設定大改装注意
キャラ崩壊注意
※草は笑いの度合いを表しています
前作
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アンツィオ高校学園艦――食堂――
カルパッチョ「それでは、お好きな席にどうぞ」
みほ「すみません、わざわざ用意してもらって……」
カルパッチョ「食事に手を抜かないのが、アンツィオ生の誇りですから」
カルパッチョ「どうぞごゆっくり」
みほ「はい、ありがとうございます」
みほ(皆さんこんにちは、西住みほです)
みほ(訳あってアイドルやっています)アイドル315ー
みほ(今日はここアンツィオに、合同合宿の打ち合わせに来ています)
みほ(そこでふと私が言った『パスタって南北で特徴が違うって聞いたことあるんですけど、本当ですか?』という言葉にアンチョビさんが――)
アンチョビ『それなら実際に食べさせてあげよう!』
みほ(と言ったことで、こうして食堂まで案内されました)
みほ(料理を担当するのは、ちょうど作業を終わらせたばかりのカルパッチョさんです)
みほ(……あっ、今回は特にパスタの説明はありません)
みほ(気になる方は、ジョジョ第4部のトニオさんのストーリーあたりをどうぞ)
カルパッチョ「~♪」トントントントン
みほ(うわぁ……手付きが見事だな~)
みほ(アンツィオの子って、料理の道に目覚める子が多いって聞いたけど、やっぱりそうなんだ)
カルパッチョ「~♪」ザッザッ
みほ(カルパッチョさんの将来の夢ってなんだろう?)
みほ(なんか、全然想像がつかない……)
カルパッチョ「~♪」グツグツ
みほ(というかカルパッチョさんって、あんまりアンツィオってイメージ無いかな……)
みほ(むしろ聖グロリアーナとかみたいな、イギリスやフランスってイメージが強いんだけど……)
みほ(『実はローズヒップさんと私は交換留学生で、本当は聖グロリアーナ出身なんです』って言われても、きっと私は驚かない)
みほ(……どうしてアンツィオなんだろう?)
カルパッチョ「っ……いた」
みほ「あ、大丈夫ですか?」
カルパッチョ「大丈夫です、ちょっぴり切っちゃっただけなので……」
みほ「すぐに手当てしないと……」
カルパッチョ「あっいえいえ、大丈夫ですよ、舐めたら適当に治りますから」ペロペロ
みほ「え~……」
みほ(前言撤回。カルパッチョさんは、すごくアンツィオの生徒です)
みほ「それじゃ、絆創膏だけでも貼りましょう」
みほ「私、持ってますから」
カルパッチョ「ありがとうございます」
みほ「よいしょっと……はい、これで大丈夫です」ペタリ
カルパッチョ「あら、可愛いキャラクター♪」
みほ「ボコの絆創膏です。この間コンビニで見つけて、衝動買いしちゃいました」
みほ「湿潤絆創膏なので、しばらく貼ったままでも大丈夫ですよ(民間療法感)」
みほ「あと、ボコは至高のキャラクター――それを忘れないでください(ダイレクトマーケティング)」
カルパッチョ「ゴメンなさい……お世話をするはずが、お世話になってしまって……」
みほ「そんな深く考えなくて良いですよ、困った時はお互い様ですから」
カルパッチョ「そうですね……えぇ! そうですとも!」スクッ
カルパッチョ「アンツィオ高校戦車道副隊長カルパッチョ! 精一杯料理を作ります!」ビッ
みほ「はいっ、お願いします」ビッ
カルパッチョ「~♪」ジュージュー
みほ(それにしても……綺麗な声だなぁ)
みほ(『アイドルになりませんか?(モノマネ)』……なんちゃって!)
次の日――
CGプロ――談話室――
加蓮「う~ん……」カキカキ
奈緒「宿題?」
加蓮「うん」
奈緒「……ハハッ、やっぱり1年経つと、この範囲も簡単に見えるな」
加蓮「じゃあ奈緒代わりにやってー」
奈緒「やだよ!」
加蓮「う~ケチ~」カキカキ
奈緒「次のテストで困らないための投資だと思えって」
奈緒(……こうしてると、無名校を日本一に導いた名将とは思えないなぁ……)ジー
楓「あら、加蓮ちゃんに奈緒ちゃん……」フラフラ
加蓮「あっ楓さん、おはようg――酒臭っ!」
奈緒「おはようごz――酒臭っ!」
楓「実はさっき、ファンの方から、地酒を頂いたんだけど……ンフッ」
加蓮「だからって、その場で飲まなくても……」
奈緒「しかもコレ、全部飲んだ後じゃんか!」イッショウビン...
楓「だって、お酒が『ボクを美味しく飲んで』って……フフッ……言うから……」
加蓮(どこかで聞いたことあるような気が……)
奈緒「水、用意した方が良いかな?」
楓「あー、それでは1杯、お願いしますね……フフフッ」
楓「水をみずみず逃しはしない……フフ」
奈緒「よし、ピッチャーで用意しよう!」ダッ
加蓮「もう、楓さんったら……」
加蓮「とりあえず、ソファに座ってください」ヨイショ
楓「ンフッ……ソファのそばぁに加蓮ちゃん……フフ」
加蓮「コレ完全に出来上がってますわ」
楓「あー……」
楓「……」ウツラウツラ
楓「……」
楓「……」スゥ...スゥ...
楓「温泉いきたい」<●><●>ギンッ
加蓮「静かになったと思ったらww」
加蓮「……ん?」
楓「温泉行ってぇ……パスタ茹でてぇ……」
加蓮(楓さんの指……絆創膏?)ウデヲトル
加蓮(コレ……ボコの絆創膏だ)
加蓮(それに、この貼り方……)
楓「それで、パスタ茹でてぇ……さらにパスタ茹でるでしょぉ……」フフフ
加蓮(間違いない……これ、私がカルパッチョさんに貼った絆創膏だ!)
楓「忘れちゃいけない、パスタを茹でてねぇ……」ンフフ
加蓮(パスタとか言ってるし! 揺るぎねえなコレ!)
加蓮「あの! 楓さん!」
楓「はぁい、どうしたかしら?」
加蓮「その指の絆創膏! どうして楓さんの指にあるんですか!?」
楓「……ンフフ……」
加蓮「その絆創膏は確か、カルパッチョさんに貼ったはずなんです!」
楓「……」
楓「……フフッ」
楓「……あ~……そっかぁ……」
楓「加蓮ちゃん、あの子のこと知ってるのねぇ、ウフフ……」
加蓮「え?」
楓「あの子ったら、うっかり手を切っちゃってね……」
楓「まぁ……私も切っちゃったけど……」
楓「要するに、真似たの……絆創膏をマネーで買って……フフ」
加蓮(これは……楓さん、最後まで白を切るつもりだ……!)
加蓮「へぇ、そうなんですか」
楓「フフフ……」
加蓮(こんなに酔ってるのに、危険だけは絶対に避ける……さすがは総選挙万年最上位組……!)
奈緒「はい楓さん、水とコップ持ってきたから」
楓「あら~ありがとう奈緒ちゃん……素敵なお嫁さんになれるわね」ンフフ
奈緒「お、およ……///」ボンッ
加蓮(これは……搦め手でいくしかないか……)
楓「……」オンセーン...オンセーン...
奈緒「……よし、楓さんは寝たな」
加蓮「そうだね……ねぇ奈緒」
奈緒「あ……な、何?」
加蓮「確か今度のオフに、一度実家に戻るって言ってたよね?」
奈緒「うん、そうだけど……」
加蓮「それっていつ?」
奈緒「えっと……2日後」
加蓮「……うん、ちょうど良いね」
奈緒「何が?」
加蓮「ちょっと、私に付き合ってくれる?」
奈緒「別にいいけど……何かあるのか?」
加蓮「うん、私の母校に招待するから」
奈緒「へぇ~、そっか……」
奈緒「ダニィ!?」
後日――
大洗女子学園学園艦――
奈緒「す、すげぇ……!!」
奈緒「あの大洗女子学園の学園艦に立ってる!!」
みほ「それじゃ、出発しましょう」
奈緒「え、出発って……歩くの?」
みほ「ううん、今日は1台迎えを呼んでるから」
奈緒「迎え? 車?」
みほ「う~ん……まぁ、車かな?」
??「おーい!!」ブルルル...
みほ「あ、来た! こっちだよー!」
ナカジマ「おまたせー」ブルルル...
奈緒「スゲェ!!!!!!!! P虎が迎えにやって来た!!!!!!!!」
ナカジマ「……まぁご存知の通り、レオポンはなかなか言うことを聞かない子でね」
ナカジマ「こうして学園艦を1周して、逐一不具合をチェックしているんだ」
奈緒「でも、P虎って碌に動かないものなんだろ? これだけ走ってる時点で凄いんだよな?」
ナカジマ「そうらしいね。でも私たち自動車部としては、まだまだ足りないかな」
ナカジマ「大洗のみんなを先導できるくらいに、もっともっと鍛え上げたいんだ」
奈緒「カッケー!!」
ナカジマ「ツチヤー、ここ直線だからスピード上げてー」
ツチヤ「いくよー!」アクセル!
奈緒「うおぉ!? 加速すごっ!」
奈緒「こんなに古い戦車が、こんなにスピード出して走るなんて……!」
みほ「奈緒さん、ゴメンね? 乗り込むスペースが無いから、外に掴まることになっちゃって……」
奈緒「いいっていいって! P虎に掴まって乗れるなんて、こんな体験めったに出来ないからな!」
奈緒「それで、これからどこに行くんだ?」
みほ「途中で下ろしてもらって、そこから数分歩いたところが、今日の目的地です」
奈緒「そんなところに、楓さんの秘密を知るヤツがいるって言うのか?」
みほ「正確には『楓さんの正体を知る人がいる』……だね」
奈緒「へぇ……世界は狭いなぁ」
ナカジマ「ホントだよねー☆」
奈緒「突然のアイドルネタやめて! ビックリするから!」
15分後――
奈緒「戦車に乗った感覚がまだ抜けない……」トコトコ
みほ「戦車道あるあるですね」
奈緒「あるんだそんなの……」
みほ「はい、到着しました」
奈緒「これはまた、古い一軒家だな……」
みほ「ここにルームシェアしてるのが、カバさんチームの4人です」
奈緒「おー! あの三凸の!」
みほ「……奈緒さんって、詳しいですね」
奈緒「談話室の戦車道の雑誌、いつも読んでるからな」
カバさん荘――
みほ「こんにちは~」ガラッ
エルヴィン「……おや、西住隊長じゃないか」
奈緒(うおぉ! あの三凸の車長だ!)
奈緒(近くで見ると、すげぇ凛々しいなぁ……)
みほ「今日はカエサルさんに用がありまして……」
エルヴィン「カエサルなら部屋にいるぞ、呼ぼうか?」
みほ「お願いします」
エルヴィン「少し待っててくれ」
エルヴィン『カエサルー! 西住隊長が呼んでるぞー!』
カエサル『今行くー!』
カエサル「お待たせ」トコトコ
みほ「お休みのところ、ゴメンなさい」
カエサル「いやいや、特に問題は――!?」
カエサル「あ、あの!」ズイッ
奈緒「……え? あ、あたし?」
カエサル「あなた、CGプロのアイドルですよね!?」
カエサル「名前は……えっと……なお! 奈緒っていう!」
奈緒「あぁ、そうだよ。神谷奈緒」
カエサル「うおおお!! 本物のアイドルだ!?」
カエサル「……握手を……お願いします」テサシダシ
奈緒「これくらいならいつでも」アクシュ
カエサル「すごい……生握手だ……!」アクシュ
カエサル「西住隊長! 奈緒さんとはどういう関係なんだ!?」
みほ「うん……実は今日たずねたのは、それも関係することなの」
カエサル「え?」
みほ「……カルパッチョさん」
カエサル「――!!」
みほ「……人のいない場所で、お話したいんですけど……」
カエサル「あぁ……それなら心配いらない」
カエサル「エルヴィン、しばらく客間を使うから」
エルヴィン「分かった、2人に連絡しておこう」
みほ「なんだか、すみません」
エルヴィン「気にしないでくれ、これはここのルールでもあるからな」
夕暮れ――
奈緒「すみません、こんな遅くまで……」
エルヴィン「構わないさ、また来てくれ」アクシュ
奈緒「ありがとう(うおぉおぉぉぉぉおぉぉぉあの三凸の車長と握手してるうううぅぅうぅぅぅうううぅぅぅ!!!!)」アクシュ
カエサル「それでは、また今度……」
みほ「はい、お邪魔しました」ペコリ
カバさん荘前――
奈緒「結局、何も教えてくれなかったな」
みほ「うん……でも、3日後に楓さんと話す場を作るように頼まれたから……」
みほ「多分そういうことなんだと思う」
奈緒「その、さ……カエサルが楓さんのこと知ってるの、おかしくないか?」
みほ「そんなことないですよ? 楓さんはカルパッチョさんと知り合いだと言いましたし、そのカルパッチョさんはカエサルさんと知り合いですから」
奈緒「そっか……知り合いの知り合いだから、知っててもおかしくはないな……」
奈緒「知っててもおかしくない設定だな……」
みほ「わざわざ言い直さなくても……」
奈緒「でも、そういうことじゃんか」
みほ「うん……」
奈緒「セッティングは話し合い通り、あたしがするよ」
奈緒「あの場にいるメンバーで、楓さんのスケおさえられるの、あたししかいなかったからさ」
みほ「ゴメンなさい……奈緒さんは、3日後はロケ中で、参加できないのに……」
奈緒「いいよ、大洗の学園艦に来られただけでも、大きな収穫だしな」
奈緒「ただ、今日あたしを呼んだ理由だけは聞かせてよ」
みほ「理由……ですか?」
奈緒「そ、理由」
奈緒「だって、キャラバレは大事件のはずだろ? その大事な打ち合わせに、関係者じゃないあたしを呼ぶのって、かなりの冒険じゃないか?」
奈緒「今回みたいに、みんなと事務所をつなげる役割って意味はあるだろうけど、それにしては博打が過ぎるなって思うしさ」
みほ「そんなことありません、奈緒さんが一緒にいてくれたおかげで話し合いもスムーズに済みましたから」
みほ「それに、奈緒さんを呼んだ一番の理由は、そこじゃないんです」
奈緒「え……何だろう?」
みほ「それは……奈緒さんを大洗に招待したかったからです」
奈緒「え?」
みほ「奈緒さんは、雑誌で戦車道を知って、それ以来興味を持って調べてくれて……」
みほ「私はやっぱり、戦車道や皆が褒められるの、嬉しいから……」
みほ「だからこれは、そのお礼……かな?」
奈緒「……ってことは、まさか……」
奈緒「すげー!! あたし、あの大洗の隊長から接待受けてる!!」
みほ「接待……フフwそうかもw」
みほ「あ、そうだ、接待で思い出した」
奈緒「接待でww思い出したww」
みほ「ww……あのね、今夜は会長さんがお鍋を作ってくれるから、奈緒さんもどうぞって……」
奈緒「もしかして、噂のあんこう鍋!?」
みほ「よく知ってるねw」
奈緒「ここの生徒会長さんの得意料理だろ? 雑誌にも載ってたぞ!」
みほ「そんなことまでww怖いww雑誌怖いwww」
みほ「だから、一度学園まで戻るんだけど……」
奈緒「それじゃ、これから歩きか……」
みほ「あ、実はもう迎えは呼んでいます」
奈緒「迎え? P虎?」
みほ「(P虎じゃ)ないです」
??「おーい!!」ブルルル...
みほ「あ、来た! こっちだよー!」
沙織「おまたせー!」ブルルル...
奈緒「スゲェ!!!!!!!! Ⅳ号が迎えにやって来た!!!!!!!!」
みほ「ちょうど自主練中だったので、呼んじゃいました」
沙織「すごーい! 本当にアイドルの神谷奈緒だー!」ガチャッ
優花里「この方が、TPの最後の一角……!」ガチャッ
華「遠路はるばるお疲れ様です」ガチャッ
麻子「早く乗れ、河嶋先輩がカンカンだぞ」ガチャッ
奈緒「全員一斉に顔を出してきたwww壮観www」
みほ「ゴメンなさい、奈緒さんはまた外に掴まっての移動になるんですけど……」
奈緒「大丈夫大丈夫! 大洗のⅣ号なんて、触れるだけで満足だから!」
みほ「良ければ、私の席と交代でも構いませんよ?」
奈緒「いえいえいえいえ! そんな、大洗のⅣ号の車長席なんて、恐れ多くて座れないんで!」ブンバブンバ
優花里(この人……西住殿の席の価値を、分かってますね……!)ゴクリ
麻子「全員位置についたな? それじゃ、出発する」ブルルル...
奈緒「……」
奈緒「これが大洗の夕方……」
奈緒「みほはいつも、この景色を見ているのか……」
みほ「うん」
奈緒「良いなぁ、これ……」
みほ「奈緒さんも、戦車道する?」
奈緒「んー……あたしは、こうしてるだけでもう満足かも」
みほ「フフ……それも戦車道だよ」
奈緒「そうなのか?」
みほ「そうなんだよ」
奈緒「そっか……」
奈緒「……」
みほ「……」
後日――
CGプロ――会議室――
楓「そう……」
カエサル「ゴメン……本当は、最後まで隠し通すべきだったんだけど……」
カエサル「隊長――加蓮がわざわざやって来たのは、私にとって想定外で……」
楓「気にしないで。いつかはバレることだから」
加蓮「私の方からも、ゴメンなさい」
加蓮「どうしても気になってしまって……それでこんな、コソコソと調べるようなマネをしてしまって……」
楓「加蓮ちゃんも気にしないで」
楓「本当はもっと隠し通したかったけれど……たかちゃんのところまで調べられているなら、もう話した方が良いと思うから……」
楓「私の口から、説明するわね?」
カエサル「分かった」
加蓮「お願いします」
楓「加蓮ちゃんの言うとおり、私がアンツィオ高校戦車道副隊長・カルパッチョです」
楓「高校2年生(25)です」
加蓮「いやwwそこまで言わなくてもww」
楓「気になってるだろうな……って思って」
加蓮「確かにwww気にはなりますけどw」
加蓮「w……ふぅ……」
加蓮「それで、どうしてそんなことになったんですか?」
楓「それは、今から10年前……とある事故にあったことから、私の人生は大きく変わったわ……」
加蓮「事故……ですか……?!」
楓「えぇ。その頃私は――」
カエサル「ひなちゃん、ひなちゃん」チョイチョイ
カエサル「8年前だ」
楓「……そうだっけ?」
カエサル「そうだよ」
楓「8年も10年も大差ないわ」
カエサル「……まぁ、ひなちゃんの好きなほうで」
加蓮「ちょw折れないでよw」
楓「あれは……8年前のことだったわ……」
加蓮「採用したw」
楓「事故にあう直前の私は、ちょうど高校生だったわね」
楓「近所に住んでいた、まだ幼稚園に通ってたたかちゃんの面倒をみながら、楽しく過ごしていたわ」
加蓮「ご近所付き合いってやつかな?」
楓「そうそう」ウンウン
楓「それが、部活の帰りに、運転を誤ったトラックと衝突して……」
カエサル「それからずっと、ひなちゃんは病院のベッドで眠り続けていたよ」
カエサル「植物状態の人を見たことはある? 指ひとつ動かさないから、体がどんどん小さくなるんだ……」
カエサル「ひなちゃんは、部活の部長候補と言われるくらい元気だったから、その様子を見るのは本当に辛かった……」
カエサル「そして私がもうすぐ高校生になる頃……」
カエサル「奇跡的にひなちゃんは目を覚ましたんだ」
楓「あの時は、今でも覚えているわ」
楓「お見舞いに来ていたたかちゃんが、すっかり大きくなっていて……」
楓「私を抱きしめて、わんわん泣いていたの」
楓「……何があったのか、私はさっぱり分からなかったけれど」
楓「というか、今私を抱いてる人が誰なのかすらさっぱりだったけれど」
加蓮「えぇ~……」
楓「だって、さっきまで幼稚園だった子が、ちょっと眠ってるうちに中学生になってるのよ?」
楓「『えっこの子誰だっけ?』ってなると思わない?」
加蓮「いや、まぁ……あっなりますね、ハイ」
楓「目が覚めてからは、ショックの連続だったわ」
楓「8年も時が進んでるわ、すでに高校は退学扱いされてるわで……」
楓「だから私、とりあえず青春時代を取り戻そうと思ったの」
楓「それで、私を受け入れてくれる高校を探したんだけど……良さそうなところが1校しか無くて……」
楓「でも仕方ないから、大洗から栃木へ、1人で引っ越す羽目になっちゃったわ」
加蓮「それがアンツィオ高校だったんだ」
楓「ただ、当時は私もまだ照れがあって……」
楓「その……そのまま通うのが恥ずかしかったから……」
カエサル「そこで、私も協力して、ひなちゃんの高校用の変装を考えたんだ」
加蓮「それで出来たのが、カルパッチョさんだった……と」
カエサル「いやぁ、あれは楽しかったよね?」
楓「えぇ、とっても」
楓「私、生まれ変わったら今度は、ブロンドのロングになりたいって思ってたの」フフ
加蓮「それで、実際に夢をかなえたんですね?」
楓「そう。学校ではウィッグをかぶり、目の色はカラコンで隠して通っているわ」
加蓮「もしかして、楓さんのオッドアイって……」
カエサル「事故の後遺症だ。幸い視力には影響無かったよ」
楓「でも、ブロンドロングにオッドアイって目立ちすぎるでしょ?」
加蓮「それはもう目立って仕方ないかな」
楓「アンツィオの皆には楽しくいて欲しかったから、カラコンで目の色は誤魔化すことにしたの」
加蓮「その代わり、元がまったく分からなくなったんじゃ……」
カエサル「大丈夫! ひなちゃんはひなちゃんだ!」
加蓮「アッハイ」
楓「ただ……今も申し訳ないなぁと思うのは、ドゥーチェもペパロニさんも、私がウィッグだってことは知っているんだけど……」
楓「そのせいでペパロニさん、ドゥーチェの髪もウィッグだと思い込んでしまって……」
加蓮「アレ、素で勘違いしてるんだ!?」
楓「私が原因なんです……」グスッ
加蓮「泣かないで、楓さん……辛いのは分かるけど……」
楓「あ、いえ、これは思い出し笑いの涙です」グスッ
加蓮「申し訳なく思ってないですよね?(冷静)」
楓「だって……ペパロニさん、何度も説明したのに、いまだにウィッグだと思い込んでるなんて……」フルフル
カエサル「ひなちゃんの友達を悪く言いたくないけど……あの人は本当にバカだと思う」
加蓮「せめておバカって言ってあげて!」
楓「私が戦車道を始めたのは、アンツィオが戦車道再興に力を入れているって知ったからなの」
楓「昔から戦車道には興味あったから、是非入ろうって思って、すぐ履修しちゃった」ブイッ
カエサル「その後は、想像通りだ」
カエサル「アンチョビ隊長のもとで訓練を重ねたひなちゃんは、現副隊長にまで上り詰めたよ」
加蓮「楓さんは努力家だからなぁ」
カエサル「元々、部活の部長候補になるくらいの運動神経と人格を持っているんだ、むしろ当然のなりゆきだ!」フフン
楓「あら、ありがと」クスクス
加蓮(相変わらず仲良しだなぁ)
加蓮「楓さんが大人だってこと、他のメンバーは……?」
楓「それは皆、とっくに知ってるわ」
加蓮「あ、やっぱりそうなんだ」
楓「というか、アンツィオの子は全員知っているわよ?」
カエサル「高校生に20代が混ざるからな、学校側から説明があってもおかしくはない」
楓「……あっ、それで、副隊長の話は続きがあって……」
楓「多分だけど、私が大人だからって理由で、私を頼ってるみたいなの」
加蓮「確かに、楓さんに相談するときって、すごく安心するかも!」
カエサル「加蓮も、ひなちゃんの良さが分かるのか!?」
加蓮「うん。いつも親身になって聞いてくれるから、すごくホッとするの」
カエサル「だよね! だよねぇ!」ウンウン
楓「昔からそこは自信があるのよ」フフン
楓「ペパロニさんが挑戦と突撃で皆を引っ張るタイプなら、私は安心と安らぎで皆を守るタイプかしら?」
加蓮「そう考えると、アンツィオの副隊長はバランスが良いなぁ」
楓「……実は、たまにドゥーチェも甘えに来るのよ? フフ……」
カエサル「えっ嘘!?」ガタッ
加蓮「なにそれ超見たい!」ガタッ
楓「残念……これより先は2人だけの秘密だから」シー
2人「「ちぇー」」
加蓮「結局楓さんは、精神的には高校生なんですよね?」
楓「そうよ。体が大人になっただけ」
加蓮「楓さんってよく『25歳児』って表現されてますけど……当たり前なんだね」
加蓮「だって、本当に中身は高校生なんだから」
楓「順調に高校生活を満喫していまーす」ピース
加蓮「良かった……8浪の楓さんはどこにもいなかったんだね……」
楓「つまり、私はアレね」
楓「体は大人! 頭脳は子供!」
楓「その名も名探偵……ふふっ、うふふふ……」
加蓮「1人で言って1人でウケてる?!」
楓「逆コナン生活は困難がつきもの……フフ」
カエサル「ひなちゃんのダジャレ好きは、昔から変わらないなぁ……」ナツカシイ
加蓮「楓さんは温泉が大好きですけど、昔からそうだったんですか?」
楓「ううん、違うわ」
カエサル「ひなちゃんの温泉好きは、アンツィオに入学してからなんだ」
加蓮「え、そうなの?!」
楓「私って、8年間寝たきりだったらしいでしょ?」
カエサル「大丈夫ww合ってるからw」
楓「それでお医者さんから、温泉療法をすすめられたの」
加蓮「温泉療法? アンツィオで?」
楓「アンツィオには、ヴェスヴィオ火山を模した山岳地域があって、そこは温泉がたくさんあるのよ」
加蓮「へぇ~、なんか楽しそう!」
楓「練習後に戦車道の皆さんと一緒にはいるうちに、だんだんハマっちゃって……」
楓「入学してから半年で、全部の温泉をコンプリートしました」ブイッ
加蓮「もしかして、お酒飲みながらですか?」
楓「……はい」スマホ
加蓮「あっ! 楓さん(カルパッチョ姿)が熱燗を一杯やりながら温泉に入ってる!!」
カエサル「後でこの写真ちょうだい」
加蓮「……あっ」
加蓮「そういえば決勝戦で、アンツィオ高校の皆さんが寝坊したことありましたよね?」
楓「あったわねぇ」
加蓮「アレ、ずっと気になってたんだよねー」
加蓮「しっかり者のカルパッチョさんもいたのに、どうしてそんなことになったのかな~って……」
楓「あー……そこ聞いちゃうw? タブー聞いちゃうww?」
加蓮「聞いちゃう聞いちゃうww」
カエサル「それはまだ私も聞いてなかったなw」
楓「聞いちゃうww? たかちゃんも聞いちゃうw?」
カエサル「聞いちゃう聞いちゃうww」
楓「えっと……本当に恥ずかしい話なんだけどね……」
楓「前日にパーティ開いてたのよ、アンツィオ生全員で」
楓「こう、前夜祭的なノリと勢いで……」
加蓮「はい」
楓「それで、その……ね?」
楓「私って……好きじゃない?」
楓「あっ、カルパッチョじゃなくて、私が、なんだけど」
楓「アレ、好きでしょ?」
楓「えっと……」
楓「その……お酒が……」
加蓮「……まさか」
楓「パーティのたびに私だけ、みんなと違うボトルを開けて飲んでるんだけど……」
加蓮「あ、うん、それ見たことある」
楓「あれ……お酒なの」
加蓮「コラ高校生っ」
楓「だって、あれって未成年だから飲んじゃダメって話でしょ?」
楓「でも私は25だから、飲めちゃうのよね……」
加蓮「頭脳は子供なのに」
楓「そう、体は……フフフフ……」フルフル
カエサル「一理ある」ウンウン
楓「あの時も私、学園艦からイタリアワインを何本も持ってきてて……」
楓「応援席でチビチビ飲もうと思って、個人的に用意していたんだけど……」
加蓮「発想が完全におっさんw」
楓「皆があまりにも盛り上がるから、その……」
楓「周りの熱に浮かれて……全部、空けちゃった///」
カエサル「アッハッハッハwww」バンバン
楓「だから、ドゥーチェたちは騒ぎ疲れて寝てたけど、私だけ泥酔してたのよ……」
楓「なんならちょっと二日酔い入ってたくらいで……」
加蓮「今明かされる衝撃の真実ゥ!」
楓「いえ、本当は半分起きてる状態なんだけど……」
楓「下手に動くと、リバースが止まらなくなりそうだから、ただただジッと我慢するしかなくて……」
カエサル「ハハハハwww」
楓「本当はすぐにでも、ドゥーチェを起こしたかったんだけど……」
楓「いくらなんでも、10も年下の未成年に、ゲ□掃除させるわけにはいかないし……!」
加蓮「楓さんwwアイドルがゲ□とかw言っちゃダメwww」
カエサル「本当にひなちゃんはwお酒好きなんだからww」
加蓮「楓さんwww完全にアンツィオだコレww」
楓「お願い、みんなには黙ってて~」ヒーン
加蓮「でも、どうして『ひなちゃん』なの?」
加蓮「『たかがき』も『かえで』もそれっぽくないから……芸名?」
楓「せいか~い♪」
楓「本名は……秘密」
加蓮「残念だなー」
楓「でも、ネットで探すことはできるわよ?」
加蓮「えっ? どういうこと?」
カエサル「ひなちゃんが目を覚ましたとき、結構なニュースになったんだ」
カエサル「8年の昏睡の果てに突然目覚めて、しかも後遺症も無かったわけだからな」
カエサル「それっぽいキーワードを検索するだけで、当時の記事がひっかかるよ」
加蓮「そうなんだ! 後でやってみよ!」
楓「ウフフ……」
加蓮「うん、でも納得したかな」
楓「カルパッチョのこと?」
加蓮「それもあるけど、カエサルさんと仲が良い理由の方が」
カエサル「え、何で?」
加蓮「だってアンツィオって栃木の学校でしょ?」
加蓮「大洗のカエサルと幼馴染で、しかもあんなに仲が良いなんて……ちょっと不思議に思ってたんだよね」
加蓮「でも、楓さんが高校入学のために1人だけ引っ越したって聞いて、ようやくスッとしたよ」
楓「正確には、住民票だけ栃木に移して、アンツィオの学園艦に引っ越しました」
楓「長期休暇中でも基本的にずっといるから、悩みを打ち明ける子たちで一杯よ?」
カエサル「そこに、あのアンチョビ隊長も……!」ゴクリ
加蓮「き、気になる……!」ゴクリ
楓「ダーメ♪」
加蓮「そっか……楓さんも大変だね」
楓「加蓮ちゃんもね? まさか、みほちゃんだとは思わなかったわ」
加蓮「理由は違うけれど、お互いカスタムアイドル同士、仲良くしていこ?」アクシュ
楓「えぇ、お願いね」アクシュ
加蓮「……あれ? カルパッチョさんは確か、もう少し背が低かったような……?」
楓「それは今ヒールを履いてるからじゃないかしら?」
楓「ヒールを脱いでみると……」ヌギヌギ
加蓮「あ! カルパッチョさんの身長だ!」
楓「つまり、そういうこと」キリッ
加蓮「突然ヘレンさんネタをぶっこまないでくださいww」
??「……あれ? あそこにいるのは、楓さんと加蓮さんと……顔が見えないから、誰か分からない……」ウーン...
P「おーい、あまりジロジロ見ちゃ失礼だぞ?」
??「はい! 分かったであります!」バッ
P「『あります』?」
??「あっその……分かりました……///」
P「……そろそろ時間だな、車回すから玄関で待っていてくれ」
智絵里「はい!」
続く?
>>1からのおしらせ
よく言われるので敢えて書きますが、
本SSは「アイドル活動がバレるSS」であって、
「アイドル活動がバレないよう隠すSS」ではありません
そのため、登場人物に隠し続けられると面倒なので、
高速でバレる仕様になっています
何卒ご了承ください
というか、1話を公開した時点で、
すでに7話まで書き終わってしまっているので、
もうこの路線のまま進めていきます、頑張ります
なお、アイドルたちが隠し続ける方のSSは、
本SSを書き終えて、プロットを構成して、さらにやる気が残っていたら、
書こうと思います
以上です、ありがとうございました
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