【ガルパン】西住みほ「特車二課 あんこう小隊、です!」【パトレイバー】 (426)

祝!「ガールズ&パンツァー 最終章」製作決定&「機動警察パトレイバーREBOOT」発売記念

・「ガールズ&パンツァー 劇場版」と「機動警察パトレイバー」のコラボSSです。

・あんこう小隊 誕生までの経緯を記した前作、
【ガルパン】後藤隊長「特車二課 あんこう小隊、か…」【パトレイバー】を冒頭ダイジェスト形式で掲載しましたので、本作のみでもお読み頂けます。

前スレ:【ガルパン】後藤隊長「特車二課 あんこう小隊、か…」【パトレイバー】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1477300563/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1479044458

・約40000字(空白が多いため、実質 約21000字)予定。長編が苦手な方にはお勧め出来ません。

・元ネタ先の時系列、設定のご都合独自設定あり。

・パトレイバー漫画版 第一巻の再構成となります。

以上となります。
毎日のんびり更新していきます。

では前作ダイジェストから始めさせて頂きます。何卒よろしくお願い致します。

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〈 第1~4章. ダイジェスト 〉

(一~七日目)


ハイパーテクノロジーの急速な発達と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式大型機械「レイバー」。
しかしそれは、レイバー犯罪とも呼ばれる新たな社会的脅威をも産み出した。

続発するレイバー犯罪に対抗すべく、警視庁は本庁警備部内に特殊機械化部隊を創設した。
通称「特車二課」…パトロール・レイバー中隊、パトレイバーの誕生である。

特車二課は、才女「南雲警部補」が隊長を勤めるエリート部隊の「第一小隊」と、曲者「後藤警部補」が隊長を勤める愚連隊「第二小隊」の、計二小隊で構成されている。



夏、七月。
その特車二課 南雲隊長と第二小隊の留守を狙いすまし、事件は静かに幕を開けた。
第二小隊 後藤隊長のもとに、刑事部捜査一課の「松井警部補」から、とある一報がもたらされたのだ。

後藤 「…東京・大阪で、過激派環境保護団体による同時破壊活動計画?」

松井 「特車二課が手薄な頃合いを見計らって、今までの恨み辛みを一気に晴らそうって腹みたいだな…で、どうする?」

後手に回った後藤は即座に行動を開始。とある奇策を以て来るべき事件に対応すべく、関係各位を帆走する。

松井 「流石のカミソリ後藤も、今回に関しては『超法規的措置』すら取れないか…?」

後藤 「まあそれは、先方も戦車という『特殊車輌』を扱う『同じ穴の狢』という事で」

南雲 「…それじゃあ何?後藤さんは、普通の女子高生をレイバー隊にでっち上げるつもりなの?!」

後藤 「その通り。特に無名校だった大洗を優勝に導いたあの西住って子、あれは本物だ。それに彼女が搭乗している戦車は、他の奴らと動きの次元が違う」



古くから大和撫子の嗜みとして、華道・茶道と並び称される武芸「戦車道」。

今年度限りの廃校が決定していた「大洗女子学園」の「角谷 杏 生徒会長」は、「文部科学省 学園艦教育局担当官」との交渉により「優勝すれば廃校撤回の可能性有り」との言をとり、戦車道を復活させる。

名門「西住流」の名を持ちながら戦車道から遠ざかっていた転校生「西住みほ」は、杏からの依頼により大洗のチームリーダーとして戦車道に復帰。「あんこうチーム」の精神的支えもあり、大洗の快進撃を支え、見事優勝へと導いた。が…

事ここに至り、当の文科省担当官から「先の言葉はあくまでも可能性でかつ口約束であり、廃校撤回成らず」と告げられてしまう。



杏 「廃校最終日の8月31日までに廃校措置を止め、復活まで道筋を作らないといけないからね。でも…そのためには、もう1つやっておかなきゃならない事があるんだ」

再び、最大の危機に直面していた大洗女子学園に対し、後藤は…

後藤 「この話を受けてくれれば、世間により『大洗危機』をアピール出来る。更に暴走レイバーを討ち取ったとなれば、こちらからの感謝状で『文科省』は無視その物が出来なくなる。…大洗復活の気運を高める大きな力になるはずだ。そういう『取引』を俺から提案したって訳」



途中、誤解の生じた大洗 生徒会長と西住との「細やかな」いざこざもあったが、最終的に協力を取り付けた後藤は、西住以下あんこう及びカモさんチームの特車二課招集に成功する。


杏 「手放しで承認はしかねるよ?さ、頑張って私を納得させるだけの安全策を提示してよね?!」ニカッ

みほ 「ふふっ…後藤隊長のお話は分かりました。ご期待に添えるかは分からないけれど…私、今回の件、頑張ってみようと思います!」

そど子 「…少なくともここにいる内は、私達にも居場所や立場や責任ややる事があるんでしょ?ならやるわよ…やってやるわ…やるしか、ないじゃない…」



かの道の達人とは言え、レイバーに関する知識を持たないメンバーに対し、後藤は通称「レイバーの穴」と呼ばれる特車専の「佐久間教官」にその全てを託す。

佐久間 「教官の佐久間だ。お前達に事前に受けてもらった特性試験の結果を基に、こちらで割り振ったポジションを今から発表する」



・1号 フォワード (レイバー担当)…冷泉 麻子
・1号 バックス (98指揮車担当)…武部 沙織
・1号 キャリア (レイバー運搬車担当) …園 みどり子(そど子)

・2号 フォワード (レイバー担当)…五十鈴 華
・2号 バックス (98指揮車担当)…秋山 優花里
・2号 キャリア (レイバー運搬車担当) …後藤 モヨ子(ゴモヨ)

・総合指揮車 コマンド (小隊指揮)…西住 みほ
・総合指揮車 バックス (97指揮車担当)…金春 希美(パゾ美)



ナカジマ 「レイバーをはじめとする皆さんの車輌全てに、例の特殊カーボンによる追加装甲を施すよう依頼があったんですよー」

優花里 「97式レイバー指揮車に98式特型指揮車!あっちには四菱製 98式特殊運搬車も…!」

後藤 「『AV-98Tドーファン』…ウチの98式の試作機みたいなもんだ。パワーは劣るが、練習用だから扱いやすい上、機動性も高く、実戦使用に充分耐えうる」



研修期間五日という限られた時間の中で出来る事には限りがある。後藤と佐久間は一計を案じ、レイバー運用における各々の要素に一つの「型」を用意。ただそれのみを反復練習させ、メンバーの身に付けさせる事にした。


後藤 『いいか?短期決戦を望むなら、近接接近で縦横無尽な動きで相手の隙を誘い、死角から的確に相手の関節に電磁警棒を叩き込め!』ガピー

麻子 『このっ…す、好き勝手な事を…』ハアッハアッ


後藤 『お前は、相手が攻められずこちらが攻めれる中距離を保ち、照準を合わせ続けてプレッシャーで押し潰せ!相手が焦れて射線を走り出したなら、射撃百発百中という必殺技があるんだからな!?』ガピー

華 『は、はい!』



後藤 「『レイバー×2 & 移動式バリケード×2』…第一小隊でも第二小隊でも試した事の無い、お前さん達だけの戦術幅を拡げる『ユニット構成』の『型』だ」

みほ 「…あ、あはは…(体よく降って沸いた難題を、ただ押し付けられただけという気も…)」

そど子 「…ちょっと!いきなりこんな大型車輌押し付けられても、扱いに困るんだけどっ?!しかもバック移動前提だし!!」

ゴモヨ 「全然簡単じゃないです!それに荷台に振り回されて、車が浮いてスゴく怖いんですが…」


みほ 「私は作戦指揮にかかりっきりになっちゃいそうだから…総合指揮車の方は金春さんに任せるね?」

パゾ美 「わ、私が、西住隊長のサポート役…?」




後藤 「さて…何だかんだ言ったが、三人とも優先順位は間違えないでくれよ?

・第一に人命優先。(チームメンバー含む)
・第二に犯人を取り逃がさない事。
・第三に周辺被害を最小限に食い止める。

最終決定権を持つのは、隊長代理の西住、お前だ。第二は秋山、第三は武部が、それぞれ西住を支えてやってくれ…これが『命令指揮系統』の『型』だ」


沙織 「え?わ、私が…あの、何の冗談で…」

優花里 「?!…わ、私、参謀役だったんですかあ?!」



佐久間による熱心な指導と、メンバーの必死の努力の甲斐もあり、次第に形を成していく新レイバー隊。それは、新たな小隊の誕生を意味していた。

みほ 『…これが、私の、私たちのレイバー隊…あんこう小隊」

後藤 「特車二課 あんこう小隊、か…」

そして今日、綱渡りの教習を終え、佐久間からのお墨付きを得た「あんこう小隊」が、ついに約束の地「特車二課」に降り立つ。

沙織 「…どんな所なんだろうね?特車二課って」

蝉時雨にひぐらしの声が目立ち始めた、八月も終わる頃の出来事である…。


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※以降、本編となります。



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第五章 栄光の特車二課

~八日目


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ーー大洗女子学園 臨時滞在地 生徒会室


…ミーンッ,ミーンッ,ミーンッ,ミー…ッ…

ガヤガヤ…


桃 「ふう。問題が山積みだな…ん?どうかしたか?」

柚子 「…桃ちゃん頑張ってるなぁって。もっと泣き叫ぶかと思ったのに…『廃校だぁ、もうお仕舞いだよ柚子ちゃあん?!』って」

桃 「そっ、そんな暇は無いっ!…今頑張らねば、何時頑張ると言うのだ…」

柚子 「そうだよね…会長はどこ行っちゃったんだろうね?」

桃 「…会長には、会長のお考えがあるはずだ。きっと今頃、大洗の行く末を良い方向に導く何かしらの方策の目処を立てているはずだ」

柚子 「うん。…そう言えば、あんこうチームとカモさんチーム。今日から特車二課に配属よね?」

桃 「たった二日戻っただけで、カモさんチームの連中は地元の生徒とケンカまでするとは…全く!風紀委員の名が泣くぞ?!」

柚子 「とても警察に行く前の素行とは思えないよね?…あんこうチームの皆は相変わらずの様子だったけど、向こうでも大丈夫なのかしら…」


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--特車二課棟 屋上 日傘下


カッ!

…ンジーワッ,ジーワッ!ジーワッ!ジーワッ!ジー…ッ…

ゴォォ…


後藤 「…南雲さんとアイツ等は、今日から大阪か。お土産屋、買ってきてくれるかな?」

榊 「遠く大阪に思いを馳せるのは結構だがな後藤さんよ。そろそろ例の連中が来る頃合いなんじゃ無えのかい?」アイスパクパク

後藤 「そのはずなんですがね?どうも荷物の到着が遅れてるみたいで…時に、おやっさん。アイツ等のレイバーって、今どうなってます?」

榊 「レイバー関連車輌含め、警光灯をはじめとする艤装・各種調整も全て終了。訓練でも出動でも何でも来いよ」

後藤 「それじゃあお手数ですが、訓練の用意をしておいてもらえますか?ついでに、マイクとテントの準備も」

榊 「そいつぁ構わねぇが…一体何おっ始める気なんだい?」

後藤 「いや…どうせマスコミも来ますし、特車二課の連中にアイツ等を紹介するには、演習形式が一番かと思いましてね?」

榊 「…違ぇねえや。んじゃ早速、ハンガーに行ってシゲに一通り用意させとくわ。…面白え見世物になると良いが、な?」

後藤 「ま、それはアイツ等次第と言う事で…お?荷物がようやく来たみたいだな…」


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いろいろ凝ってんなあ
スゲーぜ



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--特車二課棟 正面入口前広場


ブロロ…


沙織 「…何、ここ?!」

そど子 「暑い!」

ゴモヨ 「セミがうるさい!」

パゾ美 「そして…何も無い!」

優花里 「…バビロンプロジェクト開発途中区域のため、携帯のGPS地図情報が未更新なだけなのかと思っていましたが…」

麻子 「ここに来る途中、余りに何も無いので変な笑いが込み上げて来たぞ?」

華 「…途中最寄りで見掛けた物と言えば、上海亭と書かれた中華屋さんだけです。それも、バスで通過したのは10分以上前でした…」

みほ 「ゆ、優花里さん…さすがにコンビニは、30分も歩けば何処かには有るよね。ね?」オロオロ

優花里 「…残念ながら西住殿。どう見ても車で20分以上はかかりそうです」

みほ 「そ、そんな!?…サンダースの皆さんにお願いして、Ⅳ号持ってきてもらえないかな?」

優花里 「ただコンビニ行くためだけに戦車呼ぶのは止めてください?!」




後藤 「…うぉーい、待ってたんだぞ。お前さん達、何やっとんの?」

沙織 「東京の海岸沿い埋め立て地って聞いてたから、お台場とか幕張のイメージだったんですよ?!それが、まさかこんな…」

後藤 「今時シーサイドベイシティみたいな物言いも無いもんだが…見ての通り、シティは海の向こうの遥か彼方だ」

沙織 「せめて事前にどんな所か教えておいて下さいよ!…ううっ、こんなの聞いてないよ…」

後藤 「そう俺だけを責めるなよ。今時の若い子はネットで事前に調べてくる物だとばかり思ってたわ…何か、済まなかったな?」

沙織 「…そう言えば、誰も気が付かなかったの?」



優花里 「…(あまりにお約束&不憫過ぎて、つい言うのを躊躇してしまいました…)」

麻子 「…(第一、恋愛脳時の沙織は、全く話を聞かないじゃないか)」

華 「…(正直、このお約束がちょっと面白くなってました)」

みほ 「…(確かに迂闊だった…まさかコンビニが無いなんて)」

後藤 「ここの評判なんて、東京の出島、東京辺境への島流し、絶海の孤島とまあ、散々な言われようだ。ついこの間までは自販機すら無かったんだぜ?」

沙織 「…ハァっ、早くも終わってしまった。私の花の東京ライフが…」

後藤 「はいはい。特車二課お約束の儀式はここまでにして。皆、付いておいでー?」パンパンッ

ハァーイ…ゾロゾロ

沙織 「お約束?…あー!隊長やっぱ知ってて黙ってたんですね!?…やだ、もう!」


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--特車二課棟内 2階 隊長室


みほ 「…これより西住みほ 以下八名。特車二課に着任します!」カッ!(ケイレイ)

あんこう小隊 「「「よろしくお願いします!」」」カッ!

後藤 「はいご苦労さん。んでこちら、第一小隊隊長代行の五味岡さん」

五味岡 「特車二課にようこそ。第一小隊隊長の南雲警部補に代わり、現在第一小隊の隊長『代行』を務めている『五味岡 務(ごみおか つとむ)』巡査部長です!」カッ!

みほ 「特車二課 第二小隊 予備員として、本日よりお世話になります。『あんこう小隊』隊長『代理』の西住みほです!よろしくお願い致します!」カッ!

沙織 「…!(やだ素敵…東京ライフは敢えなく消えたけど、私の恋はこれからが本番かも…!)」ポッ

華 「立ち直りが早過ぎます」

麻子 「それが沙織ズムだからな」





五味岡 「こちらこそ。お噂は兼々…大洗は、今年の戦車道の台風の目だったね?僕ぁ昔から正々堂々正面から挑むサンダースが好きでねえ…」

優花里 「…(王道ながら意外とミーハーでありますよ?)」

沙織 「…(て事は、チアガールや大胆な水着とかストレートな魅力攻め?私だって中々の物を…)ムネニテヲアテ

麻子 「考えてる事が丸解り過ぎる」

華 「沙織さん?ここ一応警察ですから」

みほ 「あ、あはは…」

五味岡 「…南雲隊長と後藤隊長から事情は聞いてるよ。これから五日間の短い間だけど、お互いの任務をしっかり務め上げよう」

みほ 「…はい。頑張ります!」

後藤 「…」


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後藤 「初日と言う事もあり、予定はパンパンだ。まずマスコミ対応と特車二課の面々への顔見せも兼ねて、お前さん達が普段からやっている訓練を、演習形式で見てもらおうと思ってる」

みほ 「普段と言うと…例の練習の『型』を、ですか?」

後藤 「ああ。佐久間のお墨付きと戦車道のヒーローという点から『特車二課にしては』好意的に見られちゃいるが、それでもお前さん達の資質を疑問視する奴は少なからずいるんでね?」

みほ 「はあ…(…あれ?後藤隊長が話した人以外は、私たちが実際に暴走レイバーと対峙するのを知らないはずじゃ…)」

後藤 「でな?こういう時に大事なのはインパクトってヤツだ。それを効果的にするには『プロレス』が必要不可欠って訳」

みほ 「プロレス?テレビでやってる格闘技の?」

優花里 「この場合は、お客さんが喜ぶ戦いの流れを先に決めておいて、その流れに添って行うって意味での『プロレス』ですね」


みほ 「あ、あの後藤隊長?私、人前で何かをするの、本当に苦手で…出来れば、別の人に変わってもらう、とか…?」オドオド

後藤 「あのな?今年の優勝校の隊長がそんな情けない事を言うんじゃないよ。でもま、そこん所も考慮して秋山と武部は、西住のフォローに回ってもらおう。で、こんなのはどうだ…」ニヤッ



(※『プロレス』内容確認中)



みほ 「…え?い、嫌です!そんなの…は、恥ずかしいッ…」カアッ

優花里 「…これ、本気でやるんですか?」

麻子 「無茶を言う…」

華 「私は、隊長の仰る『一撃必殺』を目指してここまで来ましたのに…また軽薄な事をさせられるなんて…」ハァ…

後藤 「まあまあ。これなら皆、演習中で目立ててテレビ映えもするぞ?だろ、武部」

沙織 「私、やります!見ててくださいね?五味岡巡査部長!」

五味岡 「?…あ、ああ。楽しみにしてるよ…何の事だかよく分からないけれど」

麻子 「うわ、沙織を焚き付けたよ」

華 「これで断れなくなりました」

後藤 「何よりも、今までのお前さん達の努力の『過程』と『結果』を皆にしっかり認めさせたい。…やってくれるな?西住」 キリッ

みほ 「!…もう。どうなっても知りませんからね?」 プイッ

優花里 「ダメ押しです」

麻子 「あんこう小隊は、既に後藤隊長の手に墜ちたな」

そど子 「もう、どーでもいーわよ」

ゴモヨ 「大洗に戻って、荒みっぷりが戻った私達」

パゾ美 「むしろ、何でもドンと来いと言った心境」

優花里 「…(…そういえば、墜落と堕落って言葉は似ているでありますなー…)」


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特車二課棟 演習場(棟前広場急拵)


ザワザワ…

パシャパシャ

整備班員共 「おいおい、スゴいマスコミの数だな?」

整備班員共 「一体何が始まるんだ?」

整備班員共 「ほら、例の大洗の…」

整備班員共 「ああ…連中もこんな地の果てに島流しかあ…」

整備班員共 「若い娘さん達なのに、可哀想になあ…」


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特車二課棟 演習場(棟前広場急拵)~テント内


優花里 「…それでは私が演習中の司会進行を務めて行きますので、武部殿には私から振られた際の解説をお願いします」

沙織 「分かった。私はこの流れに沿って、各項目説明のナレーションを入れていけば良いのね。…それにしても、ゆかりん手馴れてるよね?」

優花里 「えへへ…。アルバイトで少々、戦車紹介ビデオ等のナレーションやった経験が生きました。意外と好評だったりするんですよー?」


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特車二課棟 演習場(棟前広場急拵)


シゲ 「おやっさんに言われるがままに一式用意しましたけど…一体何がおっ始まるってんです?」

五味岡 「やあシゲさん。例の大洗戦車道の面々によるマスコミ向けの演習だよ。我々へ向けての自己紹介も兼ねてとの、後藤隊長のお言葉だがね?」

シゲ 「はぁー…やっぱ後藤さんの差し金かあ」

五味岡 「…はてさて。まずはお手並み拝見と言った所かな?」


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優花里 『…皆さん、おはようございます!私、大洗戦車道で、Ⅳ号戦車の装填手を務めております「秋山 優花里」と申します。
本日よりこの特車二課に、あんこう小隊 二号機バックスとして配属となりました!』ガピー…

沙織 『あ!…私もⅣ号戦車で※情報取りまとめを行ってます、「武部 沙織」と言います。ゆかりん…秋山隊員と同じく、一号機のバックスを務めさせて頂く事になりました!』ガピー…


…ワアッ!

パチパチパチ…

オオアライノカツヤク,ミテタゾー?!

イイゾネーチャン!

カワイイー!


優花里 「!(警察関係者なのに、ここの人達はずいぶんとノリが良いですね?!)」

沙織 「!(か、可愛いですって?やだ私、ここだとひょっとしてモテモテ?…よーし、張り切っちゃうんだからね?!)」



優花里 『さて!本日このバックスコンビでお届けするのは、我が「あんこう小隊」の普段の練習内容を皆さんにご覧頂く事で、よりご理解ご協力頂けるよう準備したスペシャルプログラム!』ガピー

沙織 『それでは早速、その演習指揮を務める私たちの隊長をご紹介しますねー?』ガピー


ザワザワ…


整備班員共 「あれ?どうして出てこないんだ?」

整備班員共 「演出だろ、演出」


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みほ 「何でそんなに二人ともノリノリなの?!…やっぱり嫌です後藤隊長!こんなの恥ずかし過ぎますよぅ…///」 ヒソヒソ

後藤 「何だぁ?せっかく秋山と武部がお前さんのために、ただ『突っ立って』一言二言話せば良いようにしてくれたってのに…」 ヒソヒソ

みほ 「で、でも、こんなに人がぁ…///」 グスグス

後藤 「…こらこら、そんな泣きそうな顔でこっち見てもダメだってば。お前さん達の会長が言う『大洗廃校阻止大アピール作戦』の一環としてわざわざ準備したんだから…言われた通り、はい!頑張って?」

みほ 「///…~っ!!」 グルグル


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優花里 『…あの弱小校 大洗女子学園を、様々な奇策と大胆な戦略を持って見事全国優勝にまで導いた、名家 西住流戦車道の異端児!その名も…「軍神」 西住 みほーっ!』ガピー


ザン…ッ…!


みほ 「…///…!(…ダメダメダメ恥ずかしくって死んじゃうっ…!)」カアッ


ザワアッ…

ザワザワ…

整備班員共 「お、おい…」

整備班員共 「あれって…」

整備班員共 「あ、ああ。」

整備班員共 「あの伝説の『プラウダ戦』にて、奇跡の大逆転を決めたと言われるあの…」

整備班員共 「…軍神…」

整備班員共 「『軍神立ち』じゃないかっ?!」





ザワアッ!


ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ー゛ー゛ッ゛!!


ニッシズミッ!ニッシズミッ!ニッシズミッ!…

チョッ?!ミ,ミナサンッ,ハズカシイカラヤメテ,ヤメテクダサイッ…!

アッンッコウッ!アッンッコウッ!アッンッコウッ!…



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


パシャパシャパシャパシャッ!

ニシズミサン,アンコウオドリノポーズデ,メセンクダサイッ!

ヒャアッ!ゼ,ゼッタイ,オドリマセンカラネッ?!


華 「あらあら~」

麻子 「…何と言うカリスマ性」

パゾ美 「それにしても…この悪ノリ」

ゴモヨ 「西住隊長、可哀想…」


そど子 「…ここにいる人たちって、バカばっかじゃないの!」


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シゲ 「西住ちゃ~んっ!黒森嶺の頃からのファンだよっ?あの試合ももちろん見てたよーっ!!」ヒャッハーッ!

後藤 「何度見ても…凛々しいねえ…」 ニヤニヤ

榊 「ったく…どうしてウチの若ぇ奴ァ、こうバカばっかなんだ?全国ネットで大恥晒しやがって!! 」

後藤 「…さあ?」

シゲ 「何ででしょかね?」

榊 「…」


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ーー大洗女子学園 臨時滞在地 生徒会室


…ミーンッ,ミーンッ,ミーンッ,ミー…ッ…


(※テレビ生放送鑑賞中)


桃 「に、西住…」

柚子 「何これ」


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今回はここまでです。

乙です
しかしのあ達は出番無しかな。ちっとだげ残念さー

>>17
色々詰め込みすぎて読み辛くてすいません。

>>38
ありがとうございます。
またお付き合い頂けますと幸いです。

>>39
今回は「ガルパンキャラをパトレイバー世界で遊ばせる」がテーマなのでこうなりました。
何しろ特車二課の面々は個性が強くて…。

夜また更新します。



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特車二課棟 演習場(棟前広場急拵)


優花里 『さあ!興奮冷めやらぬ中、着々と進行して行きますよ?本日ご覧頂く項目は「想定案件205。街中で発生した暴走レイバーの鎮圧」!』ガピー

沙織 『暴走レイバーを演じるのは、あんこう一号フォワード「冷泉 麻子」隊員!大洗ではⅣ号戦車を縦横無尽に乗り回す操縦手を担当しています!』ガピー

ギッチョン

麻子 『やあどうも。よろしく』キョシュ


優花里 『それを防ぎます我らがパトレイバー役は、あんこう二号フォワード『五十鈴 華』隊員。華道の家元 五十鈴家の後継者でありながら、Ⅳ号砲撃主として類い稀なる射撃精度を誇ります!』ガピー

ギイッ

華 『よろしくお願いします~』イチレイ



優花里 『我が小隊最大の特徴は、従来の「レイバー×2」のみならず、同じ特殊車輌を扱う戦車道の利点を活かした「キャリア×2」による「移動式バリケード」が上げられます!』ガピー

沙織 『その新要素を担うのがこの二人!大洗ではルノーB1bisに搭乗、戦車長・操縦手を担当していた「園 みどり子」隊員、「後藤 モヨ子」隊員が、風紀委員としてのプライドをかけ、難しい任務に挑みます!』ガピー

キキィッ

そど子 『おっ、大洗風紀委員を舐めないでよねっ?!』ガピー

ゴモヨ 『そ、そんな大層な者では~…』ガピー


優花里 『隊長指揮車操縦担当は、同じく風紀委員でB1bisの主砲砲手を担当している金春 希美隊員が、西住隊長の手足となり現場を駆け巡ります!』ガピー

パゾ美 『よ、よろしくお願いします~…』ガピー

沙織 『メンバー紹介も終わった所で早速、隊長指揮者に乗り移った西住隊長自ら、演習開始の号令をお願いします!!』ガピー


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ザワザワ…


整備班員共 「やっぱ…例のアレ?」

整備班員共 「いや…アレは戦車だからダメだろ?」

整備班員共 「じゃあアレじゃなくて、レイバーフオゥッ!って感じ?」チェケラー

整備班員共 「昔の芸人かよ。でもやっぱアレじゃねーとなー…」

整備班員共 「アレな…細かい事は気にしなくていいのに」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ザワザワ…


みほ 「もうっ…優花里さん、煽りすぎっ…///」カアッ

みほ 「ほれ西住?号令号令」ヒソヒソ

みほ 「…後藤隊長?絶対この状況楽しんでますよねっ?!」ヒソヒソ

みほ 「無い無い。そんな事ある訳無い。さ?西住。皆さんお待ちかねだから。ちゃっちゃと済ませちゃおう」ヒソヒソ

みほ 「…~ッ///!」カアッ


みほ 『…そっ!それでは皆さんッ、え、演習っ、始めっ!!』ガピー


ウ オ オ オ オ ー ー ッ!!


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


後藤 「…さすがにマスコミの前でアレはまずいでしょ。一応警察なんだし」

沙織 「でも皆、みぽりんなら何でも良いのねー」

優花里 「それが西住殿のカリスマ性でありますよ?!」フンス

沙織 「何でゆかりんの方が誇らしげなのよ…本人は頭に血が昇ってオロオロしてるのに」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




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優花里 『…さあ、演習が始まりました!武部隊員?現在の『状況』を報告して下さい』ガピー


ズシュン,ズシュン

麻子 『…やあっ』

ゲインッ!

華 『くっ!』

ギュインッ


沙織 『はい!現在、固い防御体勢を取ったあんこう二号に対し、あんこう一号が攻めあぐねている状況ですね』ガピー

優花里 『あんこう二号はただ防御するだけで無く、中距離を保ち、攻撃を受け流しています。いわゆる「捌き」の体勢。これは長時間粘られるとあんこう一号としては堪らない!』ガピー



華 『!今ならっ…!』

バンッ!

麻子 『ちっ』

バスッ…


オオオッ…!


沙織 『あんこう一号の僅かな停滞時間の隙に、あんこう二号からの射撃!先読みしたあんこう一号は楯を使い防ぎました!…あ、麻子?住居エリアは踏んじゃダメだからね!』

優花里 『良いですよ五十鈴殿。ただし体の中心線狙いは相手に読まれやすいです。少し外して狙うようにして下さい!…失礼しました、弾丸は水風船型模擬弾を使用。万が一にも人命に影響はありませんのでご安心下さい!』ガピー

沙織 『しかしこれでは演習としては埒があきません!我らが西住隊長の采配や如何に?』チラッ





みほ 『…~ッ、ま、麻子さんっ?!りっ「リミッター解除」っ!!』ガピー


沙織 「…みぽりん、緊張のあまり何時もの呼び方になってるよ?」ヒソヒソ

優花里 「私たちもですけどね?」ヒソヒソ


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


麻子 「…えー、本当にやるのか?まあ、やるけども」


チュインッ
…ヂュイイインッ!

ギンッ!


麻子 『…ほいっ』ガピー


ズシュズシュズシュズシュ,ズザアッ!

ブウンッ…バキャアンッ!


華 『キャアッ!?』


優花里 『あんこう一号による超高機動モード「リミッター解除」!戦車道で身につけた操縦テクを存分に発揮した、冷泉隊員ならではの技!その動きはまるで「黒いレイバー」を彷彿とさせますっ!』ガピー


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


…オオオッ!


五味岡 「…速い」

シゲ 「…おやっさん」

榊 「ム…」

後藤 「…まだまだ」ニヤリ


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


華 「…来るのが分かっていても、受けるのは難しいですね、やはり」


ギュインッ

ズシュズシュズシュズシュ…!


沙織 『おおっと?ここでその勢いのまま、あんこう一号がエリア外に向けて走り出しました!このまま演習終了なのでしょうかー?!』チラッ


みほ 『…~ッ、そ、園さん後藤さんっ?!かっ「カメさんガード」っ!!』ガピー


ゴウーッ!

優花里 『その行動を妨げんと、あんこう一号の前にキャリア組二台が左右から猛スピードで挟み込む!しかし間に合うのでしょうかっ?!』




そど子 『行くわよゴモヨ?!タイミングは任せたわ!!』

ゴモヨ 『分かったそど子!!行くよ、せーのーでっ?!』

ギャギーッ!


優花里 『向い合わせでダッシュしてきたキャリア二台が同時に力任せの大迫力ドリフトターン!』

ガーッ!

バッカーンッ!

優花里 『末端にそそり立った「荷台」同士が激しくぶつかり合い、あんこう一号の前に突如、巨大なレイバーサイズのバリケードが「エル(L)字」に形成されたーっ!』


>>43

> みほ 「無い無い。そんな事ある訳無い。さ?西住。皆さんお待ちかねだから。ちゃっちゃと済ませちゃおう」ヒソヒソ

ここ後藤の台詞だよね

>>52

みほ→後藤

ですね、すいません。
ご指摘ありがとうございます。



ズシュズシュズシュ…

沙織 『唐突に前方バリケードが形成されても、あんこう一号の勢いは止まりません!このまま衝突、ジ・エンドなのでしょうかっ?!』


みほ『まっ、麻子さんっ?「ウサギさんアタック」!!』ガピー


ズシュン…ッ!


麻子 『あいよ』

ダンッ

ダンッ

ドンッ!


優花里 『こっ、これは!「エル(L)字」に形成された壁の内側を飛び移り、そのままあんこう二号に向けて蹴りを放つ…いわゆる「三角飛び蹴り」だーっ!!』ガピー




みほ 『華さんっ?回転レシーブからの「アヒルさんアタック」!!』ガピー

華 『はいっ!』ガピー

ガギィッ!…グンッ…ズシュウンムッ

ズザアッ!

優花里『あんこう二号!あんこう一号からの高い位置からの飛び蹴りを楯で受け、そのまま斜め後方回転受身!!着地後硬直したあんこう一号の一瞬の隙を付き、方膝着座姿勢からの…?』ガピー




華 『レシーブ・トス・スパイクッ!!』

バン、バン、バンッ!!!

バシャ,バシャ,バシャッ!


沙織 『頭・胸・腰のレイバー三大弱点を確実に射抜く「三連射撃」が決まりましたーっ!!』


麻子 『…やーらーれーたー…』ガピー

ズシュン…

みほ 『…そっ、そこまでっ!!』ガピー





ウ オ オ オ オ ー ー ッ!!


沙織 『演習終了ー!見事、暴走レイバーの取締に成功しました、我らが特車二課「あんこう小隊」』ガピー

優花里 『今週五日間の短い間ではありますが、何卒暖かい目でのご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます!!』ガピー


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


…ワアッ!

パチパチパチ…


みほ 「…ふうっ。凄く恥ずかしかったけど、やっと終わってくれたあ…」ハァ~ッ…

優花里 『それでは最後に、西住みほ隊長より締めの言葉をお願いします』ガピー

みほ 『…ふ、ふぇっ?!あっ、あのっ…///』ガピー


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

パシャパシャ

みほ 『…ミッミナサンゴゾンジノトオリ,ワレワレハイマハイコウノキキニタッテイマス.キキトイエバ,ボコラレグマノボコ!ボコハサイコーナンデス!ミンナボコヲミテクダサイ!…』ガピー…

沙織 『み、みぽりん…』ガピー




ザワザワ…

ワイワイ…

五味岡 「…どうやらこれで終わりみたいですね。私はこのまま待機に入ります」

後藤 「おや…もう行っちゃうの?」

五味岡 「何かあったらすぐに出られるようにしておかないといけませんからね?…では」

カッカッカッ…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


後藤 「…で、どうです?」

榊 「へっ…見たか?シゲ。一号のセッティング、従来のやり方じゃダメだな。全体的にもっと固めて、膝と足首を柔らかくしねえと。あれじゃ思った通りに踊れねえだろ?」

シゲ 「重心移動に体捌きがどっちもまだおっ付いてませんね。腕の振りが余計な慣性を生んじまってる。残念ながら、圧倒的な練習時間不足が祟ってますね」

榊 「二号はとにかく丁寧な動かし方が気に入った。普段なら絶対にやらせねえが、お前の方で少しズルしてやれや。な?」

後藤 「…助かります。佐久間も喜ぶと思いますよ。さて、そろそろマスコミを帰らせるか…」

シゲ 「…一号は201号機から体捌きと体術のパッチを充てとくか。二号は銃撃タイプか…202号の銃扱いバターンを幾つか。ただ動きのガラが悪くなるから、あんま使いたくないんだよなあ…」ブツブツ



後藤 「…あ、シゲさん?今日アイツ等の練習は無しで良いからさ。ここの紹介ついでに『ここでのやり方』って奴も伝授しておいてやってくれないかな?」

シゲ 「そりゃ構わないけど、いつも通り後藤さんが相手してあげれば良いんじゃないの?」

後藤 「俺、今日は一日忙しいの。忍さん、お仕事やっといてくれないんだもの」

シゲ 「うら若き女子高生の皆さんには、ちょいと『ここでのやり方』はキツすぎるんじゃない?」

後藤 「なあに、ほっときゃ勝手に野営始めるような連中だ。伊達に戦車道履修してないよ。下手な遠慮は無用さ」

シゲ 「了解。じゃあ普通に『働かざる者食うべからず』の方向で良いわけね?」

後藤 「ああ。…連中には客じゃなく仲間として、本当の意味での『居場所』を作っておいてやりたくてね?じゃシゲさん、連中の事頼んだよ」

シゲ 「あいよ…渕山ぁ?取り急ぎ整備班の方の面倒を頼むわ。後、連中への『ここでのやり方』は貴様に一任するからそのつもりで!」

渕山 「ウスッ!!」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


榊 「…これから一週間分の溜まった仕事片付けるんだろ?ご苦労なこった」

後藤 「全く。おやっさんも連中の事、どうかよろしくお願いします」

榊 「ああ、気にかけとくわ。さて、と…
オラァ野郎共、余興は終わりだ!とっとと持ち場に戻りやがれ!!モタモタしてる奴ァ海ん中に叩っこむぞ?!」


整備班員共 「「「 ウ ス ッ !! 」」」






榊 「それからレイバーに『プロレス』やらせたバカはどうしたぁ?!」

みほ 「ひゃ、ひゃいっ?!ど、どうもゴメンなさいっ!!」

榊 「…後で雁首とデータディスク揃えて、俺ん所に持って来い」

みほ 「は、はいっ!」


榊 「…へッ!」 ニヤッ


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今回はここまでです。


コンピューターに強い方の榊さんかな?

>>65
ありがとうございます。
そうですね。漫画版の、ソフト側に歩み寄る努力をしてる榊さんイメージです。
今晩はこの辺りを掘り下げます。

もしあんこうチームと第二小隊が顔を合わせたら

・上手くやっていけそうなのが、野明、進士、ひろみ
・武緒は自分がリチャードにひどい目に逢わされた過去から、沙織に対して男に気を付けるよう忠告しそう
・太田と麻子は反りが合いそうにない
・遊馬は自分と同じく家族との確執があるみほに対して複雑な感情を抱いてもおかしくない

>>67
か、香貫花さんは?

では、本日分行きます



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特車二課棟 演習場(棟前広場急拵)


ザワザワ…

ヨーシテッシュー

ブロロ…


みほ 「ううっ、叱られちゃった。後藤隊長ったらひどい…」

優花里 「肝心な時にどこかにいなくなっちゃいました」

麻子 「あのお爺さんは、整備関係の偉い人なのか?」

華 「整備班員の皆さんが忙しそうで、私たち何かお邪魔みたいです…」

沙織 「私たち、この後どうしたら良いんだろうね?」




?? 「ハァ~イお嬢ちゃん達?後藤隊長から話は聞いてるよん。この後はしばしこの私目にお付き合い頂こうか?!」


ゴモヨ 「うわ?!」

パゾ美 「び、びっくりした…」

そど子 「あ、あなた、一体何者なのよ?!」


シゲ 「よくぞ聞いて下さった!特車二課整備班主任『シバ・シゲオ』!!ちなみに、好きな戦車道チームはドイツ戦車尽くしの黒森峰女学園でい!」


華 「整備班主任という事は、偉い方なのですね?」

シゲ 「その通り!この整備班の「若頭」的存在であり、特車二課の実質ナンバー4たあ俺の事よ!!」

麻子 「スゴいテンションだな」

シゲ 「お宅の事は黒森峰副隊長の頃から注目してたんだ。当時のグッズも持ってるぜ?これからよろしくな!あ、後でサインもらえる?」

みほ 「…は、はい。わ、私ので良ければ…」




優花里 「あー!私も持ってます。黒森峰時の西住殿グッズ。発売期間が短く、相当なレア物なんですよね?」

みほ 「ゆ、優花里さんも持ってたの?!は、恥ずかしい…」

沙織 「今明かされる事実」

麻子 「だが、納得し過ぎて全く衝撃的では無い」

シゲ 「おお、この価値が分かるたあお目が高い!お宅も相当の好き者だね?」

優花里 「はい!戦車に限らず、戦車に関係する物全て。軍事関連全般に興味があります!」

シゲ 「嬉しいねえ!やはり戦車道履修者ともなると皆興味を持つものなのかね?」

沙織 「…ゆかりんクラスは中々いないんじゃないかな?」

華 「戦車道履修で最低限必要な知識はあると思いますが…戦車その物に愛着がわく程度と言った所でしょうか」

シゲ 「ガックシ。そうだよねー?うら若き乙女たちが皆が皆率先して軍事関係に興味を持つとは思えないもんなー…」

優花里 「…然り気に私、ディスられてませんか?」




シゲ 「ま、何はともあれ『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し』。特車二課の事に関しては、この俺にドーンと任せといて頂戴よ!」

優花里 「鉄の掟、鋼の心、これぞ西住流。でありますな」

みほ 「あ、あはは…」


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--特車二課棟 広場


スタスタ…


シゲ 「まずは我が特車二課の裏にして真のボス、榊整備班長に挨拶してもらおうか。俺たちは尊敬と畏怖を込めて『おやっさん』て呼んでる」

華 「先ほどドスの効いた声で怒鳴られていた方ですね?」

シゲ 「戦後日本をスパナ一丁で渡り歩いてきた『整備の神様』よ!」

麻子 「戦後って…」

優花里 「…凄く恐そうな雰囲気でした」

シゲ 「そりゃあもう!機械に対するその姿勢は正に真剣勝負その物。愛する機械を蔑ろにする輩には一切容赦しない、厳格かつ恐ろしいお方だよ…。オタク等も言動には十分注意しなよ?」


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--特車二課棟 ハンガー内


ガガガ…

ドリュリュ…

ピー…ピー…


シゲ 「ありゃ?整備の陣頭指揮執ってるはずなんだけど…どこいっちゃったのかな、おやっさん」キョロキョロ

沙織 「…それらしい人、見当たらないねー?」キョロキョロ

シゲ 「おやっさんも忙しい人だからね?整備だけやってれば良い立場じゃない。何たってこの特車二課の実質ナンバー1なんだから」

みほ 「あれ?…着任直後にご紹介された福島課長じゃないんですか?」

シゲ 「あの人はどちらかと言えば本庁への体面の方が気になる方でね…。この中でのヒエラルキーといえば、おやっさん、第一小隊隊長の南雲警部補、大分落ちてアンタ等の面倒を見てる第二小隊隊長の後藤さんてのが、特車二課のナンバー3かな?」

麻子 「後藤隊長は大分落ちるのか…」




シゲ 「ま、その後すぐ後ろに付いてるのがナンバー4が、このシバシゲオ様って訳!」

みほ 「そ、そんな…後藤隊長は立派な人です!」 ガバッ

沙織 「急に何を言いだすの、この子は」

華 「みほさん。今そういうのはいいですから」

みほ 「あ、はい…」 シュン

シゲ 「無視しないで、少しは俺の方もイジって頂戴よ」

?? 「…んな大層な代者じゃねえ。俺ぁただの機械バカよ…」

シゲ 「おやっさん!一体何処行ってたんスか?!」

榊 「ちょいとお前さん達の隊長の後藤さんと話をしてたんだ…よく来てくれたな?俺がここの整備班長の『榊 清太郎』だ」 ニッ


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


みほ 「あ、あの、先ほどはレイバーや車輌に無理をさせてしまい、申し訳ありませんでした…」

榊 「ん?ああ『プロレス』の事か。後藤さんの差し金でやらされた事だろ?気にしちゃいねえよ、あんま気に病みなさんな」

華 「でも、さっきはあれほど…」

榊 「ああ。ありゃあな?ウチのバカ共への示しと、マスコミ通じてのウチの上層部へのささやかなアピールって奴よ」

優花里 「アピール、ですかあ?」

榊 「特車二課は何かと風当たりが強くてな?こういう時にわざとらしい位に厳しい所を押し出しておかねえと」

麻子 「…あれだけバカやってアピールも何も無いもんだが」

沙織 「こ、こらっ、麻子?!失礼な言葉使いしないのっ!」



榊 「へへっ確かにな。大方、後藤さんから『お前さん達の資質を疑う奴等を見返すため』なんて言われてやらされたんだろうが…」

みほ 「違うんですか?」

榊 「担がれたんだよ、お前さん達は。『機械が好き』でこの世界に入ってきた『若ぇ連中』が、『戦車道の英雄』を…ましてや『佐久間のお墨付き』を嫌う道理は、まあ無いわな?」

華 「…やっぱり」

優花里 「またですか」

ゴモヨ 「そんな事だろうと思った」

パゾ美 「やってらんないわ」

そど子 「会長と変わらないわね」

榊 「『猪・鹿・蝶』どころか『四光』揃い踏みな連中に、可哀想な事を。…好きな娘に悪戯する中坊じゃあるまいし。ま、済まなかったな?」 アタマグシャグシャ

麻子 「うおお…」 アタマグラグラ


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


沙織 「…(渋いお爺様ね…)」

榊 「ほう?…お前さん、俺の連れの若い頃そっくりだ。大和撫子ってえのかな?それに、芯の強さを秘めている感じがな…」

華 「あら♪ありがとうございます」

沙織 「…(華ったら、やっぱりモテるのねー…)」

榊 「…大和撫子に戦車道っていやあ、俺は昔から知波単一択よ。戦後の混乱をスパナ一本で渡り歩いてきた身としては、日本戦車中心の知波単がどうも他人事に思えなくてな?」

優花里 「何か分かる気がします」

榊 「敢闘空しく破れちまったが、黒森峰との試合で、相手さんの主将を包囲したのはそりゃあ見事だった…。最後は燃料切れ起こして敢闘空しく敗れちまったけどな ?で、どうだい。新しい隊長さんは」

みほ 「え?えーと…まだ良く分からない、です、ね…」

榊 「突撃して潔く散る『知波単魂』ってのがあるが、ありゃ融通が聞かなくてダメだな。突貫・突撃だけじゃあ、遅かれ早かれいずれ壁にブチ当たる。機会があったらお前さんの方からも言っといてやってくれや」

優花里 「…(まさについこの間の練習試合で目の当たりにしました)」

みほ 「…(私、隊長の西さんに突貫突撃傾向の件、注意するように言ったかな?)」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


榊 「で、小っこいお前さんがさっきの一号機の操縦手か」 グシャグシャ

麻子 「…や、やめろー」 グラグラ

榊 「佐久間から話はよく聞いてるよ。機体ブン回してる奴がいるってな?」

麻子 「ううーっ…佐久間教官からは、無茶するなって怒られた…」

榊 「曲げちゃいけねえ方向に、無理矢理こじらせたりすりゃあ流石に怒るが…お前さん、機械の能力をフルに発揮させたいだけだろ?」

麻子 「…おお」パアッ

榊 「お前さんの機体は、全体的に満遍なく負荷が分散されて良い馴染み具合になってる」

麻子 「…おおっ!」パアッ!

榊 「どうやら機械に好かれる子みたいだな、お前さんは。まあ好きなように動かしてみな?何度だって修理してやるからよ」 グシャグシャ

麻子 「…~っ///」 グラグラ


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


榊 「で、早速だがお前さん達のデータディスクを預かっとこうか」

みほ 「あ、はい。これが皆の分のデータディスクになります」

榊 「悪いな。データのバックアップ取っとかねえと、ズルも出来ねえからな…」

みほ 「…『ズル』?」

榊 「後藤さんからどこまで話を聞いてるか分からねえが、コイツみてえな『人型の格闘戦用レイバー』は、理屈の上じゃ人間と全く同じ動きが出来るんだそうだ」

みほ 「話のかじりだけ、ちょこっとお話を聞きました」

榊 「どっちかと言やあ、フォワード二人の領分だ。よく話を聞いとくと良いや」

華 「… はい」コクリ

麻子 「わかった」コクリ




榊 「で、時間さえかけりゃあコイツは、打撃・投げ技・間接技・あや取りまで、所謂『特殊動作』を覚え込ませる事が可能ときてる」

沙織 「レイバーがあや取り、ですか?」

榊 「おおよ。201…第二小隊の一号機なんざ、器用に縄であや取りするぞ?指先ばかり器用になって行きやがる。殴り合いのコツ覚え込ませる方が先だってのにな」

優花里 「AVシリーズの器用さは分かりましたが、実戦でどれだけ役に立つかは判断しかねますね…」

榊 「まあな。だがそんな『特殊動作』ですら、一旦覚え込んじまえば、後はコンピューターの方で勝手に判断して最適なタイミングで『発動』してくれる。…人を運び上げるための担架を縄で固定化する時とかな?」

そど子 「レイバーにそんな事が出来るの?」

優花里 「何か面白いですね!」

榊 「これを『動きの効率化』と言うんだが…嬢ちゃん?」

麻子 「?」




榊 「逃げる目標を追いかけて動きを止める場合、レイバーをどう動かす?」

麻子 「…『走る』『飛び付く』『抱え込む』『そのまま乗っかる』『抑え込む』…この五動作」

榊 「レイバーの基本動作の範囲で行えるのはその位だよな。…シゲ、これに201号機のパッチを充てる事で、今の一連動作からどんな『動きの効率化』が『発動』する?

シゲ 「…相手に追いすがり様『脇固め』で極め。ですかね」

麻子 「ほう…」

華 「スゴいですね…!」

榊 「…とまあ、偉そうに講釈かましてみたが、ご覧の通り詳しい所は俺にもさっぱりでな?俺に出来るのは、立場上の権利を活かしたデータ管理…バックアップと『ふっかつのじゅもん』発動位なもんだ」

シゲ 「そんな!おやっさんは…」

榊 「それが事実さ。基本はもっぱらシゲや整備班員の若え連中に任せっきりよ。ハードはともかくソフトじゃ到底敵わねえ…」



シゲ 「…おやっさんは概要を把握して判断してくれりゃそれで良いんですよ。細かい所は俺たちがやりますんで、後はいつも通りドーンと構えてて下さいって!」

榊 「へへっ。…という事で、お前さん方のデータに少し『ズル』をして、第二小隊の動作パターンから幾つかパッチを充てる事にした。これは佐久間からも相談されてた事でな?」

みほ 「佐久間教官が…」

榊 「『ズル』によって、お前さん達の機体は格段に操作性が増すはずだ。ただ一から丁寧に育ててる訳じゃねえ。何かしらがトリガーになって、予想外の『特殊動作』が『発動』するかもしれん。だからこそ、普段なら絶対許可はしねえんだが…」

華 「…どうにかします!」

麻子 「もちろん。どうとでもして見せる」




榊 「…『ズル』には必ずリスクが伴う。特に機械にはその傾向が如実に出る。問題を起こすのは常にそれを扱う人の方。機械は決してワルさをしねえもんだ…そこん所、呉々も忘れねえようにな?」

華 「…はい」

麻子 「わかった…」

榊 「隊長さんよ、お前さん所の戦車もそうだろ?丁寧に整備をし、一生懸命訓練して、手足のように使いこなせば、機械はそれに必ず答えてくれる。機械ってのはそういうもんだ。そうでなくちゃならねえ…」

みほ 「…はい」




榊 「…おおっと、長い間引き留めて悪かったな?シゲ!コイツ等が命預ける事になる機材関係一式、改めて見せておけや。『銃』の閲覧も特別に許可する!」

シゲ 「へいっ、おやっさん!」

優花里 「『銃』?!『リボルバーカノン』の事ですね?!」

華 「話には聞いていましたが…実際に見るのは初めてになりますね。…『リボルバーカノン』ですか…」


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今回はここまでです。

状況の絵面とか空気感まで感じられるでぇ>>1さんおつかれー

乙です

おやっさんの人となりがよくわかる話でした
ガルパンにもおやっさんみたいな『厳しいけど頼れる大人』がいてくれたらなぁ・・・

乙です
おやっさんのセリフ劇場版での工場長実山との遣り取りのセリフでニヤリとしてしまった

・・・あと、作者さん
67さんが香貫花を出してないのはコミック版だと普通の刑事だからなのでは・・・

>>89
多分OVAやTV版の熊耳さんが出てこないとこが好きだったりするんだろ
俺も不思議と香貫花の方記憶していた思い出話

寧ろTVアニメ版及びコミカライズ版のおかげで武緒がいる状態が基本という個人的なイメージがあるんですが(帰ってきたウルトラマンでも加藤隊長よりも、伊吹隊長の方が印象的)
更に歳のせいもあってか、スルーしてました
で、香貫花とあんこうチームが顔を会わせたらですね
みほを甘いと断じながらも、貴女らしいと諭す、とか
以上、弁明終わり

昨日は急な用事が入り、更新できませんでした。
極力毎日頑張ります。

>>87
ありがとうございます。嬉しいです!

>>88
今回のテーマです

>>89
漫画版では確かにあまり登場してないですね。
すいませんでした…。

>>90
本作では後藤さんも言ってた通り、
熊耳第二小隊となっています。

>>91
いえ、分かります。
私は逆に最初の刷り込みが消えないタイプです。

では今回の分、行きます。



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--特車二課棟 ハンガー内


ドカカッ

グイイーンッ…

シゲ 「んじゃハンガー内を移動がてら、取り敢えず簡単に特車二課の間取りから説明しておくよー?」

みほ 「はい、お願いします!」

シゲ 「まず建物自体は、事務関連や会議等を執り行う中央棟を真ん中に、左右両翼にガレージが長く張り出す形になってる」

華 「レイバーサイズを考慮してか、かなり大きな建物ですよね?」

シゲ 「元は大型機器生産工場だった場所を、倒産と同時に安く買い叩いた所だからね。これも金食い虫のレイバー隊ならではの倹約術と言った所かな?」

麻子 「はあ…(だから古い感じなんだな…)」

シゲ 「んで、正面玄関向かいに見て右側が第一小隊、左側が第二小隊に割り当てられてる。オタク等は第二小隊の予備人員扱いだから、左のガレージが主な活動エリアって事になるね」




優花里 「私たちが常在する場所というか、仕事部屋はどこになるのでしょうか?」

シゲ 「普通なら『隊員控室』ってのが、ハンガー内部中央棟寄二階にあって、そこに常在する事になるんだけど…ほらあそこのガラス張りの所」

沙織 「何か鉄板が張り出してる…」

シゲ 「連絡通路だよ。普段はあそこに整備の終わったレイバーを立たせておいて、隊員がすぐに乗り込めるようになってる訳」

沙織 「そうなんだあ…」

シゲ 「で仕事部屋の件なんだけど、残念ながら予備隊員のオタク等には席が無い。実際には宿直室とハンガー定機中の自機との往復になりそうだね」

そど子 「えーっ?この暑い最中に…?」

シゲ 「贅沢言いなさんな。俺たちゃこの環境の最中で日夜首都圏の平和を維持してるんだから…第一、他にやらなきゃいけない事がここにゃ山積みだからねえ…」 ボソッ

そど子 「?何か言った?」

シゲ 「いいやー別にー?…ああ、西住ちゃん。オタクには隊長室に臨時席が用意されているはずだよ。後で後藤さんに確認しといてねー?」

みほ 「…あ、はい!(後藤隊長と同じ部屋に席があるんだ…)」


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--特車二課棟 ハンガー内 あんこう小隊 車輌定機エリア


シゲ 「…とおやっさんに言われた物の、普段から訓練で嫌になる位に見て触っているだろうから、今更聞きたい話も無いもんだけどね?」

優花里 「そうですかあ?私はぜひ現場ならではのお話をお聞きしたいんですけど」

シゲ 「…さっきからお嬢ちゃん…秋山ちゃんだっけ?中々嬉しい事を言ってくれるじゃないの」

ゴモヨ 「…98式特型指揮車の事なら、秋山さんからの説明だけでもうお腹いっぱい…」

パゾ美 「私も…97式レイバー指揮車のスペックやら何やら…」

優花里 「そ、そんなぁ!いつも、これからが面白くなるって所で…」

シゲ 「ちなみにどんな説明をしてたの?お兄さんにちょこっと話してみそ?」

みほ 「あ…だ、ダメ~っ!!」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


(※お話には何の影響も有りませんので、読み飛ばして頂いて構いません)


優花里 「はい!この篠原重工製『97式レイバー指揮車』。パトロール・レイバー専用僚車として初めて開発された車輌で、警光機・
投光器・拡声器・レイバー擱座時に使用するウィンチ等を標準装備。後にAVシリーズとの運用情報統合システムが搭載されました。西住殿も利用されている通り、内部に狭小ながらも作戦ルームが用意されているのがその最大の特徴で、移動しながらの情報収集、状況検証が可能となっています。更に運用情報統合システムにより、リアルタイムで関係機への情報共有が可能なため、現場に急行しながらの作戦立案が可能。過去の膨大な事件記録を引用し、仮想状況下でのシミュレーションも行う事が出来ます。言わば移動式の基地のような物。それ故車体は程々の大きさとなってしまい、特に直接視認による状況判断と指示を出すために特化した車体の高さが生む独特の癖によって、レイバーと共に機動しつつ指示を出すような行動は困難を極め、後藤殿の苦労が偲ばれます。
故に本車輌はコマンドとドライバー二人体制での運用が必要不可欠と言えるでしょう…っ!」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


優花里 「…ふうっ!」 キラーン

華 「終わりましたか?」

ゴモヨ 「ほらね?」

パゾ美 「これだもの…」

そど子 「もう、うんざり…」

麻子 「なぜ、誰も止めなかったんだ」

みほ 「だから止めようとしたのに…でも優花里さん、スッゴい良い笑顔…」

沙織 「もう何言ってるか全然分かんない」




シゲ 「…うん、イイね?」 キラーン


麻子 「良くないぞ」

優花里 「次はぜひ現場ならではの『98式特型指揮車』の説明をお願いしたい所ですっ!」

シゲ 「お、そうかい?そう言う事なら…うおっほんっ!んっ、ん…」

そど子 「続けないでよっ?!」

ゴモヨ 「何だろう…」

パゾ美 「凄く、嫌な予感がする…」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


(※お話には何の影響も有りませんので、読み飛ばして頂いて構いません。むしろ好き勝手に書きすぎたので、率先しての飛ばしをお願い致します)


シゲ 「パトレイバーといえば、まずは機体・車輌の諸元から入らないとらしくないでしょ?いつもは遊馬や太田ちゃんにやられちゃってるから、今日は俺もやれば出来る所を存分にアピールしちゃうからね?!…四菱自動車製『98式特型指揮車』。分類、装甲車。所属、警視庁。全長 3.45m。全幅 1.62m。車両重量 957kg。出力 80ps。最大速度 145km/h。…篠原重工に特殊車輌分野にまで範囲を拡げられまいと、四菱がプライドをかけて開発した装甲車輌。本来レイバー指揮車は、足元周辺、特に後方の視界の確保が容易では無いレイバーの補完及び補佐役を務めるために開発された物で、指揮・バックアップ用電子機器や投光器、外部拡声器、ウインチの他、警視庁との運用情報統合システムを始めとする多彩な情報通信設備が搭載され、現場と特車二課などとの中継役もこなしている。

運動性能に問題のあった『97式レイバー指揮車』を反面教師とした結果、小回りの効く小型バギータイプとなった訳だけど、その運転座席は極めて狭く、基本一人乗り。助手席と言っても補助椅子程度の簡易装備しか無いからね?実は運用情報統合システム自体は『97式レイバー指揮車』と全く同じ物が採用されていて、スペック的には同等なんだけど、最大の違いは操作環境によるインターフェース。現場で必要とされる情報・指揮・機動の全機能を一人の乗員のもとに集約させるという思想で製作されているため、指揮担当者は現場での柔軟な対応が可能…とは言われている物の、極めて狭いコクピットのせいでその操作環境は劣悪その物。基本停車しながらでの指揮が前提だね。ああ運転中のシステム使用は御法度だぜ?建前上は。携帯スマホの『ながら運転』と同じになっちまう。大きい声じゃ言えないが、この車輌は走りながらの作戦立案を無言で推奨してるから、かなりの矛盾を孕んだ車輌とも言える訳。陸上自衛隊にも同モデルが試験採用されていて、搭載装備の違いにより、多彩なバリエーションが用意されているんだけど、秋山ちゃんがバックスとしてこの車輌に乗れる事を喜んだのには、こいつがれっきとした軍用車輌の一種だったからなんだな。隊員の足としても使用される「戦闘指揮車」が主な車種だけど、50mmカノン砲を装備した駆逐装甲車 俗称「猟犬」なんてのもある。こいつはドイツ軍の軽駆逐戦車ヘッツァーを模したものとなっているんだ…っ!」


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シゲ 「…ふうっ!」キラーン

華 「終わりましたね?」

ゴモヨ 「ほらね?」

パゾ美 「これだもの…」

そど子 「こういう人は秋山さんだけで充分よ…」




優花里 「…シゲ殿?」

シゲ 「…秋山ちゃん?」

ガシイッ!

シゲ 「やるじゃな~い?」

優花里 「そちらこそっ!」

シゲ 「気に入ったぜ?レイバー関連で何かあったら遠慮せずに俺に相談しな?」

優花里 「頼りにさせて頂きますっ!」




沙織 「…出た!ゆかりんお得意の無意識人心掌握術。ただし、天然か濃い人限定」

麻子 「何だか良く分からない絆が生まれたな」

みほ 「良い話なの、かな?」

沙織 「そんな訳無いじゃない」

シゲ&優花里 「じゃあついでに98式特殊運搬車の説明も…」

あんこう小隊 「するなーっ!」(※優花里・華 以外)




華 「…私は、一体何時になったら、リボルバーカノンがみれるのでしょうか…?」 ショボン

優花里 「ああっ?!五十鈴殿、ごめんなさいっ!!私も楽しみにしてたんです、今すぐシゲ殿に連れていってもらいましょう?」

シゲ 「…いっけね!あんま騒いでるとまたおやっさんにドやされちまうよ…」


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--特車二課棟 ハンガー


ガガガッ…

ドリュリュッ…

スタスタ

シゲ 「いやあ、ごめんごめん。中々女の子に理解されにくい話なもんだからさ?分かる子が来るとつい嬉しくなっちゃうんだよ」

優花里 「私も同じ趣味を持つ方と知り合いになれて嬉しいです!」

シゲ 「くうっ!泣ける事をっ…。同じ趣味といやあ、こっちは車関係だったけど、オタク等の自動車部の連中も面白かったな」

みほ 「自動車部の皆さんともなんですか?」

シゲ 「おおよ。例の特殊カーボンの件では本当に世話になった。腕も確かだったし…約束したレースが出来るようになるといいけどな?ま、おやっさんの車だけど」


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--特車二課棟 ハンガー内 あんこう小隊 レイバー駐機エリア


シゲ 「リボルバーカノンは、すぐにレイバーに携帯させる必要から、利便性を考慮し、レイバー駐機場のすぐ脇に設置されてるんだわ」

華 「?大きなロッカー…みたいな物しかありませんが」

シゲ 「これがレイバーサイズの『拳銃』を仕舞っておく『ホルダー』って訳さ」

優花里 「これは第二小隊と同じ物なんですか?」

シゲ 「おうよ!…日進月歩で進化するレイバーに対し、同じくレイバーの性能だけで対抗するのはキリが無い。何かしら別次元の『抑止力』は必要不可欠。そこでAVシリーズから採用されたのが『リボルバーカノン』てわけ」

優花里 「第一小隊には無いのですか?」

シゲ 「第一小隊の旧型パトロールレイバー『バイソン』には、この手の飛び道具は一切搭載されていないんだ。それでも高い成績を上げている第一小隊は大したもんなんだよ」


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華 「…ずいぶんと厳重に保管されているんですね?」

シゲ 「さっきはああ言ったけど、警察の『抑止力』としては過ぎたる代物だからね、っと…」

ピッピッピッ…

ガチャンッ…ゴグンッ

沙織 …(大洗じゃずいぶんと気軽にガレージに出入りしてたけど、学生と社会人じゃずいぶんと意識に差があるもんなのねー…)

麻子 「鋼鉄製のロッカーに、厳重な認証式ロックと手動式キーの二重構造か…」

シゲ 「管理にはものスゴく気を使ってるよ。整備の関係上、俺らがコレを検査したり弄ったりする必要があるんだけど、その際には必ず直属の最高クラスの上司、おやっさんの許可が必要になる」

沙織 「私たちの見学許可もそれと同等なんですね?」

シゲ 「そういう事。実際の使用時にはもっと厳しい条件になるよ?福島課長を含めたナンバー3の内、最低二人以上の許可が無いとここを開ける事すら出来ないんだから」




ガラララ…ッ

ガコンッ

シゲ 「お待たせ。さ、これが『リボルバーカノン』だ。名前の由来通り、形状はリボルバー型拳銃を模した物となっている。機構はそのままに、人からレイバーサイズに拡大しただけの代物…と言えない事もない」

華 「鉄のギミックの塊を見ると、戦車を思い出して少しホッとします…」

みほ 「『銃』自体には、電子機器類は一切使用していないんですね?」

シゲ 「AVシリーズのセンサーは優秀だからね。多少の誤差なら自己修正しちまうし。第一、アンタ等 戦車道みたいな長距離使用をほとんど想定していないし」

華 「そうなんですね」


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シゲ 「…アンタ等 戦車道履修者にとっては釈迦にに説法という事になるのかな?見ての通り、口径は37mm… 」

優花里 「ちょっと待ってください。見ての通りと言うのであれば、これはどう見ても我がⅣ号の…」

シゲ 「37mmったら37mmなの。良いね?…で、リボルバーカノンの弾丸は、貫通の危険性が低く、レイバーのストッピングパワーを期待できるホローポイント弾が採用されている」

華 「強ければ良いってものでも無いんですね?」

シゲ 「基本FRPを使用する民生用レイバーに対して、アンタ等の使用している戦車での攻撃なんか絶対考えちゃダメ。だって威力が強すぎて、貫通して後ろの施設自体を破壊する事になっちゃうでしょ?」

華 「…威力が高いと言えば、98式AVに比べて各部モーター出力が弱いドーファンの場合、両手撃ちが基本と言われ、そのようにしてきました。模擬用のペイントガンなら片手撃ち出来ましたが…」

シゲ 「実際のリボルバーカノンの衝撃には、確かにドーファンの非力さでは片手撃ちには耐えられないだろうねー」


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優花里 「…私、どうして自分がリボルバーカノンに興味があるのか、実際に見るまで気が付かなかったのですが、今 見て分かりましたよ」

シゲ 「戦車と比べりゃ小さいかもしれないけど、一応『砲』だからじゃないの?」

優花里 「いえ!もちろんそう言う意味での興味もあったのですが…モデルガンサイズだと気が付かなかったのですが、リボルバーの機構って、私が担当してる装填手の動きその物なんですよね」

沙織 「砲弾を持ち上げて、セットするって、あの流れ作業の事?」

優花里 「はい。弾を砲塔まで運んで装填する…しかもそれを、地面に直置きすると私が直立した面積と同じ位で実に器用にこなすじゃないですか」

華 「その上、撃鉄まで追々して動きますし」

優花里 「現代戦車は、装填も自動化が進んでいます。ちょっと機構は違いますが、こんな感じなのかなあ?って考えると感慨深い物がありますね」

みほ 「…私は、優花里さんのいないⅣ号は嫌だけどな…」

優花里 「ふえっ?!に、西住殿?…ふ、不意討ちは止めてくださいよう…」 グスッ


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シゲ 「…さてと、整備班に係わる事柄は説明しきったかな?」

みほ 「そうですね、多分」

シゲ 「実はここ特車二課は、任務以前にやらなきゃいけない事が結構あるんだ。昼飯食い終わったら『ここでのやり方』をあんこう小隊の諸君に教えるから『覚悟』するように」 ニヤリッ


みほ 『…覚悟?』


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今回はここまでです。

乙です

流石にライアットガンはリボルバーカノンで精一杯なドーファンでは扱えないから説明を省いたか・・・


あああなるほど・・・第一小隊のはレイバーはテレビ版のパイソンに成ってるから新型を先に大阪に回したのか・・・

コミック版の97式改はヘラクレスにすら1対1では不利らしいし

後藤隊長の話ぶりだと、黒いレイバー(グリフォン)に最初に出会った場面みたいだから、元々第3小隊に渡すはずの新型レイバーは、まだできていないはずでは?(確か間に失敗作のレイバーができてるはず)

>>88
亀レスだけどわかる
別のガルパンSS読んでいて思ったけど、最近の美少女アニメって極端に男を排除し過ぎ
この手のキャラを出しても百合厨は騒ぎ出すんだろうな

遅くなりましたが昨日分をアップしていきます。
今日は定時に書き込めるといいなあ…


>>113
「なぜドーファンが初の警察用レイバーの称号を得られたのか?」等の話も書いていたのですが、長くなるので、本編に関係ないのは全部カットしちゃってます。すいません。

>>114
ガルパンとパトレイバーではそもそも時代設定がずれているので「携帯スマホのある時代にそのまま移動」させてます。
大まかにテレビ&漫画版で最初の「グリフォン襲撃→第2小隊が押し返し」後、第一小隊の次世代機の噂が出始めた時期です。

>>115
大洗旅行の際、親切にしてもらった地元の方々や、ガルパンおじさん達の姿を、何人かのキャラには投影しています



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--特車二課棟 旧社員寮(宿直室・食堂)裏敷地内


カッ!

…ンジーワッ,ジーワ,ジーワ,ジー…ッ…!


そど子 「…暑っつい!」

みほ 「…お昼ご飯食べたら、皆、麦わら帽子に体操服&ジャージに着替えてここに待機。って言われたんだけど…」


ガランッ,ガランッ,ガランッ!

シゲ 「…やあやあ、お待たせっ!」

優花里 「高らかな高下駄の音と共に来られたのはどなた様でありますか?」

シゲ 「…おいっ?」

淵山 「押忍っ!…俺は特車二課整備班副長『淵山 義勝(ぶちやま よしかつ)』。特車二課整備主任のシゲさんに次ぐ副長だ。戦車道では、圧倒的物量で敵陣を押し潰すプラウダに傾倒している」

そど子 「…ここでは、自己紹介で好きな戦車道チームを言わなきゃいけないルールでもあるわけ?」

シゲ 「悪のりに便乗するのが、我が整備班員のモットーだからね?それはともかく、これから諸君には、特車二課で生きていくため…いや、生き残るための『ここでのやり方』って奴を教授していくっ!」




淵山 「そこでこの俺様の出番って訳だ。俺ぁ主任のように優しく無えぞ?ビシビシ行くからそのつもりでいるようにっ!」

そど子 「ハッ!無駄に大声張り上げちゃって…今時下駄にバンカラな出で立ちなんて流行らないわよ」 ボソッ

淵山 「…聞こえてるぞ?園とか言ったな、お前。風紀委員だか何だか知らんが『ここの風紀』はこの俺が一手に任されている。一(いち)女子高生風情が、あまりのキツさに後で吠え面かくんじゃねーぞ?」

そど子 「あぁん?アンタこそ大洗風紀委員をあまり舐めないでよね!」


淵山 「…おぉう?」

そど子 「…あぁん?」


ゴモヨ 「…ほんと私たち」

パゾ美 「ガラが悪くなったよね?」


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淵山 「おおっと…それから、そこの長髪のアンタ」

華 「?私の事ですか?」

淵山 「ああ、アンタだ。五十鈴とか言ってたな?極めて個人的な理由だが、アンタの昼飯時の大食いっぷりに、ウチの若え連中が恐れを為しちまってな?」

華 「大食いだなんて…。女性に対して失礼とは思わないんですか?皆さんもそう思いますよね?」

あんこう小隊 「「……そうですね」」

華 「…今一つ歯切れが悪いように感じるのは気のせいでしょうか?」

淵山 「互いにこのままじゃ示しが付かねえ所で、だ…。夕飯時、どちらが恐ろしいか若え連中に知らしめるため、悪いがこの俺と一勝負付き合ってもらおうか?」

華 「…貴方が負けたら、先程の言葉を取り下げてくれますね?」

淵山 「もちろん。男の約束だ」





優花里 「どんな会話のやり取りで何をかけて言い争っているのか、今一つ理解に苦しんでいます…」

麻子 「…この勝負に勝ったら、より大食いだって事を知らしめる事になるのだが、それは良いのか?という点だな」

沙織 「華って時々よく分からない言葉や価値基準が出てくるのよね…」

そど子 「と言うか、すっかり私は置いてけぼりじゃないの!」

みほ 「あ、あはは…」


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淵山 「…おいっ!外部スピーカー用マイクっ!」

整備班員共 「ヘイッ!淵山先輩!!」

淵山 「うむっ…」 カチッ

淵山 『…待機中の全隊員及び整備班員へ。606用意。装備03にて、裏敷地内に集合。繰り返す…』ガピー

優花里 「装備03て…」

淵山 「『…に集合。以上。』…これだ」 ガランッ

沙織 「金バケツに…」

みほ 「…手鎌?」


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--特車二課棟 裏敷地内


…ミーンッ,ミーン,ミン,ミン,ミン,ミン,ミーン…ッ…

ザクッ,ザクッ,ザク…


麻子 「…暑っつい!」 ボタボタ

優花里 「606って…特車二課周辺にボウボウに生えまくってる…」

みほ 「雑草の芝刈りだったんだね…」

淵山 オラ、無駄口叩いてる暇なんざ無えぞ?!口動かす前に手ぇ動かせっ!ここの雑草生い茂んの、芝刈りより早いんだからなっ!!

そど子 「うっさいわね、やってるでしょーが!…ゴモヨとパゾ美はここまでをお願い。私はあそこをやるわ!」

ゴモヨ 「りょーかーい」

パゾ美 「わかったー」

麻子 「真面目か」


ザクッ,ザクッ,ザクッ…

華 「フフッ、ウフフッ、フフフフ…」

ザク,ザク,ザク,ザク,ザクッ!


沙織 「華?何か怖いからそれ止めて?!」


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--特車二課棟 裏敷地内


スタスタ


シゲ 「さ?次はこっちー」

優花里 「また606ですかあ?」

シゲ 「んにゃ」


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--特車二課棟 旧社員寮(宿直室・食堂)裏敷地内 ビニールハウス&鶏小屋


…コケーコッコッコッ…


優花里 「…卵は全部回収して良いんですよねー?」

みほ 「畑仕事に…ニワトリの世話?」

シゲ 「あっちの小屋では、海産物の干物作りに精を出してるよ。ネットで見た事ない?特車二課名産物『ハゼの干物』。中々評判の一品なんだけど」


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淵山 「オラ、無駄口叩いてる暇なんざ無えぞ?!口動かす前に手ぇ動かせっ!市場に出荷するわけじゃねえんだから、収穫するトマトは赤く熟したのだけにしろよな?!」

そど子 「ほんっと口喧しいわねー!…ゴモヨとパゾ美はここまでをお願い。私は冷泉さんとあそこのエリアをやるわ!」

麻子 「そど子も似たようなもんだぞ?」

そど子 「じゃ始めるわよー」

ゴモヨ 「りょーかーい」

パゾ美 「わかったー」

麻子 「だから自然に無視するな。悲しくなるだろ」

ザク,ザク,ザク,ザク,ザクッ!

華 「ウフフフフフフ…」

沙織 「華?ここまで草むしりしなくても良いからっ!あとそれ枝豆だからっ!!」


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--特車二課棟 裏敷地 東岸壁 船着場


カナカナカナカナカナ…

ミャー…ミャー…ミャー…

ボーッ…トットットッ…


…チャポンッ


優花里 「そして、総出で釣り…」

みほ 「…あ、来たっ…えいっ!」


ンピシッ!…ピチピチピチ…


みほ 「やったっ!」

優花里 「…あー、大物ですねー。それにしても随分と慣れてませんか?」

みほ 「エヘヘ。田舎じゃ池や川でだけど、お姉ちゃんと一緒によく釣りしてたの」

沙織 「…やだコレ付けるの?私ムリ…」

華 「エサですよね?付けてあげますから、ちょっと竿貸してください」

沙織 「華、ありがとー」

麻子 「…夕暮れの一時。都会の喧騒を離れ、私は釣糸を垂れ、しばし安らぎの刻を得る。この静かな魚との思考戦…私は嫌いでは無い」

沙織 「…ちょっと麻子!お願いだから現実逃避しないで帰ってきて?」


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そど子 「…何なのコレ?訓練と事務仕事以外は、ほとんど一日中備品の保全と食料調達じゃない!」 バシーンッ!

シゲ 「ウチが貧乏だって話、後藤さんから聞いてない?これも大事な特車二課の任務だよー?」

ゴモヨ 「話は聞いていたけれど…」

パゾ美 「まさかこれ程とは…」

そど子 「こんなんで本当に任務遂行出来るわけ?」

淵山 「ふんっ!…風紀委員ともあろう者が、まさか環境維持を軽んじる発言を行うとは…貴様達はその性根を根本から叩き直さねばならんようだな?」

そど子 「な、何よ?」

淵山 「じゃあ聞くが、今日の昼、お前たちが何を食ったか思い出してみろ」

華 「…軽く大盛チャーハンと麻婆豆腐、ギョーザ三人前に味噌ラーメンと言った所でしょうか…」

優花里 「チャーハンがご飯、麻婆豆腐が味噌汁、ギョーザがおしんこみたいに、一汁一菜感覚で言わないで下さい?!」

沙織 「華?あんたはちょっと黙ってよう?話がややこしくなるから」

華 「心外です!」 ガーン




淵山 「後で見てろよ?…それはともかく、こんな地の果てに出前しようなんて物好きは、上海亭一軒のみ。それも平日の昼間だけだ。一番近くのコンビニですら、車で往復45分…」

みほ 「ううっ…実はⅣ号持ってきて良いか後藤隊長に相談したんだけど、断られちゃったの…」

優花里 「一応、聞いてはみたんですね?」

華 「その理由は?」

沙織 「聞くまでも無いじゃん?!」

みほ 「整備班の皆さんには受けるかもしれないけど、警察に戦車はさすがに置けないって」

麻子 「そりゃそうだろ」

淵山 「ただし、コンビニは高く付く上に、品数がどうしても不足になる。結局は自給自足の道を模索するしかないわけだ」

沙織 「どれだけ辺境なの…?あー花の東京ライフとか浮かれてた自分に腹が立つ…!」

華 「反省して下さいね?」

沙織 「華…怒るよ?」




シゲ 「米、乾麺類 保存の利く主食は良いとして、タンパク質及びビタミン、ミネラルの確保だ。ビタミンに関しては、第二小隊隊員が独自に開発したトマトをはじめとする各種野菜畑で一応の決着を見たが、問題なのはタンパク質だ…ニワトリ小屋 20羽のニワトリが産む卵だけで、需要が満たせると思う?」

そど子 「思ってないわよ、最初から」


ミャー…ミャー…ミャー…

ザザア…

ボーッ!ボーッ!


整備班員共 「頼むぞー!」

整備班員共 「生きてかえってこいよー!」

整備班員共 「目標達成まで帰ってくるなー!」


みほ 「あれは…」

シゲ 「…最近始めた沿岸漁業の切り札、整備班の誇る高速艇さ。目の前に拡がる東京湾は、海産物の宝庫。これを有効利用しない手は無い!」

沙織 「もう、勘弁して…」




淵山 「…ここじゃ任務より先に日々生きていく事が戦いなんだ。それが『ここでのやり方』。特に飯の問題を甘く見ると痛い目を見るぞ?」

優花里 「…なんか、仮宿の大洗とあんま状況変わりませんよね?」

華 「むしろ生徒会と風紀委員の皆さんの仕事ぶりは、もっと評価されて良いと思います」

麻子 「桃ちゃん先輩には、戻ったらもう少し優しくしてあげよう」

そど子 「…ウサギさんチームに厳重注意なんかせず、サバイバル生活のコツを聞いておけば良かったわ…」

ゴモヨ「…確かに規則なんて、生きていく上には何の役にも立たない」

パゾ美 「…私たちのアイデンティティーが、今まさに音を立てて崩れ落ちてる…」


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--特車二課棟 旧社員寮(宿直室・食堂)内


沙織 「私、ここで上手くやってく自信が持てなくなってきたよ…」

麻子 「どんまい」ポンッ

みほ 「…(後藤隊長、ここにもいないみたい…)」キョロキョロ

整備班員共 「…何だ、またハゼの干物か…」

整備班員共 「たまには他の飯が食いてえなあ…」

シゲ 「贅沢抜かすな!」

沙織 「…何コレ?!ハゼの干物、生野菜、最低限の出汁が出た味噌汁、生か茹でた玉子、魚はただ焼いただけ…なのに、こんなに味が良いなんて!」

華 「絶品ですよ?」 モグモグ

淵山 「す、すげえ…この女、ココじゃ一番の大食いの俺の遥か上を行きやがる…負けた、ぜ…」 ズズン

麻子 「そして口程にも無いな、この副長は」

沙織 「絶品なのは分かってるの!勿体ないって言ってるの。ちゃんと料理してあげれば、もっと美味しい『ご飯』になるのに…」




淵山 「ふん…そんな暇も人手も無いわ」

麻子 「そして、復活も早いな」

淵山 「雇い入れた料理人員は何故か次々と辞めていって長続きせず、何だかんだと特車二課員が任務と平行して交替制の持ち回り!贅沢をぬかす余裕は無い。体力を維持できる『エサ』であれば、もはやそれで良いんだ…」 フッ

沙織 「それだ!貴方たちに感じる違和感はそこよ。エサ?『ご飯』の大切さが本当の意味で分かってない!本当に美味しいご飯は生きる上での活力、ここで言う『士気』に影響してくるの!何で中途半端に諦めてんの?!」

ゴモヨ 「そうだ、そうだー!」

そど子 「どーせさっきみたいに、食への不満を直接料理人さんにブツけちゃうから、嫌になってここから居なくなっちゃうんでしょ?」

パゾ美 「自業自得」

淵山 「やかましい!これだけの大人数に対して変化のある料理を短時間に出して見せるだけのスキルが、男だらけの俺たちにあるわきゃ無えーだろ!…」

沙織 「あー?それって今セクハラ物の発言ですよ?!…」


ギャーギャー





榊 「おうおう…喧しいのにかしましいのが合わさって、活気が出てきたじゃねえか…シゲ?この場の仕切りはお前に任せるぞ」ニヤニヤ

シゲ 「…は、はいっ!」


沙織 「分かりました…そこまで言うのなら、明日の朝からこの私が『ご飯』を担当させて頂きます!」

淵山 「…ほう?練習と『うちのやり方』をやりながら、特車二課全員分の満足出来るメシを用意しようって言うのか?」


麻子 「…沙織のメシはうまいぞ?」

麻子 「うちの沙織さんの『ご飯』を、あまり舐めないで下さい!」 モグモグ

沙織 「あー…ややこしくなるから、あんた達はちょっと黙ってて!」

五味岡 「武部さん?彼らも悪気があって言ってる訳じゃないんだ。実際、淵山さんも言ってる通り、これだけの人数を満足させる食事を提供するのは至難の技だ。無理しなくても…」

沙織 「!(やっぱ素敵!私のために助け船を…でもここは、女の意地の見せ処よね?)…大丈夫です!必ず美味しい『ご飯』を皆さんに届けてみせますから!」



そど子 「…面白いわね!コイツは何かと言い方が気に食わなかったのよね?」

麻子 「いやだから、お前たちも似たようなもんだってば」

そど子 「ちょっと冷泉さん?!変な噂たつような事言わないでくれる?私は優しいほうでしょ?朝起こしにも行ってあげた事もあるのに…」

沙織 「…へえー?園さんも麻子の事起こしに言ったことあるんだー」ニヤニヤ

麻子 「うん。確かに意外と優しい」

そど子 「…っんなっ///!…ま、まあ良いわ。武部さん分の『うちのやり方』とやらは、私たち大洗風紀委員が受け持つわ!」

ゴモヨ 「受けて立つわ。やってやろうじゃない」

パゾ美 「武部さんは、存分に料理をして頂戴?」

沙織 「あ、ありがとう!風紀委員の皆。シゲさんも淵山さんも、それで異存は無いですね?!」




シゲ 「ぼ…僕ぁ元々、正直どうでも良いのですが…」


沙織・そど子 「「どうでもいい?!」」


シゲ 「い、いえ!ぜひお願いします、ハイ…」


淵山 「お、おう…やれるものなら、ぜひ、やってもらおうじゃないか!」


優花里 「…結局これって、何の争いなんでしょうかね?」

みほ 「あはは…さあ、何なんだろう」


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今回はここまでです。


更新、お疲れ様です!!

>>137
ありがとうございます。頑張ります!

遅くなりましたが、昨日分をお送りします。



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--特車二課棟 旧社員寮 二階 宿直室


リー…リー…リー…


zzz…

ムニャムニャ…
ワタシハ,フードファイターデハアリマセン…
ドウセナラ,ガレージシタニドールガアルトクライイッテクダサイ…
オバアガ…オバアガ…
ミンナヲ,イブクロカラ,コウリャクスルノヨ…
ミナ,コノワタシニヒレフシナサイ!…
グーグー…


みほ 「…(今日は色々あって疲れてるはずなのに、眠れないな…お水でも飲んでこようかな…)」ムクッ


キイッ…パタン


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--特車二課棟 旧社員寮~中央棟 渡り廊下


ペタペタ…


みほ 「…そういえば、今日隊長とは朝会ったきりだったな…さすがにこの時間はいないよね…あ」


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--特車二課棟内 2階 隊長室


コンコン…


後藤 「んっ… 」メノアイダオサエ


キイッ…


みほ 「失礼しまーす…後藤隊長!?こんな時間に、まだお仕事されてたんですか?」

後藤 「…おお西住。お前こそどした?こんな時間に」

みほ 「あ、あはは…。何だか眠れなくて。お水頂こうと思って来てみたら、電気が付いてたから…」

後藤 「ふうん…何だ、パジャマじゃないんだな」

みほ 「おあいにく様っ…一応課外活動中なのでジャージです!パジャマじゃなくてすいませんでしたねっ」 プイッ

後藤 「…怒るな。ただの冗談だよ」 ハァ…




みほ 「あ、あの…私、コーヒーでも入れてきましょうか?何だかお疲れみたいですし…」

後藤 「うん…そういやお前さん、ココアとか好きか?」

みほ 「?普通に甘いのは好きですが…」

後藤 「…今日はもう締めようかと思ってたんだよ。だから、ホッとする飲み物が良くてな…良かったら、少し付き合わないか?」

みほ 「分かりました!あ、私の分も入れてきますね?少し待っていて下さいっ!」


パタパタ…


後藤 「…フム」 ガリガリ


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--特車二課棟 屋上


カン,カン,カン…

ゴォォ…ッ…


みほ 「…あ、飛行機の音…」

後藤 「深夜発着便だな。空港が近いんだ…ここなら落ち着けるだろ」


ギイッ…


みほ 「…わあ」


後藤 「向い岸と東京の街光で、結構明るいだろ」

みほ 「綺麗…」

後藤 「そうか?むしろ辺境の地なのを嫌が応にでも思い知らされて、いつも泣きそうになるんだが」


みほ 「…」ムゥ

後藤 「?何で少し不機嫌そうなんだ」




リー,リー,リー…


みほ 「この時間だと、さすがに涼しいですね…」 フー.フー…

後藤 「海沿いだからな。良い風が来るんだ…今日は悪かったな。おかげで良い物を見せてもらえた…皆、喜んでたろ?」 フー,フー…

みほ 「…酷いですよ隊長。すっごく恥ずかしかったんですからね?何時の間にかいなくなっちゃうし…」 ズズッ…

後藤 「色々立て込んでてな。すまなかった…で、皆と話してどうだった?」

みほ 「皆、戦車道に詳しくてびっくりしました。佐久間教官みたいに知らない人ばかりかと…」

後藤 「佐久間は『継続』推しだぞ?」ズズッ…

みほ 「…はい?」

後藤 「だから、佐久間は継続…」

みほ 「繰り返さなくて良いんですが、どうして黙ってたんですか?」

後藤 「講師として、あくまで中立の立場でいたかったんだと。独自性が高く、意外性が実は利に叶ってる所が気に入ってるらしい」

みほ 「隊長さんがスゴいんです、あそこは」




後藤 「あと、武部が山さんと派手にやらかしたって?何やってんだか…ったく」 ズズッ…

みほ 「あはは…何か熱くなっちゃったみたいで。でも沙織さんは料理で相手をもてなしたい人だから、きっと皆さんに喜んでもらえる『ご飯』を作ってくれますよ?」

後藤 「…まあいいさ。多少のイザコザも、互いの『居場所』を確保するためには必要な事だからな」




リー,リー,リー…


みほ 「…ひょっとして残業されてたのも、先週ずっと私たちの面倒を見てくれてたからですか?」

後藤 「違うよ。俺が一週間サボってたのが悪いんだ。てっきり忍さんが片付けといてくれるかと思ったんだけどな…」ヤレヤレ

みほ 「…忍、さん?」

後藤 「ああ、言ってなかったっけ?第一小隊隊長の南雲警部補の事。ちなみに彼女は『隠れグロリアン』だ」

みほ 「何です?その言い方」

後藤 「彼女、意外とお嬢様なとこあるからね。戦車道も嗜みの一つで知ってたんだろうけどさ」

みほ 「あはは…そう、ですか…」




後藤 「…何か、あったのか?」


みほ 「…どうして、そんな事聞くんですか?」


後藤 「朝からどこか心ここに在らず、という様に見えた」

みほ 「…コンビニが近くに無かったから…あとⅣ号もダメって言われましたし?」 チラ


後藤 「…」 フー…


みほ 「…ごめんなさい…」 ズズッ…


後藤 「…良かったら話してみないか?何も知らない奴の方が、後腐れなく愚痴れる物だぞ」

みほ 「何ですか?それ…」 フフッ


後藤 「…」 ズズッ…

みほ 「…」ズズッ…





ゴォォ…ッ…


みほ 「…私の家は、旧くから戦車道に関わる西住家。姉も私も、何の疑問も持たず戦車道へと進みました。

『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心』…それが、西住流。

ただ、勝利という『結果』のみを追い求めるその姿勢に私が疑問を持ち始めた時に、あの『事件』が起きました。

…黒森峰にとっての大事な記録が掛かった決勝戦で、私は味方車両を助けるために戦車を飛び出し、その隙に撃破されて敗北してしまったんです。

…私は皆が、『仲間が一番大切』なんです。ですが、仲間の救出という『過程』は無視され、話すら聞いてもらえなかった…。私の戦車道は否定されました。だから私は、戦車道から逃げ出した。





でも私は、大洗という『過程』で、私は再び『自分の戦車道』を手に入れることが出来た。優勝と言う『結果』も手にいれました。

大洗の件は…きっかけはともかく、私が決めて仲間が後押ししてくれてやれた事なんです。そういう『過程』で得た『結果』なんです。

でも、約束は果たされなかった。皆で得た『結果』は無かったことにされた。もちろん『過程』も…」


リー,リー,リー…


後藤 「例の文科省の、約束反故の件か…」

みほ 「はい…。『過程』も『結果』も否定されてしまっては、私には立つ瀬がありません」

後藤 「…まあ、確かに。話は分かる」

みほ 「この前実家に帰りましたが、『過程』も『結果』も無くしてしまった私は、どうしても母に会えなかった…」


後藤 「… 」ガリガリ




みほ 「…実は今回の事もそうなんです。小さい事なんですが、私が決めて皆が後押ししてくれて、やっている事なんです。…それを隊長は、子供だからとバカにせず、対等に話をしてくれました」

後藤 「そりゃお前さん…親しくない仲は礼儀前提。だからだよ」

みほ 「…そうかも知れません。でも後藤隊長が、私たちの『過程』と『結果』を認めてくれた上で『居場所』を示してくれたのは事実」

後藤 「…」


みほ 「それに救われた気持ちがしたのも、また事実なんです…」


後藤 「…だからあの時、ここにいてもいいのか?なんて事を聞いてきたのか…」

みほ 「はい…」



後藤 「ん~…お前さん、まだ子供なのに難しく考えすぎだ」 ガリガリ

みほ 「…そうですか?」

後藤 「今から話すのは俺の独り言。まだ周りには話さないで欲しいんだが…去る筋からの情報によると、大洗復活のために西住流家元が文科省に直談判したそうだぞ?」


みほ 「…え?お、お母さんが?嘘…」

後藤 「本当さ。詳細は不明だが、お前さんとこの例の生徒会長から依頼を受けてな?」


みほ 「…どうせ、来年の大会で雪辱を果たしたいだけですよ…」

後藤 「それにしても、だ。当の文科省から、戦車道プロリーグ設置委員会の委員長に打診されている者の、本来やる事じゃあ無い…」

みほ 「私が拒んでいるだけって!…お母さんに壁を作っているだけって…そう、言いたいんですか?隊長は、西住流を知らないから…」



後藤 「勘違いしないで欲しいんだが、今すぐ無理に仲直りしろなんて無茶な事を言うつもりは無いんだ。…ただ、一方的な思い込みだけで思い悩むのは、お前さん自身のためにならんだろ」

みほ 「でもっ!私は…」

後藤 「西住。…頼むから、大人の『子供じみた見栄』を勘違いしないでくれよ?」


みほ 「お母さんの…見栄?」

後藤 「…考えても見ろよ。長年の苦労を重ねて、ようやく西住流家元にまで上り詰めたお方だ。そんな方が、ただ雪辱を果たすなんてチャチな理由だけで本気で文科省に楯突くと思うか?」

みほ 「…」

後藤 「その苦労を、『過程』を、お前さんはむしろずっと見てきたはずだろ?そして、きちんと『結果』を見てみろよ。…お母さんは、お前さんの『居場所』を守ろうとしてる。反対する理由は他に無い」





みほ 「…お母さんが…」

後藤 「安心しな?少なくとも家元の中では『大洗』の件、お前さんの『過程』も『結果』も十分認められてるよ」

みほ 「…」

後藤 「『過程』も『結果』も認めないんじゃ、お前さんの嫌いな大人と同じじゃないか」


みほ 「…どうしたら良いんですか?私…」

後藤 「だからお前さんは、良い大人になりなさい。そうすれば、少しは相手を許せる…いや、諦められるぞ?しょうがないかな、ってね」

みほ 「…私はまだ子供だから、言ってくれないと、分からないです…。隊長もそうですもんね?大事なことは言わないの」

後藤 「大人はね?言葉に責任を持たなきゃいけないの。だから迂闊に言葉にはしないのさ。言いたいことも言えんのよ。察してやんなさい」

みほ 「はい…」




後藤 「まあそう落ち込むな。今回頑張ってくれたら、大洗復活のために俺も及ばずながら力になってやるから」

みほ 「…本当ですか?」

後藤 「ああ、約束だ」

みほ 「…そこは『言い切る』んですね?」

後藤 「子供との約束だからな?」

みほ 「ふふっ…ひどい」



リー,リー,リー…


後藤 「…さ。こんだけ話したら、いい加減眠気も来ただろ?子供はもう寝なさい」


みほ 「ん~…もう少し、かな?」

後藤 「甘えんじゃないの。もう子供じゃないんだから」

みほ 「…さっきまで子供扱いしてたのに」ムゥ…


後藤 「そこまで言うなら、寝るまで『添い寝』でもしてやろうか?」

みほ 「『添い寝』って…ひゃあっ///?!そそそそ、そんなっ、そんな事して頂かなくても一人でちゃんと寝れますからっ///!あ、ありがとうございましたっ!お、お休みなさいっ!」アワワッ




パタパタパタ…カン,カン,カン…ガタッ、キャッ?!


後藤 「ぅおぃ!?慌てなさんなよ!」


ハ,ハァーイ!…ガチャッ…パタン


後藤 「やれやれ…」 ズズッ…


リー,リー,リー…


後藤 「…甘。…さ、もう一頑張りするか…」


-----------------



-----------------


--特車二課棟 旧社員寮 二階 宿直室


リーリー,リー…


みほ 「…///(…別の意味で寝れないよう…っ)」ゴロゴロ


zzz…

ムニャムニャ…
スー…スー…
ンンッ…
クウ…クウ…
ンンッ…

グーグー…


みほ 「…叱られちゃった。私、まだまだだ…」 フフッ


リー,リー,リー…


みほ 「…」 スー…スー…


リー,リー,リー…


-----------------


今回はここまでです。


隊長いい大人だなぁ
年頃の少女に対するデリカシーの無さを除けば、だが
前スレでも思ったけど、側にいたのが沙織だったらそこら辺を突っ込まれてどう反応するか

>>158
カミソリ後藤だから、恋心か単なる憧れなのかは知らないが、とっくに相手の気持ちに気づいているからこそ、あえて嫌われる所を見せてる気もするけど。

乙!
後藤隊長がいい味出してますねー

乙です

>>159
ああ、説明が足りなかったようです

前スレの226

>後藤 「二号機コンビに関しては、『戦』にはアクティブな秋山が、不馴れが故に慎重でつい動きが止まる五十鈴の『ケツ』を巧く叩いてくれるはずだ」ニヤリ 

みほ 『ケっ!~…』カアッ 

後藤 「…どした?西住」 

『…い、いえ…』アタマブンブンッ 

及び228

>後藤 「武部の『シリ』に敷かれてるって訳だな?冷泉は」ニヤリ 

みほ 『シっ!~…』カアッ 

後藤 「…さっきからどした?西住。体調でも悪いのか?」 

『い、いえっ!…(また、お、お尻って…隊長だけ?それとも男の人って皆こうなのかな?で、デリカシーが無いというか…)』アタマブンブンッ 

ここら辺読んだ時にレスすれば良かったかな
後藤にしてみれば無意識に発言したに過ぎないけど、側にいたのが沙織だったら、「やだも一、セクハラですよ」ぐらいの返答があっても不思議じゃなかったと
それに対する反応って事で

>>158
「後藤の微妙なセクハラ」は、凄く加減が難しいです。ちなみにパジャマの件は実体験です。
沙織はセクハラに対する許容量が大きな気がします。今回は男にウブなみほを書きたかったのです。

>>159
良かった、伝わってないかと思ってました。

>>160
何よりのお言葉です。

>>161
ありがとうございます!

では本日分行きます。



-----------------


~九日目


特車二課棟 訓練場(棟前広場急拵)


カッ…!

ンジーワッ,ジーワッ!ジーワッ!ジーワッ!ジー…


チュイイインッ

麻子 『目標を前にして…基本動作「迫る」「掴む」「押し込む」を一定時間内に入力。すると…』ガピー

ガチャ,カキッ,グイッ…!

ズシュンッ…ガキッ、ズパッ…!!ズズンっ

華 『くっ!』ガピー

バシンっ!




ギシュウンッ!


麻子 『…これが「体落とし」発動…』

ギュインッ

華 『…ふ~っ。「受け身」も手動では無く、ある程度はオートで対応してくれるようになりましたね』

榊 『受け身を取る時は、周辺状況に気を付けてな?充分な余地が無えと、周りの建物まで受け身の巻き添え喰らっちまうからな』ガピー

キシュウンッ

華 『あら?じゃあ私にはそのままやられろと?』

榊 『警察の建前上、被害甚大で良いとは言い辛えだろうが。気を使えってこった…でもま、呉々も怪我だけはしねえでくれよ?ああいうのは、本人より見てる方が辛えんだ…』

華 『…まあ。ご心配ありがとうございます。建前でも嬉しいですよ?』 ニコッ

榊 『へっ!こきゃあがる』 ニヤッ



シゲ 『冷泉ちゃんはそのまま『特殊動作』入力の練習を続けてくれる?まあ傍目から見るとただ踊っているだけにも見えるけど、ま、仕方無いよね?』ガピー

ギッチョンッ

麻子 『了解。…よ。…よ、と』

…ギシュウンッ!…ギシュウンッ!


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


シゲ 『あと五十鈴ちゃんは続けて『動きの効率化』の応用編だ。メインモニター横の『GUN』てボタン押してくれるかな?』ガピー

チュイイインッ

華 『今までは全てスティックやペダルでのアナログ操作が主でしたから、この辺りのオプション類は使った事があまり無いんですよね…これですか?』ガピー

パチッ…ピロロッ

華 『あら?中央モニターに「射撃モード」が四つ程表示されました…「データ302」?』

シゲ 『「データ302」てのは、来るべき第三小隊用に用意していた仮データ領域なんだ。第三小隊の二号機だから「302」って事。あんこう二号機はデータ上では「302号機」って事にしてるからね』

華 『なるほどー…じゃあ麻子さんの「あんこう一号機」は「301号機」という事になりますね』

シゲ 『そうなるね。んで、今までは全て手動で「射撃姿勢」をとってもらってたんだけど、五十鈴ちゃんの動作経験データと202号機の射撃動作データを合わせて、三つのモードを用意してみたんだよ』




チュインッ

華 『どのような利点があるのでしょうか?』

シゲ 『論より証拠。まずはパネル上の『モード1』を押してみてよ』

華 『はい…これですね?』

ピピッ…

バシャッ,ガッキッ,ジャコンッ,ギュインッ

華 『まあ…銃を持つ所から、立ったままの両手構えまで、全て自動でやってくれました!』

シゲ 『そのまま好きなように動いてみてくれる?』

華 『はい…!』

ズシュン,ズシュン,ズシュン…チュイイインッ

華 『立ったままの両手構えを維持しながら、ある程度自由に動けますね!』

シゲ 『そういう事。いちいち操作しなくても、一連の動きをパターン化して、ある程度自動で出来るようにした訳。その分、照準合わせに集中できるでしょ?』



ジュインッ

華 『はい!…利口なんですね?この子』

榊 『教えたら教えた分吸収してくからな、コイツは。練習毎にデータディスクはきちんと持ってきな?バックアップとシステム同調を行うから』

華 『はい♪…「モード2」は片膝で座りながらの射撃…戦車と同じ感覚です!「モード3」は…寝そべっての射的スタイルなんですね!』

チュイイインッ…ヂュインッ…ガキッ…ジャコンッ!

榊 「…ご機嫌で動かしてるのは見てて微笑ましいんだが…シゲよ、あの『ガニ股での構え』だけは何とかならねえのか?本人は見えて無いから気が付いてねぇみたいだが…」

シゲ 「202号機の癖ですよ。ただあの姿勢が、射撃の衝撃に最も耐えうるってデータが出てるんで、迂闊にそこだけ消す訳にもいかんのです」

榊 「『あのバカ』の悪い癖が出てるって訳だ。俺たちはともかく『戦車道の乙女』ってイメージじゃ無ぇぞ?ありゃあ」




ヂュインッ

華 『…そういえば、この『モード4』っていうのは何ですか?』ガピー

シゲ 『「モード4」は、何かしら誤動作を起こしたり、強制的に「通常操作」に戻したい時に用意した空データ。つまり射撃モードの「強制リセット」ボタンと考えて?』ガピー

ジュシュンッ

華 『確かに動作が元に戻りますね。これはこれで便利です!…実質的に、射撃モードは三つという事ですね?分かりました!』


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ギャキャアッ!

ジャリィッ…


淵山 『おらキャリア組!運転で無理矢理「こじる」んじゃねえよ!』ガピー

そど子 『やっかましいわね!こちとら誰もやった事ないのやらされてんだから、黙って見てなさいよ!』ガピー

淵山 『なあにい!?』ガピー

そど子 『何よっ?!』ガピー

ゴモヨ 「…相変わらず」

パゾ美 「あの二人、仲が悪いよね…」




ダダダッ!ズザーッ…

シゲ 「まーまーまーまー!御両人、ここはま、この私の顔を立てて、ま穏便に、穏便にお願い致しゃす!よござんすねー?」

淵山 「ちっ…!」

そど子 「べ、別に好きでケンカしてる訳じゃ…」

シゲ 『そんな君たちに、ちょいと面白い機能を提案しに来たんだよ。園ちゃんに後藤ちゃん?メインモニター横の「ACTION」てボタン押してみてくれるかな?』ガピー

ゴモヨ 「ちゃん付けって…」

パゾ美 「パゾ美とかゴモヨとかそど子って呼ばれ方の方がまだ馴染む気がする…」



パチッ…ピロロッ

そど子 『あら?中央モニター上に「オートバランサーVer.up」の文字が表示されたけど…』ガピー

シゲ 『そのまま、さっきと同じように動かしてみてくれる?』ガピー

ゴモヨ 『やってみる』ガピー


ズギャアッ!キキーッ,ズザーッ!


ゴモヨ 『あ…あれ?凄く操作しやすくなってる…』

パゾ美 『端から見てても、動きの安定感が今までと段違いだよ?!』ガピー

淵山 「なるほど!荷台の基部に、レイバーのオートバランスシステムを搭載してるって聞いてやしたが…」

シゲ 「おうよ!試しに、レイバーの基礎運用蓄積データだけ抜き出して放り込んでみたら、これが大正解って訳!!」




ギャキャアッ!


そど子 『ありがとうシゲさん!これならキャリアをもっとブン廻せるわ!!』

シゲ 「今でも大分粗っぽいよ?程ほどにねー…。ソフト黙って弄ると、ほんとはメーカー保証利かないんだよね?ま、返却時に元に戻しちゃお」テヘペロ

淵山 「…さっすがシゲさん!相変わらず公僕とは思えねえ、超ヤベえお人だぜっ…」ゾクウッ


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-----------------


--特車二課棟 ハンガー内 二階 レイバー連絡通路上


ドカカッ

グイイーンッ…


麻子 「…朝早くて…枕が変わって、眠りが浅い…」…グウ…zzz


…コンコン!コンコン!


華 「麻子さん?大丈夫ですかー、麻子さーん?」

榊 「おう。嬢ちゃんがどしたい?」

華 「…あ!榊さん。麻子さんが中から出てこなくて…朝早かったし練習密度が高かったから、恐らく中で寝てしまっているのではないかと…」




榊 「…安全規定上、レイバーの胸部の左右二ヵ所に必ずある、大型の『ー(マイナス)ネジ頭』状の『コクピット緊急開放レバー』。こいつを捻ると…」


ガコンッ…バシュウムッ…


麻子 「…スー…スー…」

華 「やっぱり寝てた…麻子さん?」

ユサユサ…

麻子 「んんっ…」zzz…

榊 「良く寝てらあな。…そうかい、そうかい。いいよ、先に汗流してきな。『ここでのやり方』も残ってんだろ?起こしてそっち行くよう伝えておくからよ」

華 「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせて頂きますね?

榊 「ああ…そうだ。ちと立ち入った事を聞くが…」

華 「はい?何でしょう」

榊 「この嬢ちゃん、上手く言えねえんだが…お前さん方と比べて、誉められて嬉しそうな度合がちょいと高いのが気になっててな?」




華 「…榊さんだからお話しておきますが…麻子さんは早くに御両親を亡くされて、今の肉親はお婆さんだけなんです」

榊 「そいつぁ可哀想に…」

華 「元々親しい人には甘えてくれる所があるんですが、学校が無くなることもあって、いつも以上に皆のそばに居たがっているような気がします…」

榊 「そうか…誉められて嬉しそうにしてんのはそのせいか…おっと!辛い質問して悪かったな?」

華 「いえいえ…気にして頂けて、むしろ感謝しています。麻子さんには、この話をした事は…」

榊 「言やあしねえさ…分かった、こっちも気にかけとく。悪かったな?引き留めちまって…さ、行きな」

華 「…はい。麻子さんの事、よろしくお願い致します。では…」


カン,カンッ…




榊 「…さて、と…こんな狭え所で丸まっちまって…猫みてえな子だな」


ユサユサ…


麻子 「んんっ…」zzz…

榊 「おい、こんな所で汗かいたまま寝てると風邪ひいちまうぞ?」ユサユサ


麻子 「あ…うん…おじい…もうちょっとだけ…」ムニャムニャ

榊 「…おじい?ははっ、お祖父ってか?!」

麻子 「ハッ!…さ、榊、さんっ…ご、ごめん…」ナサイ…


榊 「…フッ」 グシャグシャ

麻子 「???」 グラグラ


榊 「…いいさ。構わねえよ?お前さんの呼びやすい呼び方で」

麻子 「…あ…」


ギュウッ…


榊 「おうおう」グシャグシャ

麻子 「…ありがと。おじい」グラグラ


-----------------



-----------------


--特車二課棟 旧社員寮 一階 風呂場


カコーン

パシャッ…

ザーッ…


沙織 「…あれ、麻子は?」

華 「朝早かったのと訓練の疲れからか、コクピットで寝てしまって…今、榊さんが起こしてくれてます」

沙織 「仕方無いなあ…ま、榊さんなら問題無いか」

優花里 「最初は怖い方かと思いましたけど、良い方ですよね?」

沙織 「抜群の安定感と安心感があるのよねー?お人柄からなのか、年の功なのかは分からないけど」




優花里 「でも今日初めて、総合指揮車のシミュレーション訓練に武部殿と参加させてもらいましたが…」

沙織 「そうそう!後藤隊長の厳しさにはちょっとビックリしたよー?!みぽりん、よく今までやってこれたね?」

パシャッ…

みほ 「そうかな?いつもあんな感じだけど…」

優花里 「シミュレーション後、西住殿がボコボコになってるのも納得しました…」

みほ 「あはは…私は大丈夫だから、二人とも気にしないでね?でも二人ともスゴい。隊長に良くなった所、一杯褒められてたもの…」

優花里 「そうですかあ?それ以上に注意された気もしますが…」



沙織 「あー。…さては、みぽりん?後藤隊長に誉めてほしいのかな?」

みほ 「そうかな?そうなのかな…よく分かんないの」 アハハ

バシャッ…

沙織 「…うん!みぽりんが落ち込んで無いようで良かったよ。ゆかりんと先に出てるねー…あ、麻子!遅いよー…」


みほ 「…あ、うん!」


パチャ,パチャ…




ザーッ…


みほ 「…(不思議…いつもは後藤隊長にボコボコにされると落ち込むのに、今日はすごく素直に話が聞けた…やっぱり、昨日お話をきちんと聞いてもらえて落ち着いてるからかな…)」


…パシャッ…


みほ 「…(誉めて欲しいわけじゃない…ううんっ!?いや誉めてもらえたら、それはきっとスゴく嬉しいと思うけどっ…) 」ブンブンッ


…ザーッ…

…キュッ!

パシイッ!


みほ 「…多分私は、皆が後押ししてくれて、やっている事を認めてほしいんだ…今までの『過程』を見てくれた後藤隊長の前で『結果』を出して。…だから、頑張る。ボコみたいに!」…グッ!


パシャッ


麻子 「…いや。ボコになっちゃダメだろ」

華 「…ですよねー?」


-----------------




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--特車二課棟 旧社員寮(宿直室・食堂)裏敷地内


麻子 「ごめん皆、遅くなった」

華 「ああっ!麻子さん、まだ髪が乾いてないのに…」

沙織 「ごめんねー華?麻子の世話させちゃって」

そど子 「そうよ。今日もこれから『ここでのやり方』って奴で、あの淵山をギャフンと言わせなきゃならないんだからっ!」

麻子 「妙なやる気を出してるな?そど子」

沙織 「みぽりんはまた総合指揮車でシミュレーション?」

みほ 「うん!…沙織さんは『ご飯』の準備。カモさんチームは農作業と鶏の世話諸々。他の皆は603ね?お昼ご飯は各々で取るから…じゃあ晩ご飯の時にまた会いましょう!」

優花里 「それじゃあ、午後からも皆さん頑張りましょう?!」


あんこう小隊 「「おーッ!」」


アハハハッ…


-----------------

今日はここまでです。

乙です

乙です
おじい呼ばわりされて狼狽える榊さんが可愛い
こういう描写が読みたかった
後藤にこれを望むのは無理なのか

おやっさん、亡くなった奥さん以外に家族がいるかどうかはっきりとわからないんだよね
もしかしたらお子さんや孫がいないという可能性も…

>>185
>>186
ありがとうございます!

>>187
ここまで踏み込んで良いものか悩んでいたのでありがたいです。

>>188
「いない」のか、「いなくなった」のか…
想像の余地がありそうです。

では続き行きます。



-----------------


--特車二課棟 裏敷地内


カッ…!

ンジーワッ,ジーワッ!ジーワッ!ジーワッ!ジー…


優花里 「…それにしても相変わらずの暑さですねー!」 ボタボタ


ザック,ザック,ザック…


華 「やってもやっても終わりません…」 ボタボタ


ザクッ,ザクッ,ザクッ…


麻子 「…~♪」


優花里 「冷泉殿は何だかご機嫌です」

五十鈴 「…そういえば、みほさんも朝からやる気でした」

優花里 「後藤隊長って、西住殿にあんなに厳しいとは思っていませんでしたよ。でもさすがは西住殿。すぐに対応されてました」




華 「そうだったんですか…。でも元気が一番ですよね?私も朝から沙織さんのご飯が食べれて幸せです!」

優花里 「整備班員の皆さんも、武部殿の『ご飯』にはびっくりしてましたよね?あれは見てて痛快でした!」

華 「朝からカマシてましたからね。夕飯も楽しみです」

優花里 「まだお昼食べたばっかりでありますが?!」

麻子 「…こらあ。話してばっかいないで手を動かせー」

優花里 「淵山殿の真似でありますかあ?」

華 「ちっとも似ていませんよ?」 クスクス

麻子 「…カモさんチームは、沙織分も含め別作業中か…」

優花里 「また夕方の808で合流できますよ、きっと」


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--特車二課棟 旧社員寮(宿直室・食堂)裏敷地内 ビニールハウス&鶏小屋&日干し小屋


…コケーコッコッコッ…


ンジーワッ,ジーワッ!ジーワッ!ジーワッ!ジー…


そど子 「…堪らないったらないわね! ボタボタ

淵山 「おらサボるなよ?『ハゼの干物』の一番のキモは、この『アラ』を使った秘蔵のタレに半日漬け込んで、手早く日干しにするこの工程なあるんだからな?」

そど子 「だからこれって警察本来の仕事じゃないでしょ?!何で副業にそんなに本気になってんのよ…アンタこそムダなウンチク披露する暇があったら、チャッチャと手を進めなさいな!」


淵山 「んだとぅ?」

そど子 「何よぅ?」




ザック,ザック,ザック…

パゾ美 「… ポリポリ」

淵山 「…ああっ?!パゾ美、お前収穫途中のキュウリをつまみ食いするんじゃねーよ!

コケーコッコッコッ…

ゴモヨ 「… スッ…」

淵山 「ゴモヨ!手前のメシだけ卵かけご飯にしようと卵ギッてんじゃねえ!」

そど子 「何遊んでんのよ。ほら?並べ終わったわよ!」

淵山 「うるっせーな?次は808用意、装備104で海岸沿いに集合だバカ野郎!」

そど子 「分かってるわよ、おバカ!…いい?バカって言う方がバカなのよ!!たまには誉めたってバチ当たんないわよっ?!」

淵山 「ぐっ…へらず口ばっか叩きやがって!」




そど子 「やる事やってんだから、文句無いでしょ?…ゴモヨ、パゾ美。今日の収穫物を武部さんに届けてから向かうわよ!」

パゾ美 「…808は、釣りや投網、拾得による海産物の回収…」

ゴモヨ 「104は釣り道具ね…ややこしいたらありゃしない」


ゾロゾロ…


淵山 「…ったく!あれで口うるさくなけりゃまだ褒めてやれるんだがな…」 ガシガシ


-----------------



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--特車二課棟 旧社員寮(宿直室・食堂)内


ワイワイ…ガヤガヤ…


沙織 「…シゲさん、渕山さん!今日の夕食で用意したメニューです。試してみて下さい!!」

シゲ 「お、おう!」

淵山 「…今回の献立は?」

沙織 「まず私と言えばコレ!忘れちゃならない『沙織風 肉ジャガ』!豊富な野菜類をこれでもかと投入した『ごろごろ豚汁』!生野菜には全9種類の『特製ドレッシング』から、好きな物を選んでお好みでっ!
そしてメインは、ハゼの干物をベースに新鮮な魚介類を天ぷらで合わせ武部特製ダレでまとめた『ハゼ丼スペシャル』!」


整備班員共 「「「おおおーーっ!」」」


沙織 「…さあっ召し上がれっ?!」


パクパク

モクモグッ…


淵山 「むうっ…こ、この味はっ?!」 カッ!





シゲ 「へいっ、野郎共!」 クワッ!

整備班員共 「「「おうっ!」」」


ザンッ!


整備班員共 「「「武部のアネサンっ!、頂きますっ!」」」


沙織 「ヤダモー♪」




榊 「ヘヘッ。難癖のあるウチの連中を、たった一日でねじ伏せやがった…」

五味岡 「…武部さん、お見事!美味しいよ?このハゼ丼…」

沙織 「あ、ありがとうございます!」

優花里 「武部殿、モテモテです」

みほ 「うん。でも…マドンナというよりは、おっかさんて感じ?」

優花里 「西住殿が意外と辛辣でありますよ?!」

沙織 「整備班員の人達、最初は怖い人ばかりかと思ってたけど、話してみたら純粋で内気で素直で、意外と可愛い所があるんだよねー♪」

麻子 「舞い上がりすぎて、話を全く聞いてない」

華 「そんな中で、沙織さんが一押しなのはどなたなんですか?」

沙織 「やっぱ五味岡さんかなー?あの落ち着いた大人の包容力を感じさせてくれる所が良いのよねー?」



麻子 「そして、なぜ敢えて無理目を狙うのか」

みほ 「五味岡さんって、絶対結婚してるよね?」

優花里 「お子さんがいても驚きません」

華 「この残念っぷりこそ、沙織ズムですよね」 モグモグ

沙織 「華…そのどんぶり鉢、取り上るよ?」


ずずっん…


淵山 「ぐうっ…や、やっぱ五十鈴さんにはか、勝てなかった…ぜっ…」 ズシャアッ!

そど子 「負けるって分かってるなら張り合わなければ良いじゃないのっ!」


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-----------------


--特車二課棟 旧社員寮 二階 宿直室


リー…リー…リー…


沙織 「…そういえば、ご飯用意している最中に、手伝ってくれた整備班員の人が教えてくれたんだけど…」

麻子 「早速、特車二課内の情報収集経路を確保したな」

沙織 「男を落とすには、何と言っても、まずは周辺情報からだよー」

優花里 「何事もまずは情報収集からなんですねー」

華 「五味岡さんのお話ですか?」

沙織 「ううん。そこはこれからなんだけど…後藤隊長の噂話を聞いたんだ」

みほ 「後藤隊長の?!」




沙織 「…食い付くねえ、みぽりん…何でも昔は「カミソリ後藤」って呼ばれてて、『切れすぎ』た余りに、レイバー隊に流されてきたんだって」

華 「…今時の若者のように『すぐ切れる』という意味でしょうか?」

沙織 「何でよ?!…華も今時の若者でしょうに…」

麻子 「『切れ者』。頭が冴えてるやり手って意味だ」

みほ 「シミュレーション時の隊長は、ほんと切れ者だよ?私、全然ダメだったもの…」

優花里 「西住殿がでありますか?でもそれは、戦車戦じゃ無いからじゃ…」

沙織 「ちなみに、今は『昼行灯』って呼ばれてるんだって」

麻子 「そっちの方が納得だな」

華 「分かります」

みほ 「…(…そういえば隊長、お母さんの件、どうやって情報収集したんだろう…)」


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今回はここまでです。

乙です

沙織は普通に料理を振舞って少し変な恋愛観念がなければモテると思います
美味しい手料理を振舞ってくれる可愛い女の子がモテないわけないのになぁ…全て沙織ズムが悪いのや!
ていうか特製ドレッシングを9種類も作れるとか半端ないですよね、沙織の料理スキル

乙です

>>202
私もそう思います。
たまには報われる沙織さんが見てみたかったのです

>>203
ありがとうございます!

遅くなりました。昨日分投下します。



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~十日目


特車二課棟 訓練場(棟前広場急拵)


チュイイーンッ

バシュムッ

ウィーンッ…


優花里 「五十鈴殿ー!…どうでした?今回の装備構成は」

華 「ふうっ。…前よりも受け身時に動作がスムーズになりました。何より、両腕に楯を装備する事で、左右バランスはむしろ良くなっています」

優花里 「それは良かったです!」




シゲ 「受け流しと受け身と防御に特化した、あんこう二号機ならではの秋山ちゃんプランがハマったね?ついでに、楯の角は丸くして引っ掛からないようにしておいたよ」

優花里 「自分で提案しておいて何なのですが、怖いのは、重量増加に伴う両腕への負担と稼働時間への影響です」

シゲ 「元々、五十鈴ちゃんの高い集中力で無駄な動きがないからね、一号は。データ上では大した影響は無かったと思うよ」

優花里 「それじゃあ装備変更については…」

華 「はい。今後は、今の新型デザインの楯と、左右の両楯装備で行きます」

シゲ 「了解。それと、楯裏のスタンスティック(電磁警棒)は左右一本ずつで二本あるけど、一本はあんこう小隊としての予備として考えて?」

優花里 「いざとなれば、冷泉殿に渡す事も可能って事ですね?分かりました」



後藤 「…ふむ」


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--特車二課棟 ハンガー内


ドリュリュッ…

ガガガッ…


麻子 「…」

榊 「どしたい嬢ちゃん?一号見上げて…」

麻子 「…右膝の違和感が無くなってた」

榊 「やっぱ気がついたか。シリンダーが微妙に歪んでたんで、センター出しといたんだ」

麻子 「ありがとう…ついでに良い?おじい 」クイクイ…

榊 「いいぜ、言ってみな?」 …ンー?アア




麻子 「…ドーファンのカタログスペックと違う。今のままじゃフル稼働で30分保たない」 グラグラ

榊 「お前さんの動かし方でスペックがどうのこうの言われてもなあ…。今現在、実際に体感する稼働時間は?」 グシャグシャ

麻子 「フル稼働で20分。通常稼働で40分。使用しない部分の電気をカットしながらで50分。警戒待機モードで60分」フンス!マンゾク

榊 「…ああ、そりゃ外れのバッテリー積んじまったか、電装系のチェック洩れだな。分かった、すぐ交換すっから後で様子を見てくれや」

麻子 「うん」

榊 「カタログ程じゃ無いにせよ、フル稼働で25分。通常稼働で45分。使用しない部分の電気をカットしながらで60分。警戒待機モードで90分…こいつを目安としてくれや」

麻子 「分かった」



後藤 「…ふむ」


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--特車二課棟 旧社員寮(宿直室・食堂)内


グツグツグツ…

トントントンッ


ゴモヨ 「今日の収穫物と…」

パゾミ 「頼まれてた食材持ってきたー」

沙織 「ありがと!そこ置いといてもらえるかな?」


ドサッ


そど子 「ふうっ。…武部さん、私達も手伝うわ」

沙織 「ありがとう!助かる」




ゴモヨ 「…ちなみに今日の献立は…」

パゾ美 「炊き込みご飯に田舎汁、漬物の添え合わせ?」


沙織 「…今日は整備班員の皆がいつ晩ご飯取れるか分からないらしいから、少ない品目で栄養がまんべんなく手軽に取れる物にしてみたの」

ゴモヨ 「手軽って言うのは?」

沙織 「後でハンガーの脇に置いておいて、とろ火で温めながらお碗にすぐよそえるようにしておこうかと思って。炊き込みご飯は大きめのオニギリにしたいから、それをお願いできるかな?」

そど子 「分かったわ。茶碗二杯によそって合わせたものを、ラップで巻いとけば良いのよね?」

沙織 「うん!ちなみに田舎汁に炊き込みご飯を入れれば、おじや風に掻き込んでもらう事も出来るんだ。…ちょっと下品かもしれないけど、男の人ってそういうの好きかなって」

パゾ美 「何それ美味しそう。私も後で試してみよ」




淵山 「…おうお前ら。アネサンの足、引っ張るんじゃねえぞ?」

そど子 「明らかに態度が違い過ぎない?アンタらの手のひら返しっぷりには呆れて怒りを通り越すわ」

淵山 「戦いと立場は臨機応変。俺達ぁ実績をかうんだよ!頭と対応は常に柔らかくしないとな」

そど子 「バンカラ風情がこしゃくな感じ」


淵山 「…ん何ぃ~っ?」

そど子 「…ん何よう?!」


沙織 「はいはい!時間無いんだから早くやっちゃおう?」

淵山 「ウスッ!」

そど子 「ちょっ!…調子狂うわね~っ…」



後藤 「…ふむ」


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--特車二課棟内 2階 隊長室


みほ 「…今日午前中までの訓練記録、報告書終わり、っと。…五味岡さん、お茶いかがですか?」

五味岡 「お疲れさん。ありがたい、頂こうかな?」

みほ 「はーい!…~♪」ヤッテヤルヤッテヤルゼ~♪


後藤 「…ふむ」ニヤニヤ


みほ 「?どうしたんですか?ニコニコして」オチャデス

後藤 「ん~?…こんな年のオジサン捕まえてニコニコも無いだろ。こういうのはね?イヤらしい、ニヤニヤした笑い方って言うの」アリガト


みほ 「…別にイヤらしくは見えませんけど…嬉しそうには見えました」

後藤 「いや、な?ようやく皆が落ち着けるここまで辿り着けたな、と思ってね…ん?」


プルルッ,プルルッ,プル…

カチャ


後藤 「はい、こちら上海亭…」


松井 『…もしもし後藤さん?下手な冗談は止めてくれないか』

後藤 「おう松井さん。また何か動きがあった?」



松井 『それよりも佐久間から聞いたぜ後藤さん。黙ってるなんて水臭いじゃないか』

後藤 「何の話?」

松井 『大洗 戦車道チームのメンバーを第二小隊がわりに入隊させたんだって?これが今回のアンタの「超法規的措置」って訳だ』

後藤 「人聞きの悪い事を。ちゃんと真っ当な筋を通して『お願い』したの。第一、メディアにあれだけ告知してたのに知らなかったそっちが悪いよ」

松井 『こちとら肩書きだけは立派だが、やってる事は裏家業だからね。世間一般の情報には疎い所も出てくるんだよ』


後藤 「で?用件は何よ」

松井 『急ぎの要件じゃない。ちと耳に入れておこうと思っただけなんだが…』

後藤 「…どうした?」

松井 『…情報への正当な見返りを要求する』

後藤 「…はぁ?」

松井 『今アンタん所来てるの、あの優勝校の隊長さんだろ?その人柄から他校からの受けも良いという情報もある。そこで、だ…ドゥーチェのサイン、もらってきて貰えないかな?』




後藤 「アンツィオ主将のサインだあ?!…公私混同も甚だしいな。俺はね?そういうのはしない主義なの」


みほ 「…嘘つきさんだ…(でも隊長、楽しそう。男の子みたい…)」クスクス


松井 『…とまあ冗談はさておき、こっからが本題だ。先々日、つまり一昨日の夜になるが、仙台港に運び込まれた暴力団関係の密輸品の中の「一部」が、何者等からの手によって強奪された』

後藤 「…そのブツの「中身」とは?」


松井 『篠原重工製 97式 TFV-EX。通称「クラブマン・ハイレッグ」。
国内規準なんてヌルイ代物なんかじゃない…海外輸出用の強力な「レイバー」だ』

今回はここまでです。


タカアシガニにドーファンは何気に難易度ヤバいな。

>>216
「敵役」としては映えるのですが、立体化の機会に余り恵まれていないのが不遇てすね…

では、本日分行きます。




後藤 「クラブマン・ハイレッグ…ああ。『タカアシガニ』の事か」

五味岡 「…!」

松井 『タカアシガニ?何だいそりゃ』

みほ 「!…クラブマン・ハイレッグ…タカアシガニさん?」カチカチカチッ

後藤 「ウチのが以前相手にした時に付けたアダ名さ。人型とは程遠い、縦長のカニみたいな形で、巨大な爪形の四本脚でシャカシャカ動き回るだろ?」ユビワキワキ

みほ 「…これだ…クラブマン・ハイレッグ…『タカアシガニ』さん…」ケンサクシュウリョウ

後藤 「それにしても検証に随分と時間がかかったじゃない?」

松井 『そう言うなよ。正規ルート品じゃ無いから被害届が出る訳じゃない。元はといえば、この件の責任の落とし前をどうするかでのイザコザから芋づる式に発覚した事だから、確証を得るまでに時間がかかったんだ』

後藤 「レイバー程の大物を何日も人目に付かないようにするのは、物理的にも規制的にも『陸』では難しいだろうな…という事は『水場』から、か。それでも引っ張って5日持てば良い方か…」

五味岡 「…」ギシッ

松井 『典型的な過激派環境保護団体「海の家」のやり口さ。足のつかない形で「状況」を用意し、それを知らない「シンパ(同志)」一人に現行犯を押し付ける…。昔ながらのいつものやり方だ。ま、ツメが甘いけどな?』

後藤 「こういう場合、足が付きにくいものか、付いても後腐れの無いものと相場は決まってる。今回の場合は後者…つまり、早々に実戦投入を想定しての事だろうから三日持てば良い方か…松井さん?何が急ぎじゃ無いだよ。今日当りヤバいじゃないの」


みほ 「!?」




松井 『…あと、こういう情報もある』

後藤 「まだあるの?」


五味岡 「…」


松井 『そりゃそうさ。「海の家」と同時タイミングで「状況」を起こすのが、今回の作戦の肝な訳なんだから…過激派環境保護団体「地球防衛軍」にとってはね?』

後藤 「どちらも、自分が主役で、相手の方が誘い水の脇役って考えてるだろうけどな」

松井 『「海の家」に比べ、SNS等の新しい派手なやり方で有志を募る「地球防衛軍」の方が動きは読みやすいんだ。ただし…』

後藤 「『地球防衛軍』シンパの中には便乗派や愉快犯も多いから、実際の「状況」下においては被害が拡大…「炎上」する危険性を常に秘めている」

松井 『そういう事。んで、そのシンパのメンバー構成と所属先から、ある程度の関連レイバーを割り出してみたんだが…』

後藤 「一般層が多い『地球防衛軍』シンパなら、あくまでも規制範囲内のレイバーでしょ?なら『参戦体数』以外は、そんなに気にしなくても…」




松井 『一人「大型特機」免許取得者がいる。この日本だと、メーカー特注のワンオフ機か…』

後藤 「日本唯一の一般販売『大型特機』モデル、菱井インダストリー製『タイラント2000』か…こいつ単体は大した事は無いんだが、弱点の背部を何者かにフォローされると急にやっかいになる。その大きさから来るパワーを真正面から相手取るのは愚の骨頂だからな」

みほ 「…タイラント2000…」カチカチカチッ

五味岡 「…」


後藤 「体数の方は予測つかない?」

松井 『流石にそこまではね。ただ末端の規模は大きくても、中央指揮系統が「海の家」に比べて脆弱な上、基本根性無しな連中だから、多くても二機が限界なんじゃないかな?何しろ連中と来たら…』

後藤 「金が無い上にケチだからな」

松井 『…とまあ、少ない時間と予算・人材を遣り繰りして、これだけの情報をまとめあげるのに、この俺もどれだけ苦労している事か…』

後藤 「そんな情報までは聞いちゃいないよ。でもま、貴重な情報をありがと。この借りは…」

松井 『ドゥーチェと大洗主将のサインで。…だからこそアンツィオの事は他人事に思えなくてねー?特に主将には同情にも似た親近感を覚えるんだよ』

後藤 「増えてるじゃないの。いずれ精神的にお返しすっから。はい。そんじゃ、また」



カチャンッ


後藤 「ったく…」

みほ 「あ、あの…わ、私のサインで良ければ、その…」

後藤 「あー、気にしなくて良いよ。あんなのに対応してたらキリ無いって」

みほ 「は、はあ…」





後藤 「さあて、と…いよいよだ。二人とも、話は聞いてたね?」

五味岡 「ええ」

みほ 「…はいっ!」


後藤 「条件が整ってきた。恐らく今日の夜辺りが山となる。各メンバーにはそのつもりで対応するよう心がけを…」


キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…


五味岡 「!!」…ガタンッ

みほ 「?!」 ビクッ!


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--特車二課棟内 2階 資料電算機室(冷蔵庫)


優花里 「…『運用情報統合システム』内の、建物も含めた地図データが立体で登録されているのであれば、レイバー運用時に反映させて、自動で建物や障害に当たらないようにすれば、乗り手の負担を下げる事になりませんか?」

シゲ 「次世代レイバー機能の一つとして検討中の『N.N.S.(ニューロンネットワークシステム)』ってのがそれに当たるんだけど、個人的には余りお薦め出来ないかな」

優花里 「何故でありますか?」

シゲ 「まずレイバー犯罪の温床が、バビロンプロジェクト推進による建築ラッシュから来るものだってのを忘れちゃいけないよ。日夜変化する建築途中の建物や周辺関係のデータ更新がまず現実的じゃ無い。今は個人データの扱いすら敏感に成らざるを得ないのにさ」

優花里 「他にも理由があるんですね?」



シゲ 「こっちの方が問題かもよ?建物を盾にされて、人質ならぬ『物質』扱いされちゃったら、一瞬でもこちらは動けなくなっちゃう。やっぱり現場の咄嗟の判断が必要だと思うわけ」

優花里 「あー…分かりますそれ。よく冷泉殿が練習合間に休もうとその手を使って来るのですが、流れが止まっちゃうんですよね…」


キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…


優花里 「?!これって…」

シゲ 「!こうしちゃいられない…秋山ちゃん?コイツぁ『出動要請』だよっ!」


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--特車二課棟 ハンガー内 あんこう小隊 レイバー駐機エリア


淵山 「…確かにウチには、他にもライアットガンとか、特殊砲弾とかも有るけどさ?非力なドーファン改じゃどれも手に余る代物だ」

華 「ふむふむ…」メモメモ

淵山 「でもよ?一般レイバー相手なら、通常のリボルバーカノンにホローポイント弾で充分お釣りが来る…要は当てる事よ。片目つぶって、よーく狙う。コレよ!」

華 「なるほどー…?」


キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…


華 「これって…」

淵山 「回せーっ!…五十鈴さんは出動準備をして自機前に待機っ!!」

華 「…はいっ!」


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--特車二課棟 ハンガー内 あんこう小隊 車輌定機エリア


榊 「よっ、と…嬢ちゃん、八番スパナ」ガチガチ

麻子 「うん。…はい」カチャ

榊 「おう、悪ぃな…ん?」


キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…


榊 「…ここまでだな。嬢ちゃん?」

麻子 「ん。自機前に待機する」コクリ

榊 「上出来だ…第一小隊の機体から幌ぉ外せぇっ!第二小隊の機体はキャリアに載っけろ!モタモタしてる奴ぁブッ倒すぞっ!!」


整備班員共 「「「ウスッ!!!」」」


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--特車二課棟 ハンガー内 脇


キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…


そど子 「?!武部さんっ!!」

沙織 「分かってる。先に自機前に待機してて?指示だけしたら私もすぐ向かうからっ!」

そど子 「分かったわ。ゴモヨ、パゾ美、行くわよっ!!」

タダダダッ!

ゴモヨ 「…特殊車輌系はアイドリング状態で待機…!」

パゾ美 「武部さんの分もシステムも立ち上げておかないとっ…!」




沙織 「…私の分はいらないから、他の第一、あんこう小隊みんなの分のおにぎりと密閉容器に入れた田舎汁を渡して上げて?道中で食べれるようにね?!皆も時間見つけてちゃんと食べるのよ!!」

整備班員共 「分かりましたっ!」

整備班員共 「アネサンも、頑張って下さいっ!」

沙織 「うん、ありがと!じゃあ後はよろしくね?」

タタタッ…


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--特車二課棟内 2階 隊長室


キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…

ガコッ…ピー『渋谷区神南にて201発生、特車二課に出動要請…』ガピー



みほ 「201…『街中での未確認レイバーによる暴走状況』!?」

五味岡 「…おいでなすったか」

後藤 「さて、まずはどちらが先か…。二者択一、選択をお願いしますって訳だ…」ニヤリ



キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…

『…繰り返す。渋谷区神南にて201発生、特車二課に出動要請…!』


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今回はここまでです。次から第六章 「Enter Enter MISSION! です!」となります。

乙、いよいよ本番ですね!

>>231
あと一要素書けば、存分に戦闘が書けます。ここまで来たらとことんやってみます。

では本日分行きます。



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〈 第6章. Enter Enter MISSION! です! 〉


--特車二課棟内 2階 隊長室


キューイ!キューイ!キューイ!キューイ…

ガコッ…『渋谷区神南にて201発生。目標は土木作業用レイバー「タイラント2000」「ブルドッグ」の二機と判明。特車二課に出動要請。繰り返す…!』


五味岡 「…西住さん?どうする?いけそうかい?」


みほ 「え?あ、あ…ご、五味岡さん?一体何を…」

五味岡 「いけそうかい?と聞いてるんだけど」


みほ 「あ、は、はい。命令とあれば…」

五味岡 「自発的じゃないんだね?…ま、そりゃそうか。所詮はたかだか一週間の体験入隊だもんな?」

みほ 「ご、五味岡さん?一体どうしたと…」

五味岡 「…命令だからで割りきれる内は良いけど、悪いがこの仕事は、戦車道とは違って命懸けだよ?君にその覚悟なんか無いだろう?」

みほ 「そ!そんな事はっ…」




五味岡 「…『目標』に『勝つ』自信も、そのつもりすら無いのなら、相手は全て第一小隊で請け負うよ」

みほ 「そ、それは無茶です!…私たちも参加します」

五味丘 「ハッ!いくら戦車道の優勝者だからといって…ま、お手並み拝見、と行こうか?」

後藤 「…」


みほ 「…五味丘さん…」


後藤 「…西住?」

みほ 「は、はい…」

後藤 「仮に、だ…この普通の二機体を相手にするのと、強力な一機体を相手にするの。どちらかを選んでも良いと言われたら…お前さん、どちらを選ぶ?」



五味丘 「な?!…いくら後藤隊長でも、我々を差し置いてそんな権利はっ…!」

後藤 「まあ、待ってください…どうだ、西住?」


みほ 「…ならば私は、今の警報には対応しません。五味丘隊長率いる第一小隊にお願いします」

五味丘 「自信が無いと言うのなら、この目標は我が第一小隊で請け負うよ。無理はしない方が良い…」

みほ 「はい。その通りです」


五味丘 「…何だって?」





みほ 「…本来、警察では勝った、負けたを競う物では無いと思いますが…『目標をより短時間で拘束し、被害を最小限に食い止めるか?』というのが『勝ち』というのであれば、『両方』共に勝たなければ意味がありません。ならば『どちらも勝つ』方を選ぶのは当然です」

五味丘 「…な…?」

みほ 「第一小隊は一つの能力に特化せざるを得なかった私たちとは違い、個々に状況の幅に対応できるだけのスキルと経験を兼ね備えています。ですから相手が二体でも対応可能なはず」


五味丘 「…」


みほ 「…ですが、私たちは違います。だからこそ、多少個体が強力でも、数の有利さをしっかり保って対処したいんです。
…私の言っている事に何か間違いがあれば仰って下さい。出来る限りの対応をするつもりですから」




五味丘 「…いや、驚いた。緊急時の君は実にクレバーだ。普段の物腰の柔らかさとは全く違うんだな…いや、失礼した」

みほ 「いえ。五味丘警備部長のお話はもっともです。心構えの良い参考となります」

後藤 「そこまで。…二人とも、意地の悪い聞き方をしてすまなかったな?全ては俺の不徳とする所。どうか許してほしい」

五味丘 「いえ!後藤隊長は何も…私の方こそ大人気なく、申し訳ありませんでした!」


みほ 「あ、こ…こちらこそ、若輩者の立場で何を言ってしまったのかと…」 オロオロ

五味丘 「おいおい…さっきの勢いはどうしたんだい?」 フッ


後藤 …(ようやく目覚めたか?…だが、これが西住流と言うには、まだ甘すぎるな…)



五味丘 「…もっとも、始めから選択肢は無いんだけどね?この案件、実は俺たちが行くしか無いんだよ」

みほ 「…え?それはどういう…」

後藤 「…前にも話した通り、体裁上お前さん方はあくまでも『一日署長』の拡大版…『ゲスト』として呼ばれてる訳だ。言い訳の筋書きとしては『特車二課に正規の残存メンバー無。故に仕方なく』という大義名分がいるって訳」


みほ 「…あっ!?最初から五味丘さんと組んで『煽って』らしたんですね?」




五味丘 「はははっ…いや、済まなかったね?本気になった西住流って奴を、ぜひ一度この目で見ておきたくてね。『この件に関しては』全て僕のせいだ。いや、悪かったね?」

後藤 「…そういう言い方をされると、普段の悪巧みは全て俺のせいになっちゃうじゃないの…五味丘隊長代行、改めてお願いできますか?」

五味丘 「…無論!五味丘隊長代行、要請により出動します!」 カッ

みほ 「五味岡さんっ…」

五味丘 「西住さん、さっきの件では本当に済まなかったね。さっきとは違う意味で…『お手並み拝見といこうか』?」

みほ 「…はいっ!『受けて立ちます』!!…五味丘さんも頑張って下さい」 ニコッ

五味丘 ああ!あんこう小隊の皆にはそのまま待機と伝えておくよ。…第一小隊、出るぞっ!!」

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


みほ 「ふう…もう、隊長?相変わらずお人が悪いですよ…」 ムゥ…

後藤 「すまなかったな?…第一小隊は元々、機体性能の低さから来る不満を以前から抱えていてな?」

みほ 「そうは見えませんでしたが…」

後藤 「AVシリーズがあれば、第二小隊なぞよりよっぽど上手く働ける…そういう自負さ」

みほ 「じゃあ五味岡さんの、私たちに対する見方は、あながち嘘でも無かったんじゃ…」

後藤 「いや。あれは第二小隊への見方だな。同じAVシリーズとはいえ、非力なドーファンを使っているお前さん達には、俺からの無茶ぶりも含め、まあ同情の方が上回るだろうよ」

みほ 「そうですかね…?」

後藤 「まあ、ギリギリを戦う職業警官だ。プライドの高さは決して悪いことじゃないんだが…エリート故、自由気質な特車二課から浮いてしまってるのが前から気になっていてね?」

みほ 「ひどい。私たちはショック療法の材料じゃないんですよ?」




後藤 「まあぽっと出の可愛い女の子をチヤホヤしてたら、普通は腹立つよなあ…真面目に命かけてる立場からしたら。後でちゃんと謝っておこう…おい、西住?」

みほ 「そ…そんな…可愛い女の子だなんて…」 テレテレ

後藤 「…おい…あくまでも冗談だからな?」

みほ 「…はい」 シュン

後藤 「ゼクシィ武部かお前さんは。…でもな?これも前に言ったはずだ。お前さん達が任務を遂行できると信じて、俺はお前さん達を見い出したんだって事」

みほ 「…」 ニコニコ

後藤 「…そしてもちろん、第二小隊もだ。この俺が吟味に吟味を重ねて選び抜いたライトスタッフだもん。アイツ等は決して愚連隊なんかじゃない…」




みほ 「ふふっ…あの時と同じ。私たちを口説いてくれた時と」

後藤 「…口説くという言い方は誤解を招くな。せめておだてられたにしておいてくれない?」

みほ 「…はい。おだてられておきます♪…でも、本当に次の目標がタカアシガニさんかどうかは…」

後藤 「こればかりはバクチだな?だが松井さ…とある筋からのたれ込みで、『奴ら』の狙いが『同時に』という事は既に判明している。なあに、30分もしないうちに答えは出るさ」

みほ 「はい」

後藤 「その間に…『タカアシガニ』が想定目標とした場合の、お前さんの基本戦略って奴を先に聞かせてくれるか?」




みほ 「…私のいる戦車道では、戦略上、機体スペックがシビアに反映される世界です。砲の威力が装甲を上回っていれば、どんな小技を駆使しても貫通されてしまう事に変わりは無い。…つまり『柔よく剛を制す』はまず有り得ないんです」

後藤 「…ふむ」

みほ 「ドーファンがタカアシガニさんに勝るのは、運動性能だけ。しかも、脚下に装備された車輪移動による最高速度は、ドーファンの遥か上を行きます。仮に上手く接触・近接戦闘に持ち込めたとしても、非力さ故に決定打を与える事は極めて難しいと考えます」

後藤 「…(さっきの検索だけで、ここまで情報を集めたのか?)」

みほ 「過酷な環境下での動作を想定し、装甲が厚く外部干渉をトコトンまで制御する機体構成…電磁警棒が充てに成らない事も予想されます」

後藤 「…ちょい待ち。さっきの検索だけでそこまで分からないだろ?いつ調べてたんだ」




みほ 「?…ああ。さっきのは形状の最終確認のために検索しただけで、大まかなレイバーの仕様は大体覚えてきてますから」

後藤 「おい。全レイバーがどれだけの種類あると思ってるんだ?」

みほ 「?必要な情報を事前に調べておくのは当然ですから。それに戦車に比べればまだ歴史の経っていない分野でもありますし、総ざらいは比較的楽でしたよ?」

後藤 「…(怖えよ、西住流…)」

みほ 「話の結論として…今回の作戦における決定打、最後の鍵は、華さんのあんこう二号機による射撃のみと言う事になります。戦術の基本は、あんこう二号の射撃を確実に決められるよう作戦を立てていく訳ですが…」


後藤 「続けて?」



みほ 「まずはタカアシガニさんの『速い脚を止める』事。あんこう二号の高い射撃能力で、車輪移動能力を完全排除します。これでようやく『対等以下』」

みほ 「次に、あんこう一号とキャリア二台による補佐により、数の面でスペック不足を補い、目標の体力及び戦意低下を促しつつ、逃亡経路と意思を完全に絶ちます。これでようやく『対等』」

みほ 「…最後に、先ほどお話した『射撃による完全機能停止』。当初のあんこう二号が合流・挟撃する事で『対等以上』となり…勝負を決める事が出来ます」

後藤 「…(おいおい…こりゃ数でひたすら押す王道の『西住流』とは程遠い。搦め手じゃないか。さしずめ『大洗 みほ流』と言ったところか?)」


みほ 「この三段階の作戦展開をより確実な物にするため、周辺の地形や建物分布などの周辺環境を充分に考慮し、こちらが有利となる場所…即ち『ポイント』に随時導いていく流れを取ります」

後藤 「分かった。後は奴が出てきた場所の近辺に、その条件に見あった環境を見出だし、俺はその周辺配置を行えば良い訳だ」



みほ 「はい。作戦時には各『ポイント』毎に…
『速い脚を止める』場所に『ポイント1』。
『体力と気力を奪う』場所に『ポイント2』。
最終防衛ラインとなる『挟撃』場所を『ポイント3』と名付け、呼称するつもりです」

後藤 「タカアシガニに対して最も注意すべき点は?」

みほ 「…最も恐れるべきなのは、タフさと共に兼ね備えた長稼働時間です。ドーファンの約1.5~2倍の稼働時間を誇るタカアシガニさんに対し、ポイント2と3で一号二号交代での再充電を行う隙を狙います」

後藤 「フォワード二人に対しては?」

みほ 「タカアシガニさんは、構成上、胸部を腰から回転させることで死角をなくせます
弱点である腰は深く、中々決定打撃を打ち込めないと思います。
麻子さん華さん共々、『例の型』によって『タカアシガニ』さんへの煽りと消耗を狙ってもらい、最終的にはタフなタカアシガニさんの捕獲に期待します」



後藤 「…ちゃんと『型』を使ってくれてるんだな?」 ニヤリ

みほ 「当然です。後藤隊長と佐久間教官から教えて頂いた、大切な指標ですから」 ニコッ


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


後藤 「…ちなみにさ、今回の作戦って、何か名前とか付けてるの?」

みほ 「そうですね…。ではタカアシガニさんに因んで『さるかに作戦』というのはどうでしょう?」

後藤 「…あんま上手くないね?」

みほ 「え…?そうですかぁ?」ガーン


ヒューイ!ヒューイ!ヒューイ!ヒューイ…!

『…第七管区より通報。隅田川 永代橋にて201発生。目標は篠原重工 97式TFV-EXと判明。現在、隅田川を北上し台東区駒形方面に向け水上を踈行中。特車二課、全機出動せよ。繰り返す…』ガピー




…カッ!


後藤 「…決まりだな!」


みほ 「はいっ!」


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--特車二課棟~ハンガー内 連絡通路


カツ,カツ,カツ,カツ,カツ…!


後藤 「皆をガレージ内、総合指揮車の前に集めておいてくれ」


みほ 「了解しました!」


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今回はここまでです。

後藤から見ても西住流は怖く思うのか……

>>251
あらゆる意味で常識外ですからね、西住流

>>252
いつもありがとうございます!

短いですが本日分行きます。



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--特車二課棟 ハンガー内


リー,リー,リー,リー……


ガンガンガンッ

…チュイインッ

コッチハアトスコシッ!

ヨウシ,テノアイタモノヲマワスッ…!


カツッ!

みほ 「…みんな!」

沙織 「遅いよ、みぽりん?」

みほ 「ふふっ、ごめんね?」

優花里 「いよいよ本番でありますか…」

ゴモヨ 「き、緊張してきた…」

華 「お弁当が楽しみです」

パゾ美 「何というマイペースぶり…」

麻子 「…緊張が長すぎて眠くなってきた」

そど子 「ちょっと冷泉さん?こっからが本番じゃないの!」




後藤 「…よし。皆、集まっているな?」

みほ 「敬礼!」

あんこう小隊 「「…!」 」ザッ!


整備班員共 「「「…」」」ザシャ-ッ!


麻子 「…何で整備班まで並ぶんだ」ヒソヒソ

優花里 「…何か整備班員の方々、出入り前のヤ○ザみたいですう」ヒソヒソ

華 「…タマァ獲ったるでえ!みたいな感じですね」ヒソヒソ

沙織 「あんた達、少し静かにして?!」ヒソヒソ




後藤 「…この短期間にレイバー戦をモノにしてくれた諸君らに、俺から言う事は何も無い。全てはこの時のために準備していた事だ。西住隊長代理の命に従って、思う存分暴れてこい!」


あんこう小隊 「「はいっ!」」


後藤 「西住、号令」

みほ 「はい!…って、え、ええっ?そういうのは普通隊長の…第一、号令って何を言えば…」オロオロ…

後藤 「…隊長代理はアンタでしょうが。それにね?こういう時こそ、何時も通りに振る舞う事が大事なの。マスコミの目も無いし、細かい事は気にしないで良いから」

みほ 「何時も通り、って…」

後藤 「うん。『何時もの』奴、やって?」




みほ 「ん、んんっ…それでは皆さん。『目標』タカアシガニさんに向かって『パンツァー・フォー』!!」


ザワアッ!


ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ー゛ー゛ッ゛!!


整備班員共 「こ…これはっ…?!」

整備班員共 「軍神 西住のパンツァー・フォー…ついに、キタ━(゚∀゚)━!」

整備班員共 「コレで勝てるっ!」


ニッシズミッ!ニッシズミッ!ニッシズミッ!…

チョッ?!ミ,ミナサンッ,ハズカシイカラヤメテ,ヤメテクダサイッ…!




アッンッコウッ!アッンッコウッ!アッンッコウッ!…

オッ,オドリマセンカラネッ?!


後藤 「…やっぱ良いねえ…」ニヤニヤ

みほ 「もうっ隊長ったら///…ぜっ、全員搭乗!」カァッ


ダダダッ…!




ガコンッ…『…~♪』ガピー


優花里 「…ハッ?!どこからともかくガレージ内の安物のモノラルスピーカーから、間延びしたテープのような音質で聞こえてくる何時ものあのメロディがっ…さ、さ、サイッコーだぜぇえっ!!」

シゲ 「頑張れよ秋山ちゃん?!後で俺らも現場で合流すっからね!」

優花里 「心強いです!では不肖、秋山 優花里。現場に向かいますっ!!」ビシッ


麻子 「…おじい。ちょっと行ってくる」

榊 「おう、俺も後から向かうわ。怪我だけはしねえように、な?」グシャグシャ

麻子 「…うん//」グラグラ




淵山 「五十鈴さんよ?ビシッと弾丸(タマ)、当ててこいやぁっ!!」

華 「ご期待に沿えるよう、全力を尽くします。では、行ってきますね?」


整備班員共 「アネサァーンっ!」

整備班員共 「弁当、旨かったすよーっ?!」

整備班員共 「応援してまさあ!無事なお帰りをお待ちしておりますぜ?」

沙織 「やだもー♪それじゃあ皆、留守はよろしくねー?!」




淵山 「おらぁっ!内輪差見誤って、ホイールぶつけんじゃねーぞ?」

整備班員共 「3.8m以下の橋桁下、潜ろうとすんなよなっ?!」

そど子 「ちょっとーっ?!アンタ等はー…」

ゴモヨ 「明らかに私たちだけ…」

パゾ美 「扱い、違わなくない?」


後藤 「…そいじゃボチボチ行きますか、っと…東京、詳しくないでしょ?しっかり着いてきてねー?」

みほ 「はいっ!…それでは皆さん、出動しましょう」






ブロロロローッ…


優花里 「あのう…後藤隊長。警察の出動とは、いつもこういう物なんでしょうか?」

後藤 「そんな訳ないじゃない」

優花里 「…ですよねー?」

後藤 「こんなバカなの、ウチ(特車二課)くらいな物だよ?」

みほ 「…あ、あはは…」


ファン,ファン,ファン,ファン,ファン…


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今回はここまでです。

乙、やっぱり二課の雰囲気はいいですねー

乙です

今回のシーン

思わず劇パトの方舟に行く準備をする特車2課のシーンのBGMが脳内再生しましたW


>>264
この空気が大好きです。

>>265
自分の中では、戦車道行進曲と特車隊マーチが同時に流れ、どうにかなりそうでした。

今ちょうど期間限定で「日本アニメ(ーター)見本市」で「パトレイバーREBOOT」が無料配信されています。
ガルパンしか見た事の無い方がもしいらっしゃいましたら、9分で見事パトレイバーの世界に行けるスゴい映像ですので、良かったら一度見てみて下さい。

では本日分投下させて頂きます。



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--特車二課あんこう小隊~各車、隅田川 東京台東区駒形方面に移動中


ファン,ファン,ファン,ファン,ファン…


優花里 『…我々は「猿」ですかあ?』ザザッ

麻子 『最後、猿は蟹に負けるんだぞ?』ザザッ

みほ 『ああっ?皆にも作戦名が不評だなんて…』ザザッ

華 『モグモグ…まあまあ。最初は猿は蟹に勝ってる(?)んですから…モグモグ』ザザッ

沙織 『華?お弁当食べながら話さない』ザザッ

そど子 『この際、作戦名なんてどうでも良いわ。それより…』ザザッ

みほ 『どうでも良い?』ガーン

ゴモヨ 『まあまあ西住隊長、落ちこまないで』ザザッ

パゾ美 『うん。早く作戦展開場所を決めてほしいかな?』ザザッ


後藤 『…で、どうだ西住、秋山?候補は決まったか?』ザザッ




ピピッ…ツーッ


みほ 『…私は東京のこの辺りの土地勘が全く無いのですが、この辺りで「最終防衛ライン」に設定できそうな「広場」は、ざっと見たところ「上野公園」辺りしか思い付きません…』

優花里 『私も西住殿と同じ意見です』

後藤 『浅草・上野と隅田川を隔てた向かい側にある押上に「東京スカイツリー」が出来てから、この辺り一体は軒並地域開発が進んだからな。昔は手頃な空地が山程あったんだが…』

みほ 『では「最終防衛ライン」…「ポイント3」は、目標の現在地からかなり離れますが「上野公園」という事で良いですか?』

後藤 『…西住。一般市民の財産を守るという観点から市街戦を避けるのは分かるが…あそこはあそこで、貴重な建物や文化財が山程あるぞ?戦車道と違い、保証する先は無い。そこはどう考える?』

みほ 『…』

後藤 『…(見落としてたかな?)』




みほ 『…大丈夫です。傷は一切つけさせません』

後藤 『おいおい。そりゃどういう理屈で…』

みほ 『この時点で挟撃が完成していればキャリアは二台体制となっています。園さんと後藤さんには、常に「目標」と「建物」の間に壁を作るよう配慮して行動してもらうだけです』

そど子 『「目標」の動きを牽制しながら、「建物」も守らなきゃならない訳?』ハァ…

ゴモヨ 『相変わらず西住隊長は無理無茶難題を…』ハァ…

みほ 『皆さんを「信頼」してますから。よろしくお願いしますね?』ニコッ

そど子 『はいはい。全くしょうがないわね…』ヤレヤレ

ゴモヨ 『やるしか無いですもんね…』ヤレヤレ

後藤 『…ふっ(…これだ。やはり伊達に修羅場をくぐってきていない。この割り切りと覚悟は、プロと言えど中々持てるもんじゃ無いからな)』




みほ 『後藤隊長…』

後藤 『…分かった。早速本庁に連絡して、隅田川沿いから上野公園周辺にかけて交通規制をかける。その間にお前さん達は、ポイント1と2の選定を行ってくれ』

優花里 『了解です。では「ポイント3」を「上野公園」として、五十鈴殿の射撃による「足止め」を行う「ポイント1」を先に決めておきたいのですが…』

みほ 『候補は?』

優花里 『「言問通り」上です。道幅が広く、高低差も少なく、かなり先まで見通しが効きます。「タカアシガニさん」の「脚部・車輪部」を狙い撃つには格好の環境で、尚且つスムーズに上野公園へと導けます』

みほ 『…という事は、最悪撃ちミスを考慮して、後ろの空間が広く奥まった方が良いから…』

優花里 『「鶯谷駅前」に「ポイント1」を設置。入谷交差点方面に向け、「言問通り」を進行してくる「タカアシガニさん」を正面から狙い撃つ。という感じでいかがですか?』




みほ 『…うん、私もそれで良いと思う。そうなると「ポイント2」は自然と決まってくるね?』

優花里 『はい。「言問通り」から「上野公園」に引きずり込むために、その出入口にあたる「浄名院前」になりますね』

後藤 『上野公園一帯、抑えたぞ。確認するが、
速い脚を止める「ポイント1」…これが「鶯谷駅前」。
体力と気力を奪う「ポイント2」…これが「浄名院前」。
そして決着場所であり最終防衛ラインとなる挟撃場所の「ポイント3」…これが「上野公園」。
…これで間違いは無いな?』

みほ 『はい』

後藤 『分かった。…特車二課 後藤から哨戒任務中の「桜吹雪12」へ。「目標」の状況と現在位置を報告されたし』ザザッ


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--警視庁哨戒用ヘリ「桜吹雪12」~東京台東区駒形周辺を飛行中


バタバタバタバタ…


『…桜吹雪12より現場急行中の特車二課 後藤隊長へ。目標は柳橋で警備中だった交通管制用レイバーと接触。格闘後「目標の上陸阻止に成功」した。目標は更に隅田川を北上。現在、蔵前橋に接近中』ザザッ


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--特車二課あんこう小隊~各車、東京台東区上野公園方面に行先変更し尚移動中


後藤 『了解。引き続き警戒に当たられたし…(…隅田川か神田川辺りに引きずり込まれたってのが本当の所なんじゃないの?)』

沙織 『くうっ…上野や浅草は観光や遊びに来たかった所なのにぃ…っ』

麻子 『気持ちは分かるが、今はそれどこじゃないだろ…っと』


キキイッ…

パパーッ,パパッ…

ザワザワ…


そど子 『渋滞…』

後藤 『冷泉、今のうちに武部と運転を代わってやってくれ』

麻子 『やれやれ…』


沙織 『え?え?』




ガチャッ

後藤 『武部。キャリアの「運用情報統合システム」を使って、西住から作戦概要データを受領後、安全面のチェックを十分で終わらせろ。優先順位の高い順からまとめて、まとめきれなかったらメモで構わないから俺に回せ!』

沙織 『はっ、ハイッ!』

みほ 『…はい沙織さん?データ、転送したよ!』


ピピーッ,ピピーッ…


交通整理員 「…首都高は江戸橋で事故がありましてお話になりません!」

後藤 「昭和通りの車を開けさせてくれ」


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--警視庁哨戒用ヘリ「桜吹雪12」~東京台東区駒形周辺を飛行中


バタバタバタバタ…


『…桜吹雪12より現場急行中の特車二課 後藤隊長へ。目標は蔵前橋を通過し駒形橋に接近中。江戸通り、馬道通り、浅草通り、封鎖完了』ザザッ


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--特車二課あんこう小隊~各車、東京台東区上野公園に移動中


…パシッ!

沙織 『…ふうっ!隊長?チェック終了しました。今そちらに転送します!』ザザッ

カチャチャッ

後藤 『おう…確認した。良いまとめ方だ、お疲れさん!』ザザッ


ブロロッ…


沙織 「はぁ~っ…」グッタリ…

そど子 「お疲れ様?武部さん」ポンポン




後藤 『…いいか西住?上野公園に到着後、そのままあんこう一号チームを「ポイント2」、あんこう二号チームを「ポイント1」に連れて行ったら、俺はそのまま戻らんからな?」ザザッ

みほ 『はい。皆に上野公園までの道のりと距離を逆送して伝えるためですね?」ザザッ

後藤 『そうだ。お前さんはそのまま「ポイント3」に残り、あんこう小隊の指揮に回れ。以降、俺の小隊に関する権限は、隊長代理のお前さんに全て委ねる』

みほ 『…了解です。隊長は、周辺の交通規制指示や封鎖指示ですね?』

後藤 『ああ。だがそれだけじゃない。お前さん達への安全策やら何やら、ま、色々な?』

みほ 『安全策、ですか?』

後藤 『ああ。前に話さなかったっけ?今回の案件の許可をお前さん達の生徒会長に取り付ける際、とにかく安全面に気を配るよう幾つかの条件を提示したって』




みほ 『会長が…』

後藤 『その一つが、お前さん達の自動車部にお願いした特殊カーボンによる装甲化だったわけだが…実は後二つ程仕込みをしてある』

みほ 『二つ?』

後藤 『ただなあ?残り二つはきちんと発動するか甚だ疑問…つまり当てに出来んのよ。だから期待はするな。全てお前さん達の実力でもってのみ「目標」の驚異を排除しろ』

みほ 『元よりそのつもりです。了解しました!』

後藤 『うん。さて、そろそろ到着だな…』



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--【ポイント3】上野公園


リー,リー,リー,リー…


ピピーッ,ピピーッ…

ドルルル…


みほ 「…『ポイント1』では、どれだけタカアシガニさんの車輪移動を止められるかがカギとなります。華さんは停止射撃により一脚、出来れば二脚車輪を破壊し、高速移動が出来ないようにして下さい」

華 「…はい!」

みほ 「『ポイント2』では、麻子さんは『例の型』で相手を翻弄。タカアシガニさんを少しでも多く疲れさせて下さい」

麻子 「…分かった」





みほ 「『ポイント3』で合流したら、華さんも『例の型』でタカアシガニさんの攻撃をやり過ごし、時間を稼いで相手の体力と気力を削ってチャンスを呼んで下さい。ここではキャリア組も、私の指示で『例の型』で対応します。園さん、後藤さん、よろしくお願いします」

そど子 「うん、分かってる」

ゴモヨ 「後は周りの建物も守りながら…だね」


みほ 「…今のが作戦の概要となります。皆さんの健闘を祈ります。では、各ポイントへ後藤隊長の後に従って移動して下さい。それでは皆さん…パンツァー・フォー」


あんこう小隊 「「おーっ!」」


ダダダッ…

ブロロッ…!


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

ドッドッドッ…

沙織 「…あのさ、みぽりん。前も言ったけど、指揮途中は危ないから、出来るだけ車内に入るようにしなよ?」

みほ 「ごめんなさい。つい癖と指揮のしやすさから体を出しちゃうんだよね。…確かに戦車道とは違うから、これからは気を付けるようにするね?」

沙織 「うん。…それじゃ私も『ポイント2』に向かうね?」


ブロロッ…


パゾ美 「…みんな、行っちゃいましたね…」

みほ 「みんなで無事に任務を終える事が出来ますように…。さ?私たちも気合を入れてかからないと!ね?」


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--警視庁哨戒用ヘリ「桜吹雪12」~東京台東区駒形周辺を飛行中


バタバタバタバタ…


『…桜吹雪12より特車二課 西住隊長代理へ。目標は駒形橋を通過し吾妻橋の浅草側に上陸。この後、国際通り、言問通りを経由し、上野公園に誘き寄せる…』ザザッ


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--【ポイント1】鶯谷駅前


ブロロ…キキイッ

…ピーッ,ピーッ,ピーッ…ピピーッ

優花里 「…オーラーイ、オーラーイ…ストーップ。…起動時、電線を切らない位置にっと…」

ゴモヨ 「レイバーキャリア、固定しまーす」


グイーンッ…ズシンッ


優花里 『二号機チーム、ポイント1に到着。あんこう二号機は直ちに起動。出動準備を始めてください!』


カチカチパチッ!

華 「了解。L.O.S.立上…あんこう二号、起動します」

キュイイーン…コココッ
システム ノーマル.タイプ ドーファン,ステンバーイ

優花里 「基本管制システム、オールグリーン。荷台、起こして下さい」

ゴモヨ 「了解。キャリア、ジャッキアップ」

ガコンッ…グォングォン…
ピーッ,ピーッ,ピーッ…

華 「動きますよ…いつもこの瞬間は緊張しますねー」




グォングォン…ガゴッ…
ピロロッ

優花里 「運用情報統合システムのリンク、OK。ロック解除許可、出ました」

コココッ
ヂュイーン…

華 「…各種センサー同調、確認終了」

ゴモヨ 「了解。ジャッキアップ終了、ロック解除します」

バシュバシュッ
ゴグンッ
チュイイーン…!

優花里 「五十鈴殿?…あんこう二号機、ドーファン改。出動して下さい!」

華 「了解です。五十鈴 華…行きます!!」

チュイイーン…ズシュム!

ズシュンッ,ズシュンッ…

優花里 『あんこう二号の出動確認。キャリアは当初の予定通り、ジャッキアップまま既定位置までの移動願います』

ゴモヨ 『了解。既定位置まで移動後、バリケード状態を維持・待機します』


ピーッ,ピーッ,ピーッ…
グロロ…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


今回はここまでです。



REBOOTの情報ありがとうございます、見たかったんですよー

原作ではあまりの相手のレイバーの速さに太田が射撃外してしまってるから、大丈夫なのか

最近ポンコツしほSSが増えてきたせいか、もし彼女が隊長だったら貴重な建物や文化財があろうが、
「いくら破壊しようと構いません。犯人逮捕が最優先です」
と言いそうな気がする

このSSではそんな事は無いだろうけどね


>>286
私も待ってました!次の給料で応援のため買います。無事に見れましたか?

>>287
今回投下分を見てみて下さい。

>>288
ギャグ分多めのパトレイバーならそうなっていた可能性は否定できません。

では今回分投下します。



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ズシュン,ズシュンッ


華 『優花里さん。何か注意事項はありますか?』ガピー

優花里 「目標…タカアシガニさんの機体構成は四本脚…前脚・後脚各々二本ずつに分かれて配置されています。五十鈴殿は目標の右前脚…向かって左側の前脚の車輪から狙撃してもらえますか?」

華 『はい!…あ、そういう事なら…モード2を選択っと…』


バシャカッ,ギュウンッ,ガッキッ,ジャカッ!
ズシュウンッ…ズシンッ
ガッキ…ッ!


優花里 「?!…五十鈴殿?着座片膝立ちでの射撃スタイルでは、確かに射線安定性は増しますが、とっさの回避行動に向いていません!危ないですよっ?」




キシュウンッ


華 『…この「ポイント1」での私の指命は、確実に一脚車輪を撃ち抜く事。これが成功しなければ、作戦その物が成立しなくなります。ですから、少しでもその可能性の高くなる選択を行い、静止状態での確実な射撃で結果をもぎ取ります!』

優花里 「…分かりました。照準時や発砲直後など、目標の動きには特に注意してください!」

華 『了解です!他に何かありますか?』

優花里 「後はいつもの練習通り、服務規程に則った手順を経て発砲許可を出します。それまで五十鈴殿は、照準合わせに徹して下さい!」

華 『分かりました…あ、こちらのカメラでは既に目標を捉えました!』ガピー


優花里 「了解です!…そろそろ双眼鏡でも見えてくる頃合いですかね…喧騒が近ずいて来てますし…」ゴクッ…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


(回想ーー【ポイント3】上野公園 )


優花里 「…出動前にそんな事が…」

沙織 「あの温厚な五味岡さんが…ちょっとショック…」

みほ 「あはは…私を煽るための冗談だった訳だし、私たちに対しては同情心が勝ってるって隊長が言っていたから、大丈夫だよ?(…多分)」

沙織 「…うん。その言葉、信じるよ!」フンス!

みほ 「…でも、この一件で改めて思ったの。私たちみたいな『普通の』女子高生が、レイバーで捕物の真似事をしている事自体が『当事者』にとっては『腹ただしい事』なんだ、って…」

優花里 「つまり『目標』…犯人と言う『当事者』にとっては尚の事ですよね?」

みほ 「そうなの。だから私たちも、服務規程にある『目標への口頭呼び掛け』は、きっちり率先して行っていくようにしましょう」

優花里 「『目標』の冷静さを失わせ、逆上を煽るって事ですね?分かりました!」




沙織 「でもでも!…むしろ変に相手を煽る事になっちゃわないかな?変質者みたいにむしろ嬉々として襲ってきちゃいそうな気が…」

みほ 「…この際はむしろその方が良いの。私たちの目標の一つは『目標(犯人)を取り逃がさない』事。もちろんそれ以上に『人命優先』っていうのもあるけれど、そこは相手の狙いさえ絞れれば、対処方法は幾らでもあるから」

沙織 「…うん分かった。でもみぽりん?ちゃんと緊張せずに服務規程通りに相手に呼び掛けられる?」

みほ 「…ああっ!そうかそうなるよね?私、大丈夫かな…」オロオロ…

優花里 「西住殿はいざと言う時はきっちりしてますから大丈夫ですよう?」


アハハッ…


(回想終わり)

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


…ガーッ…
バキンッ…ギャギイィッ!


カチャ…


優花里 「…目標を確認!パトライト点灯!」…グッ!

華 「…はいっ!」


キュウンッ…

…ファンファンファンファン…!


優花里 『あーあー…こちらは特車二課あんこう小隊ですっ。前方のレイバーの乗員はただちに機から降りて下さいっ!自分が何をしているか、分かっているのでありますかっ?!抵抗を止めて、ただちに機から降りなさいっ!!』ガピー


…ガーッ!

タカアシガニ 『!…』


優花里 「…やはり停まらないっ…4…3…2…五十鈴殿?!発砲許可、出しますっ!!」


華『はいっ!』


ジャカッ…チイイイッ…


優花里 「?…相手の動きが思ったよりも鈍い…もっと左右に散らしてくるかと思ったのに…こちらからしたらラッキーですが…何かを、狙い、定めている?」




ギャアーッ!

ゴグ,ンッ


優花里 「ん?本体胸部左右が開いて見慣れぬ筒状の物体が…ランチャー?いや、あれは…射出型の銛?!五十鈴殿っ!!」

ギャーッ…!

チイイイッ…

華 「まだ…もっともっと、引き付けて…っ」

優花里 「早くっ!目標も五十鈴殿を『狙って』いますっ!!」

ギャーッ!

チュインッ

ジャコッ

優花里 「い…五十鈴殿ーっ?!」

華 「…一撃、必殺!」グッ!

タカアシガニ 「!!」ギラリッ


ズ・ドンッ…!!

ドキュン…ッ!!シュルシュルシュル…ッ…


バキャアッン!!

ズガガガガガーッ!


優花里 『う、うわあああーっ?!』

華 『ぐ…ぅ、っ…?!』ガツン…ッ…

タカアシガニ 『?!』


グワシャアッ!…ガ、ガ、ガ…ッ…

バラパラ…バラッ…


ゴモヨ 『キャアッ?!…五十鈴さんっ?秋山さんっ?返事を、返事をしてーっ?!』


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ーー【ポイント3】上野公園


パゾ美 「…ーっ?!」

みほ 「華さんっ?優花里さんっ?状況を、今の状況をっ!!」


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ーー【ポイント2】浄名院前


そど子 「な…何が起きたの…?」

沙織 「華っ?!ゆかりんっ?!」

麻子 「…あ…ああっ…」


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ーー【ポイント1】鶯谷駅前


ブロロッ…ガチャッ


シゲ 「…うわ…っ…」

榊 「こ…こいつぁ…ひでえっ…」


ギ、ギ、ギ、ギー…ッ…


みほ 『…華さんっ?優花里さんっ?…後藤さんっ、状況を、今の状況をっ!』ガピー

ゴモヨ 『んっ…秋山さん、通信機持とうか?』ガピー

優花里 『…痛っ…大丈夫ですっ…も…『目標』は、胸部左右に撃ちっ放し式の射出銛を内蔵。その内一発を、五十鈴殿の発砲と同時に射出し、あんこう二号の『左腕』を吹き飛ばしました…』ガピー

みほ 『優花里さんっ?良かった、大丈夫なのっ?!』


ザッ…ザッ…ザッ…


優花里 『わ、私は衝撃と破片だけでしたから大丈夫です。それよりもあんこう二号が…『目標』が『右前脚車輪』を『撃ち抜かれた』直後にバランスを崩し、そのまま二号に接触…現在、二体とも転倒状態のままです。…五十鈴殿?五十鈴殿ーっ?!』

ゴモヨ 『五十鈴さーんっ!!』




ザザッ…


華 『う…ううんっ…ゆ、優花里、さん?それに、後藤さんも…』ガピー

ゴモヨ 『い、五十鈴さんっ?良かった…怪我は…って?え?』ガピー

優花里 『い、五十鈴殿?口からち、血が…っ…』

華 『え?…あ、あ~…これはちょ~っと、口の中を切っただけで~…』ボーッ…

ゴモヨ 『五十鈴さん…頭でも打った?』

優花里 『五十鈴殿?五十鈴殿っ?他は大丈夫でありますかっ?!』

華 『…大丈夫ですよ~?あら~、髪の毛喰わえると…ウフフッ、幽霊さ~ん…』ボーッ…

優花里 『大丈夫じゃないじゃないですかあ?お願いですから戻ってきて下さいよう~…』フェェンッ

華 『…ハッ!ゆ、優花里さんっ?!今のっ、今のタカアシガニさんの状態はっ!?…は、あらら~…っ?』


グラアッ…ズシュウンッ!




タッタッタッ…


榊 「うおい!今、お前さんのあんこう二号はな?左腕がごっそり喰われちまってる状態なんだよ!まあ篠原製オートバランサーだから、片足でもヤジロベーみてえにシャンと動くけどな?」

優花里 「…榊さん、シゲさん!」

シゲ 「秋山ちゃんも五十鈴ちゃんも大丈夫だったかい?端から見ててヒヤッとしたよ~…っとー?」


ギ、ギ、ギ、ギー…ッ…


優花里 『!目標が起き上がろうとしていますっ…後藤殿、ありがとうございました。後はキャリアに戻って、当初の予定通り、逆走しないようバリケードを維持して下さい!』

ゴモヨ 「うん、分かった!」

タタタッ…

優花里 「…でも、当初の最低限の目標は達成しました!五十鈴殿とあんこう二号は取り合えず簡易検査を…って、五十鈴殿っ?」

華 「…モード4…強制リセットで直立戻し…」

ピコッ…ギュンムウッ…
チュイイインッ…ギイッ!


華 『…優花里さんは優しいですね?ありがとうございます、気を使って頂いて。でも私のあんこう二号は片腕を失い、戦力ダウンは否めません』クチモトノチ,ゴシゴシ

優花里 「…五十鈴殿?無理はなさらないで下さい。私は頭へのダメージが心配で…」





華 『ふふっ、大丈夫ですよ?…ここは今後の事を考え、もう一脚分の車輪を破壊しておく所。…何か、何か片手撃ちに使えそうなモードは…っ』

カチャカチャ…

ピコッ!…ピッピッピッ…

華 「?…データ202…モード5?こんなの今までありませんでしたのに…(この状況で立ち上がったという事は…メインコンピュータが必要と判断して…?)」

優花里 『…?五十鈴殿、どうしましたか?』

華 『あ、いいえ?…タカアシガニさんに今一度射撃を試みます!皆さんも一旦安全な場所に引いてくださいっ!』


ギュインッ!


華 「…『モード5』、行っちゃいます!ええいっ!」

ピコッ!


…ギンッ!




グウンッ…バキインッ!


優花里 「どうわあっ?!」

榊 「なんだ、どうしたっ?!」

華 「きゃあっ?!…え、ええ?自分の右膝アーマーをパンチで『弾き飛ばし』ちゃいましたっ?!」


グワランッ…クワンッ…クワンッ…

パラバラッ…


シゲ 「うわおっ?!」

優花里 『…い、五十鈴殿ーっ?!一体何を…』

ギッシュウンッ…ガキッ!
チュイイーンッ…

華 『わ、分かりませんっ!片手撃ちの方法を探して、新モードが立ち上がったから試してみたら…「片膝座りに、片膝上に肘を固定した状態での片手撃ちを強要」されましたっ!』

榊 「ちっ!この状況で『あのバカ』の『荒っぽい』所が『発動』しちまったか!」




シゲ 「何とまあ、ガラの悪い…五十鈴ちゃん?構わないからそのまま咬ましちまいな!後で修理してやっからさ!!」


華 『はっ、はいっ!』

チュイイーンッ…


タカアシガニ 『…~っ!』ギンッ!

ギ、ギ、ギ、ギー…ッ…ギシイッ!


優花里 「目標…直立状態に復帰中…!」

華 「…でも確かにこれなら、片手でも膝上に固定したまま、置いた肘を支点に照準を狙えます…『やんちゃな子』ですねー。でもこの荒々しさ、嫌いじゃありませんよ?」 フフッ


チュインッ
チュイイーンッ!


華 『当てますよ…?一撃、必殺っ!!』

ヴォンッ…チイイッ


ドンッ!



バキャアンッ!


タカアシガニ 『?!』

ガクンっ…ギッチョンッ、ギッチョンッ,ギッチョンッ…


華 『やりました!…良く出来ましたね?あんこう二号』ナデナデ

優花里 『お見事っ!…あんこう小隊各員へ。現在、目標は二車輪を失い、通常歩行移動により「ポイント2」に向かいました。後藤隊員のキャリアは当初の予定通り、目標の後退を防ぐべくバリケード状態にしたまま後を追います。…では後藤殿?よろしくお願いします!』

ゴモヨ 『はい。このまま「ポイント2」に向かいます!』

ピーッ,ピーッ,ピーッ…
ブロロッ…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ドカカッ…コン,コン…


榊 「緊急開放レバー回すぞ?よっ、と…」


バシュウムッ…ガパッ…グウゥンッ…


華 「ふうっ…榊さん?優花里さんも…ご心配をおかけしました」

榊 「…おう。無事みてえだな?」ニヤリ

優花里 「本当にヒヤッとしましたよ~…でもそのおかげで、タカアシガニさんの早足を止める事が出来ました。さ、簡易検査を…」

華 「…いえ。私は大丈夫ですから、急いでこの子の応急処置をお願いします。今は無いはずの左腕が異常に電力を消費していて…」

榊 「む。そいつぁまずいな…シゲ?一旦電力を完全オフだ。電装系のチェック!」

シゲ 「はい、もうやってます!」

榊 「再立ち上げに最低十分はかかる…今日はもう止めにしておいた方が良いんじゃねぇか?さっきの『あのバカ』の片手撃ちは、混戦状態じゃ使用は無理だろうに…」




華 「それでもっ!…要素さえ集まれば、必ずそれを活かしきるのがみほさんなんです。みほさんなら、私を…この子を、必ず活かしてくれるはずっ!だから…っ」

優花里 「五十鈴殿…。榊さん?私からもお願いします。もともとあんこう小隊は一機のみで戦えるスキルを、まだ持っていないんです。私たちがここで頑張らないと…っ!」

榊 「へっ…お前らならそう言うと思ってたよ?年長者としては、若ぇ奴に『逃げる』って選択肢も一応提示はしてみたが…俺ぁやっぱ浪花節の方が好きだしな?」

華 「…ありがとうございます!」

榊 「おいシゲ?バッテリーも今のうちに充電した物に差し替えとけ!…今から十五分、嬢ちゃんに保たせるよう伝えといてくれや…」

優花里 「…はい、分かりましたっ!」


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ーー【ポイント3】上野公園~総合指揮車内


パゾ美 「…五十鈴さんも秋山さんも、無事で良かった~…」フゥッ…

みほ 「…うん…うん…分かった。くれぐれも華さんには無理しないように伝えておいてね?あと今のうちに少しでも身体を休めておくように。…じゃあ移動時間も合わせて、今から二十分後に、ここで」カチッ…

パゾ美 「…どうでしたか?」

みほ 「うん、二人とも特に問題は無さそう。状況を少し整理したいから、システム使うね?」

パゾ美 「分かりました。何か動きがあったらお伝えします」

みほ 「うん。…ふうっ…」ギシッ…

みほ 「…(タカアシガニさんが中東やアフリカ戦線で軍事用にも使われているとは知っていたけど…榊さんの話を聞くまで、まさか昔の民間漁業用の射出型銛をレイバーに搭載してくるなんて夢にも思わなかった…私の油断だ…ごめんね?華さん、優花里さん、後藤さん)」

カチャカチャ…

みほ 「…(華さんの接触事故による小隊の戦力ダウンは約25%…利き腕とリボルバーカノンが無事だったのは不幸中の幸いだけど、両手撃ち前提だった命中率の高さは、片手撃ちで維持するのはほぼ不可能…)」

タンッ…

みほ 「…今はとにかく、二号の修理が終わって合流するまで確実に時間を稼ぎ、ある程度のダメージを蓄積しておかなくちゃ。そのためには…沙織さん?麻子さん!…』カチャッ…


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ーー【ポイント2】浄名院前


ピピピーッ

バタバタバタッ…

クルゾーッ!


沙織 『…了解、みぽりん。麻子ぉ?話、聞いてたよねーっ!』ガピー

キシュンッ

麻子 『おうよ』ガピー

チュインッ

沙織 『…大丈夫、麻子?さっき真っ青だったの…あの時の事思い出しちゃったから?』

麻子 『…そんな事無い。だが、かなり機嫌が悪くなったのは事実だ』ムッ…

そど子 『あのタカアシガニとかいう奴、許す訳にはいかないわねー?』ガピー

麻子 『…見ててくれ五十鈴さん。仇は必ず取ってやるぞ』グッ!




優花里『…あのー…五十鈴殿、まだちゃんと生きてますし、ピンピンしてるんですが?』ガピー

華 『三人とも私を居なくなった事にしないで下さいね!?』ガーン

沙織 『華もゆかりんも、無事で良かったよー…二人とも一番槍お疲れ様』

麻子 『西住さんから色々聞いた。後は二人が来るまで頑張る』

華 『…はい!ありがとうございます』

そど子 『ゴモヨもこっちに目標を追い詰めてるのよね?』

優花里 『はい!後藤殿も間もなく追い付くはずです。二十分、何卒よろしくお願いします!』


…ヂュインッ…ヂュインッ…


そど子 『あ…来たみたいね?』

麻子 『当たり前の話だが…双眼鏡での視認より、レイバーのセンサーカメラの方が感度は良いからな?』

そど子 『分かってるわよ、気分よ気分…後ろ、バリケード張って待機してるから』トンッ

ピーッ,ピーッ,ピーッ…
ブロロッ…



…ギッチョン,ギッチョン,ギッチョン!


沙織 『んんっ…(嫌だなあ…目があっちゃったよ…)…こっ、こちらは特車二課あんこう小隊っ!見ての通り貴方に逃げ場はありませんっ!抵抗を止めて、ただちに…?!』…ハッ!


ゴグ,ンッ


タカアシガニ 「!!」ギラリッ


バシュッ!シュルルー~…ッ!!


ギュインッ!

麻子 『…おっと』

バシィッ!…ガランガランッ


タカアシガニ 『!! 』


沙織 『び、ビックリしたぁ~…いきなり何よう…あ。麻子、ありがとね?庇ってくれて』ドキドキ

チュイイーンッ…

麻子 『ああ。後は任せろ』

ヂュインッ!




タカアシガニ 『?! ?!』オロオロ

麻子 『最後の槍だった?…聞いてたもん。喰らうわけないだろ…』

ズシュンッ!

ギュインッ!

タカアシガニ 『!! 』…カッ!

麻子 「沙織まで危ない目に…許さないからな」グッ!


ガシャ,ガシャ,ガシャ,ガシャッ…!


麻子 『来てくれた方が、こちらとしてもやりやすい…電磁警棒。』

ヴォンッ…パリィッ…

麻子 『…リミッター、解除。』キッ!

ギン…ッ!
ヂュインッ…ヂュイイイイッ!




タカアシガニ 『?!』

麻子 『…遅い』


ズシュンッ!…ズシュズシュズシュッ…

ガキィッ!ギギギギィ…ッ


タカアシガニ 『!!』

ギチ,ギチ,ギチ,ギチッ…


麻子 『…まずは五十鈴さんが手をつけた右前脚を頂く。カニの脚を食べるには、まず根元に突き刺して…っ』セーノッ

ゴ・ギンッ

タカアシガニ 『?!』

ギシッ,ギチ,ギチ,ギッチョンッ

麻子 『…警棒をテコの要領で、傾けてやればっ…!』ヨッコイ,ショッ!

ギ・ギ・ギ・ギシッ…
バチバチバチッ…パシィンッ!

ボギッ、ンッ…!
ズズンッ

ガラン,ガランッ…


タカアシガニ 『?!』ギリイッ

麻子 『ああ…しまった。両方とも、折れちゃった』


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今回はここまでです。

折れたか。一本丸ごと削りだしならまだしも伸縮式だからなぁ

>>314
いつもありがとうございます!

>>315
漫画版読み直してみたら、一段ムクの削り出しっぽくてビックリしました。…はい、警棒は三段式です。

遅くなりましたが本日分行きます。



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ーー【ポイント3】上野公園


…ズシュンッ,ズシュンッ,ズシュンッ


沙織 『…あ、おーい?こっちこっちー!』


ズシュンッ!

キキーッ!


優花里 『武部殿、お待たせしましたっ!』

沙織 『榊さん達の乗ってきたトレーラーがあるのに、わざわざレイバーを走らせてきたの?』

チュインッ

華 『…何でも片手時の運用データを少しでも蓄積した方が良いらしくて、そのために走ってきたんですよ?』

優花里 『その分、榊さんとシゲさん達整備班が頑張ってくれたので、タイムラグはほとんど無いはずです!』

シゲ 「…この片手時の運用データは、後で忘れずに削除しとかないと、通常使用時にバグに為りかねないんだけどね…っと」

優花里 『…で、現在の状況はどうなっておりますか?!』

沙織 『…それがね…?』


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


…ギョインッ,ギョインッ,ギョインッ,ギョインッ!


タカアシガニ 『?!』


ズザーッ!


パゾ美 『このっ…ふんばれ、ふんばれ、ふんばれーっ?!』

ギュインッ!…ブロロッ…

みほ 『…キャリア組は、全速後退の「点」では無く、ドリフトによる扇形の動きで、タカアシガニさんを「面」で制圧してください!その方が相手もこちらを捕捉し辛くなります!』


ギャギーッ!


そど子 『…せっかく全速後退での操縦に慣れてきたってのにっ!』

ゴモヨ 『結局またこれ?私たち不良になったみたいっ!』


タカアシガニ 『…!』

…ギョインッ,ギョインッ…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


沙織 『…ゴモヨさんがそど子さんと合流した段階で、みぽりん自らキャリア組とあんこう一号の陣頭指揮に立っちゃって…私じゃ、あそこには入れないから…』


チュイイーンッ!

みほ 『今です麻子さんっ!』

麻子 『…うおおーっ!』


ブウンッ…グワアンッ!


タカアシガニ 『?!?!』グラァッ…


華 『…麻子さん、タカアシガニさんを一体何で殴り付けてるんですか?』

沙織 『…そのタカアシガニさんの「右前脚」。折った時に警棒も一緒にダメにしちゃって』




ギャギギギ…ギイッ!


優花里 『確かにこの混戦の中でベストポジションを維持しながら指揮するのは、西住殿でないと無理…いや、無茶ですね』

華 『…パゾ美さんもまあ、よくみほさんの指示に食らい付いて、あの扱いの難しい総合指揮車を振り回してますよね?』

沙織 『そうなの!もう私が入るとメチャクチャになりそうで…だから私は、二号チームの合流を少しでも早く知らせるために出入り口で待ってたの。…みぽりんっ?二号チーム来たよっ!?』ガピーッ


キキィーッ…!


みほ 『了解!…キャリア組は引き続き電磁警棒の受け渡し時間確保のため、タカアシガニさんへの制圧行動をお願いします!ただし、出入口へのルートは防ぎつつ、尚且つ周辺建物へ被害が及ばないよう考慮しながら!』ガピーッ


ズガガガ…ッ!


そど子 『ちょっと西住隊長?要求が二つから三つにアップしてるじゃないのっ!』

ゴモヨ 『相変わらずの無茶ぶり…やりますけれどもっ!!』


ギャギギギーッ…!


みほ 『よろしくお願いします!…麻子さん?今のうちに一息入れて、華さんから電磁警棒を受け取って下さいっ!』


麻子 『おうっ…』ハァッ,ハァッ,ハァ…ッ…




ヂュイ-ンッ…


みほ 「…(二号の修理による20分のタイムロスは、麻子さんの『リミッター解除』とキャリア組の『例の型』で何とか補ったけど…一号の駆動時間は約25分と極端に短くなるはず。挟撃に持ち込めても、戦力ダウンから交代でのバッテリー交換はほぼ不可能…残り時間の約5分で何が出来る?考えなきゃ…!)』


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


…ズシュンッ,ズシュンッ,ズシュンッ!


華 『…麻子さんっ?お待たせしましたっ、これをっ…』

ジャコッンッ…!

麻子 『?あ、ああ…電磁警棒か…助かる…これ、重いんだ…』ハァッ…ハァッ…

ガランッ!…ガラガラ…ッ

…ジャカッ!ブンッ…パシィッ!

麻子 『…うん。やっぱ、持ち慣れた得物の方が、馴染む…』ハァッ…ハァッ…

華 『麻子さん?息が…』

麻子 『…五十鈴さん。一号の銃のラックの鍵は開けておくから…何かあったら、使ってくれ…』ハァッ…ハァッ…

キシュウンッ…

華 『麻子さんっ?!』

ガクンッ!




榊 『…こりゃいかん!バッテリーのテンションが駄々落ちてやがる』

シゲ 『警棒を支えにして、辛うじて立っているようなあんな状態で…本当に戦えるんすか?』

榊 『かといって、この混戦状態じゃバッテリー交換もままならんわな…』

ギ,ギ,ギィッ…

麻子 『ははっ…見ての通り…とてもじゃないが、私もコイツも、最後までは保ちそうに無い…』ハァッ…ハァッ…

華 『…ダメです』

麻子 『え?』ハァッ…ハァッ…

華 『まだその子は…あんこう二号は、膝を地面に屈していません!』

麻子 『…』ハァッ…ハァッ…

華 『最後までやり抜くんです。でなければ、私たちの勝ちにはなりません…』




麻子 『…そういえば…左腕はともかく…その右膝アーマーは、どうしたんだ?』
ハァッ…

華 『ふふっ…この子やんちゃで、片手撃ちに邪魔だからって「勝手に外しちゃった」んですよ?』

麻子 『…二号…「発動」したのか…?』ハァッ…ハァッ…

華 『…はい。きっとその子も同じですよ?まだ戦う力を残しているはずです。だから…最後まで麻子さんも一緒に!』

麻子 『ふうっ…全く。あんこうチームの皆は、誰もかれも、無茶を言う…』ハァ-ッ…キッ!


…キシュウンッ!


麻子 『…了解。行こうか』

華 『…はいっ!』


ズシュンッ…!


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ギョインッ,ギョインッ,ギョインッ!


タカアシガニ 『…!』 イラッ…


みほ 「…(機体越しに、乗り手の心の動きが伝わってくる。人や動物の姿を模している分、戦車よりもレイバーの方がより明確に…。タカアシガニさんの乗り手はレイバー操縦のプロ…ただし戦いのプロじゃ無い!だから、一番注意すべきなのは戦意喪失により全力で逃走される事…それを防ぐには…!)」


ズシュンッ,ズシュンッ,ズシュンッ!


華 『みほさんっ?お待たせしましたっ!』

麻子 『…すまなかったな?そど子』ハァッ…ハァッ…

…ギャギーッ!

そど子 『ちょっと冷泉さん?あなた本当に大丈夫なのっ?!』

麻子 『…本気で心配してくれるのは、そど子だけだな?』ハァッ…ハァッ…

そど子 『んなっ?き、急に変な事言わないでよっ///』




カチャッ!


みほ 『…フォワードのお二人にお願いがあります。一分だけで構いません。タカアシガニさんが、周りを見る余裕が無くなる位に翻弄して欲しいんです」


ヂュインッ…


華 『今度は私たちが、ですね?』

麻子 『やれやれ…一息つく暇も無いのか…』ハァッ…ハァッ…

みほ 『優花里さんは、次の手を仕込んでいる一分間、フォワード二人への指揮をお願いします』

優花里 『了解しました!』


みほ 『…そして「カモさんチーム」の皆さん。皆さんが、これからの作戦の肝となります。今からその作戦を伝えますので、その後一分以内での迅速な配置をお願いします』

ゴモヨ 『わ、私たちが、作戦の肝?!』

そど子 『へえ…面白そうじゃない』

パゾ美 「…に、西住隊長?わ、私と…この総合指揮車も、ですか?」

みほ 「はい。…私たちは言わば、タカアシガニさんを釣り上げるための、言わば『餌』です」

パゾ美 「餌…ですか?」




沙織 『ちょっと…みぽりん、何をする気なの?まさかまた危ない真似をする気じゃ…』

みほ 『…沙織さんは、あんこう一号のバッテリー残量%を随時読み上げて下さい。ちなみに、今は?』

沙織 『へ?え、えとえと…な…7%?!』

みほ 『…皆さん、聞いての通りです。私たちに残された時間は、あと5分くらいしかありません。皆が揃った今が最後のチャンス。「あんこう小隊」全力での…短期集中決戦です!』

ジャコッ…バシィッ!

麻子 『…了解!』ハァッ…ハァッ…

…バシャッ…ガッキッ!

華 『…行きますっ!』


みほ 『全員のより一層の奮闘に期待します!それでは、パンツァー・フォー!!』


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


タカアシガニ 『…!!』イラァッ…!!

ギョインッ,ギョインッ,ギョインッ…!


ジュインッ!

ズシュンッ,ズシュンッ,ズシュンッ!

華 『前衛は私が務めます!麻子さんはタカアシガニさんの隙を見つけてフォローを!!』

麻子 『バカ!…片手なんだぞ?倒れたら、起き上がるのに時間がかかる。その隙にやられたら…っ』ハァッ…ハァッ…

ギャギーッ!

優花里 『いえ!もともと五十鈴殿のドーファン改には、両手に攻撃をいなすための『盾』が装備されています。片手だけでも「捌く」だけなら充分に役割を果たせるはずです!』

麻子 『…遠慮は無用、という訳だな?』ハァッ…ハァッ…

華 『…ええ。頼りになさって下さい』フッ…

優花里 『五十鈴殿が攻撃を捌いて相手の隙を誘い、その隙を縦横無尽な角度から冷泉殿が突く!…基本は何時もの「型」その物です。遠慮なくやっちゃって下さいっ!』


ギュインッ…!


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ジュインッ!…ガキャアッ!

ズズ…ンッ!


沙織 『…バッテリー残量、残り5%…こんなに消費速度が早いなんて…』

ゴモヨ 「西住隊長?!両キャリアの配置、済みました!!」

みほ 「…金春さん?私は、タカアシガニさんとの距離のみを伝えますから、後は捕まりそうで捕まらない速度と距離感での、目標位置までの移動をお願いしますね?」

ゴモヨ 「分かりました。でも、西住隊長自らが体を晒すことは無いのでは?やはり危険ですよ…」

みほ 「支え棒があるから大丈夫だよ。…沙織さんには後で叱られちゃいそうだけど…それじゃ始めるね?」


カツンッ…ザンッ!

ガコッ…ピーッ…


ギッチョンッ?!

タカアシガニ 『?!』


みほ 『…そこの所属不明のレイバー、聞こえますか?私は特車二課、あんこう小隊隊長代理、西住みほです!』ガピーッ

沙織 『み、みぽりんっ!な、何でそんな指揮車の上で「軍神立ち」なんかしてるのっ!?危ないってば!!』

みほ 『既に上野公園周辺は、完全なる包囲網が敷かれており、貴方の逃げ場は既にありません。今すぐ無駄な抵抗を止め、投降して下さいっ!!』ガピーッ




ギチョンッ…!

タカアシガニ 「…!!」…ニヤリッ

ギチョンッ,ギチョンッ,ギチョンッ,ギチョンッ…!


みほ 「よしっ、食い付いたっ!金春さん急速後退っ!!…キャリア組とのタイミングはお任せしますっ!!」

パゾ美 『は…はいっ!』


ギャギギギ…ギャギーッ!

ブロローッ…!


みほ 『…フォワード組は、そのままタカアシガニさんを追って下さい!上野公園の出入口でワンチャンスを作りますから、それを絶対に逃さないでっ?!』

チュインッ

麻子 『西住さんっ?一体何を…』ハァッ…ハァッ…

華 『分かりません。が…!』

優花里 『追いましょう!』


ギャキーッ…!

ズシュウンッ,ズシュンッ,ズシュンッ,ズシュンッ!




タカアシガニ 「…!…!」…ハッ!…ハッ!

ギチョンッ,ギチョンッ,ギチョンッ,ギチョンッ…!


そど子 「まだよー?まだまだー…」

ゴモヨ 「ううっ…緊張するっ…!」


ガーッ!

みほ 「…上野公園、出入口間近ッ!金春さん?!」


パゾ美 「はいっ!…行くよっ、そど子、ゴモヨ?!」

ゴモヨ 「分かったわパゾ美!」

そど子 「指揮車、出入口…通過っ!」

パゾ美 「…~っ、今よ!そど子、ゴモヨ?!」

ガーッ!
ギチョンッ,ギチョンッ…!

ゴモヨ 『せーのっ!』

そど子 『スーパー風紀アタック!!』


タカアシガニ 『?!?!』…ハッ?!

バッカーンッ!


優花里 「…上手い!出入口から出てきた所を、二台のキャリアで挟み打ちっ!!」

そど子 「へっへーんだ!照明を消して、闇に紛れて待ち伏せしてたのよっ!」




ギ、ギ、ギ、ギィ~ッ…

タカアシガニ 『…~ッ?!』グラグラ


…ギャキィッ!

みほ 「…!(非力なドーファンで本当にタカアシガニさんを抑えられる?他の手も同時に考えなきゃっ…!)」




ズシュンッズシュンッズシュンッ…

華 『確かに…チャンスですねっ!』

麻子 「もう、ちょっとだけ、頼む…あんこう、一号」 ハァッ…ハァッ…

チュインッ

麻子 「走ってっ…飛び付いてっ…抱えてっ…」 ハッ,ハッ,ハッ…

ズシュンッズシュンッズシュンッ…

チュイイーンッ…!

麻子 「乗っかってっ…抑え…え…?」 ハッ…?

ヴォンッ…ギンッ!
ヂュイイイイーンッ!

麻子 「い…一号?わ、わわ…」?!

ズシュンッ…ガキイッ!!


タカアシガニ 『!!?』

麻子 「!??」


ズザザザザーッ!

ギ,ギ,ギ,ギチョッ…ンッ…!


優花里 「あれは…!飛び付きながらの『脇固め』ですね?!初めて見ましたっ!」



榊 「へへっ!…『嬢ちゃん』のは『良い方向』に『発動』したか」ニヤッ


ギ,ギ,ギ,ギ…

ヂュインッ、ヂュイイイインッ…


麻子 「い、一号…お前…(こ…これが本当の『発動』…?)」

みほ 『!麻子さんっ、チャンスです!非力なドーファンでもそのままなら抑え込めますっ!頑張って?!』ガピーッ

麻子 『!わ、わかった…ぐうっ』フンヌウッ!

ギ,ギ,ギ,ギッ!

沙織 『…残り4%っ!』


みほ 『華さんっ?!』

華 『はいっ!』

ズシュンッズシュンッズシュンッ


麻子 「い、ち、号っ…頑張れ~…っ…」ハッ、ハッ、ハッ…

チュインッ、ヂュイイイインッ!




タカアシガニ 『!!!』カアッ!

ギチョギチョギチョンッ!


優花里 『くっ!こんなに動かれては片手での照準は無理です!』

沙織 『3%…2%!もう持たないよっ?華、早く!』

みほ 『…華さんっ?関節の間に銃口をネジ込んでの零距離射撃っ!!』

華 『はいっ!』

沙織 『残りい…1%!ま、麻子~っ?!』


ギ、ギ、ギ、ギィッ


麻子 『…ぐうっ!』

華 『行きますっ!』


ザシャアッ!


優花里 『スライディングからの…?!』


ガッキ!

タカアシガニ 『?!』ギリッ…

ギチョンッ!ギチョギチョ…


沙織 『ダメッ…0%…華~っ!!』


華 『この距離なら…外しませんっ!連っ!撃っ!必っ!殺っ!』

バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!

チンッ,チンッ,チンッ,チンッ…





タカアシガニ 『……』

華 『……』


ゴギンッ!…ズズ・ン…ッ…

ピー…ッ…


華 『……』…ハアッ…ハアッ…ハアーッ…

タカアシガニ 『……』


みほ『…左前肢を完全に破壊…』

優花里 『…目標、沈黙!』


キュウウンッ…ズシュウムッ…ン…

ガクンッ


沙織 「ぜ…全機能停止…ま、麻子~っ…」 ハアーッ…

麻子 「は、はは…」…ハ~ッ…


優花里 「や…やりました、五十鈴殿っ、麻子殿っ!!」



みほ 「…ま…間に合ったあ…」…フ~ッ…


-----------------


今回はここまでです。

ふう。

…ふぅ

すいません。昨日分修正です。

>>335
・バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
→ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

>>336
・~麻子殿っ!!
→~冷泉殿っ!!

となります。

>>338
…え?

>>339
…ええ?

>>340
いつもありがとうございます!


では、今日分行きます。



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ーー【ポイント3】上野公園 出入口


タカアシガニ 『…』

チュインッ…

華 『…』…ハアッ…ハーッ…

ズシュウッ…

優花里 『…五十鈴殿、どうかしましたか?』

華 『…何か…』

優花里 『…え?』

華 『何かが、引っ掛かるんです…』

優花里 『何か、って…何なんです?』

チイイッ…

華 『タカアシガニさんの事…何か、重要な事を見過ごしているような…』

優花里 『タカアシガニさん…クラブマン・ハイレッグが?』

華 『はい…』




タカアシガニ 『…』

優花里 『…海外輸出用で、日本国内の規格外を遥かに越えるタフなレイバーで、篠原重工製。中東やアフリカ等では軍用としても使用されている…』

華 『海外…違う。規格外…これも違う。篠原重工…ううん。軍用…そこまでは行かない…』

優花里 『篠原重工…篠原製だって事に、何か引っ掛かりませんでしたか?』

チュイイーンッ…

華 『篠原製…何だろう…重工が外れただけで何でこんなに…(…バランサー…)?!』

優花里 『?!五十鈴殿っ!!』

ギュイィンッ!

華 『…みほさんっ!早くその場から離れてっ?!タカアシガニさんは「篠原製」!ここのオートバランサーは「一脚でもヤジロベーみたいに」立つんですっ!!』



優花里 「!!そうだ…まだ『二脚』残ってますっ、西住殿ーっ?!」


みほ 「…えっ?」


タカアシガニ 『…!!』ギンッ!!

ギュァァアーーッ!!


ガシャアンッ!

麻子 「ぐうっ?!」

ガシャシャンッ…!


沙織 『ま、麻子ぉーっ?!』

みほ 『!後藤さんっ、公園に向かってっ?早くっ!!』

ゴモヨ 『は、あ…え?ええーっ?!』

ガゴッンッ…ギュ,ギュ,ギュァア~ッ!


ギシュウンッ…ガツッ!


華 『させませんっ!…ぐうっ、か、片手だけじゃ、止めきれずに引き摺られる…っ…!』

ガリガリガリイ…ッ

ギチョンッギチョンッギチョンッギチョンッ!



…ピーッ…

ガチャ,ガチャ,ガチャ!

麻子 「起きろ一号っ!このままじゃ西住さんがっ…」


ドルルッ…!ブロォ…ッ!

そど子 『な、何でこんなにキャリアってのは…っ!』

ゴモヨ 『初動がこんなに重いのーっ?!』


ガガガガガーッ !

華 『と、止まりなさ…い~っ!』

沙織 「ダメぇっ?!これじゃみぽりんが身を隠すの間に合わないっ!!」


グワァーッ!!


…ズシュンッ…

みほ 「…!!(…手負いになった人が最後何をしでかすか分からない事を、あれほど戦車道で見てきたはずなのにっ…ごめんね皆?ごめんなさいっ…隊長っ!」




…ズシュンッ,ズシュンッ,

優花里 「にっ、西住殿ーっ!!…えっ?」

ズシュンッ!


?? 『…こぉんのぉ~っ!!』


タカアシガニ 『…?!』ハッ!


ドガアーッ!!


タカアシガニ 『!!』


…ズガガガーッ!…



みほ 「…え?」

優花里 「あ、あれは…冷泉殿でも無ければ、第一小隊の物でももちろん無い。ど…『どうしてここにいる』んですかぁっ?!」


…ギャキィーッ!…ガチャッ


後藤 「…西住っ!無事かっ?!」

みほ 「ご…後藤隊長っ?!」


後藤 「ふうっ。何とか間に合ったみたいだな…」

みほ 「あ、あの…隊長…『あれ』は?」

後藤 「…ああ。『あれ』が俺の用意した、
『あまり当てにならない』第二の『安全策』って奴さ」

みほ 「第二の、安全策…」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ガキョッ,ガキョッ,ガキョッ!


タカアシガニ 『…~っ!!』


ギチョンッギチョンッギチョンッ!


?? 『こいつっ?往生際の悪い…ならば…こうっ!』


グイッ!…スウッ…グワッギンッ…ガキィッ!


タカアシガニ 『?!』


ギ、ギ、ギーッ…


麻子 「!…脇固め※…これ、さっきのあんこう一号と同じ動きだ…」

沙織 「スゴい…私から見ても動きの違いが分かる…なんて無駄の無い綺麗な動きなんだろう…」

優花里 「…重心を常に微妙にずらして、相手の力を分散させ、崩しを決して許しません…!」




クルルッ…カチャンッ,グイッ

…バシュウムッ!


麻子 「?!…レイバーが小手先を駆使してコクピットの強制開放?あんな事まで出来るのか…」

みほ 「…上手い。強制開放レバーを回してしまえば、レイバーは強制電源オフ状態になる!」


ギシュウンッ…

バシャカッ,ギシュウンッ,ガッ…キッ!


華 「!?相手を拘束しながらの、銃抜き構えの流れが尋常じゃ無く速いです!」

…ジャカッ!

?? 『…勝負あった!ジタバタすんなっ!!』




…ザシャアッ!


?? 『公務執行妨害!並びに傷害の実行犯その他諸々で…逮捕するっ!!』


ファン,ファン,ファン,ファン,ファン…


ゴモヨ 「…特車二課に、そもそも逮捕権なんかあったっけ…」

そど子 「その場のノリでしょ?何とも特車二課らしい…」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


バタバタバタ…


リー…リー…リー…


沙織 「…あ?目標から犯人が拘束されたみたい」

華 「これで終わりなんでしょうかね…?」


ギギギィッ…ズシュウッ…


優花里 「目標からレイバーが離れました…」


ジュインッ…ジュインッ…


みほ 「…あ…あれ?こっちに来るみたいだけど…」


ズシュンッ!

チュイイーンッ…ギンッ!


?? 『…コラアッ!あんこう小隊のみんなーっ?!』ガピーッ!


みほ 「?!ひゃ、ひゃいっ!」


?? 『目標を完全に確保するまでは、警戒体勢を解いちゃダメでしょーっ?!』ブンブンッ!


優花里 「わわっ?!もっ、申し訳ございませんっ!!」ペコペコ

麻子 「…器用なものだな?レイバーで説教のモーションまでするとは…」カンシン


?? 『全くもうっ…レイバーは扱う人によっては、スッゴく危ないんだからねっ?!』プンスコ


華 「全く、面目次第もこざいません…」フカブカ

そど子 「…レイバーでガチに叱られてる私たちって…」ヘイシンテイトウ




沙織 「…あれ?ちょっと待って。この声って…」

ゴモヨ 「最初は、男の子の声かと思ってたけど…」

パゾ美 「これ…女の人の声だ…」


優花里 「…篠原重工のフラッグシップレイバー『98式AV』を手足のように使いこなし、最凶と呼ばれる『黒いレイバー』に唯一対抗して見せた特車二課 第二小隊の実質的エースは…実は女性パイロットなんです!」



後藤 「おーう。東京に着くなり一(ひと)仕事させて悪かったな?…後は現場に任せようや、泉!」


チュインッ!


??『了解っ!…ふふっ。でもね?』


チュイイーンッ…ズシュムッ


みほ 「あっ…」


バシュウムッ…!


野明 「…女の子が、この子たち(レイバー)を上手く扱ってくれて、お姉さん何だか嬉しくなっちゃったよっ?! 」…ニカッ!


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今回はここまでです。


このスレ読み始めてから久しぶりにパトレイバー借りて見直してるわ
TV版とかもいいけど劇パト2のスクランブルシーンはいつ見てもかっこいいなあ

のあ!

野明及び第2小隊は不在のはずなのに、嘘ついたのかよ後藤隊長は。

いずみのあきらさんは、どの学校押しなんだろうか

後のカツオ登場である、ってそれは中の人の話

まさかこういう風に出すとはな、いい仕事するじゃァねえか、、、作者ァ!!!
てかアンタもしかしてパトレバーと真ゲのクロス書いてた人?導入がなんか似てるからそうかなと思ったんだけど

もしかして3号機に乗ってるの?

>>361そうそう!ちゃんと"もし真ゲの竜馬が来たらどうなるか"ってのをきちんと描いてるからあのシーンは竜馬がいたらこうなるのかって
しっかり描いてるし補足解説みたいなものもあるからイメージがわきやすいんだよなー。

>>362
sageような?

修正です。

>>348
麻子 「!…脇固め※→※は無しです。
すいませんでした。

>>355
嬉しいです。歳が変わると見方が変わって別物に見えるのです。

>>356
3番目くらいに書きたかったシーンでした。

>>357
今回からその辺りの説明が入ります。ぜひ最後までお付き合いください

>>358
あー…すいません。あきらは出てこないです…

>>359
中の人の仕事で一番ビックリした役です。

>>360
何ですそのコラボ、スゴい!今度読んでみます!

>>361
野明が乗ってるのは一号機です。

>>362
出来るだけ分かりやすく短く書くようにしてこの有り様です。長く読み辛くてすいません…

>>363
sageますね。

では本日分いきます。
あ、昨日は仕事でアップ出来ずすいませんでした。



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ーー【ポイント3】上野公園


ファン,ファン,ファン,ファン,ファン…





トクシャニカダイニショウタイ,トウチャクシマシタ!
オウ,クマガミ.オマエラモキテクレタノカ?
タイチョーガヨヒダシタンジャナイデスカ!
マッタク,ヌケダシテクルノタイヘンデシタヨ…
ナグモサンヒトリニオシツケチャッテ
コッチモヨキシナカッタハヤサノウゴキデナ?ワルカッタヨ
デモマニアッテヨカッタヨ!
ナンダモウオワリカ?オレニモジュウヲウタセロ!





沙織 「あれが…第二小隊の人たちかあ…」

優花里 「やっぱり、その道の人たちは雰囲気がありますね~」

みほ 「うん…(後藤隊長、第二小隊の皆さんの前だと、あんな笑顔になるんだ…少し、羨ましいな…)」



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


榊 「いよお。二人とも怪我は無かったか?」

麻子 「…おじい」

華 「榊さんっ!」

榊 「良いから座ってな。…で?ずいぶんと派手にやらかしたじゃないか…」

華 「はい。…この子を壊してしまって、すいません…」

麻子 「ごめん…」

榊 「はは。お前さん達が無事だったのが一番だよ…コイツらは、きちんと役目を果たしてくれたって訳だな?」

麻子 「うん。…ありがとう、あんこう一号」 ナデナデ

華 「ええ。頑張ってくれました…少しやんちゃですけど、この二号は。…この子達、無事に元に戻りますよね?」

榊 「…へっ!何のために予備の三号機があると思ってんだ。コイツらはこっちで責任持ってきっちり直してやるからよ、安心しな?」ワシャワシャ

麻子 「…うん///」グラグラ

華 「ふふっ…ありがとうございますっ」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


…グオォォ…ンッ…


シゲ 「…キャリア・トレーラーに、レイバーやら破片やらパーツやら、その他もろとも積み込み完了したよー。皆、そろそろ撤収の準備をしといてね?」

優花里 「…はい!シゲ殿も度重なる緊急処置や応援、貴重なアドバイスをありがとうございました!」


…グオォォ…ンッ…


シゲ 「へへっ!良いって事よ…って、さっきからえらく低空で周回してんなあ?何だってんだい…って、ありゃまさか陸上自衛隊のC-4輸送機か?!」

優花里 「…陸自のC-4輸送機と言えば、あの空挺部隊にしか配備されていない、空挺レイバー専用機じゃないですか?!何でそんな機体がこんな東京のド真ん中に…」

そど子 「あんな事する陸自関係者なんて、私たちの中じゃ一人しかいないじゃない」

優花里 「ああ!なるほど~…指揮車のサーチライトで合図してみますね?」


カチ,カチ,カチ…

パッ…パッ…パッ…!


…グオォォ…ンッ…!

パッ…パッ…パッ!


シゲ 「…ありゃ、本当に合図返してるよ。アンタ等、陸自にも知り合いがいるんだな?流石、戦車道だわ…」


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ーー上野公園 上空


グオォォ…ッンッ…


蝶野 「…目標。白旗、降伏。よって、特車二課 第二小隊の勝利。か…」

不破 「ハァ~っ…ほんっと、泉さんが間に合って良かった…っ…」

蝶野 「…あら残念。西住さん達がピンチになったら、私自ら『ARL-99(ヘルダイバー)』で現場までダイブするつもりだったのに!」

不破 「だからですよ?!昔っから無茶苦茶しますよね、蝶野先輩はっ!」

蝶野 「…戦車道の未来を担い、将来の国防を担う事になるかもしれない逸材達なのよ?角谷ちゃんにお願いされるまでも無く、こんな面白…いや!大切な任務を、人任せなんかに出来るもんですかっ!」

不破 「…ハァ…これだもの…」

蝶野 「それと…不破二尉?先輩呼びは止めなさい。私がスゴく歳とったみたいに聞こえるでしょ?」

不破 「…はいはい、とにかく気は済みましたね?蝶野一尉。…では、撤収します!」


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ーー【ポイント3】上野公園


…グオォォ…ンッ…!


華 「…翼を振って、帰っていきますね…」

麻子 「いつも通りの暴走っぷりだな?蝶野教官は」


沙織 「…蝶野教官。私、多分戦車道始めて、初めてモテるようになりました…」ナムナム

優花里 「…拝まないで下さい?沙織殿」


後藤 「…そしてあれが、お前さん達の生徒会長が用意していた『当てにならない第三の安全策』だ」

みほ 「後藤隊長!…あれが、会長の安全策?」


後藤 「…それにしても、あの狸娘…いや、狐か?どちらでも構わないが…大したタマだよ全く…」ハァ…





・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


(回想ーー特車二課棟内 2階 会議室 )


杏 「…ん~!そちらが最大限努力してくれてるのは分かるんだけど、どうもどの『安全策』にも『ノリ切れない』んだよね~?」

後藤 「…正確に言えば、お前さん自身が『信頼』する『何か』を噛まさないと『納得出来ない』んだろ。違うか?」

杏 「…何しろ公(おおやけ)の立場の『大人』に、土壇場で約束事を引っくり返されたからね…」

後藤 「例の『文科省担当官』って奴の事か…。まあその気持ちも分かるよ。そもそも信頼関係が築ける程、俺たちに付き合いは無いからな」

杏 「…」

後藤 「…(あんだけ快活な子が、自分の学校を守るために、あんな辛そうな顔をね…。まあ、直接言わない程度には『信用』してもらえてはいるようだし…)」

杏 「…どうかな?」





後藤 「(至仕方無し、か…)…ああ、そういえば!戦車道の皆さんは、何やら陸上自衛隊の方々との繋がりが強いらしいですなあ!訓練やら審判やら、何かと面倒を見て頂いているとかいないとか…」

杏 「…ああ、蝶野教官の事?よく調べてあるんだね。それがどうかした?」

後藤 「そういうの『今回は止め』にして頂きます?何しろ国防と言う点で、警察と自衛隊は何かとプライドをぶつけあう間柄で、何かと問題があるんですわ」

杏 「…ほうほう?」

後藤 「特に『陸自の空挺部隊』は、我が特車二課の所有する『98式AVの兄弟機を武装』して使用していましてね?これが部隊の特性上、『どんな場所にも降りる事が出来る』ときてる」

杏 「…それでそれで?」




後藤 「『黒いレイバー』事件の際にも何かと出場ってこようとしましてね?『あんな物が出てこられた日には、ウチなんか良い面の皮』なんですわ」

杏 「…成る程っ!とても『納得の出来るお話』ですねっ!?」

後藤 「そうでしょう、そうでしょう。それでは『商談成立』と言う事で」

杏 「…出来る限り呼ばないように努力しますね~?『極力』!」アクシュ

後藤 「…こちらも彼女達の安全には一層注力しますよ~?『極力』!」アクシュ


「「アハハハハハーッ!」」ブンブンッ




後藤 「…いやぁ!これで暴走レイバー捕獲とも成れば、より世間で大洗戦車道復活の気運も高まると言うものですなあ?」ハッハッハッ

杏 「…いえいえ!我々あんこうチームはあくまで『ゲスト』。手柄は全て、特車二課 第二小隊の物となるに決まってるじゃないですか~?」ホッホッホッ


「「ハッハッハッハーッ!」」


(回想終わり)


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


後藤 「…目的遂行のためには手段を選ばず、か…嫌いじゃないぜ?そういうの…」ニヤリッ

みほ 「蝶野教官まで引っ張り出すだなんて…何か、ウチの会長がすいません…」ショボン

後藤 「…お前さん達が大事にされてる証拠さ。良い事じゃないか…あ。まさか忍さんも、帰ってきてる訳じゃないよな?」キョロキョロ





みほ 「…それにしても、第二小隊の皆さんが戻ってこられるなんて…それなら、私たちで無くても良かったのでは?」

後藤 「…いや。今回は『コッチ』の都合じゃ無いんだな…」

みほ 「?」

後藤 「…急遽奴等を呼び戻さざるを得ない『事態』が発生しつつあった。『今回の件』も含め、今週の何時にどちらが起こるかは最後になってみるまで分からなかった…」

みほ 「…『事態』?」

後藤 「じきに分かるよ。…最悪『お前さん等』も『アイツ等』も『どちらもいない』状況も有り得たんだ。今回は幸いどちらも『間に合った』が…こんな事で気をやむのは俺だけで充分だ。だから明言できなかった…済まなかったな?」

みほ 「いいえ!」



後藤 「うん。それよりも、だ…」


ぱこんっ


みほ 「あいたっ?!」アタマオサエ

後藤 「…大切な身心だ。命を担保にするんじゃないよ?」

みほ 「…ご、ごめんなさい…」 シュン…

後藤 「でも、ま…」 クシャクシャッ

みほ 「え…?」 グラグラッ

後藤 「…よくやってくれたな。西住」クシャッ…


みほ 「…は、ハイッ!」…パアッ!


後藤 「…各トレーラー、撤収準備。さっさと帰って一(ひと)っ風呂でも浴びようや?」


みほ 「…~♪(…結局これが、私たちあんこう小隊の最初で最後の出動となりました。会長から大洗への緊急招集がかかったからです。
歓迎会は送迎会に変わり、撤収・準備に追われ、私たちがようやく落ち着いたのは、翌日早朝の移動直前の事でした…)」


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第六章 終了です。長い間ありがとうございました。
明日から最終七章「エピローグ~朝陽の中へ」となります。あと二回くらいで終わりますので、もう少しお付き合いくださいませ。では。

sage忘れてました、すいません。

不破さんの方が声も含めて大人っぽい印象あるけど、蝶野の方が階級上なのね。

色んなアニメを見てきたせいか、自衛隊繋がりで男だけど、これでもしGATEの伊丹がいたら、なんて想像してしまった。


>>378
ありがとうございます!何とか最後まで書けそうです。

>>388
あの若さであの発言力の高さから、個人的に蝶野さんは愛里寿みたいに飛び級→そのまま陸自入隊した説を推しています。だから、歳は不破さんよりは若いのかなあ?とか。

明日同じ時間位に最後まで一気に掲載します。
では、 短いですが今回分です。



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〈 第7章. エピローグ~朝陽の中へ 〉


~十一日目 早朝


ーー特車二課棟 前道路


チュンチュンッ…チチチッ…

コケーッ!…


優花里 「…残念です。シゲ殿と篠原殿と、軍事関連のお話でもっと盛り上がるはずでしたのに…」

華 「私も、特車二課 第三回 大食い選手権で、淵山さんと太田さんを返り討ちにする予定でしたのに…」

そど子 「こんな中途半端なの気分が悪い!おかげで最後まであのイケ好かない淵山には文句言われるし…」

ゴモヨ 「山崎さんや進士さんに取り成してもらわなかったら…」

パゾ美 「今頃、どうなってたか…」




華 「麻子さんは、ずっと榊さんにすがって、泣き疲れて寝ていましたね…」

沙織 「麻子?もういい加減に泣き止みなよ…はい、ハンカチ」

麻子 「ぐずっ…ずびぃーむ」チーンッ

沙織 「うわあ…それは止めようよ、麻子…」

優花里 「沙織殿、まるで聖母のような悟りきった顔をされています…」

華 「モテ期と彼氏計画が、大きく音をたてて崩れ去りましたからね…」

優花里 「沙織殿は、誰かのオンリーワンでは無く、整備班員の皆さんの聖母(マザー)となったわけですね…」


華 「後は…みほさんだけなのですが…」


優花里 「西住殿…」


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ーー特車二課棟 正面入口前広場


後藤 「…アイツ等とは何か話をしたのか?」

みほ 「あはは…。五味岡さんと泉さんと熊耳さんとレイバー運用の話を」

後藤 「そっか」

みほ 「…もう、いいんですよ、ね?」

後藤 「ああ。アイツらが戻って来てくれたからな。お前さん達は見事任務を遂行したってわけだ」

みほ 「任務完了より…任期満了が良かったです。私も皆も、もっとたくさん教えて欲しかったし、試したいこともありました。でも…」

後藤 「分かってる。お前さん達の一番大事なことだもんな?逆に、何もしてやれなくてすまないと思ってるよ」

みほ 「そんな!…そんな事ない…ですっ…」




後藤 「…西住?この借りはいずれ、精神的に。」


みほ 「…ふふっ…何なんですか、それ…」

後藤 「約束を守るための呪文…まじないみたいなもんさ」


みほ 「…おまじない…?」


シゲ 「後藤さん?そろそろ…」

後藤 「ああ。…余談を許さない状況だろうが、お前さん達大洗戦車道チームがまた活躍できる日を楽しみにしてる」

みほ 「あ…」 キュッ…

後藤 「それじゃあな。うおい、今行く!」




みほ 「…っ… 」グッ…


華 「みほさん…」


みほ 「今まで…ありがとう、ございました…っ…」


優花里 「西住殿…」


みほ 「…皆、ごめんね?待たせちゃって…それじゃ、行こうか」 …ニコッ


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ーー大洗行特別バス車内


ブロロッ…ガタガタッ…


華 「それにしても、朝一で専用バスでの緊急招集だなんて…」

優花里 「何があったんですかね…」

そど子 「会長に何か動きがあったんでしょ?…多分だけど」

沙織 「…帰ってみないと解んないよ、そんなの…」


ゴモヨ 「急に捨てられたネコみたいな気分…」

パゾ美 「大洗にすぐ戻りたいような、戻りたくないような…」


みほ 「…麻子さん?もう泣かないで…」ナデナデ

麻子 「ぐずっ…~っ…」 コクンッ


みほ 「…」


ブロロッ…


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今回はここまでです。

昨日の>>380>>388宛、実際は>>379さん宛でした。すいませんでした。

>>388
ありがとうございました。何とか最後まで書ききる事が出来ました。

今日までありがとうございました。
とにかく眠いので、最後まで貼りきります。



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ーー大洗女子学園 臨時滞在地 校庭


カナカナカナ,カナ…カナ…


桃 「ふんぬーっ…んっ…うわあっ?!」


ドンガラガ!


桃 「…ううっ…?…あ…」グスッ…


杏 「…ただいま。」


桃 「…っ…ヒグッ…か、会長~っ?!」ウワーンッ


杏 「…」ヨシヨシ



・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ガカッ…ピンポンパンポ~ン♪


柚子 『…非常呼集、非常呼集。会長が帰還されました。戦車道受講者は、直ちに講堂へ集合。繰り返します…』


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ーー大洗女子学園 臨時滞在地 講堂


ワイワイ…ザワザワ…


桃 「グスッ…全員集まったな~っ?!」


カモサンチームガキテマセーン!


桃 「なにぃ~っ?!」

沙織 「…お、おぉ…どこ行くの?」

麻子 「遅刻を取り締まってくる」


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ーー大洗女子学園 臨時滞在地 飼育小屋


麻子 「…何してる?」


ゴモヨ 「…」ヤケキュウリポリポリ

パゾ美 「…」キュウリセンベツチュウ

そど子 「…関係無いでしょ…」

麻子 「…集合だ」

そど子 「いやだ」

麻子 「いいから来いっ…」

グイッ…バッ!

そど子 「何すんのよ離しなさいよっ!私たちの事なんか放っといて…っ」

麻子 「そど子がいないと風紀が乱れるだろっ!?」

そど子 「…っ!?」

麻子 「…それに、ちょっと淋しい」

そど子 「…私たちは、淋しくなんかないんだからぁっ!」グスッ…ワァンッ!

ゴモヨ 「…」グスッ…

パゾ美 「…」グスッ…


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ーー大洗女子学園 臨時滞在地 講堂


そど子 「…」グスッ…

ゴモヨ 「…」グスッ…

パゾ美 「…」グスッ…

沙織 「…はいっ…」ハンカチテワタシ

パゾ美 「…ちぃい~んっ!」ハナカミ

沙織 「それはやめてよ…」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


杏 「…みんな。試合が、決まった。」


ザワアッ!…シ,シアイ?


杏 「大学強化チームと、だ。」


ザワザワ…


優花里 「…?!」カオミアワセ

みほ 「…!」コクリ


杏 「大学強化チームとの試合に勝てば、今度こそ廃校は撤回される。…文科省局長から認証も取ってきた。戦車道連盟、大学戦車道連盟、高校戦車道連盟の承認ももらってきた」

桃 「~っ、さっすが会長~っ!」グスッ

柚子 「やっぱりちゃんと動いてくれてたんですねっ?!」




カッタラホントウニ,ハイコウテッカイナンデスネ?!


杏 「そうだ!…無理な戦いと言う事は分かっている。だが、必ず勝って、皆で大洗に…学園艦に帰ろうっ!」


ワァーーッ!!


華 「…頑張りましょう!?」

沙織 「おおーっ!」

そど子 「アンタも『おー!』とか言いなさいよっ!」

麻子 「…はいはい」フフッ

ゴモヨ 「おー!」

パゾ美 「おーっ!」


優花里 「…西住殿…」メクバセ

みほ 「…うん…っ!」…キッ!


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ーー大洗女子学園 臨時滞在地 生徒会室


桃 「…社会人を破ったチーム?!幾らなんでも無理ですよ?!」

杏 「無理は承知だよー?」

桃 「西住、どう思う?」

柚子 「相手は何輌出してくるのかも気になるわ…」

みほ 「こちらの八輌に対して…三十輌」


…ザワアッ…!


桃 「も、もうダメだっ!西住からも、勝つのは無理だと伝えてくれっ!」


みほ 「…確かに、今の状況では勝てません。ですが、この条件を取り付けるのも大変だったと思うんです」


桃 「…え?」

柚子 「…ええっ?」


みほ 「…普通は無理でも、戦車に通れない道はありません。戦車は火砕流の中にだって進むんです!困難な道ですが、勝てる手を考えましょう」

そど子 「はいっ!」


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ーー試合会場側 港 大洗チーム用ガレージ


みほ 「そ、そんな…高校戦車道での試合は、旗を持つ戦車を倒せば済む『フラッグ戦』が基本だったはずなのに…今回は『殲滅戦』なんですか?!」


…センメツセンッテ,ナンダッタッケー?

…アイテノシャリョウヲゼンブヤッツケタホウガカツンダヨ-


みほ 「あ、あのっ?!『30輌に対して8輌』で、その上突然『殲滅戦』ていうのは…」

文科省担当官 「予定されるプロリーグでは殲滅戦が基本ルールになっていますので、それに合わせて頂きたい」

みほ 「そ、そんな…」

文科省担当官 「もう、大会準備は殲滅戦で進めていますので。辞退するなら早めに申し出るように」


桃 「ううっ…」ガックリ


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ーー試合会場~現地視察中


リー,リー,リー,リー…

サァー…ーッ…


ザッ,ザッ…


みほ 「…」

杏 「…苦労かけるね?」

みほ 「…あ、いえ…」

杏 「…どうする?明日の試合…」

みほ 「え?」

杏 「辞退するという選択肢も…」

みほ 「それはありません!…退いたら、道は無くなります」

杏 「…うんっ。…厳しい戦いになるなぁ…」

みほ 「私たちの戦いは、いつもそうです。でも…」


沙織 「…み~ぽり~んっ!」

優花里 「…西住殿~っ!」

華 「ふふっ…来ちゃいましたっ」

麻子 「うん…皆で一緒に」


みほ 「…みんなが、いますから!」ニコッ


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~大洗 VS 大学選抜チーム 試合当日


ーー試合会場


サァー…ーッ…


ザッ,ザッ…


みほ 「…相手を山岳地帯に誘き寄せて、分散させて、各個撃破出来れば勝機は見えるはず。…でも相手は経験も実力も上。もしかすると、今度ばかりは…っ…」ブツブツ


ザッ…!


大学チーム主将 『……』

蝶野 「…ではこれより、大洗女子学園と大学選抜チームの試合を行いますっ。…礼っ…」

みほ 「…よろしくお願いっ」


キュララララ…ッ!


?? 『…待った~っ!!』ガピー





みほ 「?!…はっ…お、『お姉ちゃん』?」


スタッ…!


黒森峰主将 「…18名、試合に参戦する。大洗への短期転校の手続きは済ませてきた。戦車道連盟の許可も取り付けてある」

みほ 「…お姉ちゃん…ありがとうっ!」…パァッ!

黒森峰主将 「…」コクリ


ギュララララ…ッ!


サンダース主将 「私たちも転校してきたからっ!」


ガララララ…ッ!


プラウダ主将 「まっ、来たくて来た訳じゃ無いけどねっ?!」


ズズズズ…ッ!


グロリアーナ主将 「何で皆大洗の制服を着ているのかって?フフッ…皆、着てみたかったんだって」





グオオーッ…!


アンツィオ主将 「大洗諸君!ノリと勢いとパスタの国から、ドゥーチェ参戦だっ!」


ガロローッ…!


継続主将 「…風と一緒に流れてきたのさ…」…ポロ~ンッ♪


パパラパラパラッ…!


知波単主将 「お待たせしましたーっ!昨日の敵は今日の盟友っ!」


みほ 「…み、皆さん…っ…!」グスッ…

柚子 「わあっ…!」

桃 「こ、これは行けるかもっ!」


杏 「かつてのライバル校同志による…『大洗連合』の誕生だねっ!!」ニシシッ


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ーー試合会場 特設テント内


文科省担当官 「試合直前の選手の増員はルール違反じゃないのか?!」

蝶野 『異を唱えられるのは、相手チームだけです』

大学チーム主将 『…我々は構いません。受けて立ちます』


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ーー試合場 作戦立案所(テント内)


杏 「…それにしても、皆、よく欠員も無く無事に来れたねー?」

グロリアーナ主将 「フフッ…。戦車道連盟から『くれぐれも文科省には内密に』との事で、暗号による招集檄文で、皆さんに呼び掛けたんですの」

杏 「…確かに『戦車道連盟』の動きは、事前にほぼ全て『文科省』に察知されていると見て間違い無いよ。その証拠に

・約束反故から始まって、
・最強大学選抜への勝利を条件に、
・総当たりの殲滅戦の導入、
・こちらの準備期間を殆ど設けない、

…微に細に渡り、こちらの勝利に関係する条件は、ほぼ全て文科省に握り潰されている」

黒森峰主将 「…文科省は、試合開始までに何かしら我々にクレームをつけ『不正の疑い』の一言で足留め出来れば、目的は達成出来るからな」

サンダース主将 「イグザクトリィ(その通り)!で、試合が始まってから『こちらの勘違いでした。すいませーん』の一言で済ませる『簡単なお仕事』だものね?」




杏 「こっちの会場で差し止め食らう可能性もあったわけだけど、それは大丈夫だった?」

アンツィオ主将 「そこはほら、ちゃんとお巡りさんが交通整理と警備してくれてたから、さすがにねえ?」

継続主将 「…お陰で、ドア to ドアで直接、戦車道関係者とやり取りができた。会場についてから試合場までの案内はさすがにスムーズだったよ…」…ポロロ~ンッ♪

杏 「日本のお巡りさんは優秀だねえ?文科省といえど、さすがに警察の前じゃ無理無茶難題は吹っ掛けてこなかったかー。全くありがたい話だねえ…」




プラウダ主将 「発案者のグロリアーナは事前に用意できたでしょうけど、話聞いた後じゃこっちは時間無さすぎよ?!」

プラウダ副主将 「…でもさすがグロリアーナですね?何だかんだと言いながら、その『警察』から、警備と護衛を兼ねたルートを提案させるとは…」


グロリアーナ主将 「…ちょっと待って?こちらでは警察まで斡旋してないわよ。警察にまで文科省の息がかかってたらどうするつもりだったの?だから『各自ルートを確保するよう』お願いしていたのに…」

プラウダ副主将 「一応、私の方で裏をとりましたが、特に問題無さそうでしたので…」

黒森峰主将 「こちらも同様だ。あくまで、地域治安維持の一環として警察独自の判断に依るものだそうだが、正に渡りに舟。特に問題も無いようだから提案に乗せてもらった」

知波単主将 「私たちも同様でありましたっ!」





黒森峰主将 「しかし…いくら警察とはいえ、聞いた話をまとめただけでもかなりの規模になるのだが…。それら全てに対して、事前に交通整理や誘導、規制を行ったのか…」

グロリアーナ主将 「…ちょっと待って。もし戦車道連盟が本当に関係して無いのなら…」


杏 「して無いのなら?」


グロリアーナ主将 「…私からの暗号檄文を『盗聴』『翻訳』して、そこからルートを『事前予想』した上、文科省に足がつかないよう『秘密裏』に、それだけ『大規模』の『交通規制』を実現させたって言うの?!」


プラウダ主将 「…何それ超怖い?!」





みほ 「…怖くなんかない、よ?」ボソッ…


プラウダ副主将 「許可を出しておきながら、今更超怖いと言われましても…『厳つい体裁ながらきちんと』してましたし」

サンダース主将 「極めて『ジェントルマン(紳士的)』な対応だったわ!」

知波単主将 「『微に細に渡る気配り』が大変ありがたかったです!」

アンツィオ主将 「こっちは確かに戦力不足だけどさ?バイクと車一台ずつのみの先導って『的確』過ぎて逆に悲しくなったよ…」

黒森峰主将 「…隠密行動を良しとする中、少々『騒々しい』感じが気になったが…ま、さすが警察と言ったところかな」

継続主将 「『堅実かつ手堅い』フォローで、良い旅路だったよ…」 ポロ~ン♪


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ーー試合場 作戦立案所(テント)外


華 「あらあら…」マアマア


沙織 「やだ、もう」ハァッ…


麻子 「…こんな事するの、一人しかいないだろ」ヤレヤレ


優花里 「やはり、これは…」ニシシッ


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ーー試合場 作戦立案所(テント内)



…大洗復活のために俺も及ばずながら力になってやるから…



みほ 「ふふっ、うふふっ…」


杏 「やるねえ…さすが『カミソリ』…」


グロリアーナ主将 「…『超法規的措置』も甚だしいですわね?一体『何者』の仕業なのでしょう…。みほさん達には、何か心当たりがお有りなのかしら?」



みほ 「…はいっ。特車二課の『後藤隊長』ですっ! 」



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ーー試合場 臨時駐車場



バタバタバタ…ッ…!

ピピーッ,ピピーッ…


後藤 「…ああ、グロリアーナの暗号檄文の解析に時間がね…うんうん…なあに、大の良い大人が『各々』贔屓の戦車道チームのためにちょいと激を飛ばしただけさ…アンタも含めてな?…ああ。バカな話さ全く…色々悪かったね?それじゃ、また…」…カチャッ


南雲 「…松井さん?」

後藤 「ん?うん…どうやら全校、無事に合流できたようだな」


南雲 「これ…後藤さんお得意の『超法規的措置』ってやつ?」

後藤 「いえいえ。あくまでも、会場周辺地域の皆様のために、警察が自発的に行った『正義』の…いや『誠意の行為』ですよー?」

南雲 「どの口が言うんだか…」





後藤 「…この件は、大洗と一切関係が無い。あっちゃ、いけないのさ…」

南雲 「…ふうん?」


後藤「…第一、自分の言った事に責任も持てないような大人が、子供を虐めている姿は見るに耐えん。俺はそういうの、大嫌いだからね。」


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ーー試合会場 特設テント内



文科省担当官 「…ちっ!」 ガンッ!



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ーー試合会場


南雲 「…嘘つき…」ボソッ

後藤 「何か言った?」

南雲 「いいええ?別に何も」

後藤 「あ、そ。…それじゃ、行こうか。」

南雲 「…あら、いいの?後藤さんの恋人に会わなくても」

後藤 「…止めておくよ。俺に出来る事はもう何も無いし、下手に国家権力介入なんて話になったら、向こうも困っちゃうだろし…ね」

南雲 「何とまあ、お優しいことー…」




後藤「ふぅっ…(これからは大洗の一ファンに戻って応援するからな?お前さん達なら大丈夫…頑張れよ、西住)」


…この借りはいずれ、また。精神的に…


みほ「…ふふっ。(ありがとうございます、後藤隊長。私、頑張ります!…ちゃんと見てて下さいね?)」


優花里 「西住殿?全車輌、乗込み完了しました!」


みほ 「了解!…それでは皆さん、『パンツァー・フォー』!!」




おしまい。


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南雲 「…ところで後藤さん?西住さん達が危機に陥ったら、陸自の空挺レイバーに出動を要請するつもりだったって話は本当?」

後藤 「!…俺は反対したんだよ?!でも大洗の会長だがね…」


南雲 「…やっぱり『知ってて』黙ってたのね?」

後藤 「あ…」


南雲 「環生 (たまき)…不破さんからクレームがあったのよ!余計な入れ知恵をするんじゃないって!!普段任務のにの字も口にしない彼女がよ?!」

後藤 「アチャー…(そっち方面からバレたかあ…)。でもさ?知ってたら、絶対反対してたでしょ?」

南雲 「当たり前でしょ?第一、こういう時は事前に報告してって何度も何度も口が酸っぱくなる位に言ってたじゃないのっ!!」

後藤 「ごめんなさいっ!」

南雲「…大体おかしいと思ってたのよ?私だけ大阪で研修教員として居残りだなんて… 」

後藤 「はいはい」


南雲 「『はい』は一回で十分ですっ!」


後藤 「本当にごめんなさいっ!これこの通りっ!」


南雲 「知りませんっ!大体後藤さんはね…」


後藤 「はいはい…」




今度こそ本当に、おしまい。


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【次回嘘予告(90年代風)】


~♪(予告用音楽)


『予告ナレーション:西住みほ』


…大洗連合の活躍により、廃校の危機を免れた大洗女子学園。更にあんこう小隊の「特車二課 体験入隊」での活躍により、特車隊と戦車道の間では、異文化交流が率先して行われるようになりました。


『プラウダ小隊』


カチューシャ 「大っきい事は良い事よ?この私の器と心のようにね!そうよね、ノンナ?クラーラ?!」

クラーラ 「シトー?」

ノンナ 「はい。タイラント2000とクラブマン・ハイレッグ。カチューシャにぴったりです」




『グロリアーナ小隊』


ダージリン 「あら。それじゃあ私たちの器と心の大きさが隠しきれないわね?」

オレンジペコ「…むしろ逆なんじゃないですか?」

アッサム「データによりますと、クラブマン・ハイレッグとタイラント2000の戦闘力は、私たちのHAL-X10の十分の一以下とか…」

カチューシャ 「アンタ達?!HAL-X10は軍事用な上に試作品でしょうが?反則よ反則!!」


『継続小隊』


ミカ 「…戦車道に、レイバーなんて物が本当に必要なのかな?」

アキ 「全く必要ないよね?」

ミッコ 「うん。でもこのサターンは悪くないよ」





『黒森峰小隊』


エリカ 「た、隊長自らがレイバーに乗るなど…それに、この機体は経験データも少なく、危ないですよ?」

まほ 「…私がレイバーを動かして何が悪い。それにブロッケンはドイツに正式採用された名機だぞ?」


『サンダース小隊』


ナオミ 「ライアットガンの威力は最高だな…」

アリサ 「私キャリアなんて嫌ですよ?」

ケイ 「イングラムはニューヨーク市警でも採用されているのよ?ブルーのカラーリングが最高にクールね!」


『知波単小隊』


絹代 「これがヘルダイバーでありますか…レイバーとは、馬のような可愛らしいものでありますな?では、ウラヌス突貫!」

福田 「…ここは私がしっかりしないとダメであります!」




『アンツィオ小隊』


アンチョビ 「って何で私たちのだけブルドッグなんて言う既存の一般レイバーなんだーっ?!」

ペパロニ 「やだなあ姉さん。保険金払う予算が無いからに決まってるじゃないですかー」

カルパッチョ 「その代わり流石ベストセラー!豊富なパーツセレクト、乗り捨て可能・安価なレンタル料!」

アンチョビ 「私たちはパーフェクトソルジャーじゃ無いんだぞ?そんな装甲騎兵なのヤダーッ!」




そんな最中、新型レイバー用OS、通称「H.O.S.」に巧妙に仕組まれたウィルスによって、都内大小数百にも及ぶレイバーの暴走事故の危険性が発生します。その条件とは…レイバーの鋭敏なセンサーのみに反応する、風速40mで発生する超低周波の共鳴音!


シゲ 「そんな風が起こる事なんてそうそう有る訳…ア"ーッ?!」


台風の近づく中、巨大プラットホーム「方舟」に次ぐ危険区域として、周囲に高架線が多く、生産効率UPのため率先してH.O.S.を採用していた篠原重工 八王子の「巨大レイバー工場」の名が上がります。


後藤 「…第二小隊が『方舟』をぶっ壊してる間、関東圏内は完全に手薄だ。これは、異文化交流を率先して行って来てくれた戦車道履修者にしか頼めない」

みほ 「今度はレイバーによる…大洗連合再び、という訳ですね?」




誰も得をしない、名も無くリスクのみが残るこの戦いに、関東圏内約4,260万人に及ぶ一般市民の日常を守るため、戦車道の少女たちが今立ち上がります!


ノンナ 「…100台以上ものレイバーを相手取るだけでも苦労すると言うのに…」

ダージリン 「企業秘密として隠匿されている機体が有るとは思っていましたが…」

まほ 「まさか、検証中のHAL-X10とプロトタイプ零式 二機…」

ケイ 「…それに、H.O.S.搭載型のAV-98イングラム三機までが出てくるなんてね?」





ピキューイン…コココッ

バシャッ!…ギュイイーンッ!


アンチョビ 「…ごっ"ぢ見"でる"ぞ~っ?!」

ミカ 「この戦いに意味があるとは思えない…」ポロ~ン♪

カチューシャ 「ハッ?あんなのコテンパンにしてピロシキの中のお総菜にしてあげるわ!」

絹代 「では取り合えず突貫と言う事でよろしいですねっ?!」ワクワク




関係各位のご協力により、私たち「あんこう小隊」も、奇跡の復活を遂げることに!


華 「久しぶりですね?あんこう二号…」

麻子 「一号も…ん?おじい、これ…」

榊 「フッ…気が付いたかい嬢ちゃん?こいつぁな、80%の部品をイングラムの物に置き換えた『ドーファン改 イングラム仕様』よ!」

優花里 「ま、マッドエンジニア…うちのⅣ号みたいな魔改造ですう」

沙織 「…もう何がなんだか分かんない」



そして…





愛里寿 「…黒い『この子』なら、私一人でもみほさんの助けになる?」


グォォーンッ…

モウマクニンショウシュウリョウ.
アシュラ…キドウ.

シュイイイン…ギンッ!


髭ノオッチャン 「なるなる~!私は君のシンパだ。お嬢ちゃんとこの『グリフォン』なら、最早無敵だよ?」


次回『大洗連合の二番目に長い日』に…


ターゲット・ロック・オン…じゃなかった、パンツァー・フォーッ!!



(※近日公開未定。期待しないで下さい!)


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これにて完結となります。

エンディング1は「ガルパン風」ですが、「TV版パト風」のエンディング2&嘘予告は急遽デッチ上げました。

まだSSを書き始めて間もない事もあり、稚拙な表現や誤植含め、多々読み辛い点があったかと思いますが、長い間 お付き合い頂き、誠にありがとうございました。

・優花里「戦車ぼっち」

今まで書いた数少ないSS中、唯一のガルパン物となります。機会がありましたら御一読頂けると幸いです。

今日はもう眠いので、明日申請を出してきます。重々、皆様ありがとうございました!

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