「バトルには勝てませんが、ですが、自分の身は自分で守ることは出来るはずです」 (16)



カイヅカタウンに住む無職、シャムさんは今年で32歳になる。ある日、無為に時間を潰していた彼はTVに映るポケモンバトルを目にした。

『いけぇピカチュウ!でんこうせっかだ!』

『ピッカァ!』

よく分からん…分からんわ。だけどそのスタジアムに来ている観客の数や熱狂っぷりからこう確信した。



ポケモントレーナー…これだで!これこそが俺が望んだ大物Youtuberへの近道だで!と…。



かくして良い歳を過ぎたおっさんであるシャムさんはポケモンを極める(という建前で実際は有名になって助詞(女子)とコイニハッテンする)事に決めた。

自家用車を運転してカントー地方までやって来たが普段は父親の送り迎えや家族が使う事もあるのでお母さんに同乗して貰った。

マサラタウンまで来るとそこで下ろされ、帰りはお母さんのみカイヅカタウンまで帰るという手法である。

さて、シャムさんを下ろした所でお母さんがさぁ帰ろうとした時であった。

「おかあさーん!モンスターボール買うから、お金頂戴!」

車の窓際に戻って来たガイジ息子がそんな事をのたまっているのを見て、お母さんはこの穀潰しを見知らぬ土地に置いていくという僅かばかりの罪悪感も消えうせた。

無言でエンジンを掛け、去って行くRAV4。草むらに取り残されて佇むハエグラスを掛けた無職32歳。

「あれぇ!?丘people!?」

「おーい!そこの君!早く草むらから出るんじゃあ!」

警戒心0で突っ立っているガイジの元へと初老のお爺さんが近付いて来た。そう、彼こそポケモン研究界の権威オーキド博士その人であった。

因みにシャムさんは唐突に思いついた事を行動に移す傾向がある為、下調べは愚か、ポケモンについては

一杯居る事、モンスターボールで捕まえられる事、助詞トレーナーが居る事、程度の知識しか無かった。

なので彼の目の前に現れたオーキド博士の事も「自分の大ファンでいいかな?」位の認識であった。








という感じで誰かシャムさんがポケモントレーナーになって大失ぱ…成功するストーリー書いて

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>>2
おい!これってYO!もう逃げられないってことじゃんか!アッアッアッアッ………アッ……とりあえず書けるだけ書いてみるだで…

地の文は面倒なのでこっからは台本形式メインでスゥゥゥ…



オーキド博士「キミ!兎に角早くこっちへ来るんじゃ!危険じゃぞ!」

シャムさん「草むらが危険ってどういう事だで」

防衛本能や危機察知力が0のシャムさんの背後に迫る影、それに気付いた博士は直ぐ様腰に付けていたボールを投げる。

オーキド博士「君はポケモンを持ってないだろう?むっ……いかん!いけ、リザード!」

リザード「リザーッ!」ボゥン!

オーキド博士「リザード!きりさく攻撃だ!」

鋭い爪の一撃でシャムさんを狙っていたアンチ、もといコラッタが地に倒れこむ。

シャムさん「おい!これってYO!ポケモンバトルって奴じゃんか!アッアッアッアッ!」

オーキド博士「(何かズレとるな…この男…)、まぁ無事でなによりじゃ。戻れリザード」

ボールのスイッチ部から赤い光線が出、リザードを戻す博士。シャムさんは足りない知能で今ようやく理解した、これはポケモンバトルなのだ!と。

シャムさん「よーし!俺もポケモンバトルやるだで!」

しかしシャムさんのてもとにはポケモンはいない。ついでに財布の中には帰る為の費用どころか、モンスターボールを買う金すらなかった。

シャムさん(こんなことならパティシエの勉強になると思って濃いリッチプリンとかイーミーアルのゼリー買いすぎなきゃ良かっただで…)

オーキド博士「何やら訳ありのようじゃの…仕方が無い、ワシの研究所に寄っていくといい」

本当は既にガイジオーラを察知していた博士であったが、人が良い性格が災いして建前でもシャムさんのこう言わざるを得なかった。

シャムさん「やったで。」


オーキド研究所 inじゃねーの!?


オーキド博士「それで…キミは何故ポケモンも持たずにあんな所におったんじゃ?」

シャムさんの拙い説明と半無限ループによる会話のせいで頭の良い博士ですらシャムさんの事情を理解するのには40分の時間を要したのである。

シャムさん「素敵な人に出会うには時間がかかるっていうだけですから。忍耐、あとは忍耐…あとは忍耐と…、あと覚悟…ですね。それさえあればいけると思います」

既に事情の話から脱線して自分の恋に関する話題へとシフトしていたシャムさんの妄言を聞き流しつつ、博士は一刻もこいつをマサラタウンから追い出した方が良いと判断した。

オーキド博士「ではこうしよう、キミにはワシからポケモンを1匹やろう。それで晴れてキミもポケモントレーナーじゃ!」

本当は一匹もやりたくなかったが必要な犠牲と割り切った博士は渋々シャムさんの前に3つのモンスターボールを用意したのだった。


シャムさん「おい!これってYO!モンスターボールじゃんか!」

しかしシャムさんは耳が時折難聴になる為、博士が「ポケモンをやる」と言う発言を完全に見落としており、モンスターボールを3つくれたものだと勘違いした。

オーキド博士「うむ、中にはポケモンが入って…ちょ、ちょっと待つのじゃ!持って行って良いのは1匹だけじゃ!」

シャムさん「なんでYO!」ボール3つ持ち

オーキド博士「な、何でって言われてものぉ…」

40分のやり取りで博士は先ほど以上に理解していた、こいつやべぇと。

シャムさん「いやーほならね?最初からボールは1つだけ出せって話でしょ紛らわしい、私はそう言いたい」

ガイジ発言にピキッと来た博士だが、もうこれ以上関わりたくないのでその3匹を諦め早々にお引取り願うことにした。判断としては正解だが、一番は草むらで話しかけず放置するべきだった。

再びマサラタウン inじゃねーの!?

シャムさん「いやぁ~モンスターボールをいきなり3つも手に入れるなんて…やっぱ俺持ってるぜぇ~!」

確かに持っている、頭にSを。そして中にポケモンが入っている事は未だ理解していないシャムさん。

お姉さん「あら…お爺様の…お仕事関係の方ですか?」

研究所を出た所で会ったのは美人のOL、もとい助詞。彼女はオーキド博士の孫娘であるがシャムさんには助詞である事実以外全く無意味である。

シャムさん「おほぉ^~(勃起)」

お姉さん「えっ…!?」

モンスターボールを両手に抱えたまま、不気味な鳴き声と共に下半身を前方へ突き出して反り立ったつのドリルで興奮を体現する無職。

お姉さん「あ…あの…」

シャムさん「私の声からして、私のことをイケメンと想像していたみたいですが、残念ながら私はイケメンではございません。ですが、心はイケメンでございます」

お姉さん「ひぃ…!た、助けてっ!ブースターッ!」

怯えるお姉さんに迫るガイジ、危機を感じ取った彼女がつい腰に付けていたポケモンを出して攻撃してしまったとしても誰も非難は出来ないであろう。

ブースター「ブスタッ!」ポンッ

お姉さん「ぶ、ブースター!かえんほうしゃよっ!」

シャムさん「あれぇ!?丘people!?」

突如現れたブースター(というようにシャムさんには見える)に対し、ようやく危ないという単語を思い出したシャムさんは胸に抱えていたモンスターボールを






シャムさん「ポケモン!ゲットだで!」






火を噴いているブースター目掛けて投擲した。


ブースター「フギュッ!?」

モンスターボールというのは存外、頑丈に出来ているものである。ブースターの顔面にゴッ…!と鈍い衝撃を与えた後地面に落ちると

カイロス「ゴギーガッ!」ボゥンッ!

ボールの中からカイロスが飛び出した。然し前述したようにシャムさんには大してポケモンの知識はない、そこから導き出される結論は…

シャムさん「でっかいクワガタだで!」

小学生並の感想であった、自分のポケモンだという認識すらない為命令すら出さないガイジ。そんな光景を余所にロケット団すらしないような攻撃を受けたブースターを案じて駆け寄るお姉さん。

お姉さん「ブースター!大丈夫!?」

ブースター「ぶ…ブー…」

お姉さん「酷い…い、幾らこっちからいきなり攻撃したからって…ポケモンが入ってるボールをぶつけるなんてっ!」

ポケモンを出していない相手に攻撃をするのもルール違反(今回は100%シャムさんが悪いので別にお姉さんは悪くないのだが)とはいえ、ポケモンが入ってるボールで相手のポケモンを攻撃するという信じられない行動をするシャムさんを睨みつけるお姉さん。

シャムさん「???俺、いやわたくし…我が家は…ポケモン持ってないだで?」

お姉さん「何言ってるのよ!現にカイロスがあなたの投げたボールから出てきたじゃないっ!」

シャムさん「???」

シャムさんはお姉さんの発言と現状を頭の中で整理した、そしてある1つの事実に辿り着いた。「あの博士が俺に嫉妬してこんな罠を仕掛けたんだ!」と。

お姉さん「バトルがしたいなら…そう言ってくれれば良いじゃない!それなのに…あんな…」

年下の助詞にここまで言われてしまい自分が不甲斐ない存在だと思われてしまうと焦ったシャムさんは自分の名誉(実は最初からそんなものはないが)を守る自衛行動に出た。



シャムさん「いやいやそれはさ、それはキミの甘えじゃないか?ということや。そんな…甘えた時点で、キミはポケモントレーナーとしてしか、失格だ!と思ったんです」



それだけ言うと残りのモンスターボールを抱えたまま、カイロスのボールを回収せず逃げるように去って行くシャムさん。お姉さんとシャムさんを交互に見た後、一応その後ろを付いて行くカイロス。その場にはへたり込んだお姉さんとブースターだけが残されたのであった。


トキワシティ inじゃねーの!?

数時間後、シャムさんはマサラタウンから少し離れたトキワシティへと到着していた。道中、ポッポやコラッタが出たが(意図的でないとは言え)カイロスを出したまま移動するというピカチュウverみたいな真似をやってのけた為、警戒したレベルの低いポケモン達は近付いてこなかった。

シャムさん「ここが新しい街だでか、ところでこのクワガタは何で付いて来てるだで?」

カイロス「ゴギィ…」

カイロスは虫系という事もあってそこまで賢い訳ではなかったが、それでもシャムさんよりはずっと賢かった。故に既に理解していた、「このトレーナーガイジじゃろ…」と。

シャムさん「まぁ良いだで、クワガタとかセミとか夏っぽいし」

女の子「ちょっと待った!」

意味不明な発言をしつつ、カイロスを出したまま街中を闊歩しようとした無職32歳を呼び止める助詞。振り向くシャムさん。

シャムさん「何でしょうかねー?私のファンでしょうか?」

女の子「あんた!こんな街中でポケモンを出したまま歩くなんて…し、しかもそれカイロス…虫ポケモンじゃない!さっさとしまってよっ!」

PTAに後から苦情が来そうな格好をした助詞がシャムさんを指差して大声で叫んでいた。見た目は悪くないが気が強そうである。あんまりシャムさんの好みではない。

シャムさん「んーまぁどっこいどっこいやな、どっこいどっこい。60点」

女の子「…?あのね!訳わかんない事言ってないでさっさとしまいなさいってば!」

失礼な発言であったが文法がおかしいシャムさんの発言は相手に真意が伝わらずに済んだ。別にポケモンを出して歩くのは悪い事ではない筈だがこの助詞もやたら粘る。

シャムさん「いやねー?あんまガミガミ言っちゃうとね、嫌になるでしょ?」

女の子「……は?」

ここに来て、ようやくこの助詞も目の前の男が正常ではない事に気付き始めた。しかしシャムさんに話し掛けてしまったのが運の尽きである。

シャムさん「それにYO、なんで俺より年下の、俺より年下のトレーナーの話を聞かなあかんねん…って思ってたけどさ。今聞いた後に?」

女の子「……」



40分くらい話したかな?



シャムさん「ナツメがね、あの~聖奈さんの制服…着さしたわか わけです想像で。そしたら…見事に、リアル聖奈さんになったっちゅーことで、そっから…え~ナツメ推しになっちゃいました」

ナツメは女優としてTVで見た事があった為、自分の良いように妄想するシャムさん。因みに彼女はジムリーダーなのだが当然知らない。

女の子「……」

逃げ出そうにも自分からいちゃもんを付けてしまった手前、引き下がれずガイジの話を延々聞かされ続けた女の子。自業自得とはいえシャムさんの妄言、夢の話を半無限ループで聞かされるのは少々酷であった。そして未だ幼い彼女も理解した、「この世には関わってはいけない人間?もいるのだ」と。

シャムさん「あれ、なんか足りねえなあ~。物語的に何か足りねえなあ~、と思うんですよ、自分的に。でそれが何かと言ったら…やっぱり「お笑い」ですね。お笑いが足りない(中略)「おふざけ」が足りない」

女の子「あ…あの…もう勘弁して下さい…これ上げますから…」

そう言って女の子が差し出して来たのはトレーナー達が求めるバッジの1つ、「ブルーバッジ」であった。しかしシャムさんがそんな事を知る訳が無い。なのでシャムさんが「俺のファンでプレゼントを持ってきてくれた」という大変都合の良い判断を下すのは当然と言えた。

シャムさん「あ、今俺の話でキュンと来たね?」

女の子「ひぃぃぃぃっ!!!」

とうとう我慢出来なくなった女の子はバッジをシャムさんに投げつけ、恥も外聞も無く慌てて逃げ去っていった。涙目で。

シャムさん「いやーモテる人は大変ですね、モテすぎて(笑)」

1人とはいえ、自分に助詞のファンが居るという事実(妄想)に気を良くしたシャムさんはそのままトキワの森へと足を進めるのであった。


トキワの森 inじゃねーの!?

シャムさん「ほほぉ^~、こんな凄い森ならカメラ持って来れば良かっただで!ここで俺のPV作れるジャァン!」

カイロス「ご…ゴギギ…」

道中、ポケモンバトルが何度か行われたがシャムさんは相手のトレーナー(全部自分より年下)の発言にいちいち反論し、バトルとは呼べないバトル(シャムさんが余所見、ひたすらカイロスが自主的に戦うというサイクル)をこなしてようやく出口付近まで来たのであった。全てはレベルが結構高かったカイロスと、相手が繰り出してきたのが殆どとトランセルだったという幸運があったからだが...。

シャムさん「…!そうだで、せっかくいっぱいポケモンが居るンだから1匹くらい捕まえるだで!」

ここに至ってようやく当初から持っていた唯一まともなポケモン知識がシャムさんの記憶の封印から解放される。博士から貰ったポケモン入りのボールは何処かで落としてしまったが、先ほど拾った空のボールもあって珍しくガイジの提案が的を得た瞬間であった。

シャムさん「よーし、ポケモン出て来るだで!」

しばらく草むらをかき分けて進むその先には何とシャムさんでも知っているポケモンが木の下で休んでいる最中であった。

ピカチュウ「ぴかぁ…」すやすや

シャムさん「ピカチュー!ピカチューだで!!!よーし!ゲットだで!!!」

正しくはピカチュウである、しかしシャムさんには名前などどうでもいいのだ。TVに出てたトレーナーみたいにピカチュウを持っていれば助詞にモテる、それだけが全てなのだ。

シャムさん「いけええ!モンスターボール!!!」

シャムさんが投げたボールは青色、なんとスーパーボールであった。何故トキワの森の段階でこんなボールが落ちていたかは不明だが、シャムさんにモンスターボールのランクなど分かる筈が無かった。無知ゆえの不幸である。

ピカチュウ「…ピ?」

そしてこのピカチュウも不幸であった。よりにもよって捕まりやすい寝ている状態に加え、捕獲率がそこそこ良いスーパーボール、しかも狙いが偶々完璧だったせいで回避する暇も、尻尾で弾く態勢すらも取れずボールは額にコツンッ!とヒットした。赤い光と共にピカチュウがボールの中に吸い込まれる。

シャムさん「やった!やったで!」

カイロス「…」

まだ捕まってないのだが興奮するシャム、ピカチュウの今後を憐れむカイロス。スイッチ部が赤く光ったまま、もぞもぞと動くスーパーボール。



カチッ…! やったー!ピカチュウ を つかまえたぞ ! ▼


シャムさん「これで俺は今まで以上に助詞にモテてしまうんだでか(笑)」

本来ならばここでポケモン図鑑の解説とニックネームの説明が入るのだが、シャムさんは図鑑を持ってない上にオーキド博士の説明も全く頭に入っていなかったのでそのまま先へと進む事になった。

今日はここまでだで…っていうか続くか分からんだで…

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