~ マジノ女学院・ブリーフィングルーム ~
エクレール 「これは由々しき事態ですわッ!」
フォンデュ 「そうですね。」
エクレール 「そうですね、って… 何を他人事のように。」
エクレール 「もっと危機感というものはないのかしら?」
フォンデュ 「つまり、マジノ女学院がハブられていると?」
エクレール 「」グハッ
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フォンデュ 「あ、胃薬の時間ですか?今お水を用意いたしますね。」
エクレール 「ありがとう、フォンデュ。できればその優しさを」
エクレール 「もう少し別の部分にも振り分けて欲しいものですわ…。」
フォンデュ 「申し訳ありません、ストレートに言い過ぎました。え~と…」
フォンデュ 「皆から忘れられている、眼中にない…と。」
エクレール 「お願い、追い打ちやめて。」キリキリッ
エクレール 「とにかく!納得いきませんわ!」
エクレール 「私たちだって大洗と練習試合をしたライバル校だというのに!」
フォンデュ 「公式大会決勝で応援に行きませんでしたよね。」
エクレール 「え?行きましたわよ。」
エクレール 「観客席から、こう、がんばれーって。」
フォンデュ 「これは後から聞いた話ですが、他校の隊長はみんな試合開始前に直接」
フォンデュ 「西住みほさんへ激励にいったそうです。」
エクレール 「…何それ聞いてない。」
フォンデュ 「聖グロ、サンダース、それにプラウダまでもが格納庫へ向かって和気あいあいと。」
フォンデュ 「ついでにアンツィオですが、応援のために夜明け前に試合会場に着いていたけれど」
フォンデュ 「そのまま宴会やって寝過ごしたそうです、フフッ。」
エクレール 「待って、フォンデュちょっと待ってウェイト。何でそんなに集まっていますの」
エクレール 「ひょっとして各校の隊長同士で示し合わせて行ったとか?」
エクレール 「呼ばれていないのだけれど…。」
フォンデュ 「いえ、ただの偶然です。」
フォンデュ 「皆さん純粋に西住さんの応援がしたかったのでしょう。」
フォンデュ 「ただ、偶然にせよ今までの対戦校が集まる中」
フォンデュ 「マジノだけ来ていないとなると、薄情な連中だと思われても仕方ないかと…。」
エクレール 「Nooooooooooon!!」
エクレール 「それにしても、みほさんは私のことを覚えていてくださってもよろしいのではなくて?」
エクレール 「ひと声かけてくだされば、私だってソミュアやルノーを引っ提げて駆け付けたのに。」
フォンデュ 「胃液くさい隊長がいたなぁ、と…。」
エクレール 「やめて、そんな覚え方やめて。」
エクレール 「選抜戦に参加できなかったのは本当に惜しいですわね。」
エクレール 「注目度の大きな試合であったために」
エクレール 「今や高校戦車道は参加した8校で回しているようなイメージに…。」トホホ
フォンデュ 「相対的に、うちの知名度がどん底ですね。」
エクレール 「痛ぁ~い。胃が痛ぁ~い…。」
フォンデュ 「参加した8校というと…。」
フォンデュ 「騒動の中心となった大洗。実力トップの黒森峰に、続いてプラウダ、サンダース、聖グロ。」
フォンデュ 「強いのか弱いのかよくわからない継続。それとアンツィオと知波単ですね。」
エクレール 「ちょっと待った。」
フォンデュ 「またですか、何か気になることでも?」
エクレール 「今さら気になったのだけど、最初の6校はわかる。アンツィオもまぁいいですわ。」
エクレール 「…知波単?」
フォンデュ 「はい、知波単です。」
エクレール 「特攻野郎西チームの?」
フォンデュ 「はい、知波単学園です。」
エクレール 「何で?」
フォンデュ 「何でと申されましても。」
エクレール 「知波単といえば、エキシビジョンでやらかした奴というイメージが大きいのだけれど。」
フォンデュ 「確かに、大洗との連携がうまくいかずに自滅したわけですが。」
フォンデュ 「隊員の士気も練度も高く、けして弱いわけではありません。」
フォンデュ 「ただ、妙な突撃癖があるだけです。」
エクレール 「…校風や伝統といったものは本当に厄介ですわね。」
フォンデュ 「伝統を変えることは難しい、エクレール様が一番よくご存じでしょう。」
エクレール 「そうなんだけれども、まるで共感を覚えないのは何故かしらね…。」
フォンデュ 「知波単の環境が特殊すぎますから。」
フォンデュ 「そういえば、隊長の西さんはとても格好いい美人で、隊員からの人気も絶大」
フォンデュ 「宝塚スター的な人気とでも言いましょうか。戦車道関連の雑誌で何度か特集が組まれたそうです。」
エクレール 「そ、そう… 隊員から人気があるというのは重要ですわね。士気にも関わりますし…。」
エクレール 「…つかぬことを聞きますけど、私の、マジノでの評判とか」
エクレール 「隊員からの人気は、どうなのかなー… って//」
フォンデュ 「… … …。」
エクレール 「… … …。」
フォンデュ 「私は、好きですよ。」
エクレール 「…ありがとう。」
フォンデュ 「仕方ないじゃないですかー。サン・シール流への改革が形になってきたとはいえ」
フォンデュ 「公式、非公式を問わず一勝もしていないわけで。」
フォンデュ 「頼れる隊長、信頼できる隊長という評価を求めるのは無理ですよ。」
フォンデュ 「今のところ、『頑張っているのは認める』程度です。」
エクレール 「えぇ… なんて微妙な評価…。」
フォンデュ 「隊長就任直後に比べればかなりの進展です。少しづつですが、確かに前へ進んでいますよ。」
エクレール 「うん… そうですわね。全面的にとは言えずとも、ついてきてくれる隊員たちの為にも」
エクレール 「まずは一勝、自分たちが強くなっているのだという実感を与えたいものですわ!」
フォンデュ 「そうですね、頑張ってください。」
エクレール 「(#^ω^)」
フォンデュ 「話を戻しますが、知波単は選抜戦において大洗の八九式と連携して多大な戦果を挙げました。」
フォンデュ 「すぐに強豪校の仲間入りとはいかずとも、これから伸びそうな学校として注目されています。」
エクレール 「…確かに結果としては成功でしょうけど。」
エクレール 「エキシビジョンマッチを見た段階でなぜ入れようと思ったのか、それがわかりませんわ。」
フォンデュ 「見どころはあると判断したのでしょう。」
フォンデュ 「聖グロのダージリンさんは、こういう面白い人材が好きそうですから。」
エクレール 「なぜここで、あの格言メイカーの名前が?」
フォンデュ 「大洗連合を計画し、各校へ呼びかけたのはダージリンさんだそうです。」
エクレール 「つまり私たちをのけ者にしたのは、大洗ではなく…。」
フォンデュ 「そういうことですね。」
エクレール 「ダージリィィィィィィィィィン!お前かァァァァァァァッ!」
フォンデュ 「ちなみに、知波単は6両参加です。」
エクレール 「その枠ちょっと寄こせぇぇぇぇぇッ!!」
フォンデュ 「知名度が無い、どん底である… ちょっとまずいですね。」
エクレール 「そんなに?」
フォンデュ 「単純に考えて、戦車道の盛んな学校というイメージが無ければ来年度から経験者は入って来ません。」
フォンデュ 「新規入学希望者、とくに戦車道の経験者という限られたパイが」
フォンデュ 「先に挙げた8校で分けられる形になるでしょう。」
エクレール 「ただでさえ、隊長交代のごたごたで半数近く減っているというのに…。」キリキリッ
フォンデュ 「人はいねぇ!戦車もねぇ!人がいねぇから予算も増えねぇ!」
フォンデュ 「…というわけで、今のうちに何らかの手を打たないと先細りするばかりです。」
エクレール 「どどどどうしましょうッ!?また大洗が廃校になるとかそういう話はありませんのッ!?」
エクレール 「今度こそ、多少強引にでも参加いたしますのにッ!」
フォンデュ 「何を言っているんですか貴女は。」
フォンデュ 「対外的な知名度もさることながら、他校との関わりが薄いのも問題ですね。」
フォンデュ 「はっきり言えば、友達がいない。」
エクレール 「(#^ω^)」
フォンデュ 「失礼、コネがないと言うべきでしたか。」
フォンデュ 「隊長同士仲がいいわけでもなく、他校に知人がいるわけでもない。」
フォンデュ 「廃校を賭けた戦い、とまではいわずとも。例えば大規模な合同演習などを行うとして」
フォンデュ 「特に係わりがないのでは誘われる可能性は限りなく低くなります。」
エクレール 「そして、マジノはますます影が薄くなる…と?」
フォンデュ 「そうなりますね。」
エクレール 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
エクレール 「フォンデュ!何か策はありませんの?」
エクレール 「マジノ女学院戦車道チームの知名度を、一気に高めるような、そんな策はッ!?」
エクレール 「座して死を待つなどまっぴらごめんですわッ!」
フォンデュ 「練習試合で強豪校に勝つ、なんてどうでしょう?」
エクレール 「それができれば苦労はしねぇぇぇぇッ!」
フォンデュ 「では、まず横のつながりを強化することから始めましょう。」
フォンデュ 「エクレール様には、他の高校の隊長とお友達になっていただきます!」
エクレール 「表敬訪問に向かうとして、どこへ行くのがいいかしら?」
フォンデュ 「黒森峰とプラウダはとりあえず除外ですね。強豪校としてのプライドが強そうで」
フォンデュ 「『何の用もないけど挨拶に来ました!お友達になりましょう!』などと言っても…。」
エクレール 「追い返されるのがオチですわね。」
フォンデュ 「プラウダに至っては、そのまま投獄されそうです。」
エクレール 「しないから!貴女はプラウダを何だと思っていますの…。」
フォンデュ 「絶対に、しないって言いきれますか?」
エクレール 「… … …。」
フォンデュ 「… … …。」
エクレール 「却下で。」
フォンデュ 「はい。」
フォンデュ 「では、割とフレンドリーな校風のサンダースはどうですか?」
エクレール 「いやですわ。」
フォンデュ 「いや、って…。夜更かししたがる子供じゃあるまいに。」
エクレール 「練習試合でボロ負けした相手の学校になんか行きたくありません!」
エクレール 「胃から白旗あがりますわ!もう、勢いよくシュパッと!」
フォンデュ 「では、アンツィオならいかがですか?負けたとはいえ接戦です。」
フォンデュ 「対戦校には敬意を払う校風ですし、きっと歓迎してくれますよ!」
エクレール 「…アンツィオは、公式戦一回戦突破をものすごく喜んでいますわよね。」
フォンデュ 「どうしようもない弱小校に落ちぶれてから、奇跡の復活です。」
フォンデュ 「アンチョビさんの三年間の努力が実り、チームをまとめ上げ、勝ち取った勝利。」
フォンデュ 「まさに悲願達成といったところですね。もう、学園艦あげての大喜びですよ。」
エクレール 「その、一回戦の相手が私たちなわけで…。」
フォンデュ 「あ、はい…。 ものすごく微妙な空気になりますね、きっと。」
フォンデュ 「ストレートに『よっ!踏み台ご苦労!』とか言ったりはしないでしょうけど」
フォンデュ 「例えるならば、RPGで最初に出てくるボスキャラを見るような目で見られます。」
エクレール 「居心地悪ぅい… 却下!却下ですわ!」
フォンデュ 「継続は… 隊長が放浪の旅に出ている可能性が高いので保留しておきましょう。」
エクレール 「どういう学校よ。」
フォンデュ 「知波単は… う~ん、なんだかよくわからないけど却下!」
エクレール 「ちょっと扱いが適当すぎではなくて?」
エクレール 「そうなると、やはり大洗しかありませんわね。」
エクレール 「一度練習試合も行い、西住さんとも面識があるので、ここが最適だと思いますわ。」
フォンデュ 「そうなんですけどねー…。最後まで言わなかったのは理由があるというか」
フォンデュ 「ちょっとした問題がありまして…。」
エクレール 「な、なんですの…?」
フォンデュ 「大洗は今年一番の注目の的です。西住さんとお近づきになりたいと思う輩はいくらでもいるでしょう。」
フォンデュ 「そんな中、私たちが挨拶へ出向いても有象無象の一人としか扱われない可能性があります。」
エクレール 「ええぇ… 面識があるという意味でも、コネクションが広がるという意味でも」
エクレール 「大洗が一番だと思っていましたのに、まさか有名になりすぎたから近づけないだなんて…。」
フォンデュ 「ここはひとつ、最後の手段を使いましょうか。」
エクレール 「最後の手段?」
フォンデュ 「私が独自に入手した、『西住さんとお友達になれる魔法の言葉』です!」
エクレール 「あ、怪しすぎますわ…。」
フォンデュ 「大丈夫、大丈夫。信じてください。マジノ女学院一の策士!光る眼鏡は知性の証!」
フォンデュ 「このフォンデュにお任せあれ!」
エクレール 「眼鏡キャラで策士というのが誰一人として思い浮かばない。」
フォンデュ 「手段を選り好みしていられる状況ではありません、どこかで賭けに出なくてはならないのです!」
エクレール 「そうですわね…。わかりました、早速大洗へ向かいましょう。」
エクレール 「矢でも88mm砲でもドンと来いですわッ!」
エクレール 「フォンデュ、複葉機を操縦してもらえるかしら?」
フォンデュ 「Compris!これより、『らぶらぶ作戦』を開始します!」
エクレール 「…ちょっと待った。」
フォンデュ 「はい。」
エクレール 「何ですの、その作戦名?」
フォンデュ 「西住さんと仲良くなって、そのまま隊長同士の輪の中に入れてもらおうというこの計画。」
フォンデュ 「『らぶらぶ作戦』以外にふさわしい名称がありましょうや!?」
フォンデュ 「いや、無い!(断言」
エクレール 「いいのかなぁ…。」
こうしてフォンデュに誘われるままホイホイと大洗へついて行っちゃったのだ ───…
~ 大洗女子学園・戦車格納庫 ~
杏 「西住ちゃ~ん、お客さんだよー。なんか変な人来てる。」
みほ 「すみません会長、変な人に心当たりが多すぎて…。」
杏 「マジノ女学院の隊長。」
みほ 「… … …?」
杏 「胃薬。」
みほ 「あ、はい。エクレールさんですね。この時期にいったい、何の御用でしょうか?」
杏 「さぁ…?とりあえず生徒会室で待ってもらっているから、行ってみてくんない?」
~ 大洗女子学園・生徒会室 ~
エクレール 「ご無沙汰しておりますわ、西住さん。」
みほ 「はい、エクレールさんもお元気そうで。」
杏 「で、エクレールちゃん。今日はどうしたの?」
エクレール 「えぇと、その~ですわね…。西住さんッ!」
みほ 「はい。」
エクレール 「みほさんッ!」
みほ 「はい?」
エクレール 「ヘイ、彼女!一緒にお昼、どう?」
みほ 「」
エクレール 「///」
【おしまい】
以上になります。
エクレールさん、スピンオフキャラの中で一番好きです。
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