才能があったらイイナ! (9)
このSSは
テレビアニメ
ダンガンロンパ3
-The End of 希望ヶ峰学園- 絶望編
と
テレビアニメ
おねがいマイメロディ
のクロスssです。
注意
当然のことながら、原作とは違う結末を迎えます
日向創は柊恵一よりひとつ上、という設定です
(というか設定上2016年現在で夢野琴が20歳になってしまうのでその辺の設定もまぁその、うんって感じです)
またこれも当然のことながら、希望ヶ峰学園と夢ヶ丘学園が同じ世界に存在しております。というか隣町です。
更新はあまり早くありません。
それでは、よろしくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1477321302
「えーっと、ここが夢ヶ丘学園ね」
夢ヶ丘学園…希望ヶ峰学園からそんなに離れてない…っつーか、隣町だな。夢ヶ丘市に存在する学園。
中等部と高等部が存在する、至って普通の学園だ。
ここの中等部には、“超高校級のポエマー”候補がいる。
こないだ新聞に載ってた、交通安全強化月間のポエム…あれは素晴らしかった。意味はわからないけど、心にこう、グッとくる何か!それがあった!
まぁ当たり前だけど…彼女はまだ現役の中学生だから、スカウトはできないけどね。数年後に、また来る事になるかな。夢ヶ丘学園には。
さてと…そろそろ学園内に入りますか。ここの学園長にも、“彼”と関わりの深い(らしい)やたらと「ラララ~」だの、「ファミレドシー!」だの奇っ怪な言動の先生にも話は付けてあるし、不審者扱いはされないかな…
いやだってさ、俺結構顔バレしてるからマスクにサングラスなのよ。帽子も深くかぶってさ…
なんてことはいいか。さっさと入ろう…
「はい、えぇ。ええ。そうです、希望ヶ峰学園の…はい、ありがとうございます」
事務室で来客の名札を貰って、いよいよ捜索開始!
とは言ったものの、一体どこに彼は……そうだ!あそこの彼女に聞いてみよう!
「こほん、もしもしそこのお嬢さん?」
「え…私?」
「そそ、キミキミ。ねぇ、“柊恵一”って人、知ってる?」
「柊ぃ?…音楽室にでもいると思いますけど」
「そっか、ありがとね」
音楽室…やっぱりそうか。
「いえ…ところで、おじさんは雑誌の記者か何かですか?柊の取材にくる人とか、よく見るので貴方もそうかなって」
「ん?いやいや、ただの………あー…」
聞かれてしまったからには答えないとダメかぁ
「ただのスカウトマンだよ」
マスクを下にずらし、サングラスを外しながらそう言った。
「あっ、あ…その顔…前に友達とネットで見た…もしかして…希望ヶ峰学園の…」
「しーっ……皆には内緒だよ?出かけるたんびに「誰のスカウトに行くんですか?」とか言われて大変なんだから。」
「あー…だからばれないように、そんな不審者みたいな格好を…」
不審者だって思われてたのね!黙っててくれてた!この子いい子!すごくいい子!
「ま、そういうコト…それじゃあね」
かわいいその子に手を振ってわかれた後、俺は音楽室へと向かった。
音楽室に近づいていくと、バイオリンの音が大きくなっていく。間違いなく、この中に彼がいるね
「失礼しまーす」
軽くノックをして音楽室に入ると、眼前に飛び込んできたのは!およそ高校生には見えないイケメンがバイオリンを弾く姿だった
「……なんですか?雑誌の取材の話などは聞いていませんが」
「俺そういうのじゃなくってさぁ…キミ、希望ヶ峰学園って知ってる?」
「希望ヶ峰学園…?えぇ、聞いたことありますよ」
バイオリンをケースにしまい、床に無造作に投げ捨てられていたふたつのぬいぐるみをピアノの上に乗せながら、彼はそう言った
「そっか、なら話は早いか…キミを“超高校級のバイオリニスト”としてスカウトしに来たんだけど…どうかな?」
「………お断りします。僕はこの学園が気に入っています」
ありゃまありゃま…どうしてでしょう。予想外の展開だぞ…?
「いやでも、卒業すれば成功を約束される学園なんだよ?」
「お言葉ですが、僕は希望ヶ峰学園に入らずともやれることは沢山あります。今はやりたいこともありますし…今回は縁がなかったということで、お引き取り願えますか?」
…諦めたくはないなぁ、出直しますか。
「わかりまし、た…そこまで言われたらしょーがないよね…また後日伺いますよ。これ、一応学園のパンフレット。暇な時に読んでね」
半ば強引にパンフレットを押し付け、音楽室を後にしたわけだけど…まさか失敗するとはねぇ…
仕方ないか。そんじゃ今日のところは…まだ昼だけど切り上げて、報告書仕上げて飲みに行くかな…
「ふぅ、こんなもんかな」
カフェでコーヒーを飲みながら報告書を書く!なんだかんだ、こういう時のコーヒー好きなのよね
…って、もうこんな時間か。報告書1枚にどれだけ時間かけたんだっつーの
まぁそれだけ彼への想いは強いってわけなんだが…
だってそうだろう?彼ほどの人間はなかなかいない。
幼い頃よりその才能をいかんなく発揮し、バイオリンだけでなく勉強もできて、イケメン、ファンクラブもある…なんだか妬ましくなったきたぞ!
…そんな彼も入学したとなれば、希望ヶ峰学園の名は更に世界に轟くし、ブランド力も上がる…ま、ブランド力ってあんまり好きじゃないけどね。
俺みたいに能力を見る目があればわかるけど、ない人は「希望ヶ峰学園出身」って言うだけでその人が凄い人だと勝手に思う。
ブランド力ってのはそういうことでしょ?
…ブランド力ねぇ。予備学科の件もそうだけど、最近の学園はなんか胡散臭いんだよなぁ…
さてと、そんなことより…仁にこの報告書届けに行きますか
◇◇◇◇◇◇
「向くん…日向くん!」
「えっ!?あぁ…なんだ?七海」
「日向くん、ゲームに集中できてない…」
「そ、そうか…?」
「そうだよ…何かあった?」
何かあったか、だって…?
七海、何もなかったんだ。昨日も、今日も。そして明日もきっと…
予備学科とはいえ希望ヶ峰学園に入って、なにか変わると思ってた。
俺の名前は、日向創だ。超高校級の〇〇だ…なんて、名乗れる、誇れる自分になれると思っていた。
けど、先生は普通だし、周りも普通だし、今までと何も変わらない…
一つ違うことといえば、本科の校舎がよく見えるようになったことくらいだ
「いや、なんでもないよ」
「そっか……」
それだけ言うと七海はゲーム機に視線を落とし、指を動かし始める。
さすがは“超高校級のゲーマー”と言ったところか。やっぱりすごいよ、お前は…
俺には何か…ないものか…
「じゃあ七海…俺、そろそろ帰るよ」
「わかった。気をつけてね」
片手をゲーム機から離し、俺に向かって振る。相変わらずゲーム画面を見たままだ。
雪染先生に持たれて本科に帰った、あの時と同じだな…
夢ヶ丘…この町にいると不思議と落ち着く。夢…って名前の町だからかな
「たこ焼きでも食べて帰るか…」
あの、サングラスのおじさんのたこ焼き。おいしいんだよな
と、その時…
「えぇーっ!?柊先輩が希望ヶ峰学園入学を断ったーー!?」
「ちょっ、歌…うるさい…」
…柊…?
柊……あぁ、あのバイオリンの…
希望ヶ峰学園入学を断った…?
「いい?あくまで推測よ。スカウトマンが浮かない顔をして高校出てくのを見たってだけだから」
「そっか…でも、よかった…柊先輩、夢ヶ丘学園高校にいてくれるんだね!」
スカウト…そうか、もう78期生を集め始めてるのか
…才能のある奴は、道がいくつも見えているんだろうな
俺なんか、道がひとつも見えちゃいないのに…
「いっそ、行ってくれた方が顔見なくて済むからそのほうがよかったなぁ…」
「でもお姉ちゃん、昔柊先輩のこと好きだったんでしょ?」
「う、うるさい!歌、帰るわよ!はい、荷物よろしく!」
「えっ!?なんで2人分持たなきゃいけな…うっ…重いぃ…」
……。
帰るか…
◇◇◇◇◇◇
才能…
俺にも、才能があれば…
希望ヶ峰学園にスカウトされて…それで…
……。
「クロミ様!こいつゾナ!夢の匂いがプンプンするゾナよ!」
「でかしたよ!バク!」
?
その声は…窓の外から聞こえた。
そして窓を見てみた時…俺はその光景を現実のものとして受け入れられなかった。
「ぬいぐるみが…飛んで…喋ってる…!?」
「ありがちな反応ゾナ…」
バクと呼ばれたぬいぐるみが、俺の部屋の網戸を開けながらつぶやく。
「お、おい…お前達は…なんなんだ…?手品か…?誰かいるのか?超高校級のマジシャンでもいるのか?」
「あー?何言ってんのお前ぇ…それよりさぁ、あんた何か…夢、持ってるだろ?」
夢…?
「……夢というか、希望ならある」
「どっちでもいいゾナ…」
「うっせーんだよ!」
バチンと音がするほどのビンタを食らわす黒ずきん。
怖いかもしれないな…
「痛いゾナクロミ様ぁ…」
クロミって言うのか…
「で、さ?あんたのその…希望?なんなの?言ってごらん?」
「…言ってどうなるんだ?まさか…叶うだなんてバカげた話はないよな?」
「ぴんぽーん!そのバカげた話があんだよ!」
…え?
「…本当か?叶うのか?」
「まぁね!このクロミ様に不可能はないんだかんね!」
喋るぬいぐるみ…願いが叶う…
色々と非現実的だが…
それでも…
「俺は…何か才能が欲しい!七海に誇れる自分に…才能が…そう!七海にとっての、皆にとっての希望になれるような…!」
「あー…はいはい。才能ね。なるほどなるほど。よし決めた!」
そう言うとバクから飛び降りて…
妙な鍵を持ち、俺の方へと振り下ろした。
「開け!夢の扉!」
……!
目の前が真っ暗になったような感覚。
いや…感覚というか…俺が今見ているのはなんだ?
どこまでも深い闇の中で不気味に煌めく様々な色の光。
そして…バイオリンの音…?
……なんだ?これ…まるで…
眠りに落ちていくみたいな…
夢のような…あやふやな世界。
そんな闇の中で怪しく光る光の粒に覆われ、そこで俺の意識は途絶えた。
……。
「……ツマラナイ」
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