百合子さんとウサギさん【ミリマス】 (44)

事務所


杏奈「おはよう…… ございます……」

みんな「わいわい」

杏奈「……」

杏奈「ねぇ、みんな何の話…… してるの?」

星梨花「あ、杏奈ちゃん おはよう」

星梨花「百合子さんがね、ウサギを飼い始めたみたいでペットの話をしてるの」

杏奈「ふーん……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474125662

百合子「ほら! この寝そべってるところとかすっごく可愛いよね!」

未来「わーほんとだ~ わたしもペット飼おうかな~」

静香「未来もペットが欲しいの?」

未来「うん、猫とか、蛇とか飼ってみたいかも」

静香「へ、蛇…… ?」

未来「前にテレビで見たんだ、蛇を首にしゅるしゅるって巻く奴 あれやってみたいな~」

静香「だ、ダメよ未来! あれはテレビだからやってるだけよ! あんなの実際にやったら危険に決まってるじゃない!」

未来「えー、でも響さんもよくやってるよー?」

静香「響さんは特別なの! 響さんの真似なんてしたら命がいくらあっても足りないわよ!」

未来「そ、そうかな…… ?」

杏奈「百合子さん」

百合子「あっ、杏奈ちゃん」

杏奈「ウサギさん…… 飼い始めたの?」

百合子「うん! とっても可愛いんだよ」

杏奈「見せて」

百合子「はい、これ」

杏奈「…… 可愛い」

百合子「だよね! わたしこの子に一目惚れしちゃって」

杏奈「名前…… なんて言うの?」

百合子「『アン』ちゃんって言うんだよ」

杏奈「女の子、なんだね」

百合子「うん、始めてアンちゃんに会った時ね 杏奈ちゃんに似てるなーって思って」

杏奈「杏奈に?」

百合子「そう、だから杏奈ちゃんの『杏』でアンちゃん」

杏奈「そうなんだ」

百合子「『アンちゃん』にしようか『ビクトリア・大和・アレクサンダー』にしようか迷ったんだよねー」

杏奈「…… アンちゃんがいいと思う」

杏奈「……」

百合子「杏奈ちゃんって確かウサギ好きだったよね?」

杏奈「うん、杏奈 ウサギさん…… 好き」

百合子「なら杏奈ちゃんも飼ってみない? ウサギって結構人なつっこいんだよ?」

杏奈「あ……」

杏奈「杏奈の家…… ペット、禁止だから……」

百合子「あっ、そうなんだ……」

杏奈「だ、だから……」

百合子「ん?」

杏奈「だから…… 今度百合子さんの家、行っても…… いい?」

百合子「うん! もちろんいいよ!」

杏奈「…… 楽しみに、してるね」

数日後 事務所


杏奈「おはよう…… ございます……」

未来「おはよー! 杏奈」

杏奈「未来…… 百合子さんは?」

未来「百合子? 向こうでずっとスマホ見てたよ」

杏奈「ありがとう」

杏奈「百合子さん」

百合子「杏奈ちゃん おはよう」

杏奈「おはよ ……何、見てるの?」

百合子「あっこれ? これ凄いんだよ、『ライブカメラ』って言って外に居てもアンちゃんの様子が見られるの」

杏奈「ほんとだ……」

百合子「あ~ 可愛いな~」

杏奈「……」

杏奈「百合子さん、ゲーム…… やろ?」

百合子「あ、ごめん 今忙しいからまた今度でいい?」

杏奈「え……」

杏奈「わかった…… 亜美たちとゲームしてくる……」

その夜 杏奈宅


杏奈「……」

杏奈(百合子さん、やっぱりログインしてない……)

杏奈(今ごろウサギさんと遊んでるのかな)

杏奈(杏奈とゲームするより楽しいのかな……)

杏奈「……」

杏奈『百合子さん、ちょっといい?』

百合子『何? 杏奈ちゃん』

杏奈『明日って百合子さんお仕事休みだよね?』

百合子『うん そうだよ』

杏奈『明日、百合子さんの家にお泊まりしてもいい?』

百合子『いいけど…… ずいぶんいきなりだね、何かあったの?』

杏奈『えっと、百合子さんの飼ってるウサギさん 杏奈も見てみたいなーって…… ダメかな?』

百合子『そっか! まだ杏奈ちゃんにアンちゃんご挨拶させてなかったよね! うん、是非来て!』

杏奈『楽しみにしてるね』

杏奈「…… やった」

次の日 百合子宅


杏奈「」ぴんぽーん

百合子「杏奈ちゃん! あがってあがって」

杏奈「お邪魔…… します」


百合子「ほら、この子がアンちゃん」

杏奈「か……」

百合子「ん?」

杏奈「可愛いぃー!」

百合子「でしょ? こうやってもふもふすると気持ちいいんだ~」

杏奈「も、もふもふ…… !」

百合子「杏奈ちゃんも抱っこしてみる?」

杏奈「うんうん! 杏奈ももふもふしてみたい!」

百合子「じゃあ…… はい アンちゃん、この子がいつも話してる親友の杏奈ちゃんだよ~?」

アン「……」

百合子「抱っこするときはあんまり力を入れすぎないでね あとウサギの耳は凄く敏感だから触っちゃダメだよ?」

杏奈「うん! よっと……」

アン「ふすー! ふすー!」

杏奈「あ、あれ……」

百合子「あぁ、暴れちゃダメだって アンちゃん!」

アン「ぴょん」

杏奈「あっ…… 逃げちゃった」

アン「ちょんちょん」

杏奈「百合子さんのとこに……」

杏奈「杏奈…… 嫌われちゃったのかな」

百合子「そ、そんなこと無いって! きっとアンちゃんも初めて杏奈ちゃんと会ったから緊張してるんだよ!」

杏奈「うん……」

百合子「ほら、こうやって手のひらにご飯乗せて」

百合子「アンちゃーん」

アン「てちてち」

杏奈「あっ…… 食べてる」

百合子「きっとこうしたら杏奈ちゃんにもなついてくれるよ」

杏奈「うん…… やってみる」

杏奈「アンちゃん」

アン「つーん」

杏奈「アンちゃん……」

アン「すす……」

百合子「あれ…… 私の方に来ちゃった?」

アン「すりすり」

杏奈「……」

杏奈「やっぱり…… 杏奈…… 嫌われてる……」

百合子「わ、私だって最初はあんまり触らせてくれなかったから!」

杏奈「うん……」

アン「ぴょんぴょん」

杏奈「…… 元気だね」

百合子「そうなの! アンちゃんって凄く元気でお家から出してあげると部屋中飛び回って、見ててとっても癒される、んだけど……」

百合子「アンちゃん、もうお家に帰ろうね」

アン「ぱたぱた」

杏奈「まだ遊びたそう、だよ?」

百合子「うん、ウサギってね体動かすのが大好きなんだけど、あんまり体力が無くてすぐにバテちゃうんだよね」

百合子「でもそのことに自分では気付けないから、飼い主が判断してお家に帰すんだ」

杏奈「へぇ…… 百合子さん、詳しい……ね」

百合子「えへへ、アンちゃんは私の家族だからね ウサギとの接し方の本だって沢山読んだんだ」

杏奈「…… そうなんだ」

百合子「はい、お家だよ アンちゃん」

アン「ぱたぱた」

杏奈「……」

杏奈「百合子さん…… 一緒にゲーム、しない?」

百合子「あ、うんちょっと待っててね 」

百合子「あー! アンちゃんご飯食べてるー」

杏奈「……」

杏奈「ゆ、百合子さんは…… 杏奈より…… ウサギさんの方が………… 大、事?」

百合子「えっ? 杏奈ちゃん何か言った?」

杏奈「…… ううん」

百合子「アンちゃーん」

杏奈「ぴょんぴょん」

杏奈「てちてち」

杏奈「……」

杏奈「すりすり」

百合子「ひゃっ! あ、杏奈ちゃん…… ?」

杏奈「すりすり」

百合子「ど、どうしたの……?」

杏奈「…… 杏奈はね、ウサギさん…… だよ?」

百合子「へっ?」

杏奈「う、ウサギさんは…… 寂しいと…… 死んじゃうの……」

杏奈「最近、百合子さんが構ってくれなくて…… 杏奈…… 寂しい、よ」

百合子「杏奈ちゃん……」

杏奈「杏奈にも…… もふもふしたり…… すりすりしたり………… ぎゅー……ってして…… いいから」

杏奈「杏奈…… 百合子さんの…… ペットになりたい…… な」

百合子「あ、杏奈ちゃん……」

百合子「ごめん! ごめんね杏奈ちゃーん!」

百合子「確かに最近全然杏奈ちゃんに構ってあげられなくてごめんねぇ!」

杏奈「百合子さん……」

百合子「その分今日はいっぱいぎゅーってしてあげるからね!」

杏奈「うん…… !」

百合子「杏奈ちゃーん…… ぎゅーっ」

杏奈「…… 百合子さん」

百合子「なにー?」

杏奈「今日、だけじゃなくて……」

杏奈「事務所に居るときも…… ずっとこうしてていいよ……」

百合子「ほんと!?」

杏奈「うん…… 百合子さんに、ぎゅってされるの…… 嬉しいから…… 杏奈、好きだよ」

百合子「わ、私も! 私も杏奈ちゃん大好きだよー!」

杏奈「杏奈も…… 百合子さん…… 好き…… だよ」

次の日 事務所


百合子「杏奈ちゃーん!」

杏奈「……」

百合子「すりすり~ ぎゅーっ!」

杏奈「……」

静香「ねぇ……何あれ…… なんで百合子は杏奈に抱きついて杏奈は無言でゲームやってるの…… ?」

未来「昨日百合子の家に杏奈が泊まりに行って、そこで二人の仲が深まったらしいよ? 亜利沙ちゃんが言ってた」

静香「ここ事務所の中よ? いちゃいちゃするのにも限度があるでしょう……」

星梨花「あ、そう言えばわたしこの前ウサギについて調べたんです」

星梨花「ウサギはよく『寂しいと死んじゃう』なんて言いますけど実はそれは嘘で、ひとりでも普通に生きることが出来るんです」

星梨花「ひとりでじっとしていたり、激しく動き回ったり、かと思ったら時々は寂しくて甘えてきたり」

星梨花「ウサギは色々な面を持っているけど、そのぶん様々な表情や仕草で飼い主を癒してくれたり、一緒に遊んで甘えてくれたりする とっても可愛いペット、だそうですよ?」


おわり

次からちょっとしたオマケ 『エスパーユリコ』です

百合子「私は七尾百合子! 昨日怪しげな古書店で催眠術の本を買ってきました! だから早速事務所で試してみます!」


百合子「杏奈ちゃーん!」

杏奈「どうしたの? 百合子さん…… ?」

百合子「私、催眠術師になったの!」

杏奈「???」

百合子「今から杏奈ちゃんに催眠術をかけてみるね!」

杏奈「えっ…… ?」

百合子「杏奈ちゃん、貴女はウサギになります もう一度言います、貴女はウサギになります 催眠術~」

杏奈「わ……」

杏奈「ぴょんぴょん、ぴょんぴょん」

百合子「やった! 大成功です! 大成功!」

ロコ「わ、わわわ……」

ロコ「アンナがラビットになってしまったのです……」

美也「わ~ 凄いですね~」

百合子「あっロコちゃん、美也さん、見てください! 私催眠術師になったんです!」

杏奈「ぴょんぴょん」

百合子「ほら、杏奈ちゃんも今はウサギになってゲームに目もくれず事務所を跳ね回ってます!」

百合子「杏奈ちゃん可愛いー!」

杏奈「ぱたぱたぱた」

ロコ「み、ミステリアスでアンビリーバブルです……」

美也「百合子ちゃん凄いです~」

百合子「そうだ! ロコちゃんにもかけてあげますね!」

ロコ「ろ、ロコはリザーブさせてもらうのです……」

百合子「まぁそう言わずそう言わず、貴女は木になります もう一度言います、貴女は木になります 催眠術~」

ロコ「はっ!」

ロコ「ロコはツリーです」

美也「木になりました~」

百合子「やった! また大成功!」

美也「どうやってやったのか気になりますね~」

まつり「ほ? 何してるのです?」

百合子「あっ、まつりさん!」

杏奈「ぴょんぴょん」

ロコ「ロコはツリーです」

美也「百合子ちゃんの催眠術で遊んでいるんです~」

まつり「催眠、術…… ?」

まつり「ほっ」

百合子「あっ! 笑いましたね!」

まつり「そんなのあり得ないのです」

百合子「えー! ほんとに出来ますよー!」

まつり「もし出来るなら姫をウミウシにでもしてみたらいいのです」

百合子「それじゃあ行きますよ~、貴女はウミウシになります もう一度言います、貴女はウミウシになります 催眠術~」

まつり「……」

まつり「じめじめ」

美也「まつりちゃんが地面に寝そべってじめじめしてます~」

百合子「やった! 大成功ですね!」

志保「何やってるんですか」

百合子「志保! これを見てください!」

杏奈「かじかじ」

ロコ「ロコはツリーです」

まつり「じめじめ」

志保「……」

志保「何ふざけてるんですか」

美也「百合子ちゃんの催眠術なんですよ~」

志保「催眠術って……」

志保「そんなのあるわけないじゃないですか」

百合子「志保までそういうこと言う~」

志保「ほら、ロコさんもまつりさんもいつもみたいにふざけてないで、早く元に戻ってください」

ロコ「ロコはツリーです」

まつり「じめじめ」

志保「いつまで催眠術ごっこ続けてるんですか、こんなところに居たら邪魔ですよ」

ロコ「ロコはツリーです」

まつり「じめじめ」

志保「……」

志保「百合子さんからも早く止めるように言ってください」

百合子「止めるようにって言われても…… 催眠術の解き方はまだ読んで無いし……」

志保「はぁ? まるで本当に催眠術かけてるみたいなこと言わないでくださいよ」

百合子「まるでじゃなくて本当に催眠術だもん!」

志保「えっ…… まさか本当に本当なんですか…… ?」

百合子「本当だよ!」

志保「それなら尚更問題じゃないですか! 解き方がわからないのに催眠術をかけるなんて」

百合子「あ、ごめん……」

志保「ごめんじゃなくて! 早く何とかしてください!」

百合子「え、えっと……」

志保「無責任だって言ってるんですよ! もし本当にこのまま催眠術が解けなかったら

百合子「わぁ~ そんな怒らないで~ ロコちゃんとまつりさんになれ 催眠術~!」

志保「ユリコはレスポンシビリィがミッシングしてるのですよ?」

志保「ほっ? 今姫は何をトーキングしてるのです?」

志保「……」

志保「ユリコ! 早くヒュプノシスをリリースするのです!」

百合子「あはははは! 面白ーい」

志保「ラフしてる場合じゃないのです! 早くしないと姫のびゅーてぃほーでわんだほーなステージの時間になってしまうのです!」

美也「zzz~」

百合子「さてと、解き方を本で調べ…… て……」

百合子「あれ…… あれ…… !?」

百合子「本…… 家に忘れちゃった…… 」

志保「…… そ、それじゃあ姫たちにかかったヒュプノシスは」

百合子「ちょ、ちょっと待って! か、鏡、鏡……」

百合子「よし、貴女は栞 もう一度言います、貴女は栞 催眠術~」

百合子「…… ぱたり」

杏奈「すぅ……」

ロコ「ロコはツリーです」

まつり「じめじめ」

志保「もう! 肝心のユリコがスリープしたら誰がリリースするのですー!」

美也「zzz~」


その後、目を覚ました美也さんがみやみやぱわーで皆さんの催眠術を解いて一件落着しました

もちろん私はとても怒られ、血の滲む思いで修得した催眠術は禁断の術となってしまったのです……

読んでくれた方ありがとうございます。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom