みちる「いいですか、メロンパンというのはパン屋さんの魂の結晶なんです！」

P「そうなのか？」

みちる「まず、メロンパンはパンとクッキー生地の2つを焼く必要があります」

みちる「でも、２つの異なる生地を上手く焼き上げるのはとても難しいことなんです」

みちる「だからパン屋さんは何度も試行錯誤を繰り返し、少しずつ調整を重ねていって、ようやく自分だけのメロンパンを作り上げることができるんです!」

かな子「はぁ～……メロンパンも奥が深いんですね……」

みちる「それを別々にして売ってしまったら、メロンパンのアイデンティティが失われてしまいます！」

かな子「そこまで……」

P「そうだったか。俺はてっきりパンが無いことに怒っているのかと。」

みちる「まぁ、それも７割ほど」

かな子「結局そこなんだ……」

みちる「こうなった以上、我が大原ベーカリーでも対抗商品を打ち出しますよ！」

P「みちる」

みちる「なんですか？止めないでください」

P「『メロンパンのパン焼いちゃいました』ならやめとけよ？」

みちる「なんでわかったんですか!?」

かな子「そりゃあねぇ……」

P「よく聞け、みちる。こういう商品が出るっていうことは、これを求めているお客さんがいるっていうことだ。」

みちる「それはそうかもしれませんが……」

かな子「それに、メロンパンのパンだけ焼いてしまったら、それもメロンパンのアイデンティティを失うことになるんじゃないかな？」

みちる「！！　それは、確かに……」

P「だからな、相手に対抗しようとするんじゃなくて、お客さんの需要に応えることが大切なんだ」

みちる「・・・そうですね。あたし、大切なことを忘れていました」

みちる「パンは押し付ける物ではなくて、おいしく食べてもらう物です！」

P「わかってくれたみたいだな」

みちる「はい！　あたし、これから皆においしく食べてもらえる新商品を考えてきます！」

ｶﾞﾁｬ ﾊﾞﾀﾝ

かな子「あれ、これからお仕事・・・。」

P「・・・かな子、頼む。」

かな子「えぇ～～～～!?」

５日後．．．

かな子「あれからみちるちゃん見ませんね……」

法子「あたしも心配だなぁ……」

ｶﾞﾁｬ

P「みちる！」

みちる「出来ましたよ！　新商品！！」

みちる「見てください！『メロンパンクッキークリーム』です！」

かな子「『メロンパンクッキークリーム』？」

みちる「はい！メロンパンのクッキー生地をクリーム状にしたものです！」

みちる「これをオーブンで焼くと、簡単にメロンパンの皮風味のクッキーが食べられるんです！」

かな子「それって結構便利かも！」

みちる「さらにですねぇ……、ジャン！」

法子「食パン？」

みちる「パンにクリームをぬってトーストすると……」

ﾁｰﾝ

みちる「メロンパン風にして食べられるんです！」

法子「すごい！ 画期的だよ！」

P「メロンパンの皮だけを食べたいという需要を満たしつつ、パンの新しい食べ方を提供している……」

P「いい商品を作ったな、みちる！」

みちる「自信作です！ あははー！」

かな子「ところで、どこで売るつもりなの？ これも地域限定だと買えないし……」

みちる「ひとまず実家の大原ベーカリーに置きますが、通信販売も受け付けてますよー！」

法子「やった！」

数週間後．．．

P「すごいな、みちる！ ちょっとしたブームらしいじゃないか！」

みちる「それほどでもありませんよ！」

かな子「でも、新聞にも載ってるみたいですよ。」

法子「『町のパン屋さんから大ヒット商品！ 仕掛け人は看板娘!?』だって！ やっぱりすごいよ！」

みちる「皆さんのおかげですよ！ あはははー！」

かな子「わたしもよく使ってるからなぁ。クッキー作るときに便利で……」

法子「あたしもドーナツにつけてたべてるよ！ 結構イケるんだ♪」

P「俺は直接食べちゃうなぁ。これが美味しいんだよな、行儀悪いけど。アッハッハッハ！」

みちる「それで、パンには？」

P・かな子・法子「…………………」

みちる「なんという……なんという……」

完