P「愛meets絆フェス、ですか?」【P4D/P3/アイマス】 (45)

アイギス「潜入捜査、ですか?」
アイギス「潜入捜査、ですか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419343867/)


の続きのお話です。
P4Dの世界にP3とアイマスのキャラも出てきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1472998484

=765プロ事務所:社長室=

高木「ああ、あんまりうちの事務所では受けていないような仕事なんだが、是非出て欲しいのだよ!」

P「それで、響と真の2人ですか。ダンスメインという話なら、この人選は納得です。ただ、普段のフェスといったら3人組ですが・・・」

真「そうですよ、2人で、ってのは不利じゃありませんか?」

高木「実は先日、ティンと来た女性がいてね、そろそろ来る頃だと思うのだが」

ガチャ
??「頼もーであります!」
小鳥「はー・・・あ、アイちゃん?」
??「こんにちは、音無さん。今日はこちらの社長さんに呼ばれているであります!」


高木「おや、来たようだね。音無くん!お通ししてくれたまえ」

P「アイちゃん・・・愛ちゃん?876の?」

響「でも今の声は違ったぞ」

アイギス「失礼いたします。本日よりお世話になります、アイです」

真「うっわー、美人さん…」

響「顔体型がカンペキだぞ…」

P「は、はじめまして、プロデューサーをやってます、Pです」

アイギス「よろしくお願いします」

P「えーっと、おいくつなんですか?」

アイギス「年齢はちょっと…高校を卒業して2年になります」

響(年齢伏せても高卒2年ってことは、ほぼわかっちゃうよな)ヒソヒソ

真(いや、ダブってるのかも)ヒソヒソ

P(お前ら聴こえるぞ)ヒソヒソ

アイギス(ガッツリ聴こえているであります)

高木「さて、改めてなんだが、愛meets絆フェスティバルというイベントの仕事だ」

「失礼かもしれませんが、社長がフェスの仕事を持ってこられるのは珍しいですね」

高木「実は、このイベント、落水くんのイベントでね。かなり大きいハコを用意しているそうなんだ」

響「おちみずくん?」

真「あー、あのおばちゃんかー、ちょっと苦手なんだよなあ」

P「響は一緒に仕事したことがなかったか。落水さんな。まあ、カンペキ主義、というか、な」

高木「メインはタクラプロのアイドル2組らしいんだが、それだけでは正直なところ、パンチが弱い。
そこで、今をときめく765プロに是非、という落水くんからのたっての希望でね」

響「そういわれると光栄だな!真!」

真「なんかダシにされるだけのような…」

高木「まあ菊地くんの見方も、もっともだ。客観的に見ればそれが正しいかもしれない。
しかし、かなり大きいイベントだからね。君たちがより有名になるチャンスとして、むしろこちらが利用してやりたいと思う」

P「なるほど、面白いですね」

高木「しかし、正直なところ我々の事務所は団結の事務所。今、あえて絆の話を振り返るでもなかろう。
そこで新戦力のアイくんと、菊地くん、我那覇くんに、イチから絆を構築して貰いたい」

P「絆の構築、ですか。興味深いですが、イベントは当日1回きりなんですよね?そのためだけに新人を?」

高木「いや、来月の本番まで毎週、出演者の近況報告をテレビで取り上げてもらうことになっているそうなんだ」

アイギス「私のミッションは、その大会で菊地さん、我那覇さんのお二人とともに敵を蹴散らし、優勝することなのですね?」

高木「まあうん、蹴散らすという言い方は穏やかじゃないが、そういうことだね。それまでに鍛錬が必要だけども」

アイギス「承知しました!それでは早速、敵のデータを教えていただきたいのですが。
戦闘はまず敵を知る事から始まります」

P「アイさんはなかなか、やる気十分ですね」

響「タクラプロか。最近はかなみんキッチンとよく番組で会うよね」

真「うん、かなみんキッチンだったら相手に不足はないね!」

高木「そのとおり、かなみんキッチンがメインで出てくるそうだ。
あとは、菊地くんと我那覇くんは馴染みが共演経験がないかもしれないが、久慈川りせが本格復帰してくるらしい」

Pアイギス「「!!」」

P「りせちーですか!?本格復帰してくるのか。これは手強い」

アイギス「私、久慈川さんと一緒の舞台に立つんですか?」

P「お、アイさんはりせちー知ってるんだね」

アイギス「ええ、久慈川さんの力は凄いです。心して戦わないと」

高木「ああ、彼女は手強いよ。それじゃ私はちょっと用事があるので、後は頼むよ。事務的なことは音無くんに任せてある」

P「わかりました」

今晩はここまでです。

=ダンスレッスン場=
P「さて、今回はshiny smileで行こうと思うんだが、アイさんはダンス未経験という話だし、とりあえず1回、見ていてもらおうかな」

アイギス「はい、しっかりと記憶回路に焼き付けます」

P「真、響、それじゃ行ってみよう」

まこひび「はい!」「行くぞー!」

♪♪♪


パチパチパチ
アイギス「お見事でした。見入ってしまいました」

P「うん、いいじゃないか」

アイギス「それでは私も、やってみてよろしいでしょうか」

P「はい…え?アイさん、いま一度見ただけですけど!?」

アイギス「ええ、全ての動きを記憶しましたので、その通りに再現します」

響「プロデューサー、とりあえず一回踊って貰おうよ。それで、直すべきところとか、見つければいいんじゃない?」

♪♪♪


アイギス「ハイ!」「サイ!」


♪♪♪


アイギス「よしっ、やーりぃ!」




--
---

アイギス「ミッション、コンプリートであります!」



P響真「」

真(こ、この人何者だ?初めて踊ったとは思えない…)

響(ほ、本当に完璧に踊ったぞ…)

P(響と真が思わず出す口癖のタイミングまでピッタリだった…)

響「ん?ちょっと待った。自分、踊りながらハイサイなんて言わないぞ!」

P「響、たぶん無意識なんだと思うがハイサイ言ってるぞ」


響「え」

P「アイさん、未経験という話でしたが一体・・・そもそも、社長とはどこで?」

アイギス「実は、短期なんですがたるき亭さんでバイトをしていました」

真「え、そうなんだ」

アイギス「たまたま、最後のお仕事の日の帰り際に、たるき亭の前で高木社長にお会いしまして」

P「あー、そのパターンか」

アイギス「ティンと来た!とおっしゃられました」

真「765あるあるだね」

アイギス「次の勤め先も決まっていたのですが、せっかくの機会なので、そちらに許可をとって、
1ヶ月こちらでお世話になることにしたんです」

P「そうか、アイさんもう学生じゃないんだっけか、学生時代の成績は?体育とか良かった?」

アイギス「いえ、化学と数学は多少できる方ですが、体育はほどほどです。いろいろと力加減が苦手だったので」

響「アイさん、芸能界に不安とかなかった?自分、沖縄から出てきたときはいろいろ不安だったぞ?」

アイギス「ええ、知り合いにモデルをやってる女性がいるので、芸能界の話は少し聴いたことがありました」

P「モデル?あー、そういえばさっき、りせちーのことは知ってるみたいだったけど」

アイギス「いえ、久慈川さんもちょっとお知りあいなんですが、最近テレビでフェザーピンクをやってる岳羽ゆかりさんと、高校のクラスメートでした」

真「凄い!知り合いなんだ。フェザーピンクかっこいいよね!」

アイギス「はい。芸能界で困ったら、相談するように言われています」

P「それはよかった。でも…」

アイギス「?」

真「なにかあったら、僕たちにも相談してよね!」

P「そう、その通りだ」

響「そうだぞ、もう仲間なんだからな!あと、呼び方も下の名前でよんで欲しいぞ!仲間だからな!」

ハム蔵「ジュジュイ!」(そうだぞ!このハム蔵にも気兼ねなんか不要だからな!)

アイギス「仲間…そうですね。ありがとうございます、真さん、響さん、Pさん、えーと、ハム蔵さんはどこからが下の名前なんでしょう?」

響(あれ、ハム蔵の名前って教えたっけ?)

さかのぼること2日前、シャドウワーカーオフィス。
私、アイギスはたるき亭での任務を終え、通常任務をこなしている日々。
そんな中で臨時のミーティングが開かれることになりました。
我々シャドウワーカーズが、定例でなく臨時のミーティングを行う・・・
つまり、どこかでシャドウ反応、またはその可能性を示唆する現象があったことを意味します。

美鶴「アイギス、新しいミッションだ」

アイギス「はい、なんでしょうか」

美鶴「また、ですまないのだが、内偵案件だ」

アイギス「それは、私ご指名なのでしょうか?」

美鶴「実はだな…」

美鶴さんの話によると、こうだ。
深夜0時に一大イベントである、愛meets絆フェスティバルの告知映像をみると、
その人がパソコンや携帯電話に吸い込まれて、中の世界に行ってしまい、二度と目を覚まさない。こういうウワサが若者の間で流れている、と。

アイギス「パソコン、ないし携帯電話の中の世界に、シャドウが存在する可能性があるということですか?」

美鶴「その可能性は排除できない。それならば私達シャドウワーカーが確認しなければなるまい」

順平「ああ、そういやそんなウワサがあるって少年野球のガキ達が話してたような…」

風花「順平くん、それ報告は…?」

順平「え、いやぁ、だってただのウワサだと思うじゃん!?こんなのでも報告しなきゃまずいんだっけ?」

ゆかり「順平…」

明彦「先日の件がなければ、単なる噂と一笑に付すところなんだ。無理はないさ」

美鶴「ああ。その通りだ。ただ、明彦のいうように先日のこともある。そしてこれが本当だとすれば、
今後はウワサレベルでも情報収集を怠らないようにしないといけないな」


先日のこと。私達が巻き込まれた、マヨナカアリーナという事象だ。

そして、その舞台であった町では、人がテレビに入れる「マヨナカテレビ」という事象は前年からあったらしい。
そしてテレビの中にはたくさんのシャドウがいたが、高校生達がシャドウに打ち勝ってきたという。
あの時はテレビ、今回はパソコンや携帯電話。似ている、と言えば似ているなー。


明彦「まあ、その情報1つで初動をとるのは難しいさ。順平、気にするな」

順平「ういっす。先輩の優しさ、マジ感謝っす!」

美鶴「ときにアイギス、君は765プロという芸能事務所にスカウトされていたな」

アイギス「はい。たるき亭での潜入捜査を終えるときにスカウトされました」

風花「褒められるやり方ではないんだけどね、諸々の通信を傍受したら、実は今回のイベントに765プロからの出演枠があるみたいなの」

美鶴「本来、こういう芸能関係の事には、ゆかりを充てるべきなのかもしれないと思ってな、ゆかりには昨晩のうちに相談していたんだ。
ただ、主催者サイドと彼女の所属事務所の関係が悪いようでな」

ゆかり「っていうか私が落水さん、あー、落水さんって今度のイベントのプロデューサーなんだけど、
あのオバちゃんと合わなくって、仕事蹴っちゃったことあるんだよねー」

ゆかりさんらしい、といえばゆかりさんらしいエピソードだ。
ゆかりさんを怒らせた落水さん、という方はどんな方なんだろうか。
友近さんのような優柔不断な人間だったりするのだろうか。

美鶴「ということで、ゆかりは必要な情報があれば我々と、アイギスに流してほしい。
特に、芸能界に立ち入る、ということになれば、いろいろと所作振舞いからして注意が必要だろうからな」

ゆかり「わかりました。っていっても、わたしも結構やりたいようにやってるけどなー」

美鶴「明彦と伊織は、今後も発生するであろう、『被害者』についての追跡情報探索だ。
あとはイベント当日、会場に客として潜入してもらう」

明彦「イベント会場か。そういう場で活動するのも公安は若いうちに通る道だ、と黒沢さんが言っていたな」

順平「まじで?生のかなみんキッチン観れるのはちょっと楽しみだなー」

そこからはトントン拍子に話が進みました。
私をスカウトした高木社長に連絡をとると、驚いたことに先方から今回の愛meets絆フェスティバルへの出演を前提とした打診がありました。
ちょうどこのイベントへの出演者を1人、探していたというのです。
私の身体能力についてのスペックを知らない段階で打診をしてくるとは、高木社長の眼力は凄いのかもしれません。

事務所で引き合わされ、トリオを組むことになったお二人、
菊地真さんと我那覇響さんともすぐにうちとけることができました。
難点といえば、食事くらい。
一応「パフォーマンス」としての食事はできないわけではないですが、
少量にとどめざるを得ません。あとはとにかく水分をとるようにしないといけない。

あとは、ビジュアルレッスンも向いていません。
アイドルらしい笑顔、ということになると、私よりも姉さんの方がうまい筈です。

しかし、パソコンに人が吸い込まれてしまう、という事象についてはなかなか情報が掴めませんでした。
当然、美鶴さんや真田さんも情報収集にあたっていて、
定期的に情報交換はしているものの、そちらでもなかなか情報がないとのこと。
そこで、響さんと真さんに、この話をしてみることにしたのでした。

響「ジョークにしても随分物騒だぞー、それ」

アイギス「すいません、ちょっと耳にして、気になっていて」

真「いや、謝る話じゃないって。むしろ、相談して貰ってうれしいよ。
でもうーん、そういう噂話は、小鳥さんが一番詳しいんじゃないか?」

響「そうだね、おーい小鳥ー!」トテトテ

小鳥「そういえば、そういう噂、掲示板でみかけるわね。
しかも最近、それ系の書き込み多いのよねー。うふふ…」

響「ちょっと小鳥!おどかさないで欲しいぞ!」

小鳥「ごめんなさい。それじゃ折角だからその動画、見てみる?」

真「え、でも危ないんじゃ」

小鳥「大丈夫よ。噂だと、深夜0時に動画を見ていることが条件なのよ。いまお昼の2時だから問題はないわ」

アイギス「確かに。問題の時間まで10時間と7分あります」

小鳥「といっても、今の最新動画は、きのうテレビでOAされた映像そのまんまだけど…久慈川さん達のね」

久慈川さん達。
の、映像に私は息を飲む。

そこに映っているのは、つい先日、マヨナカアリーナで一緒に戦った、仲間達だ。

アイギス「鳴上さんに花村さん、里中さん、天城さん、巽さん、白鐘さん・・・まさか皆さんも出演するんですか?」

響「アイさん、全員友達なのかー?」

小鳥「久慈川さんたちのチームはみんな同じ高校の仲間なのよね」

アイギス「一度、彼女たちの地元の町に行ったことがあるんです」

真「へえー、こんな大きい舞台で再会できるなんて凄い!偶然ってあるんだね!」


正直、彼らとこんなに早く再会できるとは思わなかった。
しかし、彼ら稲羽のペルソナ使いと自分がこのイベントに関わる…これは偶然なのだろうか。
それとも、集まるべくして集まっているのだろうか。
この再会、素直に喜んでよいのだろうか。わからない。

その日の夜-
シャドウワーカーオフィス。またしても召集がかかりました。

美鶴「疲れているところ済まない。ただ今日はいろいろと進展が有ったので、情報共有の場を持たせてもらった」

いろいろ、か。
私に、事件直接の収穫はない。辛いところだ。

美鶴「それじゃ…まずはゆかりから頼む」

ゆかり「はい、えーっと・・・今回のイベントに出演予定のアイドルが4人、今日午後から行方不明になったみたいなんです」

順平「アイドルが4人も!?一大事だよそれ!」

明彦「順平落ち着け。それで情報は?」

ゆかり「行方不明になったのはかなみんキッチンの、かなみちゃん以外の4人です」

風花「今日の夕方更新された動画情報では、4人とも体調不良ってことになっていて、
かわりに堂島菜々子ちゃん、という小学生とかなみさんが二人で出演していました」

明彦「ん?堂島・・・?」

美鶴「調べてみたが、警察への行方不明の届けは出されていないようだ。それで明彦の方は?」

明彦「ああ、ちょっとここ数日、被害者が増えているということで、調べていたんだが」

順平「じ・つ・は!俺たち以外にも調べてるやつがいたんすよ!」

明彦「おい順平、俺の話を遮るな。どうも、この絡みで公安のデータベースにアクセスしようとしている人間がいて、な。調べたところ、
稲羽署所属の堂島という刑事だ。休暇中らしいんだが」

風花「え?また堂島…?」

美鶴「私の方でも調べてみた。堂島刑事は、稲羽のペルソナ使いの鳴上君の叔父らしい」

これは・・・
やはりこの一件、彼らペルソナ使いもしっかりと関係しているのでしょうか。

アイギス「あの、私からもいいでしょうか」

美鶴「アイギス、君からも何か報告があるのか?」

アイギス「はい。今の真田さんからのお話しを聞くまで、気に留めていなかったのですが。
今回のイベント、久慈川さん以外にも、稲羽のペルソナ使いの方は全員出演します」

明彦「なんだと!?」

ゆかり「マジ!?」

風花「偶然にしては」

順平「出木杉くんだよなー」

美鶴「他の事務所の出演者までは気に留めていなかったな…
しかしペルソナ使いというのはどこかしら引き合う運命があるようだからな。これも運命か」

アイギス「そうかもしれません」

美鶴「しかし、彼らに仕事をさせたくはないな」

明彦「そうだな。俺たちにも先輩としての意地がある!ましてや俺たちはプロだからな」

順平「しかしここまでネタが揃ってくると、アイドルちゃんの失踪もシャドウ絡みなんすかね?」

ゆかり「うーん、一人だけだったら、仕事から逃げちゃうってのもあるけどねー」

美鶴「そうだな。やはりシャドウが関係あるのかもしれん。
明彦と順平は当日、会場でのアイギスのバックアップを頼むぞ。
私と山岸は後方から支援する」

順平「ん?ゆかりっチは?」

ゆかり「私は落水さんから目をつけられてるから、会場入りNGなんだよね。残念だなー」

順平「よっしゃ、お目付け役がいないなら、アイドルをしっかり堪能できますよ、真田先輩!」

明彦「お前はこの仕事をなんだと思ってるんだ…」

愛meets絆フェス当日。

P「さすがにこの規模だと、楽屋もたくさんあるなー」

真「あ、あったあった。ボクたちの楽屋こっちですよ!」

響「ちょっとまってよーまーこーとー」

P「おいおい、2人とも浮き足立つなよ?
今回が初舞台になるアイをしっかりサポートしてくれよ?」

アイギス「ご心配なく。わたしは冷静です」

このイベント会場の裏側というのは、なるほど一見は迷宮だ。
しかし、タルタロスの探索で鍛えた私には、これくらいどうってことないのであります。

P「あ、どうも井上さん!」

井上「あ、765のPさん、どうもご無沙汰してます」

P「聞きましたよ。かなみんキッチンのメンバーがみんな体調不良とかで、大変ですね」

井上「あ、ええ、そうなんですよ」

この男性、井上さんというようだが、かなみんキッチンの話を振られた瞬間、発汗と心拍が尋常でなくなった。
話の流れからいくと、かなみんキッチンの関係者なのだろう。まだ行方不明のままなのか。

P「あ、そうだ。うちの今日の出演、菊地真と我那覇響、アイの3人です。みんな、挨拶を」

3人「よろしくお願いします」

井上「やあ、よろしく。菊地さんと我那覇さんはテレビ局でなんどかお見掛けしていますが、
アイさんははじめまして、かな?」

アイギス「はい、はじめてお目にかかります」

P「アイは、タクラプロさんの久慈川さんやバックダンサーの高校生の皆さんと面識があるらしいんです」

井上「!」

今の反応…異常だ。体温が一瞬で0.3℃上がった。
私が久慈川さんたちと知り合いなことが、まずいというのだろうか。

響「ねぇねぇプロデューサー、自分、その鳴上さんたちに挨拶したいんだけどいいかなー?」

井上「え?鳴上くんに!?」

真「そうだね、アイさんの友達なら、仁義を切ってから正々堂々とぶつかりたいよね!」

井上「いや、それはちょっと…彼ら、なんだかんだいって素人だから、
いきなり765さんのバリバリのアイドルとあいさつしたら、ちょっと緊張しちゃうんじゃないかな…」

P「ですよね。お前たち無茶をいうな。今行ったら、相手をびっくりさせてしまうかもしれないだろ、
そうなったらかえってフェアじゃなくなってしまう。終わってからにしたらどうだ?」

井上「そ、そうそう。終わってからにしてもらう方がいいかなあ」


嫌な予感がする。彼らの強心臓っぷりは私たちシャドウワーカーにひけをとらない。
私たちを鳴上さんに会わせられない、何かの理由があるのだろうか。


井上「あ、それじゃすいません、ちょっと忙しいので」

P「お引き止めしてすいません、それではまた」

…と、去っていったものの、数十メーター向こうで井上さんが、スタッフに話しかけられている。

スタッフ「ちょっとタクラプロさん、かなみんキッチンの予定変更はわかったけど、りせちーはリハ不参加なの?
困るんだよねー。しかも落水さんまでいなくなっちゃうしさー」




確信した。
久慈川さんたちに何かが起きている。

と、そのとき、風花さんからの通信が入ってきた。


風花『アイギス、聴こえる?』


聴こえる、といってもペルソナを通しての通信だ。
Pさんにも、響さんに真さんにも気付かれない。

アイギス『聴こえるであります』

風花『ちょっとユノを通して久慈川さんに呼びかけてみたんだけど、
いま会場近辺にはいないみたいなの。何か情報ない?』

アイギス『久慈川さんたちも行方不明になってしまったようです。
これは一体。まさか何者かに彼らが倒されてしまった…』

言い終わる前に、風花さんが言葉を被せてくる。

風花『ただね、ちょっと気になることがあるの。
この数時間、断続的になんだけど、久慈川さんや鳴上くんたちの
ペルソナが発動しているのを数秒おきに感じるの。すごく遠くにペルソナがいて、
とぎれとぎれにその様子が伝わってきているみたいで』

つまり、ペルソナで戦っている、ということか…?

美鶴『アイギス、君の出番はタクラプロの1つ前だったな?』

アイギス『はい』

美鶴『彼らが狙われた、ということは、敵の狙いはペルソナ使いかもしれん』

アイギス『確かに、そうかもしれません。私はどうすれば?』

美鶴『今事を起こすと、相手に怪しまれる可能性がある。
君たちは、予定通りの演目を演じるんだ』

アイギス『ペルソナの発動は?』

美鶴『観衆の面前だが、やむを得ない場合は発動だ』

アイギス『条件付き許可ですね、理解しました』

美鶴『一応、ステージ最前列に明彦と伊織が待機している。
必要に応じてコンビネーションで戦ってくれ、私と風花もサポートする』

順平「真田さん、こういうライブイベントの最前列なんてすごいことなんですよ!?
せっかくだから楽しみましょうよ」

明彦「お前、任務だってことわかってるのか?」

順平「いいですか真田さん、敵はこっちを監視してるかもしれないんですよ?
周りの客と同じようにハジけてないと、目立っちゃいますって」

明彦「それはそうだが…」

順平「あーもー、しょうがない。いいですか、真田さん。
いまのこの場所っていうのは世界ヘビー級タイタルマッチのリングサイドで観戦してるようなもんです」

明彦「リングサイドだと!?」

順平「任務の一環とはいえ、リングに立つものに対する敬意は大事っすよ」

明彦「そ、そうか。順平…気づかせてくれてありがとう」

順平「いえいえ、あ、次アイギスっすよ」

『『うおーー!まこちー!ひびきー!アペwrナmうrw@、ゑー!!?!』』

真田「?お、おい、順平、なにかおかしくないか?」

順平「いやだなー真田さん、こういうのは、お祭りなんですから我をわす・・・れ・・・え?えええ?なんすかこれ?」

真田「周りがシャドウだらけ、だと!?」

アイギス「!!」

シャドウの気配!?まさか、こんな人の多いところで?


風花『シャドウ反応、多数!イベント会場アリーナの客席です!』

美鶴『何ということだ、明彦!大丈夫か!』

明彦『美鶴か。いや、このシャドウの連中なんだが、こっちを襲ってくる気配はないぞ』

順平『なんかあれっすねー。ライブを楽しんでいるっていうか、いや、もうちょっと殺気立ってはいるかな?早く踊れー!みたいな、そんな雰囲気っす』

風花『そんなこと…え、これって』

アイギス『どうされました?』

風花『アナライズしてみましたが、確かに攻撃能力は無いようです。弱点は、えーっと…え?ダンス?』

???『あ、繋がった!よかったー!あの、そのシャドウ、こっちからの直接攻撃は一切効かないんです!』

美鶴『君は久慈川くんか!?無事だったのか?』

りせ『あ、桐条さん、ご無沙汰してます。あの、細かい説明は抜きです。ちょっと急を要しますから!』

美鶴『わかった、手短に行こう。我々はどうすればいい?』

りせ『次のステージ、アイギスさんたちですよね?』

風花『もう始まるところよ。止めるほうがいいの?』

りせ『いえ、最高のダンスをシャドウに見せつけてください!
5分後には私たちが行きますから、それまで繋いでいただけますか?』

美鶴『私たち…そうか。君たちはまたそうやって…。わかった。アイギス、聴こえているな?』

アイギス『はい。ミッションは理解しました。私たちはダンスをとにかく踊ればいい、しかし響さんと真さんは…』

りせ『アイギスさん、大丈夫。しっかりダンスを踊れれば問題ないわ。
しかも響ちゃんと真くんでしょ?あの二人なら、765の中でも特にこういう舞台にうってつけだから大丈夫!』

アイギス『承知しました』

しかし、目の前には異形のシャドウがわんさかといる状況だ。私はともかく2人は平静でいられるのだろうか?

とにかく、持ち時間なのは間違いないので、私たちは袖から舞台へと一気に出ていくしかない。


響「あー!な、なんだこれー!!」

やっぱり。

真「ほんとだ、これ、なんの仮装なんだろう?」

ほら、やっぱ・・・え?仮装?

響「どうするー?会場の仮装に触れずにダンスだけ踊るってまずくないかー?」

真「わかんないよ。美希とかだったら流行押さえてるんだろうけどなー・・・」


な、なんと、予想外の反応。お二人とも天然だとは思っていましたが、ここまでとは。
しかしこれは好機。私がなんとかすれば、この場はうまく対応できると思われます。

アイギス「私に任せてください!」

アイギス「シャドウのみんな、ノってるかーい!」
ウォォォォォォォーン!

これでつかみはOKであります!

響「そ、そうそう!シャドウっていうコスプレなんだよ!真は知らなかった?行くぞー!」

真「そうなんだ!よーし、わかった!行くぞー!」


・・・
・・・
・・・

(演奏終了)

ひびまこアイ「みんな!ありがとー!」

りせ『アイギスさん、ありがとう!あとは私たちに任せて!』

久慈川さんからの通信だ。
さすがに私たちもずっと舞台上にいるわけにはいかない。そろそろ離脱しないとまずいだろう。
アイギス『後はお任せします!りせちー!』

りせ「任せて!このシャドウ、ダンスを決めれば倒せるの!」

通信ではない?

そう、久慈川さんは、既に袖にいるのだ。
久慈川さんだけではなく、他のみなさんも。
皆さん緊張の面持ちだ。
これはイベントの緊張、というよりはシャドウに対峙するときのそれだろう。

響「アイ、そろそろハケないと」ヒソヒソ

アイギス「そうですね。撤退しましょう」

私たちが袖にはけると、スタッフが一人もいない。これは異常なことらしい。

響「スタッフさんが一人もいないなんておかしくないか?」

真「久慈川さん達がリハーサルに来てなかったから、ぶっつけでいろいろバタバタしてるんじゃないか?」

いや、違う。どういう仕掛けかわからないが、この場には、「演者」以外はいないのだ。
客席の人がみんなシャドウに入れ替わっているのだから。
順平さんと真田さんは耐性があるからか、客席でシャドウにもみくちゃにされていたが。

そして思ったとおり楽屋に戻るまで、スタッフが一人もいなかった。
そして今は風花さんや美鶴さんへの通信が繋がらないので状況がわからない。

と、真さんが楽屋のモニターの電源を入れる。
真「あれ、モニター付かないよ。さっきは見れたよね?」

響「なんだこれ、壊れてるんじゃないか?」

モニターは、舞台全体、というか客席も含めた会場全体を引きで撮る、固定カメラの映像が映るはずだ。
これが映らない、というのは…影時間にいろいろな機械が止まる、ということと同じなのだろう。

風花『アイギス、聴こえる?』

通信が入るようになった。状況が変わったのだろう。

風花『トラブルはすべて解決したわ。会場のシャドウは人に戻っているみたい』

美鶴『行方不明と思われていたアイドルも姿を現したようだ。この分だと、行方不明者はみんな戻ってきたと考えてよさそうだ』

アイギス『よかったです。しかしまた後輩たちにいいところを持っていかれましたね』

美鶴『彼らに危険な橋を渡らせるのは心苦しいが、結果的には良かっただろう、
私は社交ダンスくらいしか踊れないし、彼らの方が適性があった。そういうことだろう』

アイギス『この後、私はどうすれば?』

美鶴『君は、今日いっぱいは765プロの一員だ。それを完遂してくれ』

アイギス『承知しました』

真「アイさん、舞台どうだった?」

響「カンペキなダンスだったな。まあ、自分もカンペキだったけどな!」

アイギス「はい。今日は絶対失敗できない舞台でしたから、一生懸命やりました」

真「ボク、アイさんとこういうイベントに参加できて本当に楽しかったよ!」

響「自分もだぞ!良かったら今度、うちにも泊りにおいでよ、ね!」

アイギス「はい。実は昨晩レッスンが終わったとき、ハム蔵さんにもおうちへ誘われていたので
よかったら是非お邪魔したいと思います」

響「えー、ちょっとハム蔵、手が早すぎるぞ!」





高木「キミ、昨日のフェスはバタバタしたようで、大変だったね。アイくんはどうだったかね?」

P「ええ、正直なところ、ダンスはトップレベルの腕前です。スタイルもいいし、顔もチャーミングですし」

高木「うちにずっといてもらって、改めてキミがプロデュースする、というのはどうかね?」

以上です。
ありがとうございました。
ペルソナ5楽しみです。

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