モバマスSS。
キャラ崩壊あり。
様々なネタバレあり。
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社長「ああ、そして私が社長をやるという寸法だ」
「…………えぇー……」
社長「露骨に嫌そうな顔をしないで欲しいねぇ。誰のおかげで食っていけてると思っているんだい?」
「いや、そりゃまぁ確かにそうですけど……」
「そうは言ってもアレですよ? ノウハウのノの字も無い状態でどうするつもりですか?」
社長「それについては心配いらないよ。昨今のアイドルブームに便乗して『プロダクション設立セミナー』というものが開催されているからね。そこで一から学べばいい」
「……強制?」
社長「……受講期間は一ヶ月だが…………我慢できるかね?」
「無理です死んでしまいます」
社長「ははは、そう言うと思ったよ」
社長「だからセミナーには私が行くから君は別の仕事を頼まれて欲しい」
「セミナーに行かなくても良いのなら何なりと」
社長「なぁに、簡単なことだよ。私が帰ってくるまでに何人か目星を付けておいてくれ」
社長「仲良くなっていればなお良しだ」
社長「簡単だろう?」
「……人数に上限は?」
社長「十を超えない程度に頼む」
「……了解です。で、そのセミナーはいつからですか?」
社長「ああ、それはね──────」
社長「────明日からだよ」
────一日目 午前
紗南「────おっはよー!」
紗南「玄関に靴無かったけど今日はおにーさん一人?」
「一人だ。これから一ヶ月くらいな」
紗南「また? あの人も懲りないね……」
「俺もそう思う。でもお世話になってる身だから逆らえないのよね、悔しい!」
紗南「はいはい、そういうのいいから」
紗南「それで、今回は何で?」
「俺プロデューサーあの人社長」
紗南「…………無理ゲー?」
「まだバグには至ってないから平気だろ。つーことで今日から俺はプロデューサーな」
「なのでこれからはそう呼ぶように!」
紗南「了解!」
紗南「えーと、プロデューサーさん! …………こんな感じ?」
「……ふむ、なかなか良い響じゃないか」
紗南「どうしてかしっくりくるねー」
紗南「……それでさ、早速何かするの?」
「そうだなぁ……」
「……せっかくの休日だな」
紗南「うん」
「天気も良い」
紗南「うん!」
「つーことでゲームしようぜ!」
紗南「そう言うと思った! 早くやろ!」
「お菓子と飲み物準備してからな!」
────────────────
────────────
────────
「────ひでぇ話ですよ」
「正々堂々タイマンで勝負しようぜ! って話して、やっとこさ侵入出来たと思ったら紗南のやつ白ファン二体も呼んでるんですよ?」
「ウーラーシール市街だったってのも間が悪いですよね。平和と怒りぶっぱとかマジ萎えます」
「最終的に紗南のパリィ致命でやられたのに、白二名に煽られた時はテレビ画面にコントローラー投げつけるとこでしたよ、あっはっはっ」
「……どう思います?」
美優「……その、私に聞かれても…………」
美優「何のことなのかサッパリで……すみません……」
「ですよね。こちらこそすいません。おねーさんの雰囲気が何でも受け入れてくれそうだったんでついつい長話をしてしまいました」
「勝負に負けてお使い行かされて、むしゃくしゃしてたんですけどあなたと話してたらスッキリしましたよ」
「何というか……ありがとうございました!」
美優「い、いえ……感謝されるほどのことでは……」
美優「それにその……内容はよく分かりませんでしたけど、楽しさが伝わってきて面白かったですし……」
美優「……楽しいことがあるって、良いですね」
「………………」
「失礼を承知で聞きたいんですけど、最近嫌なことでもありました?」
美優「………………」
美優「…………実はその────」
紗南「────プロデューサーさん! 遅いよ! お菓子買ってくるのにどれだけ時間かかってるの!」
紗南「早く戻ってきてくれないと対戦出来ないでしょ!」
「おお、すまんすまん。ちょっと話をしててな」
紗南「ん、話?」
紗南「……へぇー……知り合いいたんだ」
「おい、何だそのまなざしは。事と場合によっちゃ許さんぞ」
紗南「普段のプロデューサーさん見てれば無理無いじゃん。……そんなことよりも」
紗南「あたし三好紗南っていうんだ! よろしくね!」
美優「……初めまして、三船美優です」
紗南「それじゃ美優ねーさんだね! 決まり!」
美優「ふふっ、どう呼んでも構いませんよ?」
美優(…………突然だったので話すタイミングを外されてしまいましたけど……これはこれで良かったのかもしれないですね)
美優(……さっき出会ったばかりの人に話す内容でもありませんでしたから)
「それじゃあ俺も! 美優ねーさん!」
紗南「……おろろろろ」
「ちょっ」
いつもの休日。
特に何をするでもなく平日で溜まった疲れを癒やしながら、ただただ漫然と時間ばかりを消費していく。
そうしてまた憂鬱な月曜日を迎えることになるのだろう。
そう考えながらコンビニに寄った土曜日のお昼前。
…………そして今。
美優「……………………」
美優「……………………」
美優「…………あの」
紗南「ん、美優ねーさんどうかした?」
「配線もうちょっとで繋がるんで待って下さいねー」
美優「私、どうしてここにいるんでしょうか……?」
美優(あれよあれよと言う間にお二人の家? に連れてこられてしまいました……)
美優(テレビ三台なんて何に使うのでしょうか……?)
紗南「そりゃゲームするために決まってるじゃん!」
「話してるときに薄々気が付いてましたけど、まったくゲームやったこと無かったんですね」
紗南「ゲームやったことないなんて人生の八割損してるからね。ゲーマーの私としては否が応でもやってみてもらうよ!」
美優「……えぇー…………」
「諦めて下さい。紗南はこうなると頑固なんで」
美優(……どうしてこんなことに)
美優(…………)
美優(……気分転換くらいにはなりますよね)
美優「少しだけ……それで……」
美優「……頃合いを見て、帰りましょうか」
紗南「よーし、出来た!」
「三船さん、準備オーケーです! こっちきて下さい!」
美優「あっ、はい!」
「何にする?」
紗南「現実を知ってもらう。デモンズで」
「それ現実じゃなくて地獄!」
────開始
美優「コントローラーはこう持つんですか……?」
「指はここ……R1とL1にかけて下さい」
紗南「親指はここね」
────開始十五分
美優「────ひっ!」
美優「こ、こんな暴力的なゲームだなんて聞いてません!」
「最近はこれが普通です(棒)」
紗南「あくまでゲームだから」
美優「そ、そうなんですか……?」
(チョロい)
────開始三十分
美優「お、大きい……! な、何なんですかこれ! ど、どうすれ────ああっ!」
「ゆーだーい!」
紗南「ゆーだーい!」
美優(あ、でもこれで終わりでしょうか?)
紗南「美優ねーさん、画面見て」
「まだ続きますよ」
美優「え?」
────開始三時間
美優「ドラゴンさん来ないで下さいドラゴンさん来ないで下さいドラゴンさん来ないで下さい……!」
美優「────ああっ! どうしてですか! こんなにお願いしたのに!」
「ゆーだーい!」
紗南「ゆーだーい!」
美優「ちょっと黙ってて下さい!」
────開始──時間────
「……三船さん、帰っちゃったな」
紗南「うん……」
「……結局ファランクス倒せないまま帰ったな」
紗南「そうだねぇ……」
「…………なぁ紗南?」
紗南「んー?」
「明日も来ると思う?」
紗南「来るでしょあれは。見かけに寄らず負けず嫌いだったし」
「……俺もそう思う。早いとこ俺達が協力出来るとこまで進んで欲しいなー」
紗南「そだね。支援用のキャラ作っとく?」
「もち」
────翌日
美優「お、おじゃまします……」
「ウェルカム」
紗南「ウェルカム」
とりあえずここまで。
プロデュースそっちのけでゲームする、そんなお話です。
完結までのプロットはありますが、あまり期待しないでくださると助かります。
────二日目 午前
美優「焚き火で焼いて……戻って……焼いて……戻って……焼いて……」
美優「ふふっ、これで松脂が買えます……」
「アカン(白目)」
紗南「……順調だね(震え)」
「……よし、見なかったことにしよう」
紗南「賛成!」
紗南「それじゃ今日は何やる?」
「そうだな……たまには対戦以外をやりたい」
紗南「えー? 対戦以外だとあんま無いよ?」
「逆に考えるんだ。二人プレイじゃなくてもいいや、と」
「ということで今日は個別で好きなのやろう」
紗南「おっけー。じゃ、あたし『テリーのワンダーランド』借りるね」
「これまた古いゲームを……」
紗南「名作じゃん。スライムボーグカッコいいよね!」
「グレイトドラゴンには適わないけどな。思うんだけどこれの終盤って子供には無理な難易度だよな。鏡の扉とか」
紗南「補助積んで殴ればいいんだよ」
「脳筋思考やめーや」
「扉の右左でお箸を持つ手を確認したのも今となっては良い思い出だな、っと……」
「よし、それじゃ俺は『ロストマジック』やるわ」
紗南「古いなぁ……」
「良い作品だろ? 俺の場合だと後半は神々の祝福で魔物に殴らせるゲームになるけど」
紗南「脳筋ェ……」
紗南「タイトルに倣って魔法使いなよ。プロデューサーさんもあたしのこととやかく言えないじゃん」
「俺は男だからいーの。力で押すのはロマンなの!」
紗南「それじゃ今度『ドラゴンズドグマ』でウォリアープレイね」
「……ぶ、物攻上がるのはアサシンだから」
紗南「体型もマッチョによろしく」
紗南「メイポもね!」
「お、鬼! 悪魔!」
────二日目 午後
美優「や、やりました! ファランクスさんを倒しました! これでゲームクリアですよね! ね!」
「ここからが本当のデモンズソウルだ」
紗南「美優ねーさんとりあえずそこの石の所で○ボタン押そうね」
美優「────え? え?」
──────────────
──────────
──────
美優「────まだ……四つも……」
紗南「さっきのステージまだクリア出来てないから五つだよ」
「ちなみに各ステージに三体ずつボスがいます」
美優「────────っ!?」
紗南「大丈夫大丈夫。レベル上げ出来るから」
「それに俺達も協力出来るんですよ」
美優「ほ、本当ですか! お願いします!」
紗南(辞めるという選択肢はないんだ……)
(奴隷兵&最低装備だけど支援は任せろー!)
それではまた。
初心者に奴隷&最低装備でよくクリア出来たな。
────三日目 午前
美優「あ、おはようございます」
「おはようございます三船さん」
美優「紗南ちゃんは学校ですよね。今日はどうしましょうか?」
「そりゃまあ紗南は紛れもなく中学生ですからね、平日に居ないのも当然です」
「故に言わせていただきます」
「……何であなたがいるんですか!」
美優「……えーと、いろいろあって休職中なんです」
「休職?」
美優「はい。あなたと出会った時に私が言いかけてたことが、それに関することだったんですけど……ご存じの通り紗南ちゃんの登場で言えず終いになってましたね」
「……そういえばそんなこともありましたね」
美優「……内容、聞きたいですか?」
「うーん……、話したくなったらどうぞ。無理に聞く気はないので」
美優「………………」
美優「……ありがとうございます」
「いえいえ感謝する必要なんてありませんよ。短い時間ですが三船さんの人となりはある程度理解したつもりです。きっと正当な理由があったんでしょうし……」
「というかそんなことよりゲームしません?」
美優「……ふふっ、そうですね」
美優「今日もよろしくお願いします♪」
「任せろー!」
美優「────昨日一通り回ってみたんですけど……」
美優「このストーンファング坑道というところに行きたいです」
「悪くない判断ですね」
「理由とかはネタバレになるので言いませんけど」
美優「絶対に言わないで下さいね? 面白くなくなっちゃいますから」
(……すでに思考がゲーマーだ!)
「……ここにした理由が個人的に気になります」
「嵐の祭祀場」
美優「骸骨さんが強すぎて進めませんでした」
「ボーレタリア王城」
美優「ドラゴンさんに焼かれるのはもう嫌です」
「塔のラトリア」
美優「あの看守さんは生理的にちょっと……」
「腐れ谷」
美優「暗い、怖い、落ちるの三拍子でした」
「うん、納得しました」
「それじゃそろそろ行きましょうか。サイン出しますねー」
美優「よろしくお願いします!」
「この白くべたつく何かを使って下さい」
美優「……セクハラですか?」
「携帯取り出すの止めてもらえます?」
「使ってからそこの敵を斬れば分かりますから」
美優「えいっ」
美優「────す、凄いっ……! 数字が跳ね上がりました……!」
「武器に魔法属性を追加するアイテムなんですよそれ。で、ここの敵は魔法に弱いのでこうなるわけです」
(まぁ俺とか紗南なら嵐行ってファルシオンだけ回収してから挑むんだけどね。三船さんにそれをさせるのは酷だろうし……)
美優「……私これもっと欲しいです!」
「……………………」
「え? 何がですか?」
美優「これですよこれ、この白くべたつく何か」
美優「もっとたくさん欲しいです……!」
(……何でだろう。凄く卑猥に聞こえる)
「進めば手に入れられるようになりますから頑張りましょうね」
美優「はい!」
(…………ここでは取れないけどな!)
────三日目 夕方
紗南「プロデューサーさんただいまー。ちょっと用事で遅れちゃった」
「おかえりー」
美優「あ、お邪魔してます……」
紗南「美優ねーさんじゃん! どう? 結構進んだ?」
美優「はい!」
「蜘蛛とデブとヒル倒したぞ」
紗南「へぇー! それで今からどこ行くの!」
「紗南も来たし坑道か嵐行きます?」
美優「坑道でお願いします」
紗南「おっけー! 準備してくるからちょっと待っててねー!」
美優「侵入されました? ……え、どういうことですか?」
「初ですね。今回は紗南に任せましょう。俺の奴隷装備だと無理です」
紗南「任せてー」
紗南「竜骨ってことは二週目かなこの人? はいはいパリィパリィ」
紗南「草食べられるとちょっと困るなぁ……」
紗南「まあその間に昇降機動かして、っと」
紗南「ばいばーい♪」
紗南「────と見せかけて慌てて乗り込んで来たところを叩く!」
紗南「勝利ー!」
「お見事」
美優「わっ、ソウルが勝手に増えました!」
「紗南のおかげですよ」
美優「そうなんですか? 紗南ちゃんありがとうございます!」
紗南「どーいたしまして!」
>>31
美優さんは普通の装備でサポートのプロデューサーが最低装備という意味です。ちなみに紗南は致命特化で、ファランクスに関してはプロデューサーも紗南もほとんど支援・アドバイスしてません。死んで覚えるのがデモンズソウルですから。
それではまた。
なんだかデモンズソウルやってみたくなってきた
>>38
オススメします。
なんならダークソウルから始めても問題ないですよ! 繋がりほぼ無いですから!
それでは投下します。
────四日目 夕方
紗南「────ただいまー!」
紗南「って、あれ? 美優ねーさん一人?」
美優「お帰りなさい紗南ちゃん」
美優「あの人……、えーと……?」
紗南「私と同じでプロデューサーさんって呼んでいいと思うよ」
美優「そうですか? それならプロデューサーさんと呼ばせていただきますけど、プロデューサーさんなら買い物に行ってます」
紗南「……ご飯もう切れてたっけ?」
美優「……いえ、連日ゲームをさせていただいてる訳ですし、料理でも作ってお返ししようかと思ったんです」
美優「買い物自体も私が行くつもりだったんですけど……プロデューサーさんがそこまでさせるわけにはいかないと言いまして……」
紗南「ふーん、そっか……」
紗南「美優ねーさんの手料理楽しみだなぁー」
美優「ふふっ、腕によりをかけて作りますね?」
紗南「さーて、夜の楽しみも増えたわけだし気合い入れてやろうかな!」
紗南「今日は……うーんと……」
紗南「よし、これにしとこ」
美優「……『テラリア』?」
美優「ずいぶんとその……」
紗南「あはは、レトロなパッケージでしょ?」
紗南「でも侮ること無かれ! こんな見た目でも中身は本物だよ!」
美優「どんなゲームなんですか……?」
紗南「……………………」
美優「…………紗南ちゃん?」
紗南「あ、うんごめん。ちょっと考えてた」
紗南「改めて聞かれると何と言ったらいいかあたしにも分かんないんだよね」
紗南「家作ったり武器作ったり魔物と戦ったり冒険したり……」
紗南「いろんなことが出来るゲームなんだよね」
美優「物陰に敵がいたり侵入されたりトラップがあったりソウルロストしたり初見殺しがあったりマラソンしたり……」
美優「動けない状態で串刺しにされたり高いところから落ちて死んだり焚き火でソウル稼いだり沼で殴り殺されたり……」
美優「そういうのは無いのでしょうか?」
紗南「ど、毒されてる……!」
美優「?」
紗南「例外! フロムは例外だから!」
美優「は、はぁ……」
紗南「と、とにかく! 見てれば分かるから!」
「…………よし、と」
「頼まれたものはこれで全部か……?」
「思ったより時間がかかったな。紗南も帰ってきてるだろうし、俺も早く戻らないと……」
「──────ん?」
「お腹すいたーん……」
「こんなことになるなら飛び出てこなきゃ良かったかなぁ……?」
「お金ももう少ないし……」
「んぅー…………」
「とりあえず魔法石買おっと♪」
「……………………」
「……よし、見なかったことにしよう」
(ゲーマー視点だと立派なんだけどね!)
一旦ここまで。
それではまた。
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