紬「セーラー服を脱がさないで♪」 (16)

菫「またそんなバカなこと言って!!!」

菫「もう30歳なんだよ!!!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474810532

はじまりの夜。


菫「おねえちゃんおかえりなさ……………なにその格好…………」

菫「早く脱いで!!! ………え、いや……ちょっと! ここで脱がないでよ! 玄関だよ!」

菫「うん……ちゃんと自分の部屋で着替えてきて。ブレザー? ちがうよ! 制服じゃなくて普通の服!」

菫「普通の基準……? そんなの自分で考えればわかるでしょ…」

菫(歳をおうごとにおねえちゃんがおかしくなっていく……)

菫「……あ、ちょっと。着替えに戻る前に聞きたいんだけど」

菫「その格好で帰ってきた、ってことは…………」

菫「ええっ! セーラー服着てコンビニ行っちゃったの!? やめてよほんとにもう…」

菫(また旦那様と奥様に怒られる……)

菫「あのね、おねえちゃん。自分の年齢とか立場とか、わかってる?」

菫「30歳だし、世間的に見て大企業、って言われる規模の会社で一応は取締役してるわけでしょ」

菫「立派な大人、社会人だよね。そんな人がセーラー服着て、外に出かけてるの見つかったらどうなると思う?」

菫「いや………かわいいとかそうじゃなくて…」

菫「…モテる? モテるわけないでしょ!! 男の人たちみんなドン引きだよ!!」

菫(ハァ……これだから結婚できないんだよなぁ……)

菫「いやね。30歳だよ? そりゃ10代の頃なら似合うね、かわいいね、で済んでたと思うよ。モテたかもね。でもね、年齢を考えて。もうオバさんって言われる歳なんだよ」

菫「セーラー服は学生が着る服でしょ? 大人が着る服じゃ……? 大人なのに着てる人もいる? だれ?」

菫「…………」

菫「セーラー服おじさんを例に出さないで!!!」

菫「ま、まぁ…服装は個人の自由だと思うよ? だから他人の格好をどうこう言いたいわけじゃないんだけど…」

菫「え? まだまだいける? なんでそんなこと……」

菫「うそ? 学生に間違えられた?? ええっ、誰に???」

菫「……………」

菫「おまわりさんにみつかってんじゃん!!!!!!」

菫「もぉぉぉぉ……やめてよぉぉぉぉ………」

菫「補導じゃないよ! ただのあたまおかしい人だと思われただけだよ!!!」

菫「えっ、笑ってた? …ドン引きされてただけだってば!!!」

菫「そもそもなんで急にセーラー服なんか……」

菫「付き合ってる人にリクエストされた?」

菫「それならふたりきりのときにやってよ! 勝手に出かけたりしないで!!」

菫「ちなみに聞くけど、その人、なにやってる人なの……?」

菫「…………」

菫「教師!? サイアクじゃない!!」

一ヶ月後!


菫(結局、おねえちゃんはセーラー服を着るのをやめなかった)

菫(はじめのうちは近所をうろうろする程度だったけど、)

菫(それじゃ飽き足らなくなって、セーラー服で出勤するようになった)

菫(いまではもう、みんな慣れちゃったけど、)

菫(こんな人が未来の社長だ、ってバレたら、そのうち株価に影響が出るんじゃ…)

菫(でもいくら注意しても聞いてくれないし…)

菫(膝丈はどんどん短くなるし…)

菫(ルーズソックスまで履きだす始末)

菫(あ~あ、またわたしが怒られる)ゲンナリ

菫(……まぁたしかにかわいいんだけど)

菫(今日は早出で出て行ったのに帰って来るの遅いな)

ガチャ

菫「あっ、おかえりなさ…………ええっ!?」

菫「普通の服着てる………」

菫「お、お、お、おねえちゃん……やっとわかってくれたんだ……」ウルウル

菫「えっ、恋人に注意された?」

菫「なんだ…まともな人じゃん……」

菫「あんまり似合って可愛すぎるから他の人に見せたくない、って?」

菫「そんなこと聞いてないよ!」

菫「えっ、なに? 冗談なの?? もぅ…やめてよおねえちゃん」

菫「ええっ、ほんとはフラれちゃったの!??」

菫「そ、そっか……なんかごめん」

菫「うん……でもさ、別れた今だから言うけど、その人ヘンタイだよ? 教師のくせに30歳超えた恋人にセーラー服着せて外出させるとか……だから別れて正解だよ、絶対」

菫「おねえちゃんにはもっとふさわしい人がいるよ……(そして早く結婚してわたしを楽にしてほしい)」

菫「なになに? ええぇーっ! その人わたしの知ってる人なの! いったい誰!?」

菫「…………」

菫「さわ子先生のバカァ!!!!」

菫(もう家出したい)


おしまい。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom