お嬢様「わぁ、お空きれい」執事「そうですね」 (3)


お嬢様「…そうですね、って。何かもうちょっと気の利いたこと言えないの?」

執事「私にそういうものを求められても困りますよ」

お嬢様「相変わらずつまらない男ね」

執事「お嬢様も大して面白い人間ではありませんよ」

お嬢様「し、執事の分際で……」

執事「まぁ、執事とか主従とかはもはや関係ないでしょう」


執事「たった今、世界は滅びたのですから」

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お嬢様「…それ言っちゃあ、元も子もないというか…」

お嬢様「ていうかアンタ、こうなる前から割と生意気だったわよね?」

執事「記憶にありませんね」

お嬢様「まったく…お父様も、なんでこんな奴を教育係にしたのか…」

執事「はいはい、愚痴はそこまでにして。無事世界の終わりも見届けたことですし、ご飯にしましょう」

お嬢様「……アンタ、何か、もっとこう…」

執事「はい?」

お嬢様「…いや、いいわ。早く支度をしなさい」

執事「畏まりました」


お嬢様「……で、何よこれは」

執事「缶詰ですが?」

お嬢様「そんなの見ればわかるわ!私が聞いてるのは『何よこの気の抜けた夕食は!』ってこと!」

執事「そう言われましても…貯蓄庫にあった食材から作れる料理がこれくらいしかなかったもので」

お嬢様「…あー」

執事「ガスはまだ何とかなるのですが、もう電気は絶望的でですね…」

お嬢様「…冷蔵庫も、もう使えないってこと?」

執事「そういうことになります」

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