「瑞鳳の航空隊が活躍したの?やったぁ!」 (27)
とりあえず立ったら妄想物語を駄文で上げていく
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「瑞鳳の航空隊が活躍したの?やったぁ!軽空母だって頑張れば活躍できるのよ!」
我が鎮守府の司令室に甘く甲高い声が響いた。
「あっ。その...ごめんなさい...。」
瑞鳳は顔を赤らめて謝った。
「次から気をつけてくれ。では話を戻そう。」
私は続けてこう言う。
「先のカムラン半島攻略作戦ご苦労であった。先ほど言ったように今朝あがった戦果報告書によると最も武勲を挙げたのは瑞鳳であった。」
「瑞鳳は敵巡洋艦4隻と敵空母1隻、戦艦1隻を撃破という快挙であった。」
「また、他の艦娘らもよくやってくれた。諸君らの活躍によりカムラン半島攻略作戦は完遂された。」
「大本営はここを足がかりに更なる作戦展開を予定しているそうだ。」
「これから深海棲艦との戦いは更に激化すると予想される。」
「諸君らは次の戦いに備えて十分な休息をとりたまえ。以上。」
この作戦に参加した艦娘達は敬礼をして司令室を出て行った。
ここは南西諸島にほど近い比較的小さな鎮守府である。
私はここで司令官として海軍に従事している。
南西諸島の近くではあるがさほど重要ではないので私のような若造が司令官として選ばれた。
重要拠点ではないので資材や物資も豊潤とは言い難い。
しかし今回の作戦において我が鎮守府はカムラン半島を深海棲艦から取り戻すという快挙を成し遂げた。
大本営にもこの報告は伝わっているはずである。近いうちに連絡が来るだろう。
~数日後~
トントントン 司令室のドアを叩く音がした。
「○○一等兵であります。大本営より封書を預かってまいりました。」
ドアの向こうで声が響く。
「入りたまえ。」私は言った。
「失礼します。」
ドアが開き私より幾分若い将兵が入ってきた。将兵は一礼した後こう言った。
「こちらが大本営より預かりました封書であります。どうぞ。」
将兵が差し出したのは小さな封書であった。
「うむ。ご苦労であった。下がりたまえ。」
私はこう言い将兵を部屋から出した。
「瑞鳳、この封書を開けてくれ。」
私は戸棚で書物の整理をしている秘書艦の瑞鳳に声をかけた。
「天山はー...ってあっなに?提督?」
瑞鳳は忙しいようで書類を机の上に並べながらこちらを振り向いた。
「いや、忙しそうだな。私が開けるから整理を続けてくれ。」
私はこう言って封書を開けた。
『先ノ作戦ニ於ケル貴君ノ戦果ニ対シテ、提督及ビ武勲艦娘ニ勲章ヲ授与スル事トナッタ。◯月×日一一三○ヨリ授与式ヲ行フ。遅レズ出席スルコト。』
先の作戦に対して我が鎮守府の活躍が認められ勲章を授与することになったのである。
手紙には武勲艦娘に対しても勲章を授けるとある。つまり瑞鳳だ。
授与式まであと2日あった。しかしここから大本営までは汽車で約8時間かかる。
なので授与式当日にここを出たのでは間に合わない。なので明日から出発する必要がある。
私は急いで準備をすることにした。
「瑞鳳、先の作戦の成功に対して私と君が勲章を授与することになった。出発は明日だ。急いで準備しろ。」
瑞鳳にもこう伝えた。
「えぇ!私が!?提督と一緒に!?」
瑞鳳は驚いた。
「そうだ。武勲艦娘にも勲章を授与するそうだ。明日の朝出発する。急いで身支度をするように。」
「う、うん。わかった。」
瑞鳳は戸惑いながらも戸棚の整理をやめた。
「朝から大本営に行くってことはおべんとが必要よね...。」
瑞鳳は私には聞こえないほどの小声で何かをボソボソと呟きながら司令室を出て行った。
~翌日~
「では行ってくる。万が一深海棲艦がこの鎮守府に戦闘を仕掛けてきても留守中は近辺の鎮守府が守ってくれるそうだが、くれぐれも気をつけるように。」
私は残った艦娘にこう伝えて瑞鳳と共に鎮守府を後にした。
1時間後駅に着き汽車に乗った。
汽車はさほど混んでおらず私と瑞鳳は向かい合って4人席に座った。
瑞鳳は汽車に乗るのが初めてのようで少しそわそわしていた。
私は軍人たるものいつでも気を張っているべきという考えから背もたれにはもたれずに座った。
数分後アナウンスと共に汽車が動き出した。
「うわっ!動いた!」
瑞鳳は驚いたように声を出した。
動いて当然だろう。と私は思ったが口には出さなかった。
「私、ずっと鎮守府にいたから陸の乗り物って初めてなんですよねー。」
瑞鳳は私に言った。
「そうだったのか。なら物珍しいのもわかるが、あまりはしゃぎすぎないように。」
私は瑞鳳に注意した。
「はーい...。」
注意された瑞鳳は少し寂しげに返事をした。
それから1時間ほどして汽車は街を外れて田園風景の広がる田舎道を走り出した。
瑞鳳は目を輝かせながらその風景に見入っていた。
「瑞鳳、そんなにこの風景が珍しいか?日本中にある風景だぞ。」
私はふと疑問に思ったことをつい口に出した。
すると瑞鳳は楽しげにこう答えた。
「だって私陸の風景って初めてなんだもん!それに全く同じ風景ってないでしょ?」
「だから移り変わっていく風景がとっても楽しいの。海ってほとんど風景が変わらないから。」
なるほど、と私は思った。確かに彼女たちは鎮守府で生まれ鎮守府で育っている。
なのでこんな平凡な風景でも初めて見るので珍しいのだろう。それに海とは違って風景が変わるので楽しいのも頷ける。
そう思うと彼女たちは海の上をひたすら航行して深海棲艦と戦い、人間陣営を支えてくれている。
我々人間は彼女たちに返しても返しきれないほどの恩があると思った。
そんなことを考えていると向かいの席から声が聞こえた。
「提督、あの...私、おべんと作ってきたんだけど一緒に食べない?」
瑞鳳は少し気恥ずかしそうに言った。
「うむ、ありがとう。いただくとしよう。」
私は次の駅で弁当を買うつもりでいたがありがたくいただくことにした。
「わっ、ほんと?えへへ...よかった。提督の好きな卵焼きもたくさん焼いたから。」
瑞鳳は嬉しそうに言った。
「ん?どうして私が卵焼きが好きだと知っていたんだ?」
私は少し驚いた。確かに私は卵焼きが好きだがそれを誰にも話した覚えはない。
海軍学校時代の親しい同期にも特に言った覚えはなかったし、当然鎮守府では誰にも言ってはいなかった。
「えっ、だって提督、食堂間宮でいっつも副菜で卵焼き頼んでるでしょ?」
瑞鳳はきょとんとした顔で言った。
私は概ね司令室で食事をするのだが、間宮で食事をするとこも稀にある。
確かにその時は毎回卵焼きを頼んでいた。しかし間宮で食事をする時は一人で食べていた。
「確かに間宮で食事をする時は毎回頼んでいたな。でも君と一緒に間宮で食事したことはあったか?」
私は率直に瑞鳳に尋ねた。すると瑞鳳はこう言った。
「ううん、一緒に食べたことはないけど、提督が食べてるとこは何度か見かけたから。」
「それに私提督がいたらそっちばっかり見てたし。あっ」
瑞鳳はハッとして少し顔が紅潮したように見えた。
私はそんな瑞鳳を見て少し鼓動が早くなったように感じた。
「まあいい。ありがとう瑞鳳。」
そう言って私は瑞鳳の手作り弁当を食べ始めた。
「私も食べよっ。」
瑞鳳はそう言うと鞄の中を探り始めた。
私は瑞鳳も弁当を出すのだろうと思った。
「あっお箸一膳忘れちゃった...。」
瑞鳳は小さな声で呟いた。私は気を利かせたつもりでこう言った。
「私が食べた後でよかったらお箸使うか?もちろん嫌なら次の駅で貰えばいいが。」
すると瑞鳳は驚いたような顔をして顔を俯けボソボソと何か呟いた。
えっ...それって間接キs...いやっでも提督は気にしてないみたいだし...。」
「でも...私としては嬉しい...ケド....えっでもそんなのって...。」etc
髪の間から覗かせる耳は赤くなっているように見えたが気のせいだと思った。
電車に乗ってからずっと気を張っていたのでお腹が空いていたのか、私はあっという間に弁当を平らげてしまった。
「瑞鳳、ありがとう。美味しかったよ。」
私はこう瑞鳳に言うと瑞鳳は驚いたように顔を上げた。
「えっ全部食べちゃったの!?一緒に食べようと思って二人分作ったつもりだったのに。」
瑞鳳は少し悲しげに言った。
「そうだったのか。それは本当に申し訳ないことをした。」
私は頭を下げて謝った。すると瑞鳳はこう言った。
「ううんいいよ。美味しかったらなそれで。次の駅でおべんと買うね。」
「間宮さんの卵焼きとまではいかないかもしれないけど喜んでもらえてよかった。」
瑞鳳はこういうが私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「お詫びと言ってはなんだが弁当は私が買ってくるから君は座っているといい。あと間宮の卵焼きよりも美味しかったぞ。」
私が最後に付け加えた一言は罪悪感から来るお世辞ではなく本当のことだった。
瑞鳳は驚いたようだったが、すぐに笑顔でこう言った。
「本当に?嬉しい。提督さえよければ毎日でも作ってあげる。」
私は冗談だと思いこう返した。
「あぁありがとう。またお願いするよ。」
瑞鳳はまるで思っていた返事とは異なる返事が返ってきたような顔をしたが少し嬉しそうだった。
程なくして次の駅に着いた。
私はすぐに汽車を降りて弁当を買いに走った。
しかしお昼時なので思った以上に弁当を求める人が多く、弁当を買う列ができていた。
仕方ないので列に並び弁当を買うことにした。
やっと弁当が買えるところまで列が進んだ途端、汽車が出るアナウンスが流れた。
私は急いで代金を渡し弁当を受け取った。
走り出す汽車。焦る私。急いで汽車の乗り場まで走る。
足腰には自信があったが汽車は次第に速くなっていく。
乗り場まであと数十センチのところで私の走る速度よりも汽車が速くなってしまった。
だめだ。間に合わない。そう思ったその時、乗り場から白く細い腕と共に半身を乗り出した瑞鳳が叫ぶ。
「提督!掴まって!早く!」
私は咄嗟に手を出し、小さな手のひらをつかんだ。
すると瑞鳳はおよそ女性とは思えない力で私を引き上げた。
その反動で私と瑞鳳は乗り場の廊下で折り重なるように倒れこんだ。
「イタタタタ。」
私が目を開けると私が瑞鳳の上に乗るような形になっていた。
「提督?大丈夫?」
瑞鳳が目を開けた。
その瞬間瑞鳳の顔が真っ赤になったのがわかった。
「て、提督!?顔が近...っていうか顔が近...。」
瑞鳳が顔を手で覆う。驚いて私はこう言った。
「ず、瑞鳳!?大丈夫か!?どこか痛むか?すまない!」
すると瑞鳳は蚊の鳴くような声でこう言った。
「違うよぉ...顔が近くて...もぅ...提督のバカァ...。」
力尽きた
続きはもしかしたかまたいつか書くかもしれない
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