みちる「コメダ珈琲店?」 (36)
P「2人ともおつかれさん。朝早くて大変だったろうがよくやったな」
飛鳥「朝のニュース番組というのは、あんなにも入り時間が早いんだね」
みちる「パンの仕込みも朝早くからなので大丈夫ですよ!」
P「あぁ、トークもCDの宣伝もバッチリだったぞ」
飛鳥「前乗りまでして出演する価値があると、そう睨んだ理由があるのかい?」
P「地方局の朝番という媒体は、まだ2人のことを知らなかった人達へのアピールになるからな。特にみちるは朝のニュースを見るような比較的上の年代からの人気も得やすいし」
みちる「なるほどー。でもどうしてあたしはその年代の方にファンが多いんですかね?」
P「これは想像だけど、みちるは親戚や近所のおじさんおばさんから可愛がれてるんじゃないか?」
みちる「そうですね、会うたびお菓子とかパンをもらえます! あたしが何か食べてるのを見るのが好きみたいです」
P「つまりそういう所だ」
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P「さて、午後に別件が入ってるが、それまでは時間に余裕があるな」
みちる「じゃあ何か食べましょう! あたしお腹空きました!」
飛鳥「起きてすぐパンを食べてたのに、もう空腹かい?」
みちる「お仕事の前後はしっかり食べなきゃですよ! 飛鳥ちゃんは飲み物だけで大丈夫でしたか?」
飛鳥「ボクは仕事に臨むときはある程度空腹の方が集中できるのさ」
みちる「あたしはお腹減ったらパンのことしか考えられなくなっちゃいますよ!」
P「どこかに寄ってブランチにするか。リクエストは?」
みちる「パン!」
P「みちるはそう言うと思ったよ。飛鳥は?」
飛鳥「午後もすぐ仕事だから、軽食程度に済ませたいかな」
P「2人の希望的にサンドイッチってとこだな。どこか適当な喫茶店にでもするか」
みちる「そういえば、さっきから同じ看板何回も見ますね。えっと、コメダ珈琲店?」
飛鳥「あぁ、コメダは名古屋に本店があるからね。全国展開しているが、おそらく愛知県は店舗数が多いんだろう」
P「東京でも見かけたことあるな。入ったことはないが名古屋がルーツの店だったのか」
飛鳥「いまの時刻なら……うん、せっかくなら入ってみないかい?」
P「俺は構わないけど、みちるはどうだ?」
みちる「あたしもいいですよー!」
P「それじゃあ次見つけたらそこに入ろう」
P「割とすぐ見つかったな。どんだけ店舗ひしめきあってるんだよ」
みちる「レンガ造りなのはどこのお店も同じで、見た目でもわかりやすいですね」
P「ここもそうだが、駐車場が広めなのも共通してたな」
飛鳥「確か、運転が苦手な主婦でも停めやすいように、との配慮だそうだよ」
P「なるほど。そこからこだわりがあるわけか」
みちる「スンスン……お店からコーヒーと焼きたてパンのにおい! 早く入りましょう!」
飛鳥「みちる、その前によだれを拭こうか」
店員「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
P「3人です。禁煙席でお願いします」
店員「それではこちらのお席どうぞ。後ほどご注文お伺い致します」
P「早速メニューを……お、まだモーニングやってる時間だな」
みちる「トーストとゆで卵のセットですね。ゆで卵はたまごペーストか小倉あんに変更できるみたいです!」
P「モーニングセットってお得感あっていいよな……あれ、セットの値段が載ってない?」
飛鳥「ふっ、コメダ初心者にありがちな発言だね」
みちる「どういうことですか?」
飛鳥「コメダはモーニングセットでなく、モーニングサービス。飲み物を頼めば無料でそれらが付いてくるんだ」
P「へぇ、つまりドリンク代だけでこれだけ食べられるのか」
みちる「すっごいお得ですね!」
飛鳥「そもそも喫茶店のモーニング文化は愛知県が走りで、そこから中京圏を中心に全国に広まったらしいよ」
P(若干得意げに話す飛鳥がやはり面白いな……)
みちる「プロデューサー、これも食べてみたいんですけどいいですか!」
P「ん? 何でも好きなもの頼んでいいぞ」
みちる「わーい! ありがとうございます!」
飛鳥「キミはそんな安請け合いをしていいのかい?」
P「朝から頑張ってくれたからこれくらいは構わんさ。飛鳥も好きに頼んでいいからな?」
飛鳥「ボ、ボクは別に……」
P「遠慮しないでいいからな? とりあえず注文するぞ」
店員「お待たせいたしました。ご注文は?」
P「ブレンドコーヒーをひとつ」
飛鳥「ボクもブレンドで」
みちる「カフェラテがないので……あたしはカフェオレをください!」
店員「モーニングはお付けしますか?」
P「全て付けてもらって大丈夫です。俺は小倉あんにしてみようかな」
みちる「ゆで卵お願いします!」
飛鳥「ではボクはたまごペーストを」
店員「かしこまりました。他にご注文ございますか?」
飛鳥「えっと、ミニシロノワールをひとつ」
P「なんだかんだ言って食べたかったんだな」
飛鳥「す、好きに頼んでいいと言ったのはキミだろう」
みちる「あたしは普通のシロノワールをください! あとハンバーガーとホットドッグとビーフシチューも!」
P「」
飛鳥「容赦ないね、みちる……」
みちる「好きなの頼んでいいんですもんね、プロデューサー?」
P「男に二言はねぇよ……」
飛鳥「キミは普段からみちるには少々甘くないかい?」
P「だって注文待ってるだけであんなに瞳輝かせてるんだぞ? あの幸せそうな顔見ると、つい許しちゃうんだよなぁ」
飛鳥「餌付けされてるのはどっちなんだろうね?」
P「それ以上はやめてくれ」
みちる「2人でなに話してるんですか? ほら、飲み物来ましたよ!」
店員「お待たせしました、ブレンドとカフェオレです」
みちる「なにか小袋もありますよ?」
店員「こちらお飲み物ご注文されますと無料でお付けする豆菓子となっております」
P「コーヒー1杯でモーニングにお茶請けまで付くとは、すごいな」
飛鳥「メニューに載ってないが、10円でおかわりも可能だよ」
みちる「ボリボリ……ほどよい塩加減でどんな飲み物にも合いそうです!」
P「みちる、お茶請けはそうやって一気に食べるものじゃないぞ」
店員「こちらがモーニングです。まずはゆで卵のセットのお客様」
P「あ、こっちで分けるんで全て机に置いてもらえればいいですよ」
店員「ありがとうございます。他のご注文の品も出来上がり次第お持ちしますので、ごゆっくりどうぞ」
みちる「早く食べましょう! パンは逃げなくても出来立ての美味しさは逃げます!」
飛鳥「このコーヒーとパンの香りは、否が応でも空腹を呼び覚ますね」
P「朝食抜いてこれは流石にな……よし、手を合わせて――」
「いただきまーす!」
みちる「フゴフゴ! 外がサクサク中はもっちりの理想的なトーストです!」
P「アンパンはたまに食べるが小倉トーストって初めてだな……うん、普通に美味いわ」
飛鳥「たまごペーストは完全なペースト状というより、ゆで卵を荒く潰したといった具合だ。さて、トーストとの相性は……言うまでもないか」
みちる「飛鳥ちゃん、口の周りにたまごのかけら付いてますよ? ……はい、取れました!」
飛鳥「み、みちる……言ってくれればボクが自分は取ったし、取ったものを食べる必要は無いんじゃないかい……!」
みちる「だってもったいないじゃないですか! 飛鳥ちゃんのおべんと食べちゃいました♪」
飛鳥「そんなキミも口の周りにたくさん付いているよ……ほら、趣向返しに取ってあげよう。動かずにじっとしててくれ」
みちる「ん……綺麗になりました? ありがとうございます!」
P(あの飛鳥が他人の口の周りを拭いてやるなんてな……みちるはしっかりしてるくせに庇護欲をそそるから無理もない)
店員「お待たせしました。ハンバーガーとホットドッグとビーフシチューです」
みちる「一気に来ましたよー!」
店員「シロノワールは食後のタイミングでお出しします」
P「お気遣いありがとうございます」
飛鳥「机に載りきらないから、というのも理由じゃないかな」
みちる「すぐに片付けますよ! まずはハンバーガーから……おっきいですね!」
P「この大きさにしては安いなぁ」
みちる「フゴフゴ! んん、じんわりこんがりバンズが最高です!」
P「ごくり……みちる、俺にもひとくちくれないか?」
みちる「いいですよ!ひとくちと言わずにどうぞ!」
P「ありがとう! はむっ……中のハンバーグと半熟目玉焼きの組み合わせが抜群だな。ソースも絡んで美味い」
みちる「次はホットドッグ……プロデューサー、ソーセージとコールスローどうぞ」
P「へ、なんだそりゃ」
みちる「あたしはパンが食べたかったので! フゴフゴ! なるほど、こっちのバンズはふわふわ度高めです!」
P「ソーセージもパリパリでうま……飛鳥、コールスロー食べるか?」
飛鳥「じゃあ頂くよ。みちる、パンが食べたかったということはビーフシチューも?」
みちる「はい、付け合せのバケットが食べてみたくて。ビーフシチューはみんなで食べましょう!」
P「ビーフシチューにチーズときざみ海苔が乗ってるって珍しいな」
飛鳥「そう怪訝そうな顔をしないで、まずは食べてみたまえよ」
P「そうだな、いただきます……ん、中央の白いのはチーズだけじゃない……マッシュポテトか?」
飛鳥「そう、コメダのビーフシチューはポテトサラダとチーズ、そしてきざみ海苔が入っている。これが中々奥深い組み合わせだよ」
P「ポテサラだったのか! いやしかし面白い組わせだな。それに、こんなに合うとは思わなかった」
みちる「バケットもサクサクでこれだけでも美味しいです!」
P「ビーフシチューを浸けて食べたらもっと美味しいと思うぞ」
みちる「それも美味しそうですけど、何もつけずに食べるとパン本来の小麦の風味がですね……フゴフゴ」
飛鳥「食べるか喋るかどちらかにしたらどうだい?」
P「ふう、意外と量があったな……みちるは平気か?」
みちる「ップハー! 全然大丈夫ですよ! カフェオレも美味しいです!」
飛鳥「全く、ボクと背格好はほとんど同じというのに……いったいどこに蓄えられているんだい?」
みちる「あたしも不思議ですねー。いくら食べても太らない体質なんで!」
飛鳥「誰とは言わないが、一部のアイドルが聞いたら黙ってない発言だね」
P「体系維持はパフォーマンスにも関わってくるから、これも一種の才能だと思ってるぞ」
みちる「えへへ、褒められちゃいました♪」
P「それでもみちるは成長期だ。いつその体質が変化するとも限らないから、ほどほどにな?」
飛鳥「同感だね。不変などという事柄はこのセカイには存在しないよ」
みちる「わかりました! じゃあ今のうちにたくさん食べておくますね! あははー!」
P「本当にわかってくれたのかな……お、デザートが来たみたいだ」
店員「シロノワールとミニシロノワールでございます」
みちる「うわぁー美味しそうです!」
P「並べると通常サイズはそこそこ大きいんだな」
飛鳥「デニッシュが厚いからパンケーキと比べると大きく見えるだろうね」
みちる「ではいただきます! あむっ……んー、熱々さくさくふわふわのデニッシュパンに冷たいソフトクリームがよく合います! 美味しいです!」
P「そっか美味いか、よかったな」
みちる「……プロデューサーも食べますか?」
P「いや、俺はお腹いっぱいだからみちるが全部食べていいぞ」
みちる「わーい! フゴフゴ! あー幸せですね♪」
飛鳥「お気に召したようで何よりだよ……ん、甘くて美味しい……」
P(女の子がニコニコして甘い物食べてるのっていいよなぁ……娘か妹って感じだけど)
みちる「食べちゃいましたねー」
飛鳥「ふぅ……食後のコーヒーはいいものだ」
P「なんというか、落ち着く店だな。食事を終えてもつい長居したくなる空間というか」
飛鳥「木とレンガを基調とした内装も落ち着いていて、温かみがあるからかな?」
みちる「わかります! なんかほっとする雰囲気ですよね!」
P「なんだか、みちるみたいだな」
みちる「どういう意味ですか?」
P「熱く心揺さぶるパフォーマンスもアイドルたる要素だが、見る人を和ませたり思わず笑顔にさせるのも大きな武器だ。みちるはそれに当てはまる」
飛鳥「見る者を和ませ自然と笑顔にさせる、か……」
P「みちるはパンが好きか?」
みちる「もちろん大好きです!」
P「そんな大好きなパンを食べているとき、とても幸せそうだ」
みちる「はい、美味しいパンを食べてるときが一番幸せです!」
P「うん。そしてみちるが幸せな顔をしてると、それを見ている周りも和んだり幸せな気持ちになるんだよ。よく餌付けされるって理由もここからだな」
みちる「そうなんですか……だったらあたしはどんどんパンを食べて、みんなに幸せをおすそ分けしますね!」
飛鳥「ふっ、本当にブレないね」
P「それがみちるの魅力だからな。よし、そろそろ出よう。午後も頼むぞ」
みちる「はい! ご馳走様でした!」
………
……
…
みちる「――ということがあったんですよ。どのパンも美味しかったです!」
法子「いいなーあたしも食べてみたいかも!」
みちる「お店は東京にもあるみたいなんで、調べて今度一緒に行きましょう!」
法子「うんうん! あとドーナツ屋さんも行こ!」
飛鳥「なんて会話を、2人ともパンとドーナツを食べ続けながら話してるね」
心「食べてる量はアレだけど、ずいぶんスウィーティーな話してんな☆」
飛鳥「しかし……あれだけ食べても太らないというのも、本当に不思議なものだ」
心「う、羨ましくなんか……!」
飛鳥「心さん、アイドルのしていい顔じゃないよ」
みちる「2人ともどうかしましたか?」
法子「何があったか知らないけど、とりあえずドーナツ食べれば落ち着くよ!」
みちる「あ、パンもありますよ!」
心「羨ましくなんかねー!!」
飛鳥「火に油を注がないでくれ……」
過去作
みく「炭火焼レストランさわやか?」
幸子「キャッツカフェ?」
ありす「喫茶マウンテン?」
みちるが食べてるところをひたすら眺める仕事に就きたい。
ここまで読んでくださった方に、シロノワールを。
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