淡「菫先輩、今すぐ逃げてだって」菫「は?」 (31)

淡「穏乃からメールが来たんだー」

菫「穏乃?」

誠子「阿知賀の大将ですよ」

誠子「ちなみに私にも同じ内容のメールが鷺森さんから来ました」

菫「誰なんだ!」

誠子「阿知賀の副将ですよ」

菫「みんな仲良くメアド交換してるのか……」

照「私はしてないよ」

照「私以外はしてた様な気がするけど……」

尭深「私もしてないから大丈夫ですよ」

照「渋谷……」

尭深「個人的には江口さんとしたかったけど言い出せなかったんですけど」

照「やっぱり自分から言った方が良いのかな?」

照「でも私から言ったら気を使って本当は嫌なのにOKしてくれそうだし」

尭深「有名人は大変ですね」

菫「その話はもういい!」

菫「それよりなんで私が逃げる必要があるんだ?」

淡「誰もメアド交換してくれなかったからって気にする必要ないですよ」

菫「なんで私が話逸らそうとしてる風なんだ」

菫「私の場合はストーカーされると困るから誰とも交換していないだけだ」

照「部内でも知ってる人間はわずかだもんね」

誠子「部長なのに意味わかんないですよね」

菫「女の子が私の事を好きになるのがいけないんだ」

尭深「その発言ちょっと引きます」

淡「女の子にモテる自信があるみたいですもんね」

菫「うるさいぞ!」

菫「そんなことより阿知賀の人間からメールが来たなら阿知賀関係の事なんだろうな」

誠子「きっとそうですね」

照「じゃあアレだよ、菫が泣かした阿知賀の次鋒の子絡みだよ」

淡「それすぐ気がつきそうだよね」

尭深「弘世先輩は女の子を泣かせるの慣れてるから」

菫「人を外道みたいに言うな!」

照「そんなことより早く逃げなくていいの?」

菫「相手はただの女子高生だ、逃げる必要なんてないだろ」

誠子「油断大敵ですよ」

尭深「武器を持ってるかもしれませんし」

淡「巻添えは嫌だよ」

照「私も今日はゆっくりしたい」

菫「分かったよ!逃げればいいんだろ逃げれば!」

菫「まったく、どうせ変なメールが来たから面白がってるんだろ」

菫「本気にしてたらもっと心配するはずだ」

菫「まあ私も本気にはしてないが」

菫「だいたい逃げると言ってもどこに逃げれば」

菫「あっ、荷物部室においたままだ」

菫「財布も携帯もバッグに入れたままだし取りにいかないと」

ガチャ

菫「すまないが私の荷物を……」

誠子「」
淡「」
尭深「」

菫「え……」

照「菫逃げて、マフラーが……」

菫「おい照!しっかりしろ!」

照「」

菫「……」

菫「全員気絶してるだけみたいだが」

菫「犯人はいったいどこに……」

菫「ともかく早く逃げないとな」

ガチャ

宥「弘世さん見ぃーつけた」

菫「ひっ」ダッ

宥「逃がさない!」バッ

菫「何!マフラーを足に!?」ドサッ

菫「うぅ……」

宥「ふふ、弘世さんを捕まえるために練習したんですよ」

宥「さあ、二人の世界にいきましょう」

菫「ま、待て!君にそんな風にされる筋合いはないはずだ」

菫「いったいどうしてこんなことをするんだ!」

宥「そんな……酷い……」

宥「私の気持ち知ってるはずなのに……」

宥「確かに1度振られてるけどそれは弘世さんの気の迷いだし周りの人に唆されただけだし本当は弘世さんも私の事を好きなはずなのにこんなの酷い」

宥「酷い酷い酷い酷い……酷い酷い酷い酷い酷い!酷い!酷い!酷い!酷いー!酷過ぎるよー!!」

菫「ひー」

晴絵「宥!落ち着け!」

宥「先生!先生も邪魔するんですね」

晴絵「宥……」

宥「弘世さん、待っててね直ぐに邪魔者を排除しますから」

晴絵「実力行使しかないみたいだな」

晴絵「いくぞ!」

宥「くっ」

玄「大丈夫ですか?今マフラーをはずしますね」

菫「ありがとう」

玄「お礼はいいですから気付かれない内に早く逃げましょう」

菫「ああ」

菫「それで、いったいどうなってるんだ?」

玄「何がですか?」

菫「何がですか?じゃない!あのマフラーの子の事だ!」

玄「あなたの事を好きな人ですよ?名前くらい覚えてあげてください」

菫「レズは迷惑なんだ、覚えてなんていられるか」

菫「そんなことより早く事情を教えてくれ」

玄「その前に名前です!あの人は松実宥、私のお姉ちゃんです」

菫「そうか、分かった覚えたよ」

菫(本当は名字は覚えてたけど)

宥「えっ、そんな……」

晴絵「どうした?」

宥「弘世さんがいない」

晴絵「何!」

晴絵「私は弘世がここにいなくてもいいんだけど、これで戦う理由はなくなったな」

宥「邪魔しなくていいんですか?」

晴絵「私が頑張らなくても逃げおおせるかもしれないし」

宥「そうですか」

晴絵(玄が上手くやったみたいだし私は次の手を打つか)

玄「お姉ちゃんはインハイで勝つために弘世さんのビデオを見てたら好きになっちゃったんです」

菫「そんなバカな」

玄「でも実際に告白されたじゃないですか」

菫「それはそうだが……」

玄「弘世さんのクセを見抜くために必死に見てましたから、それで好きになっちゃうのも無理ないですよ」

菫「そうなのか……?」

玄「そうなんです!」

玄「でも弘世さんに振られてそのショックから引きこもっていたんですけど……」

菫「突然こんな事をしだしたと」

玄「はい、先生は引きこもってずっと考えてたらちょっと心を病んじゃったんだろうって」

菫「ちょっとなのか……」

玄「とにかく、今先生がお姉ちゃんを元に戻す準備をしているので時間をそれまで逃げないと」

宥「弘世さーんどこー?」

宥「あっ!こんなところにハロゲンヒーターが!」

宥「あったか~い」

宥「って!違う!早く弘世さんを探さなきゃ」ダッ

宥「あっ!石油ストーブ!」

宥「あったか~い」

宥「って!駄目ー!」ダッ

宥「あっ!熱々おでん!」

宥「あったか~い」ハフハフ

宥「じゃなくて!弘世さんを探さなきゃ」

宥「でも食べ物だし食べ終わってからでも……」

憧「ふふっ、効いてるわね」

穏乃「まだまだあったか~いトラップはあるし時間稼ぎは問題なさそうですね」

灼「うん」

宥「さっきからあったかい物がいっぱい」

宥「でも弘世さんはもっとあったかい!」

宥「今は我慢して弘世さんを探さなきゃ!」

穏乃「あっ、トラップを無視しだした」

憧「そんなバカな!」

灼「とりあえず玄とハルちゃんに連絡」

玄「……」

菫「ん?メールか?」

玄「どうやら仲間が足止めに失敗したみたいです」

菫「仲間が足止めしてたのか」

玄「はい、先生がお姉ちゃんを元に戻す準備をする時間を稼ぐために」

菫「そっちの準備はどうなってるんだ?」

玄「もうすぐ終わるそうです。この後の指示も来てます」

宥「見つけた!」

玄「お姉ちゃん!?」

宥「玄ちゃんまで私の邪魔をするなんて……」

宥「玄ちゃんでも容赦しないからね」

玄「うん……」

玄「弘世さんはこの指示に従ってください」

菫「わ、分かった。死ぬなよ」

玄「それはお姉ちゃん次第ですね」

菫「彼女達には私を助ける理由なんてないはずなのになんでここまで……」

菫「いや、暴走した身内をどうにかしたいだけか」

菫「でもそれで助けられてるんだから感謝しはいとな」

菫「それにしてもなんだこの指示は……」

玄「お姉ちゃん……」ドサッ

宥「玄ちゃんが悪いんだからね」

宥「おうちに帰ったらお仕置だからね」

宥「弘世さんはどっちに逃げたのかな?」

宥「……」

宥「こっちから弘世さんの温もりを感じる」

宥「気がする」

宥「ここだ……ここで間違いない」

宥「はず」

ガチャ

菫「いらっしゃい」

宥「え?弘世さん」

宥「逃げないんですか?」

菫「ああ、君と一緒に見たい作品があってね」

菫「最初は松実さんの迫力におされて逃げてしまったけどちゃんと接した方がいいと思って」

宥「そうですか、嬉しいです」

菫「さっ、ここに座って」

宥「はい」

宥「でも凄いですね教室で映画?が見れるなんて」

菫「頑張って特別に許可をもらったそうです」

宥「凄い!さすが弘世さん」

菫「はは……」

菫「もうすぐ始まるみたいですよ」

宥「わー、楽しみ」

菫(始まった)

菫(これは……環境保護のPR映像)

宥(弘世さんには悪いけど学校の教材みたいでちょっと退屈)

菫(これを最後まで見せないといけないんだよな……でもこんなの絶対ちゃんと見ないだろ)

菫(どうする……)

菫「松実さん、ちょっと退屈ですねそれ、すみません」

宥「そんな、とっても勉強になります」

菫「良かった。じゃあ最後までちゃんと見て感想を言い合いましょう」

宥「はい」

宥(寝ない様に頑張らなくちゃ)

菫(ちゃんと見てくれればいいんだけど……)

次の日

照「あれ?なんで部室で寝てるんだろ?」

誠子「昨日襲われたんですよ私達」

尭深「どうやらそのままここで寝てたみたいですね」

淡「菫先輩は?」

尭深「無事だといいんだけど……」

照「菫の居場所ならアプリで分かる」

照「携帯を持ってればだけど」

誠子「いつの間に……」

照「みんなが迷子になってもすぐみつけられるように」

淡「子供じゃないんだから迷子になんてならないよ」

照「えっ、ならないの!?咲はよくなってたのに」

尭深「とにかく弘世先輩を探しましょう」

照「ここにいるみたい」

淡「死んでないよね?」

誠子「縁起でもないこと言うなよ」

尭深「開けます」

ガチャ

菫「……」

宥「……」

誠子「二人一緒になんか見てる」

尭深「目が虚ろ……」

淡「何これ……」

照「環境は大切だって」

淡「なんでこんなの見てるんだろ?」

照「さあ」

穏乃「終われば分かりますよ」

淡「あー、穏乃」

淡「本当に分かるの?」

穏乃「分かります」

尭深「終わった」

照「菫、大丈夫?」

菫「照か、すまない私はこれから松実さんと今後の環境問題について話し合わないといけないんだ」

照「え?」

宥「弘世さん、行きましょう」

菫「ああ」

晴絵「あちゃー、ちょっと効き過ぎたか」

誠子「どういうことです?」

晴絵「宥が弘世さんを好きになったのは弘世さんの映像を見続けたせいなんだ」

晴絵「だから他の映像を見せ続けて上書きしようとしたんだけど……」

淡「まああれなら誰も困んないでしょ、へーきへーき」

尭深「でも弘世先輩にまで効果が……」

照「環境について考えるのはいいこと」

淡「えっ!もしかして全然見てないのにテルーにも効果が!?」

誠子「ないない」

数ヵ月後

穏乃「宥さんが旅立ってからけっこう経ちましたね」

玄「元気にしてるかな」

憧「白糸台の元部長さんも一緒なんでしょ?大丈夫よ」

穏乃「せっかく玄さんの家で合宿なのに宥さんがいないのは寂しいけどね」

灼「テレビ見ていい?今日こそハルちゃん特集かも」

玄「ああ、あの活躍する女性を紹介してる」

灼「うん、今日こそハルちゃん」

憧「活躍してるけど、一麻雀部の監督を紹介するかな?まあ紹介されたら私も嬉しいけどね」

穏乃「始まったよ」

灼「ハルちゃん!」

灼「じゃない……」

玄「あはは」

玄「ってお姉ちゃん!?」

宥「環境が良くなったらあったかくなっていいと思うんです」

菫「汚いよりは綺麗な方がいいでしょう?」

憧「弘世さんも……」

宥「玄ちゃん見てる?私は元気だよー、今度一緒に環境保護しようね」

憧「効き過ぎでしょ、あの洗脳……」

灼「流石ハルちゃん」

カン

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