キャンディアイランドの一向に毒にも薬にもならないおしゃべり (21)


・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・明確にアニメ世界線と定めているわけではない為、一部その他のコンテンツの要素が入り混じることがあります



----事務所----

ガチャ
かな子「おはようございますー」

智絵里「お、おはようございますっ」

杏「はざーす」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1479226774

かな子「ふぅ。今日も一日、頑張ろうねっ」

智絵里「今日は、ラジオのゲスト……ですよね」

智絵里「台本を見ながらお話しできる分、まだ気は楽かな……。カメラも無いですし」

かな子「そうだよねぇ」

杏「それじゃあ、挨拶と進行とトークは三人に任せるよー」

智絵里「そ、それって全部なんじゃ……?」

杏「大丈夫。杏は代わりに二人の分まで、天使のような笑顔を振り撒いておいてあげるからさ」

かな子「ラジオだから伝わらないよ……」

智絵里「ほ、ほら! ファンのみんなは、杏ちゃんの天使のような声も聴きたいんじゃ、ないかな?」

智絵里「三人で一緒に、頑張ろう? ねっ」グッ

杏「……智絵里ちゃんのほうがよっぽど天使だったよ」

かな子「ふふっ、本当だね」

智絵里「ふえぇ!? て、天使だなんてそんな……!」アワアワ

杏「えー? 実は服を脱いだら、背中から羽が生えてる、とか無いの?」

智絵里「ありませんよっ!」

杏「でも、何だっけ……何かの話で、人の肩甲骨は大昔、人に羽が生えていた頃の名残だ、みたいなの無かったっけ? 元ネタ忘れたけど」

智絵里「た、確かにそれは、なんとなく聞いたことありますけど……」

かな子「へぇ、そうなんだぁ」

かな子「あ! それじゃあ、こういうのはどうかな?」

杏「なになに?」

かな子「いつか私たちが大きな会場でライブとかさせてもらえるようになったら」

かな子「身体をワイヤーで吊り上げてもらって、歌いながら会場を飛び回るの! どうかな、智絵里ちゃん?」

智絵里「えぇっ……!? そ、そんなのできるかな……?」

智絵里「……でも、ちょっぴり楽しそう、かも……えへへ」

杏「いいじゃんそれ! やろうよやろうよ」

智絵里「あ、杏ちゃん、すごい食いつきだね……?」

杏「いや、それがアリなんだったらさ」

杏「杏も宙吊りになって適当に振り回してもらえば、自分で動かなくてもなんとなくダンス踊ってる風に見えるかなって」

かな子「そ、それはさすがに無理があるんじゃないかなぁ……?」

智絵里「踊るというか、ただのモビールみたいになっちゃいそうだけど……」

杏「ちぇ。いいアイディアだと思ったんだけどなぁ」

杏「不労所得への道は未だ遠い、かぁ」ゴロン

かな子「まぁ、『働かざる者、食うべからず』っていう言葉があるぐらいだしね」

杏「ぅあー、世知辛い世の中だよ、まったく」

智絵里「あっ……それじゃあ、世の中が世知辛い代わりに……甘い飴、食べますか?」

杏「食べるー!」ガバッ

かな子「わっ、びっくりした」

智絵里「ふふっ。はい、どうぞ」

杏「んむ。……ふぅ、あまー。ありがと、智絵里ちゃん」

智絵里「どういたしましてっ」

杏「しかし、『働かざる者、食うべからず』ねぇ……」

杏「……どっかから一休さん的な人が現れて、うまいこと楽して生きていく方法みたいなの伝授してくれないかなー」

かな子「それって、『橋の端っこを通らず、真ん中を渡れ』みたいなこと?」

杏「そうそう、そういう抜け道的なの。……うちに、誰かとんちの得意なアイドルっていたっけ?」

智絵里「うーん……楓さん、とか……?」

杏「あの人のは、とんちというか、ただのダジャレだよ」

かな子「むしろ、私の知ってる中でそういうのが一番得意そうなのは、杏ちゃんなんだけどな」

杏「……マジで?」

智絵里「言われてみれば……杏ちゃん、頭の回転も速いし」

かな子「クイズ番組とかに出ると、大活躍だもんね!」

杏「そっか……。じゃあ杏、これからは一休さん系アイドルを目指そうかな」

かな子「それって……具体的には、どうやるのかな?」

杏「そりゃあ……とりあえず、真似でもすればいいんじゃない?」

杏「慌てない、慌てない。ひとやすみひとやすみ」グデー

智絵里「それじゃあ、いつもと同じじゃないですか……」

杏「だってほら、まさか頭を丸めるわけにもいかないし」

智絵里「一応、撮影の時はウィッグを被るっていう方法もあるけど……」

杏「……なるほど。智絵里ちゃん、いい目の付け所してるじゃん」

かな子「ちょ、ちょっと待って! それはアイドルとして……というか、女の子としてちょっとズレてると思うよ!?」

杏「まぁ、ズレるのは良くないか。ウィッグだけに」

智絵里「あっ、うまい」

かな子「……やっぱり、そういう切り返しがすぐに出来るのは、頭の回転が速い証拠……」

かな子「って、なんでやねん!」ビシ

杏「あぅ」

智絵里「わぁ……! かな子ちゃん、びしっと決まったね。ノリツッコミ!」

杏「うんうん。これなら、我らがみくにゃん師匠も首を縦に振ってくれるよきっと」

かな子「い、いつの間にバラエティ講座になってるの……?」

智絵里「えへへ……ごめんなさい。少し楽しくなっちゃって」

杏「いやー。ちょっと前まで、ちゃんとアイドルらしい話してたのにねぇ」

智絵里「ライブのパフォーマンスの話とか、してましたもんね」

杏「かな子ちゃんは何かあるの? ステージでやってみたいこととかさ」

かな子「私? うーん、そうだなぁ」

杏「あ、できるだけ杏に負担のかからないやつでお願いしまーす」

智絵里「ふふっ、杏ちゃんったら、そればっかり」

かな子「……あっ、ひとつ思いついたよ」

智絵里「本当? 聞きたいな、かな子ちゃんのやりたいステージ」

かな子「えぇとね、パフォーマンスとはちょっと違うんだけど……」

かな子「童話で、お菓子の家ってあるじゃない? ああいう風に、お菓子でできたセットで歌を歌えたら、ちょっと素敵かも……なんて」

杏「それって、単にお菓子の形ってだけじゃなくて、ホンモノの食べられるやつでってこと?」

智絵里「す、凄い準備が大変そうだけど……けど、もし実現できたら楽しそうですっ!」

かな子「でしょでしょ!」

杏「はは……ま、言うだけならタダだしね」

杏「……ていうか、かな子ちゃんのお菓子作りの腕なら、その気になればやれそうで怖いよ……」

かな子「えへへ……実は前から、少し憧れてたんだ」

智絵里「歌いながら、こっそりつまみ食いしちゃったりして……ふふっ」

智絵里「食べられるセットって、ある意味エコ、なのかなぁ……?」

杏「環境に優しくても、処理する側の健康には優しくなさそう」

かな子「きっと、美味しいから大丈夫だよ!」

杏「……いつも思うけど、その自信はどこから来るんだろう」

かな子「お客さんも、私たち自身も、甘いひとときを楽しめる……そんなステージになればいいなぁ……♪」

智絵里「今、わたし……お客さんがサイリウムの代わりに、ポッキーを振っているところを想像しちゃってました」

杏「地味な絵面だなぁ」

かな子「ちなみに、杏ちゃんはこういうステージがやってみたい、とか……」

杏「……そもそも、働きたくないんだけどなー」

智絵里「は、話が広がらない……」

かな子「そんなこと言わないで、例えばでいいから。ね?」

杏「えー……そうだなー」ウーン

杏「……じゃあ、一般の参加者を募って、『誰が一番、双葉杏っぽく歌えるかコンテスト』でもやる? 私審査員やるからさ」

智絵里「えと……モノマネ大会、みたいな感じですか?」

杏「優勝した人は特典として、かな子ちゃんと智絵里ちゃんと一緒にステージで歌うことができる。……どう?」

智絵里「ファンの人たちとのコラボイベント、かぁ……。うん、意外といいかもっ」

かな子「うん、ファンの人たちは、喜んでくれるかもしれないけど……」

かな子「……杏ちゃん。それって、体よく自分の代役にしようとしてない?」

智絵里「……あっ」

杏「ふっふっふ……杏のカエダーマ大作戦は百八式まであるぞ」ドヤァ

智絵里「さ、さすが杏ちゃん……!」

かな子「あはは……もう。相変わらず、省エネ思考なんだから」

杏「ふふーん。それほどでも、なくなくなくないかな」

智絵里「空中ライブに、お菓子の舞台……それに、ファンの人たちとの触れ合い……」

智絵里「……これからも、三人でもっといろんなことができたらいいですよね」

かな子「そうだね……。私たちは、アイドルだから。想像するだけで終わるんじゃなくて、いつか実現させられるように頑張らなきゃ!」

杏「……大丈夫? そんなにいろんなことをやるの、疲れるよ?」

かな子「大丈夫! だって、例え大変でも、その何倍も楽しんじゃえばいいんだよ!」

智絵里「それに、その……一人ぼっちじゃ挫折しそうなことでも、みんな一緒なら、きっと乗り越えられると思うからっ」

杏「うへー。杏、二人には敵わないや」

杏「……ま、どーせ労働させられるなら、少しでも楽しめることのほうがマシか。仕方ないから、杏も付き合うかな」

かな子「うん、そう来なくっちゃ」クスッ

智絵里「ふふっ……!」

杏「……へへ」

かな子「よぉし! 三人の心がひとつになったところで!」

杏「今日のところは、もう帰りますかー!」

かな子・智絵里「なんでやねんっ!」ビシ

杏「あぅ」

智絵里「もう、杏ちゃんってば……」

かな子「今日はこれ以上、『帰る』って言うの禁止だよっ」

杏「えぇ~? そりゃまた難題だなぁ……」


ガチャ
卯月「おはようございますっ!」

杏「そんなの、卯月ちゃんの『頑張る』を禁止するようなものだよ?」

卯月「えぇっ!? わ、私、頑張っちゃだめなんですか!?」



おわり

※お菓子のステージセットは、後程スタッフとかな子が美味しく頂く予定です



お付き合いありがとうございました。

前作
塩見周子「三段重ねの幸せ」
毒薬シリーズ
キャンディアイランドのますます毒にも薬にもならないおしゃべり

等も、よろしければどうぞ。

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