海馬「ゆけブルーアイズ! 滅びのバーストストリーム!!」
城之内「うわぁああああ!!!」
LP0 ピー
海馬「ふはははは! 凡骨は凡骨らしく地面に這いつくばっていろ!」
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城之内「ちくしょぉ……」
遊戯「惜しかったね」
城之内「海馬の野郎、凡骨呼ばわりしやがって」
遊戯「でも、ベスト4だよ。胸を張っていいと思うよ」
城之内「ありがとよ。でもやっぱ悔しいぜ」
城之内「あの時、あのカードさえ引けていれば勝てたんだけどなぁ」
遊戯「引けばよかったじゃないか」
城之内「ははは、そんな簡単に引けたら苦労しねぇよ」
遊戯「え?」
城之内「ん? どうしたんだよ遊戯」
遊戯「城之内君、デスティニードローを使えないの?」
城之内「なんだよそれ。新しいカードか?」
遊戯「……はぁ、それじゃあ海馬君に『凡骨』って言われても仕方ないよ」
遊戯「あのね、真のデュエリストは、ピンチの時やここぞといった時に狙ったカードを引くことが出来るの。それがデスティニードローさ」
城之内「ははは―――――冗談だろ?」
遊戯「そうじゃなきゃ、逆転勝利なんて何度もできるわけないじゃないか」
城之内「なんだよそれ! イカサマかよ!」
遊戯「イカサマじゃないよ。できないほうが悪いんだから」
遊戯「それに、さらに極めるとカードを創造することもできるんだよ」
城之内「……は?」
遊戯「デッキのカードでは対処できない場合に、新しくカードを創造してピンチを乗り越えるんだ」
城之内「じゃあなにか、デスティニードローってのを使えないと海馬には」
遊戯「まず勝てないだろうね」
城之内「頼む! 教えてくれ遊戯! 俺はどうしたらそれが使えるんだ!?」
遊戯「それはね、デュエルを楽しむことさ」
城之内「デュエルを楽しむ?」
遊戯「そうさ、デュエルを楽しんでカードを愛せば、カードは君の思いに答えてくれるさ」
城之内「とは言ってもよ、俺毎回楽しんでるぜ、デュエル」
遊戯「う~ん。さっきから聞いていて思ったんだけど、城之内君は勝ちたいって気持ちが強すぎるんだよ」
城之内「? 何言ってんだ? デュエルは勝つためにやるんじゃないのか?」
遊戯「それも大切だけど、まずデュエルを楽しもう」
遊戯「長い時間かけて作った最高のデッキで、ライバルたちと闘うのが楽しいんだよ。もちろん、負ければ悔しいけど、全力で戦ったら負けても楽しいよ」
城之内「そうか、デュエルを楽しむ、か……あれ?、でも、海馬の奴はどうなんだ? あいつこそ、勝利しか求めてないだろ」
遊戯「それはね……あ~、説明すると長くなるから、実際に見に行こうか」
遊戯「到着しました。海馬コーポレーション」
城之内「いつ来ても嫌味なビルだな」
遊戯「モクバくんにもらった地図だと、海馬君の部屋は―――――あった、あそこだよ」
城之内「ん? 部屋の扉がちょっと開いてやがるな」
海馬「よくやったぞブルーアイズ。ほら、お前のために作った特別性のスリーブだぞ」
城之内「……何やってんだあいつは?」
遊戯「あれが、カードを愛すってことさ。日ごろから愛情をこめて接することで、デュエルの時にカードが答えてくれるんだよ」
城之内「そう……なのか?」
海馬「命削りの宝札もマッサージしてやるぞ。ほら、気持ちいいか」
遊戯「城之内君の言うとおり、海馬君は勝利を求めてたよ」
遊戯「でも、それも過去の話さ」
遊戯「海馬君はブルーアイズが強いから使うんじゃない。愛しているから使ってるんだ。そして、ブルーアイズで敵を殲滅するのが楽しいんだ」
城之内「なんか歪んだ楽しみ方だな」
遊戯「楽しみ方なんて人それぞれさ」
遊戯「可愛い女の子を召喚して愛でるもよし!」
遊戯「ひたすら相手を罠にかけるもよし! 自分の好きなものをカード化するのもよし!」
遊戯「まずはデュエルを楽しむ! デスティニードローが使えるのはそれからさ」
その後、城之内はデスティニードローを極めるために旅に出た。
寝るときはもちろん、トイレの時も風呂の時も、デッキを肌身離さず持ち続けた。
雨の日も、風の日も。
城之内「ドロー! ……ちくしょう」
休む間もなく。カードを引き続けた。
城之内「ドロー! ……だめだ、ひけねぇ」
時には、カードをいたわり
城之内「どうだ、これが有名な穴だぞ。奈落の落とし穴」
時には、カードと語り合った
城之内「なぁ、覚えてるかレッドアイズ。俺たちが初めて会った日のことを」
――――――そして、
城之内「ドロォォォォー! よし! 10回連続で成功だ!」
カランコロンカラン カランコロンカラン
遊戯「いらっしゃいませ~――――って、なんだ城之内くんか」
城之内「……遊戯、デュエルしようぜ」
遊戯「ってことは」
城之内「……ああ、完成したぜ」
遊戯「いいよ、やろうか」スチャ
城之内「おうっ」スチャ
遊戯&城之内「デュエル!!」
遊戯「バトルだ! デーモンの召喚! 魔降雷!」
城之内「ぐぁっ!?」
遊戯「ロケット戦士、撃破!」
LP3100 手札3枚 伏せカードなし
城之内(これで俺のフィールドには何もなくなっちまった)
LP2200 手札3枚 伏せカードなし
城之内(次のターン。デーモンの召喚の直接攻撃をくらったら負けちまう)
遊戯「カードを1枚伏せてターンエンド。城之内君のターンだよ」
城之内(今の手札で逆転することは―――できない)
城之内「ふぅぅ………」
城之内(思い出せ。あの旅を、あの特訓を)
城之内(ここで引けなかったらデッキへの愛が嘘になっちまう。デッキのために、愛のために、俺は引く!)
城之内「俺のターン! ドロォォォオオ!!!」
城之内「……(チラッ) 来たぜ!」
城之内「俺は手札から魔法カード『右手に盾を左手に剣を』を発動! これでフィールド上のモンスターの攻守が逆転!」
デーモンの召喚『攻撃翌力2500⇒1200』
遊戯「しまった!」
城之内「手札から『黒竜の雛』を召喚!」
城之内「このカードを生贄にささげることで、手札から『真紅眼の黒竜』を特殊召喚できる。いでよ! レッドアイズブラックドラゴン!」
城之内「いけレッドアイズ! デーモンの召喚を攻撃! 黒炎弾!」ドギャン
遊戯「うわぁぁああっ!?」
LP3100⇒1900
城之内「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。どうだ遊戯!」
遊戯「凄いよ城之内君。そんなカード初めて見たよ」
城之内「そうだろそうだろ。なんたって俺が創造したカードだからな」
遊戯「僕も本気でいかなきゃ! ドロー!」
遊戯「リバースカードオープン。『融合』! 手札の『バフォメット』と『幻獣王ガゼル』を融合する! いでよ! 『有翼幻獣キマイラ』!」
遊戯「さらに、手札から『死者蘇生』を発動! 甦れデーモンの召喚!」
遊戯「バトルだ! デーモンの召喚でレッドアイズブラックドラゴンを攻撃!」
城之内「う゛っ!?」
LP2200⇒2100
遊戯「キマイラでダイレクトアタック!」
城之内「ぐわぁぁあああっ!!!」
LP⇒0 ピー
遊戯「……あれ?」
城之内「くそぉ、いきなりライフポイントを全部削られちまったか!」
遊戯「……」
城之内「いやぁ、初めて勝てると思ったが、やっぱ勝てなかったぜ」
遊戯「……」
城之内「でも久しぶりに心の底から楽し」
遊戯「ねぇ城之内君、なんで最後ライフポイントを残さなかったの?」
城之内「なんだよその言い方。それじゃあまるで、俺がわざと残さなかったみたいじゃねぇか」
遊戯「だって、伏せカードがあったじゃないか」
城之内「確かにあったけど『ハリケーン』だぜ? 使ったって意味ねぇぞ」
遊戯「まさか……城之内君、ライフポイント100残し、使えないの?」
終わり
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