男「に、ニートじゃねーし」 (26)
裁判官「こんばんは」
男「こんばんは」
裁判官「君は、死にました」
男「はい」
裁判官「君は、生前、ニートでしたね?」
男「あなたにとっての、ニートの定義は?」
裁判官「仕事につかず、教育、職業訓練をしていない若者」
男「では、私はニートではありません。私は42歳の中年でしたし、定職には付かずとも、私は金が必要なとき、コンビニでバイトをしていました」
裁判官「よろしい、では、あなたは良い人でしたか」
男「良い人かどうかは分かりませんが、私は誠実であろうとしました。私は嘘をつくのが苦手でしたし、私は顔があまりにも醜く、鼻の先に黒子があり、よくいじめられ、生涯童貞でしたが、私は自分が好きでしたし、身内を好きでいました」
裁判官「なぜ、自分や身内が好きだったのですか?」
男「私がそうしたかったからです」
裁判官「そうしたかった理由を、聞いているのです」
男「生きていたからです。人は欲のために生きているのでではなくて、生きているから欲があるって、聞いたことがあります」
裁判官「わかりました、厳正なる審査の後、判決を下します。判決は絶対です。例外はあんまりありません」
男「例外って?」
裁判官「高貴な宗教家とかです。質問は?」
男「ありません」
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少し時間が経った。
男「少し疲れたんですけど、椅子に座って良いですか?」
警備員「べつに良いですよ」
また少し経った。
男「………zzz」
警備員「………zzz」
また少し経った。
裁判官「判決が下りました。……起きなさい」
男「あ、はい。すいません」
警備員(ヤッベッッッッ、目を開けて寝る技覚えて良かった~~。教えてくれた先輩、ありがとう!!)
裁判官「では、あなたの判決は………」
男「………」
警備員(撮り溜めしたアニメ、なにから観るか……)
裁判官「特例により、あなたにはそのままの状態で、異世界に召喚されることとになりました」
警備員(ガチラノベ展開乙www)
男「そのままというのは、本当にそのままなのですか?つまり、容姿とか、記憶とか、その他もろもろ……」
裁判官「はい、その異世界は、慢性的な戦争が多数あり、しかも火薬や銃がある世界です。その世界で生きなさい。自殺は許されません」
男「はい……」
裁判官「では、これにて解散」
床が突然消え、男と警備員は落下していった。
男はとてつもない高度から、自由落下をしていた。
男(ブレイブ・ストーリーとかも、こんなでだしだったな……魔法とかで、地面で寸止めできるのかな?)
地面「やあ」
男(いや、多分寸止めとかないな……時間が遅くなってって、記憶がどんどんよぎるんだもん。走馬灯だよ、これ……この場合は、自殺に含まれないよな?ああ……地面が目と鼻の先……)
今日は、おやすみなさい。
警備員「あぶねえぇッッッ!!!」
警備員の背中にコウモリ型の翼が生え、男の腹部に抱きついた。
男「ぐはっ」
男(なんだこの衝撃は?ちぎれて、下半身とさよならするかと思った……)
警備員「あんた、大丈夫か?いま、ゆっくり下すから」
男「?っ」
警備員「?っ?まあ、気分悪いなら、寝かせたるからさ……」
男(ヤバイ、衝撃のせいで吐く……しかし、今だと警備員さんに掛かる……)
警備員「ほら、寝ろ」
男(もうヤバ……)
~~男ゲロゲロ中~~
警備員「あぶねえぇッッッ!!!」
警備員の背中にコウモリ型の翼が生え、男の腹部に抱きついた。
男「ぐはっ」
男(なんだこの衝撃は?ちぎれて、下半身とさよならするかと思った……)
警備員「あんた、大丈夫か?いま、ゆっくり下すから」
男「?っ」
警備員「?っ?まあ、気分悪いなら、寝かせたるからさ……」
男(ヤバイ、衝撃のせいで吐く……しかし、今だと警備員さんに掛かる……)
警備員「ほら、寝ろ」
男(もうヤバ……)
~~男ゲロゲロ中~~
?っ=うに濁点+っ
警備員「それにしても、いきなり抱きついて悪かった。しかし、それをせず、あんたを見殺しにするわけにはいかんし……」
男「いえいえ、命を助けて頂き、ありがとうございます。それよりも、警備員さんに嘔吐物がか掛かっていませんか?」
警備員「HAHAHA!大丈夫です。掛かってませんぜ!」
男「そうですか、よかった……」
空「快晴の平原だよ」
男「しかし、どこなんでしょうな。既に異世界ではあるはずと思うんですが」
警備員「そうですねぇ。こういう異世界ものは、知識とか特殊能力がもらえるもんですが……」
男「特に、そういうものはもらえなかったみたいです。今私は日本語を話してますが、言葉が通じなかったり、文字がよめないと話になりませんし……」
警備員「ああ、それなら私、力になれるかもしれまんぜ」
男「というと?」
警備員「まあ、さっきの私の翼をみてわかるように、私、悪魔なんですわ。あなたにこの世界における教養を与えましょう」
男「なるほど、悪魔の契約ですか……」
警備員「ええ、我々は宇宙の始まりの時代から、こういうビジネスをしておりました」
男「けど、私は死んで生き返ったばかりですから、金なんてありません。それとも、死後の私の魂の所有権ーー魂があると今は仮定してーーを売るとか?」
警備員「それでも良いですし、寿命10年とか、視力とか、頭皮の生命力とか」
男「じゃあ、安価で決めます」
1、寿命10年
2、五感の一つ(五感のどれにするかまた安価)
3、ハゲる
4、歯が全部抜ける
5、死後の魂を売る
6、その他
安価下↓10までで一番多いもの
3
男「おっ、なんか頭がスースーする」
警備員「頭、触ってみてくださいな」
男「うわ、毛がどんどん抜けていく……しかも、するっと抜けるのが結構くせになるな……ちょっと怖い」
警備員「どうです、あなたはもう、この世では博覧強記の知識人ですぜ。まあ、学歴はどうしよもないですけど.…」
男「知識が増えた実感はないですね。それより、鏡あります?」
警備員「あ、スマホあるんで、それで撮りますね」
男「じゃ、撮って下さい」
警備員「ハイ、チーズ」
男の頭は、後頭部はきちんと生え揃っているくせに、それ以外は湯気のような毛が生えているだけで、頭皮が丸見えとなっていた。
男「……随分とまあ、ハゲ散らかっていますね」
警備員「剃刀を買う機会があったら、剃髪してみてはいかがですか?」
男「そりゃあ、いい考えですね!じゃあ、刃物屋さんか床屋を探しましょう!……しかしそれには、金がかかるな……」
警備員(こいつ、まじカモすぎるwww)
警備員「髪を剃る剃らない以前に、先ず、ひと気のある所に移動せねばならんでしょう」
男「ああ、それなら問題はありません。どうやらここは、ある地主さんの牧草地みたいですよ」
警備員「へ?どうしてそんなことが分かるんで?」
男「いやいや、さっきあなた、自分に知識を授けてくださったじゃないですか。そのおかげで、ついさっきにここがどこか分かりましよ。ここの近くに、小さな宿町があるそうです。金はないですが、とにかくそこに行ってみましょう」
警備員「なんだ、もうだいたいの問題は解決しているじゃないですか」
男「いえ、働いて金を貯めるまで、ずっと野宿のです」
警備員「………」
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