『花火のところ』ー

梨子「……あのさ」

千歌「ん? どしたの?」

梨子「この花火、私たちだけじゃなくて、みんなで見たかったなー……なんて。なんで、みんなも誘わなかったの?」

曜「すぐ近くにいなくてもさ、……見上げる空は、みんな同じなんだよ」

梨子「急にそんな詩的なこと言われても……」

善子「わっ!!!」

梨子「うわぁ!!?」ビクゥッ

梨子「……よ、よっちゃん!? なんで!? みんなも!」


果南「はは、そんなにビックリしてもらえるとサプライズのしがいがあるなぁ」

梨子「さ……サプライズ?」

鞠莉「That's right!」

花丸「梨子さんを驚かせようとしたずら」

ルビィ「だ、大成功ですっ!」

ダイヤ「ちなみに首謀者は千歌さんですわ」

梨子「どういうこと千歌ちゃん!?」

千歌「シュボーシャって……何?」

梨子「そんなことはどうでもよくて! なんでこんな……ドッキリみたいなことを?」

千歌「面白そうだったから……あと梨子ちゃんの驚く顔が見たかったから!」

梨子「……そんなことだろうと思った。つまり特に意味は無いと」

千歌「意味はあったよ。梨子ちゃんの驚き顔可愛かったー!」

梨子「何言ってるんだか……」ハァ


花丸「ん」グゥー

善子「嘘……でしょ……?」

果南「なんも食べてないの?」

ルビィ「むしろ結構食べました……はは」

曜「焼きそば食べよーよ。私達まだ食べてないんだ」

鞠莉「いいねぇ」

ダイヤ「では、行きますか」

千歌「わーい! ……ん」

千歌「梨子ちゃーん、みんな行っちゃうよーっ」

梨子「うん……」

千歌「……梨子ちゃん? ……泣いてるの?」

梨子「ふふっ、なんで泣くのよ? ぼーっとしてただけ。すぐ行くよ」

千歌「わかった」


ーーーーー

花丸「美味しいずら」モグモグ

果南「なんで花丸だけお好み焼きなの?」

善子「麺類嫌いなのよ。食いしん坊のくせに」ズルッ

ルビィ「関係あるかな?」

曜「なんか味薄いなぁ……」モグ

千歌「千歌のは濃い……」パク

鞠莉「私のは丁度良くシャイニーーーッ!!!」

梨子「シャイニーってなんですか?」

ダイヤ「意味は無いです言いたいだけです」

梨子「はは……」


梨子(ここに引っ越してくることが決まった時、私には不安しかなかった)

梨子(……不安……というか、半ば諦めのような念もあったかもしれない)

梨子(どうせ何も変わらない、そして新しい環境に馴染めず、さらには友達も出来ず孤立していくのだろう……と)

梨子(……そんなことはなかった)

梨子(空を振り仰いで見れば、それは東京で沈んだ気分の時に見たものと同じ)

梨子(いつだって変わらずそこにある)

梨子(……いつまでもみんなと一緒、なんて無理──そんなこと言うのは野暮だよね)

梨子(叶うのなら……これからもずっとみんなといられますように)

梨子(この楽しい時間が、永久に、私たちのものでありますように)



Aqours編 終わり


上手くまとめられませんでしたが終わりです

最後まで読んでくださった方、ありがとうございます

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