女僧侶「毎日のように女の子に買われてる私」 (14)


女僧侶「あの、お仕事くれませんかー? 私、回復魔法と風魔法が使えますよー」

< 「なんだ僧侶の嬢ちゃん、幾らでヤラせてくれんだ?」

女僧侶「ヤ……っ、私は娼婦じゃありません!」

< 「チッ、なんだよ」スタスタ…


女僧侶(うぁぁあ……駄目だぁ、誰も雇ってくれない)

女僧侶(昨日のクエストで足を怪我したせいで、まともに動けないんだもの……当然か)

女僧侶(それにしてもどうしよう、このままだと宿に泊まるお金が稼げない)

女僧侶(この足じゃ一日中回復魔法をかけても三日は治らないし……)

女僧侶(野宿は嫌だなぁ……)


< 「ねぇ、ちょっと」



女僧侶「はい?」

盾使い「回復魔法が使えるの?」

女僧侶「! は、はい! 使えます!」

盾使い「なら一週間分、買いたいの」

女僧侶「一週間……というと、パーティーを組みたいんですか?」

盾使い「駄目なら他を当たる」

女僧侶「いやいやいや、是非! 私ちょっと足を折ってしまってあまり動けませんが……」


盾使い「構わない、宿で待っていてくれればいい」


女僧侶「えっ」


【宿】


女僧侶「はぁ……」

女僧侶(結局、私を宿に置いてクエストに行っちゃった……)

女僧侶(盾職みたいだったけど、ソロでやってる人なのかな)

女僧侶(声からして女の子みたいだけど盾以外はただの身かわしの服とかだったし)

女僧侶(多分、怪我とか多いのかも)


< ガチャッ

女僧侶「あれ? もう帰って来たんですか……っ?!」


盾使い「ただいま、回復してくれる?」ポタポタ

女僧侶「大変! 血塗れじゃないですか!!」ガタッ


女僧侶「一体どんな無茶をしたらこんな姿になるんですか……っ」

盾使い「……」

女僧侶「……もう」


女僧侶(急所には当たってないけど、この傷は全て刺突によるもの……?)

女僧侶(炎属性でも付与した槍かな? 傷口が少し焼けてる)


盾使い「……血は止まった?」

女僧侶「はい、でもまだ皮膚が再生してません」

盾使い「ありがとう大丈夫」スッ

女僧侶「あ、そのままじゃ良くないですよ! まだ回復させないと……」

盾使い「大丈夫」スタスタ……

< ガチャッ

< バタンッ



女僧侶「結局……行っちゃった」

女僧侶(帰って来るのが早かったけど、何処で何をしてるんだろう)

女僧侶(クエスト? なら夕方になりそうだけど……)


< きゅー……ぐるる……


女僧侶(……お腹すいた)

女僧侶(前金として少しお金貰ったし、昼食でも買ってこようか)


【夜】


女僧侶(お、遅い……)

女僧侶(昼間は三時間くらいで戻ってきたのに、もう外が冷えてきた時間だよ)

女僧侶(まさか野垂れ死んだんじゃ……)

女僧侶(……)


女僧侶(部屋の鍵は開けて、先に寝ておこうかな……)スタスタ…

< カチャッ

女僧侶(そこそこ良い宿だし、まさか盗賊の類いに入られる事も無いでしょう)

【朝】


女僧侶「結局帰って来なかったのは……これ、もしかして……」

女僧侶(ギルドに届け出ないとまずいかも、クエストを受けていたなら何か分かるかも)

女僧侶(そうと分かれば……!)ガタッ




【ギルド】


ギルド員「盾使いの娘、ですか」

女僧侶「はい、黒髪で……私より身長が少し高くて!」

ギルド員「情報が少ないとかは関係なく、あの盾使いならギルドには所属してないよ」

女僧侶「そうなんですか?」

ギルド員「君は新人だから知らないだろうがね、あの娘は結構前から遺跡に潜ってるんだよ」

ギルド員「怪我が絶えなくてね、たまに瀕死で運ばれてくる事もある」

女僧侶「……」


女僧侶「その遺跡って、どこにあるんですか!」

女僧侶「この付近には無いですよね! だって、あんな傷を作るモンスターなんて見たことないです」


ギルド員「んー……それは教えられない」

女僧侶「……それは、どうしてですか」

ギルド員「遺跡の立ち入りは上位のジョブの人間にしか許されてない」

ギルド員「場所はおろか内部の情報も明かすことは禁じられていてね、悪いけど」

女僧侶「そんな……え? 盾使いの人は入ってるんじゃ」

ギルド員「本業は盾使いみたいだが、彼女のジョブはマスターモンク一級を持っている」

ギルド員「格闘戦なら間違いなく強いよ」


女僧侶「……」

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