千早「天と地とのつなぎをへだてて仕舞う」 (5)

弟が死んだこの世に未練などない。
明け方になるとその音は夢のように消えて仕舞う。
天と地とのつなぎをへだてて仕舞うのだ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1478153226

何処か蜂が巣を替えて仕舞う跡に一つも聞えなくなる。
鋭敏になる頭には今度は地上のあらゆる音も聞こえてなくなる。

暗夜の中に光りはめぐる。暖に、丈夫に生命の火は勢よく燃える。

地を撲つ雨の烈しい時に、火は衰へて沈み行き火の勢いなる時に、雨は衰えて烈しき雨とめぐる火と明滅する闇の中とを、美くしく濡れて立つ何本の木を見る。

静かな光りが梢に蛇のやうに這い回って居る。

自分は雨戸を貫いて木と相面したように感じる。

光りの座の上に相抱いたように感じる。

気づけば明滅する
闇と光りの美くしさ
雨よ降れ、火よ燃えよ
光を産むため永劫に衰えるな

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