希「クイズ!100のコト優勝記念」 (97)

前回、クイズ!理事長の100のコトで優勝した矢澤にこ。理事長に優勝の記念に貰った箱根の旅館の券で優勝記念旅行に行くことに

クイズ!理事長の100のコト
希「理事長の100のコト」 - SSまとめ速報
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にこ「…どうなってるの?」

絵里「どうしたの、にこ?」

にこ「こないだのクイズで優勝して理事長に箱根旅行券貰って家族で行こうと思ったのに…」

希「今日はスクールアイドル活動の一環としてリポーターとしてにこっちに旅行に言ってもらおうと思ったんよ。今時のアイドルならレポーターも出来なきゃあかんよ?」

にこ「で、どうして私達3人で行くってわけ?絵里が行ったら優勝を競った意味がないじゃない」

希「一人だとつまらないやん?」

絵里「そうよ。三人で旅行だと思えば楽しいじゃない」

にこ「まあ、そうだけど…」

希「あ、ウチは一緒には行かないよ?」

絵里「え?」

にこ「どういう事?」

希「二人で行ってきてください」

にこ「何よそれ」

希「はい、えりち。カメラでちゃんと撮ってきてね」

絵里「私カメラ役?」

希「そうやね。それじゃあ、楽しんで来てね」

にこ「希…わざわざこれを言う為だけに小田原まで来たのかしら…」

絵里「さあ」



絵里「…さて、せっかくだし気を取り直して行きましょう」

にこ「そうね。私達の後ろの方でカメラを握ってる連中が気になるけど」

絵里「あれって穂乃果のクラスメイトの…」

にこ「そうね。…希の差し金よ、きっと」

絵里「なるほど」

にこ「まあ、とりあえずリポートしてこいと言われたからやりますか」

絵里「そうね。それじゃあ…」

にこ「え~、今にこ達は小田原駅に来ています~。これから、箱根の旅館に向かうつもりだけど…チェックインが15時じゃない」

絵里「まだ、9時よ?」

にこ「どうするの?とりあえず小田原を観光する?」

絵里「そうねぇ。せっかくだし」

ピンポーン

にこ「ん?」

希:小田原城に向かって下さい

にこ「なんか指示が…」

絵里「私達が自由に観光出来る訳じゃないの?」

にこ「まあ、これはこれで助かるけど…」

絵里「小田原城は…どうやって行けば良いのかしら?」

にこ「とりあえず地図を探しに行きましょう」

絵里「あの、すいません。小田原城の行き方って教えて頂けませんか?」

にこ「…人の話しを聞いてないし」

絵里「にこ、東口を降りて南側に進むんですって」

にこ「そう」

絵里「どうしたの?」

にこ「いや、絵里ってどこでも生きていけそうだな~って思ったの」

絵里「いやねぇ、褒めても何も出ないわよ」

にこ「そうですか」

絵里「はい、飴食べる?」

にこ「出てくるじゃない」



絵里「さて、南側に進むと行っても…」

にこ「待ってよ。あそに地図があるじゃない」

絵里「あ、ほんとね」

にこ「一応確認しときましょうよ」

絵里「そうね」

にこ「ん~」

絵里「えっと私達がいるのがここだから…えっと…右に行って…あれ?…えっと私達がここにいるのよね?」

にこ「絵里は地図が全然読めないのね」

絵里「女性の脳ってね地図を把握しにくいんですって」

にこ「私は分かったわよ」

絵里「じゃあ、にこは男なのかも」

にこ「なんでよっ、!」

にこ「それにしても、小田原って結構人が少ないわね」

絵里「そうねぇ…あっ!お城が見えるわ」

にこ「ほんとね」

絵里「町から少し歩いただけでお城が見えるなんて良いわね。富士山も良く見えるし」

にこ「そうね。どこを見ても山があるわね。東京じゃあり得ないわよね」

絵里「なんて話しているうちに小田原城についてたわね」

にこ「この坂を上がって行くと公園があるみたいだけど」

絵里「城址公園って書いてあるわね」

海未「御二人とも」

にこ「え?」

絵里「海未?どうして?」





海未「海未?はて?誰の事でしょうか?」

にこ「あんた意外に誰がいるのよ」

海未「私は海未等と言う名前ではありません。私の名は小田原城の城主である北条早雲です」

にこ「…何これ?」

絵里「海未…甲冑まで来てノリノリね。北条早雲って男でしょう?」

海未「今日は私が小田原城を案内してあげましょう」

にこ「そのくせ口調は変えないのね」

絵里「これも希の仕業ね」

海未「さあ、行きましょう」

にこ「今回の旅は疲れそうね」

海未「さあ、こちらが小田原城址公園です」

絵里「公園の中にお城が建ってるのね」

にこ「なんか、猿がいるんだけど」

海未「昔は象やライオン、熊なども居たらしいのですが現在は猿と雀くらいしか居ませんね」

にこ「雀は飼ってるわけじゃないでしょう」

海未「さあ、あれが我が城小田原城です」

絵里「…思ったより小さいわね」

海未「仕方ありません。この小田原城は本物ではありませんから」

にこ「そうなの?」

海未「当時の小田原城はもっと大きかったのですが」

絵里「へ~」

海未「この小田原城はですね戦国時代には難攻不落の鉄壁の城として武田信玄や上杉謙信の攻撃にも耐えたのですが自然の力には敵わず何度かの震災によって崩落してしまったのです」

絵里「そうなのね」

にこ「普通に勉強になるわね」

穂乃果「北条ー!」

ガシッ

絵里「え?え?何?穂乃果?」

海未「何奴?」

にこ「何が始まったのよ?」

穂乃果「ふふん。ここで合ったが百年目。その、命頂戴するぜ」

絵里「ちょ、穂乃果?離して」

穂乃果「人質の命かま惜しくば私と決闘を」

海未「おのれ…上杉謙信…」

穂乃果「えっ?海未ちゃん?違うよ?穂乃果は武田信玄だよ?」

海未「上杉謙信…良いでしょう。その決闘、受けてたちます」

穂乃果「あれ?海未ちゃん打ち合わせちゃんとした?穂乃果そのなんとかけんしんって知らないよ?」

絵里「…何なの」

にこ「寸劇をしようとしてるのは分かるけグダグダじゃない」

海未「刀を抜きなさい。上杉謙信」

穂乃果「役に成りきってて聞こえてないよ~。どうしよう?なんとか謙信に成りきるしか」







海未「さあ、来なさい」

穂乃果「仕方ないね…拙者は流浪人…ただ流れるでござるよ」

にこ「…」

絵里「…」

海未「行きますよ!てりゃー」

穂乃果「え?うわっ!?ちょっと待って?じゃない、待つでござるよ」

海未「たー」

穂乃果「ちょっと、本気過ぎるって…たぁー天翔龍…」

海未「てやっ」

カキーン

穂乃果「あっ、刀が」

海未「上杉謙信…覚悟…」

穂乃果「か、勘弁してよー」ダッ

海未「武士とあろうものが敵に背を見せるとは…待ちなさい」ダッ

絵里「…行っちゃったわね」

にこ「…何だったのよ」

ピンポーン

絵里「にこ…携帯なったわよ?」

にこ「…うん」

希:早川港に行ってお昼を食べて下さい

にこ「ですって」

絵里「早川港ってどこ?」

にこ「…さあ?」

絵里「とりあえず駅に戻りましょうか?」

にこ「…まだ10時半なのにね」

…………

絵里「なるほど。この電車に乗って行けば早川駅に行けるのね」

にこ「にこは小田原駅周辺でも良かったんだけど」

絵里「そうね」

にこ「とりあえず行きましょうか?」

~早川港~

にこ「魚の臭いが凄いわね」

絵里「漁港だからね」

ピンポーン

希:食レポをして来て下さい

絵里「食レポって」

にこ「とりあえず美味しそうなお店を探しましょう」

絵里「あの、すいません」

にこ「また、勝手に…」

漁港の人A「どうした?」

絵里「ここら辺で美味しいお店ってあります?」

漁港の人A「何?お姉ちゃん芸能人?随分と綺麗だけど?」

絵里「え?そうですか?」

漁港の人A「なぁ?綺麗だべ?」

漁港の人B「そうだな。美人さんだな」

絵里「ありがとうございます」

漁港の人A「あそこの○○って店は美味いよな?」

漁港の人B「そうだなぁ。この早川の漁港で取れた魚を出してくれるよ」

絵里「本当ですか?美味しそうですね」

漁港の人A「おう。是非行ってみな」

絵里「ありがとうございます」

にこ「ありがとうございます」

漁港の人B「おう。じゃあな。妹ちゃんも」

にこ「…」

絵里「それでは…」

漁港の人A「似てない姉妹だな」

漁港の人B「そうだな」


絵里「妹ちゃんだって」

にこ「うるさいわよ」

絵里「ふふっ」

にこ「あんたのコミュニケーション能力凄いわね」

絵里「美人は得なのよ」

にこ「ふん。生徒会長の時が嘘みたいね」

絵里「それは言わないでよ」

絵里「ここのお店じゃない?」

にこ「そうね…なんか地元のお店って感じで…」

絵里「ごめんくださーい」

にこ「なんか絵里が物凄く頼りになるわ」

店員「はーい」

絵里「あの、二人入りたいんですけど…大丈夫ですか?」

店員「あ~ウチは12時からなんだけど」

絵里「え?…まだ11時半かぁ」

にこ「仕方ないわよ」

店員「どこから来たの?」

絵里「東京からですけど」

店員「あらまあ。東京からわざわざ来てくれたの?…あんた、どうする?ちょっと早いけどお店開けようか?」

店主「あ~俺は構わんぞ」

店員「主人が良いって言うから食べて行きな?」

絵里「良いんですか?」

にこ「ありがとうございます」

店員「金髪のお嬢ちゃんは高校生?」

絵里「あっ、絵里って言います。はい。東京の高校でスクールアイドルをやっていて」

店員「アイドルなの?どうりで美人だと思ったわ」

絵里「そんな…美人なんて…たまに言われるんですけど…」

にこ「あんたは素直ね」

店員「素直が一番よ。あなたもとっても可愛らしいけど…妹さん?中学生かな?」

にこ「言え…絵里の同級生です」

店員「あっ…あ~そうなの?若く見えちゃって…おばさんももう歳ね」

絵里「そんな事ないですよ」

店員「あらそう?」

絵里「はい!」

店員「あらもう、上手なんだから~。あっ、そうだ。小田原はねアジが美味しいんだけどアジのたたきをサービスしちゃおうかしら」

絵里「そんな…悪いですよ」

店員「何いってるの。若い子が遠慮する事ないの」

絵里「じゃあ、お言葉に甘えて…」

店員「そうしなさい」

絵里「はい。では、それとアジフライ定食を」

にこ「私も」

絵里「二つで」

店員「はい!かしこまりました!」




にこ「…あんた凄いわね」

絵里「普通に会話してるだけよ」

にこ「あの話し掛けにくかった絵里はどこにいってしまったのかしら」

絵里「そんな。今も昔もそこまで変わらないわよ」

にこ「…いや…色々な面で別人よ?…本来がそう言う性格なのかも知れないけど」

店員「はい!アジフライ定食とアジのたたき」

絵里「わあ~美味しいそう」

にこ「本当ね」

店員「おじちゃんのアジフライは凄く美味しいからね」

店主「当たり前だ」

絵里「いただきま~す。ハラショー!凄く美味しい!」

店員「ハラショー?どこの言葉?」

絵里「あっ、祖母がロシア人なんです」

店員「あ~どおりで金髪なわけだ」

絵里「そうなんです」

にこ「いただきます。…凄く美味しい!えっと…この口に入れた瞬間に…えっと」

店員「難しい事を言わなくても良いのよ。若い子の美味しいの一言が私達は嬉しいんだから」

絵里「とっても美味しいです」

にこ「うん。とっても美味しい」

店員「ありがとう」


絵里「ごちそうさまでした~」

にこ「凄く美味しかったです」

店員「は~い。また来てね」

絵里「はい。今度はスクールアイドルの仲間と皆で来ます!」

店員「それは楽しみね」

絵里「では」



絵里「親切な人達で良かったわね」

にこ「そうね。カメラで撮影するのも許可してくれたしね」

ピンポーン

希:箱根湯本駅まで移動してください

絵里「箱根湯本駅?」

にこ「一度小田原に戻らなきゃダメね」

絵里「また?」

~小田原駅~

絵里「小田急線と大雄山線?…どっちかしら?」

にこ「箱根登山線と言うのがあるみたいだけど…」

絵里「どこかしら?」

にこ「ちょっと待ってて」

絵里「あ、私駅員さんに聞いてくるわ」

にこ「…うん。よろしく」

絵里「なんか小田急のホームと同じみたいね」

にこ「あっ、そうなの?」

絵里「ええ。とにかく切符を買って行きましょうか?」

にこ「あっ、にこはパスモだから」

絵里「私もそうよ?」

にこ「知ってる」

絵里「切符を買う必要ないわね!」

にこ「そうね」

絵里「じゃあ、箱根湯本駅まで行きましょう?」

ガタンゴトン

にこ「それにしても小田原ってあれね?本当に神奈川県なのかしら?」

絵里「どうして?」

にこ「神奈川って言うとどうも都会のイメージが…」

絵里「まあ…そうね」

にこ「まあ、この小田原はどっちかって言うと静岡よりみたいだしね」

絵里「…そうね」

にこ「それにしても、小田原城と早川港しかいけなかったけど…他に何があるのかしら?」

絵里「…えっと…足柄峠?…小田原の近くに金太郎の故郷があるみたいだけど」

にこ「え?金太郎って実在したの?」

絵里「さあ?物語の舞台になったとかそんな感じじゃないかしら?」

にこ「あ~なるほどね」

絵里「浦島太郎や桃太郎と同じよ」

にこ「そうね」

次は~箱根湯本~箱根湯本です。お出口は左側です~Next stop is Hakoneyumoto

絵里「さあ、着いたわよ」

にこ「行きましょうか」

絵里「わあ、なんか凄いわね。お店がいっぱい並んでるわ」

にこ「そうね。温泉街って感じよね」

花陽「絵里ちゃ~ん。にこちゃ~ん。」

絵里「え?花陽?」

にこ「…また、希の差し金ね」

花陽「はあ…はあ…はあ」

絵里「走って来なくても」

花陽「あの…これから私が案内を…します」

絵里「あ…そうなの?」

花陽「箱根湯本で降りて貰ったんだけど泊まる所はもうちょっと上なの。だからタクシーで」

絵里「電車で行けば…」

花陽「電車だと…ちょっと…」

にこ「ねえ?箱根湯本の旅館に泊まるのよね?」

花陽「…アハハ」

絵里「笑って誤魔化したわよ」

花陽「さあ、タクシーに乗りましょう。ここからが本番です」

にこ「ねえ、花陽?どんどん山の中に入って行くけど?」

絵里「ち、ちょっと大丈夫なの?高級旅館って聞いてたけど…こんな山奥にあるの?」

花陽「理事長から貰った券はね…箱根の旅館組合に登録されてる旅館ならどこでも泊まれるの」

にこ「そ、そうなの?」

花陽「だから希ちゃんがとっておきの旅館を手配してくれたから」

絵里「安心していいのね?」

花陽「………もう着くよ?」

………

絵里「あ、あの…とても…」

にこ「そうね…雰囲気があるわね」

絵里「わ、私こんな所に泊まるなんて…」

にこ「ねえ?私達以外にお客さんいるの?」

花陽「今日は二人以外は居ないよ?」

絵里「え?どうして?」

花陽「…………人間お客さんはね」

絵里「どどどどどういう事?」

にこ「は、花陽?…早くタクシーから降りなさいよ」

花陽「じゃあ、私はこれで」

ブーン

にこ「…置いていかれちゃった」

絵里「………無理よ、無理よ無理よ。こんなお化けが出そうな所に一泊なんて無理よ」

にこ「そんな事言っても」

絵里「無理よ。私…無理よ。……うわーん。もうお家帰る」

にこ「ち、ちょっとしっかりしてよ」

女将「…いらっしゃませ」

絵里「ひいっ」ビクッ

にこ「ど、どうも」

女将「ようこそお越しくださいました」

にこ「い、いえ」

女将「東京から遠かったでしょう?すぐ部屋に案内しますね?」

にこ「お、お願いします」

絵里「に、にこぉ…い、行くの?」

にこ「仕方ないでしょ?」

絵里「そ、そんなぁ」

にこ「さっきまでの頼りになるあんたはどこ行ったのよ」

絵里「そんなもの遥か彼方に置いて来たわよ」

にこ「はぁ」

絵里「ため息つかないでよ」

女将「さあ…こちらです」

ギイギイ

絵里「えね、廊下を歩く度に軋む音が聞こえるんだけど」

にこ「だからなによ」

絵里「冷たくしないでよ。お願いだから」

にこ「はいはい」

女将「…」

絵里「ねえ?にこ?何か話して?」

にこ「あーー」

絵里「そう言うんじゃなくて」

にこ「めんどくさいわね」

女将「ここです」

ー丑三つ時の間ー

にこ「嫌な感じの部屋の名前ね」

絵里「嫌よ。私絶対嫌よ」

にこ「じゃあ野宿でもするの?」

絵里「もっと嫌よ」

女将「何かありましたらまた来ますので…ごゆっくり」

絵里「ゆっくりなんか出来ないわよ」

にこ「怖がりすぎでしょう」

にこ「とりあえず荷物を置いてゆっくりしましょうよ。部屋は何だかんだ言っても良いところじゃない」

絵里「そうだけど…キャァァァァ」

にこ「な、何よ?」ビクッ

絵里「かかけ、かけ、か、かけきく」

にこ「何言ってるか分からないわよ」

絵里「かけじくが怖い」

にこ「…妖怪の絵。たかだか絵じゃない」

絵里「そうだけどぉ」

にこ「…先が思いやられるんだけど」



にこ「とりあえずお茶飲む?」

絵里「トイレに行きたい」

にこ「…行ってきなさい」

絵里「一人で行けないわ」

にこ「何を偉そうに言ってるのよ」

絵里「自慢じゃないけど普段も夜中は亜里沙に付き合うふりをして一緒にトイレに行ってるのよ?そんな私が一人でトイレに行けると思う?」

にこ「…他のメンバーには見せられない姿ね。普段のおっちょこちょいなんか比じゃないわ」

絵里「何でもいいから一緒にトイレに言ってよ」

にこ「分かったから大きな声を出さないで」

ギイギイ

絵里「何で部屋にトイレがないのよ」

にこ「知らないわよ。服が伸びるからあんまり引っ張らないで」

絵里「私と服とどっちが大事なの?」

にこ「服よ!」

絵里「…そんな」

にこ「ほら、トイレについたわよ?行って来なさいよ」

絵里「絶対に待っててよ?」

にこ「分かったから。外で待ってるから」

絵里「中に来てくれないの?」

にこ「嫌よ」

絵里「個室にってわけじゃないわよ?同じ空間にって事よ?」

にこ「わかってるわよ」

絵里「じゃあ、来てよ」

にこ「嫌よ」

絵里「じゃあ、せめてここに居てよ?絶対よ?もし置いて戻ったら」

にこ「戻ったら何よ?」

絵里「年甲斐もなくお漏らしして大泣きするわよ?」

にこ「やめて。それだけはやめて」

絵里「本当に待っててね?」

にこ「わかったって」

絵里「じゃあ、行ってきます」

にこ「はあ…恐怖ってここまで人を変えるのね」

キャァァァァ

にこ「な、何?」ビクッ

ダッダッダッ

絵里「助けてぇぇぇぇ」

にこ「な、どうしたのよ?」

絵里「中に…中に女の人が…」

にこ「はあ?」

絵里「女の人が…怖い女の人が」

にこ「何を言ってるのよ」

絵里「お願い。中まで一緒に来てよ」

にこ「私だって別に怖いのが得意ってわけじゃ…」

絵里「ねえ?本当に漏らすわよ?」

にこ「わかった。わかったわよ」



絵里「ねえ?にこが先に行って?」

にこ「…うん」

そろ~り

髪の長い女「…」ギロッ

にこ「キャァァ」

絵里「キャァァァァ」

にこ「ちょ、ちょっと」

絵里「キャァァァァ」

にこ「な、び、びっくりした」

髪の長い女「…」ジロッ

絵里「キャァァァァ」

にこ「も、もう。こういう仕掛けをしてくるのね」

絵里「仕掛け人?」

にこ「そうよ。仕掛け人の人だから、ね?人間だから。早く済ませて来なさい」

絵里「ねえ、ドア少し開けてるから手を繋いでて」

にこ「絶対に嫌だ」

絵里「そんな。怖くてドア閉められないわ」

にこ「あんたねぇ…がっかりにもほどがあるわよ?」

絵里「怖いんだもん。仕方ないでしょ」

にこ「待ってるから。ドアの前で待ってるから」

バタン

絵里「ねえ?居る?」

にこ「いるわよ。音消しなさいよ?」

絵里「わ、分かってるわよ」

にこ「……」

髪の長い女「……」ジロ

にこ「…どうも」

髪の長い女「……にこちゃん」ボソッ

にこ「え?」

髪の長い女「ことりだよ」ボソッ

にこ「ことり?」

絵里「にこ?誰と話してるの?」

にこ「独り言よ」

ことり「…全部見なかった事にするね?」

にこ「そうしてあげて?」

ジャー

ガチャ

ことり「…」ジロッ

絵里「キャァァァァ」

にこ「学習しなさいよ」

絵里「…だだだだだって」

にこ「戻りましょう」

絵里「ねえ。手を繋いでてよ」

にこ「分かったわよ」

ことり「バイバイ」

絵里「え?何?今の何?」

にこ「何でもないから戻るわよ」

PM17:00

にこ「絵里…いつまで怖がってるのよ?」

絵里「だって…」

にこ「もう二時間くらいいるんだから慣れなさいよ」

絵里「怖いものは怖いのよ」

ガララ

絵里「キャァァァァ」

にこ「キャァァァァ」

絵里「キャァァァァ」

女将「お風呂の用意が出来ました」

にこ「ちょっと…絵里…悲鳴あげないでよ…こっちまでびっくりするじゃない」

絵里「だって急に襖をあけるから…」

女将「18時半ごろ夕食となりますのでお早めにお入りください」

にこ「…はい」

ギイギイギイ

にこ「…廊下に蜘蛛の巣が張ってるってどういう事よ」

ギイギイギイ

絵里「ねえ、歩くの速いわよ」

ギイギイギイ

にこ「廊下も一人で歩けないってどういう事よ」

絵里「だって暗いじゃない」

ガララ

にこ「あら?お風呂は結構綺麗じゃない」

絵里「…本当ね」

にこ「変な感じじゃなくて良かったわ」

絵里「そうね」

にこ「…急に元気になったわね」

絵里「まあね」

バシャーン

絵里「キャァァァァ」

にこ「え?何?」

凛「にゃぁぁぁぁぁ」

絵里「キャァァァァ」

にこ「え?凛?」

凛「はあ、はあ、はあ…絵里ちゃんが中々入って来ないから死ぬかと思ったにゃ」

にこ「ずっと湯槽の中に潜ってたの?」

凛「そうだよ」

絵里「…………」

凛「あれ?絵里ちゃんそこまで驚いてない?」

にこ「びっくりし過ぎて言葉が出ないのよ」

絵里「…………」

凛「本当に怖い時って涙も出ないんだね」

にこ「そうね」

凛「じゃあ、凛はこれで」

にこ「これだけの為に?」

凛「うん。じゃ!」

ガララ

絵里「もう嫌…唯一リラックス出来ると思ったのに…」

にこ「もう凛も行ったから」

絵里「安心出来ないわよ」

にこ「はあ…もう嫌は私の台詞よ」



にこ「さあ、出ましょうか」

絵里「…はい」

にこ「…元気出しなさいよ」

ガララ

凛「ばあ」

絵里「キャァァァァ」

にこ「キャア」

凛「大成功にゃー」ダッ

にこ「び、びっくりしたぁ」

絵里「…える」

にこ「え?」

絵里「お家に帰る」

にこ「…」

絵里「もう無理。お家に帰る」

にこ「…絵里ちゃん…とりあえずお着替えしてお部屋に戻りましょう?」

絵里「…ぐすん」



にこ「ほら、絵里。お茶を淹れたから飲みなさいよ」

絵里「…ありがとう」

にこ「…まあ…明日までの辛抱よ?」

絵里「…誰にも言わないで?」

にこ「え?」

絵里「今日の事誰にも言わないでね?」

にこ「まあ…もう凛には知られてるけど…」

絵里「私のイメージが変わってしまうわ」

にこ「…そうね。今までの比じゃないくらいイメージが変わったわね」

絵里「これからどんな顔してダンスを踊ればいいのよ」

にこ「別にそれはいつも通りで…」

ガララ

絵里「キャァァ」

にこ「うわっ」ビクッ

女将「…お食事の用意が出来ましたので宴会場までお越しください」

絵里「え、宴会場?」

にこ「とにかく行きましょう」

ポツーン

にこ「こんな広い宴会場に二人って…」

絵里「な、何もないわよね?」

にこ「大丈夫よ」

絵里「ほ、本当に?」

ガララ

絵里「キャァァ」

にこ「もう、いちいち襖が開く度に悲鳴をあげないでくれない?」

絵里「だ、だって」

女将「カラオケがありますのでどうぞ歌ってくださいまし」

にこ「こんな広い宴会場で二人でカラオケするの?」

絵里「にこ…明るい歌を歌って。元気になる歌を」

トゥトゥトゥートゥトゥトゥトゥトゥトゥトゥトゥートゥトゥ

にこ「え?何?」

ことり「かしこーい可愛いエリーチカ。チョコレート食べよとしているが、それーはおもちゃ!それーはおもちゃ!おもちゃと間違える~!ポンコツえりち!ポンコツえりち!ポンコツエリーチカ~」

凛「クールに決めてるエリーチカ~スクールアイドル始めたら職員室でからかわれてお家に帰るチカ~。ポンコツえりち!ポンコツえりち!ポンコツエリーチカ~」

真姫「ロシアの血を引くエリーチカ~ロシアの言葉が堪能だ~何かあると必ず言う言葉はハラショーだ~。ハラショーえりち!ハラショーえりち!ハラショーエリーチカ~」

ことり、凛、真姫「明日があるさ~明日がある~可愛い絵里には夢がある~いつか~きっと~いつか~きっと~賢くなれるだろ~明日がある明日がある明日があるさ~」

ことり「ありがとうございました」

にこ「………なんだったの?」

絵里「…少し怖いのが治まったわ」

にこ「今ので?」

絵里「ええ」

にこ「まあ、いいけど」

絵里「早く食べましょう」

ギイギイギイ

にこ「ふぅ~料理は美味しかったわね」

絵里「にこ…だから歩くの速いわよ」

にこ「元気になったんじゃないの?」

絵里「無理よ。この廊下暗いんだから」

凛「………」ポツーン

絵里「キャァァァァ。何かいるわぁぁぁぁ」

にこ「キャァァァァ…って凛じゃない」

凛「凛ちゃんと言えば~?」

絵里「キャァァァァ」

にこ「落ち着きなさい。凛よ」

絵里「え?また凛?」

凛「大成功にゃ~」

…………

にこ「はあ、全く。絵里のおかげで廊下を歩くだけで疲れるわ」

絵里「だって…」

にこ「少しだけ横になるわね?」

絵里「私を一人にする気?」

にこ「ここに居るわよ。少し寝るだけだから」

絵里「精神的に一人にする気じゃない」

にこ「ここで寝るんだから大丈夫でしょ?」

絵里「無理よ。誰かと会話してないと怖いもの。あの掛け軸の絵がずっと私を見てくるのよ?」

にこ「気のせいよ」

バタン

穂乃果「わぁぁぁぁぁ」

絵里「キャァァァァ」

にこ「キャァァァァ」

穂乃果「イエーイ!引っ掛かった!」

絵里「ひ、ひ、ひどい…」

にこ「ビックりしたじゃない」

穂乃果「びっくりした?我慢して押し入れに入ってた甲斐があったよ」

バタン

海未「わぁぁぁ」

絵里「キャァァァァ」

にこ「キャァァァ」

穂乃果「キャァァァァ」

海未「大成功です」

絵里「もういや」

にこ「う、海未…まで」

穂乃果「びっくりしたなぁ」

海未「なぜ穂乃果まで驚いているのです」

穂乃果「普通に驚くよ」

にこ「で?これをする為だけに来たの?」

海未「まさか」

穂乃果「二人が退屈してないかと思ってさ」

にこ「絵里のおかげで退屈はしてないわよ」

絵里「もう…いやなの」

穂乃果「あ~…絵里ちゃんはこういうの苦手なんだね」

絵里「仕方ないでしょ…怖いものは怖いのよ」

ガタン

絵里「キャァァァァ」

穂乃果「ウワァァァァァ」

にこ「だぁぁぁぁぁ」

海未「掛け軸が落ちたのですね?」

絵里「なんで?なんで勝手に落ちるの?」

穂乃果「…はあ、驚いた」

にこ「あんたは仕掛け人の方でしょ?」

穂乃果「だって絵里ちゃんが急に悲鳴をあげるから」

にこ「そうなのよ…急に悲鳴をあげるからこっちまで驚いちゃうのよ」

絵里「だって…もう…本当に帰りたい」

穂乃果「はあ…で?どう?今回の旅行は楽しい?」

絵里「途中までは楽しかったわよ」

海未「よっぽど怖いのですね」

にこ「そうなのよ」

海未「絵里?私が来たからもう大丈夫ですよ?安心してください」

絵里「海未ぃぃぃぃぃぃ」

にこ「もう、どっちが年上か分からないわね」

穂乃果「レアな光景だねぇ」

にこ「そう言えば昼間のあれは何だったのよ?」

海未「…昼間?」

にこ「何をとぼけているのよ」

海未「あなた達が昼間出会ったのは私ではなく北条早雲でしょう?」

にこ「まだそこまで聞いてないんだけど」


穂乃果「とりあえず暇潰しに面白い話を持ってきたよ!」

絵里「…面白い話?」

にこ「何よ?」

海未「私から良いでしょうか?」

海未「これは…私がまだ中学生になったばかり時のお話しです。あの夜は父も母も出掛けていて家には私一人だったのですが私も約束があったので家を出ようとしたのです。ちょうどその時家の電話がなったので出たのですが…

はい、園田です。

もしもし、僕ごろう。

おそらく4、5 歳の子供の声でした。

今からいくからね

ごろう?誰でしょう?私はごろうと言う名前に聞き覚えがありませんでした。

あの…どちら様でしょうか?

僕ごろう。今からいくからね

あの、どちらにお掛けですか?

○○の園田さん家でしょう?

確かに私の家の住所は○○でしたから間違え電話と言うわけではありません。
もしかしたら、母や父の知り合いなのかも知れません。

ごろう君?今は私以外に家に誰も居ないのですが…

今からいくからね

あの、私ももう家を出てしまうので…

今から………いくからね

私は気味が悪くなり電話を切り逃げるように家を出ました。早くしないとごろう君が来てしまうような気がして…

後日親にこの話をしたのですがごろう君等と言う子供は知り合いにいないとの事でした」

絵里「ななななな何なのよ?面白い話じゃなかったの?」

にこ「思いっきり嫌がらせじゃない」

穂乃果「気味の悪い話だね」

海未「ふふっ、満足して頂けました?」

絵里「う、海未ぃ~」

ドンドンドンドン

絵里「イヤァァァァァ」

にこ「キャァァァァ」

穂乃果「ワァァァァァ」

海未「キャァァ」

………

にこ「…びっくりした…誰よ…ドアを…」

海未「不意に来るとびっくりしますね」

穂乃果「海未ちゃん女の子みないな悲鳴をあげてたね」

海未「女の子ですからね?」

絵里「もう…帰りたいわ」

穂乃果「ごろう君が来ちゃったかと思ったよね」

絵里「やめてよ。何でそんな事を言うのよ」

にこ「確信犯ね」

穂乃果「じゃあ、穂乃果の番ね。これはね、私じゃなくて私のお父さんの兄弟の話何だけどね…」

絵里「まだ、するの?やめてよ」

にこ「絵里はそればっかね」

絵里「さっきから言ってるでしょ?怖いのよ」

海未「絵里がここまで怖がりだったとは…」

穂乃果「叔父さんが小学生の時にね必ず遠足とか行事に讃歌するスガワラさんって人が居たんだって。スガワラさんはね、学校の関係者でもないのに必ず参加してたから誰かの保護者なのかな~?って思ってたらしいんだ。でも、当時は子供だったし何も疑問に思わず普通に接していたんだって。
でね、大人になってねふとスガワラさんの事を思い出してね私のお父さんやおばあちゃんに聞いてみたらしいんだけどね知らないって言うんだって。
クラスの同窓会があった時に久々に会った友達に聞いても皆知らないって。そこで、卒業アルバムの写真を見せたら同級生達がね

それってお前のお父さんじゃん

って言うんだって。でも、私のおじいちゃんとは顔も全然違うしおじいちゃんはもちろん離婚歴も再婚もしてないから…今でも卒業アルバムには子供たちに囲まれて笑顔で写ってるスガワラの写真が残ってるんだ」

海未「何ですかその話は…」

にこ「てっきり幽霊の話かと思ったけど…」

絵里「どっちにしろ気味が悪いわよ」

穂乃果「てへへ。本当はどこかで聞いた話で穂乃果の叔父さんは関係ないんだけどね」

にこ「何よ…嘘だったの?」

穂乃果「まあね…でも気味の悪い話だよね?下手な幽霊の話より怖くない?」

海未「気味は悪いですが怖くはないですね」

ドンドンドンドン

穂乃果「うわぁ」ビクッ

にこ「びっくりしたぁ」ビクッ

絵里「キャァァァァ」

海未「絵里は何回でも引っ掛かりますね」

絵里「恐怖に慣れとかないわ」

穂乃果「あると思うけど」

絵里「ねえ、海未、穂乃果?今日の事は誰にも言わないでね?」

にこ「それずっと言ってるけどもう皆に見られてるからね?もう手遅れよ?」

絵里「そんなぁ」

海未「良いではないですか。女の子らしくて可愛いですよ?」

にこ「女の子らしいと言うか子供じゃない」

穂乃果「まあ、絵里ちゃんの場合は見た目とのギャップがあるけどね」

絵里「…うぅ」

にこ「だいたい、クイズで優勝したのになんでこんな目に合わなきゃいけないのよ」

海未「確かに…そうですね」

穂乃果「あれさぁ、いつまで続くのかなぁ?」

にこ「こないだのここあのクイズで3回目でしょう?」

穂乃果「10回以上続くかな?」

海未「流石にそれ以上は」

にこ「希はやる気満々らしいけどね」

絵里「その度に毎回こんな罰ゲームみたいな事をするの?」

にこ「毎回なんてやってられないでしょ」

海未「今回は理事長のおかげで出来たのですからね」

穂乃果「海未ちゃんの時なんて二人で記念撮影で終わりだよ?」

絵里「良いじゃない。罰ゲームなんかより全然良いじゃない」

穂乃果「宿題を代わりにやってくれるとかが良かったよ」

海未「そんなのダメに決まってるでしょう」

穂乃果「あの部屋さ~暑すぎじゃない?」

にこ「クイズの部屋?」

穂乃果「そう。夏じゃないんだよ?なのにさ…」

海未「暖房を入れてるのでしょうか?」

絵里「希よ。希が私が苦しんでるのを見て笑ってるんだわ」

穂乃果「恐怖のあまり親友の事を信じられなくなってるよ」

海未「まあ、間違いではないですが」

ガララ

女将「お布団の用意をさせて頂きます」

にこ「え?もう寝る時間?」

海未「確かに…眠くなって来ましたね」

穂乃果「まだ22時だけど…」

絵里「早く寝て帰りましょうよ」

穂乃果「じゃあ、穂乃果達は行こうか?」

海未「そうですね」

穂乃果「じゃあ、おやすみ~」

海未「おやすみなさい」



にこ「行っちゃったわね」

絵里「…」



凛「にゃぁぁぁぁぁぁ」

穂乃果「キャァァァァ」

海未「キャァァァァ」


にゃぁぁぁぁ

キャァァァァ

絵里「何?誰の声?」ビクッ

にこ「びっくりした~穂乃果と海未でしょ?」

絵里「何で悲鳴をあげてるのよ」

にこ「知らないわよ」

女将「…布団を敷き終わりましたので」

にこ「あ、ありがとうございます」

にこ「さあ、寝ましょうか」

絵里「ええ、そうしましょう。早く寝ましょう」

にこ「じゃあ、灯り消すわよ?」

絵里「灯り消すの?」

にこ「…消さないと眠れないでしょ?」

絵里「そうだけど…居なくならないでよ?」

にこ「ならないわよ…トイレは行かなくていいの?」

絵里「大丈夫…大丈夫だから…わざわざ用もないのに怖い所に行きたくないわよ…ここも怖いけど」

にこ「あっそ。夜中に起こさないでよ?」

絵里「………」

にこ「…はあ」

…………

絵里「ねえ?ねえ?にこ?寝ちゃったの?」

にこ「起きてるわよ。穂乃果みたいな事してんじゃないわよ。あの時穂乃果を注意してたくせに」

絵里「あの時とは違うじゃない。こんな呪いの館じゃなかったもの」

にこ「ここも呪いの館じゃないけど…」

絵里「ねえ…にこの布団に入らせて」

にこ「嫌よ」

絵里「怖くて眠れないのよ」

にこ「絶対にいや」

絵里「じゃあ…じゃあ、敷き布団だけ。掛け布団は別でいいから」

にこ「そう言え問題じゃないなよ」

カーンカーンカーン

絵里「何?何の音?」

にこ「金属音ね…そっか…丑三つ時の部屋だから…そう言う事ね」

絵里「やめてよ…理解しちゃったじゃない」

にこ「…仕掛けだから」

絵里「もう絶対に無理。にこの布団に行かせて」

にこ「…分かったわよ」

絵里「じゃあ…」

ゴソゴソ

にこ「掛け布団は別々って言ったじゃない」

絵里「無理よ。誰かの存在を認識出来ない安心出来ないもの」

にこ「…せめて少し離れてね」

絵里「…わかったわ」




AM2:00

絵里「…にこ」

にこ「…ん…何よ…」

絵里「…トイレ」

にこ「……行ってらっしゃい」

絵里「一人じゃ無理よ」

にこ「…だから……寝る前に言ったじゃない」

絵里「……ここで漏らしちゃうわ」

にこ「…やめて」

絵里「一緒に行って」

にこ「…だから言った…のに」




ギイギイギイ

絵里「ねえ、歩くの早いわ」

にこ「この会話何回目かしら」

絵里「うぅ」

にこ「さあ、早く行ってきなさい」

絵里「中まで来てよ。どうせ最終的には来てくれるんだから最初から来てよ」

にこ「何逆ギレしてるのよ」

絵里「…だって」

にこ「わかったわよ」



髪の長い女「…」

絵里「キャァァァァ」

にこ「わっ」ビクッ

髪の長い女「…」

にこ「なんだ…ことりか…」

絵里「…ことり?」

髪の長い女「絵里ちゃん、ごめんね」

絵里「そのカツラ取って」

ことり「それは出来ないの」

絵里「そんなぁ」

にこ「いいから早くしてきなさいよ」

絵里「扉は…」

にこ「閉めなさい」

絵里「うぅ…」

バタン

にこ「あんたも大変ね」

ことり「そうなの。二人がトイレに行く度にスタンバイしなきゃいけないんだ」

にこ「ことりも眠れないのね」

ことり「仮眠はしてるんだけどね」

ジャアー

ガチャ

絵里「キャァァァァ」

にこ「だからことりだって」

AM6:00

希「さあ~二人とも起きて」

にこ「ん…ん~」

絵里「…朝…?」

希「もうチェックアウトやからね。歯を磨いて顔を洗って身仕度してね」

にこ「…絵里のせいで全然眠れなかったわ」

絵里「…ごめんなさい」

AM7:00

女将「またお越しください」

にこ「…はい」

絵里「…お世話になりました」

凛「にゃぁぁぁぁぁ」バッ

絵里「キャァァァァ」

にこ「うわぁ」ビクッ

女将「キャア」ビクッ

凛「最後の最後に大成功にゃ~」

にこ「り、凛…」

絵里「…こ、腰が…」

凛「さ、早く帰るにゃ。皆待ってるよ」


こうして矢澤にこ、絢瀬絵里の箱根旅館一泊二日の旅は終了した。

にこ「箱根の観光が何も出来なかったじゃない」

~完~

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