比奈「ひなさな!」紗南「あやしい!」 (26)


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奈緒「ななおひなぎさ!」渚「ボウリングだッ!」
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紗南(最近、比奈さんが頻繁に運動している)

紗南(年下として失礼かなとは思うけど、比奈さんを面倒くさがりの引きこもり体質だって認識しているのは間違いじゃないはず)

紗南(お願いしなくても一緒にゲームしてくれる比奈さんは間違いなくインドアだ)

紗南(でも、この間はレッスンでもないのに顔が赤くなるくらい廊下を走ってた)

紗南(その2日後くらいには、あのストイックの塊みたいな夏美さんとランニング)

紗南(さらにその数日後には、奈緒さん菜々さん渚さんとボーリングに行ったらしい)

紗南(……おかしい)

紗南(「あの」比奈さんがそんなアクティブな人間になるなんて!!)

紗南(うちじゃ1番古株で、アニメとか漫画とかの雑誌インタビューで定期的に稼いでいるようなサブカルアイドルの比奈さんが!!)

紗南(ひょっとしたら……比奈さん……)

紗南(スポーツアイドルにスタイルチェンジする気なのかも!!)


……事務所、お風呂場……


ガチャッ

紗南「比奈さん! ちょっといい!?」

比奈「んぐ?」ゴクッ

紗南「あ、それ飲んでからでいいよ」

比奈「ん、ん」ゴクゴク

紗南「……せめて服着てから飲んでよ……タオル巻いてるだけじゃん……」

比奈「ぷはっ! いやー、血管をコーヒー牛乳が駆け巡る感覚っていうのを急いで確かめたくてでスね……」

紗南「何その感覚」

比奈「血管をコーヒー牛乳が駆け巡ったら死ぬそうでスよ」

紗南「そりゃそうだよ」


比奈「あ、紗南ちゃんも飲みまス?」

紗南「私はいいや……それより早く着替えてよ……」

比奈「はいはい」スルスル

紗南「レッスン終わりのお風呂だからって気が緩みすぎだよ……」

比奈「お恥ずかしい」エヘヘ

紗南「本当に恥ずかしがってる? 下着姿で言われても説得力ないよ?」

比奈「まだ体が火照ってるので大目に見てほしいっス」

紗南「そのお風呂上がりの気持ちは分からないでもないけどね……」

比奈「ところで、そんな張り切ってどうしたんスか?」

紗南「あ、そうだった! 比奈さんを尋問しに来たんだよ!」

比奈「尋問!?」


紗南「最近の比奈さんはおかしい!」

比奈「お、おかしいと言われましても……」

紗南「急に運動好きみたいになっちゃって!」

比奈「……そんな風になった覚えはないんスけど?」

紗南「何言ってるの! この間顔が真っ赤になるまで廊下走ってたくせに!」

比奈「この間……?」

比奈(ああ、膝枕事件の時の……)


比奈「ま、まああれには深い事情が……」

紗南「深い事情……?」

比奈「そうなんスよ。だから別に走りたくて走ってたわけじゃ……」

紗南「じゃあなんで顔真っ赤にして走ってたの?」

比奈「あー……それはその……」

紗南(言い淀んでる……言い出しにくいことなのかな……それこそスポーツアイドルに転身するような……)

比奈「(里奈ちゃんの膝枕が)柔らかくて」

紗南「どういうこと!?」


比奈「あっ、いや、柔らかいってのはそのー」

比奈(しまったなー……やっぱり安易に膝枕受け入れてるようじゃ年上としての面目が……このままじゃマズイっスよね……)

紗南(柔らかい……? まさか、自分の体のお肉が気になってるのかな……?)

紗南(はっ! ということはつまり、あの時走ってたのはダイエットのため!?)

紗南「大丈夫だよ! 比奈さんはそのままでも!」

比奈「えっ、このままでいいんスか!?」


紗南「ちなみに、どこが柔らかかったの?」

比奈「踏み込みまスね!?」

紗南「だって聞かないとアドバイスできないよ?」

比奈「アドバイス!? 何に対して!?」

紗南「二の腕……それかお腹かな?」

比奈「何故その部位!?」

紗南「えっ、だって二の腕とお腹が特に気にならない?」

比奈「普通太股っスよ!」

紗南「あーそうだね、それもあるね」

比奈「10人に聞いたら9人は真っ先に太股の感想だと思うんスけど」


紗南(でも太股かぁ……比奈さん仕事の時以外は基本ジャージだからよくわからな……)

紗南(あっ、ちょうど今下着姿じゃん!)

紗南「比奈さん、ちょっとごめんね」モミッ

比奈「わひゃあ!?」

紗南(うーん、そんな肉が気になるような柔らかさじゃないと思うんだけどなぁ……見た目も綺麗だし……)モミモミ

比奈「ちょっ、やめっ、くすぐったい!」

紗南(むしろこれくらいが比奈さんのベストじゃないのかな……これ以上細くしてどうするんだろ……)モミモミモミモミ

比奈「やめい!」ビシッ

紗南「あうっ」


比奈「いきなり何なんスか!」

紗南「いやだって、比奈さんが太股が柔らかいんだって……」

比奈「私のことじゃないっスよ!?」

紗南「えっ!? 比奈さんのことじゃないの!?」

比奈「当たり前じゃないっスか!!」

紗南「じゃあなんで走ってたの!?」

比奈「(里奈ちゃんの太股が)柔らかくて(お母さん呼びしちゃったのが)恥ずかしかったからっスよ!!」

紗南「(自分の体が)柔らかくて(スポーツアイドルとしては)恥ずかしいからでしょ!?」

比奈「何なんスか!!」

紗南「こっちのセリフだよ!!」


紗南「はぁ、はぁ……じ、じゃあ、夏美さんとトレーニングしてたのは何なの?」

比奈「ぜぇ、ぜぇ……な、夏美さん……?」

比奈(ああ、あの衣装問題の時の……)

比奈「あの時こそ走りたかったわけじゃなかったんでスけど……」

紗南(うちで一番運動ができる夏美さんと比奈さんが一緒に走るなんて……体を絞る以外に理由は考えられないけど……)

比奈「(夏美さんの着替えが)ムチムチだったんで、つい……」

紗南「やっぱり!!」

比奈「失礼っスね!?」


紗南「やっぱりスタイル気にしてるんだー!!」

比奈「そ、そりゃあ仮にもアイドルでスし……」

紗南「少しくらい肉ついてたって問題ないよー!!」

比奈「紗南ちゃんのそのこだわりはなんなんスか!?」

紗南「比奈さんはそのままのスタイルが1番だよー!! そのままでいいよー!!」

比奈「……さっきから紗南ちゃん、なんで私の身体の話に持っていってるんスか?」

紗南「さっきからずっと比奈さんの話だよ!!」

比奈「……私、ほとんど自分の身体ことは話してないんスけど……?」

紗南「……え?」




比奈「ん?」

紗南「んん?」



……数分後……


比奈「……いやいや、スポーツアイドルになんてシフトできるわけないじゃないっスか……」

紗南「だってー! 最近比奈さんは運動しすぎだったんだもん!」

比奈「不可抗力だったんスよ。まあボーリングは能動的ではありましたが、あれはただ遊びに行っただけでスし」

紗南「でもよかったー! 比奈さんが比奈さんのままで!」

比奈「別に私がスポーツアイドルになっても……いや、なりませんけど……なっても紗南ちゃんに不都合はないんじゃ……」

紗南「……だって比奈さんがアウトドアな人になっちゃったら……一緒にゲームできないし……」

比奈「菜々さんと奈緒ちゃんがいるじゃないっスか」

紗南「……菜々さんも奈緒さんも遊んでくれるけど……比奈さんと遊べなくなるのは別の話……」

比奈(かわいい)


紗南「それにしても……比奈さんも顔を真っ赤にして恥ずかしがることあるんだねー」

比奈「そっ、それは……」

紗南「年下の里奈さんをお母さんって呼んじゃうなんてうっかりだね!」

比奈「やめて!! 辱めないでほしいっス!!」

紗南「いやーどーしよっかなー?」ニヤニヤ

比奈(うわぁ、小悪魔的な笑顔……)

紗南「麗奈あたりに言っちゃおうかなー?」

比奈「そ、それだけは勘弁を……」

紗南「内緒にしてほしい?」

比奈「で、できれば……」

紗南「それじゃあ……」


……翌日、事務所……


紗南「だーっ! またやられたーっ!」

比奈「はっはっは! 甘い甘い、どこぞの少佐が飲んでる砂糖とミルクアリアリのよく練られたバンホーテンのココアより甘甘っスねぇ!」

紗南「何でこんなに落ちゲー上手いの!?」

比奈「ふふーん。折りたたみ式ガラケー時代を経験している人間は落ちゲーが上手くなるんスよ」

紗南「そんなの聞いたことないけど」

比奈「里奈ちゃんもチョー上手いっスよ。スピンとかえげつないっス」

紗南「里奈さんが? なんか意外……」

比奈「あれは携帯弄れば弄るだけ上手くなるゲームでしたからねー。月額100円のアプリとか流行った時代の猛者はそれはもうえげつなかったっス」

紗南「ぐぬぬ……ジャンル変更! 連鎖する方で勝負しよ!」

比奈「ほほう……それなら私は4コンボまでは確実に出来まスよ?」

紗南「自慢するレベルではないよね」


比奈「ところで紗南ちゃん」

紗南「なにー?」ゴロン

比奈「内緒にしてもらう代わりの事とは言え、私の膝を枕にしてのゲームって辛くないんスか?」

紗南「ゲームパッド使ってるから大丈夫だよ?」

比奈「そういうことではなく……その……」

紗南「寝心地も触り心地も最高だけど?」モミモミ

比奈「やめい」ペシッ

紗南「あいたっ」


紗南「でもでも、気持ちいいのは本当だよ?」

比奈「喜んでいいのやら……」

紗南「この膝枕は誇るべきだと思うよ!」

比奈(……膝枕か……変な気分っスねー……)

紗南「~♪」

比奈(里奈ちゃんもこんな気分だったんでスかね……なんかこう、庇護欲に似た何かがふつふつと……)

比奈「…………」ナデリ

紗南「うん?」ピクッ


比奈(うーん、紗南ちゃんともっと身近な関係だったら……)ナデナデ

紗南「どうしたの急に」

比奈(お風呂上りに髪をお互いに乾かしあって、櫛で優しくとかしたら長い三つ編みを結ってあげたい……)ナデナデナデナデ

紗南「ちょ、比奈さ……」

比奈(私にもうちょっと身長があれば、膝の中にすっぽり収めて一緒にゲームしたかったな……)ナデナデナデナデナデナデナデナデ

紗南「強い!! 撫でるの強いよ!?」

比奈「おおっと、失礼しました」パッ

紗南「もー、急に何なのさ……あーあー、髪の毛ボサボサだよ……」

比奈「これはいけないっスね! とかして結ってあげまスよ!」ニコニコ

紗南「……何でそんなニコニコしてるの?」


比奈「折角なんで髪型変えてみましょう。ポニーテールとか」

紗南「それ多分あたしでもできる……」

比奈「いいからいいから、ここは私に任せてほしいっス。なんと都合のいいことに櫛とシュシュがここに!」バーン!

紗南「それ里奈さんの私物……まあいっか。それじゃあちょっとお願いしようかな……」

比奈「痛かったら言ってくださいねー」

紗南「痛かったら!?」



里奈「…………」ジーッ


夏樹「……何やってんだ?」

里奈「あ、夏樹っち! はよーっす☆」

夏樹「おはよ。中に入らないのか?」

里奈「そっと中見てみるぽよ」

夏樹「……何かあるのか?」ヒョコッ



比奈「紗南ちゃん綺麗な髪してるっスねー」サッサッ

紗南「そ、そう? あんまり言われたことないけど……」

比奈「こんなに長くて整ってるんスから自信持っていいと思うっスよー。羨ましいっス」サッサッ

紗南「そうなんだ……えへへ……」



夏樹「かわいいな」

里奈「ぽよぽよ☆」


夏樹「あの櫛とシュシュは里奈のだな。置いてったのか?」

里奈「たまに比奈っちの寝ぐせ直す時に使ってるぽよ☆」

夏樹「母親かよ」

里奈「それほどでもないっしょ!」

夏樹「褒めたわけじゃ……いや、面倒見がいいのは長所だな。里奈は偉いな」

里奈「えっ……き、急にそんな事言われると照れるぽよ~!///」バシッ

夏樹「あいたっ」


比奈「……よし、出来たっスよー。はい、手鏡どうぞ」

紗南「うわ、すごいこれ綺麗!」

比奈「ふふん。どーっすか! 伊達に漫画描くために髪型の研究してないっスよ!」ドヤァ

紗南「正直意外だった……ありがと!」

比奈「どうしたしまして」

紗南「えへへ、今日はこのままでいよっと!」



夏樹「しっかし、あれじゃあまるで姉妹だな」

里奈「比奈っちが珍しくお姉さん系ぽよ☆」

夏樹「珍しく……ねぇ。成人してるはずなんだけどな、あの人は」


以上です。紗南ちゃんの妹感は大変素晴らしいのでもっと甘えさせていきたいと思います。
流石に比奈ちゃん出ずっぱりなのでそろそろお休みを挟もうかなと考えていますが、また似たようなタイトルを見かけたらその時はよろしくお願いします。


途中で比奈ちゃんが4連鎖を何故か4コンボって言ってますね、申し訳ありませんが脳内で補完しておいてください。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年11月27日 (日) 10:44:48   ID: F6GRZatX

性欲の塊が考えたような性的な百合は嫌いだけど、こういうあくまでも友情の範囲内の百合は好き

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