ア淫夢ドルマスター 迫真デレラガールズ ステロイドステージ (1000)

二度目の初投稿です
(書き溜めは)ないです

前スレはこ↑こ↓
ア淫夢ドルマスター 迫真デレラガールズ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447214531/)

クッソ長いですがこの機会に読んでください、オナシャス!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469883914

立てておいてなんですが今日の更新はありません

バイトォ!?

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」 
↓ 
信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか? 
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ 
いちいちターキー肉って言うのか? 
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」 
↓ 
鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。 
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋 
↓ 
信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw 
んな明確な区別はねえよご苦労様。 
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」 
↓ 
>>1「 ターキー話についてはただ一言 
どーーでもいいよ」 
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです 
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ! 
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」
ハート「チェイス、そこの鰹節をとってくれ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469662754/)


余談
7 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:06:48.44 ID:10oBco2yO
ターキー肉チーッスwwwwww
まーたs速に迷惑かけに来たかwwwwwwwww

9 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/07/28(木) 09:12:33.84 ID:LxY8QrPAO
>>7
はいNG設定


この速さである
相変わらずターキー肉くん=>>1という事を隠す気も無い模様

31 ◆xmciGR96ca4q sage saga 2016/07/28(木) 12:50:19.79 ID:g6WSU+sH0
昨夜寝ぼけてスレ立てミスったんで憂さ晴らしも兼ねて久々のロイミュ飯でした。書き溜め半分残り即興なんで色々アレかもしれませんがアレがアレなんでアレしてください何でもシマリス(熱中症

建てたら荒れると判ってるスレを憂さ晴らしに建てる
つまり>>1は自分の憂さ晴らしにs速を荒らして楽しんでる

うーん、いつも通りのクズ>>1で安心するわー

A会場 控え室

ガチャ、バタン!

RN・MY・遠野「!?」

P「っはぁ、なんとか間に合ったか!」

RN「び、ビックリした……」

遠野「本番前には来れないのかと思いましたよ、もう」

P「いやぁ、スイマセーン(レ)」

RN「電話してくれれば良かったのに。まぁ、社長から連絡はあったけど」

P「本番前に俺のことで気が散ったらまずいかと思ってな」

RN「疲れてるのに無理してない? 大丈夫?」

P「あ、いやそれは本当に大丈夫だ。今日の事はまぁ自己管理の甘さというか」

RN「そっか。ならいいけど」

「すいませんそろそろスタイバイお願いしまーす」

P「うわっもう始まるのか、本当にギリギリだったな」

RN「じゃあ行こっか、二人とも」

遠野「僕たちのステージ、見ていてください!」

P「おう、頑張れよ!」

MY「……プロデューサーさぁん?」

P「ん?」

MY「このステージが終わったら、少しお話したいことがあるんですけど」

P「えっなにそれは。別に構わないけど」

MY「ありがとうございます。それじゃあ、また後で……」

P(なんかヤバい予感がする、しない?)

――――

ザワザワ…ガヤガヤ…

P(三次予選無敗同士の対決ともあって、会場は満員だ)

「それではただいまよりIU三次予選4回戦、

『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』
vs
『ザ・ヒーローズ』

の対戦を行います!」

ヴォースゲー…

P(アナウンスと共に会場のボルテージは上がっていき――)


HKR「みんな! 待たせたな!」

EMT「(決めポーズ)」ビシッ


遠野「ぼっ、僕たちのステージに来てくれてありがとうございます!」

MY「まゆたちの愛のパフォーマンス、見届けてくださいね」

RN「愛……?」


ワァァァァ! キャー!

P(凛たちの登場で興奮は一気に最高潮へ達した!)

「それでは、パフォーマンスを開始してください!」

~♪

HKR「ふっ、てやっ、とおっ!」

EMT「……!」ビシッバシッ


P(やはり多田野たちを負かしただけあって、向こうは相当やるようだ)

P(しかし凛たちも負けてない。昨日しっかりと調整したのだろう、連携がとれている)

P(遠野も少しずつダンスが上達してきてるし、完璧になる日も近いな)

P(に、しても……)

ワー! キャー! カッコイイー!

リンチャーン!アーイキソ

P「……うっ! げほっ、げほっ」

P(二日酔いの頭にこの大音量の歓声はかなり来るな……)

P(吐き気がこみ上げて来ちゃったよ、ヤバいヤバい)

P(観客は気にせずアイドルだけ見ていよう……)


「変身・Z!」

パァァァァ…!


P「うおっまぶしっ!」

P(多田野たちの時より変身するのが早いな、出し惜しみは無しか)


HKR「説明しよう! 松平ジョーはみんなの友情パワーを受けて、超人サイバーZに変身できるのだ!」

EMT「(決めポーズ)」ビシッ

キャー!ワァー!


P(何度見ても度肝を抜かれるパフォーマンスだなこれは。否が応にも客の注目は向こうへいく)

P(凛たちはこれにどう対処するか……)

遠野「なんすかあれ! まずいですよ!」

MY「聞いてはいましたけど、目の当たりにするとやっぱりビックリしちゃいますねぇ……」

RN「落ち着いて。私たちはいつも通り、やってきたことをそのままやればいいんだよ」

遠野「は、はいっ!」

~♪


P(慌てずに普段通りの動きが出来てるな、いいゾ~これ)

P(が、技術的な面はともかく会場の流れは相手に傾いたままだ……)


HKR「ラストスパートだ! サイバーZ、行くぞ!」

EMT「……ああ」


P(スタミナ切れも無いと見えるし……勝負は分からんな)

ワァー! キャー! ギャー!

P「ふぅー、深呼吸、深呼吸……」

P(サイリウムが視界の中でぐるぐるしている。くそ、目が回ってきた)

P(二日酔いってこんなにつらかったか……?)

P「頑張れみんな、耐えろ、俺……」


HKR「最後は必殺キックだ! みんなの力を貸してくれ!」

EMT「はぁぁぁぁっ――」

HKR「今だ! いっけー!」


P(うぐっ、あ、頭が割れるように痛い!)


「イー…」


P・EMT「!」

P(な、なんだ? 今視界の端に何か……いや、それより――)


HKR「じょ、ジョー? どうしたんだ……?」

EMT「……!!! わ、悪い」

HKR「あっ、えっ、と。まだ友情パワーが足りない! みんな、もう一度力を貸してくれ!」

ワー!


P(明らかに今、あの松平ジョーとかいう奴の動きが止まっていたぞ。まさか俺と同じで、何かに気づいて?)

P(いや、そんなことはないか。そもそも何を見たのか、もうよく思い出せない……)

P(そういえば、頭痛も収まったな)


「そこまで! パフォーマンスを終了してください!」

P「っと、そうこうしているうちに終わってしまったか」

HKR「ジョー、さっきは一体どうしたんだ?」

EMT「気が動転して、動けなかった……すまない」

HKR「……いや、過ぎてしまったことはいいんだ! どこかで取り返せば!」

HKR「これからもまた、ずっと一緒に……頑張れるよな?」

EMT「……ああ」


遠野「はあっ、はあっ、やれることは、ちゃんとやれましたよね?」

RN「うん。よくできた……と思う」


「それではただいまの結果を発表いたします」


P(会場はさっきまでの熱気が嘘のように静まりかえっている)

P(さて、どうなるか……)

P「……」

P「…………」

P(もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!)

「…………」

P(いくらなんでも静か過ぎないか?)

P(いや……!客が誰一人ピクリとも動いていないぞ!?)

P「!」

P(お、俺もだ! 俺も体が動かせない!)

「イー」「イー!」「イー…」

ゾロゾロ…

P(全身白タイツの何者かが観客をかき分けて俺を取り囲んだ!)

P(な、なんだこいつら!?)

「観客の体内エネルギーを調べている時、こいつは妙に反応が強かったな」

P(どこからか声が聞こえてくる……)

「それに体は動かないようだが今も意識はあるらしい」

P(……! 思い出したぞ、さっき一瞬見えたのは――)

バサッ

メガデス怪人「こいつもアイドルと共に連れていって実験材料にしてくれるわ!」

「イー!」「イー!」

P(凛が言っていた緑色の不審者だ!)

メガデス怪人「まずは完全に気絶させるとしよう」

ビィィィィ!(ホモビーム)

P「ンアッー!?」

P(い、意識が遠のいていく……何者なんだ、こいつらは……)

メガデス怪人「まだ耐えられるか。ならばもう一発!」

ビィィィィ!

P(だ、駄目だ……)

バシィッ!

メガデス怪人「な、何っ、俺の攻撃を遮るとは何者だ! ……いや、やはりお前だったか」

サイバーZ「…………」

メガデス怪人「裏切り者の超人サイバーZ2号!」

P「な、なんだ!? サイバーってこいつのキャラ設定だろ?」

P(あ、喋れるようになったぞ)

サイバーZ「メガデス……どうしてお前たちがここに居る」

メガデス怪人「それを聞きたいのはこっちだが、まあいい。先に答えてやろう」

メガデス怪人「我々メガデスは改造手術以外でも強力な戦士を作る方法を模索していた。そのための手段として既存戦闘員の強化が検討されたのだ」

メガデス怪人「そして発見したのがアイドルと呼ばれている人間たちだ。奴らの体はどういうわけか、普通の人間では考えられない程のエネルギーを有している」

メガデス怪人「そのエネルギーを抽出して我らの戦闘員に与えると……こうなる!」

ブスッ

「イァーッ!」

P(何かの液体を注射された白タイツの筋肉が一瞬にして盛り上がり、体格が一回り大きくなった!)

サイバーZ「これは……」

メガデス怪人「もっともこうなった戦闘員の寿命は格段に短くなってしまうがな」

P「ヴォースゲー……ってまさか、今までのアイドル遅刻事件は――」

メガデス怪人「察しがいいな、その通りだ。我々の実験材料、エネルギー源とさせてもらった」

P「なんてことを……どうなんだよ人として!」

メガデス怪人「私は人ではない! 怪人だ!」

P「あ、そっかぁ。じゃあしょうがないか」

サイバーZ「……納得するな」

P「お、おう。つい乗ってしまった。お前、 そのエネルギーを取られたアイドルたちはどうなるんだよ!」

メガデス怪人「そんなことは我々の知ったことではない」

P「なんだと……でも確か不戦敗になったアイドルたちもLIVEの後はしっかり姿を見せていたはずだぞ? 記憶はないらしいが……」

メガデス怪人「ククク、そう簡単に研究材料を手放す訳がないだろう。変装した戦闘員を送り込んでいるのだ」

P「アホぬかせお前。そんなんじゃすぐバレちゃうだろ!」

サイバーZ「洗脳や催眠はこいつらの得意分野だ、不可能じゃない」

P「マジすか(棒読み)」

P(じゃあ今でもアイドルたちは捕らわれてるっていうのか!?)

メガデス怪人「さあ今度は貴様の番だサイバーZ、何故我々メガデスを裏切った!」

サイバーZ「俺は言われたことをやっただけだ。サイバーZ1号を倒せ、という命令をな」

メガデス怪人「そんな屁理屈は通じないぞ。その後メガデスの使いを何度も送ったはずだ!」

サイバーZ「……さあな」

メガデス怪人「ならばここでもう一度命じよう。サイバーZ2号! 我々メガデスの下へ戻れ!」

サイバーZ「…………」

P「なんだよサイバーZって……」

メガデス怪人「説明してやろう、そいつも元は我々メガデスの改造人間なのだよ」

P「うせやろ?」

サイバーZ「…………」

メガデス怪人「答えろサイバーZ2号、メガデスに戻ると」

サイバーZ「……俺はもうメガデスには戻らない。今の俺はアイドルだ」

メガデス怪人「何ィ~? ふざけた事を~」

サイバーZ「ここで俺を消すっていうなら……逆にお前らを倒すぞ」

P「おい、待てい! こんなSFみたいな話があるか! 全部嘘なんだろお前?」

メガデス怪人「呑気な奴め、この期に及んでまだそんな事を言うか」

サイバーZ「残念だがこれは現実だ。メガデスも、超人サイバーZも……お前も攻撃を受けただろ」

P「そ、それは、そうだが……」

メガデス怪人「ククク、お前らにもっと残酷な現実というものを見せてやろう」

パッ!

P(落ちていたステージの照明が点いた!?)


HKR「う、うぅ……」

「イー!」


サイバーZ「光!」

P(壇上には多数の戦闘員が居り、その中の人が南条光を肩に抱えてこちらを見ている!)

メガデス怪人「はーっはっはっは! アイドルというものは素晴らしい、我々のエネルギーにもサイバーZを釣るエサにもなる!」

サイバーZ「この……!」

メガデス怪人「おっと動くな。動けばその小娘を今すぐ[ピーーー]。ついでに――」

グッ

P「うわあっ!」

P(デカい戦闘員に後ろから羽交い締めされてしまった)

メガデス怪人「その男は実験材料とする、押さえていろ」

「イー!」

メガデス怪人「さあサイバーZ、一緒についてきてもらおうか」

サイバーZ「くっ……」

「ウギャー!」「イァーッ!」

メガデス怪人「な、なんだ!?」

「ギャギャー!」「イー…(瀕死)」

P(ステージ上の戦闘員が次々倒されていく)

メガデス怪人「なんだ、何者だあいつは!」

P「あれは、まさか……!」

「アイオライト・ブルー!」

ドォォォォン!

P「凛!」

P(ってどういうことなの……)

HKR「ぅ、あれ?」

RN「大丈夫?」

HKR「あ、ああ……」

RN「ここでじっとしてて。すぐに……終わらせるから!」

シュタッ…ストッ!

P(一度のジャンプで俺の目の前まで跳んできやがった!)

P「凛、お前その姿は……」

http://i.imgur.com/EgWs1Dh.png

RN「思い出したんだ、私の蒼い力の事を。あの日騎空士たちと戦った記憶を……」

P「ハァ?」

RN「まあ話は後にして。今は、このよく分からない怪人を倒す方が先」

メガデス怪人「え、ええい! お前らやってしまえ!」

「イー!」「イァー!」「イー」

RN「うずくまって!」

P「んなこと言われても体勢が――」

バシィッ!

「イァーッ……」

P(サイバーZが後ろの戦闘員を蹴飛ばした!)

サイバーZ「誰か知らないが……協力してくれるか」

RN「共闘ってこと? そういうのも……悪くないかな!」

ビシィッ,ドカッ! ジャキン、「イァー!」

P(凛たちとメガデス激しい戦闘が始まった)

P(というか凛、剣で容赦なくぶった斬ってるんですけどそれは大丈夫なんですかね……)

ガキィィン! ボコッ,ドカーン!

「アーッ!」「ンアーッ」「イキスギィ!」

P(周りの観客へのお構い無しに、メガデスの戦闘員が吹っ飛んでいく)

P「夢なら覚めてくれ……」

とりあえずここまで

ガキッ! バギャーン!

「ウギャギャー!」「イギャー!」

RN「あらかた倒せたみたいだね」

メガデス怪人「お前らちゃんとやれ! 腰が入ってないんだよ!」

「すいません(素)」「イー(瀕死)」

サイバーZ「雑魚はもういい。本命を一気に叩くぞ」スッ

RN「分かった……!」チャキ

メガデス怪人「え、ええいこうなれば!」

P「な、なんだ!?」

メガデス怪人「逃げる!」

「「「イー!」」」

タッタッタ…

P「逃げんじゃねーよ!」

RN「追うよ!」

サイバーZ「ああ!」

タッタッタ…

P(俺はここに残ってたほうが良いか? でもそこら辺で気絶してる奴らが復活したらやばいな……)

P「そういえばまゆと遠野は?」クルッ

MY・遠野「…………」

P「他の観客と同じで固まってる見たいだな……ん?」

HKR「うぅ、くっ……」

P(なんだ? ステージを降りてこっちに向かってくるぞ)

P「おーい! どうした? ケガしてるんだろ、じっとしてろよ」

HKR「こんなのかすり傷だ……それよりもジョー、サイバーZの所へ行かなくちゃいけないんだ」

P「サイバーZなら大丈夫さ。凛も居るし、あの怪人だってもうやられかけだ」

HKR「約束したんだ、ジョーがアイドルになった日に……これからは二人で一人のコンビだって」

P「……知ってたのか? サイバーZが本物のヒーローだって」

HKR「ううん、そんなの初めて知ったよ、今だってビックリしてるさ。でもジョーなら、不思議はないかな」

P「あぁん、なんで?(レ)」

HKR「初めて会った時もサイバーZのカッコだったんだ。カッコいいけど、変なヤツだと思った」

HKR「でも一緒に居て、話して、アイドル活動をして分かったんだ……ジョーには正義の心があるって」

HKR「だからジョーが本当にサイバーZとして悪の組織と戦っていても、不思議はないんだ」

P「……なるほどね」

HKR「アタシは行かなくちゃいけないんだ。邪魔なだけかもしれないけど、それでもジョーが戦ってる間じっと待つなんて出来ない!」スッ

P「まあ、待て」ガシッ

HKR「止めないでくれ、お願いだ!」

P「止めないよ。俺のアイドルも戦ってるんだ、一緒に行こうぜ」

HKR「! ……ああ、行こう!」

タッタッタ…

会場外 駐車場

スタッ

RN「逃がさないよ!」

メガデス怪人「ククク、逃がさないだとぉ~? 馬鹿め、貴様らは俺の罠にまんまと嵌ったのだ!」

サイバーZ「なんだと?」

メガデス怪人「さあ来い! 戦闘員ども!」

RN「今さらそんなのが何人居てもーー」

「イアー!」「ワギャー!」

RN(さっき一人だけだったデカいのが大勢いる?)

メガデス怪人「こんなこともあろうかと会場の外にアイドルのエネルギーを注入した強化戦闘員を待機させておいたのだ!」

メガデス怪人「さあ行け! 一斉にかかるのだ!」

「ギャウー!」「イーッ!」

サイバーZ「面倒な……」

RN「でも、やるしかないでしょ……!」

バギィィン! ドガァーン!

メガデス怪人「ククク、いいぞ……少しでも奴らの体力、精神力を削るのだ」

バシィン! バキッ!

RN「やった……?」

「イ…イー!」ムクッ「イァーッ!」ムクッ

RN「結構タフだね、こいつら」

サイバーZ「てこずっている時間はないぞ!」

ドカッ! ボコッ!

「ギャー!」「ウギキ!」

RN「はあっ、はあっ……たあっ!」

ガキィィィン!

「ウギャー!」ドカーン!

サイバーZ「雑魚は倒した。今度こそお前の最後だ」

メガデス怪人「体に疲れが見えるぞ、その状態で私を倒せるかな?」

RN「それ以前に2対1。自分の心配をした方がいいんじゃない?」

メガデス怪人「…………」

サイバーZ「来ないなら行くぞ――」

HKR「サイバーZ!」

サイバーZ「光!?」

P「凛! 大丈夫か!」

RN「プロデューサー!? なんで!」

メガデス怪人「今だぁ! 喰らえ~!」

ビィィィィィ!!!(ホモビーム)

サイバーZ・RN「!!!」

サイバーZ・RN「…………」フラフラ

HKR「さ、サイバーZ!?」

P「ど、どうしちまったんだ? 凛! 剣を手放したら駄目だ!」

メガデス怪人「何を言っても無駄だ。その二人には何も聞こえておらん」

P「なんだと!?」

メガデス怪人「今放ったのは催眠光線。奴らはもう私の命令を聞く奴隷でしかないのだ!」

P「これマジ? 技の性能に対してSEがショボ過ぎるだろ……」

HKR「そんな……アタシが不用意に呼び掛けたせいで……!」

メガデス怪人「ふははは! 何を言おうがもう遅い! さあ、私の命令を聞け!」

サイバーZ・RN「…………」

P(クソ、一体何を命じるつもりだ?)

サイバーZ「よし、じゃあ二人とも裸になれ」

P「は?(困惑)」

HKR「な、なんて外道だ……!」

サイバーZ・RN「…………」スルスル

P「わーっちょっと待て! お前もうちょっとマシな命令があるだろうが!」

メガデス怪人「うぬ、そうか? ……そうだな、二人ともやっぱり服を着ろ!」

サイバーZ・RN「」コク

P(助かった……)ホッ

メガデス怪人「お前のおかげでもっと良いことを思い付いたぞ。礼を言おう」

P「なんすかそれ」

メガデス怪人「命じよう! 貴様ら二人、ここで同士討ちするのだ!」

P・HKR「!?」

とりあえずここまで

訂正
>>48
P「他の観客と同じで固まってる見たいだな……ん?」
×見たい ○みたい

糞だよ糞、ハハハ!
http://i.imgur.com/oNShySc.png

RN「……」チャキ

P「剣を拾って構えた……やめろ、凛!」

サイバーZ「…………」スッ

HKR「サイバーZ!」

P(ゆっくりと動きながらお互い間合いをはかっている……)

メガデス怪人「さあ! やれ!」

RN「……ッ!」タタタッ

P(凛が躊躇なくサイバーZを斬りにかかる!)

ブンッ!

サイバーZ「……」シュッ

P(サイバーZは降りおろされた剣をバックステップでかわし、すかさず体勢を低くして蹴りを入れる!)

バシッ、ガッ!

RN「たあっ!」ブンッ!

P(蹴りを剣の柄で止めた凛が足を狙って再び剣を振るったが、それは当たることなく空を切った)

RN「くっ……!」ブンッ! ブンッ!

サイバーZ「……」バシッ、ドカッ!

P(止まることなく戦闘が続く……)

P「演技かもしれないなんて期待してたが……二人とも全力で、倒す気で戦ってる!」

RN「エトワール・プリズム!」ビガァァン!

サイバーZ「!?」ドォォン!

P(予想外の攻撃にサイバーZがダメージを受ける)

HKR「サイバーZ……どうすれば……」

ピシュッ!

RN「!?」

P(サイバーZが跳躍して凛の後ろをとった)

サイバーZ「……!」フンッ!

RN「ぐっ!」ザザザッ…ガタッ

P(腹部への蹴りを間一髪剣で受け止めるが、堪えきれず凛が膝をついた)

RN「はあっ、はあっ……」

サイバーZ「………」

P(互いの体に傷が見え始めた。俺と南条は、呆然としたまま何もしていない……)

メガデス怪人「いいぞ、そのまま戦い続けろ! 命が尽き果てるまでな!」

P「クソっ、なんとかならないのか!」

HKR「……サイバーZ!」タッタッタ

P「お、おいっ!」

ガシッ

サイバーZ「……?」

HKR「正気に戻ってくれサイバーZ! 敵の術中にはまったら駄目だ!」

サイバーZ「…………」バッ

HKR「サイバーZ!」

P(サイバーZは蚊をはらうかのように南条をあっさり振り払った)

ガシッ

HKR「諦めないぞ、何度だって……」

バッ……ガシッ

HKR「正気に戻るまで何度でも――」

バッ…ガシッ!

HKR「アタシの声がジョーに届くまで……離さないっ!」

P「あ、危ない!」

HKR・サイバーZ「!」

RN「ヴォルト・オブ・ヘヴン!」

ドォォォォン!

HKR「さ、サイバーZ?」

P(あいつ今、南条を庇ったような……もしかして)

サイバーZ「……邪魔だ!」バシッ

HKR「うわあっ!」

P(ダメか……くそ、俺にも何か出来る事はないのか?)


RN「たあっ!」ブンッ!

サイバーZ「……!」バシッ、ガキッ!

HKR「サイバー、Z……思い出して、くれ……」

メガデス怪人「さあ、もっと戦え~!」


P(そうだ、あいつを倒せれば! でもどうやって……はっ)

P(さっきあの怪人が言ったこと……)

――――

「観客の体内エネルギーを調べている時、こいつは妙に反応が強かったな」

――――

P「あっ…(察し)」

P(俺にも凛みたいに戦える力がありますねクォレハ……)

P(ならば後は、変身するのみ!)

P(って、肝心の変身はどうやってするんだ? ……わからん)


ブンッ,パシッ

RN「!?」

HKR「し、白羽取り!」

サイバーZ「ッ!」ドギャッ

RN「きゃあっ……ぐっ……!」ズズズ


P(凛! ああもう、迷ってる時間はない! 勢いでなんとかなる!)

P「おい、メガデス!」

メガデス怪人「んん? なんだ、それと私の名前はメガデスではない!」

P「お前は俺に倒されるんだから名前なんてどうでもいいんだ上等だろ」

メガデス怪人「お前が私を倒すだとぉ~?」

P「そうだ、後悔すんなよお前」

メガデス怪人「やれるものならやってみるんだな」

P「じゃあ遠慮なくイクゾオオオオオオオ!!」ダッダッダッ

P(変身だ、変身……! 仮面ライダーなんだろ俺?)

P「変・身!」ドッドッドッ…

メガデス怪人「何ィ!? 変身だとぉ!?」

サイバーZ・RN「!?」ピタッ

HKR「あ、あの人も変身出来るのか!? 変身アイテムは見えないけど……」

P「…………」

シーン…

P「あれーおかしいね何も起きないね」

メガデス怪人「ふん、慌てさせおって」


サイバーZ・RN・HKR「…………」

サイバーZ「…………」バシッ

RN「! このっ……!」ガキッ、ジャキン!

バキィン! ドカッ、ビシッ!


P「く、くそったれー! 変身! 変身! 変身!」ブンブン

メガデス怪人「ええい、鬱陶しい!」ビシッ

P「ぐはぁ!」

P(人の体ってデコピン一発でこんなに吹っ飛ぶのかよ……)ヒューン

ヒューン,ドサッ!

RN「!?」

P「う、うわあっ!?」

P(ぶっ飛ばされて着地した矢先、凛が剣を振るう!)

ブンッ!

サイバーZ「……」シュッ

P(サイバーZは後ろに跳んでかわし、振り下ろされた剣先が俺に向かってくる。避けられそうにない)

P(…………)

P(なんで俺こんな目にあってんだろう……)

P(アイドルをプロデュースしてただけで悪の秘密結社との戦いに巻き込まれた男)

P(最期は自分が育てたアイドルに殺される、これって……勲章ですよぉ?)

……ガッ!

P「太い刃が首に入っちゃ……ってない?」

P(見ると本当にすんでの所で先に地面に刺さったようだった)

P(いや、まさか凛が無意識のうちにーー)

サイバーZ「そこをどけ!」スッ

P「やだやめて叩かないで!」

ガシッ

サイバーZ「!」

HKR「ヒーローは諦めないぞ……何度だって立ち向かうんだ!」ギュッ

P(こうなったら俺も駄目元で凛を説得してみるしかない!)ムクッ

P「凛! 俺の声が聞こえるか!」

RN「……」スタスタ

P(俺を無視してサイバーZの所へ向かおうとしている)

P「まあ別に聞こえてなくてもいいけどよぉ~、無視すんなよっ!」ガシッ

RN「離して」

P「……そういえば初めて会った時もこんな感じだったよなぁ。スルーされたのをこうやって肩掴んで引き止めて、さ」

RN「…………」

P「忘れたか? 俺はよく覚えてるけどな。こうやってーー」


……
………

とりあえずここまで

過去

ザワザワ…

P(こう人が沢山いると、どの子に声をかければいいのか決めかねる……)

RN「…………」スタスタ

P「!」

P(今の彼女でいいんじゃない?(自問))

ザワザワ…

P「うかうかしてたら見失っちまう。追いかけないと」スタスタスタ

RN「……」スタスタ

P(しっかしいざ声をかけるとなると緊張しますよ~するする)スタスタ

P(勇気出して話さなきゃ……でもどう話しかければ? ん~)

RN「……」

スタッ

P(走った? おい、待てい!)タッタッ

RN「……!」タッタッタッタッ

P「フゥン、ホォン!」

タッタッタッタ…

人気(ひとけ)のない公園

P(い、いつまで走るんだよ~!)

RN「(急停止)」スタッ

P「うおおっ!?」スタタッ

クルッ

RN「あのさぁ……」

P「は、はいっ。なんでしょうか?」

RN「アンタさっきから私のこと、チラチラ追いかけてるでしょ」

P「んやぁまあチラチラというかガッツリといいますか」

P(ってあれ? これはもしかして――)

RN「……よくそんなに平然としてられるね。警察呼ぶよ?」

P「ま、待ってくれ! 俺は不審者じゃないしストーカーでもない!」

RN「じゃあなに、犯罪者?」

P「だから違えっつってんじゃねーかよ(棒読み)、これ見てどうぞ」

RN「芸能事務所の、プロデューサー?」

P「うん。端的に言えば、君を追いかけてたのはスカウトしたかったからなんだ」

RN「ふーん……私、そういうの興味無いから」クルッ

P「あっ、ああっちょっと待って!」ガシッ

RN「っ! 離してっ!」

ペチン!

………
……

現在

P「その時はもう終わったと思ったな。俺の初スカウトはバッドコミュニケーションで終了と」

P「もちろん軽く振りほどこうとしただけの事故っていうのは今なら分かるよ。しかし当時は若く、ガチで嫌がってると感じました……」

P「でもあのビンタがあったから距離が縮まって、凛をアイドルにすることが出来たんだよな」

P「……こんな洗脳なんかに負けるなよ!ほら! あの時みたいに俺のここにビンタしてみろ!」

RN「…………」バシッ

P「!!」

P(クソ、これでもダメか……!)

メガデス怪人「無駄なことを! 私の催眠光線は絶対なのだ!」

P「ええいもうヤケクソだ! 頼むから元に戻ってください! 何でもしますから!」

RN「ん? 今なんでもするって言ったよね……ってあれ?」

メガデス怪人「何ィ!? 催眠が解けただと!?」

RN「私今まで、一体何を……?」

P「回想までした説得でダメなのにこんなあっさり元に戻るのか(呆れ)」

RN「一定ターン経過で治る状態異常だったんじゃない?(適当)」

P「あほくさ。とにかくもうパパパっと怪人倒して、終わり!」

メガデス怪人「そうは行くか! サイバーZよ、その生意気な小娘を倒すのだ!」

サイバーZ「……!」

メガデス怪人「ええいどうしたサイバーZ! まさかお前も催眠が解けたと言うのか!?」

HKR「サイバーZ! 従っちゃダメだ……! 正義の心を思い出すんだ!」

サイバーZ「グッ……お、俺は……!」

P「凛! 今サイバーZは敵の催眠にかかってる! あの怪人を倒せば多分元に戻るはずだ!」

RN「わかった、行くよ……!」

メガデス怪人「ぬうっ、ま、まずい……サイバーZを盾にしなければやられてしまう!」

P「自分からピンチをばらしていくのか……」

RN「そこ!」ブンッ

メガデス怪人「ぐおおっ! お、おのれ……!」

P「一撃で満身創痍か、意外と脆いな」

メガデス怪人「そ、そっちの小娘、良いことを教えてやろう……」

HKR「な、なんだ! アタシは怪人の言葉に耳を貸すつもりはないぞ!」

RN「そうだよ(便乗) また何かされる前に、私が倒す」

メガデス怪人「ククク、いいのか、サイバーZが永遠に催眠状態から目覚めなくても」

HKR「な、何……!?」

メガデス怪人「このまま私が倒されれば、サイバーZが元に戻る事は二度とないだろう! いくらお前が呼び掛けようとな」

P「なっ……ハッタリだ! 現に凛は元に戻ったぞ!」

メガデス怪人「サイバーZは元はメガデスの改造人間! そっちのアイドルとは違う」

P(そう言われると、確かに言い返せないが……)

RN「ふーん……でもどの道アンタはサイバーZを元に戻す気はないんでしょ?」

メガデス怪人「い、いや、戻す! ここで貴様ら私を逃がしたら、サイバーZの催眠を解こう!」

RN「そう言って納得すると思う?」

メガデス怪人「ならば私を倒すか! サイバーZが元に戻らなくなってもいいのか!」

RN「…………」

HKR「……倒してくれ、渋谷凛さん」

メガデス怪人「な、なんだとぉ……!?」

RN「いいの? 本当に」

HKR「うん。このまま悪を見逃す訳にはいかないし、サイバーZも……ジョーも、悪に屈するアタシなんて嫌だと思うんだ」

サイバーZ「……!」

HKR「それにアタシは、サイバーZがこのまま元に戻らないなんて絶対に信じない!」

メガデス怪人「な、なぜそこまでサイバーZ2号に入れ込む! あいつも元は我々メガデスの改造人間!」

メガデス怪人「改造手術直後は嬉々として命令を聞き、メガデスを裏切ったサイバーZ1号を始末したのだぞ! 正義のヒーローであるはずがない!」

P「そういえばあいつ、そんな事言ってたな……」

HKR「……サイバーZの過去はよく分からないけど、確かに悪いヤツだったのかもしれない」

HKR「でもアタシはよく知ってる。本当の悪人でなければ、改心して正義になることが出来るって!」

メガデス怪人「ふざけたことを!」

RN「おっと。その光線はもう撃たせないよ」チャキ

メガデス怪人「ぐぬうっ……!」

HKR「サイバーZはもう悪なんかじゃない、正義のヒーローで……アタシの相棒だ!」

サイバーZ「ひ、かる……」

HKR「サイバーZ!?」

メガデス怪人「ま、まさかそんなことが……! あってたまるか!」

サイバーZ「……声が聞こえた。ありがとう、光」

HKR「サイバーZっ……!」

RN「これで完全に、アンタの負けだね」

メガデス怪人「……ククク。ふはははははは!!」

P「冷えてるか~?」

メガデス怪人「これを、使うことになるとはな!」ブスッ

RN「!?」

ピカァァァァァ!!

P「まだ奥の手があったのか!?」

とりあえずここまで

ちょっと前は200レスぐらいずっと野球してたし、ま多少(の脱線)はね?
――――
カァァァァ…

P(眩しくて何も見えん。一体何が……)

メガデス怪人「そこの男には説明したなぁ! アイドルから抽出したエネルギーを戦闘員に注入すると骨や筋肉が肥大し強化される!」

メガデス怪人「……ならばそれを私のような怪人に行えばどうなると思う?」

P「な……まさか!」

P(眩い閃光が収まり、怪人が姿を現す!)

メガデス怪人「グハ ハ ハ ハ! こうなるのだ!」

RN「なるほど、さっきのデカい戦闘員みたいになるって訳」

P「見た感じ5,6メートルはあるぞ……」

HKR「巨大化してパワーアップ、ある意味お決まりのパターンだ」

メガデス怪人「戦闘員どもと比べるな! 元が強い私は、さらに何十倍もパワーアップしてるのだぁ!」

P(怪人が巨大な腕で殴りかかってくる!)

RN「危ない!」シュッ

ズドン!

P(じ、地面が凹んでる……)

RN「大丈夫、プロデューサー。なるべく離れてて」

P「あ、ああ。でもお前、あんなの倒せるのか?」

RN「任せてよ。それに、私一人じゃないから」

サイバーZ「…………」

サイバーZ「光も離れていろ」

HKR「うん。サイバーZは、負けないよね!」タッタッタ

サイバーZ「……さあ、やるか」

RN「どう攻撃する? アンタは格闘しか出来ないから厳しそうだけど」

メガデス怪人「話している余裕があるかなぁ!」ブゥン!

サイバーZ・RN「……!」シュタッ

ズドン!

メガデス怪人「うろちょろと!」ブゥン!

P(綺麗な身のこなしで怪人の攻撃をひとつも受け付けない!)

HKR「カッコいい……サイバーZも渋谷さんも!」

サイバーZ「一気に畳み掛ける。援護してくれ」

RN「分かったよ。……蒼き炎よ、滅ぼせ!」ドンドンドン!

メガデス怪人「ぬおおおっ!?」

P(足元を狙った攻撃がヒットし、怪人が尻餅をつく)

HKR「サイバーZ! そこだ、キックだ!」

サイバーZ「……!」

ビシィッ!

メガデス怪人「ぐぅっ、まだまだ……!」

RN「そんな余裕、ないんじゃない……!」

ジャギィィン!

P(凛の剣による一撃がもろに入る!)

メガデス怪人「ぐわあっ! お、おのれ!」

P(怪人はたまらず、反撃を諦め距離をとった)

メガデス怪人「何故だ……何故パワーアップした私が手も足も出んのだ!」

サイバーZ「さあな。でも俺は光にこう教えてもらったぜ」

HKR『正義は必ず勝つ!』

RN「いいね。今の私たちにピッタリの言葉」

メガデス怪人「ぐ、ぎぎ……かくなる上は!」

HKR「二人とも、敵の必殺技が来るぞ!」

P「マジすか(棒読み)」

サイバーZ「……決めるぞ」

RN「いいよ、任せて……!」

RN「蒼の剣を受けよ!」ピカァァァァァ

サイバーZ「……!」タッタッタ

メガデス怪人「喰らえ、催眠光線~!」

P「またそれか壊れるなぁ」

ビィィィィィィ!(ホモビーム)

RN「アイオライト・ブルー!」
サイバーZ「サイバー・パンチ!」

バシィン、バシッガキィン!

メガデス怪人「な、私の光線をかき消し――」

サイバーZ「終わりだッ!」

バシィン!

メガデス怪人「ぐ、が……」ジジジジジ

HKR「二人の必殺技が……完全に決まった!」

P「すごい(小並感)」

メガデス怪人「バカなああああああああっ!」

ドガァァァァン!

HKR「やった!」

P「た、倒したか。良かった……」

P(あーあ、もう駐車場がめちゃくちゃだよ)

RN「ふぅーっ。結構、疲れた……」

P「サイバーZとやってた時何発か喰らってたが、体は大丈夫か?」

RN「大丈夫大丈夫。いつの間にか治っちゃうから」

P「えぇ……? というかおい、マジでその姿はなんなんだよ!」

RN「それは説明すると長いし、後にしようよ」シュン

P(お、元に戻った)

HKR「サイバーZ!」タッタッタ

サイバーZ「光……」

HKR「サイバーZ、凄くカッコ良かったな! やっぱりサイバーZはアタシのヒーローだ! これからもまた――」

サイバーZ「光。もうアイドルを一緒に続けることは出来ない」

HKR「!」

HKR「え……どうして……」

サイバーZ「俺はメガデスと戦う。アイドルを続けたままじゃ、光やそこの二人みたいな、無関係な人にまで被害が及んでしまう」

HKR「そんな……」

P「横からなんだが、せめてIUが終わってからとか、そういうのじゃダメなのかよ?」

サイバーZ「メガデスの実験で、今もアイドルが何人も捕らわれているんだ。それをそのままにしておけるか?」

P「確かに、それはそうか……」

RN「私も協力したいけど、今アイドル活動を辞めたり中断する訳にはいかない、かな」

サイバーZ「分かっている。これは俺にしか出来ないことだ」

HKR「アタシたちはずっと一緒だって、さっきも……約束したばっかりじゃないか……っ」グスッ

サイバーZ「メガデスを倒す事が、今の俺にとって一番の使命だと思うんだ。……正義の、ヒーローとして」

HKR「…………」クルッ

サイバーZ「光?」

HKR「涙は、見せられないからっ……今は、顔向け出来ない。アタシが見てない内に行ってくれ。サイバーZっ!」

サイバーZ「! 分かった……」

スタスタ…

P(サイバーZは去っていった。俺たちの平和を守るために……)

RN「丸く収まったのかな、これで」

HKR「……ぐすっ」

P「さよならは言わないってことは、また会えるってことなんじゃないかな?」

HKR「え……?」

P「気を落とすなよ。サイバーZもこれが今生の別れだなんて絶対思ってないよ」

RN「そうだよ(便乗) それにほら、よく言うでしょ? 離れていても――」

HKR「離れていても心は繋がっている……そっか、そうだよな!」

P「うんうん。っていうかこれこの爆発跡とかはどうするんですかね」

RN「誰か来る前に戻った方がいいね。あれ? そういえばこれ……」

ザワザワ…

P「め、メガデスの怪人がやられたからみんな元に戻ったんだ! まずいぞ、特にお前らはステージから消えたことになる!」

HKR「急いで戻ろう!」

タッタッ…

P(その後厳重注意を受けたが失格は回避できた。LIVEバトルは凛たちの勝利という結果で、無事三次予選を一位通過)

P(そして南条たちがIUを棄権するということで大会運営はまた頭を悩ませることとなった……)

とりあえずここまで

次の展開? 水泳の練習ゥ……(大嘘)
――――
控え室

「とにかく、今後こういう事はやめてください! では!」

バタン!

P「怖いねぇ」

RN「思った以上に怒られちゃったね。次やったら本当に失格になるかも」

P「ま、こんなことは二度とないだろうし大丈夫だろ」

RN「さすがにあんなことが毎回あったたら身がもたないよ」

P「おっそうだな。それで緑色の不審者の正体は分かったが、みんなにどう伝える?」

RN「ええっ、いいよ別に言わなくて。私の勘違いだったってことで」

P「そうだなぁ。でも李衣菜も一回見ちゃってるからな、メガデスの怪人だったかどうかは分からないが」

RN「大丈夫でしょ。まあ多少はね」

P「そういえば今も出来るのか?」

RN「え、何が?」

P「蒼の剣を受けよ! アイオライト・ブルー!」ビシィッ

RN「ちょっと! はっ、恥ずかしいからやめてよ!」

P「蒼き炎よ滅ぼせ! エトワールプリズム!」ビシィッ

RN「……今ここでやってあげようか? プロデューサー」

P「いやぁスイマセーン(レ) お姉さん許して!」

RN「もうっ」

P「でも凛が自分で言ったんだからな……」

ガチャ

遠野「大丈夫でしたか!? 凛さん」

RN「あ、遠野。まゆも、席外させちゃってごめんね」

MY「構いませんよ。でも今日みたいなことはやめてくださいね」

遠野「ビックリしましたよもう……ハッとした次の瞬間、凛さんが居なくなったんですから」

MY「その時客席も何か、少し騒ぎになってましたよね? プロデューサーさん」

P「あ、ああそうだな。まあ大したことじゃなかったけどな」

P(メガデスの戦闘員と戦ってた時、客も結構吹っ飛ばしちゃってたからな。それだろう)

遠野「どこに行ってたんですか? 凛さん」

RN「まあちょっとね。体調が……。今はもう大丈夫だけど」

遠野「そうですか、ならいいんですけど」

MY「そういう時は、キチンと説明してからじゃないといけませんよ?」

RN「うん、反省した。次からもうやらないから」

MY「でもよっぽどだったんじゃないですか? 凛ちゃんが我慢できないだなんて……」スタスタ

RN「ちょ、ちょっとまゆ!?」

MY「じっとしててください。こういうこと、結構詳しいですから」ピタッ

P(まゆは凛の首に手を添わせて、凛の顔を見つめている……)

RN「あ、あはは……何これ……」パチパチ

MY「はい、もういいですよ。体調は大丈夫みたいですね」

RN「う、うん。そう言ってるよね……」

P「よし!みんなよく頑張った、予選通過おめでとう!」

P「んで今日はもう解散! 終わり、平定!」

遠野「お疲れさまでしたー」

RN「うん、お疲れ様」

MY「……プロデューサーさぁん? 何か忘れてませんか?」

P「え? 何かあったっけか。ああ、三浦さんに結果を報告してなかったな」pipipi

MY「違いますっ!」

P「違う? 違うって言われても他に何も――」

――――

MY「このステージが終わったら、少しお話したいことがあるんですけど」

――――

P(ああっ思い出した! メガデスやらなんやらあってすっかり忘れてたぞ……)

P「そ、そうだったな。話があるんだったなまゆ」

MY「……忘れてましたよね?」

P「すいません許してください! 何でも」

P(待て。まゆ相手に何でもするは危険すぎる)

MY「何でも、なんですか?」

P「許してください! 何でも話聞きますから!」

MY「いいですよ♪ 許します、じゃあプロデューサーさんの家でじっくりお話しますね」

P「えっそれは……」

MY「ダメ、ですか? 忙しいですか?」

P「あっ大丈夫っす。はい」

RN「ここじゃダメなの?」

MY「ダメです」

RN「ふーん……じゃあ私たちは帰るね。また明日」

MY「はい、また明日♪ 遠野ちゃんも」

遠野「が、頑張って下さいっ」

バタン!

P(な、なんなんだ……一体何の話だ?)

MY「プロデューサーさんも一足先に帰ってもらって大丈夫ですよ。まゆは材料を買ってから行きますから」

P「材料?」

MY「夕飯お作りします。何か食べたいものはありますか?」

P「それマジ? じゃあまあ、まゆに任せるよ」

MY「はい、任せてください♪」

P(そういう訳で、何を聞かれるかビクビクしながら帰宅した)

Pの部屋

P(しばらくしてまゆがやって来たが、料理している間はお互い無言で、会話はなかった……)

P(それにしてもいい匂いだ。腹へったなぁ)

MY「出来ました! 今、盛り付けしますね」

P「うなぎか~ええやん。わーおいしそう!」

MY「スタミナがつきますからね。こういうのも作ってみました」ストッ

P「ちょっと待って! いなりやん!」

MY「うふっ、食べてみてください♪」

P「いただきまーす」パクッ

P(いなりのご飯に細かく切った卵焼きや青じそが混ざっている!)

P「うん、おいしい! さっぱりしてていいな!」

MY「ありがとうございますっ!」

P「んーこれは何個でもいける。これぞ食通だな!」パクパク

MY「まゆもいただきますね。ん……」ハムッ



P「美味しかったぁ。腹一杯だよ」

MY「喜んでもらえてなによりです」

P「…………」

MY「さて、と」

P(く、来るか!? いいよ、来いよ!)

MY「片付けないといけませんね」

P「ハハァ……」ズコー

MY「ど、どうしたんですか?」

P「あ、いや何でもない。俺も手伝うよ、美味しい夕食ありがとな」

MY「いえ。プロデューサーさんがよければ、いつでも、何度でも」

P「そ、それは遠慮しておく」

MY「そうですか……食生活をきちんとしないと、日頃の疲れも溜まりやすいんですよ?」

P「善処するよ。アイドルに頼ってちゃプロデューサーとして情けないからな」

MY「そういう所がプロデューサーさんらしいです……♪」


……

P「片付けも一段落したな」

MY「そうですね、じゃあ……」

P(さあ何の話だ。自分の胸に問いかけて胸に!)

MY「お風呂にしますか?」

P「まずいですよ!」

MY「うふふ、冗談です。本題に入りましょうか」

P「……」ゴクリ

MY「まずさっき、会場での事なんですけど……」

MY「凛ちゃんの体調が悪かったなんて、嘘ですよね?」

P「!?」

MY「プロデューサーさんも何か隠してますよね? あの時、客席はかなり騒いでいたのに……あれが大したことない、だなんて」

MY「そんなこと、いくらなんでもありえませんよ?」ギッ

P(やべぇよやべぇよ、おいどうするどうする……)

とりあえずここまで

P「まっ、待てよ! 凛が嘘を付いてたって? ホモじゃあるまいしそんなことあるわけないだろ!」

MY「分かるんですよ、人が嘘を付いてるかどうかって。言いましたよね?」

MY「こういうこと、結構詳しいですから……って」

P(あの時は体調じゃなくて凛の反応を見てたのか!)

MY「今のプロデューサーさんにしても、図星を突かれたような表情ですけど。嘘……付いてるんですよね?」

P「はい、すいませんでした。全部話します」

P(下手にはぐらかした方が何されるか分からん)

MY「あの時どこに居たんですか? 結果発表の真っ最中に、一瞬で消えてしまって……」

P「いいか? 話すぞ。話すから、まず最後までしっかり聞いてくれよ」

MY「はい。どんなことでも……しっかり受け止めますから」

P(何か変な方向に想像膨らませてないですかね?)

P「……いや、実はな」

P(なるべく混乱させないように、真実に聞こえるように真剣に、サイバーZやメガデスの事を全て話した)

P「そしてサイバーZは去っていったんだ。南条が棄権したのもこれが本当の理由」

MY「…………」ポカーン

P(開いた口が塞がっていない。ええ表情やこれは……)

P「実際、見てみないと到底信じられそうもないよな。明日凛に見せてもらえるよう頼んでみるか」

P(俺も凛がなんであんな事出来るのか知りたいしな)

MY「メガデス、サイバーZ……アイオライトブルー……まゆには理解に苦しみますね」

P「ままそう、焦らないで。今は信じられなくていいからさ」

MY「……じゃあ、本当の本題に行きますか?」

P「え?」

MY「今の話は、控え室で気になったから先に話しただけで……本当にお話したかった事は別なんです」

P(あ、そっかぁ。たしかに考えてみればそうだよな)

P「それで今度は一体?」

P(まさか姫川の家に泊まってたのがバレてるとかじゃないだろうな)

MY「しばらくここで一緒に暮らしても……いいですか?」

P「は?(困惑)」

とりあえずここまで

P「おいおい、いきなり何言って――」

P(待てよ? 確かモバプロに居た時まゆは女子寮に住んでたよな。当然そこは出ていってるはずだし)

P(かといってウチの事務所に女子寮なんてあったっけか?)

P(あっ…(察し) なんで今まで気付かなかったんだ俺は!)

P「まゆ! モバプロの女子寮を出てから一体どこに住んでたんだ!?」

MY「今まではモデルをしていた時に知り合った方とか、友達の家に泊まってました。でもちょっと、それも限界になってしまって」

P「そうか……とりあえず野宿とかしてなくて良かったよ。でも俺や三浦さんに言ってくれれば良かったのに」

MY「ごめんなさい。その気になればどうにかなると思って……初めから相談していれば良かったですね」

P「! いや、そんなことにも気付けなかった俺の責任だよ。今日はもうさ、ここで好きにしてていいから」

MY「本当ですか!?」グイッ

P「ただ部屋を物色したりなんか細工したりするっていうのは……勘弁してくださいね」

MY「うふふ、分かってます」

P「あとプロデューサーとアイドルが同居は洒落にならないから今日だけだぞ! 今日だけ! 明日にでも新しい部屋を借りよう」

MY「はい♪ じゃあこの後はどうしますか? 一緒にお風呂、入りましょうか?」

P「だからまずいっつってんじゃねーかよ(棒読み)」


P(何も起こらないように気を配りながら、まゆと一晩過ごした……)

翌日 事務所

P「おはよ↑ございます」

MY「おはようございます」

三浦「おはようだゾ~、プロデューサーが誰かと一緒なんて珍しいな」

P「ま、多少はね?」

MY「……昨日はお楽しみでしたね」ボソッ

P「やめてくれよ(絶望)」

三浦「? そういえばまゆちゃん、予選通過おめでとう」

MY「ありがとうございます。そうだ社長さん、凛ちゃん居ますか?」

RN「どうしたの?」スッ

P「おう凛、早いな。おはよう」

P(っていうかどっから出てきた?)

RN「おはよう。それで?」

MY「ちょっとレッスンルームに来てくれませんか?」

RN「レッスン? いいけど……遠野が来てからでいいんじゃない?」

MY「いえ。今の方がいいですよね、プロデューサーさん」

P「ああ、まあな……」

RN「?」

レッスンルーム

MY「さ、お願いしますね♪」

RN「…………」

P「すまん。昨日は逃げ場が無かった」

RN「えぇ、本当にやらないと駄目?」

MY「確かにプロデューサーさんが嘘を付いてるようには見えませんでしたけど。一応、一応です」

P「もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!」

RN「二人ともノリノリ……なんか、嫌なんだけど」

MY「これっきりですよぉ。別にいいじゃないですか」

RN「はあ、仕方ないなぁ」

シュン

MY「!!!」

P「一瞬で変身した! というか元の服はどこ行ったんだよ」

RN「知らないよ。もういいでしょ?」

ガシッ

RN「ちょ、ちょっとまゆ!」

MY「すごい……かっこいいです凛ちゃん……」

P「アイオライトライトブルーも見せたれ(アドバイス)」

RN「こんな室内で使ったらどうなるか分かるでしょ!?」

P「剣技だし大丈夫でしょ」

RN「いや、それは絶対駄目だから。やらないから」

MY「ええ衣装やこれは……」ペタペタ

RN「ちょっと本当に!」

P「まあ、しばらく二人で好きにやってくれ」スタスタ

RN「ちょっと! 今置き去りにされたら何されるか……!」

ガチャ

遠野「おはようございま――」

RN「あ……」

MY「おっ、おはようございますっ。遠野ちゃん」

P「遠野、まあしばらく二人にしといてやってくれ」

遠野「まゆさん、凛さんそんな。僕と違ってノンケだと思ってたのに……ホモだなんて」

P「レズはホモ。はっきりわかんだね」

RN・MY「私は違います(半ギレ)」

しばらくの後

RN「もう変身も魔法もこりごり。プロデューサーが代わりに変身すればいいのに」ハァ

P「冗談はよしてくれ。しっかしそのなんだ、騎空士なんて奴らが世の中には居るんだな」

RN「世の中っていっても、この世界じゃないけどね」

P「そりゃそうだな。でもなんでいきなりこの世界でも力が使えるようになったんだろうな」

RN「さあ、それは私も分からないけど。ただあの時、メガデスの怪人達がプロデューサーを襲ってるのがはっきり見えて」

RN「その瞬間なんかこう、目覚めた、みたいな」

P「蒼の力が?」

RN「いや、うんまあ……否定はしない」

P「そっか、俺も昔はそういうのに憧れてたよ。ドカーン! バコーン! みたいな感じ」

RN「それ、どっちかといえばサイバーZじゃない?」

P「それもそうか。でも破壊力でいえばお前の魔法も負けてなかったぞ」

RN「褒められてる感じがしない……」

RIN「プロデューサーさんたち何の話してるの……(恐怖)」

NTK「さあ、凛のドラマの台本読みでもしてるんじゃないか?」

RIN「な、なるほど。凛ちゃんってそういう感じの役もやるんだ」

バァン!

RIN「な、何今の音!?」

P「なんだなんだ? また剛竜馬か?」

三浦「た、大変だゾ!」タッタッタ

NTK「言わなくてもそれは分かるぜ」

木村「それでどうしたんですか?」

三浦「き、KMRァ! お前たち……予選通過だゾ!」

「!?」

P「どういうことなの……(レ)」

三浦「昨日の凛ちゃんたちの試合の後、その相手ユニットが棄権しただろ?」

RIN「そうなの?」

RN「そうだよ」

三浦「それで残ったユニットが木村たち、多田野たち、そしてウサミンたちになった」

NTK「ウサミン……ああ、この前対戦したユニットだな」

三浦「そして勝利してる、同じく多田野たちにも」

木村「! まさかそれで、どちらと当たっても再戦になる僕たちが通過になったんですか?」

三浦「そうだよ!(肯定)」

P「これマジ?」

三浦「マジだゾ」

RIN「えーっ、えーっ!? な、なんか拍子抜けしちゃった」

NTK「ははは。そうだな……」

木村「はい。なんというか、嬉しい誤算ですね」

P「ここまで頑張ったからだよ」

RN「そうだね、おめでとう。意外な形にはなったけど」

P(多田野たちや安部菜々さんを卑下する訳じゃないが、どちらも不戦勝があったしな)

P(二人ともに一度勝ってて、三次予選不戦勝無しなら実力が上に見られてもおかしくはない……)

P「ん、っていうことは三次予選最後の対戦も決まったってことか」

TDN「はい。自分たちが菜々さんと戦います」

P「多田野!」

TDN「今、連絡を聞いてイニ義事務所から戻ってきました。木村さんたち、やりましたね」

RIN「多田野さんたちもあと一勝じゃん! みんなで三次予選を突破しようよ!」

TDN「はい。自分たちのすることは変わりません。明日の戦いを全力で勝ちにいきます」

P「そうだな。今日はあまり、激しく動きすぎるなよ」

三浦「みんなで応援出来るゾ~」

P「……そういえばさっきの物音はなんだったんだ?」

TDN「ああ、それはビビった大坊がコケて荷物をぶちまけた音です」

P「そ、そうか。ケガのないようにな」

TDN「それでは、僕はまた戻りますね」

HTN「じゃあね」

スタスタ…

RIN「羽田野さん居たんだ」

RIN「ふあー、明日のために今日は調整しっかりしようと思ってたのに、なんだか暇になっちゃった」

NTK「元から、レッスンが無いときはかなり暇じゃないか?」

RIN「うぐっ、た、確かに」

P「学校に行けばいいダルルォ!?」

RIN「そっかそうですね! 今日の午後からだったら……うわ、物理の課題まだやってない」

木村「それなら僕が手伝いましょうか」

RIN「本当ですか!? ナオキさん大学生だし分かりやすそう、なつきちより!」

NTK「なんだとだりー!」

ガヤガヤ…

P(この三人も、プライベートで大分中が良くなったよな)

P「っと。凛、そろそろ行くか」

RN「そっか、もうそんな時間。今日ってドラマの撮影だけじゃなくて、その前に何か入ってたよね?」

P「撮影の前に三次通過についてのインタビューがあるな。あと、俺はちょっとまゆと一緒にいるから帰るときまた連絡してくれ」

RN「忙しいなら自分で帰るから大丈夫。まゆの仕事見ていくの?」

P「んー、まあそんな所だ。じゃあ行くぞ」

――――

ブーン…

P「凛を送っていくのはオッケー、と」

MY「プロデューサーさんはまゆの分も含めて、みんなのスケジュールを別々のメモでまとめてるんですよね?」

P「そうだな。そうしないと忘れちゃうよ」

MY「そうですかぁ? まゆもマメに予定表作ってますけど、見直さなくても内容はしっかり覚えてますよ」

P「そうか、まゆは凄いな」

MY「でも、最近は覚えても活かせない事が多くて」

P「あぁん、なんで?(レ)」

MY「色々予定外、予想外の行動をしちゃいますから。後から修正するのが大変ですよ」

P「へぇ、まゆはきっちり決まったように動くタイプだと思ってたけど、そうでもないのか」

MY「プロデューサーさんのことですよ?」

P「え?」

P(というかそれ予定表って――)

MY「あ! プロデューサーさんが言ってた不動産屋さん、あそこじゃないですか?」

P「あ、ああそうだな。通りすぎる所だったよ」キキーッ

P(さて、今はどうなってるかな……赤城不動産)

とりあえずここまで

赤城不動産

P(どうやら潰れてはいないみたいだ)

トントン,ガチャ

P「すいまへ~ん、モバPですけどぉ~」

AKG「!!!」

P「久し振りですね」

AKG「い、一体今日はどのようなご用件で?」

P「この子にピッタリな、いい物件を紹介してもらおうと思ってな」

MY「よろしくお願いします」

AKG「そ、そうですか。ではご案内します、こちらへどうぞ」

P「はいはい」

AKG「いい物件というのは、賃貸のご相談ということでよろしいでしょうか?」

P「ん、そうですね」

AKG「かしこまりました。ではこちらの書類にご希望をお書きください」スッ

P「まゆの好きなようにしていいからな」

MY「ありがとうございます」カキカキ

AKG「あの、その節はどうも、ご迷惑をおかけして」※前スレ>>146

P「もう気にしてないから大丈夫だって安心しろよ~」

AKG「……はい、ありがとうございます」

P「それよりここ、カーリーに弱みがどうたらで潰れかけだったって聞いたんだが、それは良かっただったのか?」

AKG「それなんですが、何故か助かったんです」

P「なんのこったよ」

AKG「私がどんな弱みを握られていたかはご存知ですか?」

P「知wらwなwいwよww」

AKG「まあ、その弱みはカーリーが持っていたボイスレコーダーにあったのですが」

P「はぇ~」

AKG「どうやらその音声が何らかの手違いで消えてしまったようなんです。カーリーがうっかり、口を滑らせました」

P「そりゃあ良かったじゃないですか」

P(あれ、カーリーのボイスレコーダーって確か……あっ!)

P(もしかして俺があの時削除した奴か!)※前スレ>>272

AKG「おっ、どうしました?」

P「ああいやなんでもない、なんでもないよ」

P(なんか複雑な気分だなぁ)

MY「あの、書き終わりました。どうぞ」

AKG「はい、では条件に見合ったものをピックアップしてきますので」

P「今度はちゃんとしたので頼むぞ!」

AKG「はい、分かっています」

AKG「お客様の条件に合ったものですとこれやこれなんかが――」

MY「とりあえず全部見せてください」バシッ

AKG「ちょ、ちょっと」

ペラッ…ペラッ…

MY「……! これでお願いします」スッ

AKG「いや、同じ条件ならばやはりこちらの方が」

P「まあまあ、まゆがいいならそれで良いじゃないですか。ちょっと見せてみ」

AKG「まあ、それはそうですかね」スッ

P(どれどれ、まゆが選ぶんだから悪くはないんだろうが)

P「…………」

MY「いいですよね、プロデューサーさん♪」

P「俺が住んでるアパートじゃないか(呆れ)」

P(初めからこれを狙ってたのかまゆの奴め!)

AKG「ではこの物件で話を進めてよろしいですね?」

MY「はい♪」

P「待て! ちょっと待てよ」

MY「?」

P「いやさ、まずいだろ? 色々と」

MY「何がですか? 同じアパートに住むだけじゃないですかぁ」

P(それがまずいんだよなぁ。俺のプライバシーこわれる)

MY「好きにして、いいんでしたよね……?」

P「うっ」

P(確かにそう言った手前、拒否しづらい……)

MY「じゃあ、お願いしますね♪」

AKG「は、はい。管理人に問い合わせるので少し離れますね」スタスタ

MY「これからは好きなときに会いに行けますね」

P「こっちの事情も考えてよ(棒読み)」

P(これは困ったことになったぞ……)

スタスタ

AKG「申し訳ありませんお客様、この物件に飽き部屋はございませんでした。私の手違いでした」

MY「え……」

P(何? 確か、一部屋二部屋開いてたはずだが)

MY「どうしてくれんねんお前!」

AKG「もしゃもしゃせん!(申し訳ございません)」チラッ

P(! まさかあの人……)

P「ま、まあまあまゆ。無いものは仕方ないだろ? 他の所から選びなよ」

MY「……そうですね。仕方ないですよね」

AKG「当社負担でお値段割引させていただきますので」


……
AKG「それでは、今から実際に行ってみるということで」

MY「はい」

P「まゆ、キー渡すから先に車乗っててくれ。俺はちょっと話す事があるから」

MY「分かりました、待ってますね」スタスタ

AKG「……どうなされました?」

P「庇ってくれたのか?」

AKG「いや、まあ。これまでのお返しにもならないことですが」

P「ありがとナス! じゃあさ、そのお礼といったらなんだけどコレ」スッ

AKG「いえいえお礼だなんて……ん、これは」

P「明日、ウチのアイドルのLIVEバトルがあるんです。良かったら」

AKG「ありがとうございます。是非とも見に行きます」

P「はい、ヨロシクゥ!」

とりあえずここまで

案内された物件

MY「ここがまゆの新しい部屋になるんですね」

P「結構広いな、ええやん」

MY「ベッドもついてるんですね」

AKG「立地、価格的にもここは非常に人気が高いです」

P「へぇ。そんな所がよく空いてたな」

AKG「この部屋はつい先日、飽き部屋になったばかりなので」

P「それでなんぼなんここ?」

AKG「こちら14万3000円になっております」

P「14万? うせやろ?」

P(と言ったもののこの部屋ならわりと妥当な感じもするが)

AKG「はい、嘘です」

P「は?(威圧)」

AKG「こちら当社負担で家賃より毎月一万円割引させていただきます」

P「一万も!? いいのか?」

AKG「はい、もちろんです」

P「おぉ~、ええやん。気に入った」

AKG「ではこのままご契約という形でよろしいでしょうか」

P「あ、いいっすよ(快諾) まゆは大丈夫か?」

MY「はい。落ち着いて暮らせそうです」

AKG「ありがとうございます」

P「いやこちらこそ。サービスしてくれてどうも」

P(手続きを済ませて、その日はそのまま、まゆの部屋作りを手伝った)

P(そして三次予選最終日を迎える……)

翌日 TDN控え室

TDN「……そろそろ行こう」

DB「…………」

TDN「どうした?」

DB「なんでもない。ただ、ここで安部と戦うことになるとはな」

TDN「ここまで残った時点で、イレギュラーがなくてもこうなる可能性は高かったよ」

DB「……まあな」

TDN「今さら気にしても仕方ないだろ? 自分たちのパフォーマンスに集中しよう」

DB「分かってる。ただあいつは――」

HTN「早くしろ」

DB「分かった、分かった。行く」

TDN「勝とう。絶対に」

DB「……フン、当たり前だ」

ガチャ、バタン

会場内

ザワザワ…

P「そろそろだな」

RIN「私たちも勝てましたし、大丈夫ですよね?」

NTK「だりー、そういう言い方はあまりしない方がいいんじゃないか?」

RIN「あ、うん……」

P「まあそれは始まってみないと分からないが」

P(今回はお互い知り合いってこともあるしな)

AKG「モバPさーん!」スタスタ

P「お、来てくれましたか」

AKG「はい、楽しんで見させてもらいます」

RN「プロデューサー、なんでこの人が?」

AKG「ああ渋谷さん、お久しぶりです」

RN「……どうも」

RIN「っていうか誰?」ヒソヒソ

木村「前話したじゃないですか。レッスンスタジオを探してた時に行った不動産屋の人です」ヒソヒソ

木村「へー、この人がそうなのか」ヒソヒソ

最後の行
木村 じゃなくて NTK です。センセンシャル!

MY「昨日はどうも、ありがとうございました」

P「実は、昨日はまゆの新しい部屋を借りに行っててな」

RN「ふーん、そうだったんだ」

AKG「そこでチケットを頂いたので、見に来ました」

三浦「歓迎するゾ~」


「ただいまよりIU三次予選、第19グループの最終戦、

『元祖、羞恥心』vs『うさぎとおじゃ』

を行います」


AKG「始まるみたいですね」

P「ウチのアイドル見とけよ見とけよ~」

ステージ裏

USMN「ふぅー、はぁー、ふーっ。深呼吸~」

TDN「菜々さん」

USMN「ひへっ、あっ、はいっ!」

TDN「お互い、悔いの残らないステージにしましょう」

USMN「そうですね! どちらが勝ったとしても、悔いのないように……」

DB「多田野、もう始まるんだから話すのはやめろ」

TDN「……ああ、そうだな」

USMN「すいません、ナナが大げさに動いてるから」

DB「お前はいつもそうだな」

USMN「え?」

DB「いつも、同じ所を見ている……」

USMN「あの、それってどういう――」


「スタンバイお願いしまーす!」


DB「……行くぞ」

TDN「? ああ」

HTN「ウィヒ!」

スタスタ…

USMN「大坊、さん……?」

肉おじゃ「・・・・・・」

USMN「あ、そうですね。行きましょうか」

USMN「……悔いの残らないように、頑張らなくちゃ。ウサミン、ファイトっ」



「それでは、パフォーマンスを開始してください!」

とりあえずここまで

TDN・DB・HTN「~~♪」

TDN(歌い出しから三人それぞれステップ)キュッ

DB・HTN「」ピタッ

TDN(二人が止まってターンしている間に入って、前に出る!)クルッ…ストッ

TDN「ワン! ワン!」

ワー! キャー!

TDN(今までに無いほど息が合ってる感じがする)

DB「盛り上げなきゃ撃つぞゴルァ!」バンバン

HTN「うまいぞ連携(空気)」

TDN(視線を送らなくても、合図しなくても、練習通りのタイミングで合わせられる)

TDN(最高だ……大坊、羽田野!)

ワー! カッコイイー!

RIN「序盤から凄い盛り上がり!」

三浦「いいゾ~これ」

P「いいアピールだぁ(恍惚) この調子この調子!」

P(やはりあの野球以降、三人の繋がりはより大きくなったみたいだ)

P(あいつら自身が今、それを一番自覚してるかもな)

P(このステージは間違いなく、俺が見てきた多田野たちの中で一番!)

AKG「なるほど。凄いですね」

P「はい。三人とも成長したものですよ……」

――――

USMN(わぁ……やっぱり凄いや、多田野さん)

USMN(お客さんと一体になってる感じが伝わってきます。ナナまで楽しくなって来ちゃいますね)

USMN(…………)

USMN(多田野さんのことを、いつも離れた所で見てた)

USMN(テレビでやってた甲子園で初めて姿を見て、かっこいいなって思いました)

USMN(大学の時、何度も試合を見に行って応援した思い出。プロが注目する選手でしたね)

USMN(でもトラブルでドラフト指名されなくて。それでもアメリカに行って野球を続けて)

USMN(そして日本に戻ってきた後、プロの舞台で活躍してました)

USMN(……大坊さんの言った通りですね。私ずっと、多田野さんの背中を追いかけてた)

USMN(憧れで、目標で……そんな人と今、私は一緒の舞台に立っている)

USMN(それだけで嬉しいのに、これ以上ないはずなのに……)

USMN「みんな一緒にーっ、さんハイッ!」

ミミミンミミミンウーサミーン!
ミミミンミミミンウーサミーン!
ミミミンミミミンウーサミーン!

肉おじゃ「ミミミンッ! ミミミンッ! ウーサミーン!」ズシン

USMN「ナナたちのステージ、もっともっと盛り上げちゃいましょーっ!」

キャー! ミミミン!ミミミン!


P「コールを挟んだことで会場の流れが変わってきたな……」

P(安部さんたちのように個性が強いユニットはライブの演出一つで観客を
盛り上げやすい)

P(そういうユニットは大抵「お約束」のフレーズを持っているからだ)

AKG「今はあなた方が不利ということですか?」

P「状態としてはイーブンでしょうね。ただこういう面での盛り上がりなら、多田野たちも負けてませんよ!」


TDN「…………」スッ

ビシュン!

P(なんて音が実際に聞こえるかのようなピッチングパフォーマンス!)

RIN「凄い! あれが多田野さんの本業!?」

RN「別に今は本業じゃないから……」

三浦「今日はバッターも居るみたいだゾ~」


HTN「……!」

ブンッ、スカッ

HTN「うまいぞ投球(空気)」クルッ

TDN「たあっ!」ヒシュン

DB「フッ!」

ブンッ,カキーン!

TDN「」ガクッ


RIN「三振~からのホームラン!」

木村「ミュージカルみたいで面白味がありますね」

P「こういうことが出来るのもあいつらの強みだ」

――――

USMN「大サビです! 押され気味ですけど頑張りましょう!」

肉おじゃ「・・・・・・」

USMN「……はい、負けたくないですから! メルヘンチェーンジ!」

USMN(同じ舞台に立っていても、実力が並んでるとは限りません)

USMN(それでもナナは、追いかけてきた背中に手を伸ばすだけじゃなくて――)

USMN(横に並んで追い越したい! それが出来るとしたら、今しかない!)

USMN「キャハ☆ ラブリー17歳!」

肉おじゃ「ブイッ☆」

USMN(大事な大事な、ときめきだから……)



「そこまで! パフォーマンスを終了してください!」

TDN「はあっ、はあっ……」

DB「おい……全て出しきった、だろうな?」ゼエゼエ

TDN「もちろん……!」

HTN「ウィヒ!」


USMN「みんなー! ありがとうー!」

肉おじゃ「」ペコッ

パチパチパチパチ…


「それでは結果を発表します」

「勝者は……『元祖・羞恥心』! 同時に三次予選通過となります!」


DB「よしッ!」

TDN「やった……勝った!」

TDN「みなさん! 今後も応援よろしくお願いします!」

DB「……」ペコリ

HTN「」

ゴオオオオオオ!!

USMN「……ナナたちの事も忘れないでくださいねっ! キャハ☆」

肉おじゃ「うっす」

スタスタ……ワーワー! パチパチパチ……


P「ウレシイ…ウレシイ…」ニチニチニチ

遠野「揃って予選通過、出来ましたね!」

RIN「このまま一気に予選突破だぁ!」

三浦「おっそうだな」

NTK「ははっ、それもいいけど今は多田野たちの所に行こうぜ」

P「ああ、そうだな。この人数で行くとちょっと窮屈になりそうだが」

AKG「……待ってください。少しお話があります」

P「? 構わないですけど、少し時間を貰えませんか」

AKG「いえ、この場に居るみなさんにお話したいんです」

P「え?」

AKG「…………」

ステージ裏

肉おじゃ「・・・・・・」

USMN「終わっちゃいましたね……でもいいんですよ。ナナたちのアイドル人生はまだまだ――」

TDN「菜々さん! そして横の方も。お疲れ様でした」

USMN「たっ、多田野さん!? もう控え室に戻ったんじゃあ」

TDN「いえ、どうしても声をかけたくて。大坊もそこに居ます」

DB「……フン」

USMN「そうですか。三次予選通過、おめでとうございます!」

TDN「ありがとうございます。お互い全力で戦えて、いいステージになったと思います」

USMN「……そうですね」

TDN「ただこれで終わった訳じゃありません。目指すのは頂点です。IUを優勝するまで戦いは続きます」

USMN「!」

TDN「お互い、目標に向かって頑張りましょう。それではまた、どこかで」

DB「じゃあな」

USMN「はいっ、じゃあ……また」

USMN「そっか……多田野さんだって、同じように何かを目標にして、追いかけて……」

肉おじゃ「・・・!」

USMN「え? 別になんとも――」

ウルッ

USMN「あれ……おかしい、ですね……ナナはちゃんと、悔いのないようにやったはずなのに。なんで……」ポロポロ

肉おじゃ「・・・・・・」ボソッ

USMN「悔いと悔しいは違う……そうかも、しれませんね……」

肉おじゃ「だから次から、悔いも悔しさもないようにすればいい」

USMN「はいっ。また次のステージで……」

観客席

AKG「大変素晴らしいステージでした。アイドルのライブは、やはりいいものですね」

P「そんなことか(呆れ)」

AKG「……ただ」

RIN「た、ただ?」

AKG「今のステージを見た限りで言えば、あなた方はまだ810プロには敵わないと僕は思います」

「!!」

木村「それはどういう意味ですか? いや意味というより、根拠はなんでしょうか」

AKG「実は先日、私は810プロの三次予選を見に行ったんです。みりあから会場を教えてもらって」

AKG「もっとも私が見たのはたった一つのステージだけですが。みりあのユニットと、確か島村卯月という方が参加してるユニットのLIVEバトル」

RN「卯月と未央の……!」

AKG「結果は、その島村さんたちが勝って予選通過ということでした」

P(先日ってことは全勝同士の対決だったってことだな……)

木村「二つのLIVEバトルを比べた結果、僕たちではまだ敵わないということですか」

AKG「はい。少なくとも先ほどステージに立っていたあの方々では、810プロには及ばないかと」

RN「どんなステージだったの。810プロのLIVEバトルは」

AKG「そうですね、どう表現したらいいのか分からないですが、輝いてるといいますか」

RN「輝き……」

AKG「はい。僕たち観客の目線を釘付けにしてしまうような輝き、ですかね」

AKG「僕はみりあのステージを見に来ていたはずなのに、いつの間にか島村さんたちの方に目線が動いていました。言葉足らずですが、こんな所です」

RN「……ありがと」

遠野「なんでそんなこと僕たちに言う必要があるんですか」

AKG「あなた方の事情は大まかにですが把握しています。だからこそ、アドバイスのつもりで。おこがましかったかもしれませんが」

P「いや、十分ですよ。あなたをここに連れてきてよかった」

木村「優勝するには、810プロは必ず越えなければいけませんからね」

RIN「天狗になってちゃダメってことだね!」

三浦「そうだよ(便乗)」

AKG「そう言ってもらえるとありがたいです。では、僕はこれで……」

P「ええ、良ければまたステージを見に来てください!」

多田野たちの控え室

P(祝福の言葉と共に、赤城の話を多田野たちにもした)

DB「やべぇよ、やべぇよ……」

RIN「大坊さんそればっかりだね」

DB「うるせぇ! お前はヤバいと思わないのか?」

RIN「ええっ!? そりゃあ、思いますけど……」

TDN「確かに自分も壁を感じる部分はあります。でもそこで立ち止まってはいられませんから」

DB「フン、俺もヤバいと言っただけで諦めたなんて言っていない」

MY「知ってますよ?」

遠野「とにかく、まだまだ成長しないといけないってことですよね……」

P「そうだな。でもみんなそれだけの伸びしろはある。焦らなくても、これまでだって成長してきただろ?」

三浦「そうだよ(便乗) 傍で見てきたからよく分かってるゾ~」

P「だからまずは予選ラスト、四次を通過することを考えればいいんだ上等だろ」

木村「そうですね。決勝トーナメントに残れるように」

P「……それと息抜きも大事だ。今日はみんなで打ち上げだ! 行くゾオオオオオオオ!」

「おおー!」

P(色んなことがあった三次予選も終わり、束の間の日常が訪れる……)

とりあえずここまで

数日後 野球場

P「準備はオッケーだな」

TDN「はい」

DB「」コク

HTN「ウィヒ!」

三浦「バッチリだゾ~」

P「よし。じゃあ撮影開始だ!」

TDN「合図はどうしますか?」

P「はい、よーいスタート(棒読み)」

TDN「了解です」

三浦「あっ今ので間違えてボタン押しちゃったゾ(池沼)」

P「ハァ~(クソデカ溜め息)」

DB「早くしてくれ」

三浦「ポッチャマ…今度こそ準備完了ゾ……」

P「じゃあ改めて、PV撮影はい、よーいスタート(棒読み)」

P(何故こんなことになっているかと言えば……)


……
………
P「ただいま戻りました」

三浦「おう、お疲れだゾ」

RIN「お疲れさまで~す」

P「なんだ、凛とまゆ以外みんなここに居るのか。珍しいな」

遠野「お昼ですから。お忙しい二人を除けばこういうこともありますよ」

P「そうか。そういえばみんなPVのアイデアは考えたか? まだ間があるとはいえ、うかうかしてると時間はすぐに――」

「…………」

P「なんだ、そのキョトンとした顔は?」

RIN「ぴ、ぴーぶいって何です? そんなの予定にありましたっけ……」

P「は? おい、もしかして全員ど忘れしたのか?」

三浦「俺は忘れたゾ(池沼)」

木村「いや、えっと確か四次予選で」

P「よう言うた! その通り!」

NTK「ああ、そう言われたら思い出したよ」

RIN「え、っと。あーありましすせたしねはい。そういうのも」

DB「噛んでるぞ」

P「……まあ、説明したのは一次の一週間ぐらい前だし、その時は予選のルールを一気に説明したからな。この際だ、もう一度きちんと話そう」

RIN「お、お願いします!」

P「これが最後だからお前ら、よく聞いとけよ? まず、この最終予選だけはLIVEバトルのルールが特殊なんだ」

RIN「と言いますと?」

P「まず1vs1のバトルじゃない。いやユニットなんだからそりゃそうだろなんて事じゃなくてな」

RIN「それくらい分かってます!」

P「冗談、冗談。三次予選を勝ち抜いたユニットは16組に分かれるんだ」

TDN「本戦のトーナメントに進めるユニットの数と同じ、ですよね」

P「そう。三次を通過したのは約50ユニットだから、だいたい一組につき3ユニットとなる」

RIN「3ユニットでのLIVEバトル……でも基本的にやることは変わらないんじゃないですか?」

P「……本当に全部ド忘れしたんだな」

RIN「え、いや……ごめんなさい」

P「まま、ええわ。ここからが重要」

P「『スポットライトLIVE』、それが四次予選で行うステージの名前だ。このLIVEバトルでは――」

三浦「あっ! 『お客さんの心を掴むのが大事』って言ってたのは覚えてるゾ!」

P「さすが、肝心な所は覚えてますね」

RIN「私、社長以下……」

NTK「ま、まあまあ。三次予選までで頭がいっぱいだったんだろ?」

RIN「うん……」

P「……このLIVEは文字通り、スポットライトを浴びれるかどうかが客に委ねられている」

三浦「どういうことだゾ?」

P「このLIVEでは観客一人一人が照明のスイッチを持ってる。まあ投票ボタンみたいなものだな、多くボタンを押されたユニットが――」

RIN「より多くのスポットライトを浴びることが出来る! そういうことですね!」

P「お、おう。そうだよ」

DB「急に元気になりやがるな」

RIN「というかPV撮影の要素が無いんですけど、それは大丈夫なんですか?」

P「今からその要素が出てくるんだよ。参加ユニットは事前に自分たちのPVを提出しなければいけないんだ」

RIN「あ、なるほど」

P「長さは三十秒から最長でも二分。内容の指定は特になし」

三浦「結局はLIVEバトルの勝敗で決まるのに、PVを作る意味あるのか?」

P「提出したPVは、スポットライトLIVEが始まる直前に会場で流されるんだ」

P「どのユニットがLIVEするかは事前に分からないから、観客はそのPVをみてどのアイドルが見たいかを決める。だからそこで観客の心を掴めないと――」

RIN「ステージが始まったとき、私たちの場所だけ真っ暗!?」

TDN「いや、さすがに誰もボタンを押さなかったとしても真っ暗はないでしょう」

RIN「そ、そうだよね」

P「スポットライトを浴びないと自分たちをアピールすることも出来ない。だからなるべく印象に残るPVを作る必要があるんだ」

RIN「えっと、ステージが始まったとき、他のユニットより暗かったらもうダメってことですか?」

P「客はLIVE中いつでもボタンを変えられるからそうとは言い切れないが、不利に変わりはないな」

P「それと会場を言い忘れてたな。今回の会場はなんと野外特設ステージだ!」

RIN「と、特設ステージっ!? というか野外ライブですかぁ!?」

遠野「い、いつも以上に緊張しそうです……」

P「しかも夜だぞ、夜のライブだ。昼だとスポットライトで照らす意味がないからな!」

NTK「なんだかフェスみたいだな」

RIN「うんっ、私もそれ思ったよ!」

P「一日あたり四試合、四日間に渡って行われる。人はそりゃあもうかなり来るだろうな」

三浦「会場の規模もお客さんの数もいよいよ大きくなってきたゾ」

TDN「そういうステージに立てることを嬉しく思います!」

P「他に質問はあるか?」

DB「ユニットの配置はどうなる? 三つ、可能性は低いが四つの場合もあるんだろう」

P「んーとそうですねぇ……」カキカキ


http://i.imgur.com/IX3Qiq7.png
http://i.imgur.com/QSpoLWv.png


P「こうだぞ! 大きさバラバラに見えるが実際は同じだぞ!」バァン

RIN「ヘッタクソな絵……ああっごめんなさい」

P「ちなみに数字はPVが流れる順番だ。OK? OK牧場?」

DB「なるほど、分かった」

P「他にはあるか?」

「……………」

P「ないな。じゃあ各ユニットちゃんと早めに考えて俺に伝えるように」

「はーい」

三浦「ちょっと待って欲しいゾ。撮影はどうやってするんだ?」

P「専門の所に以来する金もないし俺と三浦さんですね。機材のレンタル費用は何とかしてください、オナシャス!」

三浦「ポッチャマ……事務所の家計はまだまだ火の車だゾ……」

P「じゃあ以上! 解散解散!」

NTK「まだ昼ごはん食べてるんだけどな」

P「あっ、そういや俺まだ食ってなかったな……」

………
……

とりあえずここまで

P(そして今に至る。今日は多田野たちのPV撮影だ)

P(しっかし多田野はともかく、他二人まで野球アイドルのキャラで大丈夫なんですかねぇ)

DB「えー応援よろしくお願い「カット!」

DB「は?」

三浦「もっとハキハキした声で喋るんだゾ! 大坊!」

DB「お、おう。すまん」

P(三浦さんは何故か、本職の監督並に気合が入っている)

P「まあ、確かに今のはちょっと駄目だったな。笑顔も見せたれ(アドバイス)」

DB「分かったよ……」

三浦「Take2はい、よーいスタート!」

P(多田野たちが考えたPVはいたってシンプル)

ゴオオオオオオオオ!!!(神風)

P(まず羽田野が強風をおこしてグラウンドの土を巻き上げる)

モクモクモク……ズサーッ!

P(土煙りの中から三人がスライディングで登場)

TDN「元祖・羞恥心、センターの多田野です。自分たちはこれまで出来ること全てを出しきって勝ち残ってきました」

TDN「ここからはそれを上回る力を発揮して予選を突破し、優勝を目指したいと思います。応援オナシャス!」

DB「大坊です。応援オナシャス! 応援しないと撃つぞゴルァ!」

HTN「ウィヒ!」

TDN「……絶対勝つぞ!」

「おう!」

三浦「はいカット~良かったゾ~しっかり言われたところ直せてたゾ」

P「そうですね、しっかり話せてました」

DB「案外あっさり終わったな」

P「ただ、一つだけ言いたいことがある」

TDN「なんですか?」

P「あのさぁ、アイドルのPVなのに高校球児の意気込みみたいになってるってそれ一番言われてるから」

三浦「そうだよ(便乗)」

TDN「いやそんなこと……」

P「最初スライディングでカメラインする所、最後に絶対勝つぞなんて言ってる所がまさにそうなんだよなぁ」

DB「正直俺も思ったよ」

TDN「だ、大坊!」

DB「ただこれはこれでいいかと思ったんだ。他にいい案も無かったからな」

P「まあ確かに、これはこれで味があるとも言えるな」

三浦「じゃあもう少し、もう少しだけアイドルっぽくしてみるのはどうだ?」

P「アイドルっぽくって何だよ(哲学)」

三浦「例えば……」

Take3

ゴオオオオオオオオ!!!!(神風)

モクモク…

TDN「おーねがいー♪シーンデレラ♪」ズサーッ

DB「夢はゆーめで終われない!」ズサーッ

HTN「ウィヒ♪」

TDN「元祖・羞恥心、センターの多田野です。自分たちはこれまで出来ること全てを出しきって勝ち残ってきました。ブイッ!」

TDN「ここからはそれを上回る力を発揮して予選を突破し、優勝を目指したいと思います! 応援オナシャス! き、キャハ☆」

DB「応援しないとハート撃ち抜くぞゴルァ!」

HTN「ウィヒ☆」

TDN「……みんな! 頑張ろうね!」

「おう!」

三浦「はいカット!」

P「…………」

TDN「ど、どうですか?」

P「提案者の三浦さん、どうぞ」

三浦「うわキツ」

DB「は? おい、こっちは恥辱に耐えてやってるんだぞ」

TDN「駄目ですか……」

三浦「いやーちょっとはっちゃけ過ぎたゾ」

P「キャハはないな。てかパクりだし。ハート撃ち抜くもその顔で言うことじゃない」

TDN・DB「…………」

P「あっああすまん、センセンシャル! 俺が止めれば良かったな、ごめん」

三浦「じゃあ逆に熱血系にシフトすればいいんじゃないか?」

TDN「なるほど、具体的には?」

三浦「例えば……」

Take4

ゴオオオオオオオオ!!!(神風)
ゴオオオオオオオオ!!!(神風)
ゴオオオオオオオオ!!!

P「とてつもない砂嵐の中でもレッスンを止めないアイドルの姿があった……(ナレーション)」

TDN「……! ……!」

P「彼の名は多田野、『元祖・羞恥心』センターであり、IU優勝へ向けてひたむきに努力する元プロ野球選手……」

DB「ふっ……はあっ……!」

P「うさぎ跳三周中の彼は大坊、ビビりの割に態度はデカい……」

HTN「」

P「羽田野。空気」

スタタタタ!!!

TDN・DB・HTN「ハアーッ!」ズサーッ

TDN「必ず! 優勝する!」

「おう!」

P「彼らのアイドル活動はまだ始まったばかりだ……」

三浦「はい、カット!」

DB「おい。あの紹介はなんだ?」

P「さ、さあなんのことか」

三浦「見直せば分かるゾ?」

P「きゅ、急に言われて何も思い付かなかったんです!」

DB「だからってあれじゃあアピールにも何にもならないだろうが!」

TDN「というよりなにか……ドキュメンタリー系番組の雰囲気になってしまいましたね」

P「MUR、意気込んでた割に演出下手じゃないすか?」

三浦「じゃあプロデューサーならどういう風に仕上げる?」

P「んーとそうですねぇ、やっぱり僕は王道を行く」

TDN「王道を行く……?」

IU四次予選出場「元祖・羞恥心」(テロップ)

――ええまず、年齢を教えてくれるかな?

TDN「30ぐらいですね、はい。30ぐらいで」

DB「同じく」

HTN「同じk『ゴオオオオオオオオ!!!』

――30ぐらい? もう芸能界入って長いの?

TDN「いえ、自分たちは最近。二年前ぐらいから始めて」

――へぇ。でもハードル高いでしょう? その年齢でアイドルは

DB「こいつはやろうと思ったことはなんにでも挑戦するからな」

TDN「そうですね、はい。まあやってみよう、って感じで」

――四次予選へ向けての意気込みは

TDN「勝ちます。必ず」

HTN「うまいぞ決意表明(空気)」

――ありがとうございました。頑張ってください

P「はい、カット!」

P「原型ないやん(笑)」

DB「お前が撮ったんだろうが」

P「いやでもいいだろ? インタビュー風にそつなくまとまってて」

三浦「ホモビデオみたいだゾ」

P「は? そんな要素無いってそれ一番言われてるから」

TDN「しかし映像として、グラウンドに体育座りしてインタビューを受けているだけというのは……」

P「ウーン」

DB「もう、最初に撮った奴でいいだろ。時間の無駄だ」

三浦「そうだよ(便乗)」

TDN「他の映像はどうするんですか?」

P「こういう時のNGカットは後々グッズのおまけDVD、バラエティでの秘蔵映像なんかに使えるからな、とっておく」

DB「……なんだかセコいな」

P「いえいえとんでもない、偶然NGカットが何本か撮れただけですので」

三浦「そうだよ(便乗)」

P「とにかくこれでPVは撮れた! 編集は俺に任せて、お前らはレッスンに励んでくれ!」

TDN「はい。PVで言った様に……絶対に勝ちます」

P「よし、その意気だ」

とりあえずここまで

P(その後順調に凛たちと木村たちのPVも撮り終わり――)

ワイワイガヤガヤ……

P(気づけば四次予選の日を迎えていた!)

RIN「す、すごい。お客さんいっぱい」

DB「小学生並の感想だな」

RIN「だってホントにすごいんだもん!」

木村「そうですね……僕たちは今からここで歌うんです」

P(四日間の日程の内、多田野たちと木村たちが初日の最初と三番、凛たちは三日目のトリだ)

三浦「お~い、焼きそば買ってきたゾ~」

NTK「社長はいつでも緊張感ないよなぁ……」

三浦「食べる?」

P「(いら)ないです」

TDN「じゃあ、僕たちは準備に入りましょうか」

P「俺は今回ずっと側に居るんで、三浦さんだけ一旦お別れですね」

三浦「観客席から見守ってるゾ~」

P「……間違ってもスポットライトのリモコン貰わないでくださいね。不正になりますから」

三浦「アイドル関係者のIDカード提げてるから大丈夫だゾ」

P(まあ、真面目な時は真面目な人だから大丈夫か)

HTN「トイレ行ってくる」スタスタ

RIN「……? 今誰か何か言いました?」

DB「お前羽田野に対して異常な程冷たいな」

RIN「あっ羽田野さんだったの!? ごめんなさい気づかなくて!」

P「トイレに行ったから今謝ってもしょうがないんだよなぁ」

NTK「だりー、前までユニット組んでたんだよな……?」

RIN「え、いや、まあね」

NTK「なのに分からないのか(呆れ)」

TDN「羽田野の影が薄いのはいつものことです。メイクと着替えを始めましょう」

RIN「うん……多田野さんフォローありがと……」

三浦「俺も観客席に行くゾ」スタスタ

P「食べ歩きしたら駄目ですよ!」


……

RIN「ねぇ、羽田野さんいくらなんでも遅くないかな?」

P「ん?」

RIN「あああっごめんなさい! 居たんですね! 私の勘ちが――」

DB「いや、確かに遅過ぎる。俺たちの着替えが終わってるってことは三十分は経ってるしな」

木村「この人の多さでトイレが超満員ということは?」

P「いや、出演者専用仮説トイレがここの近くにあるんだ。トイレに行こうと思ったらすぐに分かるはずなんだが」

NTK「知らずに客席とか売店の方のトイレに行っちゃったのかもな」

P「……おかしい、携帯にかけても出ないぞ」

RIN「うーん、人混みに揉まれて落としちゃった……?」

DB「どちらにしろ連絡が取れないのはまずいぞ。もう俺たちのステージまで時間がない」

TDN「探すしかない! 行くぞ!」

P「あっおい、待てい! そのまま探しに行ったらステージ衣装が汚れちゃうだろ!」

木村「脱いで探しに行き、戻ってまた着直す時間は……十分あるとは言えませんね」

TDN「しかしそれじゃあ」

P「そのためのプロデューサー? あとそのための社長?」

RIN「さっすがぁ!」

バルカン大先輩(※)「どうしたんだい君たち?」

P「なんだお前(素)」

バルカン大先輩「アイドルだ」

NTK「相撲取りにしか見えないんだが……」

TDN「実は自分たちの仲間が居なくなってしまって」

バルカン大先輩「おぉっ、そういうことだったのか。どんな奴だ?」

TDN「どんな奴? え、ええっと……」

※なんちゃって相撲取り(迫真相撲部)に出てきた肉丸の兄弟子。三人の中で立場が一番上の人。

P「こいつだ」スッ

DB「スマホに写真入ってるんだな」

P「担当アイドルのは一応、な」

バルカン大先輩「あれ? こいつ見たことある」

P「それは本当か!?」

バルカン大先輩「さっき売店の方で見たなぁ。二十分くらい前か?」

RIN「やっぱり一般の方のトイレに行っちゃったんだよ!」

P「全くしょうがねぇやつだなぁ。俺がすぐ迎えにいくよ」

バルカン大先輩「良かった良かった。天の喝采!」

P「おう、情報提供ありがとナス!」

TDN「ありがとうございました!」

バルカン大先輩「おぉういいのいいの。それじゃあ」スタスタ

P(なんでいきなり話に入って来たんだ?)

P(っとそれより急がないとな!)タッタッタ

売店方面のトイレ

オイゴルァ! デロ! オマエイツマデマタセンダ!

ガヤガヤ…

P「汚い順番待ちだなぁ」

P(まさかまだ入ってたりしないだろうな? この中に割り込んで確かめるわけにもいかんぞ)

P(とりあえず、誰か目撃してないか聞いて回ろう)

P「すいまへぇ~ん人探しですけどぉ~、こいつ見たことある人居ませんかねぇ~?」

「誰だよ」「(知ら)ないです」「ああもうおしっこ漏れちゃいそう!」

P「誰かー! 誰か居ないのか!」

「うるせぇ!」「だ↑まれ!」

P「どうなっちゃってんすか! 救いはないんですか!?(レ)」

「うざってぇ」「あ~めんどくせーマジで」

「おいやっちまおうぜあいつ」「やっちゃいますか」「やっちゃいましょうよ~」

P(あれ? もしかしてヤバい雰囲気?)

P「やべぇよやべぇよ……おいどうするどうする(自問)」

敏感ふとまらくん「やめてあげてください……アイアンマン!」

P「!?」

「敏感ふとまらくんちゃんだぁ!」「かわいいゾ~これ」

P(な、なんだ!? こいつもアイドルか!?)

敏感ふとまらくん「怖い思い……やめて……」

「じゃあやめるか! しょうがねぇなぁ~」「おっそうだな」

敏感ふとまらくん「……」ホッ

P「あ、ありがとう。よく分かんないうちに助かったよ」

敏感ふとまらくん「あの……その人……見た……」

P「!!」

「お~いふとまら! こんなところに居たのか!」

敏感ふとまらくん「プロ……デューサー……」

「準備しないと遅れるんだよステージによぉなぁ! ったくうちのユニットはどいつもこいつも……」

敏感ふとまらくん「やめて引っ張らないで……怖い……まだトイレしてない……」ズルズル

P「お、おい! 待ってくれよ!」

「……?」スタスタスタ

P(クソ、人混みだけど見失うわけにいはいかない!)

ガヤガヤ…ゴミゴミ…

P(もう間もなくステージが始まるからか、会場方面に向かって人の流れが出来ている)

P(よい、追い付け――)

「! ここに居たか!」ピタッ、スタタタタ

敏感ふとまらくん「やめてください……怖い……」ズルズル

P「いきなり流れを離れて横に抜けたぁ!? ふっざけんなお前オラァ!」

P(ちょっと流されたけど俺もUターンして……!)クルッ

「あのさぁ、人の行き来考えてどうぞ」「つべこべ言わずに前行けホイ」

P(あーもう鬱陶しい!)

P「どけよ! ケツの穴ガン掘るぞオラァ!」

P「それともリアルに調教されたい?」

「何だお前(素)」「触れちゃいけないヤツでしょ」「近寄りたくない」「哀れ。」

ササッ…

P(よし、人が退いて抜けられた!)

MRKBとANZは森久保乃々や双葉杏となんの関係もありません

P(出店の屋台裏、草や木が生えてるだけの場所だな。なんでここに?)

「あのさぁ、もう開演時間まで僅かしかないってそれ一番言われてるから」

ANZ「いやぁ、この人混みが終わったら行こうと思ってたんだよ。本当だよ」

「それはつまり遅刻なんだよなぁ」

ANZ「あれーそうなんだ。杏知らなかったよ(すっとぼけ)」

「ハァ~(クソデカため息)」

MRKB「というか、やっぱり……その……」

「いやまだ無理か分かんないだろ!」

MRKB「うぅ……むぅーりぃー」

P(なるほど向こうも大変そうだ。と言っても気にかけてやれる余裕はない)

P「おーい! 敏感ふとまらくん!」

敏感ふとまらくん「ひっ……怖い……」ビクッ

P「俺だって俺! トイレの所で助けて貰った!」

「誰だよ」

P「お前に言ってないから、二人の説得を続けてどうぞ」

「そう……」

P「敏感ふとまらくん! さっきこの写真の男見たことあるって言ったよね?」

敏感ふとまらくん「は、はい……」

P「どこで見た!? 教えてくださいなんでもしますから!」

敏感ふとまらくん「やめて……怖い……」

P「あっごめんね。うん。教えて? どこに居るか」

ANZ「ねぇ、それってあの人じゃない?」

P「え?」

MRKB「そこで寝てますけど……」スッ

HTN「」

「寝てるっていうより気絶してるんじゃないか?」

P「だ、大丈夫か羽田野!? 誰にやられた! おい、しっかりしろ!」

HTN「ぅ……ぁ……」

P「良かったすぐ目が覚めたぞ。俺の事分かるか? プロデューサーね」

ANZ「へー、この人もプロデューサー? ってことはこっちの人はアイドルかな」

ANZ「それなのに未だにここに居る……つまり時間は、まだまだ大丈夫」

「違うだろ! いい加減にしろ!」

HTN「あ、あ、あぁ……」

P「な、なんだどうした? というかお前今まで何を」

HTN「ああああああああああああああ!!!!」

「!?」

HTN「あ、あ、あ……見るな……見てはいけない……」

P「ど、どうした? 気をしっかり持て」

HTN「アレと戦ってはいけない……姿を見てはいけない……」

P「アレ? アレってなんだよ(哲学)」

敏感ふとまらくん「怖い……やめてください……」

HTN「みんなこうなる……みんなこうなる……見てはいけない……」

P(なんだ!? 普段あまり喋らない羽田野にここまで言わせる物は!)

「そちらのアイドルはそういうキャラで売ってるんですか?」

P「んなわけあるか!」

HTN「殺される……みんな殺される……目を閉じなければ……」

MRKB「こ、殺されるっ……!? む、無理無理むーりー!」

ANZ「うーん、これはさすがに理解不能だよ」

P「殺されるってそんな、おいおい……はっ!」

P(まさかまたメガデス!? 凛は今日居ないんだぞ!?)

HTN「閉じろ……目……うっ……」パタ

P「お、おい! しっかりしろ!」

HTN「…………」スクッ

P(……? 倒れたのにまたすぐ起き上がった?)

HTN「クォクォア…?」

ANZ「なんかさっきと雰囲気違うね」

P「あ、ああ……大丈夫か羽田野?」

HTN「俺なにしてるんだ?」

P「うん。ごめんな羽田野、俺がそれ聞きたいんだ」

HTN「…………」

P「ああそれと君、こいついつからここに倒れてた?」

ANZ「君って杏の事? さぁ、知らない。写真見せられて振り向いたら居たし」

MRKB「ずっといたような気もしますけど……居なかったような気も……」

「お前らがずっとここに居るのがおかしいんだよなぁ」

P(空気過ぎて存在を気づかれなかったか)

HTN「気絶……倒れてた……?」

P「ああ。それにさっきは妙なことも叫んでたしな。見るな! とか目を閉じろ! とか」

HTN「わからない、覚えがない。トイレに行っただけなんだ」

ANZ「夢でも見てたんじゃない? 夢遊病みたいなさ、知らないけど」

P「本当に覚えがないのか?」

HTN「」コク

P(そう言われるとどうしようもないな……)

pipipi!

P「多田野からか……もしもし、見つかったよ。ああ……うんすぐ戻る。間に合うよ。じゃあ」

P「とにかく今は多田野たちの所に戻るぞ。時間がない」

HTN「ウィヒ!」

P「一応聞くがケガ、体調不良はないな?」

HTN「ないです」

P(さっきの事は気になるが今の羽田野に問題はなさそうだ。……ステージにたたせても大丈夫だよな)

「お前らもいい加減行くぞ! ほら!」

ANZ「しょうがないなぁ」

MRKB「あんなにたくさんのお客さんの前で歌うなんて……もりくぼは恥ずかしくて飛んでいきそうなんですけど……」

敏感ふとまらくん「怖い……」

「いいからはい!」

ANZ「あ、そうだ。ねえねえ、羽田野に多田野って言ってたよね?」

P「え? ああ、うん」

ANZ「じゃあ杏の記憶によれば対戦相手のだよ。お手柔らかにね」

P「えっ、いや対戦相手って、直前まで分からないんじゃあ」

ANZ「偶然、運営の人が話してるの聞いちゃってねー。まあ対戦相手が誰でも関係ないよね、正直」

MRKB「大アリですけど……目の前にこれから戦う人たちがいるなんて……」

敏感ふとまらくん「怖い……」

「大丈夫だって安心しろよー、ヘーキヘーキ、平気だから」

HTN「うまいぞ鼓舞(空気)」

P(対戦前の相手同士とは思えない空気で多田野たちの所へと戻った)

P(羽田野のことは何も分からないのでとりあえずコケて気絶していたということにした……)

P(そしていよいよ四次予選の幕が開ける)

とりあえずここまで

舞台袖

「事前に配布いたしましたこのボタンについて今からご説明いたします。これは……」


P(ルール説明やPV再生の時間もあるので、スタンバイしてから実際歌うまでの時間にはかなり間がある)

TDN「羽田野、何度も聞くけど本当に大丈夫か?」

HTN「くどい!」

DB「フン、そこまで声を張れるなら問題ないだろう」

ANZ「あー、杏のプロデューサーもあれぐらい過保護になってくれれば、杏はいつでも休み放題なのに……」

DB「なんだお前」

ANZ「分かるでしょ? 対戦相手。まぁ正式発表はこの後だけどね」

DB「そうか、ここで待機してるんだからそうだな」

TDN「しかしあなた方の他にもう1ユニット居るはずですが」

P「向こう側でスタンバイしてるんだよ。入りがスムーズになるからな」

TDN「ああ、納得です」


「えーそれでは、第一試合の対戦カードを発表します!」

「20プロ、『敏感ふたののちゃん』!」


ワァァァァ!

「良かったな、お前たちを知ってる人がいっぱい居るみたいだぞ」

P(なるほど、ここの歓声の大きさはそのまま知名度ともとれるな)

MRKB「余計に無理なんですけど……」

敏感ふとまらくん「やめてください……(期待が)怖い……」

ANZ「そーいえばこのユニット名、杏要素ないよね」

「双葉のふたなんだよなぁ」

P(ふたなりじゃないのか……)


「続いて364プロ、『元祖・羞恥心』!」

ワァ…ワー…

TDN「…自分たちはまだまだこの程度のの人気ということでしょうか」

P「まぁ実力でここまで来たとはいえ、メディアへの露出は少なかったからな」

「続きまして2101(太い)プロ、『迫真相撲部』!」

ワァァァ! キャー! フトイ!

P「2101プロかぁ。あそこは大手だもんな」


「通常は3組の対戦ですが出場ユニット数の関係上この試合は4組の対戦になります」


P「最初の方で余りを消化してきたか」

DB「チッ、俺たちの番でやらなくてもいいものを」

敏感ふとまらくん「(ライバルが増えて)怖い……」


「ということで続いて083プロ、『ピンキーキョーコ』!」

「……?」「………」


P「ピンキーキュートなら知ってるんだけどなぁ~」

HTN「…………」ソワソワ

P「ん? どうした羽田野」

HTN「い、いや。なんでも……」

「それでは、ステージの前にアイドル達をPVで紹介いたします。紹介順は、ユニット名の発表順と同様です」


P(スポットライトLIVEは基本的に知名度と人気があればある程有利だが、このPV次第でそれをひっくり返せる可能性がある)

P(裏を返せば差を大きくされるということでもあるが……さてどうなるか)

MRKB「あぅー……あれが流されてしまう……」

敏感ふとまらくん「やめてください……アイアンマン!」

P(他の所がどんな風に作ったのか気になるが、袖からじゃモニターがよく見えないんだよな。音は聞こえるけど)

「それではまず『敏感ふたののちゃん』、ご覧下さい」

――――

MRKB「も、もりくぼです……今日は事務所での普段の私たちを紹介します。なんでなのか分からないですけど……」

MRKB「もりくぼだってどうせ見せるなら頑張ってる所を見せたいんですけど……でもプロデューサーもファンの人も何故か見たいって言うので……まあそれなら仕方ないですけど……」ブツブツ

MRKB「ちなみにここは机の下です。もりくぼの定位置です。では、二人を探しに行きます……」スタスタ

(暗転)

MRKB「はい。部屋の隅っこにやってきました。普段ここに居るのは……」

敏感ふとまらくん「カメラやめてください……アイアンマン!」

MRKB「敏感ふとまらくんです……怖がりなので事務所に居るときはここでうずくまってます」

敏感ふとまらくん「やめて……怖い……」

MRKB「怖くないです、カメラで撮ってるだけですから……何か一言お願いします」

敏感ふとまらくん「アイアンマン!」

MRKB「はい、ありがとうございました……杏さんの所に行くので着いてきてください」

(暗転)

MRKB「ここは事務所に置いてある長椅子です。この下の隙間に、杏さんが……」

ANZ「……zzz」

MRKB「寝てます……たまにゲームしてますけど……。ふとまらさん、起こしてください」

敏感ふとまらくん「やめて……怖い……」ユサユサ

ANZ「…………」

敏感ふとまら「起きて……怖い……」ユサユサ

ANZ「……ぐー」

MRKB「すいません、もりくぼですけど……まだ時間かかりそうですかね……これ、時間制限あるみたいなんですけど……」

(暗転)

ANZ「ふあぁ……それで杏は何すればいいの?」

MRKB「え、何って……よく分からないですけど……意気込み? とか……」

ANZ「寝起きで意気込み……寝ててもLIVEで勝てるようになりたい。おやすみ……」zzz

MRKB「これでいいんでしょうか……もりくぼはありのままを撮っただけですけど……」

MRKB「では、さようなら……」

――――

パチパチパチパチ…

P(音だけで大体伝わったけど、ホームビデオ風かぁ。こういうのもアリなのか)

MRKB「うぅ……流れてしまった……」

DB「これの何が恥ずかしいんだ?」

MRKB「私にとってはかなり、恥ずかしいんです」

DB「そ、そうか」

ANZ「意気込みと言いつつ、夢を語っってしまった杏も恥ずかしいよ? 本当はね」

P「微塵もそう思ってなさそうだが……」


「では続いて『元祖・羞恥心』どうぞ」


……
………
パチパチパチパチパチ……

P(最初スライディングしてくる所が意外にも受けたようだ。悪くない反応に思える)

TDN「自分たちの思い、伝わったでしょうか」

ANZ「んー、杏にはもうお腹いっぱいなくらい伝わったよ」

TDN「会場のお客さんもそうだといいのですが」

DB「今さら心配してもどうにもならん」

HTN「…………」プルプル


「それでは続いて『迫真相撲部』、どうぞ」

――――

肉丸「はあっ、はあっ。どすこい!」ズトン

バルカン大先輩「おい、お前ちょっと止めろ。んでそこ寝ろ!」ガッ

肉丸「あっ、あっ……」ゴロッ

バルカン大先輩「何今の? カチカチじゃん動き」

もう一人の兄弟子(以下兄弟子)「なんでこんなに動き鈍いの?」

バルカン大先輩「またレッスンサボりやがったなお前な?」

肉丸「ち、違いまし。先輩僕ゥ……僕……」

肉丸「お腹減って動けないんです!」

バルカン大先輩「oh!(ネイティブ) そういや俺も腹へったな」

兄弟子「そうですね」

バルカン大先輩「じゃあ今日はもうやめて飯にするか! よし!」

兄弟子「よし!」

肉丸「あ、あのっ。先輩についていけるように頑張ります!」

バルカン大先輩「その意気だよ……飯食ったら今日は寝かさねえぞ~?(意味深)」

「ワハハハハハ!!」


身体もちゃんこもてんこ盛り

迫真相撲部

――――

パチパチパチパチ! ワーカッコイイー!

P「えぇ…(困惑)」

DB「あいつも対戦相手だったのか……」

TDN「変な偶然があるものですね」

敏感ふとまらくん「(相撲取りの体つきが)怖い……」

ANZ「アレでアイドルなんだからこの世界は広いよね」

MRKB「ステージで横に居たら、気圧されそうですけど……」


「それでは最後に『ピンキーキョーコ』、ご覧下さい」


HTN「………! あ、ああ、あ!」

P「ど、どうした羽田野!?」

HTN「閉じろ、目を……目を閉じろおおっ!!!」

P(な、なんだ!? このユニットに何かあるのか!?)


「きゃああああああああああああっっっ!!!」

とりあえずここまで

少し前 観客席

パチパチパチパチ! ワーカッコイイー!

三浦「やっぱりここまで残ってるだけあってどのユニットもレベルが高いゾ~これ」

三浦「PVを見てるだけで楽しいゾ」


「それでは最後に『ピンキーキョーコ』、ご覧下さい」


三浦「この娘たちのはどんなのかな~」


デデドン!(絶望)
http://i.imgur.com/RRFkqVL.jpg

デデドン! デデドン!(絶望)
http://i.imgur.com/v5EY3dB.jpg
http://i.imgur.com/E4B8juR.jpg

三浦「あっ(心停止)」


「きゃああああああああああああっっっ!」「うわああああああああっ!!」

舞台袖

DB「やべぇよやべぇよ……何が起きてるか分からないが」

敏感ふとまらくん「怖い……やめてくだせぇ……」

「クソ、どうしたっていうんだ!?」スタスタ

HTN「や、やめろ! 見るな!」

「あっ」パタン

MRKB「ひいっ! ぷ、プロデューサー!?」

P「い、一瞬見ただけで気絶したのか?」

TDN「羽田野、何が写っているか知ってるのか?」

HTN「そ、そうだ……俺はアレを一度みた……。思い出したぞ、あの時――」

一時間前

HTN「いくら待っても、入れない」スタスタ

HTN(トイレ……)スタスタ

ガヤガヤワイワイ……

HTN「…………」ムズムズ

HTN(も、もう我慢出来ない!)タッタッタ

サッサッサ

HTN(売店裏の茂みなら誰もいないはず……)スッ

ピンキー「ふぅ~トイレが混んでて困るわぁ」チョロロロロ

??「ホントよぉ」チョロロロロ

HTN「ウィヒッ!?」

ピンキー「……誰か居るの!?」スッ

(ブッサイクな顔で野ションしながらこっちを見るピンキー)

HTN「うぎゃあああああああああああ!!!」

バタッ、チョロロロロ……

P「は?(困惑)」

ANZ「あの場所ってそんな汚い所だったんだ、うわぁ」

MRKB「その人もあのとき、漏らしてたってことなんですけど……」

DB「というかコケて気絶していたんじゃなかったのか」

P「ああすまん、それは俺がわざと隠してたんだ。羽田野は錯乱していたから」

TDN「でも羽田野、その時見た人が『ピンキーキョーコ』のメンバーだと何故分かったんだ?」

HTN「俺の本能が教えるんだ……あいつの名前は『ピンキー』!!!」

敏感ふとまらくん「怖い……」

P「それ程のブスがアイドルになれた理由のもIUに出てここまで勝ち抜けた理由も何一つ分からん」

「……実はですね」

P「なんだお前、って思ったらIU運営の人じゃないっすか!」

「醜く過ぎるんです、醜く過ぎるんですよアレは」

DB「仮にも出場してるアイドルをそんな風に言うのか……」

「事実です。だから三次予選までは観客も、審査員も、相手ユニットまでも戦わずして倒してしまったんです」

P(なんかそんな感じのユニット前にも居たなぁ)

「相手が棄権してしまうのでは仕方なし、アレを通過させるしかなかったんです」

「あなた達は不幸だ……アレと対戦することになるんですから」

MRKB「うぅ……そんな事言われたらもうステージに立てる気がしないんですけど……」

「ただ出来ることなら、ここで『ピンキーキョーコ』を倒してください!」

TDN「いや、それは言われなくとも勝つためにはそうなると思いますが」

ANZ「っていうかさぁ、杏たちが意識しなくてももうその何とかっていうユニットの負けは決まってるんじゃないかな?」

「どういうことですか?」

ANZ「ステージが始まれば分かるよ。ほら、その人たちのPV終わったみたいだし」

……シーン……

「みなさん目を覚ましてください。これで四組全てのPVが終了しました」

「一応申し上げますと、ただいまの映像はトラブルではありません」

「この映像を見たことによる病気・ケガなどには一切責任を負いかねますのでご了承ください」


P(すごい言われようだなおい)


「それではただいまより、第一試合を行います。ご来場の皆様はボタンを準備してください」

「ではアイドルたちの登場です!」

パチパチ…


P(客もまだ気絶してるのか知らんが、拍手もまばらだ)

DB「おい、出ていって大丈夫なんだろうな?」

「私にはなんとも言えませんが……」

P「大丈夫でしょ、ま多少はね?」

MRKB「む、無理です! むぅーりぃーです!」

ANZ「プロデューサーも寝ちゃってるしさぁ、ボイコットしちゃう? 勝つことは戦わざることと見たり」

「ちょ、ちょっと! さっきと言ってる事が違うじゃないですか!」

ANZ「えー、それはそっちの都合でしょ? それに杏たちが出ても出なくても同じ結果になると思うよ」

P「ダメだダメだ。行きなさい」

ANZ「なんだよー杏のプロデューサーでもないくせにー」

TDN「まあまあ。お客さんが待ってますよ」

HTN「いいか、ピンキーだけは見るな……」

DB「多少どころか一瞬でも見たら駄目そうだな」

TDN「見なければいいんです、行きましょう」

MRKB「目を逸らすのはいつもしてるから大丈夫かもしれないですけど……」

敏感ふとまらくん「怖い……」

ANZ「プロデューサー起こしといてよね、終わったら飴貰うから」

P「おう、みんな頑張ってこいよ!」

スタスタ……

とりあえずここまで

ステージ上

HTN「いいか……決して見るなよ」ブツブツ

DB「分かったからもう黙れ!」ヒソヒソ

TDN「俺たちの立ち位置からして、見ようとしなければ見ないよ」

HTN「……」ゴクリ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

HTN「…………」

チラッ

肉丸・バルカン大先輩・兄弟子「」ドーン

HTN「」ホッ


「一度照明が全て落とされます!」

パチン!

ANZ「わーお、真っ暗」

敏感ふとまらくん「怖い……」

「会場の皆様は見たいユニットのボタンを押してください」

ポチ…ポチポチ…

「……皆様押しましたね? それでは! 照明が再度点灯すると共にLIVEスタートです!」


……

パッ!

……

TDN・DB・HTN「~♪」

敏感ふとまらくん「アイアンマン!」

MRKB「びっくりして思わず跳ねてしまったんですけどぉぉぉっ……!」

ANZ「はいはい、ステップそっちね」

肉丸「あっ……あっ……(目眩)」フラフラ

バルカン大先輩「おぉ? お前なにやってんだよ出だしからよ~」

兄弟子「フォローしてやるからこい!」


「さあ、スポットライトLIVEショーの始まりや……」

P(光は2101プロのアイドルたちに強く当たっているようだ)

P(そのせいか分からんがセンターの[ピザ]がよろけてたけど)

P(多田野たちとふとまらくんたちの光はほぼ、変わらないみたいだな)


ピンキー「ちょっと! ライト壊れてるんじゃないの!?」

北浦京子「うふ~ん」


P「一番奥の所真っ暗じゃないか(呆れ) 双葉杏が言ってたのはこういう事か」

「そうですね。誰も見たいと思わなかったと」

P「にしても誰も押さなかったらホントに真っ暗になっちゃうんすねぇ~」

「いえ、それはちょっとこちらで調整して……」

P「えぇ……(困惑) ヤバいんじゃないすか」

「ま多少(の介入)はね?」

P(……ともかく実質3ユニットの戦いになったのはありがたい)

TDN(相撲の人達が出遅れてる今がチャンスかもしれない)

TDN「大坊! 羽田野! 一気にアピールだ!」

DB「なに!?」

TDN「ワン! ワン!」

HTN「うまいぞテンポアップ(空気)」

DB「チッ……もっと照明回さなきゃ撃つぞゴルァ!(直球)」

ポチ…パァァ…

TDN「!」

TDN(心なしか明るく……!)

P(悪くないアドリブだ。注目を浴びるためにはどこかでやらなきゃいけないしな)

P(それに自分たちへの光が強くなったと実感できれば、それはステージ上での自信にもなる)

P(ただ、照明が多く当たっている=勝利ではないが……)


ANZ「諸君! 私のために汗を流せ! ボタンを押すのだ~」

敏感ふとまらくん「こっち見て……」

ANZ「ほら、乃々ちゃんも下がってないでこっち来て」

MRKB「みんなぁらぶりーののちゃんだよぉ……めでめでめでー……」

ANZ「それ、タイミング違うから」

バルカン大先輩「ホモォ(もう)~お前は本当に駄目な奴だなぁ~」

肉丸「すっ、すいませんっ」

バルカン大先輩「気にするな……後輩をカバーするのが先輩の役目だ」

兄弟子「アレをやるんですね」ガシッ

バルカン大先輩「バルカン!(回るか!)」

グルグルグルグルグルグル


P(なんだ? 遠目でよく分からないが相撲取りが回ってる)

P(というかまわし! 取れるだろアレじゃあ!)


バルカン大先輩「同時に回るぞ!」ガシッ

兄弟子「はいっ!」グルグルグルグルグルグル

「ヴォーヤベー」「あれは脱ぎますねぇ!」

ポチポチ…ポチ…


P(注目も自然と集まっていく!)

「(全裸は)まずいですよ!」「もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!」

グルグル…

バルカン大先輩「……!」

ピタッ

バルカン大先輩・兄弟子「オッルァ!」ドシン


P(後ろ向きで停止した姿はまわしが完全に取れてケツが丸出しになっている)

P「もとから露出度高いのに卑怯だぞ……というかどうなんだよアイドルとして!」

P(……と、いうのは今更か)


「桃尻がセクシー、エロイっ!」「ケツでしょ。」

ポチポチ…ポチ…

バルカン大先輩「良かったな、みんなこっち見てくれてるぞ」

肉丸「先輩……?」

兄弟子「まわしを取った以上前は向けない。お前が前に出てくれ」

肉丸「先輩……!」


P(2101プロめ、このLIVEの戦い方をしっかり研究してきてるな……)

MRKB「や、やった……何か分からないですけど、暗くなってきた……」

ANZ「一応、念のため、流れでツッコむけど、喜んだらダメなヤツだからね」

MRKB「うぅ、分かってますけど……こっちの方が安心できます……」

ANZ「ま、マイペースにやってこうよ」

敏感ふとまらくん「(客の視線が)怖い……」


DB「どうする、客の本命はあの相撲取りみたいだぞ」

TDN「くっ……あれ程のインパクトを出すにはどうすれば……」

HTN「ドラフト指名回避される程のスキャンダルが流出すればいいんじゃないか」

DB「おい」


P(多田野たちはここで前半積極的にアピールしたのが仇になってきたな……)

P(もちろんアピールは何度だって出来るが、同じ事をやっても観客の視線は集められない)

P(苦しいが、ここを乗り越えないとこの先格上と戦っていけないぞ……!)

とりあえずここまで

TDN「インパクトか……確かにそうかもしれないが」

DB「お前も冗談を真に受けて返答するのはやめろ」

TDN「HTNの言うことだってもっともだからさ。とにかく刺激的なパフォーマンスで観客を魅了し、結果視線を一点に集めている」

DB「ならまた積極アピールか? コールでも促すか?」

TDN「いいや、アイドルのLIVEの形はそれだけじゃないはずだ……」

DB「なに?」

TDN(……思い出せ、今まで教わってきたことを)

ーー

肉丸「先輩、好きでぇす……」

兄弟子「俺もお前のことが好きだったんだよ」

バルカン大先輩「おぉ? そういう、関係だったのか……」

ワーワー!
「ステージ上での告白は人気アイドルの特権」「いいねぇ~ヤりてぇよ~」

TDN(真正面からアピール合戦を仕掛けても勝ち目はない)

TDN(でもそれは今まで自分たちが磨いてきた技術で敵わないということ)

TDN(だったら、どうなる?)

DB「もう大サビに入るぞ! どうするんだ!」

TDN(自分たちが持っているものを考えるんだ。俺なら野球、大坊ならビビり。羽田野はーー)

TDN「そうか!」

DB「なんだ?」

TDN「空気に……このまま空気になるんだ」

HTN「ウィヒ!?」

DB「な、なんだと!?」

TDN「目立ったことは必要ない。今見てくれているお客さんに最高の歌と踊りを見せる」

TDN「あっと驚くパフォーマンスで会場を沸かせ、盛り上げる……それだけがアイドルじゃない」

TDN「高められた歌とダンスで観客を魅了する、そんな形だってあるはずだ」

DB「…………」

TDN「駄目か?」

DB「いや、お前が考えて導いた答えならそれを信じよう」

TDN「大坊!」

DB「……それに、下手に何かしなくていい分気が楽だ」

TDN「よし、ラストスパートだ!」

HTN「うまいぞ鼓舞(空気)」

MRKB「な、なんだかさっきよりもっと暗くなってきた気がするんですけど」

ANZ「現実は非情なのだ……がくり」

MRKB「えっと……もりくぼが言うのも変な気がしますけど……ここで諦めたらダメだと思うんですけど……」

ANZ「んー、諦めたらそこでLIVE終了! 柄にもないね」

敏感ふとまらくん「やめてください……」

ANZ「飴が貰えなかったら元も子もないし、もうちょっとだけ頑張るかぁ~」

MRKB「いざそう言われるとやっぱり……む~りぃ~……」

敏感ふとまらくん「(本気を出すのが)怖い……アイアンマン!」

ANZ「いやどっちやねん!(レ)」

P(LIVEも終盤、各々スパートをかけてきたか)

P(多田野たち、積極的にアピールしていた前半から一転、守勢に出ているな)

P(元々多彩なアピールで勝ち残ってきたが、そのやり方では2101プロが完全に上)

P(だから別の方向で勝負しようとしているのは分かるが……この土壇場でスタイルを変えたのが客の目にどう映るか)

P(対して2101プロはセンターの[ピザ]がさっきからほとんど一人でステージを動かしている)

P(横の二人はまわしをとってしまって下手に動けないのか? 哀れ。)


肉丸「はあっ、はあっ……あっ、あっ……」

兄弟子「あと少しだ、頑張れ!」

バルカン大先輩「このLIVE終わったらまたたっぷりしゃぶってやるからな?」

肉丸「はあっ、はいっ……」

「なにやってんだあいつら……」「あーつまんね」「つーかただの[ピザ]じゃん」
ポチ…ポチ…


P「これは……!」

P(少しだが2101プロから多田野たちに明かりが切り替わっていく!)

P(過激なパフォーマンスで盛り上った会場は、熱しやすく冷めやすい)

P(常に刺激を加えなければ観客は飽きてしまう!)

P(多田野たちが前半と同じような作戦だったらここで一度光が増えても、2101プロより劣化した刺激ですぐ飽きてしまうだろうが――)

P(魅せるスタイルにしたことで客はじわじわと多田野たちを見続ける。いいゾ~これ!)


肉丸「せ、せんぱ……どうすれば……」

バルカン大先輩「よっし! こうなったら前を向いて――」

肉丸「それはダメです!」

兄弟子「じゃあお前も後ろ向け!」

肉丸「?」クルッ

バルカン大先輩「三角形になって、三人でケツ振り回さねえか?」

肉丸「そ、そうか! その手が!」フリッフリッフリッ

「はぇ~すっごい魅力的……」「いいカラダしてんねえ! ホントに」
ポチ,ポチ……


P「くそっ、また2101に戻っていくぞ」

P(さすがに強いな……あの手この手で客の視線を逃がさない)

P(一瞬希望が見えたが、このままでは……)



「ちょっと! 私たちも混ぜなさいよ!」

肉丸たち「!?」

ピンキー「私たちの照明壊れてるし、混ざってもいいわよね?」

北浦京子「初めまして北浦京子でーす!」


P「うげえっ、あれがピンキー! メスゴリラ!」

P(ってこいつ、どっかで見たことあるな……どこだっけな?)


肉丸「あっ…あっ…(瀕死)」

ピンキー「一万円くれたらサインあげるよ?」

北浦京子「実は私……男なの!」


「ヴォエ!」「ああもうやだああああああ」「[ピーーー](直球)」

ポチポチポチポチ


DB「な、なんだ!? 急に明るくなってきたぞ」

HTN「絶対によそ見するな。繰り返す、絶対によそ見するな」

TDN「今が、チャンスだ!」

TDN「大坊、ラストアピールだ!」

DB「何をする気だ?」

TDN「三人で後ろに下がるぞ。合図を出したら、GOだ」

DB「……そうか、アレか。羽田野!」

HTN「見るな……見てはいけない……」

TDN「目は瞑っておこう」

――

肉丸たち「(昏倒)」

ピンキー「ちょっと、また暗くなってきたじゃない!」

北浦京子「いや~ん……」

ピンキー「あ、そっかまた隣に行けばいいじゃない!」

北浦京子「そうね!」

――

MRKB「ま、眩しいんですけど……ひっ!」パタッ

ANZ「の、ののちゃん!? あ……」

敏感ふとまらくん「」パタッ

ANZ「逸らしてた視線の先に、例のアレが居たわけ、か……」ガクッ


P(ピンキーたちが2101のスペースを横切り多田野たちのもとへ!)

「ま、まずいですよ! あれじゃあ今までと一緒に!」

P「もう少しでLIVE終了だ、耐えてくれよ……」

ピンキー「ここが新しいステージね」

北浦京子「みんな~北浦京子だよ~!」

TDN「今だ!」

タタタタ、ズサーッ!

ピンキー・北浦京子「!?」

バタン!


P「す、スライディング!? ってかステージから落ちたぞ!?」

「ヴォースゲー」「最っ強これ!」「あ、やっと……脅威が去ったんやなって」
ポチポチ…ポチ


DB「倒したか……っ、いつの間にこんな光が」

HTN「ウィヒ!」

TDN「うまく行った、アピール成功だ!」


「そこまで! パフォーマンスを終了してください」


P「……なにこれ?」

とりあえずここまで

>>215
>>227
ピザはデブです(半ギレ)

嫌です……

「なお、審査には時間がかかりますので対戦の結果は本日の試合が全て終了した後発表いたします」

TDN「皆さん、ありがとうございましたッ!」

ワーワー!キャー!

TDN「大坊、羽田野。双葉さんたちを運ぶのを手伝ってくれ」

DB「チッ、なんでわざわざ……」スッ

HTN「ウィヒ!」ギュッ

スタスタ……

――

肉丸「うぅ、痛ててて」

兄弟子「ぐっ……そうだ、LIVEはどうした?」

「LIVEは終了いたしました。ご退場ねがいます」

バルカン大先輩「oh! こいつは不覚をとったな」

肉丸「先輩……」

バルカン大先輩「終わってしまったのは仕方ない、下がるぞ」

――

ピンキー「なんなのよこれ!」

北浦京子「知らな~い」

「帰って、どうぞ」「哀れ。」「どんな気持ちや?」

ピンキー「あぁ!?」ギッ

「あっ」パタッ,パタ……

ピンキー「キーッ!覚えてなさい! イクワヨ!」

北浦京子「また会おうね~」

舞台袖

TDN「よいしょ、っと」

ANZ・敏感ふとまらくん「」スタッ

MRKB「うぅ……ねえもーむーりぃー……もうやぁーだぁー……」

DB「うなされてやがる」

P「お疲れ。要所要所で工夫が見れて良かったぞ」

TDN「ありがとうございます!」

「まさか文字通りピンキーを倒してしまうとは……なんてぇアイドルなの」

P「こん……アイドルのLIVEじゃないんだよ!」

DB「アイドルとして論外な容姿の化け物が居たんだ、これぐらいいいだろう」

「最終的な勝者は分かりませんが、これでピンキーキョーコが勝ち上がることはなくなりました」

P「最後まで立ってたのは多田野たちなんだから(勝って)当たり前だよなぁ?」

TDN「自信はないですが、そうなることを祈ります」

「第二試合が間もなく始まるので、あなた方は裏の控え室へどうぞ。気絶しているアイドルは私たちで対処しますので」

P「オッスお願いしま~す」

控えスペース

RIN「みんな大丈夫!?」

DB「なんだ藪から棒に」

RIN「お客さんの叫び声が何回も聞こえたし、係の人が担架運んでいったりしたんだよ!?」

NTK「なんだか物騒な噂も聞いたしな……」

TDN「ははは。今までで一番大変なステージだったとだけ」

RIN「えーなにそれ気になりますよ多田野さーん!」

P「最後には正義が勝ったんだよなぁ」

木村「どんなLIVEなんですかそれ」

NTK「っていうか、結果は後から発表されるんじゃなかったか?」

DB「細かいことはいいだろう。疲れたんだから休ませろ」

RIN「あっ、そうだね。ごめんごめん。私たちは気合いを入れなきゃ!」

木村「そうですね、周囲に居るのはみなさん有名な方ですし」

RIN「ホントだよ。テレビで見た人ばっかりでビックリ!」

DB「一般人か、お前は」

P「李衣菜だっていずれテレビに引っ張りだこになるさ」

RIN「そ、そうですか? そうだといいなぁ……」

関西チャラ男(ジャイロ)「なんや君ら~さっきからしょうもない会話して」

RIN「わっ! 7プロのチャラオさんだ! ジョニィさんも!」

ジョニィ「どうもおおきに」

関西チャラ男「おっ。さすがに俺レベルになると大阪メインでやってても東京で名が知れてるようやな」

RIN「私ファンなんです! チャラオさんたちのパフォーマンス、すっごいロックだから!」

関西チャラ男「マ↑ジ↓!? ほぇ~嬢ちゃんええ子やな」

P(喧嘩腰で話しかけてきたくせに……)

RIN「アレやってもらっていいですか? アレ!」

関西チャラ男「アレか~まぁええで」

DB「だから一般人か、お前は」

RIN「ファンに一般人も有名人もないよ!」

NTK「それはそうかもな」

DB「ケッ……」

関西チャラ男「タ~ラタラタタ、 タ~タラッタタタタタ、タ~タラッタタタタタタ♪」

ジョニィ「タ~ラタラタタ、 タ~タラッタタタタタ、タ~タラッタタタタタタ♪」

関西チャラ男・ジョニィ「タッ!」

RIN「ありがとうございます!」

P「す、凄いケツ振りだな」

関西チャラ男「君みたいなファンやったら何でもするで~」

P「ん? 今なんでも――」

「してはいけない(戒め)」

P「!」

RIN「うわあっ、今度はエッチなクマさんだ!」

P「2101プロの淫乱テディベアじゃないか、たまげたなぁ……」

P(淫乱テディベアもこのチャラ男たちも、第一線で売れているアイドルたちだ)

関西チャラ男「なんや自分、横からいきなり」

P「いや、それお前もやったからな」

淫乱テディベア「注意しているのです。貴方たちは先ほどから少し騒ぎ過ぎだぁ」

RIN「ごめんなさい。私がはしゃいじゃったからです」

淫乱テディベア「いえいえ分かればいいんですよ。それと貴方」

関西チャラ男「ん、俺?」

淫乱テディベア「(何でもは)してはいけない(戒め)」

関西チャラ男「アホぬかせお前。そんなんシャレやろが」

RIN「まーまーまー。騒いだらまた他の人に迷惑がかかっちゃいますから」

関西チャラ男「……なんかおもろ無くなってきたわ。ジョニィ、行くで」

ジョニィ「ん」

淫乱テディベア「ああ、待ちなさい待ちなさい」

KNKと三村かな子はおそらく別人です

関西チャラ男「なんやねん。まだ何かあるんかいな」

淫乱テディベア「私ではなく同じユニットの三村が」

KNK「これ、どうぞ♪ みんなに配ってるんです」

木村「僕たちもさっきいただきましたね」

RIN「うん、すっごくおいしいよ! このイチジクのタルト!」

ジョニィ「珍料理、大発見!」パクパク

関西チャラ男「って別に普通のスイーツやろが。にしてもホンマ美味いな!」パクパク

KNK「ありがとうございますっ」

淫乱テディベア「この子ったらわざわざこれ作るために早起きして。お客さんの分までみんな作るって意気込んじゃって」

KNK「て、テディさんっ! 恥ずかしいです……それにお客さんの分までは間に合わなかったし」

関西チャラ男「間に合ったら逆に恐ろしいって」

RIN「ナイスツッコミ!」

P(テディさん呼びにツッコむべきなんだよなぁ)

KNK「そちらの方もどうぞ。お菓子じゃないですけど……」スッ

P(ハチミツに漬けたレモンか。疲労回復にはもってこいだな)

DB「いいのか?」

KNK「もちろんです♪」

DB「……ありがとう」モグモグ

HTN「ウィヒ!」

TDN「ありがたいです」パクパク

P(俺も何か腹減ってきたなぁ)ジー

KNK「……あっ、ごめんなさい! どうぞ」

P「あ、いや、そういうつもりじゃなかったんだけど。いただくよ」

KNK「えっと、違ったらごめんなさい。まゆちゃんのプロデューサーさんですよね?」

P「ん? ああそうだよ。撮影所とかで何回か会ったことあるよね」

KNK「はい。それであの、これを」

P「これは……」

P(手渡された箱の中にはケーキが一切れ入っていた。チョコのプレートにメッセージも書いてある)

『お誕生日おめでとう』

P「こ、これも自分で作ったのか!?」

KNK「はい。もしかしたらまゆちゃんにここで会えるかもって思って」

P「確かに今日はまゆの誕生日だけど……」

P(普通そこまでするか? やっぱ好きなんすねぇ~)

KNK「会えなかったら事務所に送ってもらおうと思ってたんですけど、プロデューサーさんに会えて良かったです」

P「ありがとな。まゆは仕事で来てないけど、必ず今日中に渡しておくよ」

KNK「はい、ありがとうございます!」

淫乱テディベア「本当にもう、いい子だねぇ~」

RIN「今日まゆちゃんの誕生日だったんだ! ステージが終わったらメールしておかなきゃ」

木村「ええ。出来れば、祝勝とともに」


ワーワー!
パチパチパチパチ…


P「第二試合が終わったみたいだな」

「第三試合に出場されるアイドルはスタンバイお願いしまーす」

NTK「っし、それじゃあ行こうか。モバPさん」

木村「俺たちの全てを、見せてやるぜ……!」

P「イクワヨ!」

淫乱テディベア「では、私も。行こうか三村」

KNK「はい」

RIN「え、っていうことはもしかして」

淫乱テディベア「お手柔らかに」

P「また2101プロが対戦相手なのか(呆れ)」

とりあえずここまで

「それでは第三試合の対戦組み合わせを発表します!」

「40プロ、『idjime』!」

ワー! ワー!

P(プロダクションは有名だが……「イジメ」って凄い名前だな)


「2101プロ、『村のくまさん!』!」

ワーキャー! テディベアー!

P(やっぱりここはかなりの人気だ。苦戦は必至か)

P(さっきあれだけ良くしてもらった三村かな子とすぐ対戦っていうのもなんか気がひけるなぁ……俺が直接戦う訳じゃないけど)


「そして364プロ、『ロック・ザ・ビースト』」

ワー…
カワイイナリイナチャン…

RIN「わ、私たちだけ歓声が小さい……」

木村「気にすることはありませんよ」

P「そうだよ(便乗)」

淫乱テディベア「(気に)してはいけない(戒め)」

KNK「うん、こんなの飾りだよ!」

NTK「なんでそっちまで一緒になって慰めてるんだ……?」

「ステージの前にアイドル達をPVで紹介いたします。紹介順は、ユニット名の発表順と同様です」

「では『idjime』、ご覧下さい」

――――

―軍畑駅―

タッタッタ…

軍畑先輩(以下、軍畑)「おうお前ら、買ってきたか」

SUT「はい」スッ

軍畑「ん」

ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……

軍畑「あぁ~うんめえぇなぁ~」

軍畑「じゃあお前ら、残り飲めよ」

OKD「え、いいんすか」

軍畑「当たり前だろ?」

OKD・SUT「ありがとうございます!」

ゴクッ、ゴクッ

OKD・SUT「あぁ、うめぇな!」

運動後の水分補給に

アクエリアス(淫夢)

ハハハ… ナニコレ?

P「えぇ……(困惑)」

RIN「これってアレですよね? スポーツ飲料のCMの」

P「ああ。テレビで流れてるやつそのまんまだな」

木村「PV制作が間に合わなかったんでしょうか」

P「いや、多分違うな。顔見て思い出したけど、あのユニットは仲が悪くて有名なんだ」

木村「それでPVも揉めて作れなかったと」

P「多分だけどな。でもユニット仲が悪いのは本当」

NTK「へえ、どうやったら仕事仲間と仲が悪くなれるのか知りたいもんだね」

P「知らない方がいいんだよなぁ」

P(どんな人気アイドルユニットでも、ユニット内や事務所と仲が悪くなったら終わりだからな……)


「続きまして『村のくまさん!』、ご覧下さい」

――――
『IU最終予選出場記念・特別インタビュー』


ウィー………(環境音)

――今日はよろしくお願いします。

淫乱テディベア「はい、こちらこそ」

KNK「よろしくお願いします」

――まずは三次予選突破おめでとうございます。

淫乱テディベア「ありがとうございます」

――ここまでの予選を振り返っては。

KNK「どのユニットの方も個性があって素晴らしかったです。私がここまで残れたのは本当、テディさんのおかげなんです」

淫乱テディベア「そんなことないそんなことない。俺も三村じゃなかったら勝ち上がってないから」

KNK「いえいえそんな……」

(謙遜し合う二人をスタッフが止める)

――とても仲がよろしいですね。

淫乱テディベア「そうですね、まあ長いですから」

――では、そんなお二人の事を更に詳しく聞きたいと思います。

KNK「はい。よろしくお願いします」

淫乱テディベア「時間あんまりないけどね(笑)」

――早速質問します。自分たちのファン層はどのような層だと思ってますか?

KNK「どうなんでしょう……考えたこともなかったですけど」

淫乱テディベア「俺はねー、どっちかというと、どっちかっていうと圧倒的に[ピザ]にモテますね。はい。(笑)」

淫乱テディベア「あ、三村はそんなことないですよ。男女まんべんなく、はい」

KNK「私個人の握手会だと、若い男の人が多かったです」

――淫乱テディベアさんはやはり、そういう人の需要に合わせているんですか?

淫乱テディベア「なんかやけにはっきり聞くね」

――特別インタビューなので(笑)

淫乱テディベア「そう(笑) まあそうね、ファンサービスについては結構考えますね」

――それはかな子さんも?

淫乱テディベア「この子はもう天然で、お菓子配りっていうサービスやってるから」

KNK「趣味みたいなものなんですけどね。スタッフさんもどうぞ」

(チョコクッキーの袋を差し出すかな子。スタッフが袋を開けて食べ始める)

淫乱テディベア「こんなのある意味、ずるいっすよね(笑)」

(スタッフの咀嚼音が汚い)

――確かに、クチャそうですね。この美味しさはずるいです。

KNK「ありがとうございます。美味しいって言われるとまた作りたくなるんですよね」

淫乱テディベア「あと自分で食べる用ね」

KNK「そ、それは言わないでください!」

――本当に時間がないので仕切り直しますね。

KNK「あっはい、すいません」

――LIVEっていうのは、どういうヤツ好きなんですか?

KNK「どういうと言うと、野外とか、屋内とか?」

――はい。

淫乱テディベア「基本的にスタッフの受け売りですね。でも……割と普通のLIVEより外でやったりとか…ヘンなLIVEが好きですね。ええ」

KNK「そうですね。……そうかな?」

――外。野外ですか。

淫乱テディベア「の~~ん…外でやる以外…外って訳じゃないですけど、してはいけない場所でする、みたいな。」

KNK「それは駄目ですよ(笑)」

淫乱テディベア「何て言ったらいいんだろうなぁ、後はSMとかも興味ありますね。あんまし痛そうなのは駄目ですけどぉ」

淫乱テディベア「縛られたりってのは結構興味有りますね。はい。なんの話だっけ(笑)」

――じゃあ今度のステージではそういうヤツを?

淫乱テディベア「そうですね、そういうのを挑戦してみたいですね、やった事ないんでまだ、はい。(笑)」

――ありがとうございました。

淫乱テディベア「はい、ありがとうございました」

KNK「これからも応援、よろしくお願いしますっ」

――――
ワー……パチパチパチ

P(まさか本気でインタビュー風PVを作ってくるユニットが居たとは)

P(でもなんか受けが悪いな。やめといて良かった)

RIN「縛られるLIVEって何だろう、ロック?」

P「あのさぁ……」

RIN「えっ!? 私なにか変なこと言いました?」

NTK「何でもかんでもロックにするなってことだと思うぜ」

RIN「う……すいません」

P「いや、ダジャレじゃないのか? 今の」

RIN「だ、ダジャレ?」

P「縛る=束縛する=lock=ロック、みたいな」

「…………」

P「はいはい! この話は終わり! 閉廷!」


「では最後に『ロック・ザ・ビースト』、ご覧下さい」


木村「僕たちのPV……!」

ーーーー

木村「お前ら、準備はいいか?」

NTK「当たり前さ!」

RIN「グルービーに行くぜ! みんな付いて来い!」

木村「俺たちのロックを……『ロック・ザ・ビースト』をとくと見やがれ!」

~~♫

ーーーー

P(ナオキたちのPVはショートライブ。観客に自分たちを伝えるにはこれが最適だとナオキが提案した)

P(普通に考えれば一番の王道だが、PVで自分たちのステージを流してしまうと、客がそこで満足してしまう可能性がある)

P(そうなると本番のステージ上で挽回するのは難しい。だからここまではそれを避けたPVしか見なかった)

P(リスクを考えて避けるところをあえてそのまま進む、ロックかもな。あいつららしい)

ーーーー

~♫

NTK「みんなこんなモンで満足じゃないだろ!」

NTK「この後もずっと、アタシたちの熱いステージで一緒に燃えようぜ!」

RIN「私のロックなパフォーマンス、もっと見せてあげる!」

木村「さあ、弾けるぜ……!」

プツン

ーーーー

P(いよいよ曲がサビに入るという所でPVは終わる。いわゆる引きだ)


ザワザワ……ワーワー!
ワー! キャー!

RIN「すごい……私たちのPVで会場が盛り上がってる!」

P「このPV、見事に観客の心を掴んだみたいだな」

NTK「やったな、ナオキ!」

木村「ああ。だが……お楽しみはこれからだぜ?」

RIN「それはお客さんに言ってあげないと!」

「PVは以上ですそれではただいまより、第一試合を行います」

「ご来場の皆様はボタンを準備してください」


RIN「行ってきます、プロデューサーさん!」

P「おう、そのままの気持ちをぶつけてこい!」


「ではアイドルたちの登場です!」

パチパチパチパチパチパチ!


軍畑「おし、おめえらちゃんとやれよ」

SUT・OKD「はい」

KNK「よ、よろしくお願いします~」ニコニコ

淫乱テディベア「(緊張)してはいけない」


「一度照明が全て落とされます! 皆様はボタンを押してください!」

バチン! ポチ,ポチポチ……

「それでは! 照明が再度点灯すると共にLIVEスタートです!」

木村「いくぜ!」

とりあえずここまで

パッ!

NTK「っ、眩しいぜ」

RIN「光がこんなに、私たちの所に!」

木村「アゲていくぞ!」

~♪


P(光は木村たちの所に強く集まっており、それに伴って客の目線も集中している)

P(ここまでは理想の展開だが、木村たちの考えたPVからステージへの流れには一つだけ弱い部分がある)

P(それは……)


――――

軍畑「おうお前ら、やる気あんのか? もっと会場の照明全部集めるぐらいでIKEA」

OKD「それは……キツイっすよ(苦笑い)」

SUT「…………」

軍畑「おいSUT、お前脱げや」

SUT「えっ」

軍畑「客の注目集めるんだよ、さっさと脱げや」

OKD「それはヤバいんじゃないすか?」

軍畑「おう、お前も脱げや。連帯責任やろが」

OKD「俺もすか!?」

軍畑「あー遅い遅い遅い。いいからNUGEA」

SUT「……」スルスル

OKD「はぁ……」スルスル

軍畑「はやくしろって、おっせーんだよ」

「おい、あいつら脱ぎ始めたゾ~」「あーいいっすねぇ」
ポチ,ポチ…


P(クソホモは脱がせることしか考えないのか……)

P(それに釣られる客も客なんだが、案の定木村たちから少しずつ光が移っているな)

P(ナオキたちの弱い部分は、開始後からサビに入るまでの溜めの期間)

P(PVを一番盛り上がる部分手前で終了させたからといって、ステージではその続きが始まるわけではない)

P(ステージではまた一から曲を歌い上げる必要がある。どのユニットも普通そうする)

P(しかしナオキ達のPVによって観客のボルテージは既にある程度上昇している。更に他のユニットは少しでも光を集めようと焦り、アピールを急ぐ)

P(その結果最後の盛り上がりのために溜めているナオキたちは他のユニットに比べて地味に見え、照明が切り替えられていく。そこが唯一の弱み)

P(ここを耐えさえすれば、サビでまた観客の視線を一手に引き受けることが出来る)

P(ただいい意味でも悪い意味でも、そんな想定通りにLIVEバトルが進んでいくことはない……)

淫乱テディベア「光の当たらない場所でLIVEっていうのも、少し興味ありますね、はい」

KNK「冗談言ってる場合じゃないですよ~」

淫乱テディベア「はいはい。じゃあ縛られちゃいましょうか」スッ

KNK「お菓子作り、始めちゃいましょう♪」フリフリ


P(なんだ? 三村かな子が淫乱テディベアの手首を後ろ手に縛り始めたぞ……ずいぶん変なダンスだな)


KNK「まずはクッキーを作ります! 生地を練って、と」

ムニュムニュ

淫乱テディベア「あーそこ、そこがいい……」


P(パンパンに膨れた腹を衣装の上から揉みしだいている)


淫乱テディベア「あーいい、凄いくいい」

KNK「仕上げに魔法をかけて……えいっ!」

パチン!

淫乱テディベア「ああっ!」

P(三村かな子がテディベアの腹を叩いた瞬間、テディベアの衣装のボタンが弾けとんだ!)

ヒュー……ワーワー!
「何か飛んで来たゾ!」「本物のクッキーじゃないか(歓喜)」「うん、おいしい!」
ポチ、ポチポチ……

P(な、なるほど。衣装のボタンは本物のクッキーだったのか。なんかマジシャンみたいだなざ)

P(でも衣装が破れてるんですけどそれは大丈夫なんですかね……)


KNK「みんな、ありがとう~!」

淫乱テディベア「いやー気持ち良かったねえ」

KNK「じゃあ、解きますね」スルスル

淫乱テディベア「よーし、ドレスも持ってけ!」バッ


P(手首の縄がほどけると共にテディベアは衣装を脱ぎ観客席に投げつけた)

P(脱いだ後のテディベアは上半身裸で、毛むくじゃらなのがまさにくまさんと言ったところだ)

P「今ので照明も結構切り替えられてしまったな……」

NTK「……明かりが小さくなってきたな」

RIN「まだまだ! 私自身の明るさで魅せるもん!」

木村「もう少しだ、もう少し……」


P(今はくまさんに光が集中しているな。しかしもう、さっきみたいな派手なパフォーマンスは無いようだ)

P(つまり後はサビでの盛り上げ勝負。あのPVを見た観客なら、今は離れていてもナオキたちのアピールをしっかり見てくれるはず)

P(だから後少し、もう少しこのまま耐えるんだ……)

SUT「先輩ヤバいっすよ、もう脱ぐ服もないし」

軍畑「おい、まだ一枚残ってんじゃねえか」

OKD「え、ここで脱ぐんですか? パンツも?」

SUT「ちょっとそれは……」

軍畑「俺が脱げっつてるんだから脱げよ。いいから早くしろ!」

SUT・OKD「…………」ヌギヌギ


「パンツまで脱ぎ始めたぞあいつら!」「ヤバいんじゃないすか(小声)」
ポチ、ポチポチ

P「不仲アイドルは脱衣の事しか考えないのか……(偏見)」


軍畑「じゃあお前ら、そこ前出て踊れよ」

SUT「はい」スタスタ

OKD「はぁ……」クルッ、スタッスタッ

軍畑「手隠すなー隠すなー! もっと派手にやれー!」

ポチ、ポチ…


P(アイドルをストリッパーか何かと勘違いしてないですかねぇ)

RIN「もうすぐ大サビ……! ナオキさん!」

NTK「頼むぜ、リーダー!」

木村「ああ、最ッ高の盛り上がりを見せてやろうぜ!」


P(LIVEパフォーマンスにおいて、何を皮切りにして盛り上がりが生まれるか? それはユニットによって違うだろうが――)

P(IU予選のLIVEバトルでは自分たちの事を知らない観客も当然多い。だから自分から、ここが上がる場面だと伝える必要がある)

P(そのための一番良い方法は……)


木村「先輩……使わせてもらいますね」

スゥー……



木村「(≧Д≦)ンアアアアアアアアアアアアッッ!!!!(クソデカ大声)」

「!?」
シーン…ポチポチ、ポチ、ポチ……

P(とんでもない叫び声に観客席が一瞬、静まり返りボタンを押す音だけがはっきりと聞こえた)


木村「……さぁお前ら、最後まで熱く燃え上がって行こうぜ!」

RIN「ロック魂、刻み付けてあげる!」

ワーワー!ワー! キャー!


P(光と視線が一挙に集まってしまえば、後は磨いてきたパフォーマンスでそのまま釘付けにしてしまう)

P(にしても、ナオキの叫び声がここまで強烈とは。耳に来ますよ!)

P(田所から教わったらしいが、素人がどこでこんなシャウトを身に付けたんだ? 遠野の世界レベルの声といい)

P(まあ、今はそんなことどうでもいいか……)

とりあえずここまで

ワーワー!

KNK「凄い……隣の光がどんどん強くなっってる」

淫乱テディベア「いいねぇ~暗い所でっていうのも」

KNK「だから、そんなこと言ってる場合じゃないですってばぁ~!」

――

SUT「ヤバいっすよ、俺ら今度こそ脱ぐもんないですよ」

軍畑「……」

OKD「先輩も脱ぐしかないんじゃ」

軍畑「SUT、お前なんつった?」

OKD「あ、いや、なんでもないっす」

軍畑「お前らやる気が足りねーんだよ、デコで光反射するぐらいでIKEA!」

SUT「そんな無茶な……」

――

RIN「みんなー最後だよー!」

ワー!オーオー!

NTK「へへっ、熱くなってるみたいだぜ」

木村「お前ら、ありがとな!」

ワーキャー!



「そこまで! パフォーマンスを終了してください!」


……
………

「大変お待たせいたしました。ただいま審査が終了し、決勝トーナメントへと勝ち進む四組のユニットが決定しました」


P(今日のLIVEを行った全てのユニットがステージ上で結果発表を今か今かと待っている)

P(ただし、ピンキーキョーコは帰ってしまったらしく姿がない。良かった良かった)


「それでは結果発表に入ります。本日行われた四試合を、それぞれ見事に勝利したユニットはーー」

P(ステージの照明が落とされ、会場全体が静まり返る……)


パッ!

「『元祖・羞恥心』、『おやじ秘・恥・変・化』、『ロック・ザ・ビースト』、『スティール・ボール・ラン』、以上の四組です!」

P(そう読み上げられたのと同時に強いスポットライトが四組を照らし出した!)

ワー!キャー! イイゾーコレ!

TDN「…………ッ!」グッ

HTN「ウィヒ!」

ANZ「おめでとさん。良かったね」

DB「ああ、本当に……なんだ、その」

ANZ「あーはいはい。達成感? それとも高翌揚感?」

DB「……両方だ」


肉丸「あ、あの。せんぱ、先輩」

バルカン大先輩「うっさいわ……」

肉丸「すっ、すいません」


MRKB「やっぱり負けてしまったら、悔しいですか? ……私はなんだか悔しいですけど。ふとまらくんさん」

敏感ふとまらくん「アイアンマン!(悔しさ)」

RIN「やったぁ! やったよナオキくん! なつきち! やったやったやった!」

NTK「そんなに言わなくても分かってるって」

RIN「嬉しくないの!?」

NTK「う、嬉しくないわけ無いだろ!? ただもうちょっとだな」

淫乱テディベア「(興奮し過ぎ)てはいけない(戒め)」

NTK「っていうことだぜ」

RIN「んー、んーっ、やっぱり今だけは無理!」

KNK「あはは、そうですね。こういう時には思いっきりはしゃぎたくもなりますよね」

RIN「うんっ! ありがとねかな子ちゃん、お菓子も!」

NTK「……少しはじっと喜びを噛み締めてるナオキを見習って欲しいものだぜ」

P(各々ステージ上でとても喜んでいる姿が見られる)

P「……本当にみんな、よく頑張ったな。で、出ますよ(涙)」


「えー、では四組に一言二言ずつ今日の感想を話していただこうと思います」

「まずは『元祖・羞恥心』の皆さん、いかがでしたか?」

DB「た、多田野。お前が答えてくれ」

TDN「…………」

DB「多田野?」

TDN「……最高でーーす!」

ワー! アリガトー!

HTN「うまいぞヒーローインタビュー(空気)」

「一言で十分でしたね、喜びが伝わってきました。ありがとうございました。では続いて『おやじ秘・恥・変・化』のお二人!」

OGMM「ウレシイ……ウレシイ……」

コブラ三木谷「イィ! イくぞ! イクイク ヒクヒクヒク……」

「ありがとうございます。続いて『ロック・ザ・ビースト』の皆さん!」

RIN「嬉しいです! もう凄い嬉しくなって跳ねちゃいそうで!」ピョンピョン

NTK「跳ねてるじゃねーか!」

ハハハハハ…

「はい、とても嬉しいのが伝わってきます。では最後にーー」

ガシッ

木村「お前ら、本戦でも俺たちを見に来やがれ!」

ワー!キャー! カッコイイイキソ

「これはまた派手なアピールでした。……では改めてまして最後に『スティール・ボール・ラン』のお二人」

関西チャラ男「ターララッタタタタタターララッタタタタタターララッタタッ!」

ジョニィ「ハッ!」

関西チャラ男「関西人たるもの面白さでは負けんで、嬢ちゃん!」ピッ

RIN「も、もしかして私っ!?」

ワハハハハ!

P(そのまま和やかな雰囲気で今日の予選は幕を閉じた……)


……

会場・入り口付近

RIN「ヤバい、はしゃぎ過ぎたかも……私のイメージが」

NTK「今更かよ」

DB「馬鹿な奴め……」

タッタッタッ

三浦「おーい、みんなお疲れ様だゾー!」

P「遅いですよ三浦さん」

三浦「いや~とにかく人が多くてなかなか出られなかったゾ。それより多田野たちも木村たちも、おめでとう!」

木村「ありがとうございます」

P「どうでした? ステージ上のみんなは。俺横から見てたんで分からない所も多かったんですよね」

三浦「経験を積んでまた一層動きのキレも歌声も良くなってたゾ~」

P「そうですか。やっぱり今が伸び盛りだもんな」

P(アイドルとして色んなステージに立って、学んで……本戦までにはもっと成長出来るはずだ)

三浦「この後はどうする?」

P「んーとそうですねぇ……」

DB「腹が減ったな」

木村「じゃあまた、打ち上げということにしますか?」

P「マジすか」

RIN「あー、もしかしてプロデューサーさんお財布がピンチですか?」

P「いやそんなこと……」

P(は無い、とは言い切れない……この前三次予選の打ち上げでかなり使ってしまったからな)

三浦「安月給でごめんだゾ。今日は俺がお金を出すゾ」

NTK「さっすが社長」

P「……大丈夫なんすか?(小声)」ヒソヒソ

三浦「いざとなったらアイドルのサイングッズをネットオークションで流せば金は手に入る」ヒソヒソ

P「は?(困惑)」

三浦「冗談、冗談だゾ」ハハハ

P「笑えないよ!」


木村「それじゃあ、どこで食べます?」

RIN「焼き肉がいいかな」

DB「この前も行っただろうが! 今日は寿司だな。あずま寿司辺り」

三浦「す、寿司なら百円の所にして欲しいゾ……」

「なんだと?」「やっぱり焼肉にしよ!」「ファミレスでいいんじゃねえの……」

P(こんな感じで中々決まらず、食べて帰る頃にはすっかり夜が深まっていた……)


……

To.佐久間まゆ
件名:誕生日

本文:まゆ、誕生日おめでとう! それで今日予選会場で偶然三村かな子に会ったんだけど、まゆの誕生日ケーキを貰ったんだ。今日中に渡したいんだけど、予選が終わった後家に行っても大丈夫か?

p.s 多田野たちもナオキたちも無事に予選通過したぞ!


P(とかなんとか送っておいてもう日付変わる三十分前だよ、ヤバいヤバい……)タッタッタッ

P(まゆの事だからきっと何かしら準備してるだろうし、誕生日ケーキを誕生日に渡せなかったら洒落にならん)タッタッタッ

P(まあ電車に乗ればすぐだから駅まで急げば何とかなる、よな)タッタッタッ

P(っていうか走ってるけどケーキ大丈夫かな?)タッタッタッ

スタッ……チラ

P「…………」

P(今更どうなるものでもない……今は間に合うように急ごう……)

タッタッタッ



P「っはぁーッ、着いた。時間は……なんだ、来るまで五分もあるじゃんか……」

pipi

P「ふーっ、切符も買ったしゆっくり行こう」スタスタ

P(ん? 前歩いてるあいつ……)

SUT「……」スタスタ

P(ナオキたちの対戦ユニットの奴だな。こんな時間まで何してたんだ?)

SUT「……」スタスタ

P(ホーム一緒みたいだな)スタスタ

スタスタ……ピタッ

P「うおっ、急に止まったぞ」

SUT「! あ、や……すいません」

P「ああいや、ごめん。こっちこそ口に出すつもりは無かったんだ」

P(なんだ一体? 目にゴミでも入ったか?)スタスタ

ホーム

SUT「……」スタスタ

軍畑「おう、SUTじゃねえか」

P(同じユニットの……そうか、そういうことか)

SUT「……っす、どうも」

軍畑「お前ちょっとここ座れよ」

SUT「はい」スタッ

軍畑「今日のアレ何なんだよ。やる気あんのかぁ?お前タックルあめぇんだよ」

SUT「っ、サーセンっす」

軍畑「あそこでタックル決めときゃあ、逆転できたんだよ。何やってんだよ?」

SUT「サーセン……」

P(タックルってなんだよ)

軍畑「やる気あんのか?」

SUT「…………」

軍畑「もうね、相手のライン出た時に度胸が足りねぇんだよ。」

SUT「……」

軍畑「おいここで度胸試しやろうぜ? お前度胸足りねぇんだから鍛えなおしてやるよ」

SUT「え……」

軍畑「脱げや。ここで今すぐ」

SUT「え、いや……」

OKD「そこに人もいるし、ヤバいんじゃないすか(小声)」

軍畑「いいんだよ、こいつの度胸試すだけだから。度胸試しだったら誰でも出来るよ(謎理論)」

軍畑「っていうかお前も脱げよ、お前は脱がねーのかよOKD」

OKD「お、俺もっすか?」

軍畑「おう、連帯責任やろ」

P「……ならお前も脱いだらどうだ?」スタスタ

SUT・OKD「!」

軍畑「あぁ? なんだよお前」

P「何って名乗るほどの者でもないけどさ。どうせ脱ぐならお前も脱いだら三人お揃いだろ?」

軍畑「何言ってんだよお前。気持ち悪りいな」

P「……なあ、ホモなんだろ?」スッ

軍畑「ちげーよ! お前触ろうとしてんじゃねえよ」

P「人前で脱がせようとする奴がホモじゃなかったらなんなんですかねぇ……」

軍畑「なんだよお前。だからやめろよ!」

P「もしかしてお前ノンケか? 違うだろ?」

軍畑「うっ、うるせーよ。チッ、お前ら行くぞ。おい。来いよ」

SUT「いや、俺、電車」

OKD「俺も……」

軍畑「チッ! 度胸試しはまた今度やるからな」タッタッタッ

P(お前も次の電車に乗るんじゃないのか……)

P「……ふぅ」

SUT「あ、ありがとうございます」

P「ん? いや、俺は適当にしゃぶってくれる奴が居ないか探してただけだよ」

SUT「さっき会場に居ましたよね? アイドルのプロデューサーとして」

OKD「マジ?」

P「なんだ知ってたか、逆に恥ずかしいな」

SUT「やっぱり……」

P「まあお前らもさ、このままじゃやられっぱなしだから睡眠薬盛ってレイプでもすればいいんじゃない?(適当)」

OKD「いやそれは……キツイっすよ(半笑い)」

P「とにかく誰か、自分の事務所の人に相談してみろよ。そんなんじゃいつまで経ってもこのままだよ」

SUT「……はい」

パチパチパチパチパチ

P(誰だ?)クルッ

「いやぁさすがはモバP。アイドルなら見境なく手を差しのべますか」

P「お、お前は810プロの……」

ONDISK「お久しぶりです。ああご心配なく、ここに来たのは紛れもない偶然なので」

P(確かに、この駅はモバプロからも近い)

P「……あのさぁ、人をハッテン場のクソホモみたいに言わないでくれないか?」

ONDISK「さっきからご自分でそう振る舞っているじゃありませんか」

P「演技だって分かるだろ! いい加減にしろ!」

ONDISK「感情の浮き沈みが激しい人だ。私は別にからかいで言ったのではありませんよ」

P「何?」

ONDISK「忠告と言えばいいでしょうか。貴方は少しアイドルと真摯に向き合い過ぎなのです」

P「なんの問題ですか?(レ)」

ONDISK「もちろん自分の担当アイドルだけならば問題はありませんが……貴方の場合は同じ事務所の無関係なアイドル、更には他事務所のアイドルにまで及んでいる」

ONDISK「今、そこのアイドルを助けたように」

P「それはたまたま偶然、見てられなかったからで」

ONDISK「俺知ってるんですよぉ~? 緒方智絵里のこと」

P「な……」

P(どこから情報が伝わってるんだ!?やっぱり俺、影でちひろさんに監視されてるのか?)

ONDISK「ぎょっとしたような顔をしないでくださいよ。貴方、KBSの三人と会っているでしょう?」

P「あの時はぴにゃこら太に入ってたはずだぞ……あっ」

ONDISK「そのぴにゃこら太が気になったのであの三人に詳しく問いただしたんですよ」

P(確かにあの三人なら俺の姿は知らなくても声は覚えてるだろうしな……)

ONDISK「そしてやはり、あの時レッスンスタジオに貴方は居たわけだ」

P「お前、半分カマをかけるつもりで智絵里の名前を!」

ONDISK「騙される方も騙される方ですよ。しかし反応を見る限り、緒方智絵里とも本当に何かありそうですねぇ……」

P「…………」

「まもなく三番ホームに入ります列車は――」

ONDISK「おっと、これ以上無駄話をしている時間はないようですね。忠告の意味を教えてあげましょう」

P「…………」

ONDISK「いずれ身を滅ぼしますよ。不用意にあれこれ気を回していると」

P「なんだよ、体調管理には気を付けろって言いたいのか?」

ONDISK「どのように受け取るかは自由です

「列車が参ります、ご注意下さい。列車が――」

P「……なんでわざわざ俺に忠告した?」

ONDISK「善意に理由はありませんよ。僕は貴方を評価してるんです」

キィィィィィ……

P「そうか、でも俺は俺のやりたいようにやるだけだよ」

プシュー,ガラララ

ONDISK「ご自由に。あくまで忠告ですから。では」

P「なんだ、これに乗るんじゃないのか」

ONDISK「奥のホームですよ」スタスタ

P「そうか。じゃあな」

P(初めてまともに話したが、別に悪人ってじゃあなさそうだ。前会った時も卯月たちに信頼されていたようだし)

P(それより……)

「ドアが閉まります、ご注意下さい」

P(潰れたケーキを食べるまゆを眺めながら、あいつの言った事について考えていた)

P(アイドルに対して真摯過ぎるなんて、そんな事言われたのは初めてだ)

P(別にそれは良いことだし、直すとか直さないとかじゃないと思うが、他の事務所のアイドルにまでというのはどうなんだろうか)

P(そういえば智絵里の時も散々、凛やまゆに注意されたな。まあカーリーが絡んでたからでもあるんだが)

P(振り返ってみれば、李衣菜や多田野だって元はよそのアイドルだったのをプロデュースしたんだよな)

P(89410プロの事もあった。確かに、余計な所に首を突っ込みすぎなのかもしれない)

P(でもやっぱり俺は、このまま……)

MY「プロデューサーさん? どうかしました?」

P「ん。あっ、なんでもないよ。それよりごめんな、ケーキ」

MY「それはもういいですよ。……お茶をどうぞ、疲れがとれますよ」

P「おう、サンキュー」ゴクゴク

P(そのまままゆと他愛もない話をしているうちにあいつの話も次第に頭から離れていき、意識は凛たちの予選へとまた移っていった……)

二日後 予選会場

ワイワイガヤガヤ……

P「相変わらず凄い人の数だな」

遠野「お、押し潰されるんじゃあ……」

三浦「もう少ししたらステージの方に向かって人の波が出来るゾ」

ニ……ャーン

P「?」クルッ

RN「どうかした?」

P「いやなんでも。……どうする、もう着替えてメイクしておくか? かなり時間あるけど」

RN「最後だもんね、私たち」

MY「折角ですから、何か買って食べませんか?」

オニーチャーン!

P「!」クルッ

RN「……どうしたの、何かいた?」クルッ

P「あ、い、いや、なんでもない……」

「お兄ちゃーーーーーん!」

P「」ビクッ

遠野「ななな何ですか!?」

P(こ、この声は間違いなく….…)クルッ

YK「はあっ、ひ、久しぶり……お兄ちゃん」

「どうも、友紀のお兄さん」

RN・MY「は?(困惑)」

P「やめてくれよ……(絶望)」

とりあえずここまで

遠野「妹さんが居たんですか」

P「んや、あ、ま、んん」

「ご存知ないのですか?」

MY「そんな話は聞いたことがないです。家族構成は把握していたはずなんですけど……」

RN「私も知らない。この中で一番、付き合いは長いけど」

MY「はい?」

RN「何か変な事言った?」

P「やめなさい」

三浦「あれ? でもこの前は別にーー」

P「わーっ! わーっ! 」

三浦「ポッチャマ……?」

P「おっ、お前ちょっと来い!」グッ

YK「う、うん」

P「あと姫……友紀のプロデューサーさん? 俺が戻ってくるまでは何も話さないでくださいよ! 大事な問題ですから!」

「かしこまり! 大事な、問題ですものね」

RN「……何なの?」

――――

YK「も、もう十分離れたでしょ放して!」バッ

P「死にたいのか?」

YK「しょうがないでしょ!? あたしのプロデューサーがあなたを見かけちゃったんだから!」

P「あの人ごみで?」

YK「あの人ごみで! それで呼びかけろなんて言うから」

P「まずそれがおかしいルルォ!? 普通に近づいてこいよ」

YK「だってあの人ごみだもん。それにあの社長さんが居るなんて分からなかったんだよ~、ごめん!」

P「……まあ過ぎた事は言っても仕方ない。でも俺たちがそういう設定になったのはお前が意味不明な嘘ついたからだけどな」

YK「はあっ!? そんなこと言ったらあなたがあたしの部屋でぐーぐー寝てたからこうなったんでしょ!」

P「……過ぎた事は言っても仕方ない」

YK「怒るよ」

P「分かった分かった、俺もそれは謝る。センセンシャル。それより今、ここを何とかしなくちゃいけない」

YK「それなら簡単だよ」

P「あぁん、なんで?(レ) 社長は俺とお前が無関係なこと――」

YK「その日! その日はあたしとあなたの二人で帰ったってあの人知ってるじゃん?」

P「うん」

YK「まだ分かんないかなー、そこで判明したってことにすればいいじゃん!」

P「あっ、そっかぁ(池沼)」

YK「頭いいでしょ~?」

P「……んや待てよ、それだと下手したら凛とまゆにあの時の事を説明しなきゃ駄目だ」

YK「それはそっちの問題じゃないの。っていうか別に、説明したっていいじゃん」

P「ばっ、お前今『二人で帰ってる時判明したことにしよう』って言ったんだぞ。それを素直に言ったらどうなる!?」

YK「あたしが酔ってたのを送っただけじゃん。大丈夫だよ」

P「そうはいかないんだよ……それにそこから俺がお前の家に泊まったことまでバレたら、もう何もかもおしまいだぞ」

YK「そっか、確かに……あたしのプロデューサーは騙せたけど、そう上手くいくとも限らないしね」

P「何か上手い言い分はないものか……ハァー(クソデカため息)」

YK「…………ねぇ」

P「ん?」

YK「この嘘もうやめない?」

P「やめられたら誰だってそうするんだよなぁ……」


……

P「お待たせ! ちょっと長引いちゃったけどいいかな?」

三浦「プロデューサー! 驚いたゾ~これ」

P「……え?」

RN「うん。そういう、関係だったんだ……」ウルッ

MY「知りませんでした……私もまだまだです」

遠野「アンッ,アンッ……(泣き声)」

P「…………」

YK「ぷ、プロデューサー。もしかして」

「いやぁスイマセーン(レ) そっちのまゆちゃんに問い詰められちゃって」

P「殺されてぇかお前……」

P(にしてもなんだこの反応は、突拍子が無さすぎてドン引きしてるのか何なのか……)

YK「お、終わった。コールドゲームだよもう……」

P「は? おい、どういう意味だよ!?」

パン

三浦「プロデューサー、これまで辛かったんだな、ゾ」

P「な、なんですか俺の手握っちゃって……」

MY「ごめんなさい、まゆが無理に聞き出してしまって……また辛い事を思い出しちゃいますよね……」

RN「心配ないよ、プロデューサーは強いから。こうしてまた、この人とも出会えたもんね」

「お、そうだな。運命感じるんでしたよね?」

P「……なあ、友紀」

YK「はい」

P「お兄ちゃんに言うことあるだろ?」

YK「ごめんなさい」

P「違うだろ?」

YK「…………」ボソボソ

P(あれ以来プロデューサーがよく俺のことや過去に何があったか聞くようになり、その度なんとかごまかしていたが)

P(ある時酔った勢いで適当に話をでっち上げると、それが大ウケしてしまい)

YK「それでなんていうか……楽しくなっちゃって……」ボソボソ

P(そこからは自分で色々話を作っていたという)

YK「……てへ」

P「てへじゃねえよ!」

とりあえずここまで

P(凛たちがさっきから妙な態度をとってるのはその話のせいか)

P「友紀のプロデューサー、一体どこまで話したんですか?」

P(あくまで知ったように、自然に振る舞わないとな)

「んーとそうですねぇ、お兄さんが野球をやってた頃の事は大体」

P「…………」ジロ

YK「あ、あはは……えっと……」ボソボソ

YK「あたしの中だとあなたは昔凄いピッチャーだったけど、リトルリーグの試合で肩を壊してボールを二度と投げられなくなったってことになってて……」

P「お前人の過去(モノ)を……(レ)」

「さっきからボソボソ何話してんだ? おい。俺も仲間に入れてくれよ~」

YK「え、いやぁ、これは兄妹の秘密だから~」

P「プロデューサー。俺と友紀がこの前再会した事はなんて?」

「ん? 野球の試合でですよね?」

P(良かった、二人一緒にいたのは伏せてるようだ。しかし社長は……?)

RN「まさか、三時予選の前にそんな事があったなんてね。言ってくれればいいのに」

MY「そうですよ。そしたらまゆも挨拶しに行ったのに」

YK「え、なに私に? どういうこと?」

P「はいストップ、人前で変な事言わない。口は災いの元だからな?」

MY「うふふ、はぁい」

YK「身にしみております……」

>>293のMYのまだまだですってどう意味なんですかねえ

>>298
RN「まさか、三時予選の前にそんな事があったなんてね。言ってくれればいいのに」

×三時 ○三次

>>299
(プロデューサーの事はよく知っているとおもっていたが)まだまだだった、というつもりで書きました

三浦「そういえばいつ気づいたんだ? あの時はそんな素振り見せなかったゾ」

P(来た!)

P「やだなぁ~覚えてないんですかぁ~? まあ社長は酔ってましたもんね」

RN「酔ってた?」

P「その試合の後、事務所で祝勝会をしてたんだ」

「お前IU予選の前日だっていうのによくもまあ飲んだよな?」

YK「そ、その試合もちゃんと勝ったもん!」

P(二日酔いで勝てたのか……)

三浦「確かにあの時の記憶は酔ってて曖昧だゾ」

P「そうその時ですよ! その時! 覚えてないんですもんねー」

三浦「あっ、そっかぁ……うーんやっぱり思い出せない」

P(よし! 酔って覚えてない作戦成功だな!)チラッ

YK「」グッ

「あれ? ちょっと待てよ友紀、お前あの時は試合の後はお兄さんとナイターを見に行ったって言ってなかったか?」

YK「うええっ! い、言ってないよ。テレビ……そうテレビの中継じゃないかな?」

「んーそうか、そうだったかもな」

P「あーあーあーあー、もういいじゃないですか俺たちの事は。LIVEの準備行きませんか? 行きましょうよ~」

RN「そうだね。ずっと立ち止まってるから交通の邪魔にもなってるし」

MY「でももしプロデューサーさんが良かったら、またお話聞かせてもらえますか?」

P「まあ気が向いたら、な。気が向いたら……」

「あ、そうだ(唐突) そういえばお兄さん! 貴方もプロデューサーじゃないですか!」

P「それ友紀から聞いてないんですか」

「ああいや、実は同業者とは聞いてましたけど。こんな所で会うなんて思いませんよ」

P「そう……(無関心)」

「驚きましたよ? あの渋谷凛が所属している364プロのプロデューサー!それが友紀の生き別れたお兄さんなんてどうなっちゃってんすか!」

P(こっちが聞きたいんだよなぁ)

RN「……凄いよね。離ればなれになった兄妹が、大人なってアイドルとプロデューサーとして再会するなんて」

三浦「プロデューサーの担当が友紀ちゃんだったら完璧だったんだけどなぁ~」

YK「あ、あははは……」

「兄が居るって話は前から聞いていたんですけどね。生き別れたなんてこの前初めて知りましたよ」

P(……え?)

P「お前兄貴居るの? 現実に」ボソボソ

YK「う、うん。まあ」ボソボソ

P「もう頭痛くなってきたぞ」

YK「大丈夫、一応あたしは義理の妹ってことにしてあるから。矛盾してないしてない」ボソボソ

P「おぉ、もう……」

スタスタ……

P(楽しそうに話す三浦さんたちを前にして、姫川と少し後ろを歩く)

P「なぁ、俺たちにさ」

YK「うん」

P「……もはや戻れる場所なんてないんじゃないか」

YK「野球で例えると?」

P「は?(威圧) 分かんねえけど、ドラフト指名回避されるレベルのスキャンダルが発覚する寸前、みたいな」

YK「もし全部嘘ってバレても、『当時は若く、お金が必要でした』で逃げきれないかな?」

P「もっとひどいことになるんだよなぁ……」

YK「そっかぁ。プロデューサーだけにバレるならまだマシだよね」

P「ああ。週刊誌辺りで散々騒がれた後デマだと分かった日には、もう素顔で街を歩けないぞ」

YK「でもそれってバレなきゃ大丈夫でしょ?」

P「え……」

YK「さっきの例えで言ったら、誰かがたまげたりしなきゃオッケー!」

P「えぇ……(困惑)」

YK「それともじゃあ、観念して今ここで全部話しちゃおっか」

P「えっそれは」

P(いや、でも……このままにしておくリスクを考えたらむしろそれがいいのか!?)

P(先に姫川のプロデューサーと三浦さんに言って……凛やまゆにだって正直に言えば楽になるじゃないか)

P(ホモは嘘付きというが、ホモって奴はその場その場でモノを考えてるんだよな)

P(後輩を急にレイプしたり、勝手に勘違いして医者と患者を襲ったり……その場しのぎの判断をしてるから嘘付きになるんだ)

P(俺はホモじゃない、これだけははっきりと真実を伝えたい)

P「よし、覚悟は出来たぜ姫川。なんだかんだやっぱり正直者がいちば――」

YK「……あたしは嫌だな、お兄ちゃん」

P「おい」

とりあえずここまで

YK「だってさぁ……」

P「話せば楽になるって。そりゃ最初お前の家に居た事は言い訳不可能になる訳だから、そこは俺が土下座でもなんでもして納得させないといけないが」

P(主にまゆと凛をな)

YK「えー、あたしなんてそれに加えて創作話たくさんしちゃった罪も付くからなー」

P「それは姫川が悪いとしか言いようがない」

YK「そうなんだけどね……」

P「自分から言いだしたくせに歯切れが悪いぞ、(こんな芝居は)もう終わりだぁ!(レ)」

YK「うん……」

P「……分かった、じゃあこうしよう」

YK「?」

P「確かに今バラしたんじゃ俺も、お前も色々と気まずくなるかもしれない。だから今日の予選が終わったらにしよう」

YK「予選が終わったら、ね」

P「だからそれまでは兄妹、一切それっぽく振る舞う! OK? OK牧場?(激寒)」

YK「……分かった。いつまでもこのままじゃダメだもんね!」

P「そうだよ(便乗)」

YK「あたしも覚悟を決めなきゃね……っとそれは置いといて、兄妹っぽくってどんなことかな?」

P「お前、兄貴分かるならそういう距離感分かるだろ?」

YK「距離感……こうかな?」グッ

P「ばっ、それじゃあ抱きついてるだろうが!」

YK「えー? 昔よく遊んでた時はこういう距離感だったけどな」

P「マジすか(棒読み)、いやとにかくこれは近づき過ぎだ! 横に並んでるくらいでいいって」

YK「はーい」

ーーーー

RN「……」チラッ

コウカナ? ソレジャダキツイテルダロウガ!

RN「!!」

MY「凛ちゃん?」

RN「ふ、ふーん、やっぱり兄妹だけあって仲良いみたいだね」

三浦「野球の時も息は合ってた気がするゾ」

MY「大丈夫ですよ、血が繋がってるってことはそういうことですから」

RN「どういう意味なのそれ……」

「あ、あの二人血は繋がってないみたいだぞ。友紀は義理の兄妹って言ってたし」

MY「!」

遠野「あ、あの。それにまゆさん的に言えば、真実の愛は血の繋がりとかは超えてしまうんじゃないでしょうか」

MY「……!」

RN「はいはいそこまで。社長はここでお別れだよね?」

三浦「あ、そうだったゾ。じゃあ観客席で見守ってるからな~」

ステージ裏

YK「野球の話でもする?」

P「んなこと言われても今年キャッツが優勝出来なかった事ぐらいしか知らないしなぁ……」チラチラ

YK「うわーワザとそういうこと言ってー!」

P「いや、本当にそれぐらいしか知らないんだって」キョロキョロ

YK「……さっきから何見てるの?」

P「ん? いやなんでもない、なんでもないよ」

P(もしかしたらと思って周囲を探してしまう……810プロのユニットは今日出場しないと分かっているのに)

P(あークソっ、この前あいつに会った時卯月たちの様子とか何か聞いておけば良かった!)

YK「ふーん、じゃああれは?」

P「アレ?」


MY「……」ジー

P「さ、さあ何処見てるんだか……」

YK「こっち見てないかな?」

P「そうかな? あっそうだ(唐突)、もうLIVEだしさ、あんまりベタベタしてるのも変だし、俺もう戻るわ。うん。いいよな?」

YK「え? うん、いいけど」

「会う機会も無いですからもっとゆっくり話しててもいいんですよ? お兄さん」

P「あの子たちにも悪いしホント、いいんで。また結果発表の後にでも」

「そうですか。んちゃ」

P「にょろん」

MY「……うふふ」

遠野「さすがまゆさん、いつでも観察してるんですね」

MY「観察だなんて。見守ってるんです」

遠野「なるほど……」

「ーーーー」

遠野「!」ゾクッ

MY「遠野ちゃん?」

遠野「アンッ、いえ、大丈夫です……でもなんだか、視線を感じたような……」

P「おーい、おまたせ!」

遠野「あ、プロデューサーさん」

MY「もういいんですか?」

P「ああ。みんなの大事な試合前なのにいつまでも妹にはかまけてられないよ」

遠野「でも、折角久しぶりに会えたんですし、昔あんな事もあったんですから」

P「だから大丈夫だっつってんじゃねーかよ(棒読み)」

P(姫川がどんな話したか知らないが、この後全部バラすって考えたら演技するのも馬鹿らしくなってくるな)

P「ん、そういえば凛はどこ行った?」

MY「更衣室に。ちょっとの間、一人で集中したいそうです」

P「そうか。予選突破がかかった大一番な訳だしな……遠野なんてまた緊張してるんじゃないのか」

遠野「い、言わないでください。まだ出番じゃないから大丈夫ですけど、いざその時になったら多分……」

MY「今の遠野ちゃんなら、どんな舞台もしっかりこなせますよ」

P「そうだよ(便乗) 必要な事は十分学んできた。自信を持て、やればできる!」

遠野「は、はい……」

「…………」

P「……暇だな」

MY「ならプロデューサーさんのお話、聞かせてくれませんか?」

P「え? やぁそれはキツイっすよ……(半笑い)」

MY「そうですかぁ。じゃあしりとりでもしますか?」

遠野「小学生並の遊びですね」

P(長い待ち時間を適当に過ごした……)

舞台袖

P「やっぱり早く来すぎたな。日が暮れちまったよ」

RN「元からでしょ」

遠野「でも早くから居たおかげで気持ちは落ち着いています……」


「それでは本日最後、第四試合の対戦組み合わせを発表したいと思います」

「89プロ、『フルスイングス』!」

ワァァァァ!

P(おいおい、89プロってもしかしなくても――)

??「ちょっと、そこのアナタ」

P「え、俺?」

??「違うわ、そこのトカゲのアナタよ」

遠野「僕ですか?」

HRN「ええ。アナタが私と同じ『世界レベル』を持つアイドルね」

HRNとヘレンさんは一切関係ありません

遠野「世界レベル?」

HRN「あら、違うの? 巷ではそう言われてるわよ」

遠野「僕は何の事だかさっぱり……」

P「いや、それは間違いなく遠野の事だ」

遠野「そ、そうなんですか?」

P「言い方はちょっと違うけどな。ファンから言われた事ないか?」

『世界のトオノ』

HRN「そう、アナタの歌声はそう呼ばれているのよ」

遠野「初めて知りました……」

HRN「世界のトオノ、世界レベルと聞いてシンパシーを感じない私じゃないわ。っと、自己紹介が遅れたわね。ヘレンよ」

遠野「あ、はい。まずうちのどかです、よろしくお願いします」

MY「まずうちのどか?」

P「一応本名はこうなってるんだぞ」

遠野「それであの、他になにかご用ですか?」

HRN「……はっきり言うけどアナタ、自分の世界レベルに気づいていないわね?」

遠野「え……はい、まあ。『世界』と言われてもどう反応すればいいのか……」

HRN「やっぱりな♂(レ) さっきから少し様子を見させてもらっていたけど、とても自分の素質を自覚しているとは思えなかった」

P(確かに遠野は俺から見てもそういう節があるな)

遠野「あ……じゃあ僕を見ていたのは貴女だったんですね」

HRN「ええ。でも正確に言うと見ざるを得なかったのよ」

遠野「? それってどういうーー」

INUE「あああああああああ! ああああああああ!!」ダッダッダッ

P「なんだこのオッサン!?」

HRN「INUE君、静かにしなさい。LIVE前で興奮するのは分かるけれど」

INUE「あっ……あっ……」

HRN「失礼。こちらはINUE君、私のユニットパートナーよ。遠野、アナタを見ていたのもこの子が目を付けたから」

遠野「目を、付けた……?」

HRN「この子は私の様に高い素質を持った人を見ると、今みたいに叫び声をあげて興奮してしまうの。だから襲わないようにしっかり監視する必要がある」

P「近所の凶暴な犬か何か?」

HRN「当たらずとも遠からずね。INUE君もとても獰猛だけど言うことはしっかり聞くわ」

INUE「…………」

HRN「それにしても残念ね、アナタとのLIVEはまさに世界レベルの物になると思っていたのだけど」

遠野「ご、ごめんなさい」

HRN「謝らなくてもいいわ。アナタに世界レベルの素質がある事は確かなのだし」

RN「……それに、自覚はしてないかもしれないけどステージではその『世界レベル』を発揮してるしね」

遠野「ちょ、ちょっと凛さん!」

HRN「本当? 楽しみね」

遠野「僕は……僕はそんな、才能とか素質なんて……」

MY「いつも通りでいいんですよ、遠野ちゃん」

遠野「……はい」

P(もし遠野が自分の素質に気づいてくれれば成長速度もパフォーマンスも更に良くなるのは確実。でも今はまゆの言う通り、いつも通りでいいだろう……)

P「さて……」

ワァァァァァ! キャーッ!
パチパチパチパチ…

P(どうやら話している内に対戦カード発表どころか凛たちのPVまで終わってしまったようだ)

P(にしても予想以上に凄い歓声だ。凛たちのPVは元の人気がある分、当たり障りのないよう撮っただけなんだが)

HRN「凄いわね。PV一つでここまで会場を沸かせるなんて」

P「んやぁそうでもないっすよ」

HRN「でも私たちのPVは世界レベル。この会場は更に興奮のるつぼと化すわ」

P(態度に伴って自信もありありとした人だなぁ……)

「では最後に、『オーバー・ザ・ワールド』、ご覧下さい」

とりあえずここまで

(デレステボーダー)高いんだよもう……

ーーーー
ゴオオオオオオオオ!!!
パパパパパ……


HRN「やって来たわ、高度3,000メートル! さすがに音がうるさいわね」

INUE「あっ、風……怖」

HRN「怖がってる暇は無いわINUE君。私たちは今から飛ぶ!」

HRN「そしてこの大空と、世界と……一体になるのよ!」

HRN「さあ行きなさい!」

INUE「あっ、あああああああああああ!!↑あああああああああ↓!!」

ヒュー……ゴオオオオオオオオ……

HRN「いいリアクションだわ。じゃあ私も……!」バッ

ゴオオオオオオオオ!!!

HRN「ーー!ーーーー! ーーー! 」
テロップ『く、口が開かない! 凄い風圧ね!』

ゴオオオオオオオオ

HRN「ーー! ーーーーーー!」
テロップ『地面が近づいて来たわ、ここでパラシュートを開くのね!」

バッ、フューー……

INUE「あああああああああ! ああああ!」

スタッ

HRN「ふうっ……いい経験になったわね、INUE君」

INUE「あっ、あっ……」

(暗転)

P(スカイダイビングか……確かにインパクトはあるな。INUE君の反応とか特に)

P(でもこれで終わりならそれ程でも――)


パッ

HRN『さあ、本番はここからよ。まさかこれで終わりなんて思わなかったでしょうね?』


P「」ビクッ

P(そういう仕掛けか。見事に引っ掛かっちゃったよ、ヤバイヤバイ……)


HRN『たったの一度飛び降りただけじゃとても世界と一つになったとは言えないわ』

HRN『それに私とINUE君は「オーバー・ザ・ワールド」……世界と同等では満足できないわ』

HRN『だから――』

パッ

P(再びスカイダイビングの、今度は飛んでいる最中の目線映像が写し出される)

INUE『ああああああ!! あああああああああ!!』ヒュー

HRN『こうして何度でも、世界中目掛けて飛んでいく事にしたわ!』

ゴオオオオオオ!

P(すると映像が切り替わり、飛び降りていく場面だけが次々と流される)

P(すると今度は画面が分割され落下していく映像が一気に写し出された!)

P(そして八分割された画面で同時に流されるINUE君の――)


INUE『ああああああああああ!!↑ あああああああああ!↓』
INUE『ああああああああああ!!↑ あああああああああ!↓』
INUE『ああああああああああ!!↑ あああああああああ!↓』
INUE『ああああああああああ!!↑ あああああああああ!↓』
INUE『ああああああああああ!!↑ あああああああああ!↓』
INUE『ああああああああああ!!↑ あああああああああ!↓』
INUE『ああああああああああ!!↑ あああああああああ!↓』

P(うるせぇ!)


HRN『さあ! このまま地球の上から下まで飛び降りるわ!』


P(ヘレンが飛んでいる映像に切り替わり、そのまま映像はホワイトアウトした……)


ワーァ! ワーワー! FOO↑
パチパチパチパチ……

P「なあヘレンさん。これロケ地何処なんだ?」

HRN「一番最初のはアメリカで撮ったわね。他は……まあ色々よ、とにかく世界中ね。カットしたのもあるわ」

HRN「最後のシーンで背景に写ってた世界遺産とかは合成だけど。さすがに無理だったわ」

P(それにしたって、どんだけ制作費と時間がかかったんだよこのPV……)


「PVは以上となります。それではアイドルたちの登場です!」

ワァー! キャー!


P(っと、相手のPVに気圧されてちゃ駄目だな)

P「よし、みんな胸張って行ってこい!」

RN「うん……じゃあ行くよ、みんな」

MY「」コク

遠野「はっはい!」

スタスタスタ

HRN「PVは私たちを知ってもらうための物でしかない。本当の魅力は今から見せるのよ。INUE君」

INUE「きもちいい……」

スタスタ……

P(……頼むぞ、凛)

「照明が全て落とされます。会場の皆様はボタンを押してください」

ポチ,ポチポチ……

「それでは、照明が再度点灯すると共にLIVEスタートです!」

パチッ! パッパッ!

P(照明はヘレンの方を強く照らし、次いで凛たち、姫川の順に集まっていた。丁度PV紹介順の逆だ)

P(あの目立つPVが最後に流れたことで、元から持ってる人気や知名度を埋めるインパクトを観客に与えたようだ)


HRN「いいわ、でもまだ足りない。この会場全ての光を集めてこそ世界レベルよ。INUE君!」

INUE君「あああああああああ↑ あああああああああ↓」

ワァー! アァー!

P(また大胆な事言ってくれるなぁ……)

――――
遠野(二人の足を引っ張らないようにしないと……)タッタッ

MY「遠野ちゃん!」

遠野「えっ、あっ!」タタタッ

RN「っ!」キュッ

遠野「っ、す、すいません!」

遠野(危なかった、凛さんがよけてくれなかったら……どうしてあんなミス)

RN「気にしないで。それより集中」

遠野「」コク

遠野(あんなミスを無くせるくらいには、練習して上手くなったのに)

遠野(こんな僕に、アイドルの素質なんて――)

MY「~~♪」

遠野(! 次は僕のパート、これ以上のミスは絶対駄目だ!)

遠野「アン、ア、ア……アンッ、アッ、ン、アッ…」

RN・MY「!?」

遠野(あ、れ……声が、伸びない?)

――――
HRN「……残念ね。彼はデビューして間もないから仕方ないかもしれないけど」

INUE「……?」

HRN「INUE君、このまま私たちの独壇場といきましょう」

INUE「うん、きもちいい」

ポチ,ポチ……


P(まずいですよ! 連続のミスで凛たちの照明が他に移ってしまった)

P(いや、観客の視線がよそに移っただけじゃない。技術的な面から見ても今のは痛恨だ、審査に大きく影響する)

P(遠野がどうもそわそわしていると思ってはいたが、まさかここまでだったとは)

P(遠野のパートを凛も一緒に歌ってなんとかカバーしているが……そのまま勝てるような状況じゃない)

P(……遠野、お前はやれば出来る! これまでやってきたことを思い出せ!)

ワーワー! ワァー!

NSOK「だからステージが暗いっつってんじゃねえかよ(棒読み)」

YK「まだまだ! LIVEは9回ツーアウトからだよ!」

NSOK「でも劣勢は劣勢ですよ(棒読み)」

YK「こっちのキャラも考えてよ。じゃあ西岡選手もっと野球人らしいパフォーマンスやって、ホラ!」

NSOK「バットで、自分で?(棒読み)」

YK「はいかっ飛ばせ~西岡! ……キャッツファンにあるまじき声援だなぁ」

NSOK「……」ブンッ,ブンッ

YK「……あのさ、もっと下半身とか使ってよ。そんなんじゃいつまで経ってもスタンドまで飛ばせないよ?」

NSOK「……」ムスッ

YK「あのさぁ……」

NSOK「調子こいてんじゃねえぞこの野郎! ただの野球好きのくせによ~何がかっ飛ばせだぁ? お前が飛ばせよ、ほら上手いんだろぉ? スタンドまで飛ばせよ(棒読み)」

YK「えっ私!?」


P(……アレはどこまでパフォーマンスなんだ)

――――
遠野(ステージがどんどん暗くなっていく。僕一人のせいで負けてしまう)

遠野(まゆさんごめんなさい、凛さんごめんなさい、プロデューサーさんごめんなさい……田所さん、ごめんなさい)

遠野(でも駄目なんです、声が、いつものように出ないんです……)

遠野(ううっ、ひもじい、ひもじい……)グスッ

「アンッ」

遠野(い、今一瞬元の、いやそれ以上の声が! でもどうして……)

遠野(そういえば、ずっと前にもこんな事が――)※前スレ>>131辺り

――――――――

P「これが遠野の、世界レベルの歌声だ!」

――――――――

遠野(あの時、もうプロデューサーさんは僕の事を)

遠野(でも、悲しい時にだけ出る世界レベルなんて……)

RN「遠野、下を向いたら駄目」

遠野「凛、さん……」

RN「LIVEは終わってないよ、最後の大サビが残ってる」スタッ,タッ

遠野「は、はい。すいません」

遠野(どうして後ろに? 最後は凛さんのソロパートがあるのに)

MY「遠野ちゃん。ほら、一緒に♪」スッ

遠野「えっ、えっ……?」

遠野(練習のフォーメーションと全く違う……センターの凛さんが下がって僕とまゆさんが前に?)

MY「遠野ちゃん、顔をあげてまっすぐ前を見てください」

遠野「はい……えっ!?」

遠野(凄い。自分の事ばかり気にかけて目に入らなかったけど、お客さんがこんなに……サイリウムもいっぱいで、ステージより眩しいみたい)

RN「前、ステージはあくまでお客さんのためにあるって言ったけど――」

MY「自分が楽しむ気持ち、忘れたらダメですよ?」ギュッ

遠野「……!」

――――
P(凛が下がって、まゆと遠野でダブルセンター!? なんてことを……)

P(このまま最後までやる気なのか? 振り付けは!?)


MY「~~♪」タッタッ

遠野「っ、アッ……」

RN「大丈夫だから。ゆっくり合わせて」


P(遠野は基本的に自分のパート、それをまゆがリードしているのか。凛は二人の動きを見ながらフォロー)

P(打ち合わせも無しによくこんな事、かなり挑戦的じゃないそれぇ?)

P(大胆な立ち位置変更で観客の視線も集まってきた。あとは遠野の声さえ戻れば……)


「アンッ……アンッアッ、アッアッ……」


P「!!!」

ーーーー
遠野「アンッ、アン、アッアーッ! アンッアンッ!」

MY「遠野ちゃん、声が……!」

遠野「気持ちいい、アンッアンッ! 今ならきっと、どこまででも……声を届けられます!」

RN「……ちゃんと思い出せたみたい、だね」

遠野(この声がプロデューサーさんやヘレンさんの言っていた素質かは分からない。けどーー)

遠野「アンッ! アッアーッ、アンッアンッアンッッ!」

遠野(声は、歌は僕の感情そのもの。嬉しさや悲しさがそのまま表れる)

遠野(だから楽しみたいって感情がありったけあれば……僕は歌える!)

遠野「アンッッ! アンッアーッ↑ アンッアンッ」

ワァー! キャー! イキスギィ!
ポチ,ポチポチ……

とりあえずここまで

ーーーー
HRN(素晴らしいわ、思わず聞き惚れてしまいそう。これが遠野の、本当の歌声ね)

HRN「いいわ! どちらが真に高い世界レベルなのか決着を着けましょう。INUE君!」

INUE「あっ!?」

HRN「あなたのその叫び声、シャウトもまた世界レベルだということを見せてあげなさい」

INUE「あああああああああ↑あああああああああ↑↑あああああああああ↓!!!」

HRN「私たち二人で『世界』よ!」

ーーーー

NSOK「お前ちょっとマウンド行って……投げろ(棒読み)」

YK「ええ!? あたしがマウンドに!?」

NSOK「そこのプレート踏んで投げろ(棒読み)」

YK「よーし、全力投球のエール見せちゃうよ!」

YK(なーんかあたしたちだけ置いてかれてる感じもするけど、あたしはあたしらしいスタイルでやらなきゃね!)

ーーーー
P(なんてこった。遠野の奴今まで一番の歌声じゃないか)

アンッアンッアンッアンッ

P(なんだこの喘ぎ声のような美しい声は……たまげたなぁ)

P(まゆと一緒に前に出た事で何かを掴んだっていうのか? この土壇場で)

P(やっぱりお前の素質は本物だった。始めからステージに立つべき人間だったんだ)

P(世界のトオノか……近いうち本当に世界まで行っちまうかもな)


RN「ラスト、いくよ!」

遠野「アンッ、アーーーッ!」


P(会場中に遠野の透き通った声が響き渡った……)


「そこまで! パフォーマンスを終了してください!」


……
舞台袖

P「お、戻って来たな。三人ともお疲れ様!」

「…………」

P「どうした、疲れたか?」


RN「……ごめん」
MY「ごめんなさい!」
遠野「すいませんっ!」


P「な、なんだよ三人一緒に……何の問題ですか?(レ)」

MY「プロデューサーさんが一生懸命考えた演出なのに、勝手な事をしてしまって……」

RN「それはまゆが謝ることじゃないと思うよ。私がやったんだから」

MY「まゆも一緒にやりましたから。同じです」

P「いいんだよ、アレで結果的に照明も観客の視線も引きつけたんだから。みんなも納得のいく演技が出来ただろ?」

RN「それは……そうだね。楽しめた、かな」

P「だったら構わないよ。でも見ててヒヤヒヤするから……これからはなるべく勘弁してくださいね」

RN「うん、私ももうこれっきりにしたい。楽しかったけど、やっぱり怖いかな」

P「ならなんで今回はやったんですかねぇ……」

遠野「それは僕がミスを連発してしまって、足を引っ張っていたからで……」

RN「違う違う! 足を引っ張るとか、全然そんなこと思ってないから。ただ、やってる時不意に、今回遠野が前に出る場面が無いなって思って」

P「それはまあ、俺があえてそうしたんだが……大きいステージだし、凛を積極的に出した方がいいと思ってな」

遠野「それは本当、その通りです。僕は後ろで十分です」

P「嘘付けまゆと一緒に出た瞬間輝き出してたゾ」

遠野「えっと、それはその、吹っ切れたというか踏ん切りがついたといいますか……」

MY「凄く綺麗でしたよ、遠野ちゃんの歌」

遠野「ありがとうございます。凛さんとまゆさんのおかげです。もちろんプロデューサーさんも」

P「いや……俺は何もしてないと思うけど」

遠野「いやそんなこと……」

P「まあ何にせよ上手くいって良かった。俺もこのLIVEをヒントに、もっと上手い演出を考えるよ」

RN「このユニットは私がセンターだけど、そういうのに拘らず、ね」

P「凛は注文が多いからな~、上手い事考え付くかな?」

RN「ちょっと! 別に文句とか言ったことないでしょ?」

MY「文句はないと思いますけど、意見、なら頻繁に言ってますね」

RN「そ、そうなの? ……そうかも」

P「そうだよ(便乗)」

HRN「あなたたち、もう勝った気でいるの?」

P「ああ、ヘレンさん。お疲れ様でした」

HRN「そちらこそ。いいLIVEだったわ」

RN「別に勝った気でなんていないけど。結果発表は今からでしょ」

遠野「そ、そうですよ。勝ったかどうかなんて……」

HRN「……そうね。ずいぶん清々しい顔だったからつい話しかけてしまったわ」

P「そっちもそういう顔してますよ?」

HRN「ええ。遠野、あなたの世界レベルは見せて貰ったわ。だから例えどちらが勝ったとしても悔いはないわ」

遠野「世界レベルだったかどうか僕には分からないですけど……歌うことは出来ました」

HRN「ふ……あなたはそれでいいのかもしれないわね」

「結果発表が始まりますので、アイドルの皆様はステージ上で移動してください」

MY「うふふ、じゃあその結果を聞きにいきましょうか」

HRN「そうね。INUE君!」

スタスタ……

――――

「それでは結果を発表いたします。本日行われた四試合に見事勝利したユニットは――」


「………………」ゴクリ


「『巨根肉弾戦』、『ガバ穴ダディー』、『キャ長こわれる』、
『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』、以上の四組です!」


ワァーァー! ワーワー! ギャーッ!


RN「やった……!」

遠野「は、はいぃっ!」

MY「……♪」ニコッ

HRN「私たちの負けね。素晴らしいわ、遠野」

INUE「あああぁぁぁ……↓」

P(その後軽いインタビュー等があり、今日の日程は終了した)

P(長かった予選は、3ユニット全てが本選出場という最高の結果で終わった。もちろんこれで全てが解決というわけではないが……)

P(話は戻って、凛たちの着替えも終わり後は三浦さんと合流して帰るだけ。というわけにもいかず――)

YK「おまたせ! ウチのプロデューサーも一緒だけど、いいかな?」

三浦「おっ、友紀ちゃんも一緒に帰るのかゾ?」

RN「……さっきはどうも」

YK「あー、お疲れ。あたしなんか全然敵わなかったなぁ……」

P「そんなことないぞ? 結構良かったと思う」

YK「そう? でもまた来年、一回戦から出直しだよ」

「蟹になりたいね♂」

P「は?」

「生きる意味を……失う♂」

YK「あー、プロデューサー今、あたしたちが負けちゃって落ち込んでるから」

P「そ、そうか。それじゃ好都合かもな」

MY「好都合?」

P「あ、なんでもない、いやなんでもなくないんだけど」

遠野「どうしたんですか?」

P「いや、まあそのな……」

P(やはりヤバイ、ここに来て言い出せなくなってきたよ……)

YK「ねえお兄ちゃん。もうパパっと言っちゃってさ、終わりでいいんじゃない?」

P「え?」

RN「何の話?」

YK「えー、実をいうと、わたくし姫川友紀とこのモバPは、生き別れた兄と妹でもなんでもありません!」

P(軽っ! さっきは渋々な感じだったのにこいつステージ終わった途端軽いぞ!)

RN・MY・遠野・三浦「は?(困惑)」

「それは本当か!? おい」

P「はい、本当です。話します……」

P(そして全てを話した。凛や社長は呆れた表情をするだけだったが、姫川のプロデューサーとまゆは半ギレして俺を厳しく問い詰めた)

P(あの晩何もなかったと照明する手だては無いので納得して貰うのにとんでもなく時間がかかったが、謝り倒してなんとか、なんでもする事態にならず事が収まった……)


……
P「ぬわあああああん疲れたもおおおおおん」

MY「そうですねぇ……まゆも今日は疲れちゃいました」

YK「あたしももう眠いや」

P「いや、もう俺の家着いたから。二人はもう帰りなさい」

P(大体なんで着いてこられなきゃいけないんだ、と……)

MY「はい。じゃあ行きましょうか、友紀さん?」

YK「成人してるあたしが保護者ってことだよね? エースで四番並に責任重大だなぁ」

P「ちゃんと真っ直ぐ帰るんだぞ? いいな?」

YK「さすがにあたしも今から飲みに行く体力はないよ」

P「……まゆ?」

MY「大丈夫ですよぉ。お話しながら帰るだけですから」

P「ん。じゃあまた、明日」

YK「また明日~」

MY「……明日はありませんよ?」

YK「あっ、そっか。もう同じ事務所、同じチームって感じだったよ」

MY「うふふ、そうですかぁ」

スタスタ……

P(本当に大丈夫だろうな……)

スタスタ

P(にしても本当に疲れた。今日はすぐに寝よう)

P(これからどんどん忙しくなるだろうしな……ん?)カチャ

P「鍵、あれ?」カチャカチャ

P(閉め忘れてたのか!? ヤバイヤバイ)

ガチャン……フュー

P(風? 窓……窓は今日開けてもいないぞ!?)

P「お、おい! 誰かいるのか!? 出てこい」

「……よう」

P「え!? な、お前……サイバーZ!?」

EMT「……」

とりあえずここまで

P「な、なんでお前が!? 不法侵入ですよ不法侵入!」

EMT「悪いと思ったが入らせてもらった」

P「勝手に入ったって……はっ」

P(待てよ……こいつ本当にサイバーZか?)

P「お、お前! まさかメガデスの怪人じゃないだろうな!」

EMT「違う。話を聞いてくれ」

P「それにしては勝手に人の部屋なんか入っちゃってさ。どうなんだよ正義の味方として!」

EMT「分かった、それは謝る。だから」

P「証拠を見せろよ証拠を! 本物のサイバーZなんだろお前?」

EMT「……変身、Z!」

P「!」

サイバーZ「これでいいか?」

P「あ、ああ。スカーフの色だって黄色だし本物か……」

サイバーZ「判断基準はそこでいいのか?」

P「ん、それでどうしたんだ? 疑って悪かったよ」

サイバーZ「これをお前に渡そうと」スッ

P「なんだこれ、ベルト? ってベルト……ベルトォ!?」

サイバーZ「そう。死んだサイバーZ1号のベルトだ」

P「おっ、お前俺も一緒に戦ってなんて言わないだろうな!? 無理だぞ、絶対無理だぞ!」

サイバーZ「……違う。メガデスは俺一人で倒す」

P「じゃあなんだって俺にベルトを」

サイバーZ「俺は……近いうちにメガデスの本拠地に乗り込む」

P「マジすか(棒読み)」

サイバーZ「そして命と引き換えにしてでもメガデスを壊滅させる、が……」

P「失敗した時の尻拭いでもやらせようっていうのか! 冗談じゃないぞ!」

サイバーZ「だから違うと言っている。ただ」

P「ただァ?」

サイバーZ「俺がメガデスと相討ちになったら、誰がこの先の平和を守る?」

P「お前そんなキャラだったか」

P(っていうかそれじゃ結局戦えって言ってるのと同じじゃないですかねぇ)

サイバーZ「俺も変わったかもな」

P「じゃあその変わった所、一番見たがってる奴に見せないでどうするんだよ」

サイバーZ「光には……まだ会えない」

P「だからとっととメガデス倒して会えばいいダルルォ!?」

P「ヒーローは弱気にならないって、それ一番言われてるから」

サイバーZ「……そうだな。光も同じ事を言っていた。今はメガデスを倒す事だけを考えるよ」

P「まあ、俺も休みの日なら一緒に戦えないこともないからさ」

サイバーZ「いや、お前について来られても足手まといなだけだ。冗談じゃなくな」

P「死にたいのか? 人にベルト渡しておいて……」

サイバーZ「ふっ、それはお前の使いたいように使いなよ」

P「は?(威圧) 大体これ本当に使えるのか? メガデスの改造人間用だろ?」

サイバーZ「改造しておいたから一般人でも使える。変身の仕方は……分かってるな」

P「分かるか!」

サイバーZ「……」ハァ

P(えっ変身の仕方分からないのがそんなにおかしい?)

サイバーZ「変身と言えばいいだけだ。やってみな」

P「へぇ~ポーズも何も要らないのか。便利だな」カチャカチャ

P「んじゃ、変身!」

カァァァァ!!!

サイバーZ「成功だな」

P「す、凄い。本当に変身した」

P(かなり身軽になったような感覚がするな。力も強くなってるだろうし)

P「さしずめサイバーPだな!」

サイバーZ「…………」

P「なんとか言えよ変態」

サイバーZ「……説明するぞ」

P「説明? 説明も何ももう変身は出来たろ」

サイバーZ「他にも機能はある。注意点もな」

P「ふーん」


……
………

サイバーZ「……こんな所か。じゃあ俺はもう行くよ」

P「そうか。じゃあな」

サイバーZ「…………」ガラガラ

P(窓から出ていくのか……)

P「あ、おい! 一つだけ言っておくけどさ!」

サイバーZ「?」

P「間違っても洗脳れて敵になったりするなよ?」

サイバーZ「俺は俺のやりたいようにやるだけだよ」

P「決め台詞のごり押しやめちくり~」

サイバーZ「またな」シュッ

P「……行ったか。じゃあ俺は……変身解除!」

シュー……

P「……うっ!」パタッ

P(身体への反動で気絶し、目が覚めたのは朝だった……)

とりあえずここまで

翌日 事務所

P「…………」カタカタ

P(サイバーP、か。夢じゃないんだよなぁ)カタカタ

P(……決め台詞)

P『最近の悪役は弱いな!! オレを見ろ!! 絶対死なないぞ!』

P「はぁー、あほくさ」

RN「何、どうしたの? ため息ついて」

P「おぉ、凛。俺さ……近いうちお前が言ってたみたいに異世界に召喚されちまうかもな」

RN「はぁ?」

P「あ、そうだ(唐突) お前今日は仕事終わったらそのまま帰るんじゃなかったか?」

RN「そう思ってたんだけど……」

P「ああ、アレが気になるのか」カタカタ

RN「うん。まあ、ね」

P「速報は……まだちょっと早いかな?」

RN「どう? 出そう?」

P「出そうと思えば(王者の風格) っと、出てる出てる。もう結果発表まで終わってたみたいだ」

RN「……それで?」

P「心配しなくても、卯月達は勝ったよ。無事本戦進出だ」

RN「そっか。って、別に心配だった訳じゃ……」

P「じゃあなんなんだよ。……810プロのユニットは3組とも本戦進出、さすがだな」

RN「いよいよ直接戦う事になるんだね。卯月や未央、他のみんなとも」

P「ああ。810プロに勝って、優勝して……また元のモバプロに帰ろう」

RN「……うん、分かってる」

ダッダッダッ、バァン!(大破)

MUR「たった大変だゾ!」

RN「なんかデジャブ……デジャブじゃない?」

P「どうしたんですか三浦さん。ずいぶん長い間出てましたけど」

MUR「とにかくこれ全部見て欲しいゾ!」ドサッ

P「ん、これは……」

RN「……! 凄いね、これ」

P「ああ、また忙しくなりそうだ」

さらに翌日

P「えー凛とまゆを除いた全員、揃ってるな」

DB「なんだ一体。わざわざ集めて」

遠野「あの、なんで凛さんとまゆさんは居ないんですか?」

P「あの二人はまあ、仕事とか色々だ。それにこの話は二人にする必要がないからな」

RIN「二人には話す必要がないって……」

木村「IUの事ではないんですか?」

P「ん、そうですね。みんなの仕事についての話しておこうと思ってな」

木村「なるほど、そうですか」

NTK「それっていうのは、さっきから社長さんがソワソワしてるのと何か関係あるのか?」

MUR「ポッチャマ……アチャモ……」

DB「フン、いつも通りにしか見えないぞ」

P「あーはいはい。その流れはもういいから」

P「それでな、お前らの仕事なんだがーー」

RIN「……もしかして私たちの仕事が全然ないから事務所が潰れちゃうってことですか!?」

P「違うだろ、いい加減にしろ!」

DB「やべぇよやべぇよ……おいどうするどうする……」

P「だから違うっつってんじゃねーかよ……黙って聞け」

RIN・DB「はい」

P「……今までお前たちは仕事があまり無かった。でもIU予選を勝ち抜いたおかげでーー」

MUR「スケジュールがパンパン過ぎてヤバいんだゾ!!!」

「ええーーっ!?」

P(あのさぁ……)

RIN「本当なんですかプロデューサー!?」

P「簡単に今後一週間分ぐらいのをまとめてみたから、これを読んでくれ」スッ

RIN「ありがとうございます! どれどれ……ってええ!? こんなに!?」

NTK「確かにこりゃ凄い量だな。テレビ番組からステージまで色々と」

TDN「プロ野球選手よりも余程忙しいですよ、これは」

DB「やべぇよ、やべぇよ……」

P「ちなみにそれはユニット単位での仕事だからな。ソロで入ってる奴はもっと忙しいぞ。例えば遠野」

遠野「え」

P「お前はユニットでの仕事は凛たちのスケジュールが合わない分少ないが、お前一人の仕事もこれくらい来てる」スッ

遠野「ええ……(困惑)」

P「あとCDデビューも決まってるから、そこの所よろしく」

遠野「やめてくださいよ本当に!」

P「おいおい、アイドルとして売れるってこういう事だぞ?」

木村「確かにそうですよね。僕たちはIUのためのレッスンばかりしてきましたが」

P「そのレッスンも、今後は今までみたいに暇さえあれば何度でもって訳にはいかないぞ」

TDN「スケジュールの合間を縫って、一回一回質の高い練習をする必要がありますね」

P「そういうこと。分かったらそのスケジュールちゃんと覚えておくんだぞ、仕事合間の移動もスムーズにしなくちゃだからな」

RIN「そっか……私たちもそういうアイドルになったんだ」

DB「……冷静に考えてみろ、俺たちは少なくとも全国のアイドルユニットトップ16ってことだぞ」プルプル

RIN「た、確かに。っていうか大坊さん震えてる!」

NTK「仕事が増えたってだけでビビり過ぎだぜ……」

DB「う、うるせえ!」

P「まあ気持ちは分かるさ、今までと勝手が違うんだから。体調管理には気をつけろよ?」

RIN「アイドルとスポーツ選手は体が第一! ですよね、多田野さん!」

TDN「ええ。ですがこれ……一番忙しくなるのはプロデューサーさんなんじゃ」

P「え、俺? いや全然!」

木村「全然なんてことは無いと思いますが……僕たちの送迎やLIVEの打ち合わせ等、仕事の量は今までと比較にならないはずです」

P「大丈夫だって安心しろよ~。モバプロに居た時だってこのくらい、いやもっと忙しかったし」

DB「ブラックな職場だな」

P「はは、それに三浦さんも居るしな。パパっと全部こなして、終わり! お前らが心配する事じゃないって」

木村「そうですか。なら、いいんですが……」

P(口ではああ言ったものの、実際仕事はかなり大変だった)

P(事務所に少しも顔を出せない日もあり、出したら出したで遅くまで事務作業等に追われた)

P(睡眠時間も減ったので、疲労も徐々に蓄積していった)

P(モバプロの時はそんなに辛くもなかったのに……)

P(ふとそう考えた時、ちひろさんが思い浮かんだ。あの人がくれるスタドリは不思議と疲れを無くしてくれる)

P(またあのスタドリが飲みてぇなぁ……)

P(そんな風にモバプロの事をときどき考えながら過ごしていたある日の事だった)

P(予想外に早く、体力の限界が来てしまった……)

とりあえずここまで

事務所

P「ぬわあああああああん疲れたもおおおおおん」ガチャ

P「三浦さん? キツかったですね今日も~」

「…………」

P「三浦さぁ~ん? もう帰ったんですか?」

P(そんな訳ないよな、電気付いてるし)スタスタ

MUR「カッチャマ……」ガクッ

P「三浦さ……三浦さん!? どうしたんですか!」

MUR「プロ、デューサー……ごめんだゾ」

P「な、なんですかそんな。寝るならちゃんと帰るかそっちのソファでお願いしますよ」

MUR「違うゾ……もう限界なんだゾ……」

P「え……?」

MUR「やってもやっても、仕事が全然片付かないんだゾ!!!」

P「そんな、社長やる時はやる男でしょ!? また知将でもMUR閣下にでもなって頑張ってくださいよ!」

MUR「無理だゾ……溜まっていく一方なんだゾ」

P「俺も手伝いますから、ってうげえっ!? どうしてこんなになるまで放っておいたんですか!?」

MUR「そんな医者みたいなこと言わないで欲しいゾ。出来ないのは出来ないんだゾ……」

P「出来ないって……今まではやってたじゃないですか」

MUR「今までは量も少なかったし、プロデューサーも居たし、木村が事務所にいれば手伝って貰えたんだゾ……」

P「アイドルに自分の仕事手伝ってもらってたのか……」

MUR「元から経理は『け』の字も分からなかったんだゾ……急に処理しなきゃいけない量が増えてもう頭が破裂しそうだゾ」

P「ん、確かに熱が出てますねこれは」ピトッ

MUR「いきなりそんな所触られたら照れちゃうゾ」

P「おデコに手を当てただけだろ、いい加減にしろ! とにかく三浦さんは今日もう休んでください」

MUR「ポッチャマ……」

P「とりあえず俺が少しでもやっておきますから。はい、帰った帰った!」

MUR「本当にごめんだゾ」ペコリ

ガチャ,バタン

P「参ったな、どうする……あっそうだ」

P(とりあえずあそこに行って、ダメならまた考えるか)

P「にしても書類やら契約やら、溜まりに溜まってるな。骨が折れる……」

翌日 イニ義事務所

イニ義「……人手が欲しい?」

P「ああ。ウチの事務所は今とんでもなく人手不足なんだ。IU予選を突破してから、アイドルたちの仕事が増えてな」

イニ義「そいつはご苦労なこった」

P「それで、とりあえず会計とか事務作業が出来る奴は絶対必要で、あと運転が出来る奴も何人か居ればーー」

イニ義「お前、俺をなんでも屋か何かだと思ってねえか?」

P「え……」

イニ義「確かに協力はするっつったが、それにしたって限度はあるぜ。組のヤツらを貸せだぁ? 冗談じゃあねえぜ」

P「う……す、すまん。ただどうしても、事務員は一人要るんだ。何とか用意できないか」

イニ義「けっ、そいつが居なけりゃ優勝出来ないか?」

P「ああ、IUに出る前に事務所が潰れちまうよ」

イニ義「……タカダ!」

タカダキミヒコ「はい、なんでしょう」

イニ義「お前、今日からしばらくこいつの仕事を手伝ってやれ。いいな?」

タカダキミヒコ「分かりました。事務をすればいいんですね?」

P「あ、ああそうだ。助かったよ、ありがとう」

P(見た目からしてこういう仕事は出来そうだし、これでなんとかなるか……)

イニ義「金だ物だはなんとでもなるが、人はそうもいかねえ。これっきりにしろよ」

P「分かった。感謝するよ」

イニ義「……そうだ。野球の嬢ちゃんは元気か?」

P「え? や球の嬢ちゃんって、姫川の事か?」

イニ義「ああ、確かそんな名前だったぜ」

P「元気かって言われても……まああいつの事だから元気なんじゃないですかねぇ」

P(四次予選の後から会ってないし、連絡先も持ってないけど……)

イニ義「そうか、そいつは良かったぜ。近々たっぷり礼をしてやろうと思ってた所だ」

P「いいっ!? な、なんだよ礼って」

イニ義「礼は礼だろ? いちいち聞くんじゃねぇよ」

P(あの馬鹿、だから止めとけって言ったのに!)

P「あ、あのぉ~、今回はちょっと勘弁してやってくれませんか?」

イニ義「あぁん?」

P「いや、まあ。あ、あいつウチの妹なんですよ! だからその、礼とか、ね」

イニ義「なんだ? お前の妹だったのか。ずいぶん似てない兄妹だな」

P「あはは、そいつはどうも……」

イニ義「チッ、なら今回だけは勘弁しといてやるか」

P「あ、ありがとうございます!」

イニ義「いいか? てめぇの妹なんだからしっかり躾とけよ。今度舐めた態度しやがったらその時ァーー」

P「は、はいっそりゃもう! キツく言っておきますから!」

イニ義「……フッ」

P(何笑ってんだよ……全く、またくだらない嘘ついちまったぜ。まあでも、今回は仕方ないよな……)

事務所

P「っていうことで三浦さんのアシストっていうか、君がやりながら三浦さんに教えるって感じで頼む」

タカダキミヒコ「ええ、いいですよ」

三浦「よろしく頼むゾ!」

P「じゃ、俺はアイドルの送迎があるので」スタスタ

タカダキミヒコ「ではまず……これから片付けましょうか」カチカチ

タカダキミヒコ「まずは私がやるのを見ていてください。その後やってもらいます」

三浦「ゾ……」

P(本当に大丈夫かな?)クルッ

剛竜馬「タアーッ!」

P「ファッ!? ウーン……って脅かすな!」

P(あれ? というかこいつ誰だっけ?)

剛竜馬「…………」

P「ああ思い出した! イニ義がよこしたトレーナーだったな!」

剛竜馬「……?」

P「うん! いつもありがとう、アイドルのパフォーマンスが成長しているのもあなたのおかげですよ!」

剛竜馬「ショア!」

P「うん忘れてない、忘れてないからな……」

P(っていうかもしかしてこの人、レッスンの時間が減ったから暇なのか?)

P(じゃあこいつに事務やらせるって手も……)

P「……ないな。じゃあそういうことで!」

剛竜馬「エイシャア……」



P(例によって戻れるのがこんな時間になってしまった)

P(特に連絡はなかったけど三浦さん、大丈夫だろうか)ガチャ

P「ただいま戻りましたー」

三浦「プロデューサー!!!」ダッダッダッ

P「人の目の前に走ってくるのやめません?」

三浦「あ、ゴメンだゾ」

P「それでどうしたんですか?」

三浦「溜まってた仕事全部終わったゾ」

P「へ?」

タカダキミヒコ「全て終わらせておきましたよ。もちろん、貴方に確認してもらった方がいい物は残してありますが」

P「マジ? あ、あの量を、たったの半日で終わらせちまったのか!?」

タカダキミヒコ「やっ、私一人じゃありませんよ。この人の覚えが早かったので」

三浦「それほどでもあるけどな~俺もな~」

P「やっぱりやれば出来るじゃないか(呆れ)」

タカダキミヒコ「では。明日からはもういいですよね?」

P「あ、いっすよ(快諾)。三浦さんもいいですよね?」

三浦「出来るなら一緒に仕事して欲しいゾ……」

P「あーもうそういう事言うんじゃありません。明日からは一人で、ハイ!」

三浦「ブラックだゾ……」

タカダキミヒコ「それなら広告を出して社員を雇ったらどうでしょうか?」

P「そうだよ(便乗) 今なら多少のお金は払えるでしょうし」

三浦「無いゾ」

P「え?」

三浦「ここのテナント料、レンタルだった設備を買い直したお金、その他諸々で余裕は無ゾ」

P「えぇ……(困惑)」

三浦「特にテナント料は借りてからずっと滞納してたからあと1ヶ月払うのが遅れてたら強制退去だったゾ」

P(まず、そんなに金がない状態でどうやって事務所を立ち上げたんだ……)

タカダキミヒコ「ではこちらの方で融資しましょうか。利子、軽くしておきますよ」

P「やめてくれよ(絶望)」

タカダキミヒコ「そうですか」

三浦「とにかく社員はまだ増やせないゾ……」

P「まぁ結局、俺と社長の二人でやるしかないって事ですよ。IUが終わるまで何とか頑張りましょう!」

三浦「あっそうだ(唐突) IUと聞いて思い出したゾ」

P「なんすかそれ」

タカダキミヒコ「あ、帰っていいですか?」

P「ご自由にどうぞ。イニ義にもよろしく言っておいてください」

タカダキミヒコ「はい。ではまた」スタスタ

ガチャ、バタン

三浦「……何の話してたっけ?(池沼)」

P「IUですよ! IU!」

三浦「そうだそうだ。IUの公式ホームページが更新されてたゾ~」

P「ホームページが……って事はアレですか」

三浦「『優勝ユニット予想アンケート』結果が出てたゾ! ……怖くてまだ見れてないけど」

とりあえずここまで

翌日

DB「それをわざわざ俺たちに見せようっていうのか?」

木村「元々のファン数が多いユニットが有利なのは明らかですが……」

P「まあまあそう言うなよ。見てもらうのは紹介PVだから」

DB「四時予選の時のか?」

P「いや、それじゃなくてこの間受けたインタビューな。それを16組分まとめた物が公開されたんだ」

木村「なるほど。それなら何かの役に立つかもしれませんね」

P「ちなみに、流れる順番が件の優勝予想で順番が低かったユニットからになってる」

DB「つまり最初に流れたら一番優勝は無いと見られてる訳か。フン」

三浦「俺もプロデューサーもまだ見てないからハラハラドキドキだゾ~」

遠野「あ、あの……」

P「ん? どうした?」

遠野「ナオキさんに大坊さん、お仕事とか無いんですか……?」

DB「お前だって四六時中仕事があるわけじゃないだろうが」

遠野「いやでも、それならユニットの方々は……」

DB「……チッ、多田野はソロで仕事があるんだ!」

木村「僕も今はフリーです。李衣菜さんと夏樹さんは元々二人でユニットを組んでいたので、そっちの仕事をやってます」

遠野「なるほど、僕も同じです。ユニットであふれた物同士ですね、この三人」

DB「嫌な言い方をするな! ……それに羽田野も居る」

HTN「うまいぞハブり(嫌味)」

遠野「あっごめんなさい……」

P「本当は全員で見てもらうのがいいんだが、そうもいかないからな。今日この時間お前らがフリーで丁度良かったよ」

三浦「パソコンの画面テレビに出力したゾ~」

P「よし。はい、よーいスタート(棒読み)」

プツッ、プツッ……(ノイズ)

『14プロ 「DanGet」』

遠野「あ、いきなり始まるんですね」

三浦「とりあえずここの誰かじゃなくて安心したゾ」

キー……(環境音)

P(これマジ? 大会の規模に比べて撮影環境がショボすぎるだろ……)


POPO『イクよ(KYNを見つめて物凄い笑顔)』

KYN『(無表情)』

『えー予選通過おめでとうございます。まずは今の気持ちをーー』


P「あれっ、この無表情な奴って確か前にLIVEバトルしたあいつだよな?」

DB「……ああ。清野はあれから日本ペイントを止めて移籍したんだ」

P「マジすか(棒読み)」

P(まあこれといって特徴あるユニットでもないし、優勝予選でも最下位だし、警戒する必要は無いな)

『……ありがとうございました! 本選も頑張ってください!』

プツッ(ノイズ)

『ファンの声』

『正直POPOは神だと思っている』『ここすき』『ハーイッタ!』


P「ここいる?」

P(その後何組か紹介されていき……)

プツッ(ノイズ)

『364プロ 「元祖・羞恥心」』

三浦「えーっと、えっと、今何組目だっけ?」

木村「6組目ですね。優勝予選では11位という事になります」

DB「思ったほど悪くなかったが、お前らより下か。やべぇよやべぇよ……」

P「困ったらとりあえずヤバいって言うのやめろ」

三浦「インタビューは例によって高校野球の球児っぽいゾ」

木村「さしずめ甲子園ですか」

DB「茶化すな。俺たちはこういうスタイルなんだ」

P(最初は否定的だったのにノってきたな)

『ファンの声』

『多田野数人さんがホモビデオに出てたって本当ですか?』

P「あのさぁ……」

三浦「たった一度の過ちって本人も認めてるゾ」

DB「一度と言いつつ二本出てるがな」

P「お前もな!」

プツッ(ノイズ)

『810プロ 「LOVE LAIGUE!!」』

三浦「810プロが出てきたゾ!」

遠野「あれ? 僕たちより先に……」

木村「予想外に早いですね」

DB「……なんて読むんだ?」

P(このユニット名……まさか、まさかそんな事ないと思いたいが……)


『予想通過おめでとうございます!』

AN(アナスタシア)『アー、ありがとうございます』

MNM『皆さんの応援のおかげです!』


P「やっぱりラブライカじゃないか(呆れ) なんでこんなユニット名にしちゃったんですかねぇ」

『今回、新庄さんも加えた三人ユニットになったということでユニット名を変更されましたが』

MNM『はい。読めますか? ラブライグッ! !っていうんですけど』

AN「確か……シンジが考えたんでしたね?」

SNJ「」ニタァ


P「よし。事務所を取り戻したらまずこいつからフィストファックしてアナルを壊すか」

三浦「アナルスタシア?(難聴)」

P「かなり挑戦的じゃないそれぇ~? いくら三浦さんでも怒りますよ?」

三浦「ごめんごめん、ごめんだゾ」

『ファンの声』

『新庄剛選手に似てる』『ラブライカにもどして』

P「ファンにまで突っ込まれてるじゃないか(呆れ)」

プツッ(ノイズ)

『364プロ 「ロック・ザ・ビースト」』

三浦「おっ、810プロより一個上だゾ!」

木村「この順番は実力順というわけじゃないですから」

P「でも内心嬉しいだろ?」

木村「いや、まあそれは少しだけ……」

P「やっぱりな♂」

DB「それより映像と現実のギャップに突っ込んでいいか?」

木村『お前ら、決勝トーナメントでも俺たちのロックなパフォーマンスを見やがれ!』

木村「やめてくれよ(絶望)」

P「二重人格みたいなものなのか?」

木村「素の自分、いや、内なる声なんでしょうか……」

三浦「どっちでもあるんだと思うゾ」

P(前に未央が言ってたけど確かに輝子っぽいな……)

『ファンの声』

『かわいいな李衣菜ちゃん』『ナオキくんかっこいい!」

P「三浦くんやっとまともなコメントが出てきたぞ」

三浦「三浦くん?」

プツッ(ノイズ)

『328プロ 「チェリークローバー」』

P(ミツバプロ。どっかで聞いたぞどっかで……)


CER・中野くん『……』


P「ああっ、ちち智絵里!?」

三浦「なんか懐かしいゾ~」

P「そうか、予選を通過してたのか……」

DB「誰だよ」

木村「カーリーの話を覚えてますか? その人の担当アイドルですよ」

DB「俺や多田野はその件に全く関わらなかったからな。分からん」

P「俺も最後に会ったのもう大分前だからな……元気でやってるかな」

三浦「今目の前で元気に喋ってるゾ」

CER『ほ、本選でも頑張りますっ!』

P「あ、そっかぁ(池沼)」

P(カーリーの実力は小細工無しでも相当な物みたいだな。まさか多田野や木村たちより上とは)

P(全体で見ると8位とはいえ、これは要注意だな)

とりあえずここまで

今更だがPが三浦さんって呼ぶと別の人連想するからMUR表記にして欲しいです(難癖)

>>386
おう考えてやるよ(変えるとは言ってない)
ただ台詞の名前は分かりにくい上淫夢っぽくないので
三浦→MUR 木村→KMRにします……(今更)

プツッ

『810プロ 「スマブラ」』

MUR「また810プロだゾ」

P(これがみりあのユニットか? にしてもなんだよスマブラって……)


『予選通過おめでとうございます!』

ホリ・トオル(以下、ホリ)「本選進出ですよ本選進出!」

MRA「やったー!」

『今喜ぶんですか(半笑い)』


P「また天海春香パクってるよ……」

DB「にしても、大の男二人に幼女一人とはアンバランスなユニットだな」

P「幼女とかいやらしい言い方するな!」

DB「うおっ、お、おう。すまん」


『目標はもちろん、優勝ですよね?』

ホリ「え、そんなん関係ないっしょ(論破)」

MRA「みりあはみんな楽しければ何でもいいかなー」

『では最後に一言』

ホリ「流行らせコラ!」


『ファンの声』

『一人暮らしなんですか?』『彼女とか、いらっしゃらないんですか?』


P「誰に聞いてんだよ」

P(その次は関西チャラ男たちが紹介された)

プツッ(ノイズ)

『「人の頂」』

P「ひ、人の頂!」

遠野「知ってるんですか?」

P「知ってるも何も……まあ遠野の世代じゃないか」

三浦「伝説の四人組アイドルグループだゾ~、もう解散してるけど」

木村「確か、このIUのために再結成したんでしたね。再結成は頻繁にやってるみたいですけど」

P(そういやこいつらは四人組なんだよな、IUのユニットは三人までなんだが……)


AZにゃん『はいはいどもども~みんなのAZにゃんだよ』

無らい『コラコラ、あなた一人の紹介じゃないんですから』

K2『へっへっへ(愛想笑い)』

クールポコ(BROS.)『俺たちは……「人の頂」者(モン)ですね」

AZにゃん『あ、そうだ(唐突)』

AZにゃん『もしかしたら今、なんで四人? って思った子も居るかもしれないけど』

AZにゃん『僕たちは四人のグループだから、特別に四人で出させてもらってるんだ』


P「大胆なルール無視はベテランの絶対特権」

三浦「別に無視してる訳じゃないと思うゾ」

無らい『無駄話はこれくらいにして本題に入ろうか』

AZにゃん『ん~ああそうだね。意気込み? みたいな事言えばいいんでしょ?』


P(そういやインタビュアーも居ないし自分たちで好き勝手喋ってるのか、本当自分だな)


K2『まぁ騒がれてますけどあんまり実力が高イィ^~、方ではないですけどね』

AZにゃん『これは今の子のための大会だし、僕たちは所詮昔のアイドルだからね~。最初に解散したのいつだっけ?』

クールポコ『95年の、3月21日からです』

無らい『そんなに前だったか』

AZにゃん『そうかぁ。まあでも、出るからには負けるつもりはないけどね』

『…………』

AZにゃん『なんか喋る事無くなっちゃったね。一人一言ずつ言って終わろうか』

>>391
P(そういやインタビュアーも居ないし自分たちで好き勝手喋ってるのか、本当自分だな)

×本当自分だな ○本当自由だな

無らい『では私から。えー、六尺が機能的であり非常に美しいものだということを分かっていただくように、頑張りますので。皆さんも気楽な気持ちで私達のライブを見に来てください!』

K2『まあうちの店だと、まあ、やっなりたい方にぃ、やっ、なってもらってますけどね』

クールポコ『次は俺かな? んー若い人で、六尺好きなんだけどキッカケがない! っていう人がいたら、えーLIVEに来て、是非、ふんどし、六尺ふんどしを経験してほしいですね』

AZにゃん『じゃ、最後』

AZにゃん『六尺サポーターになってH、しよう!(直球)』

プツッ

DB「……フンドシをつけてるただのおっさんじゃないのか?」

P「異常性癖の変態っていうのは合ってるかな」

DB「そんな事は言ってない。ただ伝説という割には優勝予想も四位、あっけないじゃないか」

木村「AZにゃんも言ってましたけど、人の頂は昔のグループですから。彼らのファン層は、こういう予想投票にあまり興味が無いのでしょう」

HTN「うまいぞ分析(空気)」

プツッ(ノイズ)

『364プロ 「ミッドサマーナイツ・ルードドリーム」』

MUR「あっ、凛ちゃんたちが来たぞ! でも一位じゃない……」

P「まあ、それは仕方ないですよ」

P(にしてもこのユニット名、ちょっと長すぎたかなぁ……)

とりあえずここまで

話が進まなさ過ぎなんだよね、それ一番言われてるから
すいません許してください! 完結はさせますから!

遠野「は、恥ずかしいです。見ないでください!」

P「今更何言ってるんですかねぇ」

遠野「だ、だって……」

『……凛ちゃんやまゆちゃんの人気もさることながら、今巷では遠野さんの人気が急上昇して居ますが?』

遠野『ええっ!? ぼ、僕ですか?』

『特にその歌声。癒される、美しいなどともっぱら評価ですよ』

遠野『そ、そうなんですか』

MY『良かったですね、遠野ちゃん』

『その歌声、少し疲労して頂けますか?』


遠野「あーもうこの先はやめてください! ちょっと本当に!」ブンブン

MUR「見えないゾ!」

DB「なんなんだ一体」


遠野『~♪』

『あ~いいっすねぇ。一体どうやってそんな声を?』

遠野『せんぱ……あっ』

『先輩?』

遠野『あ、いや、この二人に教えてもらって……』

RN「え?」

『なるほど。二人の大先輩に』

遠野「ここでつい、先輩の事を言いかけてしまって」

DB「それのどこが恥ずかしいんだ?」

遠野「み、ミスじゃないですか! ミスは恥ずかしいですよ」

P「ミスもなにも、別に田所の名前出したって良かったのに」

遠野「だってアイドルですよ? 恋愛とかダメじゃないんですか?」

P「え?」

遠野「え?」

DB「……次のユニットが出るぞ」

P「あ、おう」

プツッ(ノイズ)

『810プロ 「SCOOOP!」』

P(これが卯月と未央のユニットか)

[ピーーー]「…………」

P「誰だこいつ!?」

P「卯月と未央を差し置いて、なんでこんなハゲ坊主がセンターなんだよ!?」

P(ん……ハゲ坊主?)

DB「真ん中はお前が知ってるアイドルじゃないのか」

P「ああ。そのはず、なんだが……」

三浦「なんかどこかで見たことある顔だゾ」

木村「そうですね……どこで見たんでしょうか」

遠野「あ、な、なんで……」

P「遠野?」


『今回、ニュージェネレーションズのお二人にリーダーの彼が入って新ユニットとなった訳ですが』

[ピーーー]「…………」ポポポ

『あ、あの……』

UDK「ああっごめんなさい! 先輩はちょっとシャイなので!」

『先輩? お二人の方が先輩なのでは?』

MO『アイドルとしてはそうだけど、それ以前に先輩は人生の大先輩だから! だね?』

UDK『はいっ!』

MO『まあ私は、たどちゃん、って呼んでるけどね』


遠野「なんで……なんで先輩がここに!?」

P「何だって、今こいつの事誰だって言った!?」

遠野「だからっ、先輩なんです! 田所先輩!」

P「うせやろ?」


野獣「ダルビッシュ……」

三浦「た、確かに言われてみれば鈴木っぽいゾ」

DB「鈴木? 田所? 誰なんだそいつは?」

P「うっそだろお前……どうしてアイドルに……」

遠野「そんなの、僕が知りたいですよ!」

木村「先輩にしては顔が少し違うような……ゴーグルのような物をつけていますし、判断出来ませんよ」

遠野「いえ、あれは間違いなく先輩です。僕には分かるんです」

P「遠野が言うと説得力あるな……たどちゃんっていうのも田所からもじったあだ名みたいだし」

DB「おい、だから誰なんだと聞いている!」

P「後で教えるからちょっと黙ってろ!」

DB「…………」

P(クソ、何考えてんだよちひろさん!? こんな人間の屑の汚物をアイドルにして凛代わりにNGの二人と組ませるなんて!)

『えー、ではこれを見てる方々に一言ずつ、どうぞ!』

UDK『トーナメントでも頑張ります!』

MO『私達の活躍にこうご期待~!』

野獣『戊辰戦争……』ポポポ

『ファンの声』

『このユニットが優勝する、はっきりわかんだね』『センターがきたない、くさい』


P「ああっ終わっちまった! 社長、戻してくれますか?」

三浦「分かったゾ~」カチカチ

P「にしても、遠野が言うんだからありゃ田所なんだろうが、様子がおかしいな」

木村「ええ。島村さんはシャイだと言ってましたが、先輩は全然そんなことありません」

P「まともに話してないしシャイっていう次元じゃないんだよなぁ」

遠野「それにどうして、アイドルに……先輩は810プロの社長になったはずじゃあ?」

P「俺もずっと、そう聞いていたんだが……」

DB「フン、話は知らんが社長とアイドルの二本柱ってことじゃないのか?」

木村「そんな馬鹿な」

P「……いや、そういうアイドルは実際居るよ。俺の知り合いにな。だからアレが社長兼アイドルっていうなら理屈は通るさ」

P「でもそうは思えない。あいつがアイドルをやる理由なんてどこにも無いんだよ」

DB「だったら一体なんだって言うんだ?」

P「俺が知るかよ。それより社長、まだ時間かかりそうですかねぇ~?」

三浦「それが操作を受け付けないんだゾ……」

P「は?」


『GO is GOD GO is GOD GO isGOD……』

短いですがここまで

つい癖でMURやKMRじゃなく漢字表記で書いちゃってました(池沼)
次からちゃんとするので勘弁してください、オナシャス!

馬鹿野郎お前俺は完結させるぞお前
(それがいつになるかはまだ分から)ないです


P「つ、次のユニットなのか?」

『GO is GOD GO is GOD』

MUR「な、何か変だゾ」

KMR「さっきからずっと同じ言葉を繰り返してますね」

DB「ゴー、イズゴッド……まさか!」

P「……そうみたいだな」

P(なるほど、あのユニットなら一位でも納得というか、当然というか)

『50プロ 「神×聖」』

DB「やべぇよやべぇよ……」

遠野「ゴッド・セイント? 凄い名前ですね」

KMR「ご存知無いんですか?」

遠野「はい。有名、なんですよね。すいません」

P「顔見て分からなかったら相当だぞ……特にGOはテレビに出ない日はない」

GO『どーもこんちわっす』

SIY『どうも』

遠野「あ、確かに。見たことあります。でもこの人、アイドルって印象が……」

P「GO。本名非公開。自らが所属する50プロダクションの代表であり看板アイドル」

P「それでいてギタリスト、俳優、映画監督等々様々な側面があるんだ。天才っていう言葉がよく似合う奴だよ」

KMR「彼はそのカリスマ性から自称他称問わず『神』とされていて、彼のファンは『信者』とも言われています」

P「『信者』の行動力は異常だからな……GOが絡んだ投票なんかは始めから出来レースになっちまう」

遠野「そ、そんなに凄い人だったんですね」

P「隣に居る聖也も、その整った顔で女性人気が凄いからな」

KMR「わずか三十分のサイン会に五万人のファンが集まったのは伝説として語られてますね」

MUR「でもKMRの方がカッコいいゾ~」

KMR「いやそんなこと……」

P「もちろんアイドルとしての技術力もトップクラス、というよりトップと言って差し支えないだろうな」

遠野「つ、つまりそれって」

DB「最強って事だ! 勝てる訳がない……」

P「…………」

P(正直、GOと張り合えるアイドルといったら日高舞ぐらいなんじゃないかと俺も思っている)

P(ただこれは一対一の勝負じゃない。もし対戦するとしたら、そこに何か勝機がある……はず。多分)

『ファンの声』

『GO is GOD.』『正直GOは神だと思っている』『聖也はGOを守護する大天使』

MUR「……あ、パソコンが元に戻ったみたいだぞ」カチカチ

DB「GOのPVが終わった途端か。まったく、本当に神なんじゃないか?」

P「笑えないよ!」

>>393で「人の頂」が優勝予想4位と書きました
そうなると関西チャラ男たちは6位(>>390)なので間の5位が抜けている事になりますねクォレハ……
>>345でユニット名が出てる「巨根肉弾戦」が5位ということで補完してください、オナシャス、センセンシャル!

クッソ単純な数え間違え恥ずかしくないの?(自己嫌悪)

P「じゃあとりあえず、SCOOPの部分をもう一回お願い出来ますか?」

MUR「分かったゾ~」カチカチ

遠野「先輩……」

P「あっ!」

KMR「おっ、どうしました?」

P「ヤバい、そろそろ仕事の打ち合わせがあったんだった!」

MUR「じゃあとりあえず映像は俺がじっくり見ておくゾ~」

P「お願いします。遠野、ついでにお前も次の現場に送ってくから一緒に来てくれ」

遠野「分かりました」

P「じゃ、そういうことで!」

タッタッタッ,バタン!

DB「慌ただしいヤツだ」

KMR「ええ。無理をしてないといいのですが」

MUR「プロデューサーだから大丈夫だゾ」

DB「……意味が分からん」

ーーーー
ブーン……

P(何故田所はアイドルに? ちひろさんの仕業なのか、あのプロデューサーの方なのか……)

P(まあもしかしたら偽物かも分からないが、本物の田所だとして、キャラもおかしい。顔をゴーグルみたいなので隠しているのは身分を隠すためか?)

P(もしかして今流行りのVR、もしくは洗脳ヘッドセット……ポポポポ)

P(うーん気になるが、どうやって調べればいい……また810プロに行くか? いやそれは直球過ぎるな)

遠野「あの、プロデューサーさん。そういえば打ち合わせって何の打ち合わせですか?」

P「ん、なんだよ突然」

遠野「世間話でもしようと。プロデューサーさんのお仕事の話はアイドル活動に役立そうですし」

P「そうか。今から行くのはクイズ……クイズ! あっこれか!」

遠野「?」

P「遠野、お前クイズ番組に出ろ! 詳しい事は後から話す!」

遠野「えっ……えっ?」

P(卯月たちと鉢合わせたくないし断ろうと思ってたけどこのチャンス、逃してたまるか)

しばらくの後

P「三人ともお疲れ様」

MY「プロデューサーさんも、お仕事お疲れさまです♪」

P「それで早速だが、次の仕事の話だ」

遠野「あ、それってさっきいってたクイズ番組ですか?」

P「そうだ。聞いて驚くなよ~、なんとあの『クイズ・入らないみたい!』からオファーがあったんだぞ!」

遠野・MY「……?」

RN「……ああ、たまにだけど見てるかも」

P「なんでそんなに反応が薄いんだ? この時代にクイズ番組で毎週視聴率15%越えの超人気番組だぞ! 現場監督が司会なんだぞ!?」

RN「そんなこと言われても……まあ、あれ面白いけど」

遠野「僕はあまりテレビを見ないので。っていうか監督が司会?」

MY「まゆの部屋はまず、テレビがないです……」

P「だーっ!? 前部屋借りた時に言ってくれれば買ったのに! 後遠野は少しぐらいテレビ見ろ! 芸能人を知れ!」

遠野「す、すいません」

MY「別にいいですよぉ。悪いですから」

P(普段グイグイ来るのにこういう時に一歩引くのは何故?)

P「まあ、いい。ここからは真面目な話。この番組には810プロも出演する」

RN「! それって……」

P「まだ誰が出るかは仮決定なんだが、卯月とホリ・トオル。それに田所が予定されれいる」

RN「た、田所ってあのハゲ坊主?」

遠野「はい?」

RN「あ……ごめん」

P「あぁ、この話はまだしてなかったか。田所は今、アイドルになって卯月達と組んでるんだ」

RN「え、嘘でしょ?」

P「こんなつまらない嘘はホモでもつかないんだよなぁ……」

遠野「いえ。もしかしたら、もしかしたら僕の勘違いかもしれないですから」

P「だからこそ、この番組で共演した時にそれを確かめて欲しいんだよ」

RN「なるほどね……田所が本物かどうか」

P「本物なら、なんでアイドルをやっているか、もな。本番前の楽屋とかでさ」

RN「分かったよ。そのクイズ番組にはこの三人で出るの?」

P「あ、いや。それなんだけど……今回は凛、遠野、李衣菜、羽田野の四人で出る事になったから、ここまで話しておいて悪いんだがまゆはお留守番だ」

MY「そうですか。残念ですけど、仕方ないですね」

P「ごめんな、テレビ買ってあげるから。4K」

MY「だからそれはいいですってば(半ギレ)」

――――
P(しかし本番前にでも楽屋に行って探ってみてくれとは言ったものの……)

P(凛は気まずいだろうし、遠野は田所を前に正気を保っていられるかどうか。羽田野は空気で李衣菜は……まあ、普通だな!)

P(かといって、俺が会うのも……どんな顔すりゃいいのか分かんねえな)

P(……アイドルを信頼してない訳じゃないが、一応別の策を用意しておいた方がいいな)

P(そうだなぁ、ようはあの田所(カリ)に接触出来れば言い訳だから……あっそうだ)

P(しょうもない手だけど、一つ頼んでみるか)

翌日 テレビ局

「俺も番組に出させろォ?」

P「オナシャス!」

「打ち合わせでもないのにわざわざ来るから何かと思ったら……はぁ、あほくさ」

P「そこを何とか、ね? なんとか」

「馬鹿言ってるんじゃないよ。お前がどうやって出るんだよ」

P「着ぐるみですよ。その中に俺が入ってぇ、番組のマスコット兼アシスタントォ……って感じ」

「は?(困惑)」

P「ウチのアイドルを勝たせようとかそんなんじゃないですよ。ただまあね、俺も憧れの番組に出たいなーなんて」

「馬鹿にしてんのか?」

P「お願いします!」

「いや、無理」

P「すいません出させてください! なんでもしますから!」

「ん?」

P(よし、釣れた!)

「じゃあお前、俺のしゃぶれよ」

P「えっそれは……」

「出来ないよね? はいこの話は終わり! 閉廷!」

P(くっ、さすがに無理が過ぎたか?)

現場監督「なに? どしたの?」

「監督ぅ~、ああいや、なんでもないっす」

P「現場監督!いや、現ちゃん!」

「君~ちょっと馴れ馴れしいんとちゃう?」

現場監督「いいよいいよ。それで何の話してたの?」

P「んまぁそう、かくかくしかじかで……」

現場監督「すごくいやらしい案だよ!」

「ですよねぇ? 図々し過ぎるって、それ一番――」

現場監督「いやいや採用、君その案採用だよ」

「えぇ……(困惑)」

P「ありがとナス! さすが現ちゃん!」

現場監督「すごいなぁ(自画自賛)」

「監督~冗談キツイっすよ~」

現場監督「本気だよ」

「マジすか(棒読み)」

現場監督「ただ着ぐるみは自分で用意してね? こっちにそういうの無いから」

P「こういうので、どうですか?」スッ

「画像……ってこれぴにゃ何とかじゃないっすか! あーもうちょっと勘弁してくださいよぉ!」

現場監督「(マスコットが可愛くて)女の子になりそうよ!」

P(噂には聞いてたが、オネエなのか?)

P「気に入っていただけましたか! ありがとうございます!」

現場監督「面白い番組を作るにはチャレンジ精神が大事だからね。どんな無茶苦茶案でも入っちゃうよ」

P「クイズは入らないみたいなのに?」

現場監督「あ~その洒落いいわいいわ。面白くなりそうよ」

P「じゃあそういう事で、オナシャス! それともう一ついいですか?」

現場監督「?」

P「810プロから出演するアイドル、決定しましたか?」

現場監督「ん~、昨日の今日だったけど、大体予定通りになりそうよ」

P「大体……と言いますと」

現場監督「一人追加で入っちゃう! ハイチュウ!」

P「と、なると元の三人に変更は無し。分かりました」

現場監督「じゃあ君、次の打ち合わせで流れ教えるからしっかり覚えてね?」

P「それはもう。ではまたその機会に」

P(よし、良い具合に事が進んできてるぞ)

P(出来たら田所の事は本番前に済ませて、収録は思いっきり楽しみてぇなぁ……)

P(と、そんな軽い調子でその後数回打ち合わせを行い、いよいよ収録当日を向かえた!)

とりあえずここまで

テレビ局

RIN「やって来ましたテレビ局!」

遠野「李衣菜さん、テンション高いですね」

RIN「だってあの『クイズ入らないみたい!』だよ!? 私が実際に出るなんて考えた事も無かったよ」

P「見ろ、これが本来の反応だ」

RN「単にプロデューサーと李衣菜がこの番組のファンなだけじゃあ……」

P「は? ままええわ。今日はもう一つ目的があるのも忘れちゃいけないぞ」

RN「うん、それは分かってる」

RIN「田所っていう人に会ってそれとなーく話を聞けばいいんでしたっけ?」

P「ん、そうですね」

遠野「じゃ、じゃあ僕が! 僕がやります! 楽屋に行けばいいんですよね?」


P「いいや。もう先に一人向かっているから必要無い」

遠野「え……?」

P「気づかないか? いつものようにまた……」

RIN「羽田野さん!? そういえば居ない!」

P「羽田野には前もって810プロの楽屋で待機してもらっている」

RN「え、何それは」

P「羽田野の存在感の無さを利用すれば、気付かれないままあいつらの楽屋に居る事は可能だ」

P「後はやわらかスマホのビデオ通話機能使って810プロの楽屋内を映し、俺たちは自分の楽屋で田所の様子を探るって寸法だ」

RN「もしかしてギャグか冗談で言ってる?」

P「マジだって!羽田野の空気ぶりは李衣菜見れば分かるだろ?」

RIN「なんで私!?」

P「まあまあ、とにかく楽屋に入って羽田野に電話すればミッションコンプリートだから。見てなって」

RN「ふーん……」

P「っと、ここか。入ってますか~? トントン、なんて」

ガチャ

HTN「」

P「うぎゃあああっ!?」

P「おおっ、お、お前! 810プロの楽屋に言ってたんじゃなかったのか!」

RN「ちょっと、そんな大声出さないでよ。中に入って話そう」

P「あ、ああ。そうだな」

RIN「っていうかビビり過ぎじゃ……」

バタン!

RIN「わっ!」ビクッ

P「李衣菜の方こそビビり過ぎなんじゃねえの?」

RIN「ぐ……意地悪!」

P「フッ(嘲笑) んでおい、羽田野! 作戦はどうした作戦は!」

HTN「バレた」

P「え?」

HTN「待機していたんだが……」

ーーーー
810プロ楽屋

HTN(空気)

ガチャ

HTN「!」

スタスタ……

UDK「ふうっ、しばらく待ち時間ですね」

ホリ・トオル「プロデューサーは?」

UDK「他に用事があるって言ってましたけど……先輩は知ってますか?」

野獣「……」

UDK「先輩?」

野獣「TARGET CAPTURED……」ポポポポ

HTN「!?」

UDK「えっ? 向こうに何か……っ!? だ、誰ですか!?」

HTN「ウィヒ!?」

ホリ・トオル「不法侵入ですよ不法侵入!」

HTN「あっ、あっ……」

ーーーー

P「それでとりあえず名乗って、共演の挨拶に来たということにして逃げて来たって訳か」

HTN「うまいぞまとめ(空気)」

P「田所のゴーグルが反応して見つかるまでは大丈夫だったんだな?」

HTN「」コク

RIN「それ普通に凄いですね」

P「やっぱりあのゴーグルに何かあるんだな。もしかしたら田所がアイドルをしている理由もそこに?」

RN「……でも、これでちょっと面倒なことになったね。次、私たちの誰かが行った時も警戒されるかも」

P「そうだな……この際ここは遠野に田所が本当に本物なのかだけ確かめてもらればいいか」

RN「それだけならわざわざ楽屋に行かなくても、収録中に確かめられるよ」

遠野「確かに……」

RIN「ふっふっふ、じゃあここはこの李衣菜に任せてください!」

P「おいおい。遊びじゃないんだぞ?」

RN「……李衣菜、セリフが小物っぽい」クスクス

RIN「笑わないでよー! それにちゃんと考えがあるもん。とにかく、行ってきますから!」

ガチャ、バタン

P「行っちゃったよ……」

とりあえずここまで

ーーーー
RIN「えーっと、そういえば場所分かんないや……」スタスタ

RIN(こっちかな?)キョロキョロ

RIN「……無い」

RIN(おかしいな、来る時に見落としてた?)クルッ

タッタッタ……

RIN(う~どこだ~!?)キョロキョロ

RIN「あっ! 戻って聞けば早いじゃん!」ピタッ

??「えっ? っひゃっ!」ドサッ

RIN「あっ、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」

??「痛てて……あ、いえいえ、ボクも少し不注意でした。では」

RIN「で、ではでは。ってここ!」

??「えっ?」

RIN(私たちの楽屋からすぐそこだ……灯台下暗しだったよ)スッ

??「ちょちょちょ、ちょっと待ってください! あなた誰ですか!?」

RIN「へ?」

SCKと輿水幸子はおそらく別人です。

SCK「ここはボクの楽屋ですよ? 間違えてるんじゃないですか?」

RIN「え、でもここは810プロの楽屋……」

SCK「だから! ボクは810プロのアイドルなんです」

RIN「あ、ごめんなさい。でも私、間違えた訳じゃなくてちょっと挨拶に来たんです」

SCK「そうなんですか。ボクは輿水幸子、世界一カワイイアイドルだと覚えてくれれば結構ですよ?」

RIN「そう……(無関心) 私は多田李衣菜。それじゃあ失礼しまーす」トントン

SCK「反応が薄いですね……というより、普通ボクを先に入れません!?」

ガチャ

UDK「幸子ちゃん? ちょっと騒がしかったですけど何か……え?」

RIN「どうも! 多田李衣菜です、共演の挨拶をしに来ました!」ペコッ

UDK「あ、こちらこそ。今日はよろしくお願いしますね!」ニコッ

RIN(おぉ、これが噂で聞いた卯月ちゃんの笑顔……ってそれより)チラッ

ホリ・トオル「どうも」

野獣「……」

RIN(あれはホリトオルさん。こっちが例の田所さん)

SCK「ボクも居ますからね!」

RIN「っえ!?」

RIN(く、口に出してた……!?)

UDK「分かってますよ~。幸子ちゃんも、今日はよろしくお願いします!」

SCK「フフーン! クイズはボクにお任せです!」

RIN(あぁ、そういうこと……ビックリしたぁ)

RIN「さ、さぁ~て。リハーサルまでしばらく時間もあるし、雑談でもしない?」

ホリ・トオル「なんだお前(素)」

UDK「いいですね! 何のお話しましょう?」

RIN「うーん……何の話にします? 田所さん?」チラッ

UDK「えっ!?」

野獣「……?」ポ

RIN「私、田所さんの話聞きたいなぁ。ほら! 普段あまり話さないじゃないですか!」

野獣「…………」

RIN「だ、ダメかな?」

SCK「……誰ですか? 田所さんって」

RIN「えっ?」

UDK「李衣菜ちゃん、どうしてそれを……先輩の本名は私と未央ちゃんしか教えてもらってないのに」

ホリ・トオル「野獣の本名だったのか」

RIN「や、野獣!? うっそぉ……」

UDK「李衣菜ちゃん、それを一体どこで……?」

RIN「いや、えーっと、わ、私のプロデューサーが言ってたような、言ってなかった、ような」

UDK「……李衣菜ちゃんのプロデューサーってもしかして、モバPさんですか?」

RIN「え、うん。そうだけど」

UDK「! やっぱり……やっぱりそうなんだ……!」

RIN「も、もしかしてそれ、知らなかった?」

UDK「はいっ。はっきりとは知りませんでした。でもこれでやっと、すっきりしました!」

RIN「あー……これもうわかんないなー……」

UDK「李衣菜ちゃん?」

RIN「あっそうだ(唐突) ちょっと用事思い出したらからもう行くね! それじゃ!」

UDK「え? あ、はい。また……」

タタタッ、ガチャバタン!

SCK「せっかちな人ですねぇ」

UDK「……あのっ、みなさん今のは秘密にしてくださいね。先輩は本名非公開ですから」

SCK「ご心配なく。ボクはカワイイだけでなく口も固いですから!」

ホリ・トオル「うざってぇ」

SCK「んなっ!? うざったいって言いました!?」

UDK「お、おおお落ち着いてくださいー!」

短いですがここまで

364プロ楽屋

RIN「と、いう事なんですけど……」

RN「……」

遠野「……」

RIN「もしかしなくても私、やらかしちゃいましたよね……」

P「……いや、そうでもないぞ。卯月は俺が364に居る事なんて半ば知ってただろうしな」

RIN「え、そうなんですか?」

P「前にほんの少しだけ話した事があるんだ。それにさ、凛とまゆが移籍した理由と場所を考えれば、俺が今どこに居るかなんてすぐにわかるだろ?」

RIN「確かに……そうかもしれないですね」

P「だから卯月は確証が欲しかったから聞いただけで、それは問題じゃない」

RN「問題は、田所が本名を隠してるって所だね」

遠野「どうしてそんな事をするんでしょう?」

P「確かな事は言えないけど、あの田所はやはり本物で、なおかつ正体を隠して活動させる必要があるっていうなら筋は通る、か」

RN「そうだね。私たちも迂闊に田所って呼ばないように注意しないと」

遠野「僕が危ないですよね。気をつけます」

P「いい子だね~本当に」

RIN「収穫はこれくらいかな……すいません、意気込んだ割に大したことなくて」

P「いや、もう一つ分かった事があるぞ」

RIN「え……なんですか?」

P「これ以上田所、いや野獣から直接何か聞き出そうとしても無駄ってことだ」

RIN「あ、確かにそうかも……私が話しかけても聞こえてないのかな? っていうぐらい無反応でしたし。卯月ちゃんがずっと代わりに話してました」

RN「……それっておかしくない?」

RIN「え? うん、おかしいよね。人が話しかけてるのに」

RN「ごめんごめん。私が言いたいのは、秘密にしているはずの自分の本名が突然口に出されたのに無反応なのはおかしいんじゃない? ってこと」

RIN「! そ、そうだ、そうだよ!(便乗)」

P「その通りだ。全くの無表情、無反応っていうのはいくらなんでもおかしい」

RN「だからこそ、もう何を聞こうとしても無駄って事だね」

RIN「うーん、でも無反応だったってことやっぱり聞こえてなかったんじゃないですかね?」

P「違うだろ?」

RIN「えー、でも他にどう説明しろっていうんですか。初めからガン無視するつもりだったとか?」

P「……そうだな。でもそれは自分の意志じゃなくて、誰に強制されてるのかもしれない」

遠野「きょ、強制!?」

P「あいつが自分の意志でアイドルになって、それであのキャラを演じているとはどうにも思えない」

遠野「だから強制されているって、だったら従わなければいいじゃないですか」

P「自分の意志でどうにか出来るならそれは強制じゃない。文字通り強制的にアイドルをやらさてるんじゃないかって言いたいんだよ」

遠野「そんな、それこそそんな事をする理由が無いじゃないですか!」

P「まあ確かに、どちらにしたって野獣がアイドルをやっている理由は分からないだが……強制されてるんだとしたらその方法は見当がつくんだよなぁ」

RN「……あのゴーグル?」

P「ん、そうですね」

RIN「見るからに怪しいですよねアレ……アレのおかげで雰囲気から何から別人に見えますもん」

P「悶絶アイドル専属調教師に調教されたって線もあるけどな」

RIN「それはちょっと、苦い記憶が……」

遠野「もしそうだとして、先輩が何かに利用されてるんだとしたら、僕は許せません!」

P「まあまあそう、怒らないで。あくまで憶測なんだからさ」

RN「これ以上は情報が足りないから何とも言えないね」

P「ま、難しい話はもうナシにして収録に気持ちを切り替えようぜ」

遠野「でも……」

P「今全てを知れたとしてもどうにか出来る訳じゃないだろ? 物事には順序があるっていうしな」

遠野「プロデューサーさんだって先輩の事を必死に調べようとしてたじゃないですか!」

P「だからあいつが本物かどうかは分かった。今はそれでいいんだよ」

遠野「……分かりました」

RN「大丈夫、IUが終わって事務所のいざこざが解決したら、田所の事も全部元に戻るから」

遠野「はい。そうですよね」

P(これ以上調べようと思ったらモバプロの内側を知る必要がある。それをアイドルに任せる事は出来ない……)

P(ま、危険を犯して調べる必要も無さだけど。俺達を狙う殺し屋になった訳でもないし)

P(凛が言うように、全部終わった後事情を聞けば十分だろう……)

P(しかしあのゴーグル、空気の羽田野を一瞬で捉えるなんてサーモグラフィー機能でも付いてんのか?)

P(下手したらリアルタイムで見てる風景を中継したり、逆に別の場所の映像を中継して見られる機能とかありそうだな……)

P(その内XMENのアレみたいにビーム出すんじゃないか? はっ、まさかな)

遠野「」ソワソワ

P「ん、なんだよ遠野。まだ気になるのか?」

遠野「い、いえ。それはいいんですけど……」

RN「じゃあまた本番前の緊張? まだリハーサルもしてないけど」

遠野「緊張っていいますか、ええと……この後先輩に会って、共演するって……冷静になって考えたらドキドキしてきちゃって」

P「今までは冷静じゃなかったのか(困惑)」

遠野「それは言葉のあやです! ああっでも、どうしましょう……」

RIN「うわー、びっくりするほど恋する乙女……」

P「こんなのが乙女な訳ないだろ! いい加減にしろ!」

RN「自分のアイドルにその口ぶりはどうなの?」

遠野「あぁ、先輩……」

トントン

P「ん、誰だ? はいはいー」カチャ

「ああすいません、他の出演者さんもうみんな来ちゃってて、こっちも準備出来てるので、リハーサル今からでも大丈夫ですか?」

P「あっ、いっすよ(快諾) 何も問題ないよな?」クルッ

RIN「あのー、一人問題ありげなんですけどー」

遠野「いっ、いえ! 大丈夫ですよほんとに! がんばります!」

P「うん、分かった。でも遠野、その前にちょっとトイレ行って……シコれ(棒読み)」

遠野「えっ……(赤面)」

RN「は?(威圧)」

P「はい冗談冗談。共演者にはちゃんと挨拶するんだぞ。特に現場監督には」

「さらっと流したけどアイドルに下ネタってどうなんだよプロデューサーとして!」

P「ロックだね!」

RIN「申し訳ないですけどロック=下品っていう固定観念はNG」

「あっそうだ(唐突) プロデューサーさんにはちょっとお話あるんで、こっち規程もらっていいですか?」

P「あっ(察し)ふーん、分かりました。凛、後よろしくな」

RN「分かったよ。じゃあみんな行こっか」

「プロデューサーはこっちでじっくりお話でもしましょ」

スタスタ……

とりあえずここまで

誤字訂正
>>438
「あっそうだ(唐突) プロデューサーさんにはちょっとお話あるんで、こっち規程もらっていいですか?」

×こっち規程もらって

◯こっち来てもらって

です。センセンシャル!

局内 休憩所

P「それで、何の話ですか? 」

「またまた。分かってるでしょ? 君の出番についてだよ」

P「やっぱりな♂(レ) 俺も準備すりゃあいいってことですか?」

「その前に君、出演する事は誰にも話していないだろうね?」

P「ええ、まあ。現場監督に言われたとおりにしてますよ」

「そりゃ良かった。じゃあ君はリハーサルには出ずに本番まで待機していてくれ」

P「は?(困惑)」

「サプライズゲストだよ。出演者で君が出る事を知ってるのは現場監督と司会の二人だけ。どうだ、面白いだろ?」

P「それも現場監督の提案だっていうんですか?」

「そそ。君に前もってそれを言わなかったのも、一種のサプライズ。監督が好きなんだよね」

P「そういう事なら別に俺は構いませんけど」

P(ただの着ぐるみをサプライズゲストにして面白いか……?)

「じゃ、そういう事で。リハにも立ち入り禁止だから!」タッタッタッ

P「えっちょっ、それは別にいいでしょ、って……人の話聞けよな」

P(ま、仕方ないからここで時間潰すか……)

P(と、思ったがやることが無いのでとりあえず楽屋に戻ってきた)

P「こいつの具合を確認しておくか……」ガサガサ

ぴにゃこら太「」

P「イクよー?」

ジー(ファスナー)

P「入っちゃうよ……こんなん太いのが入っちゃうよ……」

スルスル

ぴにゃこら太「入っちゃっ……たぁ! 結構気持ちいいよこれ……」

ぴにゃこら太「もう今度こそ二度と着ないなんて言っておいてまた着てしまったな」

スタスタ

ぴにゃこら太「あー、そういやこれファスナーだから自分一人じゃ着られないんだったな」

ぴにゃこら太「どうにかなんないかな?」ズリッ

ぴにゃこら太「あっ、クソ、このっ……!ズリズリ

ぴにゃこら太(はあ、やることねえな……)

――――
810プロ

ガチャ,バタン

CHR「あら、氷崎さん? どうしたんですか、こんな時間に戻ってくるなんて」

ONDISK「ああいえ。少し、書類を取りに来ただけですよ」

CHR「そうですか。確か、今日は卯月ちゃんたちのクイズの収録があるんでしたよね」

ONDISK「ええ。今からリハーサルだと連絡がありましたよ」

CHR「すぐに行かなくていいんですか?」

ONDISK「別にそんな、いいじゃありませんか。こんなバラエティーの一つや二つ、しかもリハーサル」

ONDISK「言われなくても今から向かいますよ。前もって指示はしてありますがんr」

CHR「そうですね。じゃあ、お仕事頑張ってください」

ONDISK「……普段は俺の仕事を気にかける事なんてしないのに、あの事務所が関わると随分敏感なようですねぇ」

CHR「い、いやそんなこと……」

ONDISK「ああそうだ、一ついい話をしましょう。俺この前、駅であの男に会いましたよ。分かりますか? モバPですよ……」

CHR「!」

ONDISK「」ニヤァ

CHR「へ、へぇ~そうなんですか。今どこでお仕事してらっしゃんるんですか? あの方」

ONDISK「フッ……つまらない嘘を付くのはもうやめましょうよ。モバPが364プロに居る事なんて、今や業界人なら誰でも知ってますよ」

CHR「……そうですね、すいません。少し取り乱してしまいました」

ONDISK「ああ勘違いしてほしくないので言いますが、彼と会ったのは本当にまったくの偶然ですので」

CHR「あなたがいつどうやってあの人に会ったとしても、私には別に関係ありませんよ」

ONDISK「またそうやって……何の話をしたか教えてあげましょうか?」

CHR「結構です」

ONDISK「なら俺が勝手に話しますよ」

CHR「…………」

ONDISK「……だから忠告してあげたんですよ。そのやり方ではいずれ身を滅ぼすと」

CHR「そうですか」

ONDISK「貴女はどう思います?」

CHR「どう、なんて言われても……あの人はそのやり方を変えるつもりはないと思いますよ」

ONDISK「……クククッ」

CHR「なんですか。真面目に答えて損しましたよ」

ONDISK「いえいえ。あの男とほとんど同じ事を言うものですから」

CHR「そういう人なんですよ。モバPさんは」

ONDISK「ええ、そんな気がしますよ。だから追い出したんでしょう?」

CHR「前にも言った気がしますけど、勝手に出ていったんですよ」

ONDISK「だったら、彼がもしここに戻ってきたら受け入れるとでも?」

CHR「それは……」

ONDISK「……まあいいでしょう。いずれにせよ彼はずっと、ここに戻ってくるために動いているんですから」

CHR「…………」

ONDISK「では、そろそろその男の所へ向かいますかね」

CHR「待ってください。私も一つ質問があります」

ONDISK「なんでしょう?」

CHR「……彼をアイドルにした本当の理由はなんですか?」

ONDISK「こちらで行動を管理が出来、なおかつ渋谷凛の抜けたNGの穴を埋めるのに丁度いい、そう話したではずですが」

CHR「私は本当の、と言いました」

ONDISK「それはここでは秘密、ということにしておきましょう」

CHR「なっ……」

ONDISK「貴女も質問をはぐらかした。だから俺もそうしたまでです。隠し事はなしという関係でもないしょう」

CHR「はぁ。あなたは信頼出来ますけど、そういう所は理解できません」

ONDISK「なんとでも言ってください。では、また」

ガチャ,バタン

CHR「……本当に信頼はしてますよ。あなたなら絶対に、モバPさんを倒す事が出来ると」

とりあえずここまで

誤字訂正など
>>444

ONDISK「言われなくても今から向かいますよ。前もって指示はしてありますがんr」
んr ってなんだよ(哲学)
してありますがね の間違いです

CHR「そうですね。じゃあ、お仕事頑張ってください」

そうですね→そうですか でオナシャス!

――――
364プロ楽屋

ガチャ

RN「プロデューサー、居る?」

P「おお凛、みんなも。リハはどうだ? ルールちゃんと覚えたか?」

RIN「バッチリですよ! スタジオの雰囲気、ロックでした!」

遠野「僕はもう凄く緊張しました……先輩があんな近くに居るんですから。やっぱり本物ですよ」

P「そうかそうか。楽しくやれそうだな」

RN「そうじゃなくて、どこに行ってたの? スタジオに居なかったからここまで戻ってきたんだけど」

P「え? やぁまあほら、話があるって聞いてたろ?」

RN「30分以上今の今まで?」

P「ちょっと事情があったんだよ。それより凛はどうだったんだよ、リハーサル」

RN「どうって、別に」

P「卯月に何か言われなかったか?」

RN「……今日はよろしくお願いしますって。私もうん、よろしくって言って。それだけ」

P「そうか。まあ、必要以上に話すのもやきもきするだろうしな」

RN「今はまだ……ね。私も変に意識したくないから」

P「本番は何時からだ? すぐだろ?」

RIN「あーっそうなんですよ! 私たちすぐに戻らないと!」

P「やっぱりな♂(レ) じゃ、賞金目指して頑張ってくれ」

遠野「……? プロデューサーさんは行かないんですか」

P「俺はちょっとトイレしてから行くから。ほら、遅れない内に行った行った!」

遠野「は、はい」

RIN「頑張っちゃいますよー!」

バタン、スタスタ……

P「……さて、俺も準備してとっとと向かいますか」ぴにゃ

ガチャ

RN「プロデューサー?」

P「おっ、ど、どうした凛!?」ガサガサ

RN「今何か隠した?」

P「いやなんでもない、なんでもないよ……それよりどうしたんだ」

RN「……また何か一人で抱え込んでるんじゃないかって思って」

P「え……」

RN「私たちの事をちゃんと考えてるのかもしれないけど、一人で何でも解決しようとするのはやめて」

P「な、なんだよいきなり。別にそんな事ないって」

RN「……メガデスの時みたく、私でも役に立てる事があったら何でも言って。手伝うから」

P「ん? 今何でも」

RN「茶化さないで!」

P「わっ分かった、分かったよ。そういう事があったらちゃんと凛にも言うから。早くスタジオに行きなさい」

RN「……本当だからね」

バタン

P(……俺はプロデューサーの仕事をやってるんだから、それをアイドルに手伝えなんて言えないよ)


……
ぴにゃこら太「さーて着替え完了。と言いたいが、チャック問題は結局解決出来ず……」

ぴにゃこら太(ま、スタジオに行けばスタッフさんが閉めてくれるだろう)

ガチャ,バタン

ぴにゃこら太(凛たちとは別の入り口から行かないといけないんだったな……)スタスタ

「あっ、あの~?」

ぴにゃこら太「?」クルッ

UDK「後ろ、開いてますけど……」

ぴにゃこら太(うっ、卯月!? またなんでぴにゃこら太の状態で出くわすんだよ!)

UDK「私、閉めましょうか?」

ぴにゃこら太「」コクコク

ぴにゃこら太(俺とは気づいていないか。まあそりゃそうだが)

ジー……

UDK「はいっ、出来ました!」

ぴにゃこら太「」フリフリ

UDK「えへへっ。それじゃあ私、行きますね」スタスタ

ぴにゃこら太(…………)

ぴにゃこら太「ぴにゃあ゛あ゛あ゛あ゛~(オッサンの裏声)」

UDK「ふぇっ!?」クルッ

シーン……

ぴにゃこら太(本物の声も出せたけど、お礼ってことで別にいいよな。卯月ならこれで……)

UDK「もっ、もしかして……お化け!?」

ぴにゃこら太「」ガクッ

スタジオ裏

ぴにゃこら太「」フリフリ

「おっ、やっと来たね~もうちょっと早く来れなかったの?」

ぴにゃこら太「他の人に見つからないようにするのが大変だったんですよ(大嘘)」

「ふーん。それはそうと君、ぴにゃこら太の声はちゃんと出せるんだろうね?」

ぴにゃこら太「フッ(嘲笑) ぴにゃあああああああああ(OOHSAYK)」

「あ^~いいっすねぇ~」

ぴにゃこら太(カーリー方式でボイスレコーダーをしっかり用意してあるぜ)

「出番来たらそのまま前行ってね。繋がってるから」

ぴにゃこら太「分かってますよ。俺だってこの業界の人間ですからね」

「そりゃそうか。じゃ、いいリアクション期待してるよ! 本番もう始まるからね!」

ぴにゃこら太「大丈夫大丈夫(棒読み)」

「ゲストさん準備いいですか~?」

現場監督「みんなはもう大丈夫だよね?」

RIN「バッチリですよ!」

UDK「頑張ります!」

「そうっすか。カメラさん照明さんもOK?」

「あ、いっすよ」「あくしろよ」

「じゃ、始めまーす。本番5秒前、4、3……」

「はい、よーいスタート(棒読み)」



『クイズ☆入らないみたい ~人気アイドル大集合スペシャル~』



パチパチパチパチパチパチ!!!

とりあえずここまで

OGRSYN「さぁ始まりましたクイズ入らないみたい。司会の小栗旬でぇーす」

現場監督「ちわ!」

OGRYSN「はい、相変わらず監督は名乗らず挨拶だけということなんですけれども」

アハハハハハ

現場監督「ねー今日はもうね、凄い子達が集まってるね」

OGRYSN「そうっすね。本日は人気アイドル大集合スペシャル! ということで、今大人気のアイドルに来てもらってます」

現場監督「じゃあ早速クイズに……」

OGRYSN「その前にゲストの紹介してくださいよぉ」

現場監督「あ~許して亭許して!」

アハハハハハ

OGRYSN「はい。お約束も済んだところで、ゲストの皆さんをご紹介します」

OGRYSN「まずはこの方々、新進気鋭の364プロチーム!」

パチパチパチパチ

遠野「よっ、よろしくお願いします!」

RIN「賞金獲りますよー!」

OGRYSN「えー四人とも、IUのトーナメント部門決勝進出ということで、今事務所共々、着々と売れてきている方々です」

現場監督「凄いなぁ。でもやっぱり一番人気なのは凛ちゃんでしょ?」

RN「…………」ペコリ

OGRYSN「そりゃあそうでしょ。だって、ねぇ?」

現場監督「うん」

OGRYSN「はい。次行きますか。同じく、事務所から3組がIU決勝へ進出した810プロチーム!」

パチパチパチパチ

現場監督「凛ちゃんはこっちに居た時から人気だもんね」

OGRYSN「スルーしたのにそこで触れるんすか(笑)」

UDK「あ、あははは……」

RN「……」

現場監督「どうなの? 移籍した後も仲はいい?」

OGRSYN「ちょっと監督ーヤバいんじゃないすかぁ~?」

現場監督「いいのいいの。今こうやって共演してる訳だからね」

RN「卯月とは友達。今までも、これからも」

UDK「そ、そうですね! 仲の良い友達です!」

現場監督「へーそうなんだぁ」

OGRSYN「そろそろ次行っていいすか? もう……810プロチームは後ほど、四人目が登場するのでご期待ください」

ホリ・トオル「じゃないと警察に通報しちゃうからなお前な」

野獣「……」ポ

OGRSYN「では次、50プロチーム改め、『神×聖』のお二人でーす」

GO「どーもこんちわっす」

SIY「あ、どうも……」

GO is GOD GO is GOD GO is GOD...

OGRSYN「どこからともなくファンの方々の声が(笑)」

現場監督「何か変、変よ変よ」

GO「あーこれはもう全然、気にしなくていいんで。ハイ、ヨロシクゥ!」

OGRSYN「んじゃ次のチーム行きますか。監督の後輩2101プロチーム!」

パチパチパチパチ

肉丸「よ、よろしくお願いしまスンドゥブギムヂっしゅ……」

バルカン大先輩「何噛んでんだよ」

アハアハハハハ

現場噛んで「どいつもこいつもねー、負けちゃったんだよねぇ。だらしねぇし♂(レ)」

OGRSYN「まぁまぁそう言わないでくださいよ、かな子ちゃん悲しんでるじゃないですか」

KNK「あ、いえ……負けちゃったのは本当なので」

OGRSYN「今日はそのリベンジということで、2101プロチームの三人には頑張っていただきましょう」

KNK「はい!」

バルカン「乳首☆もーりもり」

現場監督「そっちの364プロに負けたんだよねぇ……」

OGRSYN「しつこいわ!」

現場監督「てゐー!」

アハハハハ!

OGRSYN「それではオープニングクイズに入りたいん、ですが」

RIN「ですが?」

OGRSYN「ですがその前にもう一人、今日はスペシャルゲストが来ております」

現場監督「他のみんなにはね、内緒にしてたんだよね」

OGRSYN「ということで本日のオープニングクイズは、スペシャルゲスト当てクイズ~」

パチパチパチパチ

現場監督「(普通のクイズが)入っちゃうよ……」

OGRSYN「オープニングクイズでは珍しく、王道を往く普通のクイズですが、スペシャルなのでOK!」

OGRSYN「正解のチームには20Pプレゼント。回答はお手元のフリップにどうぞ」

RN「……これノーヒント?」

GO「キッツいねー」

現場監督「ヒント? 変態だなぁヒント要るなんて」

RN「は?(威圧)」

OGRSYN「ヒントは一つ! アイドルではございません。では回答をどうぞ」

RIN「あ、アイドルじゃないって、それだけ?」

遠野「まるで分かりませんね」

RN「うーん……まあ当てさせる気が無いのは分かるかな」

――

UDK「むむむ……」

ホリ・トオル「大丈夫すか? 一人で考えても」

UDK「分かりません……こうなったら当てずっぽうですよね。先輩は何か書きたい物ありますか?」

野獣「……」ポ

UDK「じゃあ、私の勘で……」カキカキ

――

GO「適当にパパパっと書いて、オワリ!」

――

肉丸「せんぱ、先輩……」

バルカン「わかんねぇなぁ」

KNK「……何でもいいですよね」カキカキ

――

OGRSYN「さぁ回答が出揃いました。それでは一斉にオープン!」

364「ビリー・ヘリントン」

810「ぴにゃこら太」

GO「スローロリス」

2101「ガトーショコラ」

OGRSYN「えちょまって動物とかお菓子とかええん!?」

現場監督「(発想が)凄いなぁ」

GO「スローロリスはね、俺が個人的にふれあいたい」

OGRSYN「いいねぇ~やりてぇよぉ~。それよりガトーショコラ。ガトーショコラって何?」


OGRSYN「まさかかな子ちゃんが最初にこんなボケ回答してくるとは思わなかったわ……どうですか監督?」

現場監督「太いガトーショコラがお口入っちゃう!」

OGRSYN「隙あらば自分の持ちネタやるのやめましょう。では正解を発表します。スペシャルゲストに登場してもらいましょうどうぞー!」

パチパチパチパチ

ぴにゃこら太「ぴにゃあああああああ~~」

UDK「!」

現場監督「太いマスコットが入っちゃっ……たぁ!」

OGRSYN「ということで810プロチーム正解20ポイント!」

UDK「えへへっ、やりました!」

ぴにゃこら太(やべぇ、完全に俺が本番前遭遇したせいじゃねえか……)

とりあえずここまで

誤字訂正
>>459
現場噛んで「どいつもこいつもねー、負けちゃったんだよねぇ。だらしねぇし♂(レ)」

×現場噛んで ◯ 現場監督

読み返してて爆笑しました(深夜テンション)

OGRSYN「ぶっちゃけ、正解されるとは思ってなかったんだけど(笑) え何、どうして分かったの?」

UDK「分かったというよりもう、勘で……ぴにゃこら太ちゃんとは何か縁があるみたいなので」

OGRSYN「へぇ(無関心) それでは改めてご紹介しましょう、ぴにゃこら太ちゃんでーす」

ぴにゃこら太「ぴにゃあああああああ!」

バルカン「うっさいわ……」

ぴにゃこら太「ぴにゃっ!?」フリフリ

OGRSYN「凄いねー声も動きも豊富だね」

ぴにゃこら太「ぴにゃあ!」

ぴにゃこら太(この日のために研究してきたからな)

現場監督「出てきた時凛ちゃんがかなりビックリしてたんだけど、もしかしてファンだった?」

RN「えっ!? いや、そうじゃなくて……私も何か縁があるかな、なんて」

OGRSYN「人気アイドル二人に縁があるなんて言われて羨ましいぞ、このこの」ガシガシ

ぴにゃこら太「ぴにゃーぴにゃぴにゃ!」

OGRSYN「何言ってるかわかんねえよ(笑)」

アハハハハハ

RN「…………」ジー

ぴにゃこら太(こっち見てるな。もしかしたらと疑っている顔だ……)

現場監督「じゃあ次のクイズ行こうか」

OGRSYN「そっすね。続いてのクイズはコチラ~!」

OGRSYN「1stステージ・仲間に入らないみたい~」

パチパチパチパチ

OGRSYN「まずは例題をどうぞ」

Q.次の五つの漢字の内、仲間外れはどれ?

赤 青 木 黒 白

A.木

OGRSYN「まあ分かったと思いますけどね、法則を見つけてそれに当てはまらない物を答えてもらうクイズです」

現場監督「ちなみに今の分かった人?」

RIN「『木』だけ色の漢字じゃないですね!」

現場監督「正解。凄いなぁ」

OGRSYN「いや分かるでしょ(笑) 例題だからって簡単過ぎるくらいですわ」

アハハハ

OGRSYN「回答は早押し、間違えたチームはその問題の回答権を失います」

OGRSYN「正解したチームには基本10ポイント入りますが、が! 監督の気分でポイントは変わります」

GO「相変わらず適当だねぇ」

現場監督「じゃ、イクよー?」

ぴにゃこら太(……俺は何すればいいんだ?)

OGRSYN「第一問!」デテン

Q.次の6つの数字の中で仲間外れの物はどれか

4 256 48 2048 16384 32

ホリ・トオル「なんすかこれ」

遠野「わ、分かりません……」

ぴにゃこら太(例題に比べていきなりレベルが上がりすぎだろ……)

ぴにゃこら太(っていうか俺もリアクションした方がいいのかな?)

RIN「もうこうなったら……!」

現場監督「答える時はちゃんと理由も答えてね。勘じゃなくてね」

RIN「」ガクッ

OGRSYN「おっと、どのチームも駄目か?」

ピンポーン

OGRSYN「おっやっと来ましたね。50チーム!」

GO「48」

OGRSYN「その理由は?」

GO「48以外は2の累乗になってるんだよね」

ぴにゃこら太(知wらwなwいwよww)

現場監督「正解! 凄いなぁ」

OGRSYN「10ポイント獲得でよろしいですか?」

現場監督「んー、そうだね。10ポイント獲得!」

OGRSYN「いちいち聞くのめんどくさいんすよねぇ」

RIN「…ぜ、全然分かんなかった」

遠野「聞けば分かるんですけど……」

RN「それはそうでしょ」

OGRSYN「では第二問!」

ぴにゃこら太「!」

Q.次の6つの漢字の内、仲間外れの物を選べ

RIN「これなら分かるかも!」

星 猫 燕 虎 鯉 鷹

RIN「あ、ダメだ」

KNK「李衣菜ちゃん、諦めが早い……」

アハハハ

ぴにゃこら太(くそっ出遅れた。リアクションのタイミングって難しいな)

ぴにゃこら太(にしても李衣菜さっきから喋りまくりだな、いい目立ち方だぁ……)

ピンポーン

OGRSYN「おっ、364プロチームが押したぞ!」

RIN「えっ、私押してないですよ!?」

RN「私も」

遠野「僕も……」

現場監督「(答えるのか答えないのか)どっちだよ」

HTN「鷹。他の5つはセ・リーグ球団」

RIN「羽田野さん!?」

OGRSYN「正解~! 猫はキャッツ、星はスターと、鷹以外はセ・リーグの球団が並んでおります」

ぴにゃこら太(やりますねぇ!)

現場監督「っていうか今誰が答えたの?」

OGRSYN「さぁ(笑) とりあえず364チームに10ポイント!」

ぴにゃこら太(よし、次こそリアクション。次こそリアクション……)

OGRSYN「では第三問!」

ぴにゃこら太「ぴにゃあああああああ!!!」

ガシッ

現場監督「君そういうのいいから」

ぴにゃこら太「えっ?」

現場監督「ああやって目立って気持ちいいか? この変態親父め」ヒソヒソ

ぴにゃこら太「ええっ、だって俺だってゲストですし……」ヒソヒソ

現場監督「こいつすげぇ変態だぜ? 自分が目立つ事しか考えてないよ」ヒソヒソ

ぴにゃこら太「…………」ヒソヒソ

現場監督「なんとか言えよ変態」ヒソヒソ

ぴにゃこら太「す、すいません」ヒソヒソ

現場監督「とにかくね、自分が出演してる事の意味を考えて。ちゃんと出番もあるから」ヒソヒソ

ぴにゃこら太「は、はぁ……」ヒソヒソ

――
GO「いきなり何か始まったねー」

UDK「あれって、ひそひそ話、ですか?」

KNK「ぴにゃこら太ちゃんがちょっと元気過ぎたのかな?」

RN「…………」

OGRSYN「皆さんまだカメラ回ってますからねー、表情崩しちゃだめですよー」

肉丸「あっ、あっ……」

バルカン「お前何油断して無愛想になってんだよぉ、アン?」

現場監督「あ、ゴメンゴメン。再開しようか」

ぴにゃこら太「」フリフリ

ぴにゃこら太(俺が出演してる事の意味、か……)

とりあえずここまで

ぴにゃこら太(その後も俺の出番が無いまま番組が続いた……)

――

ピンポーン

ホリ・トオル「ドロヘドロ!(名作)」

OGRSYN「正解!」

――
ピンポーン

SIY「えっと、牧師ing……」

OGRSYN「正解!」

現場監督「まあこれは20ポイントあげちゃおうか」

GO「道理でねぇ!」

――
ピンポーン

RIN「私にも分かる問題が来ましたよ~、太杉!(樹齢200年)」

ブブー

OGRSYN「残念不正解!」

RIN「うっそぉ!?」

――

ぴにゃこら太(こうして収録中のアイドルをこんなに間近で見るのは新鮮で面白い)

ぴにゃこら太(まさか現場監督が言いたかったのはこういう事なのか?)

ぴにゃこら太(俺の馬鹿馬鹿しい提案を聞いたのは最初から、ここからの景色を見せるためで)

ぴにゃこら太(そうやって未熟な俺に経験を積ませたかった可能性が微粒子レベルで存在する……?)

ぴにゃこら太(だとしたら現場監督、なんてぇ親父なの……)

ぴにゃこら太(たとえ違ったとしても、ありがたいことに変わりはないな)

――

OGRSYN「さぁ2ndステージが終了しました。現在の得点はコチラ!」

364チーム:70ポイント

810チーム:90ポイント

50チーム:180ポイント

2101チーム:80ポイント

現場監督「(50チームだけ)太すぎるッピ!」

OGRSYN「監督がボーナスポイント付けまくるからでしょ(笑)」

アハハハ

OGRSYN「さあここからはよりバラエティに富んだ、この番組ならではのクイズをお送りします」

現場監督「そろそろこいつの出番かな?」

ぴにゃこら太(お、俺か!?)

OGRSYN「3rdステージのクイズは……コチラ!」

『3rdステージ・チャレンジ☆入らないみたい!』

パチパチパチパチ

ぴにゃこら太(チャレンジ入らないみたい! 番組屈指の人気コーナー!)

ぴにゃこら太(出演者自身が様々なお題に挑戦し、それを達成出来るか予想するクイズだ)

ぴにゃこら太(これがクイズ番組の枠を外れたお題も多いから面白いんだよなぁ)

ぴにゃこら太(ってか、台本だと確かこの後幸子が……)

OGRSYN「と、いうことで最初のチャレンジクイズはコチラ!」

『熱湯風呂・これ以上入らないみたい!』

OGRSYN「挑戦者には今からそちらに用意した熱湯風呂に入っていただきます」

KNK「あ、熱そう……」

OGRSYN「残りの皆様は挑戦者がどれだけの間入っていられるかを予想していただきます。実際のタイムともっとも近かったチームにはなんと30ポイント!」

現場監督「すごくいやらしいクイズだよ!」

OGRSYN「さあ皆さん、予想してください! と言いたいのですが」

RIN「ですが?」

OGRSYN「810プロチーム、そろそろ助っ人欲しくないですか?」

UDK「はい! 欲しいです!」

OGRSYN「では、810プロチーム最後の一人に登場してもらいましょう」

ホリ・トオル「カワイイボクですよカワイイボク!」

SCK「フフーン! ってトオルさん! ボクの台詞を取らないでください!」

OGRSYN「輿水幸子ちゃんでーす!」

パチパチパチパチ

OGRSYN「まぁ、このタイミングで、しかもジャージ姿で登場するってことは……ねぇ(笑)」

現場監督「入っちゃう! 入っちゃう!」

UDK「幸子ちゃん……頑張ってください」

SCK「こっ、こんなの、ボクにかかれば楽勝です! 」

ぴにゃこら太(哀れ。)

OGRSYN「じゃ、タイムを予想していただきましょうか。幸子ちゃんはちょっと端によけててね」

遠野「あの、お湯は何℃なんですか?」

OGRSYN「知りたいすか? じゃ監督、ちょっと手入れてみてください」

現場監督「しょうがないなぁ……」スッ

現場監督「あっつ! あっつ! 熱い、熱い! あ つ す ぎ!」

OGRSYN「これくらいの熱さになっておりまーす」

遠野「えぇ……」

ぴにゃこら太(演技っぽいな。まあアイドルが入るんだし本当に熱くても45℃くらいかな?)

RIN「どうする? 凛ちゃん」ヒソヒソ

RN「あのお湯……本当に熱いのかな。ぬるま湯じゃないの」ヒソヒソ

RIN「え! でもそれじゃあずっと入っちゃうんじゃ」ヒソヒソ

RN「幸子も熱がるふりはすると思うけど、うーん……これくらい」カキカキ

遠野「僕は凛さんを信じます!」

OGRSYN「さあどのチームも書きましたか? いいですか?」

OGRSYN「ではそれぞれの回答オープン!」

364チーム:10秒

810チーム:15秒

50チーム:3秒

2101プロ:30秒

OGRSYN「30秒ってながくなぁ~い?」

バルカン「肉丸が普段入ってる時間と同じっす」

OGRSYN「はえーんだよぉ! っていうか汚っ!」

アハハハハハ

OGRSYN「では続いてクイズの挑戦者を発表しましょう。では監督!」

現場監督「挑戦者は輿水幸子!」

ぴにゃこら太(うん、知ってた)

現場監督「じゃ、ないんだよねぇ……」

SCK「え?」

ぴにゃこら太(え?)

ザワザワ…

現場監督「挑戦者は……こいつ!」デェン!

ぴにゃこら太「」

ぴにゃこら太(え……俺かよ!?)

とりあえずここまで

SCK「ちょちょ、ちょっと待ってください! どういうことですか?」

現場監督「言った通りだよ。このチャレンジはぴにゃこら太がやるの」

ぴにゃこら太(うっそだろお前……いいリアクション頼むってこういう事かよ……)

OGRSYN「リハーサル含め、幸子ちゃんが挑戦者と言った覚えはありませんので」

SCK「いや、ボク普通にやってくださいって言われたんですけど……」

OGRSYN「知wwらwwなwwいwwよwwww」

RIN「そんなのありー!?」

RN「書き直したいんだけど……」

現場監督「あーダメダメダメ! シンキングタイムはもう終わり! 」

OGRSYN「じゃ、早速ぴにゃこら太にはスタンバイしてもらいましょう」

ぴにゃこら太「……」

現場監督「何とか言えよ変態」

ぴにゃこら太「いかん、いかん危ない危ない……ビックリして反応するのを忘れてたよ」フリフリ

OGRSYN「おっ、どうしました?」

ぴにゃこら太(ヤベッ! 普通に喋っちゃったよ。まあマイク付けてないから拾われてないだろうが……)

RN「……」ジー

ぴにゃこら太「ぴにゃ! ぴにゃぴにゃぁ!」

OGRSYN「おっ、やる気十分ですね。では張り切ってやっていただきましょうか」

OGRSYN「さあぴにゃこら太のスタンバイが完了しました」

ぴにゃこら太(マジでやるのかよ……まあそんなに熱さも感じないだろうけど)

OGRSYN「ここで皆さんにある情報をお教えします。モニターをご覧下さい」

ぴにゃこら太(待てよ? これって上手くやれば凛たちを正解させることも出来るんだよな)

デェン!

ぴにゃこら太(よーし、突然こんなことやらされるんだからこれくらい許されて当然だよな……ん?)フリフリ

OGRSYN「これは先ほどスタッフが熱湯風呂の温度を測ったときの温度計です。その温度はなんど65℃」

ぴにゃこら太「!?!!?!?」

現場監督「ちなみにねぇ、50℃ぐらいのお湯でも長時間浸かれば低温やけどになるらしいね」

OGRSYN「まあ着ぐるみですから大丈夫でしょう(笑)」

ぴにゃこら太(か、勘弁してくれよ! 俺やんねーからな!)スッ

イカせ隊「……」ガシッ

ぴにゃこら太「な……なんだよこれ! おい、離せよっ!」ジタバタ

OGRSYN「ぴにゃこら太もすっかり怖じ気付いてしまったのでこちらの方でお湯に投入したいと思いまーす」

現場監督「入っちゃう! 入っちゃう!」

ぴにゃこら太「クソっふざけんな! この[ピザ]中年! てめーが入れよ!」ジタバタ

OGRSYN「それでは行ってみましょう。チャレンジ・入らないみたい!」

ドスッ

ぴにゃこら太「!!!」

パッシャーン!

現場監督「入っちゃっ、たぁ!」

ぴにゃこら太「あっつ! あっついねん!」ジタバタ

UDK「中の人っぽい声が聞こえるんですけど、それは大丈夫なんですか?」

GO「大丈夫でしょ。ま多少はね?」

野獣「CAPTURED……」ポポ

RIN「何か聞き覚えあるような……」

RN「……!」

OGRSYN「っていうかなかなか出てこねーな(笑)」

バシャバシャ

ぴにゃこら太「熱いっ! あーっつい!! げほっげほっ!」

ジタバタジタバタ…ズルッ

ぴにゃこら太(だ、駄目だ。浴槽の縁を掴めない。これじゃ出られないのか!?)

バシャ……バシャ……

ぴにゃこら太(や、ヤバい……水を吸ってただもがくのも難しくなってきたぞ)

バシャ……

ぴにゃこら太(というか、マジ、熱いんだよ、もう……)

ぴにゃこら太「…………」

SCK「動かなくなりましたよ!?」

OGRSYN「現時点で一分経過しておりまーす」

バルカン「っていうことは俺達が正解だな!」

肉丸「先輩さすがっス!」

KNK「そ、そんな事言ってる場合じゃないんじゃ……」

RN「ね、ねえ! 助けた方がいいよ! 中に人入ってるんでしょ!?」

OGRSYN「そーっすねぇ、まあ正解チームが決まった以上こいつが入ってるの見てても仕方ないですしねぇ」スッ

OGRSYN「熱ッ!」

現場監督「これじゃ入れないみたい!」

RN「み、水! 早く持ってきて!」

ピーーーーーーーーーッ!

RIN「何今の音!?」

UDK「せ、先輩? まさか」

野獣「EMURATED,EMURATED,EMURATED……」ポポポポ

ホリ・トオル「……?」

UDK「大変ですっ! その人、しっ……し、死んでるかもしれません!」

OGRSYN「うせやろ?」

現場監督「どういうことなの……♂(レ)」

UDK「先輩のゴーグルは、あの、人の生命活動? とにかく、分かるんです!」

現場監督「凄いなぁ」

OGRSYN「いやさすがにヤバいでしょ(半笑い)」

RN「本当なの……? 卯月」

UDK「死んでるかどうかは、分からないですけど……」

野獣「…………」ピーッ,ピーッ、ポポポポ……

GO「道理で、ねぇ」

RN「う、そ……嘘だ……プロデューサー!」タッタッタッ

RIN「凛ちゃん!? ていうかプロ……っ!? プロデューサーさん!?」

現場監督「ほら正体バレちゃったよ……」

UDK「じゃ、じゃあ本当に……!?」

――

バシャ

RN「ッ熱い……水は! まだなの!」

「え、や……すぐ持ってきます!」

RN「なんでこんなデカイ水槽……これじゃ横に倒すこともっ……!」

遠野「あわわ……ど、どうすれば……」

RN(こうなったらもう、変身して……!)カッ


ピカーーーーッ!


RN「!?」

RIN「何の光!?」

野獣「」ポポポポポ

RN「と、遠野! 私の後ろに!」

遠野「は、はいいっ……!」

バッシャーーーーーン!,サーーーー……

RIN「うわっお湯が……あれ? 」

KNK「こっち側には飛び散ってない?」

RN(危ない……あと一歩遅れたらみんなにかかってた)ピキッ

現場監督「あれ? ぴにゃこら太は?」

OGRSYN「つーか湯気で見えねーんだけどぉ」

RN(バレてない。元に戻れる)シュン

「…………」

GO「……誰か立ってるねぇ」

バルカン「天の喝采」

モワモワ……

SCK「み、見えてきましたよ」

「……あのさぁ。俺じゃなかったら最悪死んでるってそれ一番言われてるから」

RN「!」

RIN「この声は!」

OGRSYN「お、おい! カメラ止めてねーよな! 撮れよ!」


サイバーP「あーもう、色々めんどくせーマジで……」


RN「プロ……え?」

UDK「だ、誰ですか!?」

ちょっと前

ぴにゃこら太(底まで完全に沈んで息も出来ない。俺が息止めてられなくなったら本当に溺死するぞ……)

ぴにゃこら太(熱さが痛みに変わって感覚も無くなってきた……身体が動かない……)

オレタチガセイカイダナ! センパイサスガッス!

ぴにゃこら太(き、気絶したら終わりだ。引っ張りあげられるまで耐えろ……)

ぴにゃこら太(……)

アツッ! コレジャハイレナイミタイ!

ぴにゃこら太(これもう助かるかわかんねえな……どうする? どうするったって身体はもう……)

ぴにゃこら太(……! こんなピンチのためにわざわざ腰に着けてたんじゃないか!)

ぴにゃこら太(サイバーZから貰ったベルトで、変身する!)

ぴにゃこら太(待てよ、確かに変身するには「変身!」と叫ぶ必要があったはずだ。でも口を開いたらたちまちお湯が……)

ぴにゃこら太「!!!」

ぴにゃこら太(だ、駄目だ。それ以前にもう息を止めてられない。こうなりゃ一か八か賭ける……!)

ぴにゃこら太「ごぽっふぇんげごぅえ!」

ぴにゃこら太(し、舌と喉まで火傷する~!)

ピカーーーーッ

とりあえずここまで

現在

OGRSYN「おぉ? 水槽の中で爆発が起こったと思ったら謎の男が出てきたぞ!」

サイバーP(着ぐるみの中で変身すれば変に目立つことも無いかと思ったが、これじゃ台無しだよ)

ホリ・トオル「なんだお前(素)」

KNK「もう何が何だか……」

サイバーP(あーもう、どう説明するっていうんだよ!)

ズサッ

サイバーP「っ、これは?」スッ

ぴにゃ「」

サイバーP「そうか、お前もまとめて吹きとんじまったもんな……今度こそもう、二度と着れないな……」

現場監督「君! 本当に凄いなぁ! どうやったの一体?」パンバン

サイバーP「……」

現場監督「何とか言えよ! この後もいっぱいチャレンジ用意してあるからね! よろしく頼むよ!」

ガシッ

現場監督「えっ?」

サイバーP「何がチャレンジだぁ? お前がチャレンジしろよ。お前の番組だろ?」

現場監督「何を言って……」

サイバーP「お前みたいな三流監督の番組はもう御免だ! 二度とこんな真似が出来ないようにしてやる!」

現場監督「!?」

サイバーP「オラそっち座れ! お前も!」

OGRSYN「俺もォ!? つか席どっから出てきた?」

イカせ隊「……」グッ

OGRSYN「お前かい!」

サイバーP「てめーらなんざ司会者じゃなくて回答者でいいんだ上等だろ」

現場監督「あ~ダメダメダメ!(西田敏行) 番組が壊れちゃう壊れちゃうじゃん」

サイバーP「勝手に壊れてろ」

現場監督「ぐはぁ!」

OGRSYN「納得して座ってるじゃないすか(笑) しょうがねぇなぁ」スッ

サイバーP「よし。他のみんなも早く戻れ。クイズ再開だ」

スタスタスタ

サイバーP「ん?」

「ちょっと困るんですよ~勝手なことされると」

サイバーP「ああ大丈夫。これも監督のサプライズなんで(大嘘)」

「マジすか(棒読み)」

サイバーP「マジ。グダってる所は編集で適当に繋げてくれればいいんで。あとピンマイクくれません?」

「あ、じゃあ俺のどうぞ……」

サイバーP「よぉし。じゃあ今までのちかえしをたっぷりとさせてもらおうかな」

RN「え、いやちょっと。プロデューサー……だよね?」

サイバーP「誰だよ」カチカチ

RN「だって声……あれ? 違う……」

UDK「さっきは確かに聞こえましたよね?」

サイバーP「なんのこったよ(すっとヴぼけ) その人ならあそこに居るじゃないか」カチッ

モバP「」ニコニコ

RN「え!? ほんとだ……でも現場監督がさっき」

サイバーP「いいから戻りなさい。収録中だよ」

RN「……はい」

サイバーP(ふぅ、不安だったけど成功したな。さすがヒーローのベルトだよ)


……
………

サイバーZ「このベルトには変身する以外にも様々な機能が付いている」

P「例えば?」

サイバーZ「こんな風にすると……」カチカチ

シュッ

HKR「見た目を変えて変装出来る」

P「ヴォースゲー。でも声がね……」

HKR「それも調整出来る。あー、あー」カチカチ

P「すげえな。どうやってるんだ?」

サイバーZ「前にメガデスは催眠や洗脳が得意だと言っただろう。それのちょっとした応用だ」

P「なるほど、何一つ原理の説明になってないな」

サイバーZ「……俺も詳しい事は知らん」

P「でもそれじゃあ実際に変化してる訳ではないんだな。鏡に映せばバレそう(小並感)」

サイバーZ「フッ……メガデスの技術はそんなチャチな物じゃない」

P(それでなんでお前が偉そうにするんですかねぇ)

サイバーZ「他にもこんな事が出来る。向こうを見てみろ」カチカチ

HKR「……」

P「うわっ、これも催眠なのか?」

サイバーZ「そこにあった着ぐるみを光だと錯覚させたんだ。ただしこれは対象が自分を見た後の一瞬しか効果が続かない」

P「ふーん……この機能、戦いでも使えるのか?」

サイバーZ「いや、メガデスの怪人には大抵効かない……」

P「意味無いじゃねーか! いつ使うんだよこんなの」

サイバーZ「お前の使いたい時に使え」

P「(機会は)ないです」

………
……

サイバーP(と言いつつこんなところで使っちまったんだから分かんないよなぁ……)

OGRSYN「おーい、やんないの?」

サイバーP「え、あ、じゃあやるぞ! チャレンジ入らないみたい第二問!」

『大食い! これ以上入らないみたい~!』

パチパチパチパチ

サイバーP「このクイズは各チーム一名挑戦者を選んでいただきます。こちらでは指名いたしません」

サイバーP「それでまず、この五枚のカードを各チーム一枚ずつ引いていただきます。順番は、ポイントの多い順です」

OGRSYN「それ、俺たち何ポイントなの?」

サイバーP「ゼロに決まってるだろ、甘えるな」

現場監督「なんてぇ親父なの……」

サイバーP「では、GOチームからカードを引いて貰います」

GO「んー、ん? なんか一枚、明らかに目印が付いてんだけど」

サイバーP「引くも引かないも自由ですよ?」

GO「やめとくかな。じゃ、このカード」

サイバーP「では次……」


……

現場監督「もうこの目印の付いたやつしか残ってないじゃん」スッ

サイバーP「そのカードには番号が書いてありますね? それは食べていただく品物と挑戦する順番を表しております」

OGRSYN「ちょっとー、何も書いてないんすけど」

サイバーP「食べ物はちゃんとご用意してあります。五番だと思ってください」

サイバーP「では決まり次第、各チームの挑戦者は品物が用意してある別室へどうぞ!」

RIN「なんで私が……?」

SCK「ボクもあまり食べる方じゃないんですけどねぇ」

GO「お腹減ってるんだよねー」

KNK「お菓子がいいな♪」

現場監督「もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!」

スタスタ……

サイバーP「残った皆様は食事をしている挑戦者を見て、『挑戦者がたちが何を食べているか』を当てていただきます」

サイバーP「もちろん品物の部分はある程度モザイク処理がかかっておりますが、モザイク越しの色や形、そして時間内でどれくらい食べられたかによって推測していただきます」

サイバーP「このクイズはお手付き無しの早押しクイズなのでどんどんお答えください。一問正解につきポイントは20! もちろん気分次第でボーナス有!」

UDK「難しそうですね」

RN「どうしてさっきの流れからまともに番組が進んでるのか、これが分からない……」

サイバーP「一番の挑戦者の準備が出来たようです。それでは、クイズスタート!」

とりあえずここまで

SCK『蓋を開けて食べればいいんですか? 一分間で出来るだけ。はい、分かりましたよ』パカッ

サイバーP(正解はたこやき。ま、簡単な方だな……)

SCK『中々美味しそうですね。いただきます……熱っ!』

RN「箸を使ってない? 手?」

遠野「いえ、何か刺して食べるみたいですよ」

SCK『はふっ、ほんとにあついですねっ! こんなに熱いと、んぐっ、一個食べるのも一苦労ですよ』ゴクゴク

バルカン「よっぽど熱いみたいだな……よし!」ピンポーン

サイバーP「はい、2101チーム」

バルカン「焼き鳥なんじゃねえか?」

サイバーP「違いますねぇ。全くって程でもないですけどね」

UDK「何かもっと小さい食べ物みたいです」

SCK『もくもくと食べてていいんですかね?』モグモグ

サイバーP(にしてもたこやき食ってるだけなのにモザイクかかってると結構エロいな……)

サイバーP(そういう観点で見るとこの後のも結構……あぁいいっすねぇ……)

ピンポーン

サイバーP「おっ、364プロチーム」

RN「……たこ焼き?」

サイバーP「正解! 20ポイントと、そうですね、ボーナスで更に50ポイントあげましょう!」

RN「ごっ50!? そんなにいいの?」

サイバーP「もちろんでございます。364プロに合計70ポイント~!」

SCK『……終わりですか? ごちそうさまでした。 どうです、やっぱりボクは食べてる姿もカワ――』

プツッ

サイバーP「次の問題へいきましょう。挑戦者はこの人!」

パッ

KNK『よろしくお願いします~』

チョット! イマボクガシャベッテルトチュウデシタヨネー!?

サイバーP「外野が少しうるさいようですがこのまま始めましょう。それではスタート!」

KNK『何が出るかな~、わ~っ、美味しそうなフ……危ない危ない』

OGRSYN「いきなり答え言いそうになってるじゃねーか(笑)」

アハハハ

遠野「お皿に一つしかありませんね。これも手で食べるみたいです」

RN「もはや大食いじゃない……」

KNK『いただきます。はむっ……これ、凄く硬いです』

バルカン「熱かったり硬かったり極端だなぁ~」

UDK「細長くて、硬くて、やや茶色っぽくて……」

KNK『思いっきりかじらないと……えいっ!』

RN「縦にもってかじりつく食べ物……」

ピピンポーン!

サイバーP「おおっとほぼ同時に鳴ったぞ~この場合はどうなる?」

OGRSYN「アンタがどっちか決めていいっすよ?」

サイバーP「じゃあ同時にお答えください。合ってたらどっちも正解にします」

RN「ど、同時? じゃあ卯月、せーのでいくよ」

UDK「は、はいっ。せーの……」

RN・UDK「フランスパン!」

サイバーP「正解~! フランスパンは硬いですよね~両チーム20ポイント!」

OGRSYN「はむはむしてるかな子ちゃんも可愛ね~」

サイバーP「お前さっきからやけに構うけどもしかして……三村かな子の事が好きなのか?」

OGRSYN「言っちゃったよぉーもう!」

アハハハハ

サイバーP「さて、ね。次の問題に行きましょうか」

サイバーP(次の正解はアイス。ただのアイスじゃなくて若干溶けかけたミルクアイス)

サイバーP(しかも何故かスタッフがスタッフが食べさせるという変化球な出題)

サイバーP(現場監督以外誰がどの番号引いたか知らないけど、もし挑戦者が李衣菜だったら……)

サイバーP(エロいっ!♂(レ))

サイバーP「(来い! 李衣菜来い!) 続いての挑戦者は……この人です!」

GO『どーもこんちわっす。ってか用意されてないんだけど?』

GO『あ、食べさせてくれんの? いいねぇ~』

サイバーP「……はい、クイズスタート」

GO『あーん、……んーなんかべちゃべちゃしてるね』

ピンポーン

サイバーP「……810プロ」

UDK「アイスです!」

サイバーP「残念。不正解です」

ホリ・トオル「どう見たってアイスですよアイス!」

サイバーP「まあアイスはアイスでも……って感じですね」

OGRSYN「なんか急にテンション下がったな(笑)」

サイバーP「うるせぇ!」

GO『ペロッ、んーいいね。おいしいね』

ベチャッ

GO『ああちょっと~顔に付いちゃったよもう。白いのが』

サイバーP(マジ、誰が得するんだよこれ見て……)

SIY「……」カァァ

サイバーP(お前か……)

GO『んー、美味しかったね。ごちそうさま』

サイバーP「分かりませんか? もう制限時間いっぱいですよ?」

ピンポーン

RN「ミルクアイス、ってこと?」

サイバーP「惜しいですねぇ。ミルクアイスはミルクアイスでも……はい」

「…………」

サイバーP「はい、ではここで時間切れです。正解は、若干溶けてるミルクアイス」

RN「知らないよ……」

バルカン「この番組の悪い所出てるねぇ」

サイバーP「では次の問題……ですが、ちょっと、準備の時間があります。私も別室の方へ向かいますので」

OGRSYN「え? その間どうするんすか」

サイバーP「カメラ止めて休憩! みんなそろそろ疲れたでしょう。んじゃ」スタスタ

OGRSYN「勝手だなぁ……」

サイバーP(人を勝手に熱湯風呂に突き落とす連中には言われたくないんだよなぁ……)

サイバーP「じゃ、そういうことで~」スタスタ

OGRSYN「行っちゃったよぉ」

UDK「えっと、休憩でいいんですか?」

OGRSYN「次李衣菜の番でしょ? そこまでやったらね。多分あいつ次が監督の番だって勘違いしてったから」

遠野「熱湯風呂からもうめちゃくちゃですね……」

OGRSYN「ほんとだよ~何考えてんだろうねぇ」

RN「いや、それ私が言いたいんだけど。台本の流れと全然違うし」

OGRSYN「こんなん俺も知らなかったぉ」

「マジすか? あの人監督が指示したみたいなこと言ってるんですけど」

OGRSYN「マジ? あの人俺には流れ全部言うはずなんだけどなあ」

「なんか怪しくないっすか……?」

OGRSYN「まぁいいよ。監督がそのまま進めてるから。じゃ始めようか」

「カメラ回しまーす、5、4……」

OGRSYN「はい。司会再び俺になって次の問題です。李衣菜ちゃん?」

RIN『はーい! あ、ドーナツみっけ! いただきま~す!』

OGRSYN「(答え)言っちゃったよもう……はえーよ、はえーんだよぉ!」

アハハハハ……

トイレ

「なんです? 現場監督。ってか今入らないみたいの収録中じゃないんすか?」

サイバーP(現場監督)「まま、個室に入って入って」

サイバーP(この変装機能使えるな。現場監督に化ければ局のスタッフは誰でもホイホイ付いてきやがる)

ガチャン

「な、なんすか? ここで何するんすか?」

サイバーP「君、ホモなんだろ?」

「いっいや。でも俺監督ならケツマン処女捧げても……」

サイバーP「……浣↑腸↓っていうのはしたことある? 今日はそれやってもらうから」スッ……

「えっ? いっ、ぎやああああああああ!!!」

ジョボッ、ジョボボボボボ……ジョボボボボボ!バチィッ!ミュリッ…ギュィィッ……ポンッ!ブチィ……ブッチッパ!ピチョン……

とりあえずここまで

別スタジオ

ガチャ

サイバーP「お待たせしました~」キュルキュル

現場監督「遅いよぉ君。それは何?」

サイバーP「やだなぁ現ちゃん~今から食べてもらう料理じゃないですかぁ」

現場監督「なるほどね! なんだか高級レストランみたいで凄いなぁ」

サイバーP「楽しみにしてくださいね~。スタッフさん? 向こうは準備OKですか?」

「え、あ、はい。多分大丈夫っす」

サイバーP「そうですか。じゃあ収録始めましょう」

「それはいいんですけど……何か臭わないっすか? このスタジオ」

サイバーP「さぁなんのことか。お前が屁でもこいたんじゃねえの?」

「なんすかもう。じゃ始めますよ?」

サイバーP(さぁ、ちょっと痛い目見てもらうぞ[ピザ]野郎……)

スタジオ

OGRSYN「えっ? あっち準備出来たって? じゃ始めまーす」

パッ

サイバーP『さあ、続いての挑戦者はこの番組の司会である現場監督!』

現場監督『よろしくね』

サイバーP『監督には特別に、フルコースをご堪能していただきます』

現場監督『全部(お腹に)入っちゃうよ!』

サイバーP『そういう訳なので、クイズと回答は一品ごとにお願いします。OGR、お前も回答席に入っていいぞ』

OGRSYN「うーっす」

サイバーP『それじゃあまずはこのウェルカムドリンクをどうぞ』コト

現場監督『金色だね。なにこれ?』

サイバーP『フッ(嘲笑)。それはクイズですので。さあ皆さま、じっくりお考えください……』

UDK「金色の飲み物って結構絞られますよね……」

ピンポーン

現場監督『まだ飲んでないんだけどー』

サイバーP『2101チーム?』

バルカン「オロナミンCだろ!」

サイバーP『残念、違いますねぇ。続きは監督が少し飲んでからで』

現場監督『いっちゃうよー?』ゴクッ

現場監督『う゛っ』

サイバーP『おっ、どうしました? 美味しいですよねぇ?』

現場監督『ん、そ、そうね。おいしいかな』ゴクッゴクッ

ピンポーン

サイバーP『はい810プロチーム』

ホリ・トオル「CCレモン?」

サイバー『残念不正解!』

遠野「なんでしょうね」

RN「炭酸っぽくはないけど……」

現場監督『っぐ、ん……ぷはぁ』

サイバーP『おっと……監督が飲みきってしまいましたのでここでタイムアップです』

サイバーP『正解はさっき調達した最高級白ワイン』

OGRSYN「分かるかい!」

サイバーP『くくく、なんてな……ひひっ、っくく……』

RN「何、違うの?」

サイバーP『いえいえ、ワインですよ。では一品目に参りましょうか』

サイバーP『一品目は……コチラです!』パカッ

現場監督『!?』

サイバーP『どうしましたぁ~? あまりのかぐわしい香りに目が眩みました~?』

現場監督『そ、そうね。美味しそうだね。じゃ、いただきま──』

ピンポーン

サイバーP『チッ……364プロ』

RN「パスタ」

サイバーP『パスタはパスタでも?』

RN「ミートソースの、パスタ。これ以上意地悪なら知らない」

サイバーP『まあ、正解でいいでしょう。364プロにはボーナス含め80ポイント!』

RN「えぇ……」

OGRSYN「ちょっとーボーナスあげすぎなんじゃないっすか?」

サイバーP『いいんだよ。じゃ監督、召し上がってください』

現場監督『えっ? いやでも、正解しちゃったよ?』

サイバーP『折角ですからね? 一口どうぞ』

現場監督『そ、そうね。じゃあちょっとだけ』クルクル

サイバーP『折角なんだからもっと沢山! 俺が食べさせてあげますよ!」クルクルクル

サイバーP『ほら、アーン! よく噛んで!』

現場監督『んぐっ、んぐんっぐ……』

クチャッ、グチャグチャッ……

RN「うわっ」

UDK「ソースの色、何か変じゃないですか……?」

サイバーP『お味はいかが?』

現場監督『(面が)太すぎるッピ……』

サイバーP『じゃ、次行きましょうか。続いてはご飯の付け合わせを当てていただきます』

OGRSYN「フルコースとか言ってていきなり和にシフトしたぞ(笑)」

アハハハハ

サイバーP『監督に食べていただくご飯の友はコチラです』パカッ

現場監督『ふ、太い!』

バルカン「茶色? 黒いのか?」

UDK「こんなおかず見たことないです」

サイバーP『ほかほかのご飯に乗せてお召し上がりください』

現場監督『じゃ、じゃあ食べようか……』パクッ

現場監督『う゛っ、う゛え゛っ゛!』

サイバーP『おっと喉につまってしまいましたか? 先ほどドリンクまだまだありますのでどうぞ』

現場監督『いっ、いや……』

サイバーP『いいから飲め!』グッ

現場監督『ぐはぁ! 太゛い゛!太゛い゛の゛が゛入゛っ゛て゛る゛』ゴキュゴキュ

RN「なにこれ?」

OGRSYN「やっぱちょっとこれヤバイかもな……」

サイバーP『お味! お味はどうなんです監督!』

現場監督『おっ、お太い(はんなり)』

サイバーP『太いしかいえねーのかこの猿ゥ! おらもっと食え!』

現場監督『んぐっ、もきゅ、ハイチュウ! ハイチュウ!』モグモグ

バルカン「これもうわかんねえなぁ」

RN「ぐちゃぐちゃになっちゃってるし……」

サイバーP『……ふぅ。ではこの辺でタイムアップにしますか。正解はふ菓子! 黒いふ菓子食べたことあるでしょ、アレね』

UDK「えぇ……? ふ、ふ菓子ですか」

RN「崩れた感じ、何か練り物だと思ったんだけど」

サイバーP『じゃ、いよいよメインディッシュにいきますか』

現場監督『こ、これ以上入らないみたい』

サイバーP『あぁ? そのデカイ腹にこれだけしか入らない訳ねえだろタコ』

サイバーP『さあ、メインディッシュはみんな大好きなこれ!』パカッ

現場監督『わ、わあ。これまた凄い臭いだね……』

サイバーP『ええ。まあただのカレーじゃありませんがね……ここからは監督にこのカレーを死ぬほど食べてもらいます』

スタッ、スタッ、スタッ

現場監督『ええっ!? ちょっとちょっと!』

サイバーP『ほら、食べて食べて』

ピンポーン

サイバーP『どうした、早く食べろよ』

ピンポーン ピンポーン

現場監督『ぴ、ピンポン鳴ってるよ?』

サイバーP『うるせぇ! 食わねえなら俺が食わすぞボケ!』カチャッカチャッッ

『おい! いくらなんでもやりすぎじゃないのか!』

サイバーP『あぁ? テメーも食いたいのか? たっぷり食わせてやるよオラァ!』ヒュン!

『ひっ、なんだこれ! く、臭い!』

現場監督『F.C.O.H! F.C.O.H! F.C.O.H!』

「……………………」

遠野「あ、あれ本当にカレーなんですか……?」ボソッ

RN「わかんない……」

OGRSYN「お、俺ちょっと行ってくるわ!」タッタッタッ

サイバーP『オラッ、食え! お前のために俺含め十人分のルーを作ったんだぞ!』

現場監督『アハンアンアハァンアン……イェイイェイアハン』

UDK「カメラがカレーで汚れて何も見えないんですけど、これは……」

ホリ・トオル「収録どうなるんすか? これ」

「お蔵入りかもねぇ……」

ホリ・トオル「うざってぇ」

サイバーP『いいカッコになってきたぜお前? もう全身糞まみれだなおい!』

RN「…………いや、まさか。ね」

別スタジオ

ガチャン!

OGRSYN「おい! お前一体なにやって……!?」

現場監督「おまんこがこわれちゃう! 女の子になっちゃう!」

サイバーP「入ってんの?」

「入ってる入ってる! 監督のケツすっげー気持ちいいよこれ!」

現場監督「太いっ、太いのが入って……おまんこ」

OGRSYN「えちょまってこんな状況ええん!?」

サイバーP「お、お前も来たか。お前もこのクソ監督と並んで俺をハメたよな」

OGRSYN「え、何? それってどういうこと?」

サイバーP「すっとぼけんじゃねえよお前。人をガチの熱湯風呂なんかにぶちこんでさ。65℃℃ですって? 馬鹿過ぎる!」

OGRSYN「も、もしかしてそれだけでこんなこと……」

サイバーP「それだけ……? 傷害致死未遂だぞボケが! お前も今から同じ目にあわせてやるからな? コラ」

OGRSYN「あ、あんな目……」チラッ

「あーイク!イクイクイク!」

現場監督「ああおまんこ! おまんこ!」

サイバーP「安心しろ。ちょっと前からカメラとマイクは切ってあるからよ。アイドルにこんな場面は見せられないよなぁ?」

OGRSYN「ひっ……」

OGRSYN「」ズサ……

サイバーP「おおっと~スタジオから出ることは出来ませ~ん」バタン!

OGRSYN「ひいっ! お、お前! 俺の前に居たのに後ろっ!?」

サイバーP「悪いけど今の俺は一般人114514人ぐらいの強さだから。逃げられる訳がなぁ~い」

OGRSYN「な……一体なんなんだよお前は!」

サイバーP「俺か? 俺は正義の味方──」

ドガァーン!

サイバーP(爆発っ!? 俺の後ろすなわちスタジオの入口が吹っ飛ばされたってことか?)

OGRSYN「なん、だよ、もう……」ガクッ

サイバーP「誰だ調教の邪魔をする奴は? 出てこい!」

シュウッゥゥゥゥ……

RN「私は逃げも隠れもしない……それよりアンタこそ正体を現したら?」

サイバーP「げえっ!? り、凛!」

RN「気安く名前呼ばないで。アンタの事なんて知らないから」

サイバーP「知らないってお前なぁ……ああ声を変えたままだったか? 俺だよ俺」カチカチ

RN「なおさら話したくないね。出来ればもっと別の声にしてくれない?」

サイバーP「いやいやいや……プロデューサーだよ? 凛。お前のプロデューサー!」

RN「……だから、プロデューサーのふりをするのは止めてって言ってるでしょっ!」ブンッ

サイバーP「うわあーっ! 分かった! 話せばわかる! とりあえず落ち着け!」

RN「メガデスなんでしょ? なんでこんな事してるか知らないけど」

サイバーP「こんな事って……」チラッ

「な、なんすかこれ……萎えちゃいましたよもう……」

現場監督「こすってこすって……」

サイバーP「みーっ、見るな凛! お前にこれは刺激が強すぎる!」

RN「さっきからなれなれしいんだけどッ!」ブンッ

サイバーP「ま、マジで話を聞いてくれー!」

バタン、タッタッタッ

RN「待て!」

タッタッタッ

サイバーP(はーっクソ! なんで正義の味方が退治されなきゃいけないんだっての)タッタッタッ

サイバーP(一体何をどうすれば俺がメガデスだなんて勘違いをするのか)タッタッタッ

サイバーP(見た目……は確かにサイバーZの色違いだからメガデスと関連付いてるか)タッタッタッ

サイバーP(でも俺が何した? まず凛たちに正体がバレないように変声、更に俺がスタジオに居るように錯覚させた)タッタッタッ

サイバーP(その後は番組をちゃんと進行……はしてないかもしれないけど)タッタッ

サイバーP(その後局の職員数名トイレに連れ込んで浣腸で料理、現場監督に糞のフルコースを振る舞って……)タッ

サイバーP(最終的に番組はめちゃくちゃで現場監督が腹筋ボコボコにパンチ喰らってレイプされる……)

スタスタ……スタッ

RN「何、観念して倒される気になった?」

サイバーP「いや……一つ気づいたよ」

RN「?」

サイバーP「人間強すぎる力を手にするとつい、ホモの道に走ってしまうってな……」

RN「蒼の剣を受けよ! アイオライトブルー!」

サイバーP「屋内で使うなー!」

ドガガァァーン!

とりあえずここまで

(前スレがRに移転されなかった理由は分から)ないです
このスレをRで立てなかった理由は……ナオキです
ま、元のホモビも某動画サイト等で全年齢に向けて公開されてるから多少はね?

パシイッ!

RN「受け止めた!?」

サイバーP「えっ!? あっ、み、見切ってるのか!?」

RN「ッ……」シュタッ

サイバーP(おいおい……反射的に体が動いてなかったら普通に斬られてたぞ……!?)ダラダラ

RN「だったら……!」

サイバーP「まっ待て! ホントに待て! これ以上テレビ局を破壊しようとするな!」

サイバーP(今のは俺が受け止めたから床に爆発痕が残るくらいで済んだけどこれ以上は洒落にならん!)

RN「人に来られるとまずいってワケ? この前みたく一般人の動きは止められるんじゃないの」

サイバーP「そんなことできるか!」

RN「ふーん、嘘……スタジオは凍りついたように静かだったけどね」

サイバーP「それはひょっとしてギャグで言っているのか?」

RN「はぁ?(威圧)」カチャン

サイバーP「待て、待てって。俺はメガデスでもなんでもない! 話を聞け!」

RN「…………」

「お、おい! こっちだぞ!」「なんだ今の音!?」タッタッタッ

サイバーP「やはりヤバイ(再確認)」タッタッタッ

RN「あっ、ちょっと!」

サイバーP「はっ、はっ、はあっ」タッタッタッ

サイバーP(おかしいな、変身してるのに息が切れてきたぞ……)タッタッ

サイバーP(いやそんなことより、どうやってここを切り抜ける? このままじゃ殺されちまうよ)タッタッタ

サイバーP(……とにかく話すしかない。それでも駄目ならもう──)

タッタッタッ

サイバーP「こっちだ!」

RN「空いてる楽屋なんかに入ってどうするつもり!」

ガチャ、バタン!

サイバーP「この狭い部屋なら剣も扱いづらいだろうからな」

RN「得意な間合いに連れ込んだ、と……そんなんじゃ甘いよ」ピカァァ

サイバーP「だから話を聞けっつってんじゃねーかよ(棒読み)」

RN「……何を話すっていうの?」

サイバーP「いいか、俺がメガデスじゃなくてモバPって証拠はいくらでもあるんだよ」

RN「姿形でも似せるつもり? そんなんじゃ騙されないけど」

サイバーP「……凛、お前今日は朝九時に事務所に来たな」

RN「!?」

サイバーP「その後九時半に李衣菜や遠野とテレビ局に向かった。そこで田所もとい野獣の情報収集をしたよな」

RN「そ、そんな……」

サイバーP「やっと分かったか? 俺じゃい!」

RN「……メガデスは既に私やプロデューサーを常に監視してたんだ」

サイバーP「あらららら」ガクッ

サイバーP「何処をどう解釈したらそうなるんだよ!? お前そこまで堅物だったか?」

RN「まず、プロデューサーだとしたらこんな姿をしてる意味が分からないし」

サイバーP「サイバーZからベルトを貰ったんだよ! 熱湯風呂で本当に死にかけたから仕方なく変身したんだよ!」

RN「嘘。サイバーZはメガデスを倒すために姿を消したの」

サイバーP「じゃあぴにゃこら太に入ってた俺はどうなったっていうんだよ、死んだのか!?」

RN「ぴにゃこら太には始めからアンタが入ってたんでしょ?」

サイバーP「え、うん。そうだけど」

RN「だったら後は、アンタを倒してプロデューサーの居場所を聞き出すだけ」カキャッ

サイバーP「いやそうじゃなくてだねぇ、もう本当に……」

ドクン

サイバーP「うっ……!?」

サイバーP(なんだ……体が急に重くなってきた……)

ズキン

サイバーP「うわあッ……ッ!」

RN「な、何!?」

サイバーP(そ、そういえば……サイバーZがあまり長時間の変身はするなと言っていた。身体への負担が大きいから)

サイバーP(事実、前初めて変身した時は気絶したまま朝までグッスリだったし……)

サイバーP(ってことは俺、今変身解除したらどうなっちまうんだ!?)

ギギギギギ

サイバーP「────ッッ! 」

サイバーP(どの道もう変身を解いて見せるしか誤解を解く方法は無さそうだし、もう……!)

サイバーP「変身解除!」

RN「!」

カァァァーァッ!

モバP(以下、P)「っはあっ、ハア、っく、はあっ……」

RN「ぷ、プロデューサー!? いや、でも……」

P「信じて、くれ……はあっ、さっき言った事は全部、本当……ベルトも、腰に……」フラフラ

モバP(だ、駄目だ……やっぱり意識を保てない……)

RN「ちょ、ちょっと!?」

P「悪かった、せっかくの卯月との共演……ひっかき回して……」

RN「えっ、いや……」

グラッ……

RN「!?」

バタン

P(倒れる方向すら変えられず、凛にもたれ掛かってそのまま意識は薄れていった……)

とりあえずここまで

???

P「……ぅ、うぅ、んん?」パチッ

「起きた!」

P「んあー、クォクォア……俺いつ寝たっけ……?」

「プロデューサーさん起きた!?」「成功したんですね!」

P(そもそも寝たんじゃなくてだな、寝たのではなく気絶……気絶!)

「私の事分かる? ほら、手。見える?」フンフン

P(目の前に凛の顔がある。寝かされてるのか)

P「っあ……分かる、分かるよ凛」

RN「良かった……」

「ホッとしました」 「はい、本当に……」

P(まだ感覚がはっきりとしないが、長時間寝てたわけじゃなさそうだな。ここは病院なんかじゃなくてテレビ局の楽屋だ)

RN「数。言ってみて」グッ

P「指の本数ってことか? 二、三、五……」

ポポポポポポ

「BodySensor……」「田所さん!?」

RN「ちょ、ちょっと!?」グイッ

P(な、なんだ!? なんでここで野獣が出てくるんだ!?)

野獣「戊辰戦争」

ブスッ

P「うぎえぇっ……!?」

P(謎の指圧攻撃で、戻りかけた俺の意識はまた途切れ──)

P(──なかった。それどころか……)

P「なんだこれ、身体がすっげえ軽くなったみたいだ」ムクッ

野獣「」ポポポ

RIN「起きても大丈夫なんですか?」

P「ああ、全く問題ないみたいだ。でもどうやって? 今のは一体なんだ?」

UDK「先輩の代わりに私が説明しますね」

P「卯月!? あ……うん、よろしく」

UDK「先輩のゴーグルには『ボディセンサー』が付いてるんです!」

P「ボデーセンサー?」

野獣「Bodysensor(ネイティヴ)」

UDK「センサーを通すと、その人の身体の状態やツボの位置を把握出来るそうなんです」

P「ツボ? ツボってマッサージとかで聞くアレ?」

UDK「はいっ。私も肩こりとかを治して貰ったことがあるので、プロデューサーさんにも絶対効くと思って」

P「なるほど、ツボ押しねぇ……確かに効果バツグンだな」

P(気絶から覚めるどころか疲労もかなり抜けた感じだ)

UDK「えへへっ、良かったです!」

P「説明ありがとな卯月。それと野獣もサンキュー」

遠野「それと、って、メインは先輩ですよ!」

P「分かってる分かってる。それより俺はどのくらい眠ってた? 収録はどうなったんだ?」

RN「三十分も経ってないよ。収録は中止」

P「中止か。やっぱりそうなるよな」

P(っていうか爆発とかあったんですけどそれは大丈夫なんですかね……)

遠野「災難でしたね、プロデューサーさん」

P「え?」

P(そう言われても凛がどう説明したのか、どこまで知られてしまったのか……)

RN「本当にそうだね。可哀想だよ」ジッ

P「おっ、どうしました?(挑発)」

RN「現場監督に付き合わされて熱湯風呂に入れられて。さっきも爆発に巻き込まれて大怪我する所だったもん」

P(なんだと?)

RIN「現ちゃんは好きだけど、あそこまで無茶苦茶する人だとは知らなかったなぁー。ロックだけどね」

P「いやえーっと、それはつまり?」

グイッ

RN「卯月たちには今のところ、爆発とか全部現場監督のサプライズ演出でごまかせてるから」コソコソ

P(責任を全て押し付けていくのか……まあ変身だのなんだの説明出来ないから仕方ないかもしれないけど……)

RN「ただ、スタッフには──」

ドン! ガチャ

P「な、なんだ!?」

OGRSYN「オタクのプロデューサー起きて……おっ起きてんじゃねーか! お前来い!」

UDK「待ってください! プロデューサーさんは今起きたばかりで」

OGRSYN「そんなこと言ってられないのよ卯月ちゃん。事情聞けるのはコイツしか居ないんだから」

P「分かってる。行きますよ」

RN「私も付いていった方がいい?」

P「いや、いいよ。一人の方が良さそうだ」

P(といったものの、下手な説明は即アウトだぞ……)

会議室

OGRSYN「監督、連れてきましたよ~?」

現場監督「…………」

P(会議室の中には番組スタッフが勢揃いしており、こちらを睨み付けている……)

P「か、監督も居るじゃないか。事情を聞けるのが俺だけってのはどういう事だよ」

OGRSYN「その監督がアンタが来るまで話さないって言ってるのよ!」

P「そ、そうか」

OGRSYN「……正直俺たちはアンタが勝手に番組をめちゃくちゃにしたって思ってるんだよねぇ」

P「…………」ゴクリ

P(俺への視線はより鋭くなっていく……)

現場監督「ねぇ? ちょっと二人だけで話させてくれない?」

OGRSYN「二人っすかぁ? まあいいっすけど」

現場監督「じゃ、こっち来てよ」

P「あ、ああ……」

廊下

P(壁を背にして現場監督と対峙する……)

現場監督「はっきり言って君、このままじゃ終わりだよ」

P「なっ……」

現場監督「俺が会議室に戻ってぜーんぶ話したら、君はねぇ、女の子になっちゃう!」

P「は?(困惑)」

現場監督「分からないかなぁ。一生俺達の性奴隷ってこと」

P「う、うせやろ?」

現場監督「まあ、それを拒むなら警察に電話させてもらうね?」

P「…………」

現場監督「でもね、一つだけ助かる道があるのよね」

P「! そ、それはなんですかね?」

ドン!

P(きゅん……これが噂の壁ドン……っておいおいおいおい!? まさかここで)

現場監督「女の子にして……そしたら責任被ってあげるわよ?」

P「ヴォエ……ッ」

P(どれを選んだってノンケを止めるしかないってことじゃないか!)

現場監督「さあ、選んで選んで。ケツマンコばっかりじゃねえよ?(選べるオプション)」

P(嘘つくためにホモになって、それでこの先大丈夫なのかよぉ……)

とりあえずここまで

P(焦るな、抜け道が無いか揺さぶってみるんだ)

P「……あの、わざわざ俺に選択させる意味はなんです?」

現場監督「どういうこと?」

P「えーっとその、俺を犯したかったら、有無を言わさず性奴隷にしてしまえばいいじゃないですか。わざわざ俺を庇う必要がない」

現場監督「タチとネコの違いもわからないなんて言わせないよ? 性奴隷にしちゃうと君はもう攻めにはなれないの」

P「知らないっつの……」

現場監督「まあそれはそれとして。第一ね、俺は女の子にして、って言っただけだよ?」

P「え?」

現場監督「それを勝手にそういう意味に捉えたのは君だよ? この変態親父め(`・ω・´) 」

P(こ、こいつ~! もう一回変身してこの場でぶっ飛ばしてやろうか!?)

現場監督「でもね、君がしたいならもちろん……」

P「するか! それより、その女の子云々がどういう意味なのか教えてくださいよ」

現場監督「じゃあまず、これを見てくれるかな?」スッ

P(やわらかスマホ? 何かの表が写って……えっ!?)

P「こ、これもしかして……」

現場監督「そう。まだ正式発表はされてなかったよね?」

P「どうやって手に入れたんですか? まさかデタラメじゃないでしょうね」

現場監督「そんな訳ないでしょ? この業界のお偉いさんから特別に貰ったの」

P「枕で?」

現場監督「アハンアンアハァンアン……イェイイェイアハン」

P(芸能界はホモ)

P「でもこれがどういう……そりゃあウチにも関係大有りですけど」

現場監督「だから女の子にしてってこと、ステージの上で」

P「はい……?」

現場監督「察しが悪いねぇ。つまり──」

ガチャ

OGRSYN「監督ぅ~、もう長いっすよ話~」

現場監督「悪いね。ちょっと謝ってたんだ」

OGRSYN「謝ってた?」

現場監督「そうそう。無茶苦茶付き合わせちゃって悪いね~って」

OGRSYN「え~っ、じゃあ監督が全部そいつと二人で仕組んでた事だったんすかぁ!?」

現場監督「あ~許して亭許して!」

OGRSYN「いえそんな~監督がやったのなら別にいいんすよ!」

現場監督「なんてお優しい人なのだ(昭和の文豪)」

アハハハハ!

OGRSYN「いや~悪いね! アンタの事も疑って!」トントン

P「あぁ、いやいいんだ……」

P(結局、俺は現場監督の取引に応じた。他に上手い方法があったかもしれないが、それを考えている余裕は無かった)

P(ホモセックスの強要じゃなかっただけマシと思いたいが、もしかしたらそれと同じだけひどい事を俺は引き受けてしまったのかもしれない……)

364プロ楽屋

ガチャ

P「ハァ~(クソデカ溜め息)」

遠野「どうしたんですか、戻ってきて早々」

RN「……ダメだった?」

P「いや、それは上手くいった。上手くいったんだが、なぁ……」

RIN「え、何の話ですか?」

P「あぁこっちの話こっちの話。そういや、卯月と野獣は?」

RN「それならさっき、あのプロデューサーが迎えに来て行ったよ」

P「そうか。結局、生身で会えたのに何の話も出来なかったな」

RIN「な、生身?」

遠野「僕もあれだけ近くに居て先輩と話すことは出来ませんでした。でもいいんです、傍に居れただけで」

P「そ、そうか。……とりあえずここはもう出よう。行くぞ」

RIN「はーい。そうだプロデューサーさん、これもう収録は無くなってお蔵入りってことですか?」

P「いや、現場監督はやるって言ってたよ。ただそれは……IUが終わった後にでもだと」

RIN「ずっと先じゃないですか~、楽しみだけど残念だなぁ」

P(本当はもう二度と関わりたくないんだけどな。半分自業自得とはいえ、今日は本当に散々だった……)

とりあえずここまで

数日後

P(あれから凛としっかり話せていない。もちろん多忙のせいなのだが、やはりあの時の誤解で少し気まずくなってる気がする)

P(なんとかしなきゃと思いつつ、今日も結局挨拶ぐらいしか出来なかったのだが……)カタカタカタ

ピーッガガガガ

MUR「何印刷したんだ?」

P「そりゃあ仕事の資料ですよ」

MUR「へぇ」ペラッ

P「あっちょっと!」

MUR「……ライブ会場の資料? これ誰の奴だゾ?」

P「いや……今度の奴ですよ今度の。一回戦の会場は予め全部発表されてますから」

MUR「どの会場になるかも分からないのに把握しておくなんて凄いゾ!」

P「んまぁそうでもないっすよ。それに今度は……生半可な演出じゃいけませんからね」

MUR「そうだよ」

ピピピピピ!

P「なんだこんな時間に……もしもし?」pi

タカダキミヒコ『あっ、どうも』

P「なんですか? とっととお願いしますよ」

タカダキミヒコ『そちらのアイドルが一人、こちらでレッスンをしているのですが』

P「こんな時間に、しかも一人で……? 誰ですか?」

タカダキミヒコ『渋谷凛さんです。問題がないのならそれでいいのですが』

P「凛!? す、すぐ行きます!」pi

イニ義事務所 レッスンスタジオ

RN「……っ、ふっ、はあっ」タタッ

P(軽快にステップを踏んでいる……)

P「凛?」

RN「!? ……プロデューサー。ビックリした」

P「ごめんごめん、それよりどうしたんだよこんな時間に。もう帰ったんじゃなかったのか?」

RN「最近、レッスン全然無かったから。動きとか忘れないように」

P「忘れないって、まだ一回戦でやる曲も振り付けも決めてないだろ?」

RN「そうだね。決めないの? 早めに練習を始めて損はないと思うけど」

P「う、いや、それは……」

RN「?」

P「それは置いといて、まずトレーナーも居ないんじゃレッスンにならないじゃないか」

RN「まあ、体だけ少し動かしておこうかなって。それに」

P「それに?」

RN「こうしてたらプロデューサーが来てくれるんじゃないかって、ちょっと思ったり」

P「…………」

RN「プロデューサー?」

P(俺がうじうじしてるから、こうやって凛に気を遣わせちゃってるじゃないか!)

P「あーもう!」

RN「何もう……どうしたの?」

P「凛! この前戦えなかった分、今好きなだけ俺をぶっ飛ばしちまえ!」

RN「はい?」

P「クイズ入らないみたいの時だよ。凛が勘違いするのも無理ないさ。結局あれは、熱湯風呂に落とされた事への意趣返しだったんだから」

RN「そう言われて、プロデューサーを攻撃するアイドルが居る?」

P「……とにかく、あれは俺が勝手に暴走しただけで凛は全然悪くない。これだけははっきりと伝えたかった」

RN「私も悪いよ。勝手な正義感振りかざしてプロデューサーを攻撃して、スタジオも一つダメにしちゃったし」

P「いいや! 俺の方が悪いね」

RN「これ以上は平行線だよ。それに本当に迷惑してるのはテレビ局の人か、他の出演者。李衣菜なんてすごく残念がってたでしょ?」

P「う、確かにそれはそうだ……」

RN「謝るのはプロデューサーじゃなくて、攻撃した私。ごめん」

P「あ、いえいえどうもこちらこそ」

RN「それにむしろ、あれのおかげで嬉しかった事もあるから」

P「え、なにそれは」

RN「プロデューサーが倒れてくれたから楽屋で卯月と話せたんだ。雑談してたり、他愛無いことで笑ったり……」

P「それを聞いて、少し気が晴れたよ。ありがとな」

RN「私がありがとうなんだけど……でももうやめてよね? 今度は警察に捕まっても知らないよ」

P「その時は警察も倒せばいいんじゃない(適当)」

RN「正義のヒーローがやることじゃないでしょ……」

P「ははは、大丈夫大丈夫。第一、変身解除した途端気絶するんじゃ本当のピンチ以外使いたくても使えないよ」

RN「そっか、そうだね。……ねえ、そういえばちょっと気になってたんだけど」

P「どうした?」

RN「スタッフの人たちにはどう説明してごまかしたの?」

P「それは……」

RN「まさか、本当はごまかしきれなかったんじゃ」

P「まあ、当たらずとも遠からず。俺は現場監督の条件を呑んで、責任を肩代わりして貰ったんだよ」

RN「どんな条件?」

P「……先に謝る。本当はあの後すぐにでも言わなきゃいけなかった事だ」

RN「…………」

P「IUの一回戦、『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』は『巨根肉弾戦』と対戦する。あの現場監督のユニットだ」

RN「え? でもまだトーナメント表は……」

P「現場監督が確かな筋から得た情報らしいから、ほぼ間違いない。そしてそのLIVEバトルで俺は──」

P「凛。お前たちと戦わなきゃいけないんだ」

RN「……!?」

とりあえずここまで


……
………

現場監督「察しが悪いねぇ。つまり君には、今度のステージで俺達のライブ演出をやってもらいたいんだよね」

P「は、はぁ? 冗談はよしてくれ」

現場監督「本気だよ。いいわいいわいいわ、君の演出がいいわ」

P「ふっふざけんな!(キュピッ) 出来るわけないだろ!」

現場監督「だからってそれを選んだらどうなるかは分かるよね?」

P「うぐ……ならせめて、どうしてこんなことを頼むのかを説明してくれ」

現場監督「決まってるでしょ、君の腕を見込んでだよ!」

P「なんだよ俺の腕って……(哲学)」

現場監督「IUの予選において君は364プロ演出を一人でほぼ全て担当した。普通はここまでやらないよ……特に君の場合、振り付けまでこなせるそうじゃない」

P「なにも毎回目新しい事をやったわけじゃないですよ。それに振り付けだって、専門家に少し意見したのが採用されただけだ」

現場監督「とぼけちゃって。その頭にもっとぶっといの(アイデア)入ってんじゃないの?」

P「そんな上と下(演出とダンス)まで両方こなせる器じゃありませんって」

現場監督「こいつすげぇ謙虚だぜ? 自分のユニット全部予選突破してるのにさ、誇らしくないのかよ?」

P「……おだてたって出来ないことは出来ませんよ」

現場監督「そう? じゃあ……」

モギッ

P「あっヒイっ! どっどこ触ってんでぃ(江戸っ子)、どこ触ってんだお前!?」

モニュン

P「あっ、あっ……」ビクビク

現場監督「君が断ってもこの場で調教しちゃうだけなのよ。結局、どれを選んでも結果は同じ」

P「うるさいんじゃい! 放せよ!」バッ

現場監督「俺達の性奴隷になるだけならまだしも俺が警察に通報したら君、最悪強姦の教唆犯になるかもよ?」

P「いつ俺がレイプ犯になったっていうんだよ!?」

現場監督「自分がノンケのプライドでヤれないからってウチのスタッフに犯させたじゃない」

P(犯させたのは事実だけどノンケのプライド云々なんて一言も言ってないんですが、それは……)

現場監督「思い出した? THE(じゃ) お願いしますと言ってみろ(SIMPLE2000シリーズ)。引き受けますから奴隷調教は勘弁してくださいって言ってみ」

P(こ、このクソホモが……もう怒ったぞ、やっぱりぶっ飛ばす!)

P「覚悟しろよ! 変身!」

現場監督「!?」

「………………」

P「……あれ? 変身! どうした、変・身! へーんしーん!」

現場監督「へんしん、返信? なら早く聞かせてよ」

P「ま、まさか……」ガサガサ

P(べ、ベルトが無い! 寝てる間に外されちまったのか!?)

現場監督「おおっもしかしてここで脱ぐの? この変態親父め!」

P(変身出来れば変装機能を使っていくらでもごまかしがきくっていうのに……!)

P「ちょ、ちょっと一旦戻ってアイドルと話を」

現場監督「ダメ。これ以上の時間稼ぎはもう許さないよ」

P(大丈夫だ、楽屋までなら逃げ──)スッ

現場監督「次変な動きしたらイカせ隊を出動させて即、女の子にする。スタージュエルで滅多挿しにして女の子になりそぉ……」

P(隠れて見られてるって? 何が二人きりの話だよ!)

P「っ……分かった。最後に一つだけ教えてくれ」

現場監督「なにかな?」

P「俺がこの番組に出たいと言った時から、形はどうあれこうなるように計画していたのか?」

現場監督「さぁそれは、どうなのかな? まあ君のアイドルと対戦する事は知ってたけどねぇ」

P(だとしたら今回の出演者……。この収録自体、現場監督がIUで戦い抜くための戦略だったのか?)

現場監督「最後だよ。素直に受けるか、散々犯しつくされた後受けるか。選ぶんだ」

P「……分かった。今度のライブ演出は引き受ける」

カチッ

現場監督「はい、言質はとったよ。後から翻意しても認められないからね」

P「! いつから……」

現場監督「それと後から不正だなんだ言われたら面倒だから、IU運営には君がこっちの演出を担当するとしっかり申告しておくよ」

P「くっ……ご自由にどうぞ」

現場監督「IUで優勝する未来が見える見える、太いぜ」

P(クソっ、結局手のひらの上で踊らされただけじゃないか……)

………
……

P「……『お前らの調教になんて絶対負けるものか!』 なんて格好付けられたら良かったんだけどな」

RN「いや、それ絶対負けるから」

P「やっぱり?」

RN「……それに、もし本当に警察に通報されたり、訴えられたりしたらどうなるか分からないよ。だから」

P「仕方ない。とは言ったものの、やっぱり俺は心苦しいよ」

RN「…………」

P「っといかん、やっておいて何言ってるんだって感じだな。すまん」

RN「……ベルト、私が外しちゃったから。アレがあったら大丈夫だったんでしょ?」

P(俺が倒れた後すぐに、凛はベルトを着けてたままだと危険かもしれないと判断して外したというのだ)

P「起きた時に気付かなかった俺の責任だよ。凛は俺を助けようと思ってしたんだから」

RN「いや、でも」

P「これ以上は平行線、だろ? 俺が言うのもなんだけど、こうなった以上はこの先どうするか、だ」

RN「……そうだね。私たちのライブをどうするか」

P「それで一つ思いつきがあるんだが、凛。お前が演出を考えてみないか?」

RN「えっ……私が?」

P「もちろん細かい所まで全部やってくれなんて言わない。あくまで案を出してもらうだけだ。俺がやってたみたいに」

RN「ちょっと待って。確認したいんだけど、プロデューサーは次のライブの演出は出来ないって事だよね?」

P「現場監督がIU運営に問い合わせたら、俺が現場監督のライブ演出を担当するのは特に問題ないらしい」

P「ただその場合、凛たちのライブ演出に関与してはいけないそうだ」

RN「まあ当然、なのかも分からないけど……」

P「運営だってまさかこんな訳の分からん申し出があるなんて思ってもいなかっただろうからな、とりあえず不正に繋がる一番大きな可能性を潰したんだろう」

RN「だったらいっそ、そんな申し出却下して欲しかったけどね」

P「文句を言っても仕方ないさ。俺は今回の凛たちのライブに関してはせいぜい、要所での連絡役が限界だな」

P(そういえば現場監督はトーナメント表を枕で手に入れたなんて簡単に言ってたけど、これ普通に運営の失態じゃないですかね……)

P「それで、どう? (アイデア)出そう?」

RN「む、無理だよ。何も思い浮かばない」

P「遠野とまゆと、三人で決めたっていいんだ。やってみないか?」

RN「そんなに私に拘らなくても、専門の人にお願いした方がずっといいと思うんだけど」

P「お前のライブが好きだったんだよ!」

RN「なっ、いきなり何言ってるの?」

P「四次予選で見せたあのアドリブ。あれを見て思ったんだ、お前たち三人は俺抜きでも輝けるって」

RN「そんなこと……」

P「駄目か? もし駄目ならはっきり駄目って言ってくれ、それで諦める」

RN「え、っと。いや……だ……」

P「そうか、嫌か。それならまあ、仕方なーー」

RN「いや! えっと……ダンスとかも、さ、考えなきゃいけないんじゃないの? 演出って」

P「確かに新曲となったらそれもあるけど、それは普通、振付師に依頼するものだ。気にしなくてもいい」

RN「そっか、新曲なら……」

P「どうだ?」

RN「……やりたい曲があるの。もしかしたら難しいかもしれないけど」

P「絶ッ対やらせる! どの曲だ!?」

RN「『心もよう』……ニュージェネレーションズで歌った曲を」

とりあえずここまで

ーーーー

P(それから数日、トーナメントの組み合わせが正式に発表された)

P「これが今回のトーナメント表だ」

遠野「あの現場監督さんと当たるんですか」

RIN「い、一回戦から810プロと当たるの!? っていうか次も……」

NTK「へへっ、燃えてきたぜ」

TDN「…………」

MUR「すっげぇワクワクしてきたゾ~」

P「まあ大体どこが勝ち進んでくるかは分かるだろうけど、先の対戦よりまずは目先の一回戦だ。みんなレッスンを一生懸命やって、心構えをしっかりな」

P(一回戦の8試合は同じ会場で一気に行われる。予選とは違う雰囲気に対応するためには技術だけでなくメンタルも必要だ)

P「それじゃあ今から、ユニットごとにライブの打ち合わせをするぞ。まずは多田野たちから来てくれ」

TDN「はい!」

P(多田野と木村たちは段取りを決めてしっかり指導すれば大丈夫だが、問題はまゆと遠野に今回の事をどう説明するかだ……)



……
………

P「……よし、じゃあこれで決まりだな。相手が810プロだからって気圧されるなよ?」

RIN「だだ大丈夫です! 震えてません!」

NTK「だりーって結構、大坊バカに出来ないぐらいはビビリなんじゃねえか?」

RIN「そんなことないって! ビビってないし!

KMR「なるほど、言えてるかもしれませんね」

RIN「ちょっとぉ!? これは武者震いだもん!」

P「震えたのは認めたな」

RIN「あーもうプロデューサーさんまで……」

P「ははは。冗談だ、李衣菜は燃えるタイプだもんな」

RIN「その通り! 勝ち進みますよー勝つ勝つ!」

P「じゃあそういうことで、凛たちを呼んできてくれ」

KMR「分かりました」

ガチャ、バタン……ガチャ

P「よーし。最後にミッドナの三人だな」

MY「みっどな……?」

P「ミッドサマーナイツ・ルードドリームの略! 前にも言っただろ?」

MY「淫夢って言ったじゃないですか」

P「違うだろぉ?」

RN「その略称、誰も使わないもん。忘れちゃったよ」

P「んまぁそう、よく分かんなかったです」

RN「それより打ち合わせ。時間無くなっちゃうよ?」

P「ああうん。分かってる」

P(しかしどう言ったものか……)

RN「…………」

RN「実はね、みんな。今回演出は私たちが考える事になったの」

遠野「え、僕たちで……?」

MY「どういうことですか?」

RN「えっと……ほら、この前の四次予選で私がアドリブで色々やっちゃったでしょ。プロデューサーがそれ気に入っちゃったみたいで」

P「あっ、そうなんすよ。BD出たらすぐ買う!」

遠野「出るんですか?」

P「知らん」

遠野「えぇ……」

RN「…………」ジー

P「あー、俺話を逸らすのが得意みたい……」

RN「……それでプロデューサーが、今回は私たちでやってみないかって。もちろん、全部考える訳じゃないけど」

遠野「なるほど……ってなんで凛さんが代わりに説明してるんですか」

P「り、凛にだけ先に説明してたから。それに俺より説明するの上手いしさ」

RN「二人ともどう、(いい案)出そう? 私はやりたいかなって思ってるんだけど……」

遠野「凛さんやまゆさんと一緒なら、僕は大丈夫ですよ」

MY「面白そうですね。でも……」

RN「この大舞台でいきなりやることじゃない、とか?」

P(た、確かに……)

MY「いえ。ただやっぱり、今回も何か事情を隠してますよね?」

RN「あ、いや……」

P(今回も、って。もうまゆには何でもお見通しだなぁ)

遠野「そうなんですか?」

P「…………」コク

RN「! プロデューサー……」

P(さて、まゆはともかく遠野に説明するのは少し難しいな……)

P「まあ、初めに言っておくと今回の事は俺が全面的に悪くて──」

MY「いいんですよ、話さなくても」

P「え?」

MY「こうやってまゆの知らない事情を話す度、プロデューサーさん凄く辛そうな顔してましたから。だからもういいんです」

P「そうは言ったって……」

MY「分かってますから。プロデューサーさんは私たちのために一生懸命やってくれてるって」

MY「だからまゆは、余計な詮索はせずにプロデューサーさんの言われたようにやります。変に指摘しちゃってごめんなさい」

P「ありがとナス! だけどまゆ、いきなりどうして?」

P(ちょっと前までは変な素振り見せたら恐ろしいまでの勘の良さで問い詰めてきたのに)

MY「これから先は、プロデューサーさんの望むままのアイドルにならなくちゃいけないなって。だからプロデューサーさんのお仕事まで気にするのは一旦止めにして、アイドルに集中するんです」

P「い、一旦か。でもありがとう、嬉しいよ」

RN「……じゃあ、本題に戻ろっか」

遠野「曲は何をやるんですか?」

P「『心もよう』って曲だ。元はNGの三人が歌ってたんだけど」

遠野「ニュージェネ!? それって確か、凛さんがモバプロに居た時の」

RN「……うん。私がプロデューサーに頼んだの」

遠野「え、でも大丈夫なんですか? NGの曲を使って」

P「版権がモバプロにあるわけでもないし、凛も居るわけだから問題はないよ」

P(これをLIVEバトルでやる時の問題はもっと別な所にあるからな……)

RN「この曲なら私はほとんど覚えてるから、演出とか二人のフォローとかに集中出来るよ」

遠野「なるほど、演出で割かれる時間をある程度カバー出来るんですね」

P「さっそくだけど音源を渡しておく。ボーカルレッスンが始まるまでに覚えておいてくれ」スッ

MY「はい♪」

遠野「が、頑張ります」

P「……それじゃあ、この後は演出家さんに来てもらうから。じっくり考えてみてくれ」

MY「え……プロデューサーさんはどこに行くんですか?」

P「いや……今回は演出を担当できないどころか、詳しい内容を事前に把握するのもダメなんだ。だから参加できない」

遠野「じゃあ、本番までプロデューサーさんは僕たちのレッスンとか、リハーサルも見られないんですか!?」

P「……すまん」

MY「私たちで頑張りましょう。プロデューサーさんが本番で私たちを見たとき、ビックリしてもらうために♪」

RN「ふふっ、そうだね。プロデューサーが居なくても大丈夫って所、たまには見せないと」

P「一回戦が終わったときには居場所が無くなってるとかは……勘弁してくださいね」

RN「そんな訳ないでしょ。もう」

ハハァ……(乾いた笑い)

P(さて、向こうにも顔を出さないとな……)

2101プロ

P(さあ敵地にやって来たぞ。いっそここを破壊するか……なんてな)

現場監督「やあ。会いたかったよモバPくん」

P「…………」

現場監督「まあそう固くならないでよ。まずはユニットメンバーを紹介するね」

イケボ親父「相方とでも呼んでくれ。よろしく(イケボ)」

タチ中年「入っちゃったよ……俺たちのユニットに部外者が入っちゃったよぉ……!」

現場監督「コラコラ、そんなこと言わないのタチ中年。……っていうことでこの三人で『巨根肉弾戦』、よろしくね」

P(イケボの親父はともかく、タチ中年は存在してる価値あるんですかねぇ)

現場監督「ナイスプロデュースを頼むよ~?」

P「別にプロデュースする訳じゃないっての……」

とりあえずここまで

P「それじゃ、とっとと済ませちゃいましょうか。監督は今回のライブ、どんな演出がお好みで?」

現場監督「君ねえ、そんなあからさまにやる気のない態度は問題だよ? 手抜きは許さないからね」

P「分かってますよ。これでも監督のライブ映像にはしっかり目を通して来ました」

P(それに手抜きなんてしちゃ、コイツと同じだ……)

現場監督「凄いなぁ。それで俺たちのライブ、どうだった?」

P「……そうですね、はっきり言ってたまげましたよ」

イケボ親父「ふっ、すっげぇ興奮してんだろ?(イケボ)」

P「しない! ただ感心しただけだ」

P(クソホモだのなんだの散々馬鹿にしたが、やはり人気相応の実力はある)

現場監督「どこどこ? どこに感心した?」

P「そうですねぇ。現場監督、見た目に反して動きは軽快そのものだし、歌もいけるし、正直ホントビックリしましたよ」

P(クイズ入らないみたいで少しMCやって、それがウケてるだけかと思ってたからなぁ)

現場監督「……こっ、この変態親父め!(”・ω・”’)」

P「照れるな!」

現場監督「そんな感じでさ、ほら、他の人も褒めてよ」

P「はぁ? ……イケボの親父、声がカッコいい」

イケボ親父「モッチャベ……」

P「タチ中年、眼鏡を掛けてるのは称賛する。日本の心だな」

タチ中年「アッハイッチャッタヨ……君の言葉が入ってくるヨォ……」

現場監督「うんうん。君すごくいやらしい褒め方だよ! 君に褒められると、その……アーイキソ」

P「感じてんじゃねえよボケ!」

現場監督「おーっ、おーっほっほほほ(お嬢様)」

P(やっぱ気持ち悪いよこの人タチ……)

現場監督「それでさ、今度のライブは攻めでいく? 受けでいく?」

P「SM? それって何のプレイ……ああ、アレか」

P(巨根肉弾戦のライブは2パターン。一つはイケボ親父と監督が前に出る「攻め」パターン)

P(もう1つはタチ中年が攻めて現場監督はウケに回り、喘ぎまくる「受け」パターン。どちらかと言えばこちらが本分だ)

P(また客へのコールも、攻めと受けで促し方が違う)

現場監督「俺はやっぱり、女の子になっちゃいたい……」

P「あのねえ! 女の子になるならまず一人称俺を直せよ」

現場監督「ハイルハイルハイルハイル(ナチ中年)」

P「……それに、攻めも受けも明確な弱点がある」

イケボ親父「なんだって?(イケボ)」

P「お前ら三人ユニットなのに、実質一人ハブってるじゃないか! Sならタチ中年、Mならイケボ親父の存在感が無さすぎる!」

現場監督「ぐはぁ!」

タチ中年「言っちゃったヨォ、みんな思ってた事言っちゃったヨォ!」

P「なんだ、気付いてるんじゃないか。だったらなんで改善しようとしない?」

P(このユニットは現場監督のセルフプロデュース、方向性も自分たちで決められる筈だが……)

イケボ親父「こればっかりは俺達のスタイルだ(イケボ)」

現場監督「楽曲ごとにもう決まっちゃってるからねぇ。攻めと受け両方って訳にはいかないよ」

P「だったら新しい曲を作ればいいだろ? 攻め受け両方、お前らの100%が出せる曲を」

現場監督「ええっ、今から新曲を?」

P「遅くはない。お前、どうせ作曲関係にも太いパイプがあるんだろ?」

現場監督「太い、太 す ぎ!」

P「あー分かった分かった、太い太い」

イケボ親父「なるほど……だが曲は何とかなるにして歌詞はどうする?(イケボ)」

P「適当な作詞家が居るだろう」

イケボ親父「俺達の攻め受け両方を表現する歌詞だ、適当じゃ困るな(イケボ)」

現場監督「大丈夫大丈夫。89410のタクヤ君辺りに頼めばいいのを書いてくれるよ」

P(あのステ調教師、作詞もやってたのか……)

イケボ親父「いいね、気に入った(イケボ)」

P「それで未発表の新曲、しかも今までにないタイプのをいきなりライブでやったとなれば……」

現場監督「F.C.O.H!」

P「そういうことだ。まあ曲の出来次第でもあるけどな」

現場監督「凄いよぉ。やっぱり君は最高だよ、いきなりこんなアイデア出しちゃってさ」

P「別にこんな発想なら誰でも出来る。大事なのはそれを実際にやるアイドルの努力だよ」

イケボ親父「興奮させてくれるねぇ……(イケボ)」

現場監督「じゃあ、作詞作曲の依頼をしたら早速レッスンだよ! 着いてきて!」

P「着いてきてってお前、俺にそこまでの義務はないだろ!? 曲が完成したらまた来るから、それまでは──」

現場監督「バラ撒くぞこの野郎!」

P「お前人の秘密(モノ)を……(レ)」

現場監督「君のスケジュールは把握してるからね? 空いてる時間は付き合ってもらうよ!」ギュッ

P「あーもうちょっと、勘弁してくださいよぉ! せめて離れろ!」

P(これがどっか他の可愛いアイドルならまだしも、こんな中年オッサンじゃ吐き気がするだけだ!)

現場監督「あ~ダメダメダメ。こうやって君を凛ちゃん達から引き離す事が、一番の作戦なんだから……」ボソッ

P「……なんだって?」

現場監督「なんでもないよ~? じゃあ行こっか!」

P「…………」

P(それからは一回戦に向けて、着実に準備を進める日々だった)

P(俺は各ユニットの演出を調整しながら、送迎や事務など通常の業務も行っていたが……)

P(空いてる時間は現場監督たちにほとんど付きっきりで、最早364プロとどちらをプロデュースしているのかという状態だった)

P(当然あんな野郎共と毎日何時間も関わっていると肉体も精神もボロボロになる)

P(しかし俺はそれでも我慢して働き続けついに──)

現場監督「ハアッ、アッアッ、ど……どうかな?」

P「俺はいいと思いますよ。トレーナーさんは?」

「構わん、H行こう!(レ)」

P「合格点だと。悔しいけどほとんど完璧だよ、現場監督」

現場監督「凄いなぁ(自画自賛)」

タチ中年「ハイッチャッタヨ……俺たちもうベスト8にハイッチャッタヨォ!」

P「……はぁ、これで俺の役目も終わりだ。帰らせてもらいます」

現場監督「ああ待って待って。最後に一つ」

P「…………」

現場監督「正直に言ってみなさい。俺達は勝つ?」

P「……分からない。そうとしか言えないよ」

現場監督「フフ、負けると言わないんだね。それでいいよモバP君」

P(こいつらは本当に、予想以上の出来に仕上げてきた。凛たちの完成度次第では、あるいは考えたくないが……)

とりあえずここまで

一回戦当日

ブーン……キイッ

P「さ、着いたぞ。降りよう」

ガチャン、スタッ,スタ……バタン

P「こっちだ。ちゃんと付いて来いよ……ってどうした、みんな固まっちゃって」

RIN「いや、会場が……凄く大きくて」

遠野「今からここでライブするんですよね……」

P「まあ開会式を兼ねてる関係で決勝戦と同じ会場だからな。日本で一番キャパシティが大きい場所だ」

NTK「ここが満員になるのか。ちょっと見当がつかないな」

KMR「ライブビューイングも各所で行われていますからね、実際のお客さんはもっともっと多いですよ」

P(一つとってもこの会場でライブをやれるユニットが今回は16も一同に会する訳だからな。ここのチケットを取れた奴はほんの一握りだ……)

RN「テレビ中継もあるんだっけ?」

P「BSでは終了まで完全生中継、地上波でも開会式から一時間だったか放送するんだと」

MUR「最高のアイドルユニットを決めるのにふさわしい舞台だゾ!」

DB「一回戦があるだけだっていうのに、まったく」ブルブル

MY「相変わらずですね、大坊さん」

DB「佐久間……俺にはお前も内心緊張しているのが分かるぞ」

MY「もう、何を言ってるんですか。行きましょうプロデューサーさん」

P「ん、そうですね。準備は早いに越した事はない」

会場内 通路

RN「ユニットごとに控え室も分かれてるね。まあ、当然だけど」

RIN「じゃあここで一旦お別れだね。また後で!」

HTN「ウィヒ!」

ガチャ、バタン

MUR「あっ、俺はどうすればいいんだゾ?」

P「開会式が始まるまでに客席に行って、どうぞ。一般席じゃありませんからそこは間違えないでくださいね」

MUR「プロデューサーはまた袖から見てるのか?」

P「ええ。いちいち客席に戻ってる時間が無いので」

MUR「そうかぁ。じゃあとりあえず今はプロデューサーに付いてくゾ」

P「付いてくって、3ユニットの楽屋を適当に回るだけですよ?」

MUR「分かってる。ほらいくぞー」

P「もう……本番前なんですからあんまり変な事言わないでくださいね」


……
………

――――

ザワザワ……ガヤガヤ……

パッ!

「ただいまより、アイドルアルティメイト・ユニット部門の開会式を行います!」

パチパチパチパチパチ!!!

「はじめに、会場の皆さまのご来場を感謝いたします。本日はどうぞ最後までお楽しみください」

NSDR「改めてまして進行はわたくしNSDRが務めさせていただきます。そして今日はもう一方スペシャリストゲストォ……誰だかわかってんだろうけど」

NSDR「まぁ、これをあんまり言うと………アイドルより目立つから、嫌なんだけど(本音)」

YTR「(顔をプラカードで隠しながら登場)」

NSDR「ミスターYOU THE ROCK★! ああっ……(痛恨のミス) ンハッ!」

YTR「イクゾオオオオオ!!!」

NSDR「この大会のイメージソングとして書いた新曲ぅ……」

YTR「ダイナモ感覚! ダイナモ感覚 YOYOYO、YEAH!」

NSDR「DJDJ……(届かぬ思い)」

YTR「イクゾ!」

NSDR「1、2、3、4!」

YTR「尿、漏れ!」

DJDJロンリィナァイ……


……
パチパチパチ……(届かぬ歓声)

NSDR「ありがとうございました。それでは続いて大会運営委員長からお言葉を頂きます」

NSDR「それでは伊藤委員長お願いします」

ラブオイル校長「えー、みなさんどうも──」

ヒューヒュイッ(マイクがあさっての方を向く)

ラブオイル校長「あら、おかしいな。よいしょっと。えー──」

ヒューヒュイッ,アハハハハ……

ラブオイル校長「もう……委員長の、なんか、おち○ちんみたいで、えーフニャフニャってして、まあ、しっかりしろ!」

「…………」

ラブオイル校長「……えーこれからですね、アイドルのライブが始まるわけですけれども、ご来場の皆さまはくれぐれも、えー」

ラブオイル校長「例えば物を投げつけるとか、スマホで勝手に動画を撮るとかの迷惑行為はしない様、よろしくお願いいたします」

ラブオイル校長「それでも興奮して我慢出来ない、何かやってしまいそうだという方はこの……ラブオイル!」

ラブオイル校長「これをおち○ちんに塗って、会場内のトイレか帰宅した後で、自家発電するようにしましょう」

ラブオイル校長「では、この大会が無事終了する事を願っております。ライブを存分に楽しんでください」スッ

パチ……パチ……

短いですがここまで

NSDR「ありがとうございました。ではいよいよこの後、一回戦開始となります」

ウィーン

NSDR「皆様ご存知かと思いますが今一度、スクリーンでトーナメント表と本日の対戦順をご確認ください」


①『元祖・羞恥心』
    vs
 『キャ長こわれる』

③『巨根肉弾戦』
    vs
『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』

⑤『スマブラ』
    vs
『チェリークローバー』

⑦『おやじ秘恥変化』
    vs
 『紅白豚合戦』

⑧『神×聖』
  vs
『スティール・ボール・ラン』

⑥『ガバ穴ダディー』
  vs
『人の頂』

④『ロック・ザ・ビースト』
    vs
 『LOVE LAIGUE!』

②『Dan Get』
   vs
 『SCOOOP!』

NSDR「数字は対戦順です。表の左端が第一試合、右端が第二試合、右側二番目が第三試合……と、予選エントリー順とは異なりますのでご注意ください」

NSDR「では早速対戦に移りたいのですが、そのまえにもう一つだけご紹介があります」

ザワザワザワザワ

「あくしろよ」「あのさぁ……」

NSDR「本大会特別審査員のお三方を紹介いたします。それでは一言ずつどうぞ」

変態糞土方「ワシは163*90*53、や。糞まみれでやりたい奴、至急メールくれや」

平野「悶絶アイドル専属調教師の平野と申します。以後、お見知りおきを」

NRK(セイバー姉貴)「どうも~♪」

NSDR「変態糞アイドル通の土方ざん、自身もアイドルとして活動している平野さん、そして今は引退された元トップアイドルNRKさんにお越しいだいております」

「どうでもいいんだよなぁ……」「うんこ食ってそう」

NSDR「開会式はこれにて終了とします。第一試合は準備は出来次第開始しますので今しばらくお待ち下さい」

パッ……

ステージ裏

DB「……いよいよ、か。なんでまた俺達が最初なんだか」

TDN「ああ、四次予選でもそうだったな」

P「そういう偶然は人生に一度か二度あるもんだよ」

P(ビデオも一章だったから三度かもしれない)

TDN「そうですね。ですが順番は関係ありません、いつでも最高のパフォーマンスをするのみです」

P「意気込むのはいいけどそう硬くなるなよ。ま、大坊ぐらいビビられても困るが」

DB「今更ビビってなどいない!」

TDN「ふっ、どうかな」

DB「チッ……いい加減、このネタに飽きないのか?」

P「オーケーオーケー、二人とも柔らかくなったよ」

「スタンバイOKでーす!」

P「……じゃ、行ってこい」

TDN「はい!」

DB「……おう」

スタスタ……

P(羽田野はいつにも増して空気。リハも問題なかったし仕上がりは上々だな)

P(あとはそれを、観客の前で見せられるかどうかだ……)

MKにゃんと前川みくは別人です。
それとNSDRとミュージシャンの西寺郷田氏も一切関係ありません。
――――

NSDR「それでは登場してもらいましょう! 元野球選手でもアイドルになれるんです、『元祖・羞恥心』!」

パチパチパチパチパチ ワァァァァ!

DB「やべぇよやべぇよ……」

TDN(す、凄い歓声だ。でも気圧されてはいけない!)

NSDR「キュートな猫が今夜もファンを虜にします、『キャ長こわれる』!」

ニャー!ニャーニャーニャー! コワルルー

MK・課長「…………」

TDN(あの二人が相手か。さすがに少し、緊張の色が見えるな……)

NSDR「さあどちらのユニットも個性的な衣装を着て、今日は気合十分ですか?」

TDN「そう、ですね。このユニフォームが一番力の入る格好です」

NSDR「ユニフォーム! やっぱりそれは野球のユニフォームを意識したデザインなんですね」

MK「もうほとんど野球選手と見た目変わらないにゃ……」

NSDR「おっとみくちゃん、対戦相手にツッコミですか」

MK「そんなんじゃないけど、みくと課長チャンの衣装の方が、猫チャンっぽいし、可愛いし、なによりアイドルらしいにゃ!」

MK「ファンの子猫チャン達! 今日はこの衣装でいーっぱい喜ばせてあげるからね!」

ワァー! foo↑

TDN「自分たちのファンの皆さんも、今日は全力で楽しんでいきましょう!」

アッー! キャー!

DB「フン、どちらもキャラを作ってるのは同じだろう」

MK「キャラとか言わないんだにゃ!」

NSDR「お互い睨み合った所で……一回戦第一試合、ミュージックスタート!」

~♪

MK「課長チャン! 最初から全力で猫チャンアピールだにゃ!」

課長「太い、太いわぁ。おまんこきむちいぃ……」

TDN「よし、こっちも行くぞ!」

DB「分かってる!」

ワァァァァ!

――――
ワァァァァ! ニャーニャーニャー! イキスギィ!

P(予選と本選のLIVEバトルでもっとも違う点は観客だ)

P(単純に数が多いだけじゃない。本選の客は全てどちらかの対戦ユニットのファンだ)

P(だから予選のように会場全体の注目が一方のユニットに集中するというのはほとんどあり得ない)

P(なので盛り上げようとしても、会場に居るファンの数である程度限界は決まってしまう……)

P(つまるところユニットの人気の高さが予選以上に重要となっているのだ)


DB「盛り上げなきゃ撃つぞゴルァ!」

バキューン! カチャ,パーン!


P(観客の違いはライブの技術にも関わってくる。今の大坊の呼び掛けがいい例か)

P(観客が自分たちの事を知らない予選では、今のはただ呼び掛けてるだけで終わってしまう。しかし本選は違う)

P(ファンは呼び掛けに対して決まった掛け声や仕草で応えてくれるからだ)

P(いわゆるコールアンドレスポンス。これももちろん審査対象になる)

P(あいつらも予選終了から今日までに色々な所でライブをやって来ているとはいえ、まだまだ経験が十分とは言えない……)

P(ファンとの一体感を演出出来るかはリーダーのお前に懸かってるぞ、多田野!)

MK「刮目するにゃ! 課長チャン七変化!」

ワアアアァァァ!

課長「ほっ、ほーっ、ホアーッ!」

MK「堀江由衣!」

「ほあーっ!」「堀江さん許して!」ワァー!

課長「Fooooo↑! 」

MK「ゾウさん!」

「パオーン!」「おまんこがこわれるわ……」ワァー!

課長「ほっ、お兄さん許して!」

MK「おしりが~? せーの!」

「「「おまんこになっちゃう! (石橋貴明)」」」ワアアア

MK「いい感じだにゃ! まだまだ行くよ~!」

課長「男、嫌。壊れ、女……男になっちゃう(痛恨のミス)」

MK「違うにゃ! 男になってどうするの!」

課長「女になっちゃう!」

キャー! オマンコニナッチャウ!

P(ミスこそしたが、課長とかいうのパフォーマンスの幅が広いな。こっちも対抗してくれよ……)

TDN「ワン!」

「三回だよ三回!」「もっといい声で鳴いてみろよ」

TDN「ワン! ワン! ワン!」

P(犬しか出来んのかこの猿ゥ! ……犬なのに猿ってなんだよ)

MK「最後は猫チャンにへんし~ん!」

課長「にゃぁ~、にゃー、にゃー、にゃーにゃー」クネクネ

MK「仕草まで完璧だにゃ!」

課長「YEAH!YEAH!YEAH!YEAH!(オフスプ)」

ワァァァァ──

DB「羽田野!」

HTN「ウィヒ!」

ゴオオオオオオオオオ!!!

MK「んにゃっ!? ファンの子猫チャン達の声がかき消されちゃった!?」

課長「嫌よ、嫌よライブ壊れるー! あ゛ぁ゛ー!に゛ゃ゛ぁ゛ー!う゛ぅ゛ぅ゛ー!ふぅぅ゛ー!に゛ゃ゛ぁ゛ー!」

MK「こ、声抑えるにゃ抑えるにゃ……」

P(やはり要所でミスが見られる。今だ!)

TDN「皆さん! 自分の球(意味深)を受け取ってください!」スッ

バシュン! バシュン!

P(バズーカで観客席へ次々ボールを撃っていく!)

パシッ、パシッ、バシュン! パシッ
ワァァァァァー! コッチニモクレー!

P(ボールはサイン入り。突然のプレゼントにファンは当然盛り上がる)

DB「盛り上がればもっと撃つぞゴルァ!」

キャー! アクシロヨ ファー!クレー!

「ボール!」「ボール!」

P(こうなればファンが思うのは一つ。ボールよ自分の所に飛んでこい!)

TDN「アッー! アッー!」バシュンバシュン!

ワァァァァ!モットクレー!

MK「ぐぬぬ……まだ、まだだにゃ! 課長チャン!」

課長「いや~キツイっす(素)」

MK「なんでにゃねん!」

P(観客席へ無差別に物を飛ばすこの方法なら、相手のファンの注目もある程度集められるのだ)

P(物で釣る、単純だけど効果は絶大だな。代わりにコストがかかるからこれっきりだけど……)

TDN「ンギモッヂィィ!!」

NSDR「そこまで!」

フゥー! パチパチパチパチパチ……

NSDR「いや~第一試合から白熱したライブでした。平野さん、いかがでしたか?」

平野「双方とも己のウリをしっかりと把握し、それを全面に押し出していました。良いステージでした」

NSDR「なるほど。では結果を協議いたしますので少しの間お待ち下さい」

TDN「…………」

DB「リハ通りの流れ、だったよな」

TDN「ああ……」

課長「おまんこキムチ、おまんこ岩……」

MK「もういいにゃ課長チャン!」

「…………」

NSDR「それでは結果発表です! 一回戦第一試合、勝利したユニットは──」

NSDR「元祖・羞恥心!」

TDN「!!」

ワアアアァァァ! foo! アッー!

MK「嘘、負けちゃったにゃ……」

NSDR「勝利の決め手となったのはどういった所だったのでしょうか。土方さん」

変態糞土方「ライブのテンポがコールでずるずるしていて気持ちがいい。最高や」

NSDR「なるほど。しかしその点はキャ長こわれるの方も負けていなかったように思えますが」

NRK「やっぱりミスがね。それが無ければ分からなかったわ」

MK「ぐうの音も出ないにゃ……」

NSDR「ということで、いち早く二回戦進出を決めたのは『元祖・羞恥心』! 皆さんもう一度拍手をお願いします!」

パチパチパチパチパチ!!

ステージ裏

TDN「ありがとうございました。いいLIVEバトルでした」

MK「……う」

TDN「う……?」

MK「うぅ~……こうなったらあなたたちが優勝するにゃ! そしたらみくも少しは気が晴れるってモノだにゃ! 行くよ課長チャン!」

課長「あげるわあなたに(敗北を認める)」

スタスタ……

DB「なんだあいつら……」

P「多田野! 大坊! お疲れ、良かったぞ!」

TDN「はい。しかし、ここで満足は出来ませんから」

P「……そうだな。でも今日はゆっくり休め。二回戦の準備は明日からでいいんだ」

TDN「分かってます。他の方々の戦いをじっくり見させてもらいます」

DB「まずは着替えだろう」

TDN「ああ。じゃあプロデューサーさん、また後で」スタスタ

P「ん、また後で」

P(次の試合は卯月たちか。……まあ、結果は分かりきっている)


……
NSDR「一回戦第二試合、勝者は~『SCOOOP!』!」

ワアアアァァァ! キャーー!

UDK「あ、ありがとうございます!」

MO「いや、お礼言ってどうするのしまむー」

NSDR「要因はなんでしょうか、平野だん」

平野「要因もなにも、実力の差ですよ。何もかも違います」

NSDR「これはまたはっきりと言いますね」

POPO「泣きそう(KYNを見つめて物凄い笑顔)」

KYN「え?」

POPO「泣くよ」

KYN「はぁい……」

NSDR「敗北したアイドルにも、勝者したアイドルにも、健闘の拍手を~」

パチパチパチパチパチ!!

NSDR「第三試合の開始は約十分後を予定しております。それでは後ほど!」

とりあえずここまで
あっそうだ(唐突)
このSS、もう書き初めてから一年経ってるらしいっすよ(絶望)
やっと一回戦とかこれいつ終わるんですかね……

RN(リン)
RIN(リン)
P(リン)(元素番号15)
なんだこれは…たまげたなぁ…

P「やっぱりな♂(レ)」

MY「何がですか?」

P「今のLIVEバトルの結果だよ」

遠野「今のLIVEって、あ……先輩のステージ、どうでしたか?」

P「ああいや、見てた訳じゃないんだ。結果を確認しただけで」

遠野「そうですか。……すいません、自分のステージに集中するべきですよね」

P「810プロを倒すことが俺たちの最終目的なんだから、別にこのくらいいいよ。ただまずは──」

RN「今から始まるステージ、でしょ。みんな分かってるよ」

P「何よりだな。じゃあどんなライブに仕上げたのか、じっくり見せてもらうとするか!」

MY「はい、見ててくださいね♪」

P「リハーサルまで締め出されたんだからな。これは相当楽しめそうだ」

RN「本番前のこのタイミングでハードル上げる?」

P「俺も一ファンとしてワクワクしてるって事だよ。こんなの初めてだからな」

現場監督「だろうねぇ、初めてだろうねぇ」

P「現場監督……!」

イケボ親父「俺達もこんなライブは初めてだよ、興奮するね(イケボ)」

タチ中年「あぁ^^~~いいわぁ~」

遠野「この二人が、現場監督さんのユニットメンバー……」

MY「類は友を呼びますね」

P「てめえ、何しに来やがった!」

現場監督「挨拶だよ。俺から挨拶するなんて、これで最後だけどね」スッ

P(手? 握手か)

現場監督「凛ちゃん、今日はよろしく」

P「凛、こんな汚い手握るな!」

RN「…………」

ギュッ

P「お、おい……!」

RN「これっきりだからね。最後ぐらいしっかり挨拶しないと」

現場監督「……へぇ? 何がこれっきり?」

RN「挨拶でしょ? アンタからでも、私からでも。今日はよろしく」

現場監督「何か変、変よ変よ。何か付け足されてるよ」

RN「だからこれが最後の挨拶でしょ。私もアンタに挨拶なんかしないよ、これっきりね」

現場監督「な、このっ……!」バッ

RN「もう離しちゃっていいの? ……じゃあ、ついでにお別れも言っておこっか。さようなら」

現場監督「なんていやらしい娘なのだ……もういい、行っちゃうわよ!」

スタスタ……

P「行っちゃったよ」

MY「凛ちゃん、はい」スッ

RN「え? ああ、ウェットティッシュ。ありがと」フキフキ

P「よく拭くんだぞ、アルコールでも消毒すべきだ」

RN「そんな時間無いから」

遠野「っていうか良いんですか、なんか怒らせちゃったみたいですけど……」

P「ああ大丈夫。あいつMだから興奮してるよ」

RN「へぇ、そうなんだ」

遠野「ええ……?」

RIN「凛ちゃーん! みんな~!」

RN「李衣菜、それにナオキたちも……そっか次の試合」

KMR「ええ、僕たちも次試合なのでもうスタンバイです」

RIN「ここから応援してるからね、頑張って!」

遠野「が、頑張ります!」

RN「いいよ、そっちもライブ前だし」

NTK「だりーは他の事やってた方が緊張しなくて済むからって」

RIN「あ~、あーあーまたそうやって馬鹿にして!」

NTK「自分で言ったんじゃねえか……」

「すいませーん、準備OKでーす!」

P「あ、はーい。それじゃ、頑張ってこいよ」

RN「うん。ちょっとは、緊張も和らいだから」

P「緊張?」

RN「あ、ううん。なんでもない、それじゃ」

MY「見ててくださいね、プロデューサーさん♪」

遠野「すぅー、はぁー、すぅー……」

スタスタ……

P(凛、何だか少し様子がおかしいような……)

NSDR「ンハッ! お待たせしました、第三試合のお時間です」

ワァァァァ!

NSDR「一回戦の中でも屈指の好カードと見られ、会場のボルテージは既に最高潮であります。それではご登場頂きましょう!」

スタスタ……キャー!ヒャーゥ!

MY「♪」ニコッ

遠野「ど、どうもっ!」ペコリ

RN「……」

ワァァァァ! キャー!リンチャーン!

現場監督「(歓声が)すごいなぁ」スタスタ

「現ちゃーん!」「F.C.O.H!」

イケボ親父「すっげぇ興奮してんだろ?(イケボ)」

キャアアアアア! カッコイイー!

NSDR「黄色い歓声が次々と飛んできております。それではライブ前に両者の挨拶でも──」

「必要ねぇんだよ!」「もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!」

NSDR「おっと、これはこれは……どうしましょう」

RN「いいんじゃない? 始めちゃって。さっき挨拶は済ませたから」

NSDR「しかし……」

現場監督「いいのよ、アレで挨拶は最後だから。始めちゃお」

NSDR「最後? それは一体どういう……」

現場監督「あ、その前に一つ俺達のファンに言っておくことがあったよ。みんな! よく聞いて!」

NSDR「おっ、何やら重大な発表があるようです」

現場監督「今日やる曲、ずーっと内緒にしててみんな気になってたと思うんだけど」

ザワ……ザワザワ……

現場監督「今日の曲はこれまで一切やってない完全新曲! 俺達のファンみんなが楽しめる楽曲を用意したよ!」

ワァァァァァァァ! フゥー!

タチ中年「言っちゃったよォ、内緒にしてたこと言っちゃったよォ!」

NSDR「おおっとこれはサプライズだ! 会場の巨根ファンは一気に盛り上がりました!」

現場監督「F.C.O.Hもバッチリ入ってるからね~」

foo↑ ヒュー! キモチイイ~

NSDR「ミッドナサイドは、これに対してなにか宣言しておく事はありますか? 確かこちらも、ライブで始めてやる曲ということですが」

RN「あ、はい。えっと……この曲はゆったりとしたバラードだから、私たちの歌をしっかり聴いて欲しいかな」

MY「遠野ちゃんも、今日は喉の調子抜群ですものね」

遠野「はうっ、は、はい! のど飴舐めてきましたから!」

アハハハ! イイゾ~

NSDR「なるほど分かりました。それでは参りましょう。一回戦第三試合、ミュージックスタート!」

~♪

P(巨根肉弾戦の新曲は典型的なポップス。コード進行やメロディの節回しはほとんど単純で、簡素な物になっている)

P(凝った曲を作る時間が無かったという事なのだが、シンプルな曲調だからこそ、現場監督たちの動きやパフォーマンスに目が行きやすいとも言える)


現場監督「ほら変態親父行くぞ!」

タチ中年「アッ……」

イケボ親父「(新曲)入ってんの?」

現場監督「入ってる入ってる!」

ワァァァァ! フゥー! キモチィィ↑


P(新曲のおかげで軽いアピールでも反応が凄まじいな)

P(しかし今はまだ「攻め」モードオンリー。これで攻めと受けが合体した楽曲だと判明した時にはもう、どうなっちまうんだか……)

P(それで、一方の凛たちは──)


RN「~~♪」

遠野「アンッ↑ アッアン……アンアン~♪」


P(いい声だ、歌唱技術ならこちらが圧倒的だな)

MY「~♪」ニコッ

フゥ~! ワァー

P(ダンスも現場監督たちと比べて見劣りしない。だけどこの調子がずっと続く様では……)

~♪

P(来る……ここからがあいつらの本領発揮だ……!)


現場監督「あっ、あっハイルハイルハイルハイル! あー入る! おまんこに入っちゃう!」

タチ中年「ハイッチャウヨォ、攻めから受けに入っちゃうヨォ!」

ザワザワ……ナンダナンダ?

P(大サビは曲調が一転し、喘ぎまくりの「受け」モードに移行する!)

現場監督「F.C.O.H(太いチンコがおまんこに入っちゃう!)」

「ファッ!?」「なんすかこれ」ザワザワ……

現場監督「あっ、てゐー!」

…………ワァァァァ! スゲェ! アァイイスネェ

P(なんだ今の反応……あまりの衝撃に大多数の客が一瞬動揺した、のか?)


タチ中年「ああ…入っちゃったよ!アァー、入っちゃったよマンコに!マンコに入っちゃったよ!!(歓喜)」

現場監督「太゛い゛の゛が゛入゛っ゛て゛る゛~」 

キャー!フトイ! FCOH!


P(すぐに勢いを取り戻したか。それに攻めの時より今の方が一段と盛り上がってる)

タチ中年「アースゴイ、マンコに入っちゃった、あぁ入っちゃったよ!」

現場監督「あー太いのが、ふ と い の が き も ち い い !」

キャアアアアア!! FCOH! FCOH!


P(音の暴力やめちくり~)

~♪アンッ、アンアンッ!~~♪

P(! この大音量の中でも耳にしっかり入ってくる、透き通った歌声は……遠野?)

遠野「アンッ……アッアー、アンアーッアンアン……♪」

P(凛がこの曲を選んだのは遠野の伸びのある歌声を最大限生かすためだった?)

~♪~~♪

P(いや、遠野だけじゃない!)


MY「アン♪ アンッ~アンアン~♪」

RN「アッアー↑ッ アンアンアンッ♪」


P(凛とまゆも遠野と同じ喘ぎ、いや歌声を出しているのか!? ……三人が合わさって一つの歌を作っている!?)

~♪

P(その歌声に細かい動きや表情が加わる事で、しっかりと起伏を作れている)

P(この曲では盛り上がりに欠けるんじゃないかと懸念していたが、これは……)

~『明日もきっと いつもの時間に 待ってるよ』~~♪

MY『照れるけれど』~♪

遠野『約束だよ』~♪

RN『待ってるよ……』~♪



NSDR「……そこまで!」

パチパチパチパチパチ!パチパチパチパチ! ワァァァァ!

P(終了が告げられる同時に、今日一番の大きな拍手が会場全体に響いた……)

NSDR「なんだか対照的なステージだったんじゃないでしょうか。土方さん、いかがですか?」

変態糞土方「ワシはもう気が狂う! 両方最高や!」

NSDR「そうですかぁ~そうですよね、どちらも最高でしたよね。……それでは結果を協議いたしますので、しばらくお待ちください」

RN「……」チラッ

P(こっちを見た? 凛がこういう事をするなんて珍しいな……っていうか今まで無かったが)

P「…………」グッb

RN「!」フイッ

P(なんだ? 良かったって伝えただけだぞ……)

現場監督「ああおまんこ! おまんこ!」

イケボ親父「焦るな、もう結果は出る(イケボ)」

現場監督「カンディル……勝利を……」

NSDR「お待たせしました、それでは結果発表です! 一回戦第三試合、勝者は──」

ザワザワ……

NSDR「ミッドサマーナイツ・ルードドリーム!」

P(や、やった!)

現場監督「え……!?」

ワァァァァァァァ!! キャァァー!

遠野「よ、良かったぁ……」ヘナヘナ

NSDR「いやぁやりましたね。お見事でした」

MY「最高のまゆたちをお届け出来ました♪」

RN「……ふぅ」

MY「凛ちゃん?」

RN「あっ……うん、そうだね」

現場監督「う、嘘でしょ? あーダメダメダメ!(西田敏行)」

NSDR「現場監督さんは少し不満なようです。平野さんNRKさん、この対決は一体どこで、勝敗を分けたんでしょうか」

平野「まずパフォーマンスの出来は、総合的に両者ほとんど互角でした。なので、評価の視点を観客に動かします」

NSDR「なるほど、それで観客の盛り上がりはどちらが上だったんですか?」

NRK「それは巨根肉弾戦ですね。お客さんも、アイドルも楽しんでいるのがとても伝わりました」

現場監督「結果が間違ってないか? それなら俺たちの勝ちじゃ──」

NRK「ただ一点、観客が困惑した場面があったわよね。ちょうと大サビに入る所だったかしら」

NSDR「そこがマイナスになったと」

現場監督「だとしても──」

NRK「いいから最後まで聞きなさい」

現場監督「Do it!」

平野「盛り上がりというのは選曲である程度決まります。なので片方がバラード調の曲を行った以上、ライブ中の盛り上がりの差で判断は出来ません」

NSDR「……では一体どこで? 早く教えてくださいよ(半ギレ)」

平野「拍手です。ステージが終了した際の拍手」

NSDR「は、拍手ですか!? 確かに大きかったですが」

平野「先ほどパフォーマンスは互角だったと言いましたが、歌唱はミッドナの方が一段上です。ライブ中、観客はその歌に聞き惚れていたように見えました」

平野「それを証明するのがあの大きな拍手なのです。ライブが終わった直後に、一番の盛り上がりがあったと捉えることも出来ます」

NSDR「なるほど……」

NRK「巨根肉弾戦は盛り上げる事に重点を置きすぎて客を置いてけぼりにしちゃったのよね。それがさっき言った箇所」

NRK「お互いライブで始めてやる曲だった訳だけど、勝敗を分けたのは自分たちをただ見せるか、お客さんまで魅せたかの差。納得してくれた?」

現場監督「(俺達のIUが)終わっ……たぁ!」

NSDR「納得いったようです。それでは再び盛大な拍手で両者をお送りください~!」

パチパチパチパチパチパチ!!

とりあえずここまで

ステージ裏

P「よう勝った! それでこそ俺のアイドルや!」

遠野「はい、なんとか。でも凄く不安でしたよ」

P「ごめんな。もうこんな事はないから」

P(でも今のステージを見る限り俺抜きでも問題なかったし、むしろより良いぐらいだったんだがな……)

P「なあ凛、今回の演出ってどれぐらい自分たちで考えたんだ?」

RN「……え? ごめん、ちょっと聞いてなかった」ハァー

P(ため息……?)

KMR「何の話ですか? 演出って」

P「あっいや、こっちの話ってことで一つ」

MY「うふっ、プロデューサーさんは大事って話ですよ」

KMR「?」

RN「じゃあ、私たちは控え室に戻るから……そっちも頑張ってね」

RIN「うん! 凛ちゃんたちに負けないぐらいのステージにするんだから!」

P(やっぱり凛の様子が気になる……でも今は木村たちのLIVEバトルだ)

KMR「それじゃあ、切り替えて行くぜ」キリッ

P「その、なんだ……モード? って切り替え自由なのか」

KMR「心構えみたいなものですから」シュン

NTK「おおっ、一瞬で顔の凄みが消えたぜ」

P「バラエティーとかでやったらウケそうだな」

KMR「それは無理ですよ……切り替えられると言ってもステージに立つ時だけですから」

RIN「えー、後でにらめっこして遊ぼうと思ったのに」

P「小学生並の発想やめろ」

RIN「ぎゃ、逆にロックですからこれも!」

NTK「ヤバいと同じぐらい何でもありだな、だりーのロック」

RIN「私も少しは自重しようかなって思ったり思わなかったり……って、ライブの前なのに普通のお喋りしちゃってるね、私たち」

P「いいんじゃないかな。それもロックで」

RIN「あーっ、取りましたね私のセリフ!」

アハハハハ……

「スタンバイOKでーす」

KMR「さて、お喋りはここまでだ」キリッ

NTK「そうだな。ここからは本当のロックで頼むぜ、だりー」

RIN「おうよ! プロデューサーさん、私たちのロック・ザ・ビースト、ぶつけてきますよ!」

P「いいよ、こいよ! 胸にかけて胸に!」

――――
NSDR「一回戦も折り返し地点となりました。ではご登場いただきましょう──」

NSDR「『ロック・ザ・ビースト』そして『LOVE LAIGUE!』!」

ワァァァァ! パチパチパチ

KMR「よう、ファンの兄ちゃん姉ちゃんたち」

キャー!カッコイイー!

平野「かわいいな李衣菜ちゃん(小声)」

RIN「……!? なんで平野さんが居るの……(畏怖)」

NTK「特別審査員だって。気にするなよ」


MNM「皆さん、今日は来てくれてありがとうございます!」

AN「ズウィズダー……客席の光が星のようです」

カワイイー! セクシー,エロイッ! Foo↑

SNJ「俺も仲間に入れてくれよ~」

「…………」「…………」

SNJ「なんだよお前らよ……」

NSDR「えーっと、新庄さんとナオキさんは今回、他のお二人が先にユニットを組んでいる中に追加加入したという共通点をお持ちですけども、そこはいかがでしょうか」

KMR「特に気にした事は無い。二人のユニットも活動継続中だからな」

RIN「そうだよ! Rock the Beatの新曲Jet to the Futureは好評発売中!(大嘘) みんなよろしくね~!」

「買いますねぇ!」「もう持ってるんだよなぁ……」

NTK「なんで宣伝してるんだよ」

RIN「こ、こういう流れかな~って」

平野「かわいいな李衣菜ちゃん(小声)」

NSDR「新庄さんはどうですか、加入時の裏話とかなんかありますか?」

SNJ「別に無いっすけど、お互いいきなりセンターやってくれなんて辛いよなぁKMRァ?」

KMR「……俺はセンターだろうが端だろうが、互いに満足のいくステージに出来ればそれでいい」

キャー! ヒューカッコイイー!

SNJ「んだよお前よぉ、お前らばっかカッコ付けてんじゃねえよ」

NSDR「粋なセリフを頂いたところでトークはここまでにしましょう。では張り切って~、ミュージックスタート!」


……
………

P「……正直どう思った? 対戦相手が810プロと分かって」

NTK「そりゃあまあ、ビックリだな」

RIN「えっいきなり!? としか……」

KMR「そうですね。一回戦から厳しい戦いになると思いました」

P「その通り。強敵だよ、ラブライカは」

RIN「ラブライカ? 相手ユニットの名前、少し違ったような」

P「あれは認めん。ラブライカはラブライカだ」

RIN「そ、そうですか……」

P「あの新庄とかいう男が加入してからラブライカの人気は下がったんだ。印象じゃないぞ、ちゃんとライブやイベントの観客動員数を調べたんだ」

NTK「女同士のユニットにいきなり男が入るっていうのは、確かにな……」

KMR「…………」

NTK「ああ悪い悪い! ナオキの事言うつもりじゃなかったんだ」

P「なんかメディアだと勘違いしてる時があるけど、ロックザビーストはIUのために組んだ物で夏樹と李衣菜のユニットとは関係ないからな」

KMR「分かってます。ラブライカの場合は元のユニットが人気だったというのもありますからね」

P「しかもいきなりセンター抜擢。まるで芸能界特有のごり押しみたいだぁ……(直喩)」

RIN「そりゃあ怒っちゃうファンの人が居るでしょうね……」

P「人気は抜きにしても、あいつが入った事で何かが向上したのかといえばそうでもないんだよなぁ」

KMR「そうなんですか?」

P「三人になった後の新曲もライブも、駄目は言わないが微妙だ。俺個人の感想では前の方が断然良い」

RIN「それでも、ここまで勝ち残ってるじゃないですか」

P「まあ、それはそうなんだがな……何にせよ新庄はラブライカの穴だと思ってる」

KMR「穴、ですか」

P「ああ、穴だ。ラブライカの二人と組まされるだけあってそこそこの技術はあるが、まだまだ粗くミスも目立つ」

RIN「本番でもミスをするかもしれないってことですか?」

P「可能性としては十分ある方だ。展開によっちゃ、こっちにミスが無ければそれだけで勝てるかもしれない」

KMR「そう楽観は出来ないですよ。こちらもしっかり準備をしないと」

P「まあな。新庄以外の二人は人気も実力も申し分無い」

RIN「そのための、この作戦会議ですね!」

P「うん。作戦会議っていうか打ち合わせね」

RIN「そうとも言いますね」

NTK「……結局、その新庄って奴はなんでラブライカのメンバーに選ばれたんだろうな?」

P「本人のワガママと事務所のごり押しでしょ(適当)」

………
……

~♪

MNM・AN「~~♪」ギュッ

ワァァァァ! ウヒャー!

SNJ「俺も仲間に入れてくれよ~」

ギュッ

P(あぁ~クソッ、手握るなよなァ~! ……っとそれはともかく)


SNJ「……ッ!」キュッキュッ

AN「シンジ、大丈夫ですか?」

SNJ「悪い、悪い……あっ!」ズルッ

MNM「きゃっ!」


P(ここまでステップ時のつまずき二回、ターン時のスリップ一回。ドジッ子かこいつは)

P(ナオキたちは目立ったミス無し。観客のボルテージは互角だが、これなら勝てるか?)


SNJ「俺がミスばっかりでらっしゃるよ、フォローして差し上げろ」

AN「……」

SNJ「してあげなさぁい。新田さん?」

MNM「……そうだね。しちゃおっか、アーニャちゃん」

AN「分かりました。ミナミが言うなら」

スッ……


P(なんだ、フォーメーションが変わるぞ!?)

とりあえずここまで

P(もうすぐ曲も間奏に入って、ラストのサビを迎える所だぞ? 一体何を……)

AN「シンジ、あなたはプロデューサーの言った通りの人でした」

MNM「不気味で、せっかちで嘘付きでホモで……」

AN「おまけにミスが多いです。それ一番言われてます」

SNJ「は? ねねねね~、ライブ中に同僚貶すって楽しい?」

MNM「……だからそんな人には──」

カチッ、ガシャン

SNJ「んだよお前離せよ、なんだよこの手錠はよ!」

MNM「お仕置き、です」

AN「ハラショー……」

バッ!

P(衣装を脱いっ、いや、重ね着!? あれはアディクティブメイドの時の……これは一体どういう……)

「おっ、あっ(勃起)」「勃ってきちゃったよ……」

MNM「今からちょっとFFしますけど頑張って耐えてください。いや、耐えなさいね?」

SNJ「なにす、おっ、あーっ、ああああっ!?」

~♪(間奏)

RIN「どう? このギターテクニック!」シャカシャカシャカ

NTK「……エアだけどな」

RIN「エアでも! お客さんに熱い思いが伝わればいいの!」シャンシャン

NTK「へっ、そうだな。それじゃあラスト、最ッ高のテンションで行くぜ!」

KMR「お前ら、お楽しみはここからだぞ?」

ワァァァァ! フゥー!

KMR「さあ、行くぜ!」


「っああああああ痛い痛い痛い痛い! ああああああ!!!」


RIN「!?」

KMR「気にするな、集中してください!」

RIN「う、うん! ってナオキさん、口調が……」

KMR「~♪」キリッ

RIN「……! みんな、最後まで楽しんでいって!」~♪

ワァァ!


SNJ「あーっ、あああああーっ、あーーーっ!!!!」

グチュグチュグチュ

SNJ「あーっ、あーっああああああもうっ! ~~~~ーーーーッ!! ッ!」ガクッ

AN「気絶したら駄目よ。起きなさい」グチッ

SNJ「あっ、あっああ……」

MNM「拡げますね♪」ガジッ

SNJ「うわああああああっ、あああっ、ああああ!!」

「foo↑ 気持ちいい~」「ああいっすねえぇ~」

キャー! ワー!


P(なんだ、何をしているんだアレは……なんかアーニャの口調が初期っぽくなってるし)

P(チェックしたライブ映像にこういった類いのパフォーマンスは無かったぞ……)


MNM「……えいっ」ギチッ

SNJ「あふっ、ほんと無理無理無理! 無理です~あああああああっ!」

ポタッ、ポタッ……


P「ヴォエ!」

P(こんな衝撃的な物、どうしてファンは初見で受け入れられる?)

P(さっきの現場監督のように、一瞬どよめきや動揺があってもおかしくないはずなのに)

P(……俺の見方が間違っていたのか?)

P(新庄の加入。俺はユニット全体としてはマイナスだったと見ていたが──)

P(逆に新庄はあくまで二人の引き立て役、刺身のツマみたいな物だとしたらどうだろうか)

P(新庄の評価が下がれば下がるほど、二人の評価と人気は上昇する。ユニット全体の人気は、新庄を脱退させればまた元通り)

P(なら、このとんでもないパフォーマンスが抵抗なく受け入れられた理由は……)

P(そうか、ファンの大半は新庄にヘイトを溜めているんだ。そいつらにしてみれば、このパフォーマンスだって気持ちがいいはず)

P(例えばひでがギタギタに虐待されるのと同じぐらい、当然の仕打ちだと思っている……)

P(……だったら、俺は全く検討違いの話をナオキたちにした事になる)

P(そうでなくとも、このパフォーマンスには前半のミスを帳消しにする勢いがある。まずいですよ!)

P(このままでは負けてしまう……俺のせいで……!)

RIN「みんなーっ、熱くなってるー?」


SNJ「っはーーっ、あああああっはーっはっはーっ、ッ!!! んんんん!!!」

ワー……キャー……

SNJ「やめて! ほんとにやめてええええあああああったっぐぐぐっ! ン!!! ン!!!」

イ……ゾ……


NTK「っ、これは……」

RIN「お客さんの声が、届いてこない……このまま曲が終わっちゃう」

KMR「……なるほど、叫びの大きさ比べか。いいぜ、受けて立つ」

RIN「な、ナオキさん?」

NTK「お前何を──」


KMR「ンアアアアアアアアアアアアッ!」


MNM・AN「!?」

SNJ「あ……あ……」

ポタポタポタ……

KMR「よう、レズの姉ちゃん。もう終わりか?」

MNM「……このくらいで!」

グイッグイッ、ギチチチッ

SNJ「ああああああああああああああああああ!!!!」

パタッ

AN「寝たら駄目、そう言ってるでしょ?」ブチッ

SNJ「~~~~ッッ!」

KMR「そう来なくちゃな……ンアアアアアアアアアアアアッ!」

SNJ「あああああああっ! イったああああああい! 痛い痛い!!!」

KMR「ンアアアアアアアアアアア!!!」


P(き、木村ァ! その叫びはただ一回やったで喉が辛いって自分で言ってたじゃないか!)

P(これ以上はまずいぞ! 喉がもたない!)


MNM「指、四本入れるよ!」

ギチッ、ポタポタポタ……ギチチチトット!

SNJ「いぎゃああああああっ、あああっ、あああああっああああああああ!」

KMR「すーっ……ンアアアアアアアアアアアアッ! アアアッアアアアア!」

MNM「まだ付いてくる!?」

KMR「ゲホッ……こんな程度じゃ、ロッカーは名乗れないんでな」


MNM「……」

AN「ミナミ……?」

MNM「目一杯拡げて。右手、全部入れます」

AN「……分かったわ。気を付けて」

グイイイイッ! ギュッギュ!

SNJ「ダメダメダメ!絶対!無理無理無理!痛い!痛い!……ごめんなさい!ごめんなさい!」

MNM「美波、イきます!」

グチャッ、ギギギ……ポタポタ、グチチィグチュ……

SNJ「………ッッッあああああああああああああああああ!!!!!! あーっあーっ! ア ア ア!」

KMR「……ンアアアアアアアアアアアアッ!」

ギチッ、グチチギュチチチ……

SNJ「あぁぁぁぁい゛たぁいぃぃぃぃぃぃ!!痛いぃぃぃぃぃ!!痛い痛い痛いぃたっぁあ゛ぁいたぁ゛い!!!!!」

KMR「ンアアアアアアアアアアアア!! っく、ンーっ、ンアアアアア!」

P「もうやめろ! 喉が潰れてこの先のステージに立てなくなるぞ!」

KMR「アアアアアアッ! ンアアアアアアアアアアアア!」

RIN「ナオキさん! もう曲は終わって──」

NTK「やめろ、だりー。今のあいつはもう、何も聞きはしない」

RIN「だって、じゃあ私たちはどうすればいいの!?」

NTK「…………」


SNJ「あああああぁぁぁ無理ぃぃぃ…ああああぁぁぁ無理無理無理無理無理!」

ギュウウウ

MNM「っ、手が……!」ギチッ

AN「無理よ! これ以上入らないみたい!」

MNM「~~っ!」グイッ、グイッグイ~ッ



SNJ「あッ痛ああああああああああああ!!!!!」


KMR「ンアアアアアアアアアアアアアアアアアア! ナアアアアアアアア!!!!」



ギチッ、ポタッ、ポタタッ……

SNJ「…………」

MNM「!?」グイッ、グイグイ

SNJ「…………」

MNM「どうしたの!? まだ終わってない! 叫んでっ……叫びなさい!」

AN「こわ、れた……?」

SNJ「」

KMR「ハアーッ、ハアッ……もう終わりみたいだな……この勝負、こっちの勝ち、だぜ……」グッ(そのための右手)

……ワッ、ワ、ワアアアアアアアッ!!

NSDR「そっ、そこまで! 叫びでかき消されていましたがやっと言えました!」

NSDR「もうものっ凄い叫びでしたが……あのこれ、途中から曲は終了していたんですけどそれはどうなりますか?」

平野「規定では、終了の合図があるまではLIVEバトルは続いておりますので」

NSDR「ですよね、肝心の今のやり取りが審査対象にならないんじゃ話になりませんよ。それでは結果発表までしばらくお待ち下さい」

NSDR「っていうか、あの……叫びまくっていたお二人、身体の方は大丈夫ですか?」

KMR「俺は、ゲフッ、問題ない……ゲホッゲホッ、ぜ」

P(ナオキ、やはり声が……!)

SNJ「…………」

MNM「起きてください。ライブは終わりました」

AN「シンジ、起きてください……」

SNJ「…………」

MNM「……すいません、担架、お願いします」

NSDR「お、おっと……ここで今大会初めての担架です。それほどの激しい戦いでした……」

SNJ「……っっ! 無理、もう、無理痛いごめんなさい……」ブツブツ

スタスタ……

NSDR「ただいま今新庄さんが運ばれていきました。同時に審査も終了したようです」

NSDR「……では結果を発表いたします。一回戦第四試合、勝者は──」

P(お願いだ、勝ってくれ!)



NSDR「ロック・ザ・ビーストっ!」

ワアアアアッ! イイゾ~!



KMR「やった、か……」フラッ

NTK「だ、大丈夫かナオキ!?」

NSDR「どうやらすぐに休憩された方が良さそうなので、ライブの総評をなるべく短く平野さん、お願いします」

平野「……かわいいな李衣n──」

NRK「代わりに私が。単純に、彼の叫びが全てを上回りました。以上です」

NSDR「ありがとうございました。では両者の健闘を讃え拍手でお送りください!」

パチパチパチパチパチパチ! ワーッ!

とりあえずここまで

ステージ裏

P「ナオキ! 大丈夫か!」

KMR「ハアッ、ハアッ、は、い……ハアーッ、ゲホッゲホッ」

NTK「ナオキの奴、さっきからなんだか息苦しそうなんだ」

KMR「い、えゲホッ……ハアッ、何とも……ハアッ、ハアッ」

P「何ともない訳ないだろう。酸欠……いや、過呼吸か。なんとか自分で、呼吸のペースを調整出来ないか?」

KMR「っハーッ、はっ、ゲホッ……はあっ、はあ、ふッ、ふぅーっ……」

P「よし、よしよし……よく頑張った、最高にロックだったよ。このままゆっくり控え室に戻ろう」

スタスタ……

KMR「すい、ません。こんな無茶を……してしまって」

P「いいんだよ、だから今は話すな。呼吸を整えるんだ」

KMR「…………」スー,ハー

RIN「……私何も」

P「?」クルッ

RIN「あ、いや……」

スタスタスタ……

控え室

P「ほら、水だ。ゆっくり飲むんだぞ」

KMR「んっ、ゴクッ……ありがとうございます。大分楽になりました」

P「その声を聞く限り、喉は潰れずに済んだらしいな。安心したよ」

KMR「はい、少し痛みはありますけど……」

P「二回戦まではまた日が空く。それまでにゆっくり治せばいいさ」

P(もちろん、その間ボーカルレッスンやライブは出来ないが……)

P「それじゃあ改めて、今日のライブお疲れ様。ただ、一つ言わせてほしい。本当に……すまなかった」

RIN「なんでプロデューサーさんが謝るんですか!」グイッ

P「うおっ、そっちこそなんでそんな怒ったような反応なんだよ」

RIN「だって……謝らなきゃいけないのは私の方ですもん」

P「あぁん、なんで?(レ)」

RIN「ナオキさんが一人で何とかしようとしてる時、私はただ見てることしか出来なくて……」

RIN「三人で一つのユニットなのに、全部押し付けちゃって……ほんとに、ごめんなさい!」

NTK「アタシも同罪だ。ただただ見守るだけで、何も出来ないで……。一緒に弾けるのが、同じユニットの仲間だっていうのにな」

KMR「いや、そんなこと! 謝ることなんてないですよ」

P「そうだよ(便乗) 二人は十分、いいライブをやったじゃないか。ナオキにあんな無茶させたのは俺の責任だ」

KMR「えっ……?」

P「相手は810プロだっていうのに、俺は新庄憎さに目が眩んですっかり相手を見くびってたんだ」

P「ライブ前にもっと思案してれば、こんな無茶をしてまで勝たせる事なんて無かったんだよ……」

RIN「プロデューサーさん……」

KMR「でも、僕たちは勝てたじゃないですか」

P「…………」

KMR「僕は全然、プロデューサーさんや二人が悪かっただなんて思ってません。むしろ僕こそ、こんな無茶をして喉を痛めて……自分勝手でした」

KMR「確かに今回、反省する所は多いかもしれませんけど……後悔は、まだしたくないんです」

KMR「だからお互い様という事で、もう止めにしましょう。僕たちは勝って、また次に進めるんですから」

P「ナオキ……」

スッ

KMR「?」

P「水。長台詞は喉にクるからな」

KMR「あ、そうですね……」ゴクゴク

RIN「ロックだ……めちゃくちゃロックだよナオキさん! そうだよね、引きずってる場合じゃないよね!」

NTK「またナオキにビシッと決められちまったな。だりーもすっかり立ち直ったぜ」

RIN「立ち直るって、別に落ち込んでたんじゃないし!」

P「またアイドルに諭されてしまったよ。俺もまだまだだな……」

KMR「いやいや。僕は別に、そういうつもりで言ったわけじゃないですから」

P「じゃあどういうつもりなんですかねぇ。リーダーとしてこれ以上ないまとめ方だったぞ」

KMR「リーダーだなんて! 僕がいつリーダーになったんですか」

RIN「だってセンターだよ?」

NTK「アタシもずっとそう思ってたんだが……いつかのライブでもリーダーって呼んだことあったぜ?」

KMR「センターがリーダーまで兼ねてるなんて一言も……」

P「えぇ……(困惑) じゃあナオキの中では、誰がリーダーだったんだ?」

KMR「え? いや……李衣菜ちゃんですかね」

RIN「なんで私!? っていうか絶対今適当に言ったでしょ!」

KMR「いやそんなこと……」

NTK「まぁナオキがそう言うなら、だりーがリーダーでいいんじゃないか?」

P「お、そうだな。じゃあこの話は終わり! 閉廷!」

RIN「ちょっとぉ!?」

――――
NSDR「では結果発表です。一回戦第五試合、勝者は……『チェリークローバー』!」

ワアァァァァッ! パチパチパチ

CER「……!」パァァ

NSDR「智絵里ちゃんが勝利の微笑みを浮かべています」

CER「あ、いや、えっと……」テレ

foo↑ ヒューヒュー

ホリ・トオル「こっちは一回戦敗退ですよ一回戦敗退!」

変態郵便屋「すいません(平謝り)」

NSDR「勝者が居れば同じだけ敗者も居ます。平野さん、第五試合はどのような点で勝敗が分かれましたか?」

平野「両者とも素晴らしいパフォーマンスでしたが、両ユニットの新人で差が出た印象です」

NSDR「なるほど。確かに2ユニット合わせて三人が新人ですものね」

平野「チェリークローバーの中野くんはとてもデビューしたてのアイドルとは思えませんね」

中野くん「あ、ありがとうございます」

NSDR「中野くんと智絵里ちゃんのコンビネーションは見応えがありましたよね~、二回戦も楽しみです」

NSDR「それでは、両者を再び拍手でお送りください!」

CER「ありがとうございましたっ!」

中野くん「」ニコニコ

パチパチパチパチパチ!

ステージ裏

MRA「ぷろでゅーさぁ、みりあ、負けちゃったぁ……」ウルッ

ONDISK「そうですね。……気休めですが、赤城さんはとてもいい動きでしたよ」

MRA「本当?」

ONDISK「ええ、本当です。審査員も言っていましたよ、負けたのは……」ジッ

変態郵便屋「すいません」

ホリ・トオル「え、そんなん関係ないっしょ」

MRA「そうだよ、誰のせいでもないよ」

ONDISK「そうですか。控え室に戻ったら着替えて構いませんよ」

MRA「はーい。……勝って会いたかったなぁ」ボソッ

ONDISK「会いたい? 誰にですか」

MRA「え? もちろんプロ……じゃなかった! 内緒にしなきゃいけないんだ」ボソボソ

ONDISK「モバPですか。今会えばいいですよ、誰も止めません」

MRA「えっ、いいのー!? ってあれ? なんでプロデューサーがプロデューサーのこと……」

ONDISK「364プロのいずれかの控え室に居ると思いますよ。今ならすぐに会えるでしょう」

MRA「う、うん! じゃあ行ってくる!」タタタタッ

ONDISK「さて、貴方達ですが」

ホリ・トオル「…………」ゴクリ

変態郵便屋「すいません!」

ONDISK「……好きにしてください。あなたたちは自由です」

変態郵便屋「すいま……え?」

ONDISK「アイドルを続けるも、辞めて元の職に戻るも勝手ということですよ」

ホリ・トオル「なんだお前(素)」

ONDISK「どの道このユニットはIUが終わった時点で解散する予定でしたから。貴方達にもう用はありません」

ONDISK「それともKBSの様にホモビ堕ちさせられると思っていましたか? IUに出たアイドルがそんな事になったら大スキャンダルですよ」

変態郵便屋「いや……すいません」

ONDISK「所詮、貴方達程度の新人ならいつでも用意出来るのです。それが分かったら、早く控え室に戻ってください」

ホリ・トオル「うざってぇ」

スタスタ……

ONDISK「しかしまさか……新田さん達も一緒に敗れるとは予想外でしたが」

ONDISK(まあいい。三次予選の時点で実力はSCOOOPが一番だと分かっていた。本命の彼女達さえ勝ち残れば支障はない……)

短いですがここまで

――――
ガチャ

P「よ。そろそろ立ち直れたか、オッサンたち」

現場監督「モバP……よくもノコノコ来られたもんだね」

P「何だよ。俺だって負けて悔しいんだぞ、それ以上に凛たちが勝って嬉しいけどな」

現場監督「この変態親父め……」

P「リハーサルの時は本当に勝敗が分からないと思ったさ。……でも実際は、あの演出を決めた時点で負けてたんだ」

イケボ親父「ファンを置いてけぼりにした、か(イケボ)」

P「物凄く単純な事で、俺はお前らのファンの事まで考えてなかった。浅はかったんだな」

現場監督「それで何? 謝るっていうの?」

P「ああ。今回のライブ、敗因は完全に俺の演出だ。だから……まあ、一応な」ペコッ

現場監督「……あのねぇ、そんな事されてもこっちが何をすればいいか分からないわよ」

P「別にどうしろっていうんじゃない。俺の気を済ませたかっただけだからな。じゃ」スタスタ

現場監督「……君、本当に自分の責任だと思ってる?」

P「なに?」クルッ

現場監督「ファンの事なんて、君なんかよりも俺達が1番わかってないといけないんじゃない」

P「まあ、確かにな」

現場監督「なのに今回の結果を予想できずに君の演出ベタ褒めしちゃってさ、恥ずかしくないのかよ?(反省)」

P「はぁ……勝手に恥じろよ。俺はもう関係ない」

スタ──ガシッ

現場監督「だからねぇ! このまま負けたのを君のせいにしたらカッコ悪すぎでしょ!」

P「んだよっ、もう……俺は言いたい事を言っただけ。カッコ悪いもなにもないって」

現場監督「そうかな?」

P「そうなの、分かったら離せっ!」バッ

現場監督「待って待って、お礼させてよ~、アイスティーでも飲んでさ、ほら」

P「負けたんだから礼は結構! その睡眠薬入り飲料も飲まない!」パシャッ

現場監督「ぐはぁ!」

P「もう勘弁だからな!」

ガシャバタン!

P(まったく、隙を見せたらすぐ犯そうとしてくるから中年ホモは嫌いなんだ)

P(あいつ、あの調子じゃまた脅しをかけて来るかもしれないな。まあその時は問答無用で変身してぶちのめしてやるよ……)

凛たちの控え室

P「入るぞ~?」トントン、ガチャ

ワイワイガヤガヤ

P「ん……なんだ? って!」

MRA「プロデューサー!」タタタッバッ

P「うわあっ! みりあ、お前なんでここに、ライブは終わったのか?」

MRA「……うん。みりあ、負けちゃった」

P「負けっ、ってマジか!? 相手──」

P(そうか、智絵里か……こりゃ強敵だな)

MRA「相手? チェリークローバーってユニットだよ」

P「そっか。負けちゃったからってこんな所に来ちゃダメだろ、戻りなさい」

MRA「えー、プロデューサーが良いって言ったもん。あ、プロデューサーはプロデューサーじゃなくてね」

P「どっちだよ」

MRA「分かるでしょ?」

P「分かるけどややこしいよ」

MRA「そだね。でもプロデューサーが良いって言ったもん」

P(何考えてんだあいつ、偵察か何かのつもりか?)

MRA「ねープロデューサー、お話いっぱい聞かせてよ。そっちの事務所のお話!」

P「まあちょっとそこに座ってて。先に話さないとダメな事があるから」

MRA「うん、わかったー。凛ちゃんたちとお話?」

P「ん、そうですね」

RN「さっき言ってた演出の話?」

P「あぁ。まずは、な」

RN「まず? ……どこまで私たちで考えたか、だっけ」

遠野「でもほとんど、プロの演出家さん任せでしたよね」

RN「まあそりゃあね。私たちで全部出来るわけないし」

P「ちゃんと自分たちで考えた所もあるだろ?」

MY「そうですね。振り付けの一部はみんなで相談して、元の振りから変えましたね」

P「ん、まあそれもだけどさ、もっと印象的だったヤツ。遠野の歌い方に合わせたのは誰のアイデアだったんだ?」

MY「それは……ボーカルレッスンをしている時、遠野ちゃんに合わせた方が綺麗かもって話になったんですよね」

RN「そうそう。それで自然にそうしようって」

遠野「最初に言ったのは、凛さんだった気がしますけど」

P「なるほど、話の流れでか。凄いな……このユニットで初めてのバラード曲をあんな上手に仕上げちゃうんだから」

MY「踊りや歌で気になった所は、トレーナーさんより早く凛ちゃんが教えてくれましたから」ニコッ

遠野「僕は振り付けを覚えるのにいつも苦労するんですけど、今回は凛さんのおかげですぐに出来ました!」

RN「それは振りの動きが他に比べて少ないからだと思うけど。……それに、私が曲を選んだんだから、二人に色々教えるのは当然だよ」

P「さらーっと言うけど、大変だったろ?」

RN「大変でも、やる。そう決めてたから」

MRA「凛ちゃんカッコいい~」

RN「ちょっ、何でそうなるの。カッコよくないから!」

MY「凛ちゃんはかわいい、ですよね?」

MRA「あ、そっかぁ!」

RN「違うでしょ! いい加減にしろ!」

P「そういえば、そもそもなんでこの曲にしたんだ?」

遠野「確かに。僕も気になってました」

RN「NGの曲から選んだのは、まあ、はっきりとした理由はないんだけど……」

P「単純にやりたくなった、って感じか」

RN「そうなっちゃうかな。でも、心もようを選んだのにはちゃんと理由があるよ」

P「ほう、聞かせてくれ」

RN「……遠野もまゆも、歌が凄く上手いから。この曲にしたら、二人の声が映えるかなって」

MY「ふふ、褒められちゃいましたね。遠野ちゃん」

遠野「凛さんに褒めてもらえるほど上手くないですよぉ」

RN「私よりよっぽど上手いよ。……それと、バラードなら歌を聞かせるのがメインになるから、演出もそこに絞って考えやすいかと思って」

P「ハハァ……」

RN「……変、だった? プロデューサーから見れば」

P「違うよ。あの時は急かしてロクに考える時間も与えなかったのに、すぐそこまで思いつくなんてビックリしたんだよ」

P(バラードは盛り上げづらいから不利、なんて考えて心配してた俺が馬鹿みたいじゃないか……)

RN「偶然上手くいっただけ。私の考えが良かったかどうかなんて結果論だよ」

P「でも二回も上手くいってるんだよなぁ。それはもう、十分腕があると言っていいよ」

RN「別に、ライブ演出家になるわけじゃないんだし。その腕があってもね」

P「まあそりゃそうなんだけどさ」

MRA「プロデューサー、お話終わった?」

P「んー、もう一つあるから待ってくれ」

RN「もう一つって、今度は何の話?」

P「まさしく凛の事だぞ。お前今日、ちょっと熱でもあったか?」スー

RN「えちょっ、無いから!いきなり熱測ろうとしないで!」

P「でも今日見ていて、少し様子がおかしいと思ったんだがな……」

RN「別に? そんなことないと思う、けど?」

P(いや、凛は思わなくても俺がそう思ったんだけど……)

P「本当に何も無いか? 目を見て言ってみ」

RN「……な、何も無い」ジッ

P「よし。まゆ」

MY「はい♪」スサッ

RN「わっ、ちょっとズルいって、反則!」

ジー、スリスリ……

MY「これは嘘ですね。間違いなく」

P「やっぱりな♂(レ)」

RN「~~っ! もう、嘘発見器じゃないんだから……」カァァ

MY「正直になっちゃった方が楽ですよ?」

RN「…………」

P「茶化さないからさ。どうしても無理なら、話せない理由でもいいから」

RN「そんなに大きな事じゃないよ。ただ……今日はいつもより不安だっただけ」

P「不安?」

RN「今日のライブは曲とか色々な事が私の意見で決まったから、その責任感を感じてたの」

RN「それで、私の決めた事が間違いだったんじゃないか、とか、負けたら終わりなんだ、とか、ネガティブな事たくさん考えちゃってて……プロデューサーに相談も出来なかったし」

P(そうか、だからライブが終わったとき意識せず俺の方を向いたのか……)

RN「もう、ほとんど頭の中真っ白。ライブが始まる前と後、何喋ってたか分からないぐらい……さっきやっと落ち着いたんだもん」

RN「とにかくそれぐらい不安で、緊張してた。それだけなんだけど……こんな事言うの、恥ずかしいでしょ?」

遠野「そっ、そんなこと無いです! ぁいや、恥ずかしいかもしれませんけど、もっと言うべきです!」

RN「え……?」

遠野「これまでのライブ、僕はいつも緊張してばかりでした。でもそれを話したら、いつも二人が優しくなだめてくれましたもん!」

遠野「だから緊張してるときは、それを話して、三人で緊張すればいいと思います!」グイッ

RN「遠野、近い……」

遠野「あっ、すいません! なんだか熱くなってしまいました」

MY「遠野ちゃんは緊張しいだから分かるんでしょうね」

遠野「そうなんです。それに僕も、以前は自分でどうにかしようどうにかしようって、思いつめる事が多くて……」

RN「……そっか、簡単な事だよね。私が一人で抱え込んでただけ」

MY「……私、凛ちゃんは不安も緊張もいっぱいで当然だと思います。だって、リーダーですもん」

MY「だからこそ、遠野ちゃんが言った様にみんなで分け合えばいいんじゃないかと思います」

RN「うん、ありがとう……」

P「そんな状態でも、肝心要のライブはキチンとやり遂げるあたりが凛らしい」

RN「ミスしててもおかしくなかったよ。無我夢中だったから」

MY「でもミスしなかったから、凛ちゃんはやっぱり凛ちゃんなんですよ」

RN「どういうことなの……(レ)」

P「多分、凛はかわいいってことじゃないかな?」

RN「そこに戻るの!? やめてって言ってるでしょ?」カァ

MRA「あー、ちょっと赤くなった~!」

RN「もう勘弁して、なんで私がいじられるポジションに……」

MY「そこなんですよ。普段見せないそういう顔、私たちにもっと見せて欲しいんです」

RN「私が普段見せない顔って……あ」

MY「うふふっ、分かりましたか?」

RN「うん。じゃあこれからは、そういう部分も二人見せられるようにしてみる」

RN「かわりに、二人に頼って迷惑掛けちゃう事も多くなるかもしれないけど……ゴメン」

MY「いいんですよ、私も同じぐらい頼りにしてますもの」

遠野「僕なんて、頼りにしてばかりで……少しでもお役に立てればありがたいですよ!」

RN「……ふふ、ありがとね」

P(なんだ。この三人、自分たちでフォローし合ってお互いの弱点を補えてるじゃないか。……俺がいちいちアドバイスしなくたって)


……
………

ステージ

GOisGOD,GOisGOD,GOisGOD……
GOisGOD,GOisGOD,GOisGOD……


関西チャラ男「なんや、これ……」

ジョニィ「うせやろ? 俺らのファンはどこにおんねん」

「GO is GOD」「GO is GOD」「GO is GOD」

GO is GOD

関西チャラ男「ま、負けたらアカン! アカンぞ!」

ジョニィ「っしゃ、イクで!」

関西チャラ男「レーナウンレナウンレナウンレナウン娘が、お洒落チックなレナウン娘が」クルクルクル

ジョニィ「わんさかわんさーわんさかわんさか、イイェーイエイエーイェイェー!」クルクルクル


「…………」「…………」「…………」


関西チャラ男「お、俺達の黄金長包茎の回転が、全く通用せーへんのか……?」

GO「……フ」ニィ

ザワザワザワザワ……


GO「はい、ヨロシクゥ!」スッ


ウオオオオオオオオオオオ!!!!! ワアアアアアアアアアア!!!


関西チャラ男「だ、駄目や……格が違いすぎる、勝てる訳ないやん……」

ジョニィ「……GO is GOD,GO is GOD」

関西チャラ男「おい、お前まで何言って──」

GO「…………」ピカァァァァ

関西チャラ男「ぁ…………ゴー、イズ、GOD……」


……
………

NSDR「……さあ、一回戦が全て終了しベスト8が決定しました!」

ワァァァァァ! キャーーッ!

NSDR「ここで二回戦の対戦カードを確認しましょう!」


『元祖・羞恥心』
vs
『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』


『チェリークローバー』
vs
『おやじ秘・恥・変・化』


『神×聖』
vs
『人の頂』


『ロック・ザ・ビースト』
vs
『SCOOOP!』


NSDR「どれも非常に面白い対戦になる事間違いなしですね、ハイ」

NSDR「特別審査員の皆さまは特にこれが気になる! という対戦カードがありますでしょうか?」

変態糞土方「人の頂、最高や。チケット抽選券付きCD、積んで待つぜ」

NSDR「やはり昔からアイドルをずっと見てきた土方さんは人の頂がイチオシですか」

変態糞土方「よく糞まみれでやったぜ」

NSDR「直接会って話した事もある! 凄いですね~」

NRK「私はその対戦相手の神×聖が気になりますね。GOくんも聖也くんもホント物凄い人気ですから」

NSDR「そうですねぇ~今日のステージもまさしく圧巻でした。平野さんはいかがですか?」

平野「……李衣菜ちゃん」

NRK「あなたそれしか言えないの?」

平野「対戦相手のSCOOOPも優勝候補だと思っています。はい」

NSDR「そうですか~。ちなみに私は、未だに三組全てが勝ち残っている364プロに注目しているのですが、いかがでしょうか」

平野「かわいいよ李衣菜ちゃんが」

NSDK「あぁ……(諦め)」

NRK「平野さん、364プロと二次予選で対戦して負けてますよね?」

平野「少し、計算が違っただけです。次対戦する機会があれば負けません」

NRK「本当ですかねぇ~李衣菜ちゃんと戦ったらライブそっちのけで写真撮ってるんじゃないの?」

平野「失礼な!」

NSDR「あーはいはいはい。本筋から逸れてしまいましたが、とにかく! どのユニットが優勝するかはまだまだ分からないということで!」

平野「…………」ムスッ

NSDR「では、このステージが決勝戦の舞台となった時にまたお会いしましょう! 審査員の方々そして会場の皆さま、ありがとうございました~!」

パチパチパチパチパチパチ……

とりあえずここまで

ーーーー
P「……ハイ。じゃ、そういうことで」pi

RN「誰からだったの?」

P「社長。全部終わったみたいだから、合流して帰ろう」

MRA「わっ! 早く戻って着替えないとプロデューサーに怒られちゃう!」

P「だからもう戻った方がいいってさっきから言ってたんじゃないか。行きなさい」

MRA「だってプロデューサーとお話したかったんだもん……じゃあ、またね」

P「ああ。また、な」

ガチャ,バタン

遠野「ずいぶん懐かれてるんですね。前からそうだったんですか?」

P「んー。そう言われると、モバプロに居たときはここまでじゃなかった気もするな。いやもちろん、仲が悪かったワケじゃないが」

MY「それは……プロデューサーさんがみりあちゃんの前から一度居なくなったからじゃないですか?」

P「俺がモバプロから居なくなったから?」

MY「無くなって初めて、その人がどれだけ大事で大好きだったか気付く。そういうことってあると思います」

P「な、なるほど。まゆが言うとなんか重いな」

MY「うふふ、まゆは自分がプロデューサーさんの事をどれだけ大事に思ってるか理解してますから、大丈夫です」

P(何が大丈夫なのだよ?)

遠野「単純にプロデューサーが居なくて寂しいからじゃないでしょうか……」

P「そうか、そうかもな……まあ、これ以上子供の気持ちを勝手に想像するのはやめよう」

トントン

TDN「プロデューサーさん? 居ますか」

P「多田野? どうした」ガチャ

「失礼します」

P「貴方は……?」

運営委員「IU運営の者です。少しお話があって参りました」

P「はあ。じゃまあそこの廊下ででも……」

運営委員「いえ、このお話は元祖羞恥心の皆さんと、そこのお三方にもお伝えしなければいけない事なので」

P「なんすかそれ」

DB「俺たちも詳しく聞かされないままここまで連れて来られたんだ。やべぇよやべぇよ……」

運営委員「まあ、とにかく。立ち話もなんですから座ってください」

P(この六人にも話があるって、二回戦のことなのか?)スッ

運営委員「……ではまずお聞きしたいのですが、ここに居る二つのユニットについて、二回戦のライブ演出等の担当者は既に決定していますか?」

P「ライブ演出、ですか? まだ詳しくは決めてないですけど、総合演出は俺が担当すると思います」

運営委員「やはりそうでしたか……」

RN「ねえ、まさか……プロデューサーにどっちかの演出を降りろって言いたいの?」

TDN「!」

運営委員「はい。申し訳ないのですが……」

P「な、同じ事務所のユニット同士で戦うからダメだって言うんですか!?」

運営委員「そういうことになります」

P「どうしてですか? 三次予選でもウチのユニット同士がLIVEバトルしましたけど、その時は何も言われませんでしたよ」

運営委員「予選は予選です。本選ではやはり公平性の観点から……」

P「公平性って、俺がどっちかに肩入れして勝たせるとでも言うんですか!? LIVEバトルはそういう事が出来るものじゃないってそれ一番言われれてますよ!」

運営委員「……分かってください。これはもう決定した事なのです」

P「初めからこういう事態を想定して、その場合の裁定を決めていたって事ですか。分からず屋め」

運営委員「…………」

TDN「ぷ、プロデューサーさん。この人はあくまでそれを伝えに来ただけじゃないですか、何もそんな風に言わなくても……」

P「……それで、どちらの演出をするかは俺が選べるんですか。それじゃあどちらにせよ、そちらの言うと公平性には欠けてるんじゃないですか?」

運営委員「ですので、こちらで貴方が演出を担当するユニットを既に決定しております……」

P「は?(困惑) もう許せぬぞオイ!」

運営委員「すいません、そこを何とかお願いします」

P「知wwらwwなwwいwwよww」

運営委員「し、知らないと言われましても……すいません(平謝り)」

P「じゃあ何ですか、ここで俺が断固拒否したら二組とも失格にするんですか?」

RN「ちょっ、プロデューサー!?」

運営委員「い、今さらそんな事出来る訳ないじゃないですか! あーもうちょっと、勘弁してくださいよぉ」

P「どうしようかな?(レ)」

運営委員「すいません! すいませんそれだけは!」

P「……どっちだよ」

運営委員「はい?」

P「俺はどっちの演出が出来るのか聞いてるんです」

運営委員「ア! えええっと、一応、元祖・羞恥心の方に決定したのですが」

遠野「じゃあ僕たちはまた……」

MY「…………」

運営委員「で、ですが、どうしてもと言うならば別にミッドナの方でも……」

P(あっさり決定を曲げていくのか……)

RN「どうするの。プロデューサー」

P「どうしたものかね……」

P(このまま脅せばもしかしたら折れてくれるかもしれないが、それはさすがに大人げない……)

P(凛たちか多田野たちのどちらかを選ぶかだ)

P(今回の件があるから凛たちは俺でなくとも力を発揮できる。なら、運営の言うように多田野たちを……しかし)

P(ついさっき、「もうこんな事はないから」って凛たちには言ったばかりだ)

P(ここで多田野を選べばその言葉は嘘になる。つまり俺は嘘つき嘘つきはホモ。まずいですよ!)

P(やはりここは、多田野たちには悪いが凛たちを優先するべきか、でも……)

P「…………」

運営委員「だ、ダメですか? どうしても」

P「……いや、そちらの言うとおりにしますよ。凛たちの演出は降ります」

運営委員「そ、そうですか! ありがとうございます! では後日詳細な書類をお送りいたしますので!」

タタタタッ、ガチャバタン!

P「悪い。凛、遠野、まゆ。でも三人なら大丈夫だと思ってな」

MY「……プロデューサーさんがそう言うなら」

RN「うん。下手に運営に逆らわない方が良いと思うし」

TDN「わだかまりが少し残ってしまいましたが……お互い全力を尽くしましょう」

遠野「は、はいぃっ」

ガチャ

RIN「ねえ、今変な男の人が出てったけど誰だったの?」

ソレナラウンエイノヒトデスヨ エエウソー!? ウソツイテドウスルノ
ガヤガヤガヤ……



P(そう、この三人なら大丈夫なんだ……俺なんか居なくても)

とりあえずここまで

一週間後 事務所

カタカタカタ…

P「……いや、これじゃ駄目だ」

カタカタ…

P「じゃあこうして……いや、これも……だったらどう……」

カタカタカタ

P「あ~クソ、どうすりゃ……ッ!」

MUR「プロデューサー?」

P「あぁ、いや……すいません」

P(何ぶつぶつ言ってるんだ俺は。口より手を動かさないと)

P(しかし、決めきれない……今日までには何とかしなきゃいけなかったのに)

P(多田野たちのもまださっぱりなのに、どうするんだよもう!)

ガタンッ!

P「っあ、すいませんまた……」

MUR「……何か悩んでるのか?」

P「……はい。二回戦でみんながやる曲とか、ライブ演奏とか、諸々決められてなくて」

P「やっぱこう、大きな舞台になると悩んじゃうもの、ですかね……」

MUR「そういう時は初心にかえって考えてみればいいゾ」

P「初心……ですか」

P(初心か、なんだろうな初心って。ライブの初心、俺どんな考えで決めてたんだっけ……)

剛竜馬「ショア!」

P「……相変わらず誰だ?」

剛竜馬「エイシャア……」

P「ああ嘘、冗談だよ。トレーナーさんがここに来るのは珍しいですけど、何の用件ですか?」

剛竜馬「ショア! エイシャア……シャア!」

P「なるほど、分からん」

剛竜馬「ターッ!」

P(こういう時夏樹が居れば翻訳してもらえるんだがなぁ)

P「社長、どうしかしろ(他人任せ)」

MUR「しょうがねぇなぁ、ゾ……ポッチャマ……」

剛竜馬「シャア……」

MUR「アチャモ……」

剛竜馬「シャア、エイシャア!」

MUR「ふむ」

P「お、池沼同士通じましたか」

MUR「まるでわからないゾ」

P「がくっ。どうするんですかもう」

剛竜馬「……!」サラサラサラ

P「ああ、紙に書けば伝わるな、って文字書けるなら言葉喋れよ」

剛竜馬「ショア!」スッ

P「なになに……」

P(内容は凛たちのレッスン予定だった。本番までの日程が三人分書かれている)

P(俺は今回、一回戦以上に凛たちのライブから遠ざけられているのだ)

P(レッスンやら何やらは全て俺の見ていない所で行われ、スケジュール合わせは向こうの演出家ならびにスタッフが勝手にやって、俺にこうして伝えてくる)

P「分かった、ありがとう。時間通りしっかり送り届けるよ」

剛竜馬「シャーッ!」スタスタ

P(そうか、向こうはもう全部決まって練習する段階か……こっちは何も決まってないってのに)チラッ

P「……そろそろ時間か」

ガチャ

KMR「おはようございます。それを言うには少し遅い時間ですけど」

MUR「おはようだゾ~」

P「おはよう。じゃ社長、ここはお願いしますね」

MUR「お願いされたゾ!」

P(今日は木村の喉が治ったかどうか診てもらう日なのだ……)

治療院

ウィーン,スタスタ……

P「どうだ、今の調子は」

KMR「喉ですか? 今はもう、特に違和感もないです」

P「そうか。ライブ後の検査も大丈夫だったし問題ないと思いたいが」カラカラカラ

P「お願いします(小声)……少し待たなきゃいけないみたいだな」スッ

KMR「座って待ちましょうか」スタッ

P「ん。……ん?」

MNM「あ……」

P(気のせいだろうか、向こうの長椅子に美波が居るように見える)パチパチ

P「…………」チラッ

KMR「…………」タラタラ

P(み、見えてるのか……ナオキにも見えてるならこれは見間違いじゃない)

「ウヒャッ! カヒャッ!」「こら、じっとしてなさい!」

P(診察室の方から聞こえるこの声は、まさか新庄なのか……?)

「あひっ! 嫌だ! 入れないで!」「じっとしろお前!」

P「…………」

KMR「…………」

MNM「…………」

P(大丈夫なのかこの病院……)

MNM「あっ、あのっ!」

P・KMR「は、はいっ! どうした(なんでしょう)?」

MNM「今日は、喉で来たんですよね。大丈夫ですか?」

KMR「今から診てもらうので、なんとも……」

MNM「そそっ、そうですよね! 私は新庄くんの付き添いで。新庄くん、ちょっとお尻が壊れちゃったから」

P(あの様子だとちょっとじゃ済まないと思うんですがそれは……)

KMR「そうですか、大変ですね」

MNM「でも喉とお尻の病院が一緒って凄いね。あはは……」

P「笑えないよ!」

MNM「すっ、すいません。プロデューサー、さん……」

P「ぁ……うん、久しぶりだな美波……」

MNM「はい」ペコッ

P「…………」

MNM「…………」

P「き、聞かないのか? 俺の事」

MNM「プロデューサーさんの事ですか? 例えば、なんでしょう」

P「どうして事務所を辞めたのか、とかさ。まず、俺が364プロに居ること知ってたのか?」

MNM「それは……大体察しがつきますから。今はもうみんな知ってます」

P「そ、そうか。やっぱりな……(レ)」

MNM「でも、プロデューサーさんがどうして辞めたのかは誰も知りません」

P「…………」

MNM「教えて、もらえますか……?」

P「それは──」


「いぎゃああああああああああい!!!」


KMR「うわぁ」

P「派手に壊れてるみたいだな」

MNM「右手全部入っちゃいましたから」

P「そうか……えっと、理由はな……」

スタスタスタスタ

SNJ「何話してんだぁお前ら~、俺も仲間に入れてくれよぉ」

MNM「あ、新庄くん。もういいの?」

SNJ「もう完璧に治ったみたいだ」

P(うせやろ?)

MNM「えっとじゃあ、私たちもう行きますね」

P「あ、ああ。お大事に」

MNM「はい。それじゃあ」ペコッ

SNJ「治ったとはいえもう勘弁だぜ」スタスタ……

P「……美波!」

MNM「はい……?」クルッ

P「もうすぐ、もうあと少しで戻る。だからまた、すぐ会おうな」

MNM「……はいっ!」ニコッ

スタスタスタ,ウィーン……

KMR「プロデューサーさん」

P「ん、ちょっとクサい台詞だったかな?」

KMR「いや、あの人達お金払ってませんよ……」

P「えぇ……(困惑)」

P(この後すぐ戻ってきて会計を済ませ、程なくしてナオキの名前が呼ばれた)

短いですがここまで

TRN「ええと、本日は喉の経過観察ということでしたか」

KMR「よろしくお願いします」

P「その前に一つお尋ねしたいんですけど、ここは何科の医院なんですかね……」

TRN「なんでも科ですね、ハイ」

P「は? おいゴルァ医師免許見せろ!」

TRN「ないです」

P「それはそれは。あなたブラックジャックか何かで?」

TRN「医師免許は大きいので自宅に飾ってます。写真ならありますよ」

P「へぇ(無関心) 分かりました。もういいですから、始めてください」

P(まあ新庄のケツを治すぐらいだからヤブではないだろう)

TRN「では口を開いて……あーって言ってください」

KMR「んあー」

TRN「伸ばしてぇ」

KMR「ンアーッ……」

TRN「はいもういいですよ、楽にしてください」

P「も、もういいんですか」

TRN「ええはい、まあ問題ないでしょう」

KMR「本当ですか?」

TRN「特に腫れなどは見られません。本人も普段の生活で異常はないということですし大丈夫でしょう」

P「しかしナオキにはステージが控えてるんです。歌うのも、大丈夫なんですか?」

TRN「腹式呼吸で発声すれば喉への負担はほとんどありませんから、もちろん大丈夫です」

KMR「良かった……」

TRN「ただ今回痛める原因にもなった、力任せの叫びはやめてくださいね。極めて強い負担がかかりますので

KMR「でも、一回ぐらいはいいですよね? ライブで一度、叫ぶぐらいは」

TRN「そんなことしなくていいから(良心) 一度痛めた喉です。負担をかけるとまたすぐ痛んでしまいます」

P「その通りだ。少なくとも次のステージでは絶対叫んだらダメだぞ」

KMR「……はい」

TRN「それと、今は歌った時少し違和感があるかもしれません。ですが喉を使った後のケアをしっかりすれば次第に良くなりますよ」

KMR「はい、わかりました」

TRN「では治療費の14万3000円を……」

P「ちょっと待って! 14万? 嘘やろ? ちょっと喉の様子見ただけでこれってぼったくりやろ!」

TRN「私の診察に保険は利かないのでね」

P「そんなところまでブラックジャックの真似しなくていいから……」

ウィーン,スタッスタスタ……

P(洒落かと思ったら本気で14万3000円の請求書よこしやがった)

P「もう二度と行かん……」

KMR「…………」

P「ナオキ?」

KMR「ん、ああ、そうですね」

P「雄叫び禁止令がそんなに辛いか?」

KMR「……まあ」

P「元々は四次予選で一回きりの予定だったんだ、前までに戻るだけさ」

KMR「そう言われれば、まあ。今度のライブ構想はもう大体決まってるんですか?」

P「えっ、いや、それはこの後の打ち合わせでじっくり」

P(今日はロックザビーストのライブ打ち合わせの日なのだ。だからこそ、今日までには考えをまとめなければいけなかった)

P(なのに………)

KMR「そうですね。相手が相手ですから、じっくり話し合って決めましょう」

P「……ああ」

事務所

P「じゃあ、始めるか。まずは、曲を決めたいんだけど……」

RIN「え、まだ決めてないんですか? いつもは打ち合わせの前に決まってますよね」

P「あ、いや……」

KMR「舞台が舞台ですからね。僕たちと十分話し合って決めるそうです」

RIN「あ、そっかぁ! 野暮なこと聞いちゃいましたね、ごめんなさい」

P「あぁうん、いいんだ。候補をリストアップしたから、どれがいいか考えてみてくれ」スッ

NTK「どれ……なあリストアップって、これアタシたちの曲ほぼ全部書いてあるんじゃないか?」

P「ま、まあ選択肢は多いほうがいいと思ってな」

RIN「あれ、ない? ちょっとなつきちの見せて」

NTK「同じだろ? ほら」

RIN「ん~やっぱりない! プロデューサーさん、なんであの曲が無いんですか!?」

P「あ、あの曲? あの曲って、どの曲?」

RIN「Jet to the Future! 私はこの曲しかないと思います!」

P「Jer to the Future!? でもそれは……」

KMR「元はロックザビーストじゃなくて、ロックザビートの曲ですね」

NTK「アタシはこのユニットでもいけると思うぜ。実際、ライブでやろうかってモバPさんが言った時もあったしな」

RIN「でしょでしょ! どうですか、プロデューサーさん!?」

P(確かに予選終了後ステージのオファーが増えた時に、この曲を提案した事はあった)

P「でも結局その時はやらなかったろ。あくまでこの曲は二人のモノだからって」

KMR「僕がそう言ったんでしたね。でも、だからこそこの曲をやるのもいいんじゃないかって、今は思います」

P「どういうことだ?」

KMR「壊したいんです、僕自身でそのイメージを」

NTK「イメージって、Jet to the Futureがアタシたちの曲っていうイメージか?」

KMR「そうです。僕も二人と一緒にこの曲を歌って、ファンに新しいJet to the Futureを、ロック・ザ・ビーストを見せたいんです」

KMR「何故なら既存の概念にとらわれないのが、ロックだから……!」

P「ロック……」

RIN「そうだよ!(便乗) そんな私たちを見せられれば、ファンもきっと喜んでくれると思います!」

P「!」

P「そっか、そうだよな……」

P(どうして考えても考えても何も思い付かないのかが、やっと分かった)

P(アイドルをどうやったら勝たせることが出来るか、俺はこれしか考えてなかったんだ)

P(だからユニットの演出を考えているつもりがその実、対戦相手の強さばかり気にしていた)

P(俺が本当に慮らなきゃいけないのは、どういう見せ方をすればアイドルは一番輝くのかってことだろ!)

P(この子らは自分がどうすれば観客が喜ぶのかをしっかり考えてるのに、俺は何やってるんだ!)

RIN「プロデューサーさん?」

P「よし、やろう!」ドンッ

RIN「うわあっ、ビックリした!」

P「ナオキたちが考える最高のロックを俺に教えてくれ。そしてそれを……この曲でやろう!」

NTK「へへっ、そうこなくちゃな」

KMR「あ、あまり本物のロックには詳しくないのですが」

RIN「だいじょーぶ! 私でもなんとかなってるんだから!」

NTK「自分からそれを言っていくのかよ、だりー……」

P「いいんだよ、自分なりのロックで。ファンが求めてるのは多分、三人のそういう所だろうから」

KMR「分かりました。次のステージはこれまでで一番のモノにしましょう、いや……するぞ!」

「おう!」

P(ナオキたちの打ち合わせが終わった後はすぐさま、多田野たちの方を取りかかった)

P(もう迷いや悩みは無くなり、スケジュールの遅れを取り戻す早さで仕上げることが出来た)

P(打ち合わせが終わると二組はレッスンの日々。当然これまで以上のクオリティが求められるので、レッスンも段々と厳しくなっていく)

P(アイドルはそれを励まし合いながら耐え、自分たちのパフォーマンスを着実に成長させていった)

P(そして時間が経つのは早いもので、季節は秋の終わりを迎えていた)

P(そう、あっという間二回戦の日がやってきたのだ……)

短いですがここまで

ワーワー! ガヤガヤガヤガヤ……

遠野「もう始まってるみたいです!」

P「お、そうだな。でも急ぐ必要はないよ。対戦は夜六時から。あと三時間もある」

RN「その前に、私と多田野はソロで出番があるけどね」

P「だからこの時間に来たんだろ?」

P(二回戦はそれぞれ、IU運営が企画したライブフェス「LIVE Parade」のトリとして行われる)

P(ライブフェスなのでもちろん、凛や多田野たち以外にも様々なアイドルがライブやLIVEバトルを行う)

P(更にソロでも人気の高い凛と多田野には、LIVEバトルの前にソロステージが用意されているのだ)

P「本当は遠野もソロで歌う予定だったのになぁ~」

遠野「だっ、だから僕にはソロのステージなんて無理なんです! こんな大きい舞台で……」

TDN「ここで歌わなくても、いずれそういう機会は増えると思いますが」

RN「そうだよ、折角なんだから歌っちゃえばいいのに。IUが終わった後の事も考えないと」

遠野「IUが終わった後の事なんて……僕にはまだ何も考えられません」

P「にしても、今日が暖かい日で助かったな。もうおおよそ冬だっていうのに」

MY「この季節に野外でライブと聞いて少し心配してましたけど、さすがは九州ですね」

P(LIVEParadeは全国を巡るフェスなので、IUの二回戦はどれも地方で行われる)

P(そして凛たちの対戦が行われるこの鹿児島公演は唯一、全て野外ステージでライブが行われるのだ)

P(それにしても4つの対戦をわざわざバラけさせるとは、運営もやり口が汚いなぁ……)

P「さて、凛と多田野はもうステージの準備に入らなくちゃいけないが、他のみんなはどうする?」

DB「……俺はステージを見たいんだが、アイドルの席はあるか?」

P「えっ見たいのか!? お前が!?」

DB「見たくて悪いのか!」

P「いやまぁいいけど。今回関係者席は無いから一般客に混ざることになるぞ」

DB「だからどうした」

P「どうしたってお前アイドルだろうが! 騒ぎになったらどうするんだ」

DB「フン、羽田野が居れば問題はない」

HTN「ウィヒ!」

P「あぁ、他人まで巻き込んで空気に出来るんだったか……」

遠野「あ、じゃあ僕も付いていきます。勉強になりそうですから」

P「いいねぇ~熱心だねぇ」

DB「なら行くぞ。付いてこい」

遠野「はいっ!」

P「じゃあ俺たちはとりあえず控え室に」

……ガチャ,バタン

P「二人とも大丈夫みたいだな。ステージの指示はこっちスタッフがやってくれるみたいだし……」

MY「暇になりましたね」

P「どうすっかな~俺もな~、ステージ見ていくかな」

スサッ

P「!?」

MY「二人きりで散歩するのは、駄目ですか?」

P「やっちょっ、まずいですよ! どこで誰が見てるか分からないし……!」

MY「大丈夫です、変装道具も用意してありますから」スチャッ

P「ヒゲメガネは変装の内に入らん!」

MY「冗談です♪ ほら、今度はちゃんとした伊達眼鏡を付けて……」スルスル

P「えちょまって髪型変えちゃってええん!?」

MY「どの道、後からセットし直してもらいますから問題ありません。それよりほら、もう誰もまゆをまゆだなんて思いませんよ」

P「まあ、この見た目ならな」

MY「今のまゆを見て気付いてくれるのはプロデューサーさんだけ……プロデューサーさんだけのまゆなんです」

P「わ、分かった分かった。最近散歩しようか」

MY「♪」

スタスタ……

P「初めて来る道ってなんかワクワクする、しない?」

MY「そうですね。ここには私たちが知ってる人も、私たちを知ってる人も居ません」

MY「まゆとプロデューサーさん、二人だけ……」

P(そんな駆け落ちしたカップルみたいな事言わんでも)

P「あ、そういえばさ」

MY「はい」

P「多田野って夜も慣れてるのかな?」

MY「えっ?」

P「やっぱあの経歴的には慣れてそうだよなぁ」

MY「それは、えっと、もしかして……」

P「ん? 寒さだよ寒さ。プロ野球はほとんどナイターだろ?」

MY「あっそっちですか」

P「どっちだよ」

MY「いえ……でも確かに慣れてそうですよね。北海道の球団ですし」

P「だよな」

MY「はい」

P「だよねぇ」

MY「この話もういいですか?」

P「あ、はい」

P(そんなこんなで各々、本番までの時間を過ごしたのだった……)

ワー……ワー……

P(今やってるのを含めて、あと二組のステージが終わったらいよいよ本番だ)

P「ふぅーっ、さて……」

P(向かって右が多田野たちの控え室、左が凛たちの控え室だが、どっちに入ろうか)

P(いや、まあもちろん両方行く。行くが、時間配分を間違えたら後から入った方とあまり話せない可能性が微粒子レベルで存在──)

「あの、ぼーっと立って何考えてるんですか?」

P「いやぁホモとノンケどちらを優先するかって、って! 安部菜々さんじゃないっすか!」

USMN「モバPさん! ご無沙汰ですね!」

P「もしかして今日、ライブに出てたんですか?」

USMN「はい! IUの運営さんから直接オファー貰ったんですよぉ~!」

P「それは結構な事ですね。それで一体、何の用で?」

USMN「ちょっと多田野さんたちと話そうかな~、と思いまして。良いですか?」

P「もちろん。一緒に行きましょうか」

USMN「ありがとうございます。ところで、一つお尋ねしたいんですけど」

P「なんでしょう?」

USMN「何故、敬語……」

P「目上と年上には敬語を使えと教わったので」

USMN「17さいっ! 圧倒的に年下ですから、目上でもありませんからっ!」

P「はいはい。ノルマ達成ですね」

USMN「なんですかノルマー!」

ガチャ

TDN「……菜々さん?」

USMN「あっ、ど、どうも~」フリフリ

P「じゃ、入るとしますか」

USMN「皆さんお久しぶりですー、あ、多田野さんにはさっきもご挨拶しましたっけ」

TDN「改めてということで。お久しぶりです」

DB「……LIVEバトル、勝てて良かったな」

USMN「わぁ~見てくれたんですね、ありがとうございます! 今日対戦したTKUNCさんとは、前からLIVEバトルをする約束をしてたんですよ」

DB「フン……そうか」

P「あ~分かったぞお前、菜々さんのステージが見たかったんだな~」

DB「ちっ、違う!」

P「じゃあなんだよ、言ってみろお前」

DB「うぐっ、なんでもいいだろうが!」

USMN「まあまあ。……この後は、多田野さんたちの番ですね。応援してます」

TDN「はい! 頑張ります!」

USMN「ナナも今日勝ちました。だから多田野さんも、大坊さんも、羽田野さんも、勝てます。絶対……勝ってください!」

DB「当たり前だ……負けると思って行く奴は居ない」

P「ビビリのお前ぐらいだな」

DB「なんだと!?」

アハハハハ!!……

TDN「大坊の言う通りです。今は勝利の二文字しか考えていません」

USMN「ですよね! それじゃあナナはこの辺で……」

P「いや、菜々さん。俺は凛たちの方へ顔出すから、ここに居てくれないですか?」

USMN「えっ、逆にいいんですか?」

P「ええ、菜々さんと居た方が三人ともやる気が出ますよ。じゃ、しばらく」ガチャ

P(あんなの言われた後じゃ、俺がどんなハッパかけても水さしになるだけだもんな)

凛たちの控え室

ガチャ

P「どうだ、調子は……って」

RN「って、ってってー?」

P「いや、なんだ? その衣装は……」

P(凛たちの衣装はドレス型で、色は純白。もちろん冬に近いこの時期だから、こういう衣装は当然アリ。なのだが)

P(細部がところどころ不自然で、まるであえて脱色してあるかのような感じを受ける)

P(例えるなら、着色する前のフィギュアのような……遠くから見るとそう感じないのだろうか)

MY「気づきましたか? 実はこの衣装……」

P「この衣装は……?」ゴクリ

MY「ふふっ、それは見てのお楽しみです♪」

P「は?(威圧) なんだよ、教えてくれよ~!」

遠野「言葉で説明するのは難しいですから、見るまで我慢した方が本当にいいですよ」

P「そうか、そうなのか……って今はそういう話をしてる場合じゃなくて」

RN「何の話がしたいの?」

P「いやライブ前! ライブ前だぞ、お互い励まして、気分を高め合って……ってあるだろ!?」

RN「あるかもしれないけど、今の私たちはその逆だよ。凄く落ち着いてるの」

P「あぁん、なんで?(レ)」

RN「なんでだろう、プロデューサーが関わってないのはこれで二回目だから?」

MY「寂しいですけど、何にでも慣れはありますからね」

P「いやでも、俺が居ない事に慣れたのと今の状態は関係ないだろ」

遠野「今回はレッスンの量が多くて大変でしたけど、僕はそれが自信になってますよ」

RN「そうだね、それが一番の理由かな。レッスンが丁寧に出来て、普段より充実してる感じがある、かな」

P「普段より……」

MY「演出家の方や他のスタッフさんも良い人ばかりでしたから、私も今回はやりやすかったです」

P「…………」

RN「……? プロデュ──」

ワァァァァ! パチパチパチパチ!

P「二つ前のステージが終わったみたいだな」

トントン

「そろそろスタンバイお願いしまーす」

P「はーい。じゃあ俺は多田野たちの方へ行くから、凛、任せたぞ」ガチャ

RN「あ、うん。分かったよ」

MY「そんな、プロデューサーさん! まゆと一緒に──」

P「……頑張れよ」

バタン

舞台袖

P(さて、そろそろ前座のステージも終わるな……)


「ありがとうございました!」

ヒュー! パチパチパチパチ!!



TDN「あの、プロデューサーさん」

P「どうした?」

TDN「ステージに出るとき、自分達の背中を押してくれませんか?」

P「ああ、構わないけど。どうしてだ?」

TDN「さっき、菜々さんがウサミンパワーを背中に注入してくれました。だから最後に、プロデューサーさんの力もください」

P「そうかそうか、じゃあ目一杯押してやるよ!」


「さぁ、続きましては本日最後のLIVEバトル! IU二回戦第一試合でございます!」

ワァァァァァ!!

「登場するユニットは──」


P「ほら大坊! ビビってないでしっかり立て!」

DB「ビビってなどいない!」スタッ

P「……どうやら今日は本当みたいだな。そういう風の吹き回しだ?」

DB「さあ……ウサミンパワーのおかげかもな」

P「あっ(察し)、ふーん……まったく、いつの間にかこんながっちりした背中になりやがって」スリスリ

DB「触るな!」


「……それでは登場してもらいましょう! 『元祖・羞恥心』そして『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』!!!」


TDN「プロデューサーさん!」

P「よし、じゃあ……行ってこいッ!」ドバッ!


ドタタタタッ……ワアアアアァァァァッ!


P「ふうっ。大の男三人も押すのは疲れるな」

P(あれ? 手は二つしかないのにどうやって三人の背中を? ……まま、ええわ)

HTN(ウィヒ!)

とりあえずここまで

ワアアアアアアアア! キャー! ギャー!

司会「歓声が鳴りやみません! 皆さん少し抑えて抑えて!」

ワァァァァァ……

司会「ありがとうございます。では始める前に少しお話を伺ってみましょう。まず多田野さんと凛ちゃんは先ほどもソロステージがありましたが」

TDN「おかげで身体は温まっています!」

RN「うん、私も」

司会「疲れるどころか逆にエンジン全開ということですね。……今からの対決はやはり、お二組が同じ事務所というところがネックになると思いますがそれはいかかでしょうか」

DB「……関係ない」

司会「か、関係ないですか」

MY「私もそれはあまり意識していません」

司会「遠野くんはどうですか、何か意識した点は」

遠野「相手とお客さんに、失礼の無いようにできれば……」

司会「……なるほど、同じ事務所の仲間だからこそ、礼節を欠かさず全力で立ち向かうということですね」

遠野「そ、そういうことです!」

司会「ありがとうございました。ではいよいよ……」

TDN「あ、自分少し喋っていいですか。すいません」

司会「もちろんもちろん、なんですか? どうぞ」

P(多田野、一体何を言うつもりだ?)


TDN「凛さん」

RN「……えっ、私?」

TDN「はい。自分は、貴女の事を同じアイドルの道を往く先輩として以前から尊敬していました」

RN「うん、ありがと……でいいのかな」

TDN「尊敬すると同時に、自分はいつか貴女を越えるアイドルになりたいとも思っています。目標みたいなものです」


P(確かに三次予選の時も多田野は凛との対戦を望んでいた節があったな。その時は実現こそしなかったが)

P(凛が364プロに来てから、いやもしかしたらそれ以前からずっと、多田野にとって凛は目標だったのだろうか……)


TDN「そして今、目標である貴女と同じステージに自分は立っています」

RN「…………」

TDN「このLIVEバトルの勝敗がアイドル個人の優劣を決めるものではありませんが、今日ここで勝つことが、自分の目標達成への第一歩であることは間違いありません。だから──」ビシッ

TDN「渋谷凛さん、今日ここで貴女たちを倒して……自分たちが日本一のアイドルユニットになります!」

ウォォォォォワァァァァァァァ!!!

司会「お、驚きました! 勝利宣言です! 多田野数人の勝利宣言!」

司会「……っていうかまだ二回戦なんですけど、それは大丈夫なんですか?」

TDN「自分の中では、凛さんたちより強いユニットは居ないので」

DB「GOが居るだろうが!」

TDN「あんなのは所詮偶像崇拝。だます方もだます方だし、だまされる方もだまされる方」

司会「おおぉっ、GOどころか色んな方に喧嘩を売ったような気がしますが、とにかく! 気迫が伝わってきます」

司会「さあ、この啖呵に対し渋谷の凛ちゃんはどう応えるのか!?」

RN「……望むところだよ」

TDN「!」

RN「尊敬とか目標とか、私の何がそんなにいいのか分からないけど……私を越えたいなら、今から越えてみせればいい」

TDN「ええ!」

RN「でも、私は負けないよ。この先に待ってるもっと大きな舞台と、その向こう側にある景色を、私は見たい、……。だから、負けられない」

RN「もちろん私だけじゃなく、この二人もね」

MY「もちろんですよ。それにしても、カッコいい台詞がよく似合いますね♪」

遠野「い、一生付いていきます!」

RN「はぁ、せっかくキメたんだから少しは合わせてよ、もう……」

P(今「私は見たい」と言ったあと一瞬、何かを言いかけて止めた。いや、口は動いていたが声を出さなかったんだ)

P(「それに」、口だけでそう言っていた)

P(IUで優勝してモバプロを取り戻そうとしていること、凛が負けられない本当の理由。それを言いかけたのかもしれない)

P(いずれにせよ二人とも、いや六人ともが、勝利への強い気持ちをもってこのLIVEバトルに臨んでいる)

P(それを一番分かってるのは、ここまでプロデュースしてきた俺だ)

P(だからこれもう、どっちを応援したらいいのか分かんねえな……)


司会「勝つ! という多田野さんの言葉に対して負けない! と返しました! 一歩も譲らぬ覚悟です!」

司会「さぁでは今度こそ、試合開始といきましょう! ミュージック……スタート!」

ワァァァァァ!!


P(もうこうなったら、とにかくこのステージの全部を見守ることだ)

P(凛たちがどんなパフォーマンスに仕上げて来たかも、多田野たちがいつも通りのことを出来ているかも、全部!)

~♪

遠野「アンッ! アンッ!」~♪

P(凛たちは今回、アイドルソングの王道を往くラブソングを選んだようだ)

P(まゆはともかく、凛や遠野はそういう曲を歌ってるイメージがあまり無いから、これは新鮮味がある)

P(白いドレスもレーザーライトの光を受けて強く輝き、暗い夜空の中で存在感を放っている)

P(さすがに出だしからレベルが高い。でも多田野たちも、決して凛たちに遅れていない!)


DB「盛り上げなきゃ撃つぞゴルァ!」

ワァァァァァ! バァン!

TDN「ワン! ワン!」

「三回だよ三回!」「もっといい声で鳴いてみろよ!」


P(いつも通りのアピールと、いつも通りのコールで会場を盛り上げている!)

P(そう……いつも通りの、悪く言えば代わり映えしない、多田野たちの十八番)

P(でもそれだけが、この二回戦を突破するための、あいつらの勝ち筋なんだ……)


……
………

TDN「プロデューサーさん、自分は今度のLIVEバトル、絶対に勝ちたいです」

DB「フン、何を今更」

TDN「黙れ大坊! 相手は凛さんなんだ、生半可なパフォーマンスでは通用しない!」

DB「な、なんだよ……」

TDN「プロデューサーさん、自分たちは一体何をすればいいんですか」

P「いや、それは今から話すけど。黙れはちょっと言い過ぎなんじゃないか」

TDN「……はい。すまん、大坊。少し興奮しているみたいだ」

DB「チッ、そう思うならしっかり抜いてこい」

P「は?(威圧) ……本題に入るが、今度のステージはこういう感じでやろうと思っている」スッ

TDN・DB「…………」モクモク

P「どうだろうか」

TDN「どうだろうか、って……これ、何か別のライブステージの資料と間違えてませんか?」

P「いや、二回戦の奴だが」

TDN「そんな……」

DB「やべぇよ、やべぇよ……」

P「何が不満なんだ。言ってみてくれ」

TDN「これじゃあ普段やっているライブとほとんど同じじゃないですか!」

P「それの何が悪い」

TDN「何が悪い? こんないつもと変わらない、変化の無いステージじゃ凛さんたちにはとても勝てません!」

P「なら、どうしたら勝てると思うんだ」

TDN「っ、いや、それは……」

DB「それを考えるのが、プロデューサーの仕事だろうが!」

P(多分、普通はそんなことないと思うが……)

P「多田野は今変化が無いと言ったが、一体今からどうやって、どう変化を付けるっていうんだ?」

TDN「…………」

P「それに考えてみて欲しい。ファンはそのあるかも分からない変化を望んでいるのかどうか」

TDN「!」

P「変化を付けるのは、今このライブが一番のタイミングなのか?」

TDN「それは……分かりません」

P「元祖・羞恥心のファンは、この変化のない、何度もやったパフォーマンスを見てファンになったんじゃないかな」

P「いつもの曲でいつも通りのパフォーマンスをして、客がそれを『もう飽きた』なんて言ってきたことがあったか?」

TDN「……無い、ですね」

DB「客はいつでも、俺の『盛り上げなきゃ撃つぞゴルァ!』に応えてくれる……」

P「三人の力を一番引き出せるのが、このいつもと変わらないパフォーマンスなんだよ!」

TDN「変化がない、つまり直球勝負ということですか」

HTN「うまいぞ野球ネタ(空気)」

P「同じ曲を何度やろうが、審査員も観客気にしない。むしろそれ一本で勝ち進んでる分潔いじゃないか」

DB「確かに、IUのLIVEはここまで全部この曲でやってきたな」

P「だからパフォーマンスが洗練された。これまでの全てがここに集約されてるんだよ」

TDN「……考えを改めます。自分たちが勝つとしたら、これしか無いのかもしれませんね」

DB「フ、少しはいける気がしてきたぜ……だがな」

P「なんだ?」

DB「一回戦でやった物で釣る作戦、ここには入っていないがアレならまたやっていいんじゃないか?」

P「あぁそれなんだが、今度の会場ではステージから客席に何かを飛ばすのが禁止されてるんだ。安全面の問題でな」

P(金もかかるしな)

P「だから一回戦と同じようには出来ないんだ」

DB「……そうか」

P「でも、その代わりと言ったらなんだが一つだけ、これまでにないパフォーマンスを考えてきた」

TDN「本当ですか!」

DB「ここまで散々、俺たちのマンネリやお約束を肯定してきて最後にそれか」

P「やっぱり一個ぐらいは新しいのがあると盛り上がるし、ま多少はね?」

TDN「何故、資料に最初から書いておかなかったんですか?」

P「いや、実をいうと……これは審査対象になるのかどうか微妙なラインのパフォーマンスなんだ」

DB「なに?」

P「会場は野外だろ? だから──」ゴニョゴニョ

………
……

とりあえずここまで

P(今日のステージで勝つために、これまで通りのことをこれまで以上のクオリティで行う)

P(今のあいつらはまさにそれが出来ている。これなら勝負は全く分からない)

P(一方の凛たちはといえば……)


RN・MY「~~♪」

遠野「アンアンアッアーッ! アンアンッ!」


P(歌は相変わらず素晴らしいし、踊りもよく出来ている。一回戦に続いて今回も俺の見ていない所で良く頑張っていたようだ)

P(でも今のところ、際立った、前回で言えば凛とまゆが遠野の歌唱法に合わせるというようなパフォーマンスは無いな)

P(元の人気で差があるとはいえ戦況は互角か?)

P(しかし、まゆの言っていた衣装の事が気になるな。一体……)


RN「~♪」スタタッ,タッ

キラッ!


P「っ! なんだ今の輝き!?」

P(凛がステップを決めた直後だったが……光の反射か?)


MY「♪」タッ,タタッ

ピカッ!…ワァァァァァ!

P「また来た!」

P(偶然じゃない、さっきまでダンスの振りに今のような大きなステップは無かった。曲がサビに入ってからだ)

P(それにさっきの凛も今のまゆも、ステップの終わりに少し静止してポーズをとっている。アピールだ)

P(光の反射を利用してアピールを目立たせる。それがあの衣装の効果なのか? 少し単純過ぎる気がするが……)


遠野「アンッ! アッ!」タッタッ

MY「~♪」キュッ,タタッ


P(二人同時か。ダンスが苦手な遠野だけ少し易しい動きになってるな)

ワアアアアアアアアッ!!

P「ファッ!?」

P(な、なんだ? 今のアピール、そんなに盛り上がる場面だったか!?)

P(でも今ので、あの衣装とアピールには俺が気付いていない秘密があると分かったぞ)

P(それに勝負が、凛たちの優勢になって来ているってことも……)

TDN「ッ!」ビシュン!

ワァァァァァ! パチパチパチ

RN「……!」シュタッ

キラッ……ワァァァァァ! foo↑


P(多田野と凛が同時にアピールしたが、盛り上がりはほぼ同じか……)

P(多田野のピッチングアピールは今日のライブでこれが1回目だが、凛たちの方はさっきから三人で何度もアピールしている)

P(それでも反応が同レベルというのは、よほどの仕掛けがあるとしか思えない)

P(何なんだ、一体どんな仕組みがあるんだ!?)ジー

P(光、反射、衣装……ステップとポーズ……)ジー

P「……!」

P(反射の光源はステージの床に設置しあるライト。そのライトの色が仕掛けだったんだ!)

P(どうりでここからじゃ分からないワケだ……客席からでないと綺麗に見えないんだ)

キラッ!

P(ステップの後、ポーズを行うあの位置でだけ、凛たちの衣装は色が変化している!)

P(さっき控え室でアレを初めて見た時に感じた違和感は正しかった。やはりあえて色を付けていなかったんだ)

P(あの衣装はおそらく特殊な加工がされているか、素材自体普通の衣装で用いる物と違うのだろう)

P(それらにより一定の角度でライトを当てると衣装に光が入って色が付き、キラキラと輝くようになっている……はず)

P(俺は舞台の横から眺めているから衣装の光が入る部分が見えない、という訳だ)

P(しかしこれはとんでもない……まったく、誰がこんなの思い付いたんだよ!)

P(パッと思い付くだけでこの衣装のメリットは三つもある。そしてそのどれもが大きな利点だ)

P(まず衣装の見せ方が何パターンあるのか分からないが、少なくとも照明の色を変えるだけでアピールにかなり幅を持たせる事が出来る)

P(更に、曲の盛り上がりを衣装の色で観客へ分かりやすく伝えられる。だから会場のボルテージを上げるのも容易い)

P(しかもこの仕組みはアイドルが正しく動かなければ全く機能しないように作ってあるから、アピールの難易度は必然的に高くなる)

P(それをここまでキッチリこなしているということは、それだけ審査員の評価も上がるということ)

P(どうやら、予想以上に差が付いてしまっているみたいだな……多田野たちが勝てるとすれば、後は──)


TDN「……羽田野! いけるか!」

HTN「ウィヒ!」


P(そうか、やるのか……)

TDN「皆さん! 今から自分たちがボールを投げるので、手に持ったサイリウムやペンライトで一斉に! 打ち返してください!」

TDN「もちろん、周囲のお客さんには気をつけて!」

ウォォォォォ! イイヨコイヨ!

P(このステージでは観客席へ物を飛ばすのは禁止なのでもちろん実際には投げない、だが……)


TDN「よし、いくぞみんな!」

DB「上手くやれよ。失敗したら許さんぞ!」

TDN「よし……ッ!」

スッ……ビシュン!

「オッラァ!」「打ちますよー打つ打つ!」

ブゥン!


P(客のサイリウムが一斉に振り上がった瞬間──)


HTN「ウィヒャァ!」

ゴオオオオオオオオオオオ!!!!(神風)

「ファッ!?」「アカンこの風じゃ右手が持っていかれるゥ!」


ゴオオオオオオオオオオオ!!!!(神風)

ビヒュウゥゥゥゥッゥン……


DB「……マジに飛びやがったか」

HTN「うまいぞ、俺(自画自賛)」

P(羽田野が起こした突風で観客のサイリウムやペンライトが全て空中に舞う!)

P(そうなったら全員、視線を空に移さずにはいられない。ステージを見ている者も、ステージに立って演じている者も……)


RN「何、これ!?」

遠野「風が吹いた途端、観客席が真っ暗に?」

MY「見てください……空に光が! 」

キラキラキラ……

RN「何かがゆっくり、落ちて来てる……?」

遠野「雪、もしかして雪ですか?」

RN「いや……違う。多分──」


P(物をステージに投げるのは禁止だが、風で吹き飛ばされたんじゃしょうがない)

P(あの瞬間、多田野たちはちゃんと投たんだ……)


「なんで落下速度がこんなに遅いんですかねぇ」「物理法則がこわれるわ(しみじみ)」
「あぁん、なんで?(レ)」「知wwらwwなwwいwwよwwww」


P(羽田野の奴、本番一発勝負でやりやがったな。空気のくせして良い仕事しやがる)

P(野外だから風を利用してアピール出来る。その一言だけでこんな大掛かりな事やるんだから、まったく凄いよ……)

キラキラキラ

「なんか変な光った紙も降ってきてないすか?」「お、そうだな」

ザワザワザワザワ……

「何か書いて……これ多田野のサインじゃないっすか!」「こっちは羽田野ですねぇ!」「大坊のは要らないんだよなぁ……」

ワァァァァァ!キャー!


DB「……フン、上手くいったみたいだな」

TDN「ああ。俺たちの全てを出しきった……」


司会「そ、そこまでーっ! ストップ! ストーップ!」

ワァァァァァ!

司会「皆さん落ち着いて! 落ち着いてください~!」

パチパチパチパチパチ!

司会「拍手! なんで拍手!? 拍手なんてしてる場合じゃない、落ち着いて避難す、一緒に避難しましょう!」

ザワザワザワザワ……

「は?(威圧)」「馬鹿じゃねえの?(嘲笑)」

ヒュウウ~……(夜風)

司会「うわー! こっちにも衝撃が来たぁ! 突風だにゃ、竜巻だにゃーーー!」

TDN「あの~、前川さん?」

MK「なんだにゃ……じゃなくて! 今のみくはただの司会! キャラは封印してるんだにゃ!」

TDN「いや、自分からキャラ解放してますけど……」

MK「はっ、しまった! ここまで上手くやったのに~!」

TDN「というか、そうじゃなくて……」

MK「そう! そういうことは後にするにゃ! 早くどこか建物の中に避難しないと──」

「なんで避難する必要なんかあるんですか」「ちょっと強い風が吹いただけなんだよなぁ……」

MK「……ほへ? 非常事態発生じゃないの?」

RN「非常事態でもなんでもないよ。風が吹いただけ」

MK「だだっ、だって、お客さんのサイリウムとかなんとか、色々吹き飛んでたにゃ!」

RN「……演出でしょ? そっちの」

MK「え、演出!? そうなのかにゃ!?」

TDN「まあそれは……ノーコメントということで。でもとにかく、非常事態ではありません」

MK「な、なんと……とんだ勘違い……」

DB「猫はビビりだからな。そのせいだろう」

MK「なるほど確かに、ってやかましいにゃ!」

ハハハハハハハ……

P(なにやってんだあいつら……)

MK「……コホン、では司会モードに戻るにゃ、いや、戻ります」

遠野「別に無理しなくていいのでは……」

司会「やると決めたらやるんだにっ、やりますから! ハイ! いやぁ~白熱した勝負でした!」

TDN「……はい、力を出しきりました。どんな結果になっても悔いはありません」

司会「多田野さんらしいコメントですね~、ミッドナの皆さんはいかがでしたか?」

RN「最後まで集中出来た、って言いたいけど……さすがに最後、気を取られちゃった」

遠野「あれはビックリしましたよ……」

MY「でもロマンチックでしたね、本当。雪が降ってるみたいでした」

司会「いやぁ~、あんなに大きな風が二回も吹いたら誰でもそうなりますよ」

DB「そうやって自分を正当化するのか」

MK「うるさいにゃ! ……では結果がでるまでしばらく……ん?」

スタタタタッ,ヒソヒソヒソ

MK「もう審査終わった? みくがグダグダやってたのが時間稼ぎになった? あー、そうですか……」

アハハハハ!

司会「……はい。では結果発表です、勝者は──」

TDN「…………」ゴクリ

RN「…………」




司会「『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』!」


ワアアアアアアアアア!!!パチパチパチパチパチ

ただでさえ少ない更新量と頻度が最近忙しくて更にクソザコ化してますね……
近日中に更新する(量が多いとは言っていない)ので勘弁してください! センセンシャル!

遠野「やった、よかった……」

RN「……」フゥ

司会「勝利したミッドサマーナイツルードドリーム、歓喜というよりは安堵の表情。それだけ接戦だったということですね」

司会「一方、惜しくも破れた元祖・羞恥心は……」

DB「っ、クソッ! クソ……」ギュッ

HTN「(空気)」

司会「やはり無念の思いが、ん、いや?」

TDN「みっともないぞ二人とも。ちゃんとするんだ」

司会「おっと、多田野さんだけが何故かすっきりした表情を見せているーっ!」

DB「お前はっ、お前は悔しくないのか!」

TDN「悔しいに決まってる。当たり前だろ」

DB「なら──」

TDN「でもここはステージの上だ。負けたからこそ、せめて最後までアイドルらしく居るんじゃないか」

DB「ちっ。まったくお前は、どこまでも……」フンッ

司会「あのー、そろそろ進めてもいいですか?」

TDN「……凛さん!」スタッ

司会「無視!? 無視なのかにゃ!?」

ザワザワザワ……

RN「な、何?」

TDN「自分たちの完敗です。さっきは大それたことを言いましたが、まだまだ実力不足でした」

RN「そんなに謙遜しなくていいのに。私たちの差なんて……本当、時の運があったかどうかだと思う」

TDN「凛さんこそ自分を過小評価してます。もっと自信を持ってください」

RN「そうかな……」

TDN「まあ、とにかく。後は頼みます、このまま優勝まで一直線に勝ち進んでください!」

TDN「そしていつかはまた、こうしてLIVEバトルを」スッ

RN「……了解、これは約束の握手だよ」ギュッ

foo~! パチパチパチパチパチ!!!

司会「まったくこっちにも流れってものがあるのにまったく勝手だにゃ」ブツブツ

司会「せぇーっかくの初司会なのにまったく、ホントまったくまったく……」ブツブツ

TDN「あの、すいません。勝手に色々と。進めても大丈夫ですよ」

司会「……えっ、なんて?」

MY「思う存分司会進行していいんですって、まったくさん♪」

司会「まったくさんって……も~とにかく大きな拍手でシメだにゃ!」

ワアアアアアアアア! パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!


……
………

凛たちの控え室

トントン,ガチャ

MY「プロデューサーさん!」

P「みんなお疲れ様。いいステージだったよ」

遠野「そ、そうですか? ありがとうございます」

P「なんだよ、どっかミスでもしてたのか?」

遠野「そうじゃないですけど……」

RN「ねえ、こっちに来たってことは多田野の方はもういいの?」

P「ん? ああ、慰めも必要無さそうだし三人だけの方がいいかと思ってな」

RN「ふーん、そっか」

P「……凛も遠野もなにか浮かれない顔だな。どうした?」

遠野「いや、それは、なんというか実は……あんまり勝った気がしないんです」

P「は?(困惑)」

遠野「多田野さんたちの最後のアピール、凄かったじゃないですか。僕もすっかり見入ってしまって。心ここにあらずで動いてました」

遠野「……勝てたのは多分、凛さんとまゆさんのおかげです」

P「自分は役立たずだったって? 馬鹿言うな、お前の歌唱力が無かったらそれこそ勝敗は分からなかったんだ」

遠野「そんなこと──」

RN「あるよ。三人で一つのユニットなんだから」

MY「そうですよ(便乗)」

RN「ただ私も、今回は……本気でヤバいかもって少し考えちゃったけど」

P「なっ、凛まで自分が負けたと思ってたのか!?」

RN「ステージが終わった時にちょっと不安になっただけだけど……でもこんなの初めてだった」

P「それはやっぱり、最後のアレを見たからか?」

RN「あそこまで大掛かりな事されたら嫌でも目に入っちゃうよ」

MY「大きい風が二回の吹いて、観客席が真っ暗になっちゃいましたもんね」

RN「私が魔翌力を使ってるみたいなものだもん。ずるいよ」

遠野「魔翌力?」

RN「あ、やば……」

MY「なんでもありません。ね? 」

RN「う、うん。例え話例え話」

P「でも俺に言わせれば、凛たちのパフォーマンスにたまげたんだよなぁ。あの衣装」

P(勝敗を分けたのは総合的なアピールの質の差。それをもたらしたのはあの衣装だ)

MY「うふふ、そう思ってもらえて良かったです♪ 綺麗に見せるために、たくさん練習しましたから」

P(俺の位置からじゃその綺麗さはまったく分からなかったんだが、まあ黙っておこう……)

RN「でもこれは演出家と衣装さんのアイデアで、それを指示通りやっただけだから」ヒラッ

P「そうやって指示通りやれるのが凄いんじゃないか。まゆが言ったように、相当練習しなきゃ出来ない芸当だ」

RN「…………」

P「歌も、踊りも、俺の見ない間に三人ともどんどん上手くなってるよ。勝ち進んでプレッシャーが大きくなってきてるのは分かるけど、もっと自信を持っていいんだ」

RN「……うん」

MY「…………」ジー

P「さ、この話はもう終わり! 閉廷! 着替えたらすぐ出発だ。飛行機に乗って東京に帰るんだから」

遠野「うぅ、疲れが抜けなさそうです……」

P「飛行機の中で寝れば大丈夫だって安心しろよ~。じゃ俺は外で待ってるから、疲れてるのに悪いけどなるべく急いで準備、な」

MY「はい♪」

ヒュウウ……(夜風)

P「う~寒。ちょっとコーヒーでも飲むか」チャリ

ピッ,ガタン……カシュッ

P「座るとこは、っと、あったあった」スタッ

ゴクッ,ゴクッ,ゴクッ……

P「うん、おいしい! そしてあったか──」

ヒュウウウゥッ~……

P「やっぱ寒……」ゴクゴク

P(…………)

P(準決勝へ進む残り三組、ナオキたちはまだ分からないが後の二組は恐らく、智絵里とGOだ)

P(一回戦も二回戦もいいステージだったが……この先を勝ち抜くには更に上を目指す必要がある)

P(でもあの三人なら決して不可能じゃない。誰が相手になっても、優勝出来るポテンシャルは十分にある)

P(しかしどんなに綺麗な宝石だって、見せ方によっては石ころにもホモビになる……)

P(俺にはもう、扱いきれないのかもしれない……)

「プロデューサー(さん)!」

P「おぉう、みんな揃って来たな。じゃあ帰ろう」

DB「疲れた。寝させてもらうぞ」

P「構わないが、寝すぎて帰ってから一睡も出来なかったなんて事にならないように」

DB「フン、どこかのにわかロッカーならともかく」

RN「へぇ~、そうなんだ。明日本人に聞いてみようかな?」

DB「なっ、やべぇよやべぇよ……」

TDN「ビビる前に、『やめて』とか『悪い』とか言えないのか?」

DB「そ、そうだ。敗者をいじめて楽しいか!」

RN「えぇ……?」

アハハハハ……

P(結局、帰り道で会話は耐えなかった。対戦の前と後でそれぞれの仲は変わらない、むしろ良くなったのかもしれない)

――――

P(そして一週間後、二回戦第二試合と第三試合がそれぞれ大阪と名古屋で行われ──)

大阪

「勝者は……『チェリークローバー』!」

ワアアアアァァァ!

CER「や、やったぁっ! ありがとうございますっ!」パアァッ

中野くん「」ニコニコ

OGMM「~~~~~~~!!!(うめき声)」

コブラ三木谷「逝く、イクゾッ、イクッ、逝く逝くイクイク……アッハッハッ」

「皆さん盛大な拍手を~!」

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!


カーリー「呆気ないなぁ。これなら一回戦の方が手強かったで」

カーリー「まま、ええわ。準決勝進出、対戦相手は渋谷凛のユニットか」

カーリー「モバP……お前とようやく決着が付けられるようやな。後悔すんなよ……」


ひで「また一人でぶつぶつ言ってる……あの人おかしい(小声)」

カーリー「うるさいわボケ! 聞こえとるぞ!」バシッ

ひで「痛い痛い痛いッッ! ダメーーーっ!」

名古屋

GO is GOD. GO is GOD. GO is GOD…

AZにゃん「フィ~、まったく最近のはうるさいったらないね」~♪

無らい「まったくだ。このフンドシ一丁で佇む姿こそが美しいというのに」ドッシリ


SIY「牧師ing……」

キャー! キャーキャー!カッコイイー!


AZにゃん「それにノンケまで紛れ込んでいるみたいじゃないか。これはぁ~お仕置きが必要かな? K2」

K2「そうですねぇ~あんまりそういうのはイィ^~とは思いませんけどね」

AZにゃん「なんだって?」

K2「だって……ほら……GO、様、が……」プルプル

GO「~♪」フフ

「GO is GOD!」「GO is GOD!」 「GO is GOD!」

K2「そう、GO is GOD……!」

AZにゃん「……BROS、少しまずいことになって──ッ!?」

BROS(クールポコ)「俺は……俺のは……GO様に頂いたフンドシで……GO is GOD!」

AZにゃん「おいおい……無らい、どうやら無事なのは僕ら二人──」

無らい「GO is GOD.」ドッシリ

AZにゃん「!!!」

スタ,スタ,スタ……

AZにゃん「……よくもまあ、ぬけぬけと近づいて来れるね、GO」

「おじさん達さ、グルーヴ名が人の頂っていうんだって?」

AZにゃん「やれやれ、本当に最近の若いアイドルは。僕らを知らないのかい?」

「知らないよ。だって所詮、人の頂でしょ?」

AZにゃん「……なんだと?」

「ごめんごめん、おじさんには分かりづらかったかな?」

ゴゴゴゴゴゴゴッゴ……

AZにゃん「!?」



GO「頂点だろうが人は人。『神』には……勝てるわけないよね?」



パチン!

ワァァァァァ!!! GO is GOD! GO is GOD! GO is GOD!


AZにゃん「は、はは、は……興味ないフリして実は本気で優勝を狙ってたなんて、馬鹿みたいじゃないか……」

AZにゃん「こんなものに、抗える訳が……」

GO「凄いよ、ここまで耐えただけで。人の頂の名に偽りは無いね」

AZにゃん「GO is GOD. GO is GOD. GO is GOD……」

GO「もう聞いてないか。それじゃパパパっとやって、おわりっ!」

ウオオオオオオオオオ!!!GO is GOD! GO is GOD! GO is GOD!


……
….……

あーねんまつ(時候のあいさつ)
正直、どんなに遅くても2016年内には書き終わると思ってました
ラストまでの構想はあるので後は早くかけるようにガンバリマス……

空港

スタスタ……ウィーン

RIN「んーっ、やって来たぞ北海道ーーーっ!」

ザワザワ……

RIN「ここでライブするって考えただけでゾクゾクして来ちゃう!」

「おいなんだよアレ?」「ちょっと見て来ようぜ」

RIN「この北の大地も、私のロック魂で焦がしてやるぜ!」グッグッ

RIN「……そうは言ってもやっぱり寒い」ブルブル

「あれ確かアイドルのなんとかじゃなかったか」「それマジ?」

RIN「ん、もしかしてこんなところにも私のファンが!?」

「は?(威圧)」「こ ん な と こ ろ」「お前もう生きて帰れねえな?」

RIN「え……? ごっごめん! つい勢いで言っちゃって。悪気は無かったんです!」


「おいどうするこいつ」「やっちまおうぜ」
「やっちゃいますか~」「やっちゃいましょうよ~」


RIN「ヤバい、いきなりピンチ!? とりあえず空港の中に戻って……」ズサッ

トントン

RIN「(後ろにも!?) うああっ、だ、誰か助けてー!」

P「おいおい、自分のプロデューサーを何だと思ってるんだ?」

NTK「だりーまだ寝ぼけてんのか?」

RIN「ぷ、プロデューサーさぁん! ちょちょ、ちょっとごめんなさいっ!」ササッ

P「はぁ、どうした? って」

「おうお前らよぉ~北海道を何だと思ってるんだよぉ~」「こんなところ? ふっざけんじゃねえよオラァ!」

P「俺たちがトイレしてる間のわずかな時間で何してるんですかね……ナオキ、どうにかしろ(他人任せ)」

KMR「は、はぁ……」スタスタ

「あぁ? なんだよお前よぉ、お前もやられたいのか?」「まあどっちでもいいけどよぉ、いいから謝れよ」

RIN「さっきから謝ってるのに! 本当にごめんなさいって!」

「口ごたえすんじゃねえよお前」「つべこべ言わずに来いホイ」

ガシッ

KMR「消えろ」ジッ

「あっ(失禁)」「ヒッ! す、すいませんでしたーっ!」ヒュヒュヒュヒュヒューン

P「なんか知らんが逃げたな」

KMR「大したこと無くて良かったです」

RIN「私北海道のいいところいっぱい知ってるから! 嫌いだなんて思ってないからねー!?」ブンブン

NTK「何なんだ? 一体」

RIN「えっとその、私が浮かれてはしゃぎ過ぎちゃったみたいで……」

P「まぁ話はレンタカーのある所まで歩きながらだ。こうやって出入り口でべちゃくちゃやってるとまた絡まれるかもしれない」

RIN「そうですね……」

スタスタスタ……

RIN「……っていう訳なんです」

NTK「そりゃあ相手が悪いな。沸点が低すぎだぜ」

P「そうだな。もちろん李衣菜の言う通り出入り口で騒ぐのはダメだぞ」

KMR「今回のような事にな限らず、ファンが大挙して押し寄せるなんてこともあり得るかもしれませんからね」

P「その通り。人気アイドルって自覚を持たないと」

RIN「はい、そうですよね……」

P「でもせっかくの北海道だもんな、色々楽しみたいよな」

RIN「はい!」

P「じゃあまずはこの後のリハーサル、完璧にこなすことだ。時間が空いたら観光できるかもしれないぞ~?」

RIN「お~! じゃあ一刻も早く会場へ向かいましょう!」タッタッタ

NTK「おぉい! 車に乗るんだからここで走ってもそんなに変わらないって、だりー! まったく」タッタッタ

P「まったく、立ち直りの早い」

KMR「あの、観光の時間なんてあるんですか?」

P「あるとは言ってないない。できるかもと言っただけだ」

KMR「えぇ……」

P「ほんとは俺だってしたいけどスケジュールがそうはさせてくれないんだよな~」

KMR「あくまでIUのための遠出ですものね。観光は諦めて集中しましょうか」

P「李衣菜には内緒で。っていうかさっき、物凄いガン飛ばしてたな。あのモードはステージ限定じゃなかったのか?」

KMR「まあ、一瞬顔を強張らせるだけなら……」

P「やっぱりバラエティで使えるじゃ無いか。木村式にらめっこだ」

KMR「やめてくれよ(絶望)」

RIN「プロデューサーさん早くー! 車、これですよね~?」

P「今行く! ……もう、明日歌うのに叫ぶなっての」タッタッタ

KMR「李衣菜ちゃんは元気ですから、心配無いですよ」タッタッタ

P「そうだな。でもナオキ、お前はいくら元気だからって叫んじゃダメだからな」

KMR「……分かってます」

ブゥーン……

P(日帰り弾丸ツアーだった鹿児島の時と違い、今回の北海道遠征は泊りがけだ。俺が居ない間の仕事は社長と、特例でイニ義事務所の構成員がやってくれている)

P(なぜ二日がかりなのかと言うと、本番前日である今日に全体リハーサルを行うからである)

P(鹿児島の時は野外ステージを使えるのがフェス当日の一日だけだったので東京の別会場でリハーサルを行っていた)

P(しかし今回は会場の使用に余裕があることと長距離の移動を鑑みて、リハーサルと本番を待ってまとめて一泊二日の日程となった)

P(移動がどうこう言うなら鹿児島公演の時もこうして欲しかったけどな~俺もな~)

P(とはいえ飛行機代やレンタカーはもちろん、今晩の宿まで運営の負担で用意してくれるのだからありがたいことに変わりはない)

P(逆に考えると、こういう所に金を使えるほど利益が出てるってことだな)

P(本家IUと違ってこのトーナメント方式は大きなライブを何度も行うから、そりゃあウハウハだろうな)

P(まあそれはともかく、北海道の景色……)

P「こうして高速乗ってると、北海道も他のどっかの都市と変わらない感じだな。さすがに東京と同レベルって訳じゃないが」

RIN「そうですねー。なんかこう、見渡す限り一面平原! そこに野生動物! みたいなのを想像してましたけど」

P「わかるわ」

KMR「まあ、ここは札幌ですから。地方よりは発達してますよ」

P「エゾシカとか見られると思ったんだけどなぁ~」

RIN「あ、そうだ(唐突) 札幌といえば美味いラーメン屋のお店、いっぱいあるらしいですよ」

P「あ、そっか行きてえなぁ……」

RIN「行きましょうよ!」

P「じゃけん、まぁ時間あったら行きましょうね」

RIN「絶対行きましょう! リハーサルの後、時間ありますって!」

P「分かった、分かったって。暑苦しい助手席だなぁ……ん?」チラッ

RIN「どうしたんですか? ……!」

NTK「あれは……」

KMR「僕たちのステージ……ドーム会場!」

短いですがここまで

会場

RIN「近くで見てもやっぱりおっきい……」

P「会場のデカさなら一回戦のヤツのがもっと大きかっただろ?」

RIN「でもドームですよ!? ドーム! 夢の舞台ですよ!」

NTK「しかも今度は、アタシたちのライブがメインイベントになる訳だしな」

KMR「アイドルになった時はこんな大きい会場で、しかも自分たちが主役のライブが出来るなんて夢にも思いませんでしたよ」

RIN「うん、本当に……」

P「なんだよ、もしかして怖気付いたのか?」

KMR・RIN・NTK「そんなわけ無い(じゃない)です(か)(ぜ)!!!」

P「へへ、だよな。じゃあ気合入れてリハーサル行ってこい!」

RIN「おう! 多田野さんから札幌ドームについてしっかり学びましたからね!」

KMR「ああ、多田野さん昔はここがホームグラウンドでしたものね」

P「有用なアドバイスか何かあったのか?」

RIN「驚かないでください。札幌ドームは……」

NTK「札幌ドームは?」

RIN「マウンドが硬い!」

P「役に立つか!」

~♪

P「そこステップ甘いぞ! 膝を内側に曲げてぇ」

KMR「はい!」

P「もっと腰、しっかり腰落とせ!」

RIN「こっ腰ですか!?」

P「もっとしっかり腰入れろォ」

NTK「腰ったって……」グッ

P「おいホラもっと、腰落とせ」

RIN「こうですか!?」

P「あ~ダメダメダメ(西田敏行)そんなんじゃ虫も殺せねえぞお前ら!」

RIN「(全笑い)」

P「くふっ、お前おい何笑ってんだよお前(半笑い)」

RIN「だってプロデューサーさん、指示適当過ぎますよぉ」クスクス

KMR「ダンスの指導が出来ないなら無理にしなくても……」

P「そ、そう? じゃあ後は腰を意識して、ハイ」

NTK「なんで腰なんだ?」

P「あ~次はボーカルに重点置いて。もう一回やってみよう」

P(普段のリハーサルは軽く通して流れを確認するだけ。なのだが今回は舞台が舞台だけに、普段のレッスン程でないにしろ、みっちり練習している)

P(しかしトレーナーの剛竜馬は居ないので、どうしても指導に限界がある……付いて来させれば良かったか)

P(でも本当に、今更トレーナーに見てもらう必要も無いほどにナオキたちはこのステージを完成させているのだ)

P(後はそれを本番で出し切れるかどうか。今日は会場に慣れて自信を付けてくれれば十分だ)

~♪


……

ブゥーン……

P「まだ17時半なのにすっかり暗くなっちまったな」

KMR「もう冬ですから」

P「ん、そうですね。このまま宿に向かうけど、何も無いよな?」

RIN「プロデューサーさん、そういえば」

P「ああすまんが、観光してる時間は──」

RIN「じゃなくて、810プロの人たち見ませんでしたね」

NTK「そういえばそうだな。隣に相手が居る感覚も確かめておきたかったぜ」

P「あえて時間をずらしてあるんだよ。俺たちが会場入りする前に卯月たちのリハは終わってる」

RIN「そうだったんですね。……あ、今ので思い出しましたよ、観光!」

P(忘れてたのかよ!)

P「いやだから、悪いけど時間が無いんだ。明日は終わったらすぐ帰らなきゃだし、また今度な」

RIN「え~っ、じゃあラーメン屋はどうですか? それならすぐ済みますよ!」

P「んー……、宿まで行くにも結構時間がかかるんだよ。北海道は無駄に広いから」

NTK「それ関係あるか?」

KMR「宿泊先でもご飯は出ますし、止めておいた方がいいんじゃないですか」

RIN「うー……」

P「期待させておいてごめんな。その代わり一つ、いいモノ用意しといたから」

RIN「なんですか!?」

P「グローブボックス開けてみ。そこの小物入れの事ね」

RIN「分かってますよ! どれどれ……」カチャ

P「『ご当地ラーメン傑作選・札幌塩ラーメン』! 店には行けないがこれで本場の雰囲気を味わえるぞ」

RIN「ってえーっ、ただのカップ麺じゃないですか!!!」

KMR「いつの間にこんなの買ってたんですか……」

P「昨日スーパーで税抜き198円で売ってたから、どうせなら北海道で食べようかなって」

NTK「さすがに無いぜ、モバPさん……」

RIN「プロデューサーさんのバカぁっ!」ドン!

P「暴れんなよ、暴れんな……」

ブゥーン……
……

RIN「ふぁあ……まだ着かないんですか?」

P「寝てていいぞ。あと少しだけど」

RIN「そうですかぁ。今寝ちゃうと夜眠れなくなりそうですし、起きてることにします」

KMR「そういえば何てホテルに泊まるんですか?」

P「なんだっけ、多分そんなに良いところじゃないと思うけど……明日の出演者とその関係者で貸し切りらしいし」

RIN「貸し切り!? すごーい!」

NTK「声がデカいって」

RIN「ご、ごめん。でも貸し切りって、本当に凄くないですか!?」

P「貸し切りだからこそ、そんな良いホテルじゃない気がするんだよなぁ」

KMR「そこは前もって調べておきましょうよ……今、どの辺を走ってますか?」

P「ええと──」

ピーッピーッ、目的地周辺です。

P「は?(困惑)」

RIN「ここなの?」

P「(ホテルは)どこなのだよ?」

NTK「窓から大きいホテルってか、温泉宿みたいなのは見えるけど。これじゃないよな?」

P「えっアレ? アレなのか!?」

RIN「ええっ、あの見るからに高そうで福引きの一等ペアチケットじゃないと行けなさそうなアレなんですか!?」

P「ははは、さすがにそれは無いだろ……宿泊費用向こう持ちだぞ? 貸し切りだぞ? 出来るわけない」

KMR「いや、ナビの画面を見る限りそうみたいですけど……」

P「いやいやいや、無いって」

P(と言いつつそこの駐車場に向かってるがな……)

RIN「まさかとは思いますけど、最初ナビを設定する時に間違えたんじゃあ」

P「それは無いと思うけど、一応確認してくれ」ペラッ

RIN「ええっと……?」ピッピッピッ

P「ど、どうだ? 合ってるのか?」

RIN「……合ってる。間違いなく合ってます! やっぱりこのホテルですよ!」

KMR「す、凄いですね。こんな高級ホテルを貸し切りって……」

P「いーや待て。もう分かったぞ、確かに住所はここで合ってるんだろう。けど違うんだよ」

NTK「どういうことなんだ?」

P「ギャグ漫画でたまにあるだろ、高級ホテルに泊まれると思わせて実は、すぐ側にあるオンボロな別館に泊まる羽目に──」

RIN「ああーーっ! あの入り口の所見てください!」

P「ん?」

『LIVE Parade 北海道公演 出演者様並びに関係者様』
『本日貸し切りとなっております』

P「うっそだろお前wwwwwwwwwwww」

P(出入口のクソデカ立て看板を見てやっと、この馬鹿高そうなホテルが今夜の宿泊先だと信じることが出来たのだった……)

短いですがここまで

ウィーン

P「はぇ~すっごいおっきい……」

KMR「ホテルホテルって言ってましたけど、どうやら温泉旅館みたいですね」

「お待ちしておりました」スタスタ

RIN「あの近づいてくる人ってもしかして、お出迎えって奴ですか!?」

P「コラっはしゃぐんじゃない! みっともない」

RIN「ごごごめんなさいっ!」

「364プロの木村ナオキ様、木村夏樹様、多田李衣菜様、そして同伴のモバP様ですね」

P「はふぃ、いやはい、そうですっ!」

NTK「だりーもモバPさんも落ち着けって」

「お部屋にご案内いたします。荷物は手に持ってられるもので全部ですか?」

P「はい、自分たちで持つので結構です。はい」

「それではこちらに」スタスタ

P「あ、あのぅ……」

「どうかなさいましたか?」

P「宿泊代っていうのは、本当に払わなくていいんですよね? 事務所持ちとかでもなく」

「料金は既にIU運営様より頂いておりますので、お客様がお支払する必要はございません」

P「あ、そう……あと今日は貸し切りって聞いたんですけど」

「はい。宿泊棟、温泉、宴会場全てライブフェスの出演者様並びに関係者様の貸し切りとなっております」

P「はい、分かりました。ありがとナス!」

KMR「なんですか今さら確認して」ヒソヒソ

P「いやだって、普通あり得ないだろこんな待遇! 本当みたいだけど、何か裏があるかもしれないし」ヒソヒソ

KMR「なんですか裏って」ヒソヒソ

P「実はこの旅館集めたのはIU運営でない第三者。この後外部との連絡が絶たれ、そして悲劇の幕が開ける……」

KMR「ハァ~(クソデカ溜め息)」

P「じょ、冗談だって」

スタッ

「お部屋はこちらになります」

P「中は和室なのかな、これは」

「はい。こちらは木村ナオキ様とモバ様のお部屋で、隣が木村夏樹様と多田様のお部屋です」

P「隣って、ふっ二部屋なのか!?」

「はい」

RIN「とことん贅沢……」

「キーはこちらです。この後はお食事にしますか、それとも入浴なさいますか」

P「あ、や、じゃあ風呂入ってさっぱりしましょうよ」

KMR「そうですね。お腹もまだそれほどですし」

「では夕食は一時間ほどしたらこちらからお持ちしますが、それでよろしいでしょうか」

P「ん、おかのした」

「浴場は男性の方が菊の湯、女性が梅の湯となっております。館内パンフレットをお渡ししますのでご活用ください」スッ

P「あっ、ありがとナス!」

「それでは何かございましたらフロントまでご連絡下さい」

スタスタ……

P「ふーっ、緊張の糸がやっと解れた……」

KMR「部屋入りましょうか」

RIN「じゃあ二人とも、また後で~!」

ガチャ,スーッ

P「中もクッソ広いですねクォレハ……」

KMR「テレビだけポツンと浮いてるみたいですね」

P「こっちの襖は、布団が入ってるやつか。反対側のはなんだ?」スタスタ

KMR「もしかして……」

スサーッ

RIN「へ」

P「ファッ!?」

NTK「あぁ、中で繋がってるんだな」

P「こんなクソデカい部屋四人でどうしろってんですかねぇ」

KMR「まあ気にしても仕方ありません。お風呂に行きましょう」

P「そうだな……」

RIN「ではドアが閉まりまーす!」スサーッ

P「一応開けとけよ。てかドアじゃないし」バシッ

RIN「なっ、プロデューサーさんのエッチ!」

P「は? 別にここで脱ぐ訳じゃないだルルォ!?」

NTK「……ほっといて行くか、ナオキ?」

KMR「そうですね……どうも興奮してるみたいですから」

P「ああっおい!」

RIN「待ってよ~!」


……
P「あ~いい風呂だったぁ……」

P(浴場はやはりかなりの大きさで、その割に入ってる人は全然居なかったのでゆっくりゆったり浸かることが出来た)

P「風呂上がりはやっぱミックス牛乳!」チャリン

P(でもこんな良いところで普通の温泉と同じ事するのもなぁ~)

P「あーでもやっぱり喉渇く……」

ピッガシャン,スタスタ……

P(誰も居ないし飲み歩きしてしまえ)ゴクッゴクスタスタ

P「ん~美味い! 安心する味だ」

「やっぱり風呂上がりはコーヒー牛乳!」

P「は?(威圧)」クルッ

RIN「えっ? ってビックリしたぁ、プロデューサーさんじゃないですか」

P「なんだ李衣菜か。女の子なのに上がるの早いな、俺と同じタイミングかよ」

RIN「そんなことありませんよ! 熱い温泉はちょっと苦手とか、まったく!」

P「まぁ温まったならなんでもいいけどさ」

P「そういえば夏樹は?」
RIN「そういえばナオキさんは?」


P・RIN「…………」


P「サウナでたっぷり汗を流してるよ」
RIN「せっかくだからご飯の時間ギリギリまで入ってるって」


P「おかしいな。同時に喋ったのに聞き取れるぞ」

RIN「もう慣れちゃったんですね。度々ハモってましたから」

P「じゃあせーので同時に喋って聞き取れるかゲームするか」ゴクゴク

RIN「いいですよ、せーの!」


P・RIN「こその浴衣後一緒姿に合っ卓球てるなしませんか?」


RIN「……お互いに相手の言った事を言えばいいんですかこれ?」

P「いや、もう一回同時に、今度はさっきの言葉に対する返事を言うんだ。返答になってたらリスニング成功」

RIN「なるほど。じゃあ、せーの!」


P「やるか!」
RIN「ありがとうございます!」


P「……多分、伝わってるな」

RIN「ふふ、ちょっと分かりづらいゲームでしたね」ゴクゴク

P「ま、とりあえず卓球場に行くか!」

RIN「浴衣姿のリーナが暴れ回りますよ~!」

卓球場

P「誰も居ないな」

RIN「やりたい放題ですね!」

P「何故そうなる……」

RIN「えー端っこ~? 真ん中使わないんですか?」

P「真ん中だと誰かがそこの廊下通った時見えるじゃないか。俺あんまり出来ないから恥ずかしいんだよ」

RIN「変に小心者ですね。私は全く出来ませんけど別に恥ずかしくないですよ」

P「……は?」

RIN「え、何かおかしな事言っちゃいました?」

P「いや、卓球、出来ないって……」

RIN「出来ないとやりたいは別問題です! プロデューサーさんには、卓球のレッスンを要求します!」

P「いやだから、俺もあんまり上手く出来ないっての……」

RIN「またまた~、そう言いつつサラッとラリー続けちゃうんですから。サーブは私から行きますよ!」

P「お、おう。じゃあとりあえず十点マッチにしよう」

RIN「ゲームスタート!」ブンッ

スカッ,コロコロ……

P「……1-0」

RIN「こ、このっ!」ブンッ

スカッ,コロコロ……

P「…………2-0」

RIN「だ、ダメダメだ私。サーブ交代しましょう」

P「よ、よーし。そらっ」パシッ

RIN「たあっ!」ブンッ

スカッ,コロコロ……

P「落ちたな(納得)」

RIN「うわぁ~っ! 全然ダメだぁ……」

P「オーケー。まずは壁で練習しよう。李衣菜は振りが大きすぎるよ」

RIN「はい……」

P「脇をしめて。ラケットはこう持つんだ」

RIN「こ、こうですか?」ギュ

P「こう」ギュッ

RIN「ぁ……そ、そのままどうすればいいか教えてください」

P「後はまぁ、慣れだな! ボールが当たる感覚を掴めばどうにでもなる!」

RIN「プロっぽかったのにいきなり適当になった!」

P「これじゃアマデューサーだな」

RIN「…………」

P「……さ、練習練習!」ブンッブンッ


……
RIN「そこ!」カチカチ

P「ぬおおおまだまだぁ!」ガチャガチャ

RIN「甘いですね!」カチカチカチ

P「ファッ!?」

RIN「必殺・リーナスマッシュ!」

P「ぐはぁ! やられた~」

『K.O.』

RIN「また私の勝ち! 格ゲー弱いですね!」

P「おのれ……レバガチャ同士の対決でどうしてこうも差が出るんだ……」

RIN「さぁ? もっかいやります?」

P「もう十分堪能したよ……もっかい卓球やろうぜ、卓球」

RIN「えー、どうせラリー続きませんもん。こっちの方が楽しいです」

P(卓球はようやくラリーが三回続いたところで李衣菜が飽きてしまい、結局すぐそばにあったゲームコーナーで遊んでいたのだった)

P「ちょっとは俺の財布の事も考えてくれよな~頼むよ~」

RIN「まだ五回しかやってませんよ」

P「×2だからな!? もう千円使ったんだからな!?」

RIN「わ、分かりましたよ次は私が払います」

P「金持ってるなら最初から自分の分出せ!」

ワイガヤワイガヤ……


「こっちには何があ、る、か、な」

「あんまりうろつくと、迷っちゃうんじゃあ」

「そんなわけないない。む、あっちの方から何か人の声が!」タッタッ

「わわっ、待ってください~!」タタタッ


P(ん、誰かこっちに来る……?)


「おっ、卓球台あるじゃん! やろうよ!」

「ええっ!? 私、出来るかな……」


P(……!? この声は!)クルッ


MO「未央ちゃんの華麗なラケット捌きをお見せしよう!」

UDK「お、お手柔らかに~」


P(や、やっぱり卯月と未央だ!)

とりあえずここまで

RIN「プロデューサーさんどこ見てるんですか? って、あの人!」

P「ま、まあ有り得ない偶然じゃない。落ち着け。しかしどうする……サラッと挨拶だけして切り抜けるか?」ボソボソ

RIN「そ、そうですね」ボソボソ


MO「ボールとラケットはどこかな」キョロキョロ

UDK「ええと……、っ!? み、未央ちゃん、あっち向いて!」

MO「ホイ? あっちってどっち?」クルッ

UDK「私の方じゃなくて! こっち、こっち!」スッ

MO「いきなりどったの? ……ってっぷぷ、プロデューサー!?」

P「うぁ、や、っと……オッハー! オッハー!(激寒)」

RIN「とんでもなく的外れな挨拶ですよそれ!」

UDK「お、おっはー! しばらくぶりですね!」

RIN「合わせた! 合わせてくれましたよプロデューサーさん!」

P「実況やめろ! ……卯月とは前にちょっと会ったけど、未央は本当に久しぶりだな」

MO「はーっはっは、元気にしていたかねプロデューサー君! 私は一日たりとも君の事を忘れたことは無かったぞよ!」

P「謎キャラやめなさい」

MO「えへへ、じゃあ改めて久しぶり! こんなところで何してるの?」

P「ん、そりゃ卓球さ。こっちの李衣菜が卓球したいって言うから付き合ってたんだよ」

RIN「どうもー」ペコッ

UDK「あ、李衣菜ちゃんも! また会えましたね」

RIN「あ、うん! 明日はよろしく」

UDK「こちらこそ、よろしくお願いしますね!」

MO「あーそっか、明日LIVEバトルするのはプロデューサーのユニットだったね。よろしく」

P「お手柔らかにな」

MO「ねえ卓球って、今そのアーケードゲームやってたんでしょ? もう止めちゃったの?」

RIN「いや、私が全然出来なくて……練習で時間使うのも悪いかなって」

MO「なるほどなるほど。ではダブルスなら如何かな?」

P「いやダブルスったって、実質二対一になっちまうぞ」

UDK「それなら大丈夫ですよ。私も多分ほとんど出来ませんから」

RIN「じゃあ実質一対一だね、ってそれダブルスの意味ある?」

MO「私たちがリードすれば、しまむーとリーナも楽しく卓球出来るってものよ!」

P「お、そうだな。イクワヨ!」

P(ってサラッと卓球する流れになってるじゃないか……)

MO「じゃあ行くよー」スッ

シュッ,カツッカツッ

P「そらっ」パコッ

MO「とおっ!」カツン

UDK「あわわわ……」アタフタ

RIN「や、やっぱり一対一!」

P「……」シュッ

MO「そこ、しまむーいけるよ!」

UDK「はっはいいっ!」ブンッ

カコン,カツッカツッ……

UDK「出来ました!」

P「ナイスッ、プレイ!」パコーン!

MO「うわああっ、ずるくない!? 喜びのハイタッチ中だったのに!」

P「(ずるく)ないです」

MO「そらーっ!」

パカーッ,カツン

P「やるな~、今度は俺たちのサーブだ。李衣菜、やってみろ」

RIN「は、はい……」

スッ,ヒュン……カツンカツン!

RIN「出来た!」

MO「卓球はサーブで終わりじゃないぞ~!」カツン

P「打ち返せ李衣菜! やれば出来る!」

RIN「う~とりゃーー!」ブンッ

パヒューン!

UDK「のはっ!」バコッ

MO「直撃!?」

P「あっちゃー……さっき教えたこともう忘れてるじゃないか(呆れ)」

RIN「ごっごめん! 大丈夫卯月ちゃん!?」

UDK「あ、はい……おでこに真っ直ぐ飛んできたので、そんなに痛くはないです」スリスリ

MO「正確な狙撃だったね」

RIN「狙ってないよっ!」

アハハハハ!

MO「せりゃ!」カツン

RIN「こんどはしっかり返すよ!」フンッ

UDK「て、ていっ!」カツッ

P(こうして和気あいあいと遊んでると、とても明日LIVEバトルする物どうしとは思えないな)シュッ

P(どうして俺は二人を見たときに気まずさを感じたんだろう。こうして話したり遊んだり、モバプロに居たときと一緒じゃないか)

P(もちろんそれは二人が気遣ってくれてるからだけど、今なら別に事情を話したって……)

P(もしかしたら、そもそもIUになんて出る必要は無かったのかもしれない。時期が来ればこうして、他に誰も見てない所で卯月や他のみんなと話す機会があっただろうし)

P(そこで本当の事情を話せば、今頃はとっくに全部元通りなっていた──)

P(かもしれない。そんな事考えても仕方ないか、もうここまで来てしまった訳だし。イニ義との約束もある)

P(……そういえばイニ義が810プロを倒して欲しかった理由って──)

RIN「ちょっ、プロデューサーさん!? なにしてるんですか!」

P「え?」

カツッ,コロコロコロ……

MO「未央ちゃんwithしまむー、これにて大勝利!」

P「マ↑ジ↓!?」

RIN「集中してませんでしたねー!?」

P「すいません許してください、なんでもしまむら!」

UDK「しまむら? あっそうだ(唐突)、プロデューサーさんの携帯、さっきから何か通知が来てるみたいですよ」

P「え? あぁ、ゲーム機の上に置きっぱだったか……ん?」

P(ナオキから数回の着信と、「ご飯来てますよ」というメッセージが来ている!)

P「まずい飯だ! 行くぞ李衣菜!」

RIN「まずい飯!? 不味い飯は嫌ですよ!」

P「違う! とっくに夕飯が届いてるの部屋に! 多分二人とも部屋で待ってるか、俺たちを探してる!」

RIN「それはまずいですね!」

MO「大変大変、美味しいご飯のもとへ急がないと」

P「そんなに美味いのか! もう食べたのか?」

UDK「はい! とても美味しかったです!」

P「こいつは冷めないうちに食べないとな。イクゾオオオオオオオオオ!」

RIN「おー!」

タッタッタッタッ……

MO「……なんか相変わらずだね。たまにテンションが急上昇するところとか」

UDK「あはは、そうですね……」

タッタッタッタッ

P「ちくしょう無駄に広いぜ!」

RIN「っていうか廊下走っちゃっていいんですかー?」

P「小学校じゃあるまいし、どうせ誰も居ねえよ! そこのエレベーターだ!」

ピッ

RIN「早く早く早く、もうお腹ペコペコだぁ」

P「ならついでにあのカップ麺も処理してしまってくれ」

RIN「結構です」

ウィーン,タッタッタ,ウィーン


ウィーン,タッタッタッタッ……

P「よし。こ↑こ↓だ……だーっしまった!」

RIN「どどどうしました!? 階を一つ間違えたとか!?」

P「鍵がない! オートロックだし、二人が俺たちを探しに出てたら入れん!」

RIN「うわぁー私もなつきちに渡しちゃった! 誰か、誰かー!」ドンドンドン

P「開けろーーーっ!!」ドンドンドン

ガチャ

RIN「うわああっ!?」スイッ

NTK「っととと、危ないぜだりー。っというかモバPさんも、どこ行ってたんだ?」

RIN「いいからごはんっ! 冷める!!」

NTK「ダメだってナオキが戻ってきてからじゃないと、二人を探しに行ったんだから」

P「くっ、おのれ……!」

NTK「だからなんでそんなに興奮してるんだ……?」

とりあえずここまで


……
P「いやーすまんすまん。一時間後に飯が来る事すっかり忘れてたよ」

RIN「探させちゃってごめんね」

KMR「いえいえ、いいんですよ」

NTK「卓球場があったのかぁ。アタシもやりたかったぜ」

RIN「やろうよやろうよ! 食べた後で!」

P「おいおい、まだ食べ始めたばかりなんだから食後の話なんて早いだろ?」

NTK「確かにな。このとてつもない量を完食しようと思ったら軽く一時間はかかるぜ」

KMR「こういう旅館に相応しい豪華な食事ですよね。食べ終わる頃には動けなさそうです」モグモグ

RIN「う、そうかも……」

P「このカニが厄介だよカニが。一人に丸ごと一匹ずつって馬鹿じゃねえの?」

KMR「北海道らしいし、大歓迎じゃないですか。この刺身も絶品です」モグモグ

P「おぉう、食べるの早いな。もうカニ全部入っちゃうんじゃないの?」

KMR「いやそんなこと……」モグモグジュルジュル

P(見かけによらず結構食べるんだなぁ)

RIN「負けてられない、私も全部食べ切ります!」パクパクパク

NTK「……一応言っておくけど、無理するなよ?」

RIN「大丈夫! 卓球でエネルギー使ったもん!」パクパク

P「俺は好きな物からゆっくり味わう事にするよ。なるべく残さないようにしたいが、この量はちょっとな……」モグモグ

NTK「アタシもそうするぜ」

四十五分後

KMR「ふぅ」コト

NTK「一時間もかかんないで一人前平らげちまった……」

P「胃壊れちゃ~↑う」

KMR「大丈夫です、腹八分ですから」

P「この人おかしい(小声)」

RIN「ぅわ私も、ちゃんと全部、食べますよ。……う゛! げほっ」ゴクゴク

P「はいストップ。これ以上食べたら多分吐くぞ」

RIN「いっいけますいけます! 私も腹八分!」

NTK「腹が八分だとしても、食事は半分残ってるけどな」

P「そんなに拘るなよ。腹でも壊したら明日のライブどうするんだ」

RIN「そうですけど……全部食べないともったいないじゃないですか」

P「また来ればいいだルルォ!?」

RIN「こんな所来たくても来られません! っうえふっ、げふっ!」ゲホゲホ

NTK「あーほら水。本当に吐いても知らないぜ?」サスサス

RIN「んっ、ありがとなつきち。……私またはしゃぎ過ぎちゃってますね、ごめんなさい」

P「……また連れてくよ」

RIN「え?」

P「最近忙しくてみんな休みが無いだろ? だからIUが終わって一段落したら慰安旅行でもどうかな、なんて少し考えてたんだ」

RIN「いいですねそれ! 行きましょう!」

NTK「IUが終わる頃っていったら真冬だな。スキーなんかもやれそうだ」

P「IUが終わった後のスケジュールなんて分からないから今は絵空事だけど、実現出来るように努力するよ」

RIN「お願いしますね!」

KMR「…………」

P「どうしたナオキ、やっぱり食い過ぎだったのか?」

KMR「いえ。ただ……その旅行がおそらく、プロデューサーさんとの最後の思い出になるかなと」

RIN「あ……」

P「……まあ、そうなる、よな」

「………………」

P(刻一刻とその時は迫ってる。ゆっくりだが確実に……)

夜中

P(夕食の後はみんなで騒いだりはすることも無く、22時には全員布団に入った)

P(しかしそれから大分経った気がするが、まったく眠れない。最近コーヒーを飲み過ぎてるせいだろうか)

P(…………)

P(そういや、卯月と未央とは結局ロクな話しなかったな。卓球だけ)

P(まあ今は対立してる訳だし、下手に関わり過ぎない方が二人にとっては良いんだろうな)

P(…………)

P(眠れなくて頭に来ますよ! 眠りに落ちろ! 落ちろ! 落ちろ! ……落ちたな)

「……ねぇ」

P「!」

「……ねぇ、起きてる?」

P(なんだ!? もしかして例のアレなのか!? 俺は信じないぞ幽霊なんて……)

「なつきちってばーっ」ボソッ

P(……李衣菜?)

短いですがここまで

P(今、『なつきち』と言ったような。李衣菜なのか?)

P(部屋が広いとはいえ、隣との敷居は襖一枚だからそれならおかしくはないが……)

「ねーってばぁー」

P(ボソボソ喋っていて声では判別が付かない。でも確かに隣の部屋の方から聞こえる)

P(話しかけてみるか……?)

「じゃあ勝手に話すよ。ひとりごと……」

P(……少し様子を見ることにしよう)

「私、最近よく考え事しちゃうんだ。それもいつも同じ事」

P(なんすかそれ。IUの事で悩んでるとか、プレッシャーを感じるとかか?)

「IUの事じゃなくて、もちろんそれも大事だけど、もっと先のことを……」

P(じゃあまず、それを教えてくれるかな?)

「………………」

P(あくしろよ、それとも声のボリュームを下げたか?)

「……あ、誰も聞いてないのに返事待っちゃった。えっとね──」

P(聞いてるんだよなぁ)

「プロデューサーさんが居なくなった後、私たちの事務所ってどうなるのかな?」

P「!」

「凛ちゃんとまゆちゃんと、遠野さんは分からないけど。あと、トレーナーさんに、イニ義さんの事務所にあるレッスンスタジオも使えなくなるよね」

「みんな居なくなってその後、誰が私たちをプロデュースしてくれるのかな?」

P(そうだ……今まで考えてこなかったけど、俺が居なくなれば、プロデュース出来る人間は社長しか居ない)

P(でも、プロデューサーをやりながら事務やその他諸々の仕事をやるのはとても無理だろう。そうなれば……)

「まあ多分社長さんが誰か新しい人を雇って、その人が新しいプロデューサーになる。のかな」

P(それが妥当だろう。その頃には社員を雇う金もあるだろうし、第一そうしなきゃ仕事を回せない)

「だったらいっそみんな、モバプロに移籍しちゃえばいいじゃん。なんて考えたけど、やっぱり、そんな簡単に出来るわけないよね」

P(今のモバプロ内部がどうなってるか分からない以上なんとも言えないが、そんな事をすれば三浦さんが路頭に迷ってしまう……)

「だからどうにもならない。最初から分かってるんだけどね」

「はぁ、ダメだなぁ私。早く寝ないといけないのに。何ぶつぶつ言ってるんだろ……」ファサッ

P(…………)フゥ

「…………、結局、私が言いたいのはさ──」

P(終わったと思ったら、まだ何かあるのか?)

「嫌、なんだろうね……っ、ぐすっ、……みんなと、プロデューサーさんと離れるのが……ぐすっ」

「やっぱりわたしっ、プロデューサーさんと離れたくないよっ……!」

P「!!!」バサッ

P(思わず上体を起こし、隣の部屋の方を向いてしまった)

RIN「っやだ、なつきち起きちゃった?」

P(まずい、勢いよく布団を捲ったから音が聞こえたのか)

NTK「………………」スースー

RIN「あれ? …………!」バッ

ガサーッ!(襖を開く音)

P(俺が起きてたなんて知ったらどうなるか分からないよ、ヤバいヤバい)スースー

RIN「…………」

P(バレてないよな……)

RIN「空耳、かな」ガサー

NTK「ん……なんだぁ、だりーか……?」

RIN「あ、ごめんなつきち、なんでもない。私ももう寝るから」ファサッ

NTK「なんだねてなかったのかぁ? ちゃんと、しろよな……」

RIN「うん。おやすみ」

NTK「…………」スースー

P(ふぅ、助かった)ホッ

P(しかし李衣菜がそんな事を思っていたなんてな……どうするべきか……)

短いですがここまで

翌日 ドーム会場

ワァァァ……

P(ステージの方から歓声が響いてくる中で、この控え室はただ静かだった)

「………………」

P(全員集中している。今までは本番前でも気楽に会話していたり、そうでなくとも雰囲気は明るかったのだが今回はそういった物が一切無い)

P「もうスタンバイの時間だ。トイレとかさ、大丈夫? 漏らしたら大変だぞ?」

KMR「分かっています。問題ありません」キッパリ

P「そ、そうか。それならいいんだ」

P(ナオキがこういう反応なのはともかく、いつもなら李衣菜が元気に返事をしてくれるのだが……)

RIN「…………」

P(手を膝に置いて、鏡をじっと見たり時計をチラチラ見たりしている)

P(何となくそわそわしているのはいつもの李衣菜と同じだが、精神を集中させようとしている意思を感じる)

P(ステージへ向かう前に、昨日の事に関して何かそれとなく、声をかけるべきだろうか)

P(……いや、今はこの三人でのステージ前。李衣菜一人の事でぶつぶつ言うのは避けた方がいい)

P(でもこのまま放ってはおけない。遅かれ早かれ、しっかり話を聞いてあげなくちゃな)

カチ,カチ,カチ,カチ……ワアアアアアアアアッ!

カチッ

P「……よし、時間だ!」

ガタッ!

KMR「いくぞ!」

RIN・NTK「うん(ああ)!」

P「うわっ、なんだよお前ら。いきなり元気になって」

RIN「え、さっきから元気ですよ? さっきまでは一応、静かにしてましたけど」

KMR「精神統一、ですね」

P「そ、そうなのか! てっきり緊張でガチガチになっちまったのかと」

NTK「アタシたちはそんなタマ(意味深)じゃないさ。後はステージで弾けるだけだぜ」ジャーン

RIN「ヒュー、なつきちギターかっこいい!」

P(俺の検討違いか。まったく、プロデューサーのクセしてアイドルの事を分かってないな)

P(…………)

P「よしみんな! 最高にロックなパフォーマンスを810プロに見せつけてやれ!」

「おう!」

810プロ控え室

ONDISK「そろそろステージへ向かいましょうか」

UDK「はい。分かりました」

野獣「…………」ポポポポポポ

MO「おっ、たどちゃんの戦闘モード出た!」

ONDISK「そういえばもうご存知だと思いますが、364プロにはあのモバPが居ます。よろしいですね?」

UDK「えっ、あ、はい。それがどうかしましたか?」

MO「味方だった人が最大のライバルとして立ち塞がる熱い展開! そう伝えたいのかな~?」

ONDISK「……いえ、なんでもありません。良いステージを期待しています」

UDK「はいっ! 頑張ります!」

ドーム内 ステージ

ザワザワザワ……

司会「さぁ~いよいよ、IU二回戦第四試合の時間がやって参りました!」

ヴォー……

司会「登場するのは片や、新人をセンターに迎えて人気が急上昇した正統派ユニット」

ワァァァァァ! foo↑!

司会「そして片や、既存の概念に囚われないロックを信条にここまで勝ち抜いてきた型破りなユニット」

ワァァァァァ! ヒューヒュー

司会「果たしてどちらが勝利を掴みとるのでしょうか! それでは登場していただきましょう!」

司会「『SCOOOP!』、『ロック・ザ・ビースト』の皆さんです!」

オオオオオオオオ! パチパチパチパチパチ!!

KMR「……」スタッ

ワアアアアアアアアッ!!!

「キャー! ナオキー!(クソノンケ)」「かわいいな李衣菜ちゃん」「いいゾ~これ」

KMR「ーーーッ!」ブルッ

KMR(ステージに出た瞬間、会場の威圧感と会場の雰囲気で鳥肌が立った)

RIN「~っ、さっきは全然緊張してない風に振る舞ったけど、やっぱりいざここに立ったらちょっと怖いかも。ね、ナオキくん」

KMR「…………」

RIN「ナオキくん?」

KMR(これだけの数のお客さんが、僕たちのステージを見に来てくれている)

KMR(もちろん、相手ユニットのファンも居ることは分かっている。……それでも、こんなものを見たら興奮しない訳がない)

KMR「……お前らァッ! 気分はノってるか! ノってるだろうなぁ!?」グッ

RIN「ぅわああっ!?」ズタタッ

オーーッ! ワアアアアッ!

司会「おっと木村ナオキくん、登場するやいなや客席に向かって雄叫びをあげたぁ!」

KMR「……最高の気分だぜ。このまま突き抜けるぞ、李衣菜、夏樹!」

NTK「オーケー!」ジャーン

RIN「う、うん! 絶対勝とうね!」イテテテ

UDK「みなさ~ん、今日は見に来てくれて、ありがとうございま~す!」ニコッ

MO「たっくさん楽しんでいってね!」

UDK「私たちの仲の良さにも注目です!」

ワアアアアアッ!キャー! ギャー! オイゴルァ! ファッ!?

司会「両者への大きな歓声で会場全体がどよめいております!」

ポポポポポポ……

野獣「TARGET CAPUTUERED……BODYSENSOR」

KMR「あれは……先輩? あれが……」チラッ

野獣「EMURATED EMURATED EMURATED……」ポポポポ

KMR「……」

MO「相変わらず、たどちゃんは何をスキャンしてるの?」

野獣「ダルビッシュ」

MO「いや、意味わかんないから……」

ワアアッ……ザワザワ……

司会「やっとどよめきが収まってまいりました。それでは両者に少しお話を伺ってみましょう」

司会「SCOOOPの野獣さん、ロックザビーストの木村ナオキさんはデビューしてわずか半年足らずで、この大舞台に上り詰めました。それについてはどのような気持ちで?」

KMR「この舞台に立てる事はとても嬉しい。もちろん、俺たちを支えてくれているファンにも感謝している」

KMR「でも今は余計な事を考えず、目の前のステージに集中するだけだ。前にどこかで言った事かもしれないが……」

司会「舞台がどこであれ最高のパフォーマンスをするのみと。野獣さんはいかがですか?」

野獣「キャプチュ……」

司会「はい?」

野獣「戊辰戦争」

司会「これもうわかんねえな」

UDK「せ、先輩もナオキさんと同じですっ! ね、未央ちゃん!」

MO「なんで私っ!?」

司会「そ、そうですか」

UDK「先輩はほら、シャイなので上手く話せないんです」

司会「ハァ~(クソデカため息)……後一つ二つ何か話を伺おうと思いましたがやめておきますか」

司会「会場の皆さんも一秒でも早く対戦が見たいでしょう!」

ワアアアアアアッ! アクシロヨ!

司会「はい。両ユニット準備はよろしいでしょうか?」

KMR「……」チラッ

RIN「なつきち、ギター大丈夫?」

NTK「ああ、いい音だぜ」ジャジャーン

KMR「……」グッ


野獣「…………」ポポポポ

UDK「こ、こっちも大丈夫です!」

MO「通訳と化したしまむー……」


司会「よろしい、それでは参りましょう! ミュージック、スタート!」

とりあえずここまで

野獣「~~♪」

P(田所の野郎、さっきまでまともに話もしなかったのにハキハキと歌ってやがる)

P(しかも中々良い歌声じゃないか……卯月や未央の歌声ともマッチしているように感じる)

野獣「アッアッ……」キュッキュッ

P(最初オーディションで見た時も思ったがあいつは動きにキレがある。それが余計汚さを引き立てているな)

MO「~~♪」クルッ

UDK「~♪、えへへっ」ニコッ

P(……野獣に目が行きがちだが、卯月と未央の技術も以前とは比べられないほどに上達しているな。笑顔は相変わらずだけど)

~♪ キュッキュッ,ターン

P(成長が顕著に見られるなのはダンス。センターを固定せず次々とフォーメーションが変わる難しい振り付けを見事にこなしている)

P(これがあいつのやって来たプロデュースか……突出した物は今の所無いが、全体的に高いレベルでまとまっているな)

P(でも、ステージの盛り上がりという点では──)

KMR「お前らまだまだこんなモンじゃないだろ! もっともっとノっていこうぜ!」

ワアアアアアアッ! イェーーイ!

P(ナオキたちが完全に上回っている!)

KMR「よぉし、お楽しみはこれからだぞぉ?」

~♪

P(会場のボルテージを徐々に高めていき、最後に爆発させるスタイルはこれまで磨いてきたあいつらの武器)

P(もちろん盛り上がりだけで勝負が決まる訳ではないが、卯月たちもポップスを選曲した以上は審査のウェイトも高くなるはず)

P(このままいけば審査員に与えるインパクトはこっちの方が──)


デェーーーン……


P(な、なんだ!?)

テンテンテンテンテン……

野獣「ターゲット、キャプチュ……戊 辰 戦 争」ポポポポポポ

テンテンテテンテテンテン……

P(転調……? 転調どころか、別の曲に切り替わった? 聞いたことのあるメロディだが、曲名は……ええと……)

デデデデン!「フゥー!」デデデデン!

P(観客がレスポンスしている? 資料のライブ映像にこんなパフォーマンスは無かったが、これもコールの一種なのか?)

デデデデン! 「フゥー!」

MO「手拍子も一緒に~、さんはい!」

デデデデン!(パチパチパチ!)デデデデン!(パチパチパチ!)

デデデデデデデ……

P(! 思い出した、この曲は……Sandstorm!)


野獣「V I R T U A L S E X」ポポポポポポ

UDK・MO「~~♪」


P(また元の曲もかかった、つまりSandstormとのMIXってことか! こんなやり方ありなのかよ……!?)

P(ミックスした曲をただ使うのではなく、原曲の途中から一転攻勢する様に切り替える事でインパクトをより強くしている!)

P(それだけじゃない。MIXになったタイミングで歌もダンスもまるで別物になった)

UDK「~~♪」キュッキュッ,スタッ

P(ダンスは振りが複雑な物から野獣をセンターに固定した比較的簡素な物になり)

野獣「エミュエミュエミュレイ戊辰戊辰戊辰ダルビッシュ……」~♪

P(反対に歌は、曲のBPMが上がったことにより早口言葉と言っていいレベルの難しい物に。つまりそれぞれ難度が逆になっているのだ)

P(もちろん両方を高いレベルで維持出来ればそれが一番だが、この方法ならアイドルの負担を減らせる上に審査員にも好印象を与えられる)

P(非常に効率のいいアピールということだ)

P(もちろん通常ならこんな事は出来ないが、この曲の切り替えがそれを自然にさせているのだ)

P(しかし何故、ラスサビ前の間奏ではなく二番に入るこのタイミングで……そうか!)

P(ラスサビではナオキたちが一番の盛り上がりを作るから、それを見越してこのタイミングで切り替えた……なんてぇ作戦なの)

P(でもそれは、ラスサビでのナオキたちの盛り上がりがそれだけ脅威に見られてるって事だ)

P(まだ分からない……ここからが三人の独擅場だろ?)

KMR「~~~ッ!」~♪

NTK「っしゃ、ラスト上げていくぜ!」ジャジャララジャーン

RIN「私もギター!(エアだけど) 二人でセッションだ!」シャカシャカシャカ

ワアアアアアアッ! キヤーッ!

KMR(曲が間奏に入った。後は最後のサビを残すのみ!)

KMR(そしてこのままなら、リハーサルでやった通りの最高のテンションでライブを終わらせる事が出来る)

KMR(だが、しかし、それでいいのだろうか……? 本当にこのまま、リハーサルの通り終わらせて……)

RIN「みんな最後だよーーっ! もっともっと熱くなって、弾けちゃおうぜー!」

イェーー! ワーッ! カワイイナリイナチャン!

KMR(さっき相手の曲がいきなり変わったのが分かった。そこからだ──)

(このままじゃいけない)

KMR(そんな直感が頭によぎる。どうすれば……!)

~♪

KMR(間奏が終わる!)

KMR「……っ、さあ行くぜお前ら!」

foo~↑イェーーーイ!

KMR「~~!」~♪

RIN「イエーイ!」

NTK「ははっ、最高だぜ!」ジャジャッ

ワアアアアアアアッ!


UDK「みなさんも一緒に~!」

パパパパッパッパッ(手拍子)

UDK「サイリウム、とても綺麗です!」ニコッ

「フゥー!」ブンブンブンブン

P(ラスサビ、卯月たちはコールを中心にしているのか。しかしやはり、観客の盛り上がりではナオキたちが勝っている!)

P(ヴィジュアルでも、卯月の笑顔はかなり手強いがナオキのキメ顔があれば……ナオキ?)

KMR「……」~♪

P(凄くカッコよくて良い表情、なのだが。何か、何か少しだけ迷っているような──)

KMR「…………ッ!」キッ

P(いや……気のせい、か? しかしどうした、マイクをスタンドから外したが)

P(……まさか!)

KMR(……後悔はしたくない)

(おう、ホモの兄ちゃん。もう終わりか?)

KMR(自分の中の自分がそう言うのなら……!)グッ

RIN・NTK「~♪」スタッ

KMR「!」

NTK『ツバサ広げて 次のフェイズヘ!』

RIN『行こう! 一緒に!』

KMR・RIN・NTK『のりこめ Jet to the Future!』

~♪

RIN「一回戦の時はただ見てるだけだったもん。だから今度は、一緒だよ」スッ

NTK「叫びたいなら叫びたいだけ叫ぶ。それがアタシたちのロックだぜ」

KMR「っ……、ああッ! 行くぜ!!!」

スゥーーー……

「ーーーーーーーーーーー!」

P(……まったく、叫ぶなって言ったのに。しかも今度は三人一緒じゃないか、喉がこわれるなぁ)

P(でも今の三人は……)

P(以前、赤城武雄が卯月たちのライブは目が釘付けになって離れないライブだと言ったが──)

P(今の三人こそまさに、目を離す事が出来ないような輝きを放ってる!)


「そこまで!」


KMR「ーーっ、はあっ、はっ、ハア……」

RIN「ハッ、やっ、やったね、ナオキくんっ……!」

KMR「ああ、本当に……ありがとう!」グッ

ワアアアアアアッ!


野獣「…………」ポポポポ

UDK「」ペコッ

MO「って、なんか喋ろうよ!」

パチパチパチパチパチ!

司会「えー大変良いライブでした。それでは審査の結果が出るまでしばらく、お待ち下さい」

P(LIVEバトルだったからこそこんなライブが出来たんだろうが、叶うならそんなの抜きでずっと見ていたかったな……)


KMR「ハアっ、二人とも本当に……げほっ、ありがとうございました」

NTK「感謝されるような事なんか何もしてないぜ、ナオキ」

KMR「いやそんなこと……」

NTK「それより喉は大丈夫か?」

KMR「あ、はい。なんとか」

RIN「……ねえ、もう雰囲気戻しちゃって大丈夫なの?」ボソッ

KMR「え? あ、……そうだったな」キリッ

RIN「最高のライブだったけど、結果が出るのは今から。気を抜いたらダメだよ」

KMR「……」コク

NTK「だりー……」

RIN「?」

NTK「いや、なんでもないぜ」


……

ザワザワザワ……

P(審査が長引いている……)


UDK「どうしたんでしょう……」ソワソワ

MO「まさか、引き分けとか!?」

UDK「ええっ!? それってどうなっちゃうんですか?」

MO「わ、分かんない。っていうか真面目に返さないでよ、私も不安になってきた……」

野獣「…………」ポ


RIN「…………」ソワソワ

NTK「長いな……」

KMR「信じよう。俺たちがやった事を」

RIN「……うんっ」



司会「……大変お待たせしました! ただいまより結果を発表します!」

ザワザワザワ……アクシロヨ! アクシロ

司会「えー始めに、審査が長引き、進行に遅れが出たことを謝罪いたします。しかし両ユニットとも本当に素晴らしく、非常に甲乙付けにくい内容で──」

ザワザワザワザワザワ!
「いいからあくしろオラァ!」「もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!」

司会「はい。では結果を発表します……『SCOOOP!』と『ロック・ザ・ビースト』」

司会「勝者は────」

P(勝った、とは断言出来ないが負けたなんて到底思えない。それくらいのライブだった)

P(頼む……!)

とりあえずここまで
このスレで終わるかどうかは正直何とも言えませんね……

(完結直前で>>1000到達して3スレ目に行く未来が)見える見える、太いぜ

ステージ裏

スタスタスタ……

P(こちらへ向かって三人が歩いてくるが、目線はどれも前を向いていない)

P「みんな、お疲れ様!」

KMR「……すいません」

P「おいおい何を謝ってるんだよ。ナオキには、別に何の責任も──」

KMR「いえ。言いつけを破って、思い切り叫んでしまって」

P「あ、ああ。そういうことか。別に……もう良いんだよ」

KMR「……はい」

P(三人の瞳は潤んでいた。そしてそれを隠すように、うつむいてしまう)

P「……とりあえず、控え室に戻るか」スッ

スタスタスタ……スタッ

P「?」クルッ


RIN「……、私たち、もう……っ!」


NTK「だりー……!」

P(…………)


……
.……

「えー、審査員による、このLIVEバトルの総評をお伝えします」

「両ユニット共にとても素晴らしく、自らの長所を最大限発揮したライブでした。その上で、以下の様に審査を進めました」

「まず技術的な面ではボーカル、ヴィジュアルは両ユニットほぼ同等。ダンスの技術でSCOOOPがやや上回っているという評価でした」

「技術ではほとんど差がなく、したがってライブ中でそれぞれ目立った点、目立った演出を評価し、優劣を判断する事になりました」

「ロック・ザ・ビーストの歌声は非常に力強く、聴く者を惹き付ける魅力があります。観客への声掛けも非常に熱が入っており、会場を盛り上げるという点ではSCOOOPをかなり上回っていると評価しました」

「SCOOOPは通常では見られないような曲の変化を演出として盛り込み、それを見事にやり遂げた事が大きく評価されました」

「そして、もう一つ。勝敗を決定付けたものとして、SCOOOPのライブには観客との一体感がありました」

「SCOOOPは随所に観客へのコールを挟んでおり、そのいずれも完璧にこなしていました。これはアイドルだけでなく観客の反応(レスポンス)も含まれます」

「この大きな会場でそれが出来たのはアイドルと観客、つまりファンとの間に強い一体感があったからに他ありません」

「これを今回のライブでもっとも評価すべきポイントと判断し、勝者をSCOOOPと審査致しました」

………
……

P(ロック・ザ・ビーストは、負けたのだ)

P(卯月たちの勝因は高められたコールの技術。これによって、アイドルと観客が一体になっていると演出したのだ)

P(審査の通り、この大きな会場で完璧なコールを行うのはかなり難しい。そもそもアイドルがいくら努力しても、観客が一つにまとまらなければ不可能な事だ)

P(もしそれが可能になったなら、それはアイドルのステージとして一つの究極形とも言える)

P(アイドルとファンが完璧に一つとなり、アイドルとファンで一つのステージを作る)

P(卯月たちのステージは初めからそういう風に作られていた。観客の反応までも、パフォーマンスの一部)

P(俺はまた、盛り上がりという一要素に気をとられて大事な部分を見落としていたのだ……)

PKMR「ッ……くっ……」グッ

NTK「っ、畜生!」ガッ

P(…………)

P「まずうちさ、ちょっと話あるんだけど……聞いてくれない?」

P「ま、勝手に話すけど」

RIN「なん、ですか……」グスッ

P「俺の好きなミュージシャンに、山崎まさゆきってのがいてさ」

KMR「……? はい」

P「で、その山崎まさゆきのある歌にこういうフレーズがあるんだ」

P「『カタチにとらわれるな』、『常識に縛られるな』、『人目気にするな』……ロックってまさにこういう事じゃないか?」

P「まぁ山崎まさゆきはロックミュージシャンでもないし、その歌もただのラブソングなんだけどな」

「…………」

P「何が言いたいかっていうと……今日のライブは、それが全部詰まった最高のステージだったと俺は思ってる」

P「それに俺だけじゃなくナオキも、李衣菜も、夏樹も……みんなそう感じたんじゃないか?」

KMR・RIN・NTK「!」

>>776
一行目、PKMRじゃなくてKMRです(半ギレ)

P「歌ってる時の表情や、ライブが終わった直後の顔を見ればすぐ分かる。『これが今の自分たちが出来る最高のパフォーマンスだ』ってな」

P「だからこそ……最高のパフォーマンスが出来たからこそ、うじうじしてたらカッコ悪いぜ? 胸を張っていいんだ」

KMR「…………」

P「もっと分かりやすく言おうか? ロックじゃないんだよ、後ろ向きな三人なんて」

RIN「今の私たちは、ロックじゃない……」

NTK「……ああ、そうだな」

P「辛い時こそ、悔しい時こそ、その気持ちを前向きなパワーに変える。それが──」

RIN「それがロック……!」

P「そうだよ。ここからまたお前らのロックを始めるんだろ?」

KMR「……はい」

P「聞こえない(無慈悲)」

KMR「はい!」

P「そう。そうでなきゃ困るよ」

RIN「でっでもっ、このユニットはどの道もう無くなっちゃうんじゃあ」

P「あぁん、なんで?(レ)」

RIN「だって前、このユニットはIUのために作ったユニットって」

P「だからってなんでIUが終わったら解散させる必要があるんですか(正論)」

RIN「そ、そうだったのーっ!? てっきり私、もう解散なんです!(レ) って言われるのかと……」

P「普通そんな勘違いしますかねぇ」

NTK「はーぁっ、少し大人になったと思ったらやっぱりただのだりーだったか。はははっ」

RIN「その通り私は多田の李衣菜……ってちがーう! その言い方何!? 私だって成長してるよ!」

NTK「さっきまで泣いてた子供が成長してるって?」

RIN「んなっ、なつきちも泣いてた! 絶対涙流してた! 同じレベルだよ!」

NTK「こっ、これは……汗だよ」

RIN「うわー……」

NTK「なっ、なんだよ!」

ギャー!ギャーギャワ!

KMR「ふ、二人とも。ここ通路ですから、とりあえず控え室に」

P「……立ち直りが早いって本当に良い長所だ。そう思わないかナオキ?」

KMR「言ってないで止めてください!」

810プロ控え室

ガチャ

ONDISK「お疲れ様でした。リハーサル通りの良いステージでしたよ」

UDK「ありがとうございます。なんとか勝つことが出来ました」

MO「うん。なんとか、ね……」

ONDISK「なんとか。それはどういう?」

UDK「歌ってる時、すぐ隣から熱気が伝わって来たんです。それで相手ユニット、李衣菜ちゃんたちも凄いライブをしているんだって分かって」

UDK「審査の総評でも、私たちとの差はほんの少しだったって言ってたじゃないですか。だから、なんとか勝てた、勝つには勝ったって感じで……」

ONDISK「つまるところ、次の準決勝に勝てるかどうかが不安という事ですか?」

UDK「……はい」

MO「ズバッと言ってくるなぁ。普通、もう少し溜めない?」

ONDISK「溜めても仕方ありませんよ。それに私も、今日のステージには驚きましたので」

UDK「プロデューサーさんもですか!?」

ONDISK「ええ。何か変、ですか」

UDK「い、いえ。何も」

MO「いやいやしまむー、ここはハッキリ言った方がいいよ。プロデューサーにもそんな感情があったのかー! ってね」

UDK「みっ未央ちゃんっ! 失礼ですよ!」

ONDISK「……はぁ。とにかく、準決勝以降に向けての新しい方策はもう用意してあります。東京に戻り次第、試してみましょう」

UDK「はい! 決勝に進むためにがんばります!」

MO「えー。その前にさ、東京に戻ったら少し休んだ方が……」

UDK「未央ちゃん、あと一つなんですよ。決勝に行けば、きっとまた凛ちゃんとライブが出来ます!」

MO「それは分かってるけど……頑張り過ぎて倒れでもしたら大変だよ。休憩も大事!」

UDK「休憩しなくても倒れないようにがんばります!」

MO「…………」

UDK「未央ちゃん?」

MO「もう、わざと言ってるよね……?」


ONDISK(予定通り。あまりに都合良く接戦になってくれたのだから、それは驚きますよ)

ONDISK(モバPも所詮、私の予定通りに動いてくれる男ですか、ね)

野獣「…………」ポ

P(その日の夜俺たちは無事東京に戻り、北へ南へ飛んだ二回戦は終わった)

P(勝ち残ったユニットは、凛たち、智絵里、GOそして、810プロ)

P(一次予選からここまでずっと一緒に勝ち続けてきた364プロの3ユニットは、ついに凛たちを残して敗退してしまった)

P(しかし敗退した6人のアイドルは、ユニットとしてもソロとしてもここからまた、新しい一歩を踏み出す)

P(俺はプロデューサーとしてそれをしっかり支えなければならない)

P(きっとまた忙しくなるだろう。一人一人に割ける時間はどんどん短くなっている)

P(だからこそ、凛たちの事は…………)

とりあえずここまで

364プロ内 レッスンルーム

ガチャ

P「よし、集まってるな」

遠野「あ、プロデューサーさん」

P「どうもこんちわっす」

RN「プロデューサー、あのトレーナーがまだ来ないんだけど、連絡してみてくれない?」

P「あぁ、その必要は無いよ。トレーナーさんはあと10分か20分したら来るから。大丈夫」

RN「ふーん。じゃあその間は私たちだけで軽く準備運動しておこっか」

MY「そうですね」

P「待った。今日は三人にちょっと話があるんだよ。その辺、適当に座ってくれ」

遠野「あ、はい。……何の話ですか?」

RN「もしかして、最初からそのつもりでトレーナーさんが来る前に集合させたの?」

P「二人いっぺんに言うなよ。まあそうだな。今後の事で少し、決めたことがあってな」

MY「今後の事……ですか」

P「ところで最近レッスンの調子はどうだ。二曲とも順調か?」

P(準決勝以降は演奏する楽曲が増える。準決勝は二曲、決勝は三曲だ)

RN「ちょっと、なんで私たちに質問するの。プロデューサーの話があるんでしょ?」

P「ま多少(の雑談)はね? 最近レッスンまで見てられなかったからさ」

MY「そうですよね。教えてあげてください、凛ちゃん」

RN「返事したならまゆが答えればいいんじゃ? ……まあ、どうって言われても困るけど、順調って言えば順調かな」

P「うん」

RN「二曲とも歌の方は大丈夫。踊りも、後は三人で細かい立ち位置とかを合わせたりとか、微調整だけ」

P「それは何よりだな」

RN「でも肝心の演出が全然なんだけど。まだ決まらないの?」

P「……ああ、話っていうのはそれだ」

遠野「もしかして……また?」

MY「まさか。それはもう無いって、プロデューサーさん言いましたもん」

RN「じゃあ私たちにも一緒に考えて欲しいとか、そんなところ? まあ、それも悪くないけど」フフ

P「いや。今度の準決勝、そして決勝……俺はライブ演出を降りる事にしたよ」

「え……!?」

P「急にこんな事言ってすまない。でもやっぱり、演出は演出のプロに任せた方が確実だと思ったんだ」

RN「なんで? どうしてそう思ったの?」

P「それは──」

MY「嫌です!」ギュッ

遠野「まゆさん!? なにしてんすか!?」

MY「嫌です、プロデューサーさん……今度こそもう、離れないって言ったじゃないですか……」

P(言ったっけ?)

RN「ま、まあまあまゆ。まずはちゃんと理由を聞こうよ。ていうか離れてっ」ガシッ

MY「……はい」パッ

P「まぁ、理由は……一回戦二回戦も、俺が演出するよりよっぽどいいステージだったらから、かな」

RN「そんなこと……」

P「あるよ。俺が言うんだから間違いない」

遠野「でもそれは、プロが演出したからじゃなくて、僕たちが段々成長しているからかもしれないじゃないですか!」

P「そうだな。でもだからこそ、プロに任せて能力の全てを引き出して貰いたいんだ」

MY「そんなの、関係ありません! まゆはプロデューサーさんがいいんです」

P「いやいや、演出をプロにやってもらうだけだぞ? レッスンも見れる時には見るし、リハーサルだってチェックする」

MY「それでもまゆは……」

P「頼むよ。俺の演出なんかじゃ、この先を勝ち抜くには力不足だ」

MY「…………」

RN「どうしてそう思うの?」

P「いや、だから一回戦二回戦でプロの演出家が演出したステージを見て──」

RN「それだけ? 本当に」

P「え……」

RN「今までだって、対戦相手はプロの演出家を使ってきたはずだよね。その相手に私たちはプロデューサーの演出で勝ってきた」

P「……まあ」

RN「それがたった二回、私たちの演出をプロがやっただけでそんな風に感じる?」

RN「私には、プロデューサーがただ自分の演出を卑下しているだけに聞こえるんだけど」

P「……本当のところを言えばそうかもな」

P「凛たちの演出をプロが担当したのは二回だけ。でもその二回とも、対戦したユニットの演出は俺だ」

P「それで、二回負けてる」

遠野「だってそれは、勝敗は演出だけで決まるわけじゃ……」

P「確かにそうだが、演出で負けてたんだよ。一回戦の現場監督とのLIVEバトルなんてまさにそうだ」

P「それにナオキたちの対戦でも、一回戦は俺の見通しが甘かったからナオキの喉を痛めさせてしまったし──」

P「この間の二回戦は俺の演出を三人が完璧にこなして、アドリブで更に良い物にしてくれたのに、それでも、810プロに勝てなかった」

P「決勝トーナメントが始まってから俺の演出がまともに効果を見せたのなんて、多田野たちの一回戦だけなんだよ。それも『物で釣る』なんてしょうもない作戦でさ……」

P「だから俺はもう、自分の演出に自信が持てないんだ。……それに演出の事だけじゃない」

RN「……何?」

P「俺は……俺は、アイドルが知らず知らずの内に成長している事にまったく気付かなかった」

P「多田野、大坊に羽田野。ナオキや夏樹、李衣菜。それに凛も遠野もまゆも全員、俺の見てないところで成長してた」

RN「…………」

P「それに成長に気付かないどころか、アイドルの気持ちまで全然分かってなくてさ」

P(特に李衣菜の事は……)

P「……駄目だろ? こんな奴に演出を任せたら」

MY「ダメじゃありません!」

P「っ、粘るな……なんだよ」

MY「プロデューサーさんは初めから勝たせるために演出を考えてるんですか?」

P「え、そりゃあ……」

MY「まゆの知ってるプロデューサーさんは違います。プロデューサーさんはまず、どんな演出をすれば私たちアイドルが一番輝けるかを考えてるはずです」

P(そうだ、二回戦の前に行き詰まった時も俺は同じ様に考えて……でも)

MY「その演出で私たちが精一杯のライブを出来たなら、例え負けたとしても誰に責任があるっていうんですか?」

RN「そうだよ。プロデューサーだけが責任を感じる必要はどこにも──」

P「必ず勝たなきゃいけないんだよ!」

RN「」ビクッ

P「俺だって本当はやりたい。けどここで負けたら今までの事が全て台無しだ」

P「優勝して必ず事務所を取り戻す……そうだろ? 凛、まゆ」

RN・MY「…………」

P「遠野は遠野で、田所を元に戻さなきゃいけない。そうだろ?」

遠野「…………」

「…………」

P「頼む。分かってくれよ」

RN「分かってくれ……? 分かってくれなんて言う前に、分かってないのはプロデューサーの方だよ!」

P「なっ……何が!」

RN「自分で言った通り、私たちの気持ちを何も分かってない!」

P「…………」

RN「ここまで言って気付かないの? 私はプロデューサーの演出がいい。私は、プロデューサーの考えたライブをやりたい!」

P「っ、それは、分かるけど……」

RN「分かってないよッ、プロデューサーは!」

P「…………」

P(凛がここまで強い口調になったのは初めて見たかもしれない……)

P「まゆも遠野も、そう思うか? 俺の演出でやりたいって」

遠野「…………」ウンウン

MY「はい。でも本当に、どうしてもそうしたいなら、まゆはそれで納得します」

P「そうか……」

P(そこまで言われたら、もうどうすればいいか分からないじゃないか……!)



「話は聞かせてもらったゾ!!!」

バタム!!!

P「み、三浦さん?」

MUR「プロデューサー! これは一体どういう事だゾ!?」

P「どういうことって、いや……」

MUR「いやじゃないゾ! まあ聞いてたから分かるけど!!!」

P「じゃあ聞かないでくださいよ。大体、いつから盗み聞きしてたんです?」

MUR「このレッスンルームは防音が完璧じゃないから、ちょっと大きい音を出すと聞こえてくるんだゾ」

P「だからいつなのだよ?」

MUR「『必ず勝たなきゃいけないんだ!』」

P「そ、そうですか」

MUR「自分のセリフを恥ずかしがるな、ゾ」

P「恥ずかしがってませんから……それでどう口出しする気ですか?」

MUR「プロデューサー、お前をクビにするゾ」

P「は?(困惑)」

RN「ちょ、ちょっと。クビは無いでしょ」

P「そうだよ(便乗)」

MUR「正確に言えば、このまま凛ちゃんたちの演出を降りるなら、クビにするゾ!」

RN「うん、賛成。賛成の人手挙げて」

MY・遠野「」スッ

P「おい!?」

MUR「プロデューサー。プロデューサーならまずアイドルの事を第一に考えなきゃダメじゃないか」

P「だから、そう思って──」

MUR「確かにプロデューサーの中ではそうかもしれないゾ。でも実際、アイドルの気持ちはどうだった?」

P「それは……」

MUR「今のプロデューサーはアイドルの気持ちを考えず、自分勝手な意見を押し通そうとしてるだけゾ。違うか?」

P「…………」

MUR「それに、『自分が演出したら負けるかもしれないから降りる』って? それはただ逃げてるだけだゾ!」

P「…………」

P(何も、言い返すことが出来なかった)

RN「プロデューサー。私たちがまだ完璧なアイドルじゃない様に、プロデューサーだってまだ完璧なプロデューサーじゃないでしょ?」

P「……ああ」

RN「だから気付けなかった事があったり、失敗したりしてもある意味、当然」

MUR「そうだよ(便乗)」

RN「でもプロデューサーは私たちが成長してるって言ってくれた。だったらプロデューサーも、私たちと一緒に成長すればいいじゃん」

P「!」

RN「だからもう、演出をやめるなんて言わないで。私たちと、最後まで一緒に戦ってよ」

P「…………、分かった。俺が間違ってたよ」

RN「……!」パアッ

MY「ふふ、良かったぁ♪」ギュッ

P「うわっ、だからそれやめロッテ!」

MY「ダメです。離しません♪」

MUR「いや~良かったゾ~」

P「あの、すいませんでした社長。情けないところを叱咤してもらって」

MUR「いいんだいいんだゾ。これも社長の役目だからな!」

P(……この人をアイドルから社長に専念させて本当に良かったなぁ)

P「あ、そうだ(唐突)。凛さお前さ」コソコソ

RN「何?」

P「もし、もし万が一負けてイニ義に命を狙われるような事になったらさ、一緒に変身してぶっ飛ばしちまおう。いいな?」コソコソ

RN「えぇ……(困惑) まあ、もしそんな事態になったらね?」

P「よし。サンキュー」トントン

MY「もう、何話してるんですかぁ?」

P「なんでもないよ。にしても剛竜馬の奴遅いなぁ、もう来てもいいのに」

剛竜馬「ショア!」

遠野「わああっ!?」

RN「よ、呼んだら出てきた!?」

P「……さ、レッスン開始だ! 今日はしっかり見ていくからな!」

「はい!」

MUR「俺も見るゾ~これ」


P(長い間考えていた俺の悩みは、アイドル三人と社長の説得で意外とあっさり解決してしまった)

P(しかしアイドルがそれを選択したなら、後は全力で支えるだけだ。残る二戦、脳をフル回転させて最高の演出を考える!)


……
………

P(そして迷いが吹っ切れてからは時間の経つのも早く、準決勝の日がもうやって来た……)

とりあえずここまで

控え室

遠野「スゥーハーァスーハー……」

RN「またいつもの緊張しい?」

MY「大丈夫ですか、遠野ちゃん」

遠野「あ、はい。もう習慣のようなものなので」

P「緊張することで逆に落ち着くんだな」

遠野「不思議ですけど、そうかもしれませんね」

トントン

P「ん? はい、どうぞー」

CER「し、失礼します」ガチャ

P「智絵里!? 久しぶりだな!」

CER「はい、お久しぶりです。あの、えっと──」

カーリー「どうしたもこうしたも無いやろ。わざわざ挨拶に来てやったんや」

P「……カーリー、お前は相変わらずみたいだな」

カーリー「フッ、なんとでも言うんやな。今日は勝たせてもらうで。な、中野くん」

中野くん「どうも、よろしくお願いします」

RN「……はぁ。よろしく」

遠野「よ、よろしくお願いさしすせそ!」

CER「ぷ、プロデューサーさんっ! ……すいません、そういう事を言いに来たんじゃないです」

P「ああ、分かってるから。どうしたんだ?」

CER「はい。あの、改めて……みなさん、あの時は本当にすみませんでした」ペコリ

遠野「あの時?」

P「あの時ね、あの時」※忘れた人は前スレの>>136ぐらいから読んで、どうぞ

RN「別にいいよ。もう気にしてないし」

カーリー「せや。別に謝らんでもええねん」

P「てめえは謝っても許さないけどな」

カーリー「なんやて?」

CER「やっやめてください! 本当に、私が悪いんです……」

MY「そんなに縮こまらなくていいんですよ、智絵里ちゃん」スッ

CER「ひいっ!?」ビクッ

MY「えっ?」

P「おっ大丈夫か、大丈夫か」

CER「ごっ、ごめんなさい……前会った時凄く怖くて、その時の事思い出しちゃって……」

MY「そ、そうですか。何もしないから安心してください」

P(むしろまゆの方こそ、何かされた側だしな……)

CER「あうぅ……」

カーリー「いつまでビクビクしてるんや、もう行くで」

CER「は、はい。それじゃあみなさん、この後はよろしくお願いしますっ」

カーリー「決勝でGOとやるのは俺たちやからな」

ガチャ……バタン

P「言いたい放題だなおい」

RN「決勝で、GOと……ね」

遠野「確か、もう一方の準決勝も今日やるんでしたよね?」

P「ああ。横浜の某会場で、こことほとんど同時刻に行われる。そして準決勝の後、それぞれの会場で同時に決勝の対戦カードが発表されるって寸法だ」

遠野「ということは、先輩が勝ったかどうかはすぐに分かるんですよね」

P「ん、そうですね」

遠野「……あの、先輩たちは勝てるんでしょうか?」

P「どうかな。なんとも言えないが、GO率いる『神×聖』が勝つって予想が大半だろうな」

RN「今は関係ないよ。目の前にある、私たちのステージに集中しないと」

遠野「……そうですね」

P「…………」

P(二回戦でのあれだけのステージをやったとはいえ、俺も正直、卯月たちがGOに勝てるとは思えない)

P(でもあの男なら何らかの策を講じてるだろう。その策が、底の知れないGOにどれ程通用するか……)

某会場 810プロ控え室

MO「……あ~↑、う~↓……うぁ~!」

UDK「ど、どうしたんですか未央ちゃん!?」

MO「ん~? ふわぁ~、あぁ~……」グニャァ

UDK「……もしかして、緊張してるんですか?」

MO「あー言わないでしまむー、気を紛らそうと思ったのに~」

UDK「あっ……はい」

MO「ごめん、しまむーもだよね。当たっちゃった」

野獣「…………」

MO「はぁ~、たどちゃんはこんな時でもクールですな~」トントン

ONDISK「では貴女たちもクールになってみますか?」

MO「ん、プロデューサー。……クールになるって、アレするの?」

ONDISK「ええ。無理にとは言いませんが」

MO「あー、どうしよう。アレって何か変な気分になるんだよね。しまむー、どう?」

UDK「そうですね……やっぱり気持ちを落ち着かせたいですし、お願いしようかな」

MO「じゃあ私も!」

ONDISK「分かりました。では、こちらに」

…………スチャカチッ

通路

スタスタ……

ONDISK「おやおや、こんな所へ一体何の用ですか?」

スタッ

CHR「……見に行くと言ったはずです」

ONDISK「ははは、冗談ですよ。そう怒った顔をしないでください」

CHR「そういう貴方は、わざわざ私のお出迎えをしてくれたんですか? ありがとうございます」

ONDISK「そうですねぇ、では控え室までエスコートして差し上げましょう」

CHR「はぁ、冗談はこの位にしましょう。卯月ちゃんたちの様子はどうですか?」

ONDISK「とても落ち着いていますよ。きっと驚くことでしょう」

CHR「そんなに……? 何か話したんですか」

ONDISK「いいえ、特に何も」

CHR「だったら──」

ONDISK「クク……気になるなら貴女の目で確かめてみてくださいよ、今の彼女達を」

ガチャ

とりあえずここまで

ポポポポポポポポポポ

CHR「これは……!?」

ONDISK「お二人とも、千川さんが来てくれましたよ」

SMMR(UDK)「ア、ちひろサン! 応援しに来てくれたんデスカ?」ポポポポ

CHR「え、えぇ」

HND(MO)「おぉ! ありがとナス!」ポポポポ

SMMR「期待に応えられるようガンバリマス、ガンバリマス……ガンバリ……」

野獣「…………」ポポポポ

ONDISK「田所浩二に付けているのと同じ物を装着しています。まだ調整中ですがね」

CHR「なんてことを……」

ONDISK「貴女は私にこう依頼した筈だ……モバPを倒して欲しい。そのためなら『何でも』していい、と」

CHR「なっ、卯月ちゃんたちの前で何を言ってるんですか!」

SMMR「ハイ? どうしたんですかちひろサン?」

CHR「えっ……?」

ONDISK「大丈夫ですよ。彼女たちは基本的にこちらから話しかけなければ反応しません」

ONDISK「それにゴーグルを着けていた間の出来事はぼんやりとしか記憶出来ないのです」

CHR「そうですか……いえ、そうじゃなく! どうしてこんな物を着けさせる必要があるんですか?」

ONDISK「依頼を遂行するためです」

CHR「確かに私は『何でも』と言いましたが、これは……」

ONDISK「彼女たちの健康に害はありませんよ。それにこれを使ってステージに立たせるのは決勝戦だけですから」

CHR「決勝? 今日のステージでは使わないんですか」

ONDISK「ええ。今装置させたのは彼女達の気分を落ち着かせるため、そして貴女に見せるいい機会だったからですよ」

CHR「……では氷崎さん、あなたはどうやって今日の準決勝に勝つんですか?」

ONDISK「ほう?」

CHR「『神×聖』の人気と実力はあまりに高すぎます。正直、卯月ちゃんたちではまだ……」

ONDISK「では負けてもいいと?」

CHR「そうは言ってません。ですけどもう、モバPさんを倒しても倒さなくても事務所は──」

ONDISK「ちひろさぁん、俺が田所をアイドルに仕立てあげた本当の理由を教えましょうか?」

CHR「…………?」

ONDISK「今日の対戦、そして次のモバPとの対戦で勝つためですよ」

CHR「!? 待ってください、それはどういう」

ONDISK「言葉の通りですが」カチカチ

CHR「なら貴方は一体、いつからこの展開を予想していたんですか」

ONDISK「予想……とは違いますが、いくつかの可能性を想定していただけですよ」カチャ

ピッ,プシュー……

ONDISK「お二人とも、ゴーグルを外してください」

UDK「ハイ,ガンバリマス……あれ、私何を……?」スッ

MO「う~、落ち着いたけどやっぱり変な気分……あれっ、ちひろさん!?」

UDK「えっ? あっ、いつの間に!?」

CHR「私は、さっきからここに……」

MO「そうだっけ? ……確かにそう言われれば」

UDK「そんな気もする、ような」

ONDISK「千川さんは応援に来てくれたんですよ。それよりもう、スタンバイの時間です」

UDK「あ、はい! 行きましょう未央ちゃん、先輩!」

MO「おうともよ!」

野獣「」ポ

ONDISK「貴女達の姿をしっかりと見せてあげてください」

CHR「…………」

────
ステージ

「さあ、実力派の『ミッドナイツサマー・ルードドリーム』と、大躍進の『チェリークローバー』、どちらが勝つのでしょうか!?」

「二曲続けての演奏となります。それではミュージック・スタート!」

~♪

RN・MY・遠野「~♪」

P(演奏曲数が二曲になった事によって、アイドルには体力面での負担が出てくる)

P(長時間のソロライブを経験している凛とまゆは大丈夫だろうが、遠野はまだ不安だ)

P(なので今回は二曲とも、大きな動きのないバラード系の物にした)

P(ダンスの評価はやや低くなってしまうが、凛たちの一番の長所は歌だ。動きの少ない振り付けなら、その長所を一層際立たせることが出来る)

P(一方の智絵里たちは……)


CER『あなたの周り 全て』~♪

中野くん『ハーモニーに変わる……不思議』~♪


P(智絵里がもしかしたらステージ上でもこっちに遠慮してガチガチに……なんて思ったけど、もちろんそんな事は無いな)

P(っていうかこの曲は智絵里のソロ曲なんですけど、それはいいんですかね?)

P(まあユニットで演奏出来る曲が少ないからだろうけど……それは置いといて)

P(曲の種別としてはあっちもバラード寄り。でも歌の上手さならこっちが上だと断言出来るな)

P(だがあちらはダンスにも力を入れているようだ)


CER「~~♪」タッタッ

中野くん「フッ(嘲笑)」シュタタタタタ


P(二人の内智絵里は動きを抑えて、表情と歌で魅せる役。もう一人の中野っていうのが、キレのあるダンスを見せる役か)

P(二人のコンビネーションは凛たちに退けをとらないな)

P(しかしこの中野くん、本当にデビューして数ヶ月の新人か? ダンスも歌もとてもそんな雰囲気じゃない)

P(まあウチのナオキも同じ時期にデビューしてあれだけ成長したんだし、そんな物かもしれないな……)

RN「~♪」

P(バラード曲で観客の反応が小さいから断定出来ないが、今の段階では凛たちの方が優勢か。しかし一曲目で勝負は付かない)

P(勝負は二曲目、カーリーが何を仕掛けてくるか……俺は俺の演出を信じてくれたアイドルを信じるしかない)

短いですがこれまで

iphoneに機種変したらジュエル全部消えた
死ゾ。

────

「GO is GOD!」「GO is GOD!」「GO is GOD!」
ザワザワザワザワザ……


UDK「す、凄い歓声です……」

MO「やばいね……これじゃあ私たちのファンに呼び掛けてもかき消されちゃう」

野獣「キャプチュ……」ポポポ


司会「え、っとGOさん。もう物凄いファンの数ですね!」

GO「凄いね~今までで一番じゃないの?」

司会「そ、そうですね」


MO「司会の人、GOにこの歓声を止めて欲しいみたいだね」ヒソヒソ

UDK「みたいですね。そうしないとライブを始められませんから」ヒソヒソ


GO「どう? ちゃんと聖也のファンも居る? ちょっと教えてよ」

「聖也はGOを守護する大天使!」「神と熾天使に祝福あれ。」
「SIY is Angel」 「GO is GOD!」「GO is GOD!」
ワアアアアアアアア!

GO「良いね、ちゃんと居るみたいだね。聖也」

SIY「あ、はい。みなさんありがとうございます!」

キャーカッコイイー!イキマスヨーイクイク!

「GO is GOD!」「GO is GOD!」「GO is GOD!」

司会「あ、あの……すいませんが……」

「GO is GOD!」「GO is GOD!」

GO「ん、なになに? どしたの」

「GO is GOD!」「GO is GOD!」

司会「そろそろ対戦を始めたいので……」

GO「あ、そういうこと。ごめんね、こっちのがうるさくて」

「GO is GOD!」「GO is GOD!」

GO「んじゃ、まぁ……静かにしてもらおっか」スッ

「GO is────」「………………」

シーン……


MO「右手を振り上げただけで!?」

UDK「これってGOさんだけじゃなくて、ファンの人たちも凄い……?」


GO「じゃあ始めよっか。パパパっと歌って、オワリ!」

司会「は、はいっ! それでは準決勝第二試合『神×聖』vs『SCOOOP!』ミュージック・スタート!」

~♪

MO「ええちょっ、いきなり!?」

UDK「が、がんばります!」

野獣「戊辰戦争……」ポポポポ

CHR「ああっ、卯月ちゃんと未央ちゃん、動き出しがワンテンポ遅れちゃいましたよ」

ONDISK「やはり、少しGOの雰囲気に気圧されている様ですね」

CHR「ようですねって、そんな呑気な」

ONDISK「そう言われましても、ステージで踊ってる彼女達には何も出来ませんよ」

CHR「それは……しかし!」

「GO is GOD」「GO is GOD」「GO is GOD!」

CHR「っ、また歓声が大きく」

ONDISK「仕方ないでしょう。今日のチケットはGOの信者によってほとんど買い占められていますから」

CHR「なんですって……でも、IUのチケットそう簡単に何枚も手に入れられる物では無いですよ?」

ONDISK「彼らはGOのためなら命すら惜しみませんよ。SCOOOPのファンは全体の二割程度と言った所でしょうか」

CHR「そんな……それじゃあもう、このステージの勝負は……」

ONDISK「ちひろさぁん。LIVEバトルの勝敗というものは始めから決まっているんですよ」

CHR「なら貴方には、卯月ちゃんたちが勝つという結果が見えていると……?」

ONDISK「ええ、貴女にもそれが見えるまでどうぞじっくりご覧下さい……」

短いですがここまで

────
~~♪、…………ワアアアアアアッ! パチパチパチパチパチ!ヒューヒュー

P(一曲目が終了した。反応は上々で、両ユニットのパフォーマンスは観客にしっかりと響いたようだ)


RN「……ふぅ」

遠野「はあっ、はぁっ……」

MY「大丈夫ですか? 遠野ちゃん」

遠野「は、はい。このくらいで──」


パチパチパチパチパチ………、~~♪

P(そしてほとんど休む暇無く、二曲目が始まる!)


遠野「っ……!」キュッタッ

MY「イントロですから、焦らずに。遠野ちゃんは歌に集中してください」

遠野「はい。でも……中途半端は嫌です!」タッタッ

MY「ふふ、そうですね。一緒に歌いましょう♪」

RN「二人とも、行くよ……!」

~♪


P(集中を切らさず二曲目に入れたな。体力切れの心配はしなくても大丈夫そうだ)

P(問題は……)

中野くん「本日最後の楽曲となっております」

CER「~♪」ギジッ


P(智絵里の目が人殺し……じゃなくて、チョップを放つ時のような鋭い物になった)

P(曲もクール系のようだし、さっきとは正反対と言っていい印象だ)

シュン

P(! 智絵里たちのスポットライトが消えた? 代わりにレーザーライトがいくつか点いたが、これは……)

……パッ!

P(今度はステージの上から青白い光、これは智絵里たちの衣装が光っているのか!)

P(あの衣装は電飾を施してあるようだ。それが付いたり消えたりして、智絵里たちの姿がはっきりと見えない)

P(どうやら一曲目と二曲目で正反対のステージを行って、ギャップと技術面での評価を受ける狙いらしい)

P(この薄暗いステージは曲調に合ったコズミックな雰囲気を演出しているが、それだけじゃない)

パッ……ピカッ!

CER・中野くん「~♪」チラッ

P(アイドルの姿を細かく見え隠れさせることで、観客の意識を釘付けにしている!)

P(よく考えられているな……やっぱり演出のアイデアっていう点じゃプロには敵わない)

P(でも負けてない点だってある。自分のアイドルがどうすれば輝けるかはプロデューサーの俺が一番よく分かってるはずだ!)

P(演出を降りない事に決めた後、改めて考えた。どの曲なら、どんな衣装なら、どんな立ち位置なら三人の歌をより活かせる?)

P(照明の当て方は? コールは入れるべきか、入れるならどんな物にすべきか……)

P(考えた末の結論は、あの三人の歌に余計な飾り付けは必要ないということ)

P(歌っている時のありのままが、三人の最高の姿)

RN・MY・遠野「~~♪」

P(このまま歌い切ってくれ。その歌こそ他のどんな小細工も比較にならない、アイドルとしての本当の武器なんだ!)

────
「GO is GOD」「GO is GOD」「GO is GOD」…………

UDK「み、みなさーん! 私たちと一緒に、手を叩いてください!」

MO「さん、ハイ!」

「GO is GOD!」「GO is GOD!」「聖也クンカッコイーー!」

GO「もっとおっきな声、ヨロシクゥ!」

ウオオオオオオオオオオオ!!!!

UDK「うぅ……」


CHR「さっきからまったく歯が立たないじゃないですか、氷崎さん!」

ONDISK「そう慌てないでくださいよ。準決勝は二曲演奏されるのですから」

CHR「そうは言ってもこの曲はもう終わってしまいますし、第一」

ONDISK「第一、なんです?」

CHR「GOのLIVEバトルは、対戦ユニットのファンや、審査員……それどころか対戦してるアイドルをも魅入らせてしまうと聞きます」

CHR「それはまるで、洗脳されてしまうかのように……このままでは、卯月ちゃんたちも」

ONDISK「…………」

CHR「何とか言ってください!」

ONDISK「いいから黙って見てくださいよ。視線を俺じゃなくステージに移してほら」グイッ

CHR「……っ」

~♪

UDK(なんだろう、この変な感覚……私たちのファンが誰も居ないみたい……)

「GO is GOD!」「GO is GOD!」

UDK(一生懸命歌っても、どれだけ呼び掛けても、返ってくるの同じ言葉)

「GO is GOD」「GO is GOD」「GO is GOD」

UDK(どうして私、ステージに立ってるんだろう……)

UDK(! 違、私なんでこんなこと……っ)

「GO is GOD」「GO is GOD」「GO is GOD!」

UDK(どうしよう……私、怖いよ……)

パアァァ……

UDK「!?」チラッ

GO『怖がらなくていいんだよ? 素直になっちゃえばいいじゃん』

UDK(えっ……声、どこから……!?)

GO『いいからいいから、もう楽になっちゃおうよ』

UDK(楽になるって……そんな、私……)

「GO is GOD」「GO is GOD」「GO is GOD」

GO『分かるでしょ? 一回で良いからさ、呟いてみなよ』

UDK「…………」

ドクン,ドクン,ドクン…………

UDK「ご……GO、is、ごっ────」

ポポポポポポポポポ!!!!!

UDK「っ!?」

UDK(今のは、先輩さんのゴーグルの音……)

パチパチパチパチパチ!ゴーイズゴッゴーイズゴッゴーイズゴッ……

UDK「あれ、一曲目もう……?」

MO「しまむー大丈夫? 汗凄いよ」

UDK「え、あ、はい……未央ちゃんは大丈夫だったんですか?」

MO「? うん。まあ気はちょっと滅入ってるけど……」

~~♪

MO「さ、後一曲頑張ろ? ……ここで勝って、しぶりんと歌おう?」

UDK「は、はいっ!」

UDK(なんだったんだろう……でも私、完全に意識を……)

UDK(……とにかく、頑張らないと!)

短いですがここまで

CHR「……もう見てられません!」

ONDISK「ふっ、今度は何を言い出すんですか」

CHR「一曲目が終わる直前明らかに卯月ちゃんの様子がおかしかった。貴方にも分かったはずです!」

ONDISK「ええ。件の洗脳を受けていたのでしょう」

CHR「…………」

ONDISK「それだけですか?」

CHR「……貴方はさっきから、何もかも分かっている、最後には自分が勝つという態度をとっていますが、ここからどうするつもりですか?」

CHR「一曲目の評価は『神×聖』が圧倒的有利でしょう、火を見るより明らかです。そしてこれだけの差を二曲目で覆すのは、もうどんな手を使っても──」

ONDISK「そろそろ頃合いという事ですね。始めましょうか」

CHR「始める? 何をですか」

ONDISK「貴女は気づかなかったんですか? 島村卯月が完全に洗脳されるのを止めたのは私ですよ」

CHR「な……!? 一体いつ、何をしたんですか」

ONDISK「先ほど、ステージに居る彼女達に指示は出来ないと言いましたが、こちらからの一方的な『命令』なら出来るんですよ。これを使って」スッ

CHR「それは……ゴーグルのリモコン?」

ONDISK「田所のゴーグルをこれで操作し──」

ポポポポ

ONDISK「この音を島村卯月に聞かせたのですよ」

CHR「それでどうして洗脳が……」

ONDISK「一度ゴーグルを着けた者は、それを付けずともあの音だけで意識をある程度コントロール出来るのですよ」

CHR「ではその音で、GOに飲まれていた卯月ちゃんの意識をリセットしたということですか?」

ONDISK「ええ」ピッピッピッ

CHR「今度は何をするつもりですか。音で意識をコントロールすると言っても、自在に操れる訳じゃないですよね」

ONDISK「……今日、この会場に居るSCOOOPのファンは二割程度と言いましたね」

CHR「は……?」

ONDISK「残りの八割のうち、七割は神×聖のファンです」

CHR「……七割?」

ONDISK「残りの一割は、俺が用意した人間なんですよ……」ピッ

ポポポポポポポポポポポ

────
「そこまで!」

……ワアアアアアアアアアッ!パチパチパチヒューパチパチ!ヒューヒュー

RN「っ、ふうっ、はっ……」スーハー

遠野「ウン……ウーン……」ゼエゼエ

MY「すーっ……よし、よし」サスサス

遠野「す、すいません……」

パチパチパチパチパチ!

CER「はあっ、はぁっ……」

中野くん「」ニコニコ

「審査の結果が出るまでしばらくお待ちください」

P(よく歌いきった! 最後まで息の合った最高のステージだったな)

P(しかし智絵里たちの方も目立ったミスは無かった。単純比較出来ない内容だったし、こうなると勝敗は予測出来ないな)

P(しかしこれなら! いや、でも前はそう思ったのに……)

P(……考えるのはよそう。結果はすぐに出る)

司会「審査の結果が出るまで少しお話を聞いてみましょうか……って」

CER「」スタスタ

RN「?」

司会「智絵里ちゃん?」

CER「あっ、ありがとうごさいました! 渋谷さんたちが対戦相手で本当に良かったです」

司会「どうやら智絵里ちゃんから凛ちゃんに何か話があるようです!」

MY「ちょっと、静かにしててもらえませんか?」

司会「あ、はい」

RN「……どうしたの、まだ結果も出てないのに」

CER「だからこそです。負けても勝っても、きっと私、ちゃんと話せないと思うので」

RN「負けても勝ってもって。普通、勝つ方を先に言わない?」

CER「あはは、そうですね。気弱なのが無意識に出ちゃったのかな……」

RN「そう……(無関心)」

遠野「あ、あのっ! 僕もステージ、楽しかったです!」

CER「えっ? は、はいっ!」

遠野「緒方さんも楽しかったんですよね?」

CER「う、じゃなくて……はい、そうです」

RN「かしこまらなくてもいいよ。じゃあまた、どこかのステージで──」

RN「今度は一緒の曲を歌えたらいいね、智絵里」

CER「……うんっ!」

ヴォー,フゥー! パチパチパチパチ!……

司会「えっと、もう喋ってよろしいでしょうか?」

MY「はい」

司会「あ、はい。それでは審査の結果を発表します!」

ザワザワザワ……

CER「……」ドキドキ

RN「……」ゴクッ

「準決勝第一試合、勝者は────」

────
~♪ ポポポポポポポポ……

UDK「~~♪」

「…………れ!」「が…………れ!」

UDK「!」

UDK(また、声が……)

「頑張れ卯月!」「GOなんかに負けるな!」「俺たちが見てるゾ~」

UDK(さっきと違う。今度は、私を応援してくれる声?)

UDK「……確かめるくらいなら」

スタッ

MO「しまむー!?」

UDK「すぅーっ……会場のみなさ~ん! 卯月に声、もっと聞かせてください!」


「うおおおおおおおおおおおお!!!」「卯月! 卯月! 卯月!」


UDK「はい♪ ありがとうございます!」

MO「しまむー、これって……」

UDK「未央ちゃんにも聞こえました!?」

MO「う、うん! さっきまで全然だったのに凄い歓声」

UDK「お客さんはちゃんと私たちを見ててくれたんです!」

MO「よーし、そうと分かればもっと素敵な未央ちゃんをお見せしよう!」

UDK「はいっ!」

ワアアアアアアアアアッ! 卯月ー!

「GO is GOD」……

CHR「二人の動きが見違えるほど良く……また意識を操っているんですか?」

ONDISK「いえ。俺はただ、かき消されていた歓声を彼女達の耳に届けただけです」ピッピッ

ポポポポポポポポ

CHR「その音でどうやって?」

ONDISK「俺が用意した観客の一部はステージの最前列に居ます。彼らが頑張って応援しているだけですよ」

ONDISK「ただ、彼女達はまるで会場中から歓声が飛んできていると錯覚しているでしょうがね」

CHR「……結局それは、二人を操っているという事じゃないですか」

ONDISK「そうでしょうか? 耳掃除をしてあげたぐらいの感覚ですがね」

CHR「…………」

ONDISK「それに、そろそろ現実にその大きな歓声が聞こえてくるはずですよ」

CHR「…………」

ONDISK「おや、反応が薄いですね。さっきから信者の声が小さくなっていた事にはさすがに気づいていましたか」

CHR「……もう驚くのも疲れてしまいましたよ」

「is GOD……」「GO is……」

GO「ん?」

「GO is not GOD!」

GO「なに?」


野獣「Target CAPUTUERED……」ポポポポポポポポ

野獣「戊 辰 戦 争」ポポポポポポポポ


「EMURATED!」「EMURATED!」
「EMURATED!」「EMURATED!」


GO「……」スタスタ


「野獣!」「野獣!」「Virtual SEX!」


野獣「……」ポポポポポポポポ

GO「……何をした?」

野獣「ダルビッシュ」

GO「お前────」

野獣「チュ……」
パキッ


「そこまで!」


ワアアアアアアアアアアアア!
「SCOOOP最高!」「もう一度聞きたいぜ。」「SCOOOPが一番! ラブアンドピース!」


UDK「みなさーん、応援ありがとうございます!」

MO「しっかり全部届いてるよ~!」

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!

とりあえずここまで

「それでは、審査の結果が出るまでしばらくお待ちください!」


CHR(GOの信者が、手のひらを返した様に卯月ちゃんたちに声援を送っている?)

CHR「一体どんな手を使えば、こんな……」

ONDISK「信者にも島村卯月と同じ事をしたんですよ」

CHR「同じ事? 意識の操作、ですか。しかしそれが出来るのは、ゴーグルの装着経験のある人物だけじゃなかったんですか?」

ONDISK「ゴーグルを着けた人物の意識と、GOに洗脳された人物の意識。これは同じなんですよ」

CHR「……?」

ONDISK「平たく言えば、二つの洗脳は同じ原理という事です。つまり、洗脳された信者はゴーグルを着けた人物に等しいのです」

CHR「! そして、貴方が用意した一割の観客を使って信者を操った……」

ONDISK「ええ。舞台上で敵わない相手なら、舞台の外で勝負を着けてしまえばいいのです」

CHR「よくこんなとんでもない事を思い付きましたね……ですが、ここまで差が埋まる訳ではありませんよ? 果たして勝てるのでしょうか……」

ONDISK「勝ちますよ。確実に」

CHR「何故言い切れるんです?」

ONDISK「LIVEバトルの審査には明確な基準がありません。所詮は審査員の印象で全てが決まるのです」

ONDISK「確かに一曲目の時点では完敗でしょう。しかしここに至って、SCOOOPは圧倒的な差を覆した」

ONDISK「通常起こるはずの無い、相手ファンからの惜しみ無い歓声……審査員の目にどう映るでしょうか?」

CHR「それだけの根拠では……」

ONDISK「クク、気づいてくださいよ。GOのステージは審査員までも魅入らせると、貴女が言ったじゃないですか」

CHR「!」

CHR(審査員が洗脳されてしまえば、後は意識を操れる……!)

ONDISK「もう、お気付きですね? ではそろそろ、信者の洗脳を解除しますか。神と崇めた男が負けたとき、彼らはどんな姿を見せるのでしょう」ピッピッ

CHR(本当に……最初からこの人の頭の中で、全てが完結していた……)

────
司会「えーまもなく、もう一方の試合が行われている会場に繋がる、はずなのですけども」

ザワザワザワ……「あくしろよ!」「帰れねえんだよ!」

司会「はい、はい……え? 繋がった。はい! 中継が繋がったようです!」

ワイワイガヤガヤガヤ!

P(いよいよ、か……)

司会「えーそれでは、決勝の舞台で『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』と戦うのは……こちらのユニットです!」


デデドン!(SE)


『ワアアアアアアアアアガアアアアアアアアア!!!』『GO is GOD!』『GO is GOD!』


P(な、なんだ!?)


『ステージに物を投げないでください!』『皆さん落ち着いて!』ドガッドガガドンガラガッシャーン!

『神が負けるはずがない!』『うわああああああああああ!!!!』


バキッ、ザーーーーッ……プツッ


P(機器の故障かスタッフの判断か、中継はすぐに途絶えた……)

P(途絶えるまでに見えた映像は、観客席からステージに押し寄せるGOの信者たち)

P(客席から投げ込まれた何かや、ステージ上で叫び狂う者も映っていた)

「…………」

P(理解出来ない映像に会場は静まりかえっている……)


遠野「ど、どういうことですか、これ!?」

RN「……分からない、けど」

遠野「けど……?」

RN「多分卯月たちが……SCOOOPが勝って、神×聖が負けたんじゃない、かな」

MY「どうなんですか?」クルッ

司会「え? ぁあ、はい。こちらに入った情報によりますと、準決勝第二試合の勝者はSCOOOPとのことです」

ザワ……

RN「ねえ、卯月たちは大丈夫なの? 滅茶苦茶な事になってたけど」

P(さっきの中継映像では、卯月たちやGOの姿は見えなかったが……)

司会「え、っと。それは把握出来てませんね……」

RN「把握出来てないって、ケガでもしてたらどうするの!」

司会「は、はい。すいません……」

RN「……っ、ごめんなさい。私も、動揺してた」

MY「凛ちゃん……」

司会「え、えーと。それでは、決勝の対戦カードは『ミッドサマーナイツ・ルードドリーム』vs『SCOOOP!』に困ったということで────」


P(たどたどしい進行と重たく物々しい雰囲気の中、準決勝は終了した……)

控え室

P「よし、みんなお疲れ様! いいステージだったぞ」

「…………」

P「なんだどうした、もっと喜べよ。って、難しいか……」

遠野「いやあの、もちろん嬉しいんですけど。なんというか、それが吹き飛んでしまったような」

P「まぁ、俺も見てたから分かる。いきなりあんなもん見せられたら、な」

P(俺はその光景に驚いたというよりかは、GOが負けたって事が衝撃的だったが)

MY「凛ちゃんも気にしてましたけど、本当に大丈夫でしょうか、卯月ちゃんと未央ちゃん」

P「大丈夫だよ。中継映像で姿が見えなかったって事は、早めに舞台裏に下がったって事さ」

RN「……うん、そうだね。いつまでもここで気にしたって仕方ない」

P「ああ。対戦相手の心配なんてしてる暇は無いぞ、決勝までの期間は長くないんだから」

RN「分かってる。絶対に……勝たなきゃいけないから」

P(決勝戦は12/24、クリスマスイブ。本家のIUと同時に行われる、今年最後のアイドルの祭典だ)

P「と言っても今日は疲れたでしょう。どうぞお茶でも飲んで、ゆっくり休んでください」

RN「何その口調……」

チェリークローバー控え室

CER「うぅ、ひっぐ……」シクシク

カーリー「落ち着いたか?」

CER「はい……ぐすっ」

カーリー「智絵里は偉いで。ここに来るまでちゃんと、我慢したんやから」

CER「……っ、プロデューサーさんのおかげでここまで来られたのに、私、ぐすっ、私のせいで──」

カーリー「ええんや!」

CER「!?」ビクッ

カーリー「なんで智絵里が責任を感じる必要があるねん。今日負けたのは智絵里のせいでも、ましてや中野くんのせいでもない……俺のせいなんや」

CER「そんなことっ」

カーリー「もうええ言うてるやろ。負けたら全部、プロデューサーの俺が責任取らなアカンねん。分かる? この罪の重さ」

カーリー「……だからな、すまんかったわ」スッ

CER「プロデューサーさん……」

中野くん「」ニコニコ

カーリー「ええねん、もう……」

CER「……これで終わりじゃありません!」グイッ

カーリー「な、なんや……泣きじゃくってたと思ったら元気になって」

CER「IUのトーナメントは、三位決定戦があるって聞きましたっ」

カーリー「そういえば、そうやったな……GOも負けたそうやから、対戦相手はあいつやな」

CER「優勝はもう、出来ないけど……またステージに立って、三位になることは出来ます!」

カーリー「……せやな、分かった。俺に最後のチャンスちょうだい。GOを倒して、三位になるで!」

CER「はいっ!」

中野くん「…………」

810プロ控え室

CHR「二人とも、本当に大丈夫ですか?」

UDK「はい。司会の方が私たちを庇って、舞台裏まで誘導してくれたので」

CHR「それならいいんですけど、急いで戻ったなら、知らない内にどこか打ったり、擦りむいたりしてるかも」

UDK「だ、大丈夫ですよ。本当」

CHR「……分かりました。どこか痛みが出たら、すぐに言ってくださいね」

MO「ちひろさん、ちょっと過保護じゃない? その割には、私としまむーばっかりでたどちゃんの心配はしてないし」

UDK「そうですよ(便乗) 先輩、今は医務室に居るんですよね?」

CHR「ええ。でも向こうはプロデューサーさんが見てますから」

MO「ん~、まあ、あの人とたどちゃんなら大丈夫な気がするけど」

UDK「未央ちゃん、まだどんなケガかも分からないんですから」

MO「あ、そうだね……もちろん心配してるよ」

CHR「……じゃあ少し様子を見てきましょうか。二人は疲れてると思いますじから、ここでゆっくりしててください」

UDK「ありがとうございます。お言葉に甘えて、お願いします!」

CHR「はい。ステージ、お疲れさまでした」ガチャ,バタン

物陰

野獣「アーウ、アァ……」

カチャカチャ

野獣「アァ! ア!(スタッカート)」

ONDISK「やはり完全に壊されている、か。何事にもイレギュラーは起こるものですね」

ONDISK(GO、やはり彼はただの人間ではないな……あまり敵に回したくない男だ)

野獣「アーイキソ、アイキソ……」

ONDISK「完全に自我を取り戻す前に眠ってもらいましょうか」

ドカッ!

野獣「アー、アー……」バタッ

ONDISK(これはしばらくこちらで管理しなければならないが、ゴーグルの修理も島村卯月達の調整も間に合う。問題はない)

ONDISK「さて……」

スタッ

CHR「医務室に居るんじゃなかったんですか? 探すのに苦労しましたよ」

ONDISK「……ちひろさん。何の用ですか?」

CHR「まず、そちらの田所の容態は」

ONDISK「フッ、大袈裟ですね。俺が気絶させたんですよ。ゴーグルの修理の間は、適当な場所に繋いでおいてください」

CHR「繋いで、って……まるで犬のような扱いですね」

ONDISK「犬は止めてくださいよ、飼い犬に手を噛まれるという言葉がありますから」

CHR「……もうひとつ」

ONDISK「おやおや、少しはジョークに付き合ってくださいよ」

CHR「貴方はこの大きな会場の、一割にも及ぶ人間とチケットをどうやって用意したんですか?」

ONDISK「無視ですか」

CHR「答えてください」

ONDISK「ははは、あんなものは例えですよ。SCOOOPのファンが二割程度なら、神×聖のファンが7割程、俺の用意した人間が一割程というだけです」

CHR「は……? しかしそれでも、何百という数の──」

ONDISK「貴女が気にすることではありません。領収書がそちらに届くような事はありませんのでご心配なく」

CHR「……では、最後に。貴方は決勝も、今日の様な方法で勝つつもりですか」

ONDISK「まさか。これはGOが洗脳を得意としていたから出来た事ですよ」

CHR「なら、どのような手段で勝つと?」

ONDISK「手段? 長々と説明するような手段も作戦もありませんよ。ただ真正面から、堂々と撃ち破るだけです」

CHR(ゴーグルのような物を用意しておいてよく言う……でも、この人の言葉に嘘はない)

ONDISK「ククク、モバPはどう俺の予想を裏切るでしょうか。楽しみですねちひろさぁん……」スタスタスタ

CHR(きっと今日の様に、予めこの人の頭の中で全てが計算され、完結している……)

とりあえずここまで

二日後 事務所

P(決勝までちょうどあと二週間か)カタカタ

P(ただでさえ演奏曲数が三曲に増えるのに、レッスンする時間は今までより少ない)カタカタ

P(仕上げが間に合うかはともかく、体調を崩さないか心配だな……今年の冬は寒いし)カチカチ

MUR「あっ、そうだプロデューサー(唐突)」

P「はい。なんですか」

MUR「今日でちょうど決勝の二週間前だゾ!」

P「ハハァ……分かってますよ」

MUR「準決勝は行けなかったけど今度は絶対応援行くゾ~」

P「そうですね。関係者席が結構用意されてるみたいですし、見てあげてください」

ガチャ

RIN「おはようございまーす!」

MUR「おっ、李衣菜ちゃん。おはようだゾ」

P「おはよう李衣菜」

RIN「プロデューサーさん! 決勝戦、ちょうど二週間後ですよね!」

P「……うん、それもう分かってるから」

RIN「それで私、決勝戦はやっぱり見に行きたいですけど……その日の予定ってどうなってますか? 」

P「ああ、その日は仕事があるな。アイドルがクリスマスイブに休み取るなんて甘いぞ?」

RIN「う……やっぱりそうですか……」

P「……でもその仕事っていうのは、IUが始まる前のスペシャルライブステージだよ」

RIN「えっ!? わ、私のステージですか!?」

P「正確にはロックザビーストのな。多田野たちも出るぞ」

RIN「ええーっ!? ちょっといきなりじゃないですか!?」

P「まぁそれは気にするな。とにかくその日の仕事はそれだけにしたから、決勝戦は問題無く応援出来るよ」

P(本来は三位決定戦が行われる予定だった。しかし、準決勝でGO信者が起こした騒動を受けて決勝との同日開催を避け、決勝の一週間前に別の会場で行われる事になったのだ)

RIN「くぅ~っ、やったー! 決勝戦はみんなで応援出来ますね!」

MUR「お、そうだな!」

P「本当急な話だけど、これのおかげで他の仕事を入れなくて済むし良かったよ」

RIN「そうですね。……じゃあプロデューサーさん、そろそろ行きましょうか」

P「ん? イクって何に?」

RIN「やだなーもう、私この後ラジオの収録ですよ! みくちゃんと!」

P「あ、そうだっけ。いやいや忘れてないぞ!」

RIN「うっそだー、今忘れてましたよー」

P「忘れてないんだよ(半ギレ) ……じゃ三浦さん、ちょっと行ってくるんで後はよろしくお願いします」スッ

MUR「あっ、待って欲しいゾ!」

P「あぁん……(レ)」

MUR「今日多田野は来ないのか?」

P「多田野? はい、今日はオフですけど」

MUR「そっか、分かったゾ」

P「何か伝える事があれば、代わりに電話かメールしておきますけど」

MUR「あ、いいゾいいゾ。明日直接渡すから」

P「渡す……? まぁ、そういう事なら。じゃあ行ってきます」ガチャ

RIN「行ってきまーす」バタン

ブーン……

RIN「…………」

P(そういえばあの旅館で話を聞いてしまった事、まだ話せてないな……)

P「り、李衣菜。あのさ」

RIN「はい?」

P「いや、えっと……まぁ……」

P(何恥ずかしがってるんだ俺は! これを知ったら、李衣菜の方が何倍も恥ずかしくなるだろうに!)

P(でも一体、何を言えばいいのか……単に独り言を聞いてしまったと言うだけじゃ何も解決しないし)

RIN「あの、どうしたんですか?」

P「あぁいやなんでも、うん。やっぱりなんでもないよ」

RIN「……? 変なプロデューサーさん」

P(なるべく早く話はしたいが、まだ時間はある。慌てんなよ……慌てんな)

P(李衣菜を送ったら、イニ義の所に顔を出そう……)

イニ義事務所

イニ義「よう、兄ちゃん。姉ちゃん達がレッスン中みたいだが、見に行かねえのか?」

P「それは後から見に行く。今日はまあ、決勝がそっちの思惑通りの組み合わせになった事を報告しに来たんだよ」

イニ義「聞いてるぜ。後は810プロをぶっ倒すだけだな」

P「……ああ」

イニ義「フッ、固くなるなよ。お前ならやれるぜ」

P「戦うのは俺じゃなくてアイドルだよ」

イニ義「そのアイドルってのはお前が居てこそじゃねえのか? 俺はそう思うがな」

P「そ、そうか? まぁ……そうかも」

タカダキミヒコ「全く、貴方たちはいつになったら言葉遣いを直すんですか?」グイッ

P「えっ? あ、すいません」

イニ義「いいと言ってるだろうが、引っ込んどけ」

タカダキミヒコ「……はい」

イニ義「そうだ兄ちゃん、これをやろう」スッ

P「……スタドリ?」

イニ義「ウチで作った栄養ドリンクの試作だ。よく効くぜ」

P(ウチで作ったって、ヤクザって商品開発までするのか?)

P「んー。いや、遠慮しておくよ」

P(何が入ってるかも分からないし)

イニ義「おいおい、決勝戦を控えてる兄ちゃんに怪しいモンは飲ませねえよ。ちゃんとした飲み物だぜ?」

カシャ,ゴクゴクゴク……

イニ義「~ッ、効くぜ……!」ギッ

P(うおっ、なんか体が一回りデカくなったように見えるぞ。こいつは本当に効くかもな)

P「でも……やっぱり遠慮するよ。こういうのはちひろさんがくれるスタドリだけにしてるんだ」

イニ義「ちひろォ?」

P「ああ。……そういえば810プロを倒したとしてその後、お前はちひろさんをどうするつもりなんだ?」

イニ義「消す」

P「なっ……」

イニ義「兄ちゃんも相当恨みが溜まってるんじゃねえのか? それとも、昔の同僚にはやっぱり情があるってか?」

P「そりゃ、よくも裏切ったなとは思うよ。けどモバプロを追い出されてから今日まで、そんな悪い事ばかりじゃなかったからさ」

イニ義「それとこれとは関係ねえじゃねえか」

P「まぁ、そうだけど……」

イニ義「フッ。千川ちひろを消すかどうかは、お前が810プロを倒した後にまた話してやるぜ」

P「そうか、頼むよ。じゃあ俺はレッスンスタジオの方に行くので、また」

イニ義「ああ、頑張れよ」

ガチャ,バタン

P(……なんか前と比べて優しい気がするな、決勝前だからか?)

P(しっかし、イニ義はどうしてちひろさんをそこまで……確か取引がどうとか、ん? なんだっけ?)

P(もうすぐイニ義とも縁を切らないといけないし、その辺もはっきりさせとかないとな……)

とりあえずここまで

レッスンスタジオ

P「どーもこんちわっす」ガチャ

MY「プロデューサーさん! 来てくれたんですね」

P「おう。今はなんだ、休憩か?」

RN「うん、ちょうど今休憩に入ったところ」

P「あちゃー。折角だから動いてる所を見たかったんだが、タイミングが悪かったな」

剛竜馬「ショア! ショアシャア!」

遠野「えっ? 立て、ってことですか?」

剛竜馬「ッシャー!」

P「いやいやいや、ちゃんと休憩させてあげてくださいよ。俺は時間の許す限り見ていくつもりで──」

ヴーッ,ヴーッ,ヴーッ

P(メールの着信だ)pipi

P「あー……悪い、ちょっと李衣菜を迎えに行ってくる。すぐ戻るから!」タッタッタッ

RN「他に仕事があるなら別に無理しなくても、って聞いてないし……」

遠野「慌ただしい人ですね」

MY「レッスン、見てもらいたかったです……プロデューサーさんと私たちの都合は中々合わないですから」

遠野「すぐに戻るって言ってましたから、大丈夫ですよ」

RN「どうかな。そんなにすぐ行き来出来ないだろうし、レッスンはあと30分だけだし……」

遠野「それでも、また次の機会があります。あと二週間もあるんですから」

RN「って言っても、こうして三人一緒にレッスン出来る時間はそんなに多くないけどね」

遠野「う……なんですかもう」

RN「ごめん、別に突っかかろうとしてるんじゃないよ。ただ、余裕があるなんてことは無いと思うから」

MY「遠野ちゃんもそれは分かってますよ。ね?」

遠野「はい。特に僕が、二人の足を引っ張らないようにしないと行けませんから……」

RN「えぇ、まだそんなこと思ってるの? 遠野だってもう立派なアイドルだよ。私とまゆの足を引っ張るなんてこと無い」

遠野「でも、僕はまだ……」

MY「ふふ。遠野ちゃんは、優勝して日本一になるまでは未熟だと思ってるんですよね?」

遠野「ええっ!? 日本一って、そういえば確かに、次勝ったとしたら日本一……」

RN「あんまり実感無いよね。それが一番の目的だった訳じゃないし」

MY「実感も何も、まだ日本一じゃありませんよ凛ちゃん」

RN「分かってるよ。言葉のあや!」

MY「はぁい、ごめんなさい♪」

遠野「……になったら」

RN「え?」

遠野「日本一になったら、分かるかもしれません……僕が、本当にアイドルなのかどうか」

RN「いや、だから遠野はもうとっくにアイドル──」

遠野「そうじゃないんです! そうじゃ……」

RN「じゃあ、何?」

遠野「いや。なんというか、えっと、説明出来ないんですけど……」

MY「自分の中だけにある感覚なんですよね。それなら、確かめるしかないですよ」

RN「そうだね。日本一になって確かめなよ、自分がアイドルなのかどうか」

遠野「はっ、はい! すいません!」

RN「なんで謝ってるの?」

遠野「え? あれ、なんで……」テレ

MY「うふふ、かわいい♪」

遠野「何言ってんすか、やめてくださいよホントに!」

剛竜馬「ショア!!!」

遠野「ほら、変な事言ってないでレッスンしましょう。はいはい!」スタタタ

RN「……あんなに照れたっけ?」

MY「恥ずかしいんですよ、きっと」

翌日

ブーン……

P(IUの決勝T進出で爆発的に増えた仕事もこの頃落ち着いて来たとはいえ……忙しい時はまだまだてんてこ舞いだな)

P(結局、昨日は凛たちのレッスン見られなかったし)

パッ

P「あー赤信号だよ……ここ妙に長いんだよなぁ」 キーッ

P(そういえば昨日三浦さんが言ってた多田野への何か、もう渡したのかな。気になる……)

P(多田野の予定は……雑誌のインタビューが入ってる。近くの喫茶店で受けるから自分で行くって言ってたけど……)

P(まだ事務所に居るよな。よし、急いで戻ろう)

P(インタビューの件、やっぱり俺も付き添いするから事務所に居てくれ……と)pipi

ピーーーーッ!

P「ひっ! な、なんだ!? 事故か!?」

「おいゴルァ!とっとと行け!」

P「ヤベーッ、とっくに青信号だ! 俺だって時間は惜しいよ!」グッ

ブゥーン!……

事務所

P「」ガチャ

MUR「おおプロデューサー。おかえりだゾ」

P「あ、はい。ただいま、っと多田野! 良かった、ちゃんと居るな」

TDN「ええ。しかし、別にプロデューサーさんが付き添わなくても自分一人で大丈夫ですよ」

P「まま、それはちょっと置いといて。まだ時間もあるし座っててくれ」

TDN「? はあ」スッ

P「……三浦さん」コソコソ

MUR「おっ、どうしたんだ?」

P「もう渡したんですか? 多田野に」

MUR「???」

P「昨日自分で言ってたでしょうが! 鳥頭!」

MUR「あっ、そっかぁ(池沼) 多田野ー、ちょっと来て欲しいゾー」

TDN「……?」スタスタ

MUR「これ、何か分からないけど何故か事務所に届いてたゾ」スッ

TDN「書留? ……これは!?」タッタッタッ

P「あっおい、多田野!」

P「ちょっと社長、一体どこから来た物だったんですか?」

MUR「ん? あそこだゾ。多田野が昔居た、ハーイッタ!ーズ」

P「ファイターズ!? なっ、内容は!?」

MUR「知らないゾ~、まずは本人に見せないと」

P「うっ、まぁそりゃそうですよね」

P(球団からの書留、それもわざわざ事務所に送ってくるなんて一体……)

TDN「…………」スタスタ

P「多田野! なんだったんだ中身は?」

TDN「…………」

P「おうあく言えよ」

MUR「俺も気になるゾ」

TDN「…………ピッチングコーチコーチにならないかという打診でした」

P・MUR「ファッ!?」

P「ちょっとそれ見せろ!えーと……」

P(書面には、多田野を一軍のピッチングコーチ補佐として迎えたいという旨の事が長々と書いてあった)

P(なんとアイドルを続けながらでも構わないという破格の条件である)

P(そしてこの書類はとりあえずオファーを伝えるためだけの物で、後々面倒な事にならないよう、本人に直接ではなく事務所を通したらしい)

P(多田野が前向きな意志を見せれば、また直接交渉するという……)

P「なんだよこれ、アイドルやりながらでも構わないって」

三浦「形だけコーチにして客寄せに使おうって事か?」

TDN「……かもしれません。ピッチングコーチの補佐というのはあまり無い事ですし、自分のような人間をいきなり一軍のコーチというのも」

P「日ホモはやる事が汚いな」

TDN「あくまで可能性があるだけです。それに、アイドルを続けるかどうかは僕が選べます」

P「多田野、お前この話受けるのか?」

TDN「…………」

DB「フッ、いい話じゃないか。コーチでもなんでもなっちまえよ」

TDN「大坊!」

P「お前いつから聞いてたんだよ!?」

DB「最初からだ! ……羽田野の影響で最近俺まで影が薄くなって来たぜ」

HTN「ウィヒ!」

P(羽田野も居たのか……)

MUR「コーチになればいいって、どういう事だ?」

DB「いい機会なんだよ。お前は野球の道に戻れ。そして俺は……アイドルを引退する」

P「は?(困惑)」

TDN「お前、いきなり何を言ってるんだ!?」

DB「IUに負けて分かったんだよ。俺個人にはアイドルとしての長所も、人気も! 全く無かったってな……」

P「あぁん、なんで?(レ)」

DB「お前はよく分かってるはずだ、プロデューサー。俺個人の仕事量は他の奴に比べてどうだ?」

P「それは、確かに……少ないが」

P(事務所の九人の中では、羽田野より下で一番少ない……)

DB「この前までは元祖羞恥心に居て、多田野人気にあやかって仕事もあったが……今やこのザマだ」

P「だからってどうして引退するとか、多田野にはコーチをやればいいとか、そういう話になるんだよ!」

MUR「そうだよ(便乗)」

DB「もう限界なんだよ。これ以上続けても、俺はもう上へは行けない」

P「いやまだ無理か分かんないだろ! 俺がどうにか──」

DB「お前はもう出ていくだろうが!」

P「あ……」

DB「多田野に野球の道へ戻って欲しいのも本心だ。何故俺や羽田野まで巻き込んでアイドルになろうと思ったのか知らんが、お前は一生野球を続けるべきなんだよ!」

TDN「大坊……」

DB「……とにかく、そういう事だ。じゃあな」スタスタ

P「おい、ちょっと待てよ!」グィッ

TDN「プロデューサーさん!」ガッ

P「っ、なんだ多田野」

TDN「この問題は、全て自分に任せてくれませんか」

P「何?」

TDN「以前自分と大坊が少し喧嘩した時は、プロデューサーさんが草野球で仲直りさせてくれましたよね」

P「あぁ、そんな事もあったな」

TDN「だから今度はプロデューサーさんの手を借りず、自分自身で向き合う必要があると思うんです」

TDN「大坊とも、自分の将来とも……ましてや、プロデューサーさんは今自分たちに構っている余裕は無いはずです」

P「……悪いが、言ってしまえばそうだな」

TDN「ですから、任せてください。付き合いは長いですから、何とかなります」

P「そうか、分かった。じゃあ一つだけ聞かせてくれ」

TDN「はい」

P「このコーチ打診、今の時点ではどう思ってる?」

TDN「……ファイターズは日本に戻った自分を指名してくれた球団ですから、恩を感じています。コーチをやる事には抵抗はありません」

TDN「それに遅かれ早かれ、アイドルを引退した時はまた野球の道に戻ると決めていました」

TDN「ですが……今言える事は、アイドルとコーチを両立する選択はないということだけです。どちらの道を選ぶかは、これから決めます」

P「……そうか。もうすぐプロデューサーじゃ無くなる俺が言えることじゃないかもしれないが、悔いの無いようにな」

TDN「はい!」

P(今まで何の疑問も無く続いていたことが、少しずつ変化しようとしている)

P(もうすぐやってくる大きな変化を前にして、それぞれ、もう自分の進む道を決めているのだろうか)

P(ここから離れる前に、それだけは確かめておく必要があるな……)

とりあえずここまで

ライブハウス

~♪

NTK「~~~ッ!」

ワアアアアアァァァァ!

NTK「最高だったぜ! 聞いてくれてありがとな!」

パチパチパチパチ……


……
………

控え室

ガチャ

P「お疲れ。観客席の方から見てたけど、良かったよ」

NTK「あぁ、袖に居ないと思ったら客席に居たのか」

P「たまには違う視点から見たかったからさ」

NTK「そうかい。……アタシも、今日のステージはよく出来たと思ってたんだ」

P「そうかそうか。ロックンローラーなら、周りの評価より自分の感覚を信じるべきだよ」

NTK「ははっ、確かにそうだな。最近はライブに限らずどんな仕事でもノって出来てるんだ。この感覚を信じて突き進んでくよ」

P「オッスお願いしまーす! ……それでさ」

NTK「? ああ」

P「変な事聞くけどさ……」

NTK「なんだよ。何か分からないけど、スパッと言いな」

P「……俺が事務所から出ていった後は、どうするつもりなんだ?」

NTK「アンタが出てった後? そんなの決まってるさ、このままアイドルを続けるよ」

P「そ、そうか。そうだよな」

NTK「……環境の変化には慣れてるんだよ。アタシが前に居た事務所は経営難で、担当プロデューサーがコロコロ変わったりしたからさ」

NTK「それに、今アイドルを辞めるなんて考えられない。仮に364プロが潰れたとしても、アタシはどこかでアイドルを続けるよ」

NTK「アタシをここまで大きくしてくれたモバPさんに応えるためにも、さ」

P「……ああ、よく分かったよ。ありがとう」

P(少しずつ変わる者も居れば、変わらず信念を貫く者も居る。か……)

NTK「けどなんで今こんな事聞くんだ? 明日居なくなる訳でもないだろう」

P「んー、まぁ思い立ったが吉日ってことだよ」

NTK「ははは、だりーをバカに出来ないな」

「…………」

NTK「おっと、今は居ないんだったぜ」

P「本人が居ない所でイジると陰口にもなるから……やめようね!」


……

トントン

「……? はい」ガララ

シーン

「???」スッ

P「ワッ!」グイッ

KMR「うわあっ、プロデューサーさん!?」

P「悪い悪い。ビックリさせたのと、こんな夜遅くに来たのとで二回悪いね」

KMR「いや、どうしていきなり部屋まで……呼び出してくれれば寮の玄関で話せましたよ」

P「立ち話じゃナンだからさ。管理人さんに部屋の場所を聞いて、こうして乗り込んだわけ」

KMR「はぁ……じゃあどうぞ、あがってください。お茶もありませんが」

P「お邪魔しまーす」

P「空手部の寮なんだけっか? ここ」

KMR「ええ。今は部活にほとんど出てないですから、本当は出ていくべきなんですけど」

P「三浦さんが強引に引き留めてるんだっけ?」

KMR「人気アイドルが一人暮らしは危ないとの事で」

P「うーん、三浦さんと二人暮らしの方が危ない気がするんだが……」

KMR「いやぁ、はは……」

P「実際襲われた事あるだろ? ホモだよなあの人?」

KMR「……ノーコメントで」

P「それもう襲われた事あるって認めてないですかねぇ」

KMR「それより! 世間話をするためにわざわざこんな時間に訪ねてきたんじゃないですよね?」

P「すまんすまん、もちろん違うよ。今のうちに、この先の話をしておこうと思ってな」

KMR「この先? アイドル活動の事ですか」

P「……具体的に言えば、俺が居なくなった後のな」

KMR「プロデューサーさんが居なくなった後……そう言われても、何もありませんよ」

P「つまり、このままってことか?」

KMR「それはどうでしょうか。何か変わる事があるかもしれません」

P「どっちだよ」

KMR「今は何とも言えませんよ」

P「何でもいいんだ。例えばソロ活動を中心にするとか、歌メインでやってくとかさ」

KMR「どうしてそんなに急いで決める必要があるんですか(正論)」

P「え……」

KMR「確かに、プロデューサーさんが居なくなる事に覚悟をしておく必要はあると思います」

KMR「でも実際にその出来事を経験しないことには、その後どうするかなんて僕にはとても決められませんよ」

P「……そうか。すまん、なんか焦ってたよ」

KMR「いえいえ、あくまで僕がそういう考え方なだけですから」

P「意外だな。ナオキは前もって色々決めるタチかと思ってたよ」

KMR「普段はそうかもしれませんが、アイドルに関してはもう一人の自分が勝手に色々決めちゃいますから」

P「多重人格か何か?」

KMR「本当、ステージに立っている時の僕には困りますよ。大ざっぱで、後先考えず喉まで痛めるんですから」

P「でも後悔はしないだろ?」

KMR「……ええ、もう一人の僕がする事は大胆で、いつも気分が良くなります」

P「それって、普段抑えてる感情が爆発してるって事なんじゃないか?」

KMR「そんな。それじゃあステージに立っている時の僕が本当の僕になってしまいますよ」

P「そっか、そりゃそうだな。じゃあ違うか」

KMR「……一概に否定することは出来ないかもしれません」

P「いやどっちやねん!(レ)」

ガサーッ

MUR「おい木村ァ! 帰ったゾ……って」

P「あっ」

KMR「三浦さん。お帰りなさい」

MUR「なんでプロデューサーが居るんだゾ!!!!!」

KMR「え、ここに来る事話してないんですか?」クルッ

P「き、聞いたらすぐ帰るつもりだったからさ。電話で『今日はそのまま帰ります 』って」

P(三浦さんの帰ってくるのが予想外に早かったな……)

KMR「えぇ……」

MUR「どういうつもりだ! 答えろ!」

P「やだなぁ社長、ちょっと話を聞いてただけですよ」

MUR「は? それでなんでわざわざここに来るんだ?」

P「ここに来ちゃいけないんですかねぇ……」

MUR「開き直ったな、もう呆れたゾ。まさか……プロデューサーが自分のアイドルに手を出す人種だったとは」

P「おい。あのさぁ、人をホモ扱いしないでもらえません?」

KMR「三浦さん、プロデューサーさんは本当に話を聞きに来ただけですよ」

MUR「木村ァ! 正直に話していいんだゾ!」

KMR「いや、ですから……」

P(その後誤解はすぐに解けたが、晩酌に付き合わされ帰るのが無駄に遅くなってしまった……)

とりあえずここまで

翌日

P「ふあぁあ、おはようございます……三浦さん?」

シーン

P(あれっ、居ないのか……?)

遠野「おはようございます」

P「おぉ遠野。今日は早いな」

遠野「ぁ、あの、実は──」

P「社長知らないか? 鍵開いてるってことは居るんだよな」

遠野「あ、いえ居ませんよ。多分僕が最初に来たと思います」

P「あれ? じゃあ鍵はどうやって開けたんだ、持ってないよな?」

遠野「出入口なら開いてましたけど……」

P「は?(困惑)」

遠野「社長、そこのコンビニにでも買い物に行ったんじゃないですか?」

P「どうかな……」

pipipipipi!

P「うおっ、丁度着信が来たぁ!」ピッ

P「もしもし? 今どこに居るんですか?」

MUR『今起きたゾ。部屋だゾ』

P「は?(威圧)」

MUR『木村が……木村が起こしてくれなかった。とにかく急いで行くから、事務所に居て欲しいゾ』

P「はぁ、今事務所なんでそれはいいですけど。なるべく早く来てくださいよ? ……それはそうと、昨日誰が戸締まりしたんですか? 鍵開いてたそうですけど」

MUR『あっ(池沼)』

P「あのさぁ……戸締まりだけは本当にちゃんとしてくださいよ」

MUR『ゴメンだゾ……それじゃ』pi

遠野「忘れてたんですか? 戸締まり」

P「まぁ、社長も色々大変だから多少の失敗はね?」

遠野「多少だといいですけどね」

P「ハハァ……すぐに来るから、それまで事務所に居てくれってさ」

遠野「それでプロデューサーさん。あの」

P「ん? あぁ、そういや何か言いかけてたな。どうした?」

遠野「今日は、プロデューサーさんに相談したい事があって早めにきたんです……」

P「相談? おう、何でも言ってくれよ」

遠野「じゃあ、あの……途中で誰か来て聞かれちゃうと恥ずかしいので、移動ませんか?」

P「遠野が気になるならそうしようか」

遠野「じゃあこっちに……」スタスタ

P「ん。今は誰も居ないんだからさ、歩きながら話せよ」

遠野「……プロデューサーさんは、僕が立派なアイドルだと思いますか?」スタスタ

P「は?(困惑) それってどういう……」

遠野「えっと……あ、ここに座りましょう」スッ

P「あく話せよ」

遠野「僕はなんというか、未だにアイドルになりきれて無いような気がするんです」

P「なんで?」

遠野「僕にとってアイドルは……目的じゃなくて、手段だったから」

P「田所を取り戻すための、か」

遠野「はい。……そんな僕は、本当にアイドルなんでしょうか」

P「お前なぁ、それじゃあ凛やまゆもアイドルじゃない事になるだろ。事務所を取り戻すためにIUに出てるんだから」

遠野「いえ! お二人がアイドルを始めた理由は……知らないんですけど、とにかく、僕みたいに何かの手段として始めた訳じゃないですよね。だから違いますよ」

P「うーん、凛はともかくまゆは……グレーだな」

遠野「え、そうなんですか……いや、とにかく二人は違います! 僕だけが不純なんです」

P「……あのさぁ、動機が不純でも今は立派にアイドルしてるって、それ一番言われてるから」

遠野「そ、そうですか? 本当に?」

P「そうだよ(肯定) お前今まで、レッスンしてる時もステージに立ってる時もずっと『これは先輩を取り戻すため! それだけ!』なんて思ってたのか?」

遠野「それは……違いますけど」

P「だろ? レッスンが辛いとか、ステージで歌うのが楽しいとか、自分のステージをたくさんのお客さんが見に来てくれて嬉しいとか──」

P「そういう気持ちがあったなら、遠野はもう立派なアイドルだよ」

遠野「…………」

P「納得できないか?」

遠野「いえ……プロデューサーさんの言うことを信じます、僕はアイドルの事なんて何も知らないですし──」

遠野「僕の中には確かに、ステージで歌うのが楽しいという気持ちがありますから!」

P(言われずなくても分かるさ。ステージに立ってる遠野を見れば……)

P「これで悩みは解決か?」

遠野「はいっ」

P「そりゃあ良かった。でもわざわざ俺に相談しなくたって、凛やまゆに相談すれば同じ事を言ったと思うぞ?」

遠野「二人にこんなことを言ったら失礼かと思って……でも遠回しに話したら、次勝って日本一になったら分かるんじゃないかと言ってくれました」

P「おっ、それは正しい。あのデカい会場で沸き立つ観客を見たらもう、自分がアイドルじゃないなんて言えないだろうよ」

遠野「……はい!」

P(遠野は普段の仕事と決勝の事でいっぱいっぱいだろうし、それからの事を聞くのはよそう……)

P「ってか結局、誰か来る前に話が終わっちゃったじゃないか」

遠野「それで良かったんですよ」

P「まぁ誰かっていうか、社長にさっさと来てほしかったの! 事務所出られないじゃないか!」

遠野「ほんの少し前電話があったばかりですって。予定があるなら、僕がここに居ますよ」

P「そうか? じゃあもう少ししても来なかったら頼むよ」

遠野「はい」


……
昼下がり

P「ただいま戻りましたー」ガチャ

MUR「おかえりだゾ」

P「…………」ジッ

MUR「わ、分かってるゾ。ちゃんと気を付けるから」

P「……いつもナオキに起こしてもらってるんですか?」

MUR「自分で起きてるゾ。さっきは、とっさに言い訳しちゃって」

P「もう、晩酌もほどほどにしてくださいね」

MUR「ポッチャマ……そういえば、手に持ってる袋はなんだ? 弁当?」

P「あ、はい。今日は昼飯ゆっくり食えそうなんで、そこのコンビニで適当に」

MUR「それならどこかお店で食べてくれば良かったのに。領収書をくれればお金は出すゾ」

P「外で食べるにしても、ちゃんと自分で払いますって。それに今日は、三浦さんと話しながら食べたかったんですよ」

MUR「おっ、嬉しいこと言ってくれるな~」

P「まあ、昨日の話の続きですよ」

MUR「昨日? ごめん、酔っててちょっと記憶が曖昧なんだ」

P「……俺がモバプロに戻った後の364プロの事ですよ」

MUR「あぁ……俺昨日何か言ってたか?」

P「いえ、返答しようとした所でぐっすりダウンしちゃいましたよ」

MUR「そうか。うーん……」

P「…………」

MUR「とりあえず食べるといいゾ」

P「あ、そうですね。いただきまーす」パチッ

MUR「……多分変わらないと思うゾ。プロデューサーの代わりを雇って、今まで通り仕事を続ける」

P「そうですか。社長自身がアイドルに戻るとかは考えてないんですか?」モグモグ

MUR「いやぁ~社長っていう椅子に慣れちゃったからなぁ~」

P「ハハァ……」

MUR「世の中社長兼アイドルっていう凄い人も居るみたいだけど、俺には無理だな」

P「そうですか。じゃあ──」パクッ

MUR「ん?」

P「ゴクッ。……もし、この364プロをモバプロに吸収合併したいって俺が言ったらどうしますか?」

MUR「えっ?」

P「あくまで仮定の話ですから、あまり本気にしないでくださいね。でも、社長が今後もずっと俺と仕事したいなら本気で考えます」

MUR「いやぁ、それはどうだろうな……あっ! もちろんプロデューサーと仕事がしたくないって話じゃないゾ」

P「分かってますよ」

MUR「この364プロにも色々な思い出あるからなぁ……でも、その思い出の中にはプロデューサーが居るし……」

P「……難しいですよね。いきなり聞いちゃってすいません」

MUR「ゆっくり考えさせて貰うゾ。アイドルの気持ちも尊重したいから」

P「ええ。本気で合併するとなると色々複雑ですし、モバプロの方が受け入れてくれるかも分かりませんから」

MUR「そうだな~。……難しい話はこの辺にしよう、箸が止まってるゾ」

P「あ、はい。食べます食べます」パクパク

MUR「次は何の話する? 好きなゲイビデオ俳優の話か?」

P「ブーーッ! 食事中にそういう話はしませんし、俺はゲイビデオなんて見ません!」

MUR「あっ、そっかぁ……(池沼)」

とりあえずここまで

P「…………」モグモグ

MUR「何でも良いから話そうよ~暇だゾ~」

P「暇ってアナタ仕事中でしょうが……」モグモグ

MUR「話しながらの方が効率良いんだゾ~」

P「じゃあ、んーとそうですねぇ……あ」

MUR「おっ、何か思いついたか?」

P「話題っていうか質問なんですけど、三浦さんたちはどうしてアイドルになろうと思ったんですか?」

MUR「あぁ、そういえばまだ話してなかったなぁ」

P「教えてくださいよ。元はと言えばそこから始まったんですから」モグモグ

MUR「でも大した理由じゃないゾ。あれはモバプロのオーディションを受ける一週間前──」

P「ちょっと待って! 一週間前? うせやろ?」

MUR「いや、本当だゾ」

P「オーディション受ける一週間前に志したって衝動的過ぎやろそれぇ!」

MUR「誰しもきっかけは唐突で衝動的なものだゾ」

P「ん、そうですね(納得) それで一週間前に何があったんですか?」モグモグ

MUR「とあるアイドルのステージを見に行く機会があって、そこで『あっ、これしかない!(エ)』って思ったんだゾ」

P「へえっ!?」

MUR「それで鈴木と木村も巻き込んでオーディションに応募したんだゾ~」

P「(行動力)ありますねぇ!」

MUR「理由は大したことないけどやる気は大有りだったんだゾ~。オーディションの時の『LOVE TOGETHER』は覚えてるだろ?」

P「確かにアレは素晴らしかったですね。……しっかし、田所とナオキはよく付き合ってくれましたね」

MUR「最初は先輩命令で強制ゾ」

P「やっぱりな♂(レ)」パクパク

MUR「でも鈴木はオーディションに向けて練習始めた時からはノリノリ立ったし、木村も今では立派なアイドルだから分からないものだゾ」

P「逆に社長は今じゃ社長ですからねぇ」

MUR「今はこれが天職だと思ってるゾ。社長に専念させてくれたプロデューサーに感謝だな」

P「いやそんなこと……そうだ、そのとあるアイドルっていうのは誰なんですか? ステージを見たっていう」

MUR「ん~? 実はな……凛ちゃんなんだゾ!」

P「それは本当か!?」

MUR「だからモバプロのオーディションに応募したし、アイドルを辞めて社長に専念したんだゾ」

P「今さっき俺に感謝だなとかぬかしてませんでしたかね……」

MUR「ホントの決め手は凛ちゃんの『アンタは裏方に回れって事だよ』だゾ」

P「そう……(無関心)」モグモグ

MUR「でも凛ちゃんと働けてるのはプロデューサーのおかげだからやっぱり感謝してるゾ~」

P「もうすぐ、それも終わりですけど……」

MUR「ポッチャマ……」

P「……すいません、最後に辛気くさくなっちゃいましたね。今の話、凛本人にもしてあげてください。珍しい照れ顔が見られるかもしれませんよ」

MUR「おっ、それは是非見たいな」

P「ん……それじゃあごちそうさまでした」スタッ

MUR「もう行くのか。ゆっくり出来るんだろ?」

P「ゆっくり出来るといっても、食べ終わったのに雑談してる暇はありませんよ」

MUR「そうか~、まだ今度飲み行こうな」

P「今度にしてくださいよ、今度に。んちゃ」

MUR「にょろん」

P(これでみんなから話を聞けたかな? あとは……)

HTN「ウィヒ!」

P「羽田野。今もう出るから準備してくれ……ん? 羽田野……」

HTN「?」

P「羽田野!!! すっかり忘れてた!」

HTN「???」

ヴゥーン……

車内

P「さっきはいきなりデカい声出して悪かったな」

HTN「ん」

P「それでさ……昨日多田野へのコーチ打診の話を聞いてお前はどう思った? 大坊と同じで賛成か?」

HTN「何とも言えん。本人がそうするなら止めないけど」

P「そっ、そうか……プククっ、っぅず、くふっ……」

HTN「は?(威圧)」

P「いや……お前が突然まともな会話し始めるとちょっと笑えて。ごめんごめん」

HTN「さすがに失礼だぞ」

P「ごめんって。話を戻すが、もし、多田野が辞めたとしてもお前はアイドルを続けるのか?」

HTN「それも……何とも言えない。分からない」

P「そうか……」

HTN「……大坊の言ってた事はある意味その通りだと思う」

P「なに?」

HTN「アイドルとしての長所も個性もない、それは俺も同じだから」

P「何言ってんだ。長所はともかく個性ならお前も大坊も十分持ってるぞ」

HTN「どんな?」

P「お前は影が薄い! ってか空気!」

HTN「今さら言われなくてもわかってるわ」

P「これは普通においしい。バラエティとかで『居たのかよ!?』とかなんとかイジって貰えるからな」

HTN「もう何度もイジられてる。アンタらにな」

P「お、そうだな。あと強風も起こせるし。自分でパンチラ演出出来るぞ」

HTN「しない」

P「冗談。んで大坊、あいつは卑屈でビビりじゃないか」

HTN「それ個性か?」

P「ポジティブな個性とは言ってないからな」

HTN「役に立たない個性は無いも同じだろ」

P「勘違いすんなよ。個性が役立つんじゃなくて、お前自身が個性を役立たせるんだよ」

HTN「!」

P「ホモとハサミは使いようって言葉があるだろ。どうすれば自分の個性を活かせるか、それを考えるんだよ」

HTN「……」

P「それで考えぬいてどうしても無理なら新しい個性、キャラを自分で作る事だって出来るじゃないか。まあ俺はあまり好まないけど」

P「悪い、説教みたいになっちまったな。まあ何が言いたいかっていうと──」

HTN「まだ続くのかよ」

P「じゃあ一人言だから聞きたくなきゃ耳塞げ。……ここで終わ「ゴオオオオオオオオオ!!!!」

P「轟音やめろ! やっぱ聞けお前!」

HTN「ウィヒッ」

P「俺個人としてはここで終わって欲しくないんんだよ……お前にも大坊にも。まだまだ伸びしろはあるんだからさ」

HTN「……本当か?」

P「もちろん。実際成長出来るかは別として」

HTN「なら何とでも言えるじゃないか」

P「そうだな」

HTN「そうだな、って……」

P「これ以上は何も言えないよ。後は自分でゆっくり考えてくれ」

HTN「下手だぞまとめ方(空気)」

P「悪かったな。つーかこの話、本当は大坊にもしたかったなぁ……でも多田野が何とかするらしいしな……」

HTN「…………」

P「ま、お前たちの事にはこれ以上口を挟まないから、三人で上手くやっていけよ」

HTN「……ん」


P(これで後は、李衣菜だけか……)

とりあえずここまで

翌日

キーンコーンカーンコーン

……

RIN「~♪」スタスタ

ガヤガヤガヤガヤ

RIN「今日も学校楽しかったな~、早く帰って宿題しなきゃ」

ザワザワザワ……

RIN「……? なんだろ」

「校門の所になんか変なヤツ居ね?」「肛門?」「あのさぁ……」ザワザワ

RIN「あっ、ねえねえ! その人どんな人? どの辺にいる?」

「そこに立ってるから行けば分かるだろ」「スーツ着てるし誰かの親じゃねえの?」

RIN「そっか、ありがとね!」スタスタ

「……今の多田李衣菜じゃねえの?」「ウチに通ってるんだっけ?」
「握手してっつったらしてくれるかな?」「サイン貰っとけばよかった……」

クルッ,タッタッタッ

RIN「お礼!」ギュッ

「えっ、おっ、あっ(勃起)」「俺もして欲しいけどなー」「こっちも頼むよー」

RIN「はいどーぞ。キミも? はい。サインはまた今度してあげる! ちょっと急ぐから、ごめんねー!」タッタッタッ

「手が洗えないじゃないか(歓喜)」「アーイキソ」「感動しました。みくにゃんのファンやめます」

RIN「えーと……あ、やっぱり! プロデューサーさん!」タタタッ

P「おう李衣菜。よく分かったな」

RIN「なんとなーくそんな気がして。それでどうしたんですか、急にお仕事が入っちゃったとか?」

P「そうじゃないけど……今からちょっと時間あるか?」

RIN「もちろん! 大丈夫ですよ」

P「オフなのに悪いな。じゃ、車そこに停めてあるから乗ってくれ」

RIN「はーい。事務所に行くんですか?」ガチャ

P「いや」ガチャ,バタン

RIN「それじゃあイニ義さんの所?」パチッ

P「いいや。ベルト閉めた?」パチッ

RIN「はい。……じゃあどこに?」

P「二人きりになれる所」

RIN「へー、二人きりになれる所……ってううぇえっ!?」

ギギギッ,ブゥーン……

RIN「っふふ、二人きりになれる所ってどこですか……?」

P「どこかなぁ。あまり人目に付かない所がいいけど」

RIN「え、や、あの。もしかして……」

P「ん?」

RIN「も、もしかしてからかってます?」

P「まさか! 真面目な話をしたいんだよ」

RIN「はっ、はいいっ! えーっと、二人きりで話すなら車の中でも良いんじゃ?」

P「……確かに。盲点だった」

RIN「えぇ……」

P「まぁ運転しながら話す事でもないからさ」

RIN「そうなんですか? 一体何の話……?」

P「…………」

RIN「た、楽しい話ですか? それとも悲しい話ですか?」

P「どっちかと言えば悲しい、かな」

RIN「……まさか私、干されちゃうとか?」

P「いや全然! そのレベルまではいかないから安心してくれ」

RIN「は、はい」

P「ただまぁ、李衣菜が恥ずかしい話かな」

RIN「私が恥ずかしい話!? なんですかそれ!」

P「それは着いてからのお楽しみということで……」

RIN「悲しい話ですよね!? 楽しめませんから!」

河川敷

P「ここなら今の時間人も通らないしいいだろう」

RIN「……でもちょっと寒くないですか?」ブルッ

P「夕陽を背に座って語らうなんてロックだろ?」

RIN「確かに! ロックですね!」スタッ

P「よし。じゃあ、話すぞ」

RIN「は、はい」ゴクッ

P「俺さ……聞いちまったんだ。あの時」

RIN「あの時? 何を、ですか?」

P「……二回戦で旅館に泊まった時、夜中李衣菜が一人で話してたこと」

RIN「二回戦って……あっ!? やだっそれ、あぁっ私えっと、うわぁ~もう何言って、もうぅ……っ」カァァ

P「ごめんな。本当は起きてたんだ」

RIN「うぅ……全部、聞いたんですか……?」

P「……」コク

RIN「ーーーーっ!」モジモジ

P「おっ大丈夫か、大丈夫か」

RIN「大丈夫じゃないですよ……なんで今更こんな……」

P「本当にすまん。中々言い出せなかったんだ」

RIN「言い出さなくて良かったんですっ! 心の中に、閉まっておいてくれれば……」

P「そういう訳にはいかないよ。あの時『悩んでる』って言ってたじゃないか。アイドルが悩んでるなら、それに向き合うのがプロデューサーだ」

RIN「それにしては向き合うのが遅くないですか?」ジト

P「ハハァ……」

RIN「……それにもう、私の中では解決しちゃってますよ。その悩み」

P「うせやろ?」

RIN「嫌だ嫌だってゴネても何も始まらないですから。もうあんな事思ってませんよ」

P「……本当に大丈夫なのか?」

RIN「むしろ燃えますよ! これからはプロデューサーさんも凛ちゃんたちもライバルですから!」

P「そうか。自分で答えを出せてたんだな、偉い偉い」

RIN「偉いえらーい、って! そんな褒め方だと私が子供みたいじゃないですか!」

P「みたいっていうか子供じゃないですかね」

P(それよりノリツッコミが段々上手くなってないか?)

RIN「17ですよ17! 褒めるならもっとロックな褒め方でお願いします」

P「そ、そうか。考えとく……」

P「そういえば三浦さんとも話してたんだよ」

RIN「うえええっ! 社長にまで話しちゃったんですか!?」

P「あ、李衣菜が一人言してた事じゃなくてその内容の方。俺が居なくなった後どうするかとか、移籍がどうとか」

RIN「良かった……ぜーったい、他の人には内緒にしてくださいね!」

P「分かってるよ。でも誰かに聞いて欲しかったんじゃないのか? 声に出してたってことは」

RIN「否定出来ませんけど、とにかく内緒なんです! ……プロデューサーさんには 一番聞かれたくなかったですよ」

P「まぁ夜眠れなかったからね、しょうがないね。それで、三浦さんにも李衣菜が言ってた事を色々聞いてみたんだけどさ」

RIN「はい」

P「まだはっきりと言えないけど、もしかしたら364プロがモバプロに吸収合併とか、そういう話になるかもしれない」

RIN「……え?」

P「今の事務所に思い入れはあるけど、俺とまた仕事するのも悪くないって。アイドルの気持ちを尊重したいとも言ってたから、李衣菜から言えば──」

RIN「やめてくだざい!」

P「え、何だよ。どうかしたか?」

RIN「そういう話は……しないでください」

P「?」

RIN「やっと、気持ちに踏ん切りがついたのに……そんなこと言われたら期待しちゃうじゃないですか」

RIN「それでやっぱりダメだったら、また悲しくなっちゃいますよ……」

P「そうか、別にそんなつもりじゃなかったんだが……すまん」

RIN「いいんです。プロデューサーさんは好意で言ってくれたの、分かりますから」

P(踏ん切りが付いたって言ってたけど、やっぱりまだ辛い気持ちがあるんだろうな……)

RIN「もう暗くなってきましたね」

P「ああ。本格的に寒くなってきたし、そろそろ(車の)中入るか」スッ

RIN「はい。……プロデューサーさん、私思うんです」

P「ん?」

RIN「今はちょうど冬ですから、辛い事や悲しい事を耐えなきゃいけない時期。春になればまた、いろんな出会いや楽しいことがあるって」

P「……うん」

RIN「だから私、頑張って耐えます。プロデューサーさんも、たまにでいいですから……応援してくださいね」

P「当たり前やん! モバプロに戻ったって毎日応援してやるよ」

RIN「やったぁ!(エ)」ピョン

P「そうそれ。その元気があれば、なんでも耐えられるよ」

RIN「……なんか聞いたことありますよそれ~? 元気があればなんでも出来る! って」

P「いい言葉だからね、(パクるのも)しょうがないね」


ガギギギッ,ブゥーン……

P「このまま家まで送るよ」

RIN「ありがとうございます。プロデューサーさんは時間大丈夫なんですか?」

P「大丈夫だから今運転してるんだよね」

RIN「意地悪」ムスッ

P「ごめんごめん。今日の夜は特に仕事無いんだよ」

P(と言いつつ、本当は事務を社長に押し付けて来たんだけど)

RIN「そうなんですか。じゃ、じゃあ良かったらご飯でも──」

P「あっそうだ!(唐突) 他にも李衣菜に聞いておきたい事があったんだよ」

RIN「は、はい……なんですか?」

P「イニ義の事だ。そもそもなんで李衣菜はわざわざあいつの事務所へ頼みに行ったんだ?」

RIN「頼みに行ったって、レッスンスタジオを探してた時の事ですか?」

P「ああ。あいつがヤクザってことは知ってたんだろ? いくら自分が前居た場所とはいえ、ちょっと無茶だったんじゃないか?」

RIN「また今更な事をですねー。私のおかげであそこが使えるようになったんじゃないですか!」

P「別に責めてるんじゃないって。ただどうしてあそこを選んだのかと思ってな」

RIN「……実は893プロが潰れた時、私や多田野さんはイニ義さんに会ってるんです」

P「それは本当か!? その時のこと、詳しく聞かせてくれ」

RIN「分かりました」


……
………

893プロ

RIN「ねえっ、出ていけってどういうこと!? ここ、私たちの事務所だよ!」

「うるせえよ。黙って言うとおりにしろ」

RIN「なっ、何の説明も無しに!」

「あぁ?」ギロッ

RIN「ひっ……」

TDN「李衣菜さん、ここはとりあえず大人しくしておきましょう」

RIN「う、うん。分かった……多田野さん、社長から何か聞いてない?」ヒソヒソ

TDN「実は留守電があったんです。時間は昨日の深夜二時頃」ヒソヒソ

RIN「本当!? なんて言ってたの?」ヒソヒソ

TDN「残念ながらメッセージは何も入っていませんでした。ただ……」

RIN「ただ……?」

TDN「銃声のような乾いた音が二三度、聞こえました。そしてその直後に留守電は切れてます」

RIN「う、うそ……私たち、大丈夫かな……」

TDN「もしかしたら、今すぐにでも出ていった方ががいいかもしれません」

RIN「絶対そうした方がいいよっ、行こ!」スタタタッ

TDN「り、李衣菜ちゃん!」

ガチャ,ドサッ!

イニ義「あぁ……?」

RIN「ひいっ! ごごごめんなさいっ!」

イニ義「…………」ニィッ

RIN「え……?」

イニ義「悪りい、見えなかった。大丈夫か?」スッ

RIN「は、はいぃ……」スタッ

イニ義「ここの事も急な話で悪いと思ってるが、言うとおりにしてくれよ。姉ちゃん」

タカダキミヒコ「兄貴ぃ、こんな奴らに悪びれる事ないですよ」

イニ義「馬鹿野郎! この姉ちゃん達は何も知らねえんだ、ひとこと言っておくのががスジだろうが」

タカダキミヒコ「……はい」

TDN「貴方たちが新しくこの事務所を使うんですか?」

イニ義「あぁそうだ。お前らの社長サンは田舎へ帰ったよ」

RIN「田舎って……そんな急な」

TDN「ひとこと言っておくのがスジだと仰いましたが、それならば事情をしっかり説明するのが本当のスジじゃないですか?」

イニ義「そいつは無理だぜ、兄ちゃん。大人の事情ってヤツだ」

RIN「そんな……そんなこと!」

TDN「……では、自分たちの処遇について社長は何か言ってましたか?」

RIN「多田野さん!」

TDN「李衣菜ちゃん。もう、この先の事を考えた方がいい」

RIN「…………」

イニ義「お前らの処遇? 知らねえな、何処でも好きな所に行けばいいぜ」

RIN「何処へでもって……」

TDN「なら行きましょう。羽田野! お前も来い」

HTN「ウィヒ!」

RIN「多田野さん、私たちに行くところなんて……」

TDN「一つだけ心当たりがあります。そこに賭けてみましょう」

RIN「え? う、うん。分かった」

TDN「……それでは」ペコッ

イニ義「ああ、達者でな」

TDN「…………」ガチャ,スタスタスタ

RIN「……」スタ──

イニ義「姉ちゃん」スタッ

RIN「はっ、はぃっ」

イニ義「もしもそのアテってのが外れたり、移った先で困った事があったらここに来な。少しなら力を貸してやる」

RIN「え……」

イニ義「いいな?」ギッ

RIN「っ!」ブンブンブンブン

イニ義「よぉし。行っていいぜ」

RIN「あ、ありがとうございますっ」タタタタタッ

………
……

P「その言葉を信じて、レッスンスタジオを貸してもらえないか頼みに行ったんだな」

RIN「はい。怖いけど、そんなに悪い人じゃないのかなって」

P「なるほど分かったよ。お話ありがとナス!」

RIN「役に立ったなら何よりです!」

P「でも、これからはこういう怪しい奴にホイホイ相談したらダメだぞ。ああいう事言われても、ロックでもな」

RIN「はーい。気を付けます」

P「ん。……この辺で降ろしていいか?」

RIN「もう近いから大丈夫ですけど、プロデューサーさん、この後予定ないんですよね?」

P「この後? いや、事務所に戻るよ。事務作業を手伝わないといけないから」グッ

ブゥーン……キキィ

RIN「……そうですか。頑張ってくださいね!」ガチャ

P「おう! じゃ、また明日な」

RIN「はい!」

バタン,ブゥーン……

P「……」

P(今のところは利害が一致してるから協力しているが、IUが終わった後はどうなるか……)

P(もう少し探りを入れてみないとな)

早朝

カーリー「…………」カタカタカタ

ピーン……ポーン……(ねっとりインターホン)

カーリー「ハァ。誰や、こんな時間に……」スタスタ

ガチャ

中野くん「」ニコニコ

カーリー「中野くん!? どうしたん一体、ここ事務所とちゃうで!? 俺の家やぞ?」

中野くん「はい。分かってます」

カーリー「ままええわ。どうぞどうぞ、上がってください」

中野くん「お邪魔しまーす」スタスタスタ

カーリー「汚いけどその辺座ってな。お茶でも飲むか?」

中野くん「お構い無く」

カーリー「そうか。ホンマにどうしたんや?急にこんなとこ来て」

中野くん「…………」

カーリー「なんや、もしかして眠れなかったんか? 今日はいよいよ三位決定戦やしな」

中野くん「……はい、今日が楽しみで眠れませんでしたよ」

カーリー「楽しみで!? うせやろ? さすが中野くんは言うこと違うなぁ」

中野くん「……」

カーリー「中野くんはホンマよくできたアイドルやなぁ。智絵里とは大違いや」

中野くん「……」

カーリー「……ま、せやから今日もちゃんと智絵里を支えてやってください」

中野くん「……」

カーリー「頼むで、GOを倒して三位はいただきや!」スッ

中野くん「フッ(嘲笑)」

パシッ

カーリー「……中野くん?」

中野くん「……」

カーリー「なんや、握手じゃなくてハグの方が良かったか? ハハハ」

中野くん「……」

カーリー「なんや……変やで中野くん。熱でもあるんやないか?」スッ

中野くん「触らないでくれますか」バシッ

カーリー「!?」

中野くん「……僕は今までずっと、お前のセクハラ行為を我慢して来たんですよ」

カーリー「な、中野くん……?」

中野くん「しかしもうお前のようなクソホモの下で働くのはゴメンです。出張アイドルは今ここで辞めさせてもらいますよ」

カーリー「ど、どういうことやそれ! 俺の事、嫌いやったんか?」

中野くん「お前の事が好きな奴なんてこの世には居ない」

カーリー「なっ……それならせめて、今日の三位決定戦だけでも──」

中野くん「フッ(嘲笑)、冗談はよしてくれ。そんな義理はない」

カーリー「契約はIUが終わるまでやったはずや! 辞めるにしてもなんで、なんで今やねん!」

中野くん「ステージ当日の今止めた方がお前は苦しむからですよ」

カーリー「なんやて……?」

中野くん「……今から、俺が受けた苦しみを何倍にもしてお返しします」スッ

カーリー「中野く──」

ドカッ!

カーリー「っ!? ぁ、が……」グラッ

中野くん「僕が以前調理師をしていたのは知っていますよね。……では更にその前は何をしていたか、ご存知ですか?」

カーリー「な……んや……?」

中野くん「ゲイポルノ俳優」

カーリー「は、はぁ……ヤってみいや……」

中野くん「言われなくても」スッ

ドカッ,ガッ,ガッ……パンパンパンパン!!

……
………

短いですがここまで

多分最初からそうだと思うんですけど(名推理)



午前9時 イニ義事務所

ガチャ

RN「あ、おはよ。プロデューサー」

P「おはよう……ってか随分と早いな、もう来てるって聞いて驚いたぞ」

RN「他にする事もないから。それにもう三十分前だし、そんなに早くもないよ」

P「そうか、まぁオーバーペースにならないようにな」

RN「大丈夫。二人が来るまでは軽い準備運動だけにしておくから」グッグッ

P(凛たち三人は今日、休憩を挟みながら夕方までずっとレッスンの予定だ)

RN「……そもそもプロデューサーだってもう来てるじゃん」

P「俺? 俺はプロデューサーだから早く来なきゃダメだろー」

RN「早く来ても、私たちが居なかったらどうせレッスンは見れないし、意味無いんじゃないの?」

P「あっ、そっかぁ……(池沼) 細かい事はいいんだよ! とにかく今日はほぼ付きっきりで居るからな!」

RN「うん。三曲とも仕上げるつもりでいくから、気になる所があったら何でも言って」

P「ん? 今何でも」

RN「するとは言ってないからね」

P「ちっ……」

RN「何の舌打ちなの……」

P「そういえば、凛に一つ聞きたい事があったんだよ」

RN「何?」グッグッ

P「イニ義の事だ。そもそも、あいつらはどうして俺たちにここを貸してくれたんだ?」

RN「それ、前に話さなかった?」

P「いや、もう大分前の話だから忘れちゃって……」

RN「はぁ……(クソデカため息) まず、私とプロデューサーがモバプロを辞めた時、364プロに行く前にここに来たのは覚えてる?」

P「それは覚えてるよ。イニ義はその時、ちひろさんと繋がってたんだっけか」

RN「そう。ここに私たちが来たら連絡して、出来れば足止めして欲しいって頼まれてたの」

P「それがどうしてこうなったんだ?」

RN「まだ話は終わってないよ。その後ちひろさんはイニ義に報酬のお金を払わなかった、それでイニ義の恨みを買ったんだよ」

RN「私たちに810プロを倒して欲しいのは、直接ちひろさんに手を出すと裏の取引? が消えて色々面倒になるから。……イニ義の話はこんな感じだったと思う」

P「なるほど……」

RN「っていうか、私に聞かなくても本人に聞いてくれば良かったんじゃない?」

P「あ、確かに。こりゃうっかりしてた」

RN「えぇ……」

P「しかしちょっと変じゃないか? その話。ちひろさんはなんで金を払わなかったんだよ?」

RN「さぁ、払うのが惜しかったんじゃないの」

P「うーん、金に汚い人とはいえそこまでする、いやしないと思うんだけどなぁ」

RN「そう?」

P「相手はヤクザだぞ? 金を払わなかったからどうなるかはある程度分かるだろ」

RN「裏の取引っていうのがあるみたいだから、自分の命までは取られないと思ったんじゃない?」

P「そうかもしれないが、報酬を支払わないって噂が広まれば他の取引だっていずれ潰れる。そういう所まで頭が回らない人じゃないよ、ちひろさんは」

RN「……確かに、守銭奴こそこういうリスク管理はしっかりするはず」

P「だろ?」

RN「でも、だとしたらどうして?」

P「金を払えない状況だったって可能性は薄いな。田所から大量の金を貰っていたはずだし、それが無くても山ほど持ってるだろう」

RN「お金がないんじゃなくて、もっと特殊な事情があったとか」

P「それは分からないが、もう一つ、もっと可能性の高いものがあるぞ」

RN「……何?」

P「この話自体がデタラメな嘘って可能性」

RN「え……!? おかしいよ、そしたらイニ義が私たちに協力する理由が分からない」

P「まぁそうなんだが……ちひろさんが金を払わなかったとはどうしても思えないんだ」

RN「……」

P「なぁ、もしかしたら──」

RN「待って」スッ

P「凛?」

RN「この話はこれ以上しない方がいいよ。ここはイニ義の事務所、誰が聞いててもおかしくない」ヒソヒソ

P「た、確かに。迂闊だったよ」

RN「それに今はどの道、決勝戦に集中しないと。イニ義の事はそれからでもいいんじゃない?」ヒソヒソ

P「……ああ、そうだな。この話はもうやめよう」

P(後は俺一人で何とかしないとな)

P「じゃ話題を変えて、と。遠野たちはまだか?」

RN「もう来るんじゃない? それよりトレーナーさんが遅いんだけど」

P「アレは大丈夫だろう。めちゃくちゃな人だけど、今まで遅刻や欠席はしなかったしな」

RN「そう? それより、あの人はちゃんと言葉を話してくれればいいんだけど……」


ピピピピピピ!


P「悪い、ちょっと電話だ。……はい、もしもし?」

『っ、ぐすっ……ひっぐ、ぐすっ……ぁ、……っあの……』

P「……? もしもし?」

RN「誰からなの?」

P「え、っと……」スッ

『緒方智絵里』

P「智絵里! 智絵里なのか!? おい!」

CER『は、はい……ぐすっ、ごめんなさい……』

P「大丈夫か? 一体何があったんだ!?」

CER『ううっ、プロデューサー、さんが……プロデューサーさんが……』

P「カーリーか! 遂にくだばりやがったな!」

CER『ーーっ、ううぅっ、ぐすっ……』シクシク

P「ああああ悪い! ごめん! 言い方が悪かった!」

CER『ぐすっ……今、私、緑が丘の病院に居るんです……あのっ、来て……くれませんか……?』

P「えっ、い、いや……」

CER『私っ、他に頼れる人、居なくて……お願いですっ……!』

P「…………」

RN「プロデューサー?」

P「……分かった。今すぐに行くから、そこでじっとしてるんだぞ」

CER『は、はいっ……本当に、ごめんなさい!』

P「謝らなくていいんだよ。それじゃ」ピッ

P「……すまん凛、俺ちょっと──」

RN「早く行きなよ」

P「っ! い、いいのか?」

RN「いいも悪いも、自分で行くって言っちゃったんだからしょうがないでしょ」

P「あ、あぁそうだな……悪い」

RN「いいから、ほら。遠野とまゆが来たら説明が面倒になっちゃう」

P「分かった。すぐに片付けて戻ってくるからな!」タッタッタタッ

RN「……無事に帰って来てよね」ボソッ

P「え?」スタッ

RN「安全運転! 事故でも起こしたらもっと大変でしょ」

P「あ、ああそうだな! じゃ!」

ガチャ,バタン!

RN「はぁ、遠野とまゆになんて言おう……」

短いですがここまで

今更だけど364の当て字わからない......わからなくない?

>>918
MUR「ホラ、364364(見ろよ見ろよ)」

マジレスすると前スレで「364プロと810プロも出すんだよ」という書き込みがあったのでそのまま流用しただけです……

9時25分 病院

P「緑が丘の病院っつったらここだよな……」ガチャ,バタン

タタタタタッ……ウィーン

P「ちょっとすいません」

「はい? なんでしょう」クルッ

P「えーっと、…………!!!!」

ピンキー「?」デデドン!

P「いぎゃあああああああ! あうフぁッや!? 」ガクガクガク

P(ピンキー! ピンキーッッ! ピンキーが何故ここに!?)

ピンキー「あっ、大丈夫ですか~? 」

P「あひゃっ、うひゃっ……」ガクガクガク

ピンキー「大丈夫じゃないならチュウしちゃいますよ?」

P「ヒッ! だだ大丈夫どぇす!」ビクボクヴィク

P(そ、そうだ! 思い出したぞ……ここは凛が以前入院してた病院で、ピンキーが受付をやっていたんだ!)

P(四次予選でピンキーを見たときどこかで見たことがあると思ったが、この病院でだったのだ!)

P「ッ! ハアッ、ハア……はあっ、はあっ……」

ピンキー「さっきから何興奮してんのよ」

P「するか馬鹿! し、しかし、マジにイっちまうところだったぜ……」

ピンキー「ハァ? それで、ご用件はなんでしょうか」

P「……はい。えっと──」

P(……なんて言えばいいんだ?)

ピンキー「何科の診察をご希望ですか?」

P「いや、そうじゃないんですよ。カーリーっていう男がここに運ばれたって聞いて来たんです」

ピンキー「救急患者ですか?」

P「はい、多分。今は手術中? かどうかちょっと分からないんですけど」

ピンキー「そのカーリーというのは本名ですか?」

P「え? いや多分、違います……」

ピンキー「救急患者のリストを確認いたしますので、その方の本名をお願いします」

P「いやだからさ、ついさっき30代ぐらいの男が運ばれてきたんでしょ? その人なんですよ」

ピンキー「そう言われても困るのよねぇ」ハァー

P「なんだテメェ……(レ) いいからあく場所教えろよ」

ピンキー「だからその説明じゃ分かんないのよ」

P「あのさぁ……」

P(智絵里に電話してここまで来て貰うか? しかし逆に智絵里が迷ってしまう可能性もあるし……)

P「いやだから、あのですね──」

P(クソッ、ここで余計な時間を使ってられないってのに!)

イニ義事務所

MY「プロデューサーさんが来られない?」

RN「う、うん」

遠野「それはまた。どうしてです?」

RN「さぁ……? 実はさっきまで居たんだけど、電話がかかってきて、話し終わったと思ったら行っちゃった」

遠野「ということは、お仕事ですかねぇ」

RN「あ、なんかそんな感じの事言ってた、かな」

遠野「そうですか」

RN「で、でもすぐ戻ってくるって。今日はレッスンの時間長いし、終わるまでには絶対戻ってくるよ」

MY「へぇ……一体何のお仕事で呼ばれたんでしょうね、凛ちゃん」チラッ

RN「えっ? いや、私に聞かれても……」

MY「うふ、そうですよね。ごめんなさい」

RN「じゃ、じゃあ、トレーナーさんまだだけど始め──」

MY「でも」グイッ

RN「っ!?」

MY「電話で急に呼ばれるようなお仕事は今日、入っていなかったと思うんですけど、ね」ジッ

RN「そ、そう、なの? 分からないけど、別に今日の仕事のこととは限らないんじゃない?」アセ

MY「そうですねぇ……」ジー

RN(ヤバい……また嘘を見抜かれちゃう)

MY「……」ジローッ

RN「……」ダラダラ

RN(目をそらしたら駄目……!)

剛竜馬「ターーッ!」

MY「!」クルッ

RN「ッ……ほら、トレーナーさんも来たし、レッスン始めよ」

遠野「はい!」

MY「……そうですね」

RN(助かった……)

剛竜馬「ショア!」

病院

タッタッタッタッ……

CER「……! モバPさん!」スッ

スタッ

P「お、おう。久しぶり……」ゼエゼエ

CER「大丈夫ですか?」

P「大丈夫、大丈夫……っはあ、ちょっと急いで来ただけだから」

CER「そうですか……すいません、取り乱しながら電話してしまって」

P「いいからいいから。事情を説明してくれ」

CER「はい。……プロデューサーさんは今、ここで手術を──」

P「それは分かってるよここに来れてるんだから! どうして俺を呼んだか聞いてるの」

CER「は、はいっ! ごめんなさいっ……」

P「……っ、悪い悪い、本当はあんまりゆっくりしてられないからさ。そこに座って話そうか」スッ

CER「はい……あの、さっきも言ったと思うんですけど私、他に頼れる人が居なくて……」

P「うんうん」

CER「プロデューサーさんがこんなことになってしまって、それで、心細くて……」

P「……ん?」

CER「え……?」

P「もしかしてそれで終わり? 一人じゃ心細くて寂しかったから俺に電話して、わざわざここに来させたの?」

CER「い、いや! そうじゃないんです。話すのが下手で、ごめんなさい……」

P「いや全然! 大丈夫だから落ち着いて、ゆっくり、最初からキチンと話してくれ」

CER「は、はい……じゃあ朝事務所に行ったところから、順を追って話します……」


……
………

午前8時前 328プロ

ガチャ

CER「おはようございます」

「おぉ智絵里ちゃん、おはよう。早いねー」

CER「はい……あれ? あ、あの、プロデューサーさんはまだ来てないんですか?」

「カーリー? 見てないよ」

CER「そうなん、ですか……ありがとうございます」ピッピッ

「知らねえけど、まだ寝てんじゃねえの? 来るの早いよ、智絵里ちゃん」

CER「いえ、プロデューサーさんに今日は、8時までに絶対来るようにって……」

「あ、そう……」

CER(電話にも出ない……メールだけしておこうかな)ピッピッ

CER「あの、じゃあ中野さんは」

「中野くん? 中野くんも来てないよ、つーか今、俺と事務の人しか居ないし」

CER「え……」

ゴーン,ゴーン……

「ちょうど8時だね。二人とも寝坊したんだなきっと」

CER「そ、そうですか、ね……」ピッピッ

CER(中野さんも出ない……二人とも寝坊なんておかしいな)

CER「あのっ、プロデューサーさんから何か聞いてませんか?」

「だから知らねえって。今ごろ大慌てで向かってんじゃねえの?」

CER「そんな……プロデューサーさんは絶対、私より早く来るはずなんです!」

「それが今日に限って寝坊しちゃったんでしょ? まぁ座って待ってなよ」スタスタスタ……

CER(それなら何か、連絡があってもおかしくないのに……)

カチ,カチ,カチ,カチ,カチ……

CER「…………」

ピッピッピッ……ピッピッ……プツッ

CER(まだ二人とも出てくれない……さっきから何度もかけてるのに)

カチ,カチ,カチ,カチ,カチ,カチ……

CER(今日はステージ前の最後確認をするからこの時間に来て欲しいって、三日前から言ってた)

CER(絶対に遅れるなって、何度も念押しされた)

CER(そんな、誰より真剣に今日の準備をしていたプロデューサーさんが遅れるなんて……やっぱり何かおかしい!)

CER(もう、8時15分……)

CER「……っ!」スタッ

タタタタッ……バタン!

マンション

ウィーー……

CER(8階の、810号室……エレベーターを出てすぐ……)

ガチャン,ウィーン,タタッタッ……スタッ

CER(ここで、合ってるよね。表札もある……)

CER「……」ドキドキ

CER(焦って来ちゃったけど、何もなかったらどうしよう)

CER(もしかしたらすれ違って、プロデューサーさんはもう事務所に……)

CER(……ううん、そしたら絶対電話がかかってくるもん。もう8時を30分も過ぎてるのに二人とも連絡してこないなんて、やっぱりおかしい)

CER(だから、勇気を出して……!)

ピーン……ポーン……

CER「ぷ、プロデューサーさん、智絵里です。まだ寝てるのかと思って、来ちゃいました。えへへっ」

「……」

CER「ぁ、マイク、付いてない……」カァァ

CER(見ればすぐ分かるのに、もう私、何やってるんだろう……)ピーンポーンピーンポーン

「……」

CER「……やっぱり、もう家は出ちゃったのかな」

CER「……」スッ

ガチャ

CER「!」

CER(開いてる!? ど、どうしよう……)

キィーッ……

CER(ここまで来たら、入るしかない……よね)ドキドキドキ

CER「お、おじゃましますっ」スッ


スタッ,キィーッ……バタン


CER(誰も居ないみたいに静か……鍵は閉め忘れただけ、なのかな?)スタッ

グシャッ

CER「ひっ!? ……あ」

CER(床が散らかってる……気を付けないと)ジー

スタ,スタ,スタ……スタッ

CER「あれ……足……?」スッ


カーリー「」


CER「ーーっ!? ぁ、プロ……っ!? やっ、何、これ……あ……あ、ぁ……」

ズサ,ズサ……ツルッ,ガタン!

CER「い、いや……嫌、嫌っ……! いやあああああああっ!」

………
……

CER「……無意識の内に後退りしていたら、何かで滑って、床にへたりこんでしまって……」

CER「そのまま、しばらく動くことが出来ませんでした」

P「ショッキングだったんだな」

CER「それはそうです! ビックリしたのもありますけど……」

P「カーリーはどんな風に倒れてたんだ?」

CER「仰向けに倒れていました。股だけ大きく開いていて、人の字みたいになってたんです」

P「ってことは、突然の発作とかで気絶した訳じゃないんだな……それならうずくまるように倒れるはずだし」

CER「それにえっと、その……プロデューサーさんは服を着てなかったんです」

P「ぜ、全裸ァ!?」

P(ってかそれで股が大きく開いてたって、バッチリ見えてるじゃないか……)

CER「は、はい。頭からは血を流していて、それと……それと、おしりから──」

P「は?(困惑) 尻?」

CER「すごく、変なんですけど……おしりの方から何か白くて、濁ったような液体が出ていたんです」

P「おぉ、なんと……それは一体なんだろうな……(すっとぼけ)」

CER「え……いや、私も分からないです……」

P「う、うん。そうか、話を続けてくれ」

P(こいつは思った以上にとんでもないぞ……)

CER「はい。……何がどうなってるのか分からなくて、すごく怖かったんです。けど少しずつ落ち着いてきて、とにかく、救急車を呼ばなくちゃと思って──」


……
………

とりあえずここまで

CER「っ……ううっ、なんで、なんでこんな……」ブルブル

カーリー「」スゥ……

CER「!」

CER(胸が、動いてる……?)

CER「プロデューサーさんっ、プロデューサーさん! 大丈夫ですか!」トントントン

カーリー「……」

CER「えっと、えっと、こういうときは……そう、確認しないとっ」スッ

カーリー「」スー……

CER(心臓は動いてるし、呼吸も……してる。生きてる……!)

CER「プロデューサーさん! 今、救急車を呼びますから!」ピッピッ

カーリー「ぁ……ぐ……?」

CER「っ!? プロデューサーさん! 大丈夫ですか!?」

カーリー「ち、えり……? なんや……? ッ! ぐッ……っづ」

CER「い、今119番に電話してますから! じっとしててくださいっ!」

『はい119番です。火事ですか、救急ですか』

CER「は、はい。救急で──」

バシッ

CER「え……?」

プツッ

カーリー「なに、勝手に電話しとんねん……俺は何も、ケガなんて──ッ! ぐっ……」ムクッ

CER「だ、駄目です動いたら! 頭から血がっ……」

カーリー「なんやて……?」スッ

ペチャッ

カーリー「チッ、なんやこんなモン。かすり傷やって……ッッ!!?」ビクビク

CER「ああっ、大丈夫ですか!? 無理しないて横になってくださいっ! 救急車呼びますから!」

カーリー「くっ……これは確かに、動けん、わ……ッ、頼む……」スッ

CER「はいっ! 落ち着いて……大丈夫、大丈夫ですからね……」ピッピッ

カーリー「クソ……まったく、ようやってくれたわ……っぐぐっ!」

CER「だ、誰かに襲われたんですか? それなら、警察にも──」

カーリー「警察には電話すんな!」

CER「えっ……」

『火事ですか、救急ですか?』

CER「は、はい、救急です。えっと──」ペラペラ

カーリー「ええか……警察には言わんでええねん、これは事故なんや……ッグ」

CER「そんな、だって! ぁ、いや、すいません……はい、住所は──」

CER「……はい、よろしくお願いします」ピッ

カーリー「っ、サンキューやで。せやけどお前、なんでここにおんねん……っっグッ!」

CER「だから動いちゃダメですっ! じっとしててください、話しますから」

カーリー「……ん」

CER「私、ちゃんと8時前に事務所へ行ったんです。でも、プロデューサーさんも中野さんもいつまで待っても来なくて、それで──」







カーリー「……そうか、智絵里にしてはよく出来た判断やで。助かったわ」

CER「はい、本当に良かったです。……でもあの、本当に事故なんですか……?」

カーリー「それは……もう気にすんな。医者には俺から説明するわ」

CER「で、でも頭をケガしてるし、私が代わりに話した方がいいんじゃ……」

カーリー「こんなもん大したことないって言うとるやろ。……それより智絵里、今から言うことよく聞いてくれや」

CER「は、はいっ」スッ

カーリー「中野くんとは、電話も繋がらんのやったな」

CER「はい」

カーリー「ならまずは、なんとかして中野くんと連絡を取るんや。ええな」

CER「……はい」

CER(もしかしたら、中野さんも……)

カーリー「それで連絡が取れたら、今日だけはステージに立ってくださいってお願いするんや」

CER「はい……え? お願いって……」

カーリー「ええから黙って聞いとき、後は────ッッぐ、あ、が……ッ!」ビクンビクン

CER「プロデューサーさん!?」

カーリー「あ、アカンわ、ちょっと……ググ、ぐ……痛っ、クソ……」

CER「ど、どこが痛いんですか!?」

カーリー「お前に言っても、何にもならんて……いいから、聞け!」

CER「はっ、はい!」

カーリー「今日のステージは絶対に立つんやぞ、ええな!? ……っ」

CER「で、でもプロデューサーさんが……」

カーリー「俺の事なんかどうでもええ……今日勝って三位になる言うたんは、智絵里やろが……!」

CER「はい……っ」

カーリー「ハーッ、でも中野くんの事だけは──っツっ、ホントに……俺が悪かったわ……」グッタリ

CER「プロデューサーさん? プロデューサーさん!」

カーリー「ハアッ……絶対、絶対立つんやぞ、ええな……?」

CER「分かりましたっ! 分かりましたから、もう……っ」

カーリー「すまん、な……頼むわ」

CER「……はいっ!」

カーリー「…………」スー……


……
…….

カーリー「それで連絡が取れたら、今日だけはステージに立ってくださいってお願いするんや」

CER「はい……え? お願いって……」

カーリー「ええから黙って聞いとき、後は────ッッぐ、あ、が……ッ!」ビクンビクン

CER「プロデューサーさん!?」

カーリー「あ、アカンわ、ちょっと……ググ、ぐ……痛っ、クソ……」

CER「ど、どこが痛いんですか!?」

カーリー「お前に言っても、何にもならんて……いいから、聞け!」

CER「はっ、はい!」

カーリー「今日のステージは絶対に立つんやぞ、ええな!? ……っ」

CER「で、でもプロデューサーさんが……」

カーリー「俺の事なんかどうでもええ……今日勝って三位になる言うたんは、智絵里やろが……!」

CER「はい……っ」

カーリー「ハーッ、でも中野くんの事だけは──っツっ、ホントに……俺が悪かったわ……」グッタリ

CER「プロデューサーさん? プロデューサーさん!」

カーリー「ハアッ……絶対、絶対立つんやぞ、ええな……?」

CER「分かりましたっ! 分かりましたから、もう……っ」

カーリー「すまん、な……頼むわ」

CER「……はいっ!」

カーリー「…………」スー……


……
…….

は?
もう許さねえからな~?(重複投稿)

CER「その後救急車が来て、すぐに手術が必要だって言われて……」

P「今に至るわけね」

CER「はい」

P(今の話を聞く限りカーリーはそこそこ重傷みたいだが、命に別状は無さそうだな。しかし……)

P「智絵里が見た限りは、事故じゃなさそうなんだよな?」

CER「はい。プロデューサーさんは明らかに何か隠してるようでしたし……本人の意識が戻ったら、お医者さんが詳しく聞いてみるそうです」

P「そうか。……話を戻すけどつまり、俺は智絵里の代わりに中野くんと連絡をつければいいんだな?」

CER「代わりにっていうか、私一人だとどうすればいいか分からないから、手伝って欲しくて……図々しくて、ごめんなさい」

P「いいっていいって。中野くん、電話にはまだ出ないのか?」

CER「モバPさんが来るまでに何度か電話したんですけど……やっぱり出ませんでした」

P「そうか、じゃあどうするかな……」

CER「直接家に行ってみるしかないと思います。もしかしたら、中野さんも倒れてるかもしれないですから」

P「ん、そうですね。家の場所は分かるのか?」

CER「あ、いや、分からないです……」

P「じゃあまずはそれを調べなきゃいけないな」

CER「うぅ……本当に、本当にごめんなさい」

P「いや全然! 引き受けたのは俺なんだから、もう謝らなくていいよ。それに、中野くんの家ならすぐに分かるさ」

CER「そ、そうなんですか?」

P「ああ。ところで、カーリーの手術はどれくらいかかるか聞いてる?」

CER「えっと、最低でも二時間はかかるって言ってました」

P「よし、それならまだ大丈夫だな。とりあえず今から328プロに行こう」

CER「事務所にですか?」

P「328プロになら、中野くんの住所が書いてある書類とか、何かしらあるはずだろ?」

CER「なるほど。それに、私が一緒じゃないとモバPさんは入れませんもんね」

P「そういうことだ。善は急げ、走っていくぞ!」タタタタッ

CER「えっ……あのっ、病院の廊下って走っていいんですか?」

P「知wwらwwなwwいwwよwwww」タタタタッ

CER「えぇ……(困惑) ああちょっと、待ってください~」タッタッタッ

328プロ

P「どーもこんちわっす」ガチャ

CER「ただいま戻りましたっ」スッ

「ん? おぉ智絵里ちゃん。どこ行ってたの? いきなり居なくなるから心配したよ」

CER「あっ、いえ、ちょっと……」

「まぁいいけど。あ、カーリーも中野くんもまだ来てねえよ? つかそいつ誰」

P「俺の事は気にしないで、どうぞ」

CER「あの、実はプロデューサーさんは──」

P「待て智絵里、話さなくていい。面倒だし、いずれ病院から連絡が行くはず」ヒソヒソ

CER「あ、はい。プロデューサーさんの机はこっちです」スタスタ

P「うっす」スタスタ

「……? あいつどっかで見た気がするんだけどな……おい! 誰かあの男知ってるか?」

「は?」「誰だよ」

「智絵里ちゃんと一緒に居る男だよ! ウチにあんな奴居たか?」

「そう……(無関心)」「知wらwなwいwよww」

P(勘繰られてるな。早く見つけないとまずそうだ)

ガサガサガサ

P「汚いデスクだなぁ」

CER「プロデューサーさんはあまり物を片付けない人なので……」

P(こりゃあ時間かかるかもな……)

CER「そうだ、あの、パソコンを調べてみるのはどうですか?」

P「それはいいアイデアだが、んー……やっぱりロックがかかってるな」

CER「私、思い付くのをいくつか入れてみます!」カタカタ

P「オッケー。智絵里がパソコン、俺がデスク周りだな」ガサゴソ

「ねねねね、人の机漁るのって楽しい?」

P「あぁ? だから気にすんなっつってんじゃねーかよ」

「……」ジー

P(ちっ、鬱陶しいな)ガサゴソ

「あっ……思い出した! お前、364プロのモバPだろ!」

「それは本当か!?」「どおりでねぇ!」「おっやべぇ、110番だな!」

P「さ、さぁなんのことか……」

CER「あ、あのみなさん! 私が頼んで、ちょっと手伝ってもらってるんです! 気にしないでください!」

「ほんとぉ? じゃあその頼み事ってのはなんだよお前よぉ」

CER「それは……」

「おい、よそ者が勝手に出入りしてるって?」「どいつだよ、こいつか?」ゾロゾロゾロ

P「うざってぇ」

「おいこいつどうする?」「やっちゃいますか? やっちゃいましょうよ~」

CER「あ、あの……ですから……」

「お前ちょっとこっちこいオラ」ガシッ

P「なんだお前(素) 流行らせコラ!」

CER「や、やめてください!」

「つべこべ言わずに来いホイ」「この大人数に勝てるわけないだろ!」

P「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前」

CER「やめて……」

「フル焼きそば!(全回復)」「そっち持って!」

P「ゲホッゲホッ!(迫真) あーお前この野郎、アァッ!」



CER「……」

「危ないから智絵里ちゃんはこっち来ようね」

CER「…………」

「智絵里ちゃん?」

CER「うん、分かった……[ピーーー]ね」

「え?」

シュン!

P「!」

パタッ,パタパタパタパタ……

P「ち、智絵里、お前……」

CER「えへへ、チョップですっ」

P「あ、あぁ。ありがとう……」

P(技の威力も速さも前に見た時と段違いだ……そして何より、えへへとか言ってる割に目が笑ってないのが怖すぎる)

P「じゃあ、また人が来る前にとっとと探そうか」

CER「はい!」


……
P(それらしい書類が見当たらない……)ガサゴソ

CER「……! あのっ、パスワード分かりました!」

P「それは本当か!? ……おお、本当にログイン出来てる」

CER「偶然ですけど、良かったです」

P「ちなみに、なんてパスワードだったんだ?」カチカチ

CER「数字で、『143000』でした」

P「ほぇ~、なんでその数字だと思ったの?」カチカチ

CER「以前プロデューサーさんが家賃は14万3000円と言ってたので、もしかしたらと思って」

P「よく覚えてたな……」カチカチ

CER「ほとんど当てずっぽうです。それっぽいかなと思ったパスワードは、ことごとく違ったので」

P「そう……(無関心) おっあったぞ! この画像に載ってる」

CER「これは……なんでしょうか」

P「何かの書面を取り込んだものだな。まぁそんなことはどうでもいいよ、急いでここに向かおう」

CER「はいっ!」

P「……あーいや、待った。智絵里は病院に戻ってくれ」

CER「え……どうして」

P「誰かがカーリーの側にいなきゃいけないだろ? それには智絵里が適任だよ」

CER「あっ、そ、そうですよね。病院の人も、付き添って来た私が突然居なくなって困ってるかも……」

P「ここでぶっ倒れてる奴らはどうする?」

CER「えっと……そのままでいいと思います」

P「あ、そう……」

CER「はい。それじゃあ、あの……中野さんのことはお願いします」

P「おう。中野くんと連絡が取れたらまた電話するよ」

CER「分かりました。私も、何かあったら連絡しますね」

P「よし、じゃあこれ病院までのタクシー代。歩きじゃ疲れるだろ」スッ

CER「えっ……い、いえ、大丈夫ですっ! タクシーのお金ぐらい……そもそも歩いて行けますから」

P「あーダメダメダメ、歩きだと時間もかかるだろ? 一刻も早く戻るんだ、よっ」ギュッ

CER「……はい、すいません」

P「すいませんじゃないよ。こういう時は素直に『ありがとナス!』って言うんだ」

CER「あ、ありがと、なす……です」

P「そう、それでいい。そんじゃ、俺は急いで行ってくるよ。智絵里も早く行くんだぞ!」ガチャ

CER「は、はいっ! えっと……いってらっしゃい!」

P「おう!」

バタン,タッタッタッ……

とりあえずここまで

正直CERちゃんの設定忘れてたゾ...(池沼)

>>946
前スレで智絵里の話書いてたのはもう一年ぐらい前だし、ま多少はね?
何度も読み返してる物好きでも無ければ忘れてて普通だと思うゾ


────

10時38分 中野くんのアパート

キィーッ……ガチャバタン,タッタッタッ

P(クソっ、片道30分もかかるとは予想外だった)

P(にしてもボロいアパートだな、呼び鈴もないぞ。こんなところに住んでるのか)スタッ

P「……こんにちはー! 中野くんいますかー?」ドンドンドンドン

シーン

P「こんにちはぁ~~、中野くん? こんにちはー」ドンドンドンドン

シーン……

P「……チッ」ガチャガチャガチャ

P(鍵がかかってるな。留守か居留守か……)

「おいちょっと、アンタ何やってんの?」

P「げっ、あ、あぁいや、俺は……」

「君最近よく来てるみたいだけどね、中野くんも迷惑してると思うよ? ちょっとはそういうの考えたらどうだい」

P「えぇ? いやいや、勘違いされてますよ! 俺は今日初めてここに来たんですから」

「ええっ!? そ、それは失礼した。じゃあアンタは一体、何者なんだ?」

P「人にどうこう言う前にまずは自分が名乗ったらどうなんですかねぇ」

一般通過爺「私はここの管理人だ。生放送のカメラに気付かず通ってしまってテレビに映るなんてことをしょっちゅうやってるから、この住人からは一般通過爺なんて呼ばれてるよ」

P「別にそこまで聞いちゃいないですよ……」

一般通過爺「今度はアンタの番だ。スーツなんて着ているが、怪しい宗教の勧誘じゃないだろうね」

P「俺は芸能事務所のプロデューサーですよ。ほら」スッ

一般通過爺「ほぉ~、中野くんの知り合いなのか」

P「んー……まぁ、そうですね」

一般通過爺「こんな時間に一体どうしたんだい? 中野くんなら、今日の朝早くに出ていったままだよ」

P「本当ですか! それは大体、何時頃の話です?」

一般通過爺「ちょうど5時ぐらいだったかなぁ。年寄りは朝が早いもんでね」

P「中野くんの姿をはっきり見たんですか?」

一般通過爺「いいや、見ちゃいないよ。でも扉が開く音で分かるんだ」

P「は?(困惑)」

一般通過爺「なにせボロ屋だからね。玄関の開く音も部屋ごとに特徴がある」

P「なるほど。その玄関が開く音で、中野くんが出ていったと分かったんですね」

一般通過爺「そういうことだ。それで、アンタは一体何の用で訪ねてきたんだい?」

P「……実はですね」

一般通過爺「おぅ、どうした」

P「実は、今すぐ持っていく必要がある書類を中野くんが持っているんです!(大嘘)」

一般通過爺「それは大変だ。しかし、説明した通り中野くんは留守だぞ」

P「ええ。だからお願いします、管理人さんの合鍵で扉を開けてください! 部屋の中にあるはずなんです!」

一般通過爺「は?(困惑) そんなこと出来るわけがないじゃろ」

P「そこを何とか! どうしても! どーしても今必要なんです!」

一般通過「そう言われても……中野くんとは連絡が取れんのか?」

P「はい。ですからなんとか、5分いや3分でいいですから!」

一般通過爺「うむ……」

P「お願いします! お願いします!」ペコペコ

一般通過爺「しかし住人の部屋を勝手に開けるというのはな……」

P「このとおり! このとおりですので!」ズサー

一般通過爺「おいおい土下座なんて、勘弁してくれよ」

P「…………」グッ

一般通過爺「んー……ん? あんた364プロに勤めてるのかい」ペラッ

P「あ、はい」スタッ

一般通過爺「だったら、アイドルのサイングッズを貰うってことは出来るかな?」

P「へえっ!? で、出来なくはないですけど……もしかしてファンなんですか?」

一般通過爺「実は、私の孫娘がナオキくんの大ファンなんだよ」

P「ナオキですか~カッコよさに惚れたんですね」

一般通過爺「そうじゃ。頼めるか」

P「サインを一枚用意すればいいんですか?」

一般通過爺「ただのサインならもう持ってるよ。何か特別な物にしてくれ」

P「じゃあメッセージか何か添えればいいですかね」

一般通過爺「うむ。用意できたら明日にでも持ってきてくれ」

P「分かりました。ならその代わりに、この部屋を開けてください」

一般通過爺「それとこれとは話が別だ」

P「は?」

一般通過爺「……と言いたいが、特別に開けてやろう。ただし、5分だけだよ」

P「おっ、ありがとナス!」

ガチャガチャ,キィ~ッギュッギッ

P(確かに特徴的な音だ。これなら聞き間違えたこともあるまい)

一般通過爺「ここで待っているから、いってきなさい」

P「はい」

P(さて、何か手がかりがあるといいんだが……)

スタスタスタ

P「片付いてるな。出掛ける前に何かをしていた痕跡はない、と」ガサゴソ

スタッ

P「パソコンがある、が……ロックがかかってるな。一応何か入れてみるか」カタカタ

『143000』
デン

P(ダメか、まあそりゃそうだな。考えてる時間は無いし、何か別の手がかりを……)

ガサガサ

P「ん? この書類は……」ペラッ

P(中野くんの契約書だ、雇用期間などが書いてある。もう一枚は、履歴書か……ん!?)

P(職歴に328プロ所属の、元アイドルとある。これはアイドルを引退した後のものとして書かれている!)

P(契約書の雇用期間は今回のIUが終了するまでと書いてあるし、次の職場を探していたんだろうか……?)

P(この二枚は辻褄合わせのために持っていくとして……他に手がかりになりそうな物がまったく無いな)

P(日記か何かあればどこへ行ったかの検討もつきそうだが、それらしい物は見当たらない)

P「家具もほとんど無いし、なんだこの部屋は……」

一般通過爺「まだ見つからんのか~?」

P「は、は~い!」

P(闇雲に探すよりか、あの管理人に詳しく話を聞いた方がいいかな……)スタスタ

一般通過爺「見つかったのかい」

P「ええ、確かに」ペラッ

一般通過爺「おお、良かったじゃないか」スタスタ

キィ~ッバタン,ガチャガチャ

一般通過爺「それじゃ約束のサイングッズ、良いものを頼むよ」

P「はい。……あの、もしかして中野くんは最近引っ越して来たんですか?」

一般通過爺「なんじゃと?」

P「いえあの、あまり生活感の無い部屋だったので」

一般通過爺「そんなことはないぞ。ここに住んでもう五年にもなる」

P「そうですか」

P(履歴書に書いてあった、出張料理人を始めた時期と一致してるな……)

一般通過爺「さあ話は終わりだ。その書類とやらを早く持っていきなさい」

P「いや、最後に一つだけいいですか?」

一般通過爺「なんじゃもう……早く話せ」

P「最初俺に話しかけたとき、一体誰と勘違いしたんですか?」

一般通過爺「あぁ、さっきはすまなかったの。最近、中野くんの部屋にはよく客が来てるんだ」

P「客、ですか」

一般通過爺「よくよく考えればその客はいつも複数人で来ていた……アンタは一人、同じはずがないな」

P「それで中野くんはそいつらを迷惑がっていた、と」

一般通過爺「いつも部屋の中には入れず、立ち話で済ませていたんだよ。具体的に何を話していたかは分からんが」

P「そうですか……その客がどういう人物なのか分かりませんか?」

一般通過爺「うーむ、姿を見たことがあるんじゃが、物々しい集団という印象だったな」

P「他に何か特徴は? 本当に何でもいいので」

一般通過爺「他か、そうだな……あぁそういえば、姿を見かけた時にぶつぶつと呟いていたな」

P「何をですか!?」

一般通過爺「数字の5……いや、英語のGOかの……?」

P「GO……!?」

一般通過爺「うむ。他のことはもう分からんよ」

P「ありがとうございます! サイングッズ、期待しててくださいね!」

一般通過爺「おぉ、楽しみにしておこう。今から孫の喜ぶ顔が浮かぶな」

P「それじゃあまた!」タッタッタッ

P(今までの話を合わせると、カーリーのケガは事故なんかじゃなく、中野くんに襲われた可能性が高い)

P(しかしGOだって……? まだ何か、俺の知らない事情がありそうだな。それが分かれば、きっと中野くんにたどり着けるはずだ)

P(でもどうやって調べる……GOやその信者の行動、中野くんの身辺や、これまでの経歴……)

P(……あまり気乗りしないが、あいつの所に行ってみるか)スタッ

ガチャ,バタン……ブゥーン

とりあえずここまで

11時07分 89410劇場

ウィーン

受付「いらっしゃいませ」

P「あのさ、平野源五郎は今こっちに居るかな?」

受付「? はい、ただ今は午後の公演の準備をしておりますが」

P「じゃあちょっと会わせてくれないかな。364プロのモバPが来たって言ってさ」スッ

受付「少々お待ちください」スタスタ

P(近づきたくない場所だが、なりふり構ってもいられないからな)

スタ,スタ,スタ……

P(……来たか)

平野「ククク、一体どういう訳かな。君がここに来るとは」

P「急用でな、人を選んでられないんだよ」

平野「そうか……こんな所ではなんだ、こちらの部屋で話そう。茶でも飲みながらね」

P「睡眠薬入りの飲み物なら結構だ」

平野「冗談、冗談ですよ……」スタスタスタ

平野「それで、用件は?」

P「確かお前、IUの特別審査員だったよな」

平野「ええ」

P「だったら当然、IUに出場してるアイドルには詳しい。だろ?」

平野「もちろん。様々なアイドルに精通しているからこそ、特別審査員を務められるのだ」

P「だったら一つ、その豊富な知識を俺に披露してくれないか?」

平野「ほう、何か知りたいことがあるのか」

P「ああ、二つか三つほどな。まずは──」

平野「待ちなさい。まだ話すと言った覚えはないぞ」

P「は?(威圧)」

平野「そもそも君の欲する情報を話して、私に何か得があるのか?」

P「ぐ、それはそうだが……じゃあ何か、金でも払えって?」

平野「金なんて要らないよ。私の欲しい物……分かるだろう?」

P「お前の欲しい物? あっ……(察し)、李衣菜か!」

平野「ご明察」

P「フザケンナ、ヤメロバカ! お前に李衣菜を渡すわけないだろ!」

平野「まさか本人を貰おうなどとは言わないよ、早とちりしないでくれ」

P「そ、そうか。じゃあなんだ、またサイングッズか!」

平野「また……?」

P「あっいや、こっちの話だ」

平野「李衣菜ちゃんのサイングッズなら山ほど持っている。それでは無理だな」

P「だったら何だ? 一体李衣菜の何が欲しいんだよ」

平野「写真。それもメディアには出ていない、プライベートな物を貰おうか」

P「おま、プライバシーってものがあるだろうが!」

平野「嫌ならいい、この話は無かったことにしよう」

P「……」

P(クソっ、アイドルを売るみたいで気分悪いが、背に腹はかえられないか……)

P「……今度ツーショット撮らせてやる」

平野「!!」

P「それで勘弁してくれ」

平野「いや、魅力的だが……駄目だな。対価を先に貰わないと信用出来ない性分なのでね」

P「なっ! あ~めんどくさいヤツだなもう!」スッ,ピッピッ

平野「何のつもりだ?」

P「少しだがスマホに李衣菜の写真が入ってる、もちろんメディアには出てないものだ。それで手を打ってくれ」

平野「ククク、いいじゃないか……連絡先を交換しよう、早速送ってくれ」

P(許せ李衣菜……!)ピッピッ

平野「!!! これは……浴衣姿の李衣菜ちゃん!」

P「二回戦の時に北海道の温泉宿に泊まったんで、旅の思い出に一枚撮ったんだよ。いい写真だろ?」

平野「確かに文句無しの李衣菜ちゃんだ。しかし……」

P(文句無しの李衣菜ってなんだよ(哲学))

平野「この写真は集合写真じゃないか!!! 浴衣李衣菜ちゃん一人だけの写真は無いのか!」

P「うるさいなぁ。残念だけど無いんだ、これでなんとか頼むよ」

平野「駄目だね……ククク、こんなものでは満足出来ない!」

P「あのさぁ……いい加減にして、どうぞ」

平野「そちらこそ、自分はお願いする立場だということをよく理解しなさい」

P「はぁ……あーもう分かった分かった! とっておきだぞ、本当はお前なんかに見せたくもない写真!」ピッピッ

平野「…………!!!!」

P「制服姿李衣菜だ! 落ちろ!」

平野「おッ、おッ……! か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛李゛衣゛菜゛ち゛ゃ゛ん゛」ガクガクガク

P「落ちたな(確信)」

平野「か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛李゛衣゛菜゛ち゛ゃ゛ん゛」ガクガクガク

P「おい、これでいいだろ。さっさと正気に戻れ」

平野「か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛李゛衣゛菜゛ち゛ゃ゛ん゛」

P「…………」

平野「か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛李゛衣゛菜゛ちゃ」

バチィン!(ガチビンタ)

平野「ハッ! 失礼、取り乱してしまった」

P「ったく……その写真で一体何するつもりなんですかねぇ」

平野「ファンがアイドルの写真を見てする事は一つしかないから(名言)」

P「あっ、ふーん……まぁお前一人で楽しむ分には勝手だが、絶対他人に流したりするなよ」

平野「それは李衣菜ちゃんのためにも約束しよう」

P「……じゃあ本題に入るぞ? 李衣菜の話は終わり、閉廷!」

平野「良いだろう。今の私は上気げだ、知っている情報ならば何でも教えよう」

P「俺が知りたいのは、328プロ所属の中野ってアイドルのことなんだが」

平野「うむ、中野くんの何が知りたいのかね?」

P「そいつの身辺っていうか、交友関係を教えてくれないか?」

平野「知らんな」

P「は? おい」

平野「中野くんのプライベートには謎が多い。私もリサーチ不足なのだ」

P「これマジ? 払った対価に大して情報がショボすぎるだろ……」

平野「……交友関係は把握していないが、一つとても貴重な情報を知っているぞ」

P「それは本当か!? 中野くんのことならなんでもいい、教えてくれ!」

平野「彼は昔まだ出張料理人として名が売れる以前、ゲイビデオに出演していたんだ」

P「は?(困惑)」

平野「私は趣味でゲイビデオを観賞するのだが、偶然、彼の出演作を見つけてしまってね」

P「おいおい、どっかの週刊誌がスクープしたら大スキャンダルになるネタだぞ。マジなのか?」

平野「またの機会でよければお見せしよう。中野くんを知る人物が見れば、100%本人だと断定する代物だが」

P「あっ大丈夫っす……」

P(中野くん、そんなヤバい過去があったのにアイドルになったのか)

P(まぁでも多田野たちだって出てるし、そもそもホモビ男優がアイドルになって何が悪いって話ではあるが……)

平野「他にはプロフィール程度の情報しか知らないが、それも話せばいいかな?」

P「いやそれはいい。それよりもう一つ、聞きたいことがある」

平野「何だ?」

P「GOがこの間のLIVEバトル負けて以降、信者たちの活動はどうなってる?」

平野「中野くんの次はGOか。三位決定戦でも見に行くのかね」

P「こっちの詮索はするな。知ってるなら早く話してくれ」

平野「GOの信者たちといっても一枚岩じゃない。信仰を続けるものや、目が覚めて信者を辞めたもの、様々だ」

P「一部の過激派は?」

平野「今のところ表立った騒動は起こしていないが、水面下で動きがあると聞いている」

P「…………」

P「だったら、GOが再び負けるのを危惧して対戦相手に近づくなんてことも、あるか……?」

平野「無いとは言えないだろう」

P「……」

P(なら、もしかしたら中野くんにGO信者たちが……)

平野「聞きたいことはそれだけか?」

P「ん、ああ、助かったよ」

平野「お互い様ですよ。しかしなにやら、お゜も゜し゜ろ゜い゜こ゜と゜に゜な゜っ゜て゜る゜よ゜う゜で゜す゜ね゜ぇ゜~゜、私も事情が知りたいところです」

P「だからこっちの詮索はするなって。そのための対価は払ったんだから──」

prrrrr!

P「おっと悪い、電話だ。もしもし?」

CER『あ、もしもし。智絵里です』

P「おう、どうした?」

CER『今、プロデューサーさんの手術が終わりました。無事に成功したみたいです』

P「そうか、良かったな。……こっちはまだ時間がかかりそうだ」

CER『あ……中野さん、家には居なかったんですか?』

P「ああ。でも絶対探しだして引っ張ってくるから、待っててくれ」

CER『分かりました……頑張ってください、お願いします』

P「ああ。んじゃ、また後で」pi

平野「誰からの電話だ?」

P「ん? ちえ……いやいや、お前に言う必要はないだろ」

平野「フォッフォッフォッ。失敗か、これ以上は何も聞かないでおこう」

P「だからさっきからそうしろっつってんじゃねーかよ(棒読み)」

平野「クク……あぁ、そうだ(唐突)。来週の決勝戦、楽しみにしているよ」

P「おう。ウチの三人をしっかり審査してくれよな」

平野「クククク、楽しみだなぁ……李衣菜ちゃんのステージ」

P「そっちかよ! もういい、じゃあな!」

バタン,タッタッタッ……

P(平野め、李衣菜をストーカーしたりしてないだろうな……っと、それより今は中野くんだ)

P(経緯は大分読めてきたが、まだはっきりしない事がある。こうなったら行く場所は一つ)

P(カーリーのマンションに行って、この事件の全てを確かめる……!)

とりあえずここまで

11時32分 カーリーのマンション

ガチャン,ウィー,スタスタスタ……

P「っとと、810号室……ここか。智絵里の言った通りエレベーターを出てすぐだな」

カチャ

P(鍵は開いたままか。管理人が勝手に閉めたりしてなくて良かったぜ)

キィーッ,スタッ,スタ,スタスタ……

P「散らかってるな……ッ!」

P(精液が床にべたーっと広がってやがる、気持ち悪い。しかしこれはよく調べておかないと……)スッ

P(ちょうどこの辺にカーリーの尻があったとすれば、これは中野くんが中出ししたのが逆流したものってことになるな)

P(……? なんだ、血が混じってるみたいだぞ)スーッ

P「ア!(スタッカート) 触っちゃった! 触っちゃったあああっ! 」ジタバタ

ステーン!

P「あいたたた……ついてないよもう……」スリスリ

P「ん、何か掴んだぞ。薬かこれ……? まぁいいや」スタッ


……

P「…………」

P(カーリーが倒れていた箇所の血と精液溜まり以外に手がかりと呼べるものは無かった)

P「まずい、ここに来れば全部分かるかと思ったがむしろその逆だぞ……ワケわかんなくなってきた」

P「落ち着け、考えを整理しろ……」

P(これが事故でなく事件だとすれば、犯人はほぼ間違いなく中野くんだ)

P(しかしだったら何故、カーリーはそれを隠そうとした?)

P(中野くんは何故、明らかな証拠であるこの体液を残して立ち去ったんだ?)

P(っていうか中野くんの居場所が分からないと、謎を解いたところで結局意味ないよな……)

P(どうする、どうする……どうする!)

P「……一つ、賭けてみるしかないか」

ピッピッピッ

P「もしもし、智絵里か? ……あぁ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど────」

正午

キィーッ……

「…………」

スタ,スタ,スタ,スタ……

「……?」

P「犯人は現場に戻ってくる……どうやら本当だったみたいだな。いや、ちょっと意味が違うか?」

「!!!」クルッ

バタン!カチャ、カチャ

P「よぉ。逃げられないように一応玄関の側に立たせてもらうぜ、中野くん」

中野くん「あなたは……」

P「レイプ犯のくせして意外と小心者だなァお前。あんなメール一つでノコノコやってくるとはな」

中野くん「これを送ってきたのはあなたですか」スッ

『お前がやったことは全てお見通しだ。警察に通報されたくなければカーリーの部屋に来い』

P「ああ、智絵里に連絡先を聞いたんだ」

中野くん「智絵里? あなたは一体……誰!」

P「知らないのかよ! 364プロのモバPだ覚えとけ!」

中野くん「モバP、そうかあなたが……」

P「そして確証は無かったが、これで間違いなくお前がカーリーを犯した犯人ってことだな」

中野くん「……さあ、何のことか」

P「おめおめここにやって来ておいて今さらとぼけるのか……(呆れ) だったら、自分が犯人でない証明は出来るのか?」

中野くん「……」

P「お前は今日の朝5時頃に自宅を出ていったと、アパートの管理人が証言しいてる」

中野くん「な……」

P「姿を見たわけじゃないが、お前の部屋の扉が開く音で分かったんだとよ。……犯人じゃないなら、それから今の今まで事務所にも行かず智絵里の電話にも出ず、一体どこで何をしていたか答えてみろ!」

中野くん「…………」

P「だんまりか。お前が今回の犯行に及んだ動機も全部分かってるんだぞ!」

中野くん「…………」

P「お前は少し前からGO信者たちの接触を受けていた。違うか?」

中野くん「……違う」

P「いいや違わない。これもアパートの管理人が目撃している」

中野くん「…………」

P「そこでお前はこんな風に言われたんじゃないか? ……『世間に過去をバラされたくなければ言うとおりにしろ』ってな」

中野くん「……!!」

P「売れっ子アイドルのお前がホモビなんぞに出ていた事が世間に知れたら、そりゃあ大変だよな」

中野くん「お、お前どこでそれを……」

P「勘違いするなよ、俺はホモじゃない。知り合いから教えてもらっただけだ」

中野くん「…………」

P「まだだんまりを続ける気か?」

中野くん「…………あぁ、そうだよ。俺はあいつらに脅されて、仕方なくヤったんだ」

P「はぁ~、あほくさ。嘘だけかお前はぁ!」

中野くん「なん、だと?」

P「確かにGO信者からの脅迫はあっただろう。しかしお前は、仕方なくどころかそれを喜んで引き受けたんだ!」

中野くん「何を根拠にそんなことを……」ハァ

P「ここにお前の契約書と、アイドルを辞めた後のつもりで書いた履歴書がある」スッ

中野くん「!?」

P「不法侵入ですよ不法侵入! これっぽっちも悪い気はしないがな」

中野くん「……その二枚が何だって言うんですか?」

P「この二枚はつまり、お前がもうアイドルを引退することを示している。……例えホモビ出演した過去を流されたとしても、その時もう芸能界から去っていればほとんどダメージは無いはずだ」

中野くん「確かにアイドルは辞めるつもりだったが……そんな過去をばらされていい人間なんていないですよ」

P「だったら尚更、ホモビ出演以上にたちの悪いレイプなんかに加担する理由が無いな。警察に行けばいいだけだ」

中野くん「く……そんなこと、俺が自分からレイプした証拠にはならない……!」

P「確かにそうかもしれない。だがこの血混じりの精液が語ってるんだよ……お前はレイプすることでカーリーに復讐したんだってな!」

中野くん「なにを馬鹿なことを……」

P「カーリーが手術したのは頭のケガじゃない、肛門だ。肛門がズタズタに犯されて、とても自力で排泄出来ない状態だそうだ」

中野くん「…………」

P「お前はおそらくセクハラを受けていた……そんなホモのカーリーを、二度とホモセックスが出来ないような体にしてやりたかったんじゃないか?」

中野くん「俺は……俺、は……!」

P「まだ言い訳するか?」

中野くん「……やめだ、あいつの事が嫌いじゃないなんてとても言えない」

P「認めるんだな、全部」

中野くん「まさかこうも早くバレるとはな……」

P「お前だって分かってたんだろ? この体液を残してしまった時点で遅かれ早かれだったって。だからここにやって来た」

P(っていうかここに来たから全部バレたんだけどな)

中野くん「あの時……行為に夢中になりすぎて時間が経っていたことに気づかなかった」

P「そう、そして智絵里からの『今から向かいます』というメッセージに焦り、慌てて家を出てしまったんだろ?」

P(智絵里はカーリーの家へ向かう際もきっちりメッセージを入れていたのだ)

中野くん「そこまで分かっているとは……メールに書いてあったとおり、全てお見通しという事ですか」

P「……いや、一つだけ分からないんだ。お前はどうしてカーリーの誘いを受けてアイドルになったんだ? その時は、まさかホモビの過去がバレるとは思ってなかったのか」

中野くん「その時は過去の事なんてどうでもよかった。それに……昔からあいつが本当に嫌いだったらアイドルになんてなりませんよ」

P「可愛さ余って憎さ百倍、か。どんなこと知らないけどさ、別にここまでしなくたって良かったんじゃないか」

中野くん「あなたには分からないですよ」

P「分かりたくもないね。そんなことより、もう観念して俺に着いてこい。行き先は警察じゃなくて、カーリーの居る病院だけどな」

中野くん「……それは出来ない」

P「出来ないってんなら、ここで警察に電話させてもらうね?」

中野くん「好きにしろ。今日のステージに立つのは……GO様の教えに背くことになる」

P「何……!?」

中野くん「ッ!」ダッダッダッ

P「お、おい待て! 8階だぞ! ベランダからは逃げられない!」

ガラララッ

中野くん「……」スタッ

P「まさか、ステージに立つくらいならここで死んでやるなんて言わないよな? 暴れんなよ、暴れんな……」

中野くん「さっきは全てお見通しと言いましたが、どうやら違ったようですね」

P「お前もGO信者だったのか……?」

中野くん「あなたは脅迫と言いましたがそれは違う……同志は、俺を正しい道に導いてくれた!」スッ

P「わ、分かった! 分かったから馬鹿なことは考えるな!」

P(クソッ、とっくに洗脳済だったってワケかよ!)

中野くん「……俺が来る前に色々物色してくれたおかげで見つけやすかったですよ」スッ

P「それは……俺がさっき見つけた薬? いつの間に……」

中野くん「同志が用意してくれた強力な睡眠薬だ。飲めば十秒で眠り、激しい衝撃が無ければ半日は眠るらしい」

P「お前まさか──」

ゴクッ

中野くん「あいつに使うのはもったいないと思って、その辺に置いたまま出てしまった。が、まさか……自分で、飲む……ことに……」フラフラ

P「おいっ! 寝るな! 寝たらぶっ飛ばすぞ!」ブンブン

中野くん「…………」バタッ

P「ふざっけんじゃねえよお前オラァ!」

ドン!

P「……っつー、壁を殴るもんじゃないな」

中野くん「…………」

P「何もかも放棄して逃げやがって……この野郎!」

バチィン!(ガチビンタ)

中野くん「…………」

P「ビンタじゃ駄目か……なら、マジでぶっ飛ばして……!」グッ

中野くん「…………」

P「クソっ、そんなこと出来るかよ……仮に起きたとしても、ステージには立ってくれそうにないしな……」スッ

P(12時15分。とにかくもう、一度病院に戻るしかないか……?)

中野くん「…………」

P「お前はそのままベランダで寝て風邪引け!」

ガラララッ,スタスタスタ……


……
………

とりあえずここまで

イニ義事務所

MY「……」スッ,コトッコトッ

遠野「あれ? まゆさん、お弁当が二つ……」

MY「プロデューサーさんの分も作ってきたんです。でも……」

遠野「……遅いですよね。電話かメールした方がいいんじゃないですか?」

MY「休憩の度にメールは送ってますけど、『ごめん、もう少しかかる』とだけ……電話には出てくれません」

遠野「そうなんですか……よっぽど忙しいんでしょうかね」

RN「……」

ガチャ

MY「! プロ……あっ、イニ義……さん」

イニ義「よう姉ちゃんたち、昼飯中に悪いな。調子はどうだ?」

RN「どうって……まあ、悪くないかな」

イニ義「そうかそうか。……ン? プロデューサーはどこ行った」

RN「プロデューサーは今ちょっと、仕事の都合で出てる」

イニ義「仕事だぁ? タカダ、あいつの今日の予定はどうなってる」

タカダキミヒコ「はい。この後は送迎で少し出る予定ですが、今は特に何も。お三方と一緒に食事しているものかと思っていましたが」

RN「違うの、プロデューサー急に呼び出されちゃったから」

イニ義「ンだと、いつから居ないんだ?」

RN「……朝、レッスンが始まる前から」

イニ義「あぁ!? あの野郎……どこで何してやがる」

タカダキミヒコ「調べさせますか?」

イニ義「そうだな。そっちの姉ちゃんも、気になるよなぁ?」ズイッ

MY「はい、気になります。でも」

イニ義「あぁん?」

MY「まゆはプロデューサーさんが今何をしてるかより、無事に帰ってきてくれるかどうかが心配なんです……」

イニ義「はっはっは。姉ちゃん、あいつはそんなにヤワじゃねえと思うぜ」

MY「それは、そう思いますけど……」

イニ義「ただ、詳しい事情も話さずフケてるのは気に入らねえな。タカダ、すぐに行方を追わせろ」

タカダキミヒコ「はい」スタスタスタ

遠野「別にフケてる訳じゃないのでは……?」

イニ義「あぁ?」

遠野「いっいえ……」

RN「……」

RN(プロデューサー、急いで片付けてくるんじゃなかったの? ……早く、戻ってきて)

364プロ

ガチャ

RIN「おはようございまーす!」

MUR「おっ、李衣菜ちゃん。ナオキに夏樹ちゃんもおはようだゾ」

NTK「あぁ、おはよう」

KMR「おはようございます」

MUR「……あれ? でも今日はイニ義の所からスタジオに送ってもらうって言ってなかったか?」

RIN「それがプロデューサーさんからメールが来て、こっちで大坊さんに送ってもらえって」

DB「何!? 俺にはそんな連絡来てないぞ!」

RIN「さぁー、どうせ暇だから大丈夫って書いてありましたけど」

DB「あいつ……ッ、ふざけるな!」

KMR「まあまあ。プロデューサーさん、どうやら急用が入って忙しいみたいですから」

NTK「電話にも出られないみたいだしな」

MUR「そうなのか?」

RIN「申し訳なさそうなのがメールから伝わってきましたよ。ほら」スッ

MUR「どれ……『ごめんな李衣菜、本当にすまない。でも仕方なかったんだ。これっきりにするから、本当に、本当にごめんなさい』……確かに」

RIN「でも何か変なんですよねー、なつきちとナオキくんには謝ってないみたい」

KMR「僕にも、サイン入りの私物を用意しておいて欲しいというメールがありましたが……どうしたんでしょうか」

DB「知るか! ……しょうがないから送ってやる、とっとと車に乗れ!」

RIN「わー、大坊さんなんだかんだ優しー」

NTK「というか、まだ時間早いんだけどな」

DB「チッ、どいつもこいつもふざけやがって! いいから早く来い!」

タッタッタッ,バタン!

RIN「やだ、大坊さん本気で怒っちゃったかな……」

MUR「今は色々あるから、あんまり茶化さないほうがいいゾ」

RIN「そうですね。それじゃあ行ってきます!」

NTK「来たばっかりだけど、じゃあな社長さん」

KMR「また」スッ

MUR「おう、いってらっしゃいだゾ~」

スタスタスタ……バタン

MUR「プロデューサー……何があったんだ?」

12時32分 病院

P「はぁ……」スタスタスタ

P(智絵里に連絡もせず戻ってきてしまったが、さてどうしたものか……)

P「カーリーの病室はここか」スタッ

P(…………)

P(やっぱり、引きずってでも中野くんを連れてくるべきだっただろうか)

P(絶対連れ戻すなんて大見得切っておいてこれじゃあ、あまりに不甲斐ない結果だ)

P(でもどうせステージには立ってくれないもんな。それに第一、俺がそこまでしなくたって……)

P(そうだよ、ここまでやったんだ。出来る限りの事はしたが駄目だった、それでいいじゃないか……)スーッ

「カーリーさん!?」

P(! な、なんだ?)

「目が覚めたんですね、良かった……」

P(カーリーの意識が戻ったのか。少し様子を見てから入ろう……)

カーリー「んん、ずぅ……」

CER「大丈夫ですよ、手術は成功しました。今、お医者さんを──」

カーリー「ま、待て……お前なんでまだここに居るねん」

CER「え? なんでって……誰かが側に居ないといけませんから」

カーリー「……中野くんとは連絡ついたんやな?」

CER「あ、いや、えっと……」

カーリー「そうか、やっぱりアカンかったか……」

CER「ちっ違います! えっと、実はモバPさんに頼んで──」

カーリー「モバPやと!? ああうっ!」ズキッ

CER「傷が開きますから! じっとしててください。……実は、モバPさんに頼んで探してもらってるんです」

カーリー「あのモバPが……」

CER「モバPさんならきっと大丈夫ですっ! すぐに中野さんを見つけて、ここに来ますよ」

カーリー「……すまん智絵里。それは多分、無理や」

CER「え……?」

カーリー「中野くんはもう、ステージには立ってくれないんや」

CER「ど、どうしてですか? 居場所なら、今モバPさんが探して──」

カーリー「そういうことやないねん。中野くんは、中野くんはな……」

CER「何か、あるんですか……?」

カーリー「ッ、さっきは事故言うたけど、本当はな……俺をこんな風にしたのは……中野くんやねん」

CER「えっ……え!? そんな……」

カーリー「……俺の事が嫌いだったんやと」

CER「そんなことっ! ……嘘、ですよね?」

カーリー「俺だって信じたくは無いし、本当は何か別の事情があるのかもしれんけど……これは、ホンマや」

CER「そんな……」

カーリー「すまんな。今日のステージを諦められんくて、さっきは無茶言ってしまったわ」

カーリー「でももう、ええねん……IU運営には俺が連絡するから、今日はもう帰りや」

CER「……ダメですよ」

カーリー「あのなぁ智絵里……悪いけどもう、無理やねん」

CER「どうして無理だって言えるんですかっ! モバPさんが今、一生懸命探してくれてます!」

カーリー「せやから、見つかったとしても中野くんは出ないって言ってるやろ!」

CER「そんなの……分からないじゃないですか」

カーリー「……本人が言ったんや。出るつもりは無いし、アイドルも辞めるって」

CER「でもっ! 会ってもう一度頼めば出てくれるかもしれないって、プロデューサーさんそう言ったのに……」

カーリー「…………」

CER「諦めたく、ないんです……私たちのステージを楽しみにしてくれるファンが居るから……プロデューサーさんにも、私を見て欲しいからっ!」

カーリー「!」

CER「だから、今日のステージには絶対……絶対、立ちたいんですっ……!」ウルッ

カーリー「分かった、分かったから泣くなや……モバPからの連絡があるまでは待ってみようか」

CER「ぐすっ……はい」

P「……」


P(カーリーがレイプを事故と偽って、警察へ通報させなかった理由がやっと分かった)

P(あれほどの事をされてなお、カーリーは心のどこかで中野くんを信じていた)

P(……そして何より、智絵里をステージに立たせたい気持ちが咄嗟の判断を下したんだ)

P(今も……現実はほぼ不可能だと分かっていながら、智絵里をステージに立たせたいと思っている)

P(智絵里だって、俺を信じて待っている……)

P(出来るかよ……! こんなに強くステージへ立ちたいと願うアイドルが居るのに、それを見過ごすなんて……出来る訳ないだろ!)

P(やっぱりカーリーのマンションに戻って中野くんを引きずってくるか!? いや……例え中野くんを連れて来ても、ステージに立ってもらえなきゃ意味がない)

P(問題は既にどうやって中野くんを説得するかじゃなく、どうやって智絵里をステージに立たせるかに変わっているんだ。それを考えなきゃいけない)

P(しかし何か手はあるのか……こうなったらいっそ、見た目だけ似てるそっくりさんでも探すか?)

P(いやいや、ダメだろ……まさかステージ上でずっと棒立ちさせてる訳にもいかないんだし、第一、そんな奴居るわけが──)

P「……!!!」

P(あった、あったぞ! たった一つだけ、本人が出てるのと全く変わらないように見せる方法が!)

P(成功する保証はないが、もうこれしかない。そうと決まったら……!)スッ


ガラララッ

P「智絵里!」

とりあえずここまで

CER「モバPさん!?」

カーリー「なんや、噂をすればやな……」

P「ケツは大丈夫かカーリー? まあ死にはしないんだからゆっくり治せよ」

カーリー「お前に心配してもらわんでもええわ! それより──」

CER「中野さんは!? 中野さんは、見つかったんですか?」

カーリー「どうやら付いてきてはおらんみたいやけどな……」

CER「じゃあ、やっぱり……」

P「なんだなんだ暗い顔して、誰が見つかってないなんて言ったよ」

CER「! それじゃあ」

P「当たり前やん! 今日の三位決定戦は、チェリークローバーがいただきだ」

CER「っ……よかった、よかったぁ……」ウルッ

カーリー「うせやろ……? お前いったい、どんな手を使って……」

P「そんなことが今どうでもいいだろ? 智絵里、ステージは何時からだ」

CER「はいっ。えっと、始まるのは15時からで、遅くても大体一時間前には会場に入らないとダメです」

P「そうか。んじゃまだ大丈夫かな……」

CER「……? 中野さん、まだ来られないんですか?」

P「あぁいや、そういう訳じゃないよ。とにかくカーリー、智絵里は俺に任せてくれ」

カーリー「……まま、ええわ。そのお人好しな性格を信じて今日は預けたる」

P「おう。それじゃあ行くぞ智絵里」

CER「はい。じゃあプロデューサーさん、ゆっくり休んでてくださいね。絶対……勝ちますから」

カーリー「ああ。……俺も見たいわ、智絵里がGOに勝つところ」

CER「はいっ!」

ガラララッ,スタスタスタ……

P「よし……智絵里、レッスンの時によく使ってたスタジオか何かあるか?」

CER「え? はい、それなら、事務所の近くに」

P「ならそこに行くぞ。中野くんともそこで合流するから」

CER「分かりました。あの、モバPさん」

P「ん?」

CER「中野さんは、何とも無かったんですか……?」

P「……ああ。元気だったし、なにもしてないよ。ただの寝坊さ」

CER「そうですか……分かりました」

P(カーリーから真相を聞いてしまってはいるが、それを肯定してしまうとまた面倒だからな……)

13時 レッスンスタジオ

CER「ここで待ってればいいんですか?」

P「ああ。もうちょっとしたら来るみたいだから」

CER「はい。えっと、あの……中野さんが来たら、すぐに会場に向かった方がいいですよね」

P「えっ! いや、それはちょっと待った方がいいんじゃないかな」

CER「……?」

P「中野くん、ちょっとレッスンがしたいみたいだからさ。30分ぐらい付き合ってあげてくれよ」

CER「え? あ、はい……分かりました」

P「んじゃ俺はもう戻るから、後は二人で頼むよ」

CER「はい! 今日は本当に、ありがとうございますっ!」

P「いいっていいって、また何か困った事があったらいつでも電話してくれ」

CER「はい、また……でも今度は、楽しいことで電話しますね」

P「ははは、そうだといいな。じゃあまた!」

ガチャ……バタン



P(……さて)スッ

P(後はなるようになれ……!)

ガチャ

CER「……! 中野さん!」

中野くん?「や、やあ智絵里ちゃん。遅くなってごめんね」

CER「あ、はい。あの……大丈夫なんですか? 体調とか」

中野?「うん。ただの寝坊だから、問題ないよ」

CER「そうなんですね。えっと、プロデューサーさんのことは……」

中野?「それは……モバPさんから聞いたよ」

CER「そうですか……あの、カーリーさんのためにも今日は頑張りましょう!」

中野?「うん! 絶対に勝とう!」

CER「…………」

中野?「どっ、どうしたのかな?」

CER「あの、なんで調理師の服なんですか? それになんか、ちょっと……」

中野?「い、いやぁ~慌てて、他に来ていく服がなくてさ。アハハハハ」

CER「そ、そうなんですか。……最後のレッスン、するんですよね?」

中野?「う、うん。じゃあ着替えるからさ、ちょっと後ろ向いてて」

CER「? はい」クルッ

スッ

中野?「はい、もういいよ」

CER「も、もうですか……っ!?」

中野?「おっ、どうしました?」

CER「一瞬で着替えて、あの、脱いだ服はどこに……?」

中野?「あっ……あっ、いや、ほら、そこにあるじゃん」

CER「えっ……? あれ? そこに私の荷物があったはずなのに……」

中野?「あああっもういいじゃないですか! ね? レッスン始めましょう」

CER「あ、はい。じゃあ、えっと、準備運動から……」

中野?「あっ、そういうのは時間無いからおいといてさ、とりあえず通して踊ってみてくれない?」

CER「え? わ、私一人でですか?」

中野?「うん。俺はちょっと眠気覚ましに見てるから」

CER「は、はあ……」スッ

キュッ,キュッキッ,ターン

中野?「なるほど、基本はこうなってるのか」

CER「え?」

中野?「あ、いや……」

中野?「……」

中野?(今から動きを全部覚えて、本番でミス無く踊ってみせる)

中野?(どんなに無理でも、智絵里をステージに立たせるためにはやるしかない……)

中野?「…………」スタッ

CER「あ、一緒に通してみますか?」

中野?「うん、やってみるよ」

CER「やってみる……?」

中野?「あぁいや、一緒にやろうか」

CER「はい。じゃあ、サビの前から……」スッ

中野?(……今の俺なら満更不可能じゃないかもしれんしな)



P野(サイバーZのベルトで変身、変装した俺なら、本人と同じようにステージで踊れるはずだ……!)

キリがいいのでこのスレはここまでにします

誤字脱字(その場で訂正したものを除く)

>>95
P「んで今日はもう解散! 終わり、平定!」
×平定 ○閉廷

>>160
P「専門の所に以来する金もないし俺と三浦さんですね。機材のレンタル費用は何とかしてください、オナシャス!」
×以来 ○依頼

>>176
P「いや、出演者専用仮説トイレがここの近くにあるんだ。トイレに行こうと思ったらすぐに分かるはずなんだが」
×仮説 ○仮設

>>195
ANZ「意気込みと言いつつ、夢を語っってしまった杏も恥ずかしいよ? 本当はね」
「っ」が一つ多い

>>256
「PVは以上ですそれではただいまより、第一試合を行います」
「PVは以上です」の後の句点が抜けている

>>262
P(な、なるほど。衣装のボタンは本物のクッキーだったのか。なんかマジシャンみたいだなざ)
文末の「ざ」は誤字

>>285
ONDISK「どのように受け取るかは自由です
「」を閉じてない

>>347
P(あの晩何もなかったと照明する手だては無いので納得して貰うのにとんでもなく時間がかかったが、謝り倒してなんとか、なんでもする事態にならず事が収まった……)
×照明 ○証明

>>356
P「間違っても洗脳れて敵になったりするなよ?」
×洗脳れて ○洗脳されて

>>360
P「ん、そうですね。みんなの仕事についての話しておこうと思ってな」
>仕事について『の』は誤字

>>371
P「え? や球の嬢ちゃんって、姫川の事か?」
×や球 ○野球

>>397
『特にその歌声。癒される、美しいなどともっぱら評価ですよ』
×もっぱら評価 ○もっぱら評判

『その歌声、少し疲労して頂けますか?』
×疲労 ○披露

>>436
P(ま、危険を犯して調べる必要も無さだけど。俺達を狙う殺し屋になった訳でもないし)
×危険を犯して調べる必要も無さだけど
○危険を冒して調べる必要も無さそうだけど

>>443
ぴにゃこら太「あっ、クソ、このっ……!ズリズリ
「」を閉じていない

>>492
サイバーP「なんのこったよ(すっとヴぼけ) その人ならあそこに居るじゃないか」カチッ
×すっとヴぼけ ○すっとぼけ

>>511
現場監督『(面が)太すぎるッピ……』
×(面が) ○(麺が)

>>512
サイバーP『おっと喉につまってしまいましたか? 先ほどドリンクまだまだありますのでどうぞ』
○>先ほど『の』ドリンク『は』まだまだありますのでどうぞ

>>515
サイバーP「すっとぼけんじゃねえよお前。人をガチの熱湯風呂なんかにぶちこんでさ。65℃℃ですって? 馬鹿過ぎる!」
>「℃」か一つ多い

>>516以降


>>542
P「いや……今度の奴ですよ今度の。一回戦の会場は予め全部発表されてますから」

MUR「どの会場になるかも分からないのに把握しておくなんて凄いゾ!」

訂正:P「いや……今度の奴ですよ今度の。一回戦は一つの会場で全部やりますから」

MUR「対戦の組み合わせも分からない内に把握しておくなんて凄いゾ!」


>>547
現場監督「IUの予選において君は364プロ演出を一人でほぼ全て担当した。普通はここまでやらないよ……特に君の場合、振り付けまでこなせるそうじゃない」
>君は364プロ『の』演出を一人で


>>575
NSDR「変態糞アイドル通の土方ざん、自身もアイドルとして活動している平野さん、そして今は引退された元トップアイドルNRKさんにお越しいだいております」
×土方ざん ○土方さん

>>638
RN「今日のライブは曲とか色々な事が私の意見で決まったから、その責任感を感じてたの」
×責任感を感じる ○責任を感じる


>>666
P「二人とも大丈夫みたいだな。ステージの指示はこっちスタッフがやってくれるみたいだし……」
>ステージの指示はこっち『の』スタッフがやってくれるみたいだし

P「わ、分かった分かった。最近散歩しようか」
>「最近」は誤字


>>683
P「同じ曲を何度やろうが、審査員も観客気にしない。むしろそれ一本で勝ち進んでる分潔いじゃないか」
>審査員も観客『も』気にしない


>>700
MY「大きい風が二回の吹いて、観客席が真っ暗になっちゃいましたもんね」
×大きい風が二回の吹いて
○大きな風が二回も吹いて


>>704
「おじさん達さ、グルーヴ名が人の頂っていうんだって?」
×グルーヴ名 ○グループ名


>>705以降


>>708
KMR「今回のような事にな限らず、ファンが大挙して押し寄せるなんてこともあり得るかもしれませんからね」
>今回のような事にな限らず
『な』は誤字


>>709
P「やっぱりバラエティで使えるじゃ無いか。木村式にらめっこだ」
×使えるじゃ無いか ○使えるじゃないか


>>818
CHR「なんですって……でも、IUのチケットそう簡単に何枚も手に入れられる物では無いですよ?」
>IUのチケット『は』そう簡単に何枚も


>>889
MUR「でも鈴木はオーディションに向けて練習始めた時からはノリノリ立ったし、木村も今では立派なアイドルだから分からないものだゾ」
×ノリノリ立ったし ○ノリノリだったし


>>900
RIN「やめてくだざい!」
×やめてくだざい ○やめてください


>>915
P「カーリーか! 遂にくだばりやがったな!」
×くだばりやがった ○くたばりやがった

おまんこ^~(次スレへの挨拶)

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