不肖・逸見エリカのワニさん講座 (30)

ぴっぽっぽ~ ぴぽぴっぽぽっぽっぽ~(例のBGM)

エリカ「皆さんこんばんわ。まさかのスピンオフ主役に腕が鳴る、逸見エリカよ」

優花里「皆さんこんにちは!ワニよりも戦車100周年が気になる、アシスタントの秋山優花里です!」

エリカ「今日はこの私が直々に、すばらしいワニさんの生態を教えてあげるわ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474728118

エリカ「ワニは現存する世界最大の爬虫類!

    恐竜と同時期に地球に現れて以来、2度の大量絶滅を生き抜き、常に生態系の頂点に君臨し続けているわ

    2億年もの間殆どその姿を変えず、今から1億年後でも変わらないとすら言われているのよ」

優花里「最初の回転砲塔付き戦車、FT-17の様に理にかなった傑作デザインだったということですね」


エリカ「まずアシスタント、ワニといえばなにかしら?」

優花里「ダージリンさんの乗るチャーチルMk.VIIをベースとしたチャーチル・クロコダイルですね!

    第二次大戦で最も成功した火炎放射戦車と呼ばれています!

    その秘密は牽引するトレーラーを燃料タンクにしたこと!

    使い切ったり引火したりしたら取り外し、普通の戦車としても戦えるんです!

    チャーチルの改造戦車のプラットフォームとしての魅力ときたらたまりませんね!

    懸架車に地雷除去車、17ポンド砲搭載のブラックプリンス!

    トドメはロイヤル・オードナンスL9 165mm デモリッション・ガンが火を吹くチャーチルAVRE!

    チャーチルはソ連に供与されたこともあるのですが、スターリンが反共主義だったチャーチルの名を嫌って…」ペラペラ

エリカ「…そう、その大きな口ね」

優花里「ああ、全然語り足りないですう!」


エリカ「この大きな口で獲物を狩る姿こそがワニの真骨頂よね

    ワニの狩りは待ち伏せ型。水面に身を隠してじっと待ち構えるの」

優花里「重厚なボディーに高い火力と防御力!防戦で真価を発揮する逸見殿のティーガーIIのようです!

    だからワニがお好きなんですね!」


エリカ「…すさまじい忍耐力の持ち主で、完全に潜っても1時間くらい息を止められるのよ (※魚食のインドガビアルなら3時間)

    さらに目には瞬膜と呼ばれるゴーグルを持っていて、潜る際はこれが目を覆うの

    これは目を保護すると同時に、光を屈折させて水中でもよく見えるようになるすぐれものなのよ

    これがワニの狩りの成功率を高めるの」

優花里「優秀な照準器は先制命中と勝利をもたらす。ライカ社はティーガーIのTZF9b照準器でそれを証明しましたからね」


エリカ「…他にもワニの口元には水の振動を感じ取るセンサーが備わっているわ

    だから獲物が水を飲み始めた絶好のタイミングで襲い掛かることができるのよ」

優花里「戦車に対ゲリラコマンド能力が求められている今、RPG弾頭を捉えるセンサーは不可欠ですよね

    いずれはポーランドPL-01のようなロマン戦車が世界各国に配備される日も…」ジュルリ


エリカ「…(コホン)

    獲物を捕らえたらいよいよ噛み付くわ。しっぽを振って得られる推進力で一気に飛びかかるの」

優花里「おおっ、静止状態からのこの急加速!我が国の10式のようです!」」

エリカ「ワニはこのしっぽ推進により、水面から垂直に大ジャンプすることもできるのよ」

優花里「ああっ!あの巨体が宙に!?ソ連・ロシア戦車の無茶なPVみたいです!」


エリカ「……一度噛み付いたらもう離さないわ。なにせそのアゴの力、実に1万6千N!

    ライオンの4倍!アロサウルスの2倍よ!」 ※イリエワニのデータ

優花里「ええっ!恐竜よりも強いんですか!?」

エリカ「! そうよ、ワニは恐竜よりも強いの!ハトやスズメに進化した連中とは気合が違うのよ(フフン)

    白亜紀に生息していたデイノスクスみたいな巨大種なんか、恐竜を食べてたんだから!

    現代のワニだって、キリンやサイを水中に引きずり込んだ目撃証言があるわ」ドヤァ


エリカ「でも、不思議に思わない?」

優花里「?というと…」

エリカ「見なさい、ワニの歯は円錐形。肉を切り裂くようにはできてないわ

    かといって丸呑みするには獲物が大きすぎる。じゃあどうやって獲物の肉を腹に入れるのかしら」

優花里「そういえば…」

エリカ「その答えがこれよ!必殺"デスロール"!!別名ワニのツイスト!!」

ttps://www.youtube.com/watch?v=28BEwtOAjjY



優花里「あわわ、回転して肉をちぎっています!」

エリカ「レイヨウの首なんか楽勝でひねり切るのよ!

    その回転速度は早ければ毎秒2~3回!かかる遠心力は1tに達するわ!」

優花里「シュトゥルムティーガーのロケット弾3発分ですか!?」

エリカ「…水中でこんな見事な姿勢制御ができるのは、おそらく肺の周りにある筋肉のおかげよ

    空気の詰まった肺は当然水に浮く。その肺の位置を筋肉で調節できれば、水中で姿勢が制御できるわけよ」


優花里「こんな技を使ってワニ自身の歯は折れないんでしょうか…」

エリカ「心配ご無用よ。ワニの歯は重なったアイスのコーンみたいな構造(※<<< ←こんなかんじ)なの

    一番外側の歯が折れてもすぐ内側に新しい歯が生えてるのよ。生涯に千本も生え変わると言われてるわ」

優花里「仮帽付徹甲弾みたいな構造であります!」


優花里「もうひとつ気になるのですが・・・ワニは水中で口を開けて大丈夫なのですか?

     口の中に水が流れ込んでしまうであります?」

エリカ「もちろん対策済みよ。舌の付け根に咽頭弁というのがついてて、これで『喉を閉める』ことができるの!」

優花里「成程!戦車も潜水渡渉の際は砲等に栓をますからね」


エリカ「…ねじ切った肉を飲み込んだら今度は消化器官の出番よ

    ワニの強力な胃酸はヌーのぶっとい骨や角までまるごと消化してしまうほど強力なんだから!」

優花里「昔はHEAT弾のことを燃焼ガスで装甲を溶かす砲弾だと勘違いしてた人が多かったそうですよ」

エリカ「…このように高い捕食性能を持つワニだけど、代謝を抑えることで1年間以上絶食することもできるのよ」

優花里「燃費がいいんですねえ…そこだけはティーガーIIと違うんですね」

エリカ「やかましいわよ!」


エリカ「防御力や生命力だってすごいのよ

    種類によっては海でさえ生きられる環境適応能力!」

優花里「陸海両用の特二式内火艇カミのようです!」

エリカ「…出血した状態で不潔な水中を泳いで雑菌が入ってもへっちゃらの強力無比な免疫機構!」

優花里「M1エイブラムスのエンジンは非常時に備えて、ガソリンやジェット燃料が入っても大丈夫なようにできてるんですよ!」


エリカ「……そしてなんといっても頑丈な鱗!銃弾すら阻むほどの硬度!

    伝説の人喰いワニ、ギュスターヴには機関銃やライフルの弾痕が大量に残っているのよ」

優花里「ええっ!ライフル弾が効かないんですか!?」

エリカ「! ふふん、驚いた?ギュスターヴっていうのはね…」


優花里「機関銃が効かないなんてすごいです!口径はいくつだったんですか!?」ワクワク

エリカ「……さあね で、このギュスターヴなんだけど」

優花里「で、では距離は!?入射角は!?」

エリカ「……知らないわよ  いい、ギュスタ」

優花里「浸炭焼入処理した第二種防弾鋼板のように硬度で弾いたんですかね!?

     それとも焼入高温焼戻後表面焼入処理した第三種防弾鋼板のように衝撃を吸収して!?」

エリカ「…表面でストップしたっていうから後者なんじゃないの…! で、いい!ギュス」イライラ

優花里「ああ、ちなみに司馬遼太郎氏が三式中戦車にヤスリをかけた有名なエピソードも装甲の処理方法にかんけ」

エリカ「ギュ!ス!ター!ヴ!なんだけど!!」


エリカ「ウガンダのアンガニーカ湖とルジジ川に生息する生ける伝説のイリエワニ!

    推定全長はなんと8メートル!」

優花里「T-34と同じくらいですね」

エリカ「まあ流石に過大評価で、実際は6メートルちょっとじゃないかとも言われてるわ」

優花里「B1-bisくらいですね」

エリカ「60歳くらいらしいけど、昔は100歳を超えてるなんて話もあったわ」

優花里「愛しのマークIちゃああん!100歳の誕生日おめでとうございます!!」

エリカ「………犠牲者は300人とか、成獣のカバを捕食したとか信じがたい伝説を持つわ」


エリカ「こんなに犠牲者が多いのは、ブルンジの内戦で戦死者を食べて人間の味を覚えたかららしいわ」

優花里「ブルンジ大統領官邸の襲撃にも戦車が使われたそうなのですが、調べても種類がわかりませんでした…」ションボリ

エリカ「あっそ…このように、積極的に人間を襲う野生動物は何らかの理由で人間=食べ物と学んでる可能性が高いわ

    人を食べたクマを早急に駆除しなきゃいけない理由のひとつね」

優花里「私は人喰いワニといったら思い出すのはラムリー島の戦いですね!」

エリカ「…ナニソレ」


優花里「第二次大戦中の日本軍とイギリス軍の戦いであります

     元々ラムリー島は日本軍の拠点だったのでありますが、悪名高いインパール作戦失敗によって価値が低下。

     手放すことにしたのです」

エリカ「ワニとどう関係あるのよ」

優花里「はい!日本の第54師団長の宮崎繁三郎中将は、長澤連隊長にラムリー島からの全軍撤退を命令を出したのですが」

エリカ「3行で」

優花里「河を泳いで撤退しようとした日本兵がイリエワニに襲われたそうです

     1000人中20人しか生き残らなかったという話ですが、部隊の記録と矛盾するので大分誇張されてるようです

     ギネスブックにも『動物がもたらした最悪の災害』として掲載されてますよ」

エリカ「へぇー」


エリカ「やっぱりワニさんは強いわね!ヒョウやゾウやトラなんて目じゃないわ!」

優花里「黒森峰としてそれはどうかと思いますが…」

エリカ「『最強の動物は何か』みたいな話題で銃を持った人間なんていう奴がいるけどウソね!最強はワニよワニ!」

優花里「わたしはNTW-20を持った人間かかAA-12を持った人間だと思うであります!」

エリカ「おだまり」


優花里「さて、いかがだったでしょうか」

エリカ「素敵なワニさんの魅力、わかっていただけたかしら?」

エリカ・優花里「それではまたいつの日か、お会いしましょう!」


おわり

以上です
明日、HTML化依頼出しときます

読んでくれた人がいましたらありがとうございました

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