【モバマスSS】お題は星の数だけ 9夜目 (200)

皆さん台風は大丈夫ですか?
雨は嫌いではないですが、台風は大嫌いです……
それでは>>3のお題を頂戴します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471863982

スポンサーに強引にホテルへと連れられる他事務所新人時代のみく

それでは「スポンサーに強引にホテルへと連れられる他事務所新人時代のみく 」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶって頂ければ……

テレビで見たキラキラとした女の子

歌にダンス、それに……とっても可愛い

小さいころから憧れて、みくもこんな風になりたいってずっと思ってた

でも、身長も低くて、胸もぺったんこ

こんなちんちくりんじゃ受かるはずがないって思って

ご飯をたくさん食べて、運動も頑張って、勉強も……ほどほどに頑張った

高校に進学して、ようやく自分が思うスタイルに近づいたころ

みくはスカウトされた

「アイドルに興味ないですか?」

正直めっちゃテンション上がった

うわー! どうしよう、飛び上がっちゃうかもしれへん

ううん……そんな軽く見られるのも癪だ

そう思って返事は冷たくしておいた

「すみません、そういうの興味ないので」

相手はどう出るのかな?

これは一つの賭けと言ってもよかった

「待ってください! 君ならきっと良いアイドルになれる」

……お話しだけでも聞いてみよう、良いよね?

「お話しだけですよ?」

顔が綻んでしまいそうになるけど耐える

「わかりました、では近くの喫茶店にでも」

こくりと頷いて返事にした

内心、うわー! とか、きゃー! とか思ってるけど、声にだしちゃ駄目

連れてこられたのはお洒落というか落ち着いた喫茶店

雰囲気からして高そう……

「お好きなものを注文してくださいね」

にこりと笑う男性は大人の余裕を見せていた

メニューをぺらりとめくって、初めに目についたケーキセットを注文した

「では私はコーヒーを」

当然の様にブラックで飲んでいる男性を見て顔をしかめる

あんなん苦いだけでしょ……

それから、色々とお話をした

相手は聞き上手で、気付けばみくのことをたくさん話していた

小さいころからアイドルに憧れていること、そして、アイドルになりたいこと

うんうんと頷き、笑顔を浮かべる男性

今思えば完全に相手にペースを握られていた

けど、みくの今まで我慢していた気持ちは止まらなかった

「みくさんのお気持ちはわかりました、良かったらこの番号に連絡をください」

渡されたのはプロダクションの名前と男性の名前が入った一枚の名刺

「会計は済ませておきますので、みくさんはごゆっくり」

こちらの返事を聞く前に男性が席を立つ

……実を言うと、名刺に釘付けになってそれどころじゃなかった

○○プロ、テレビでも割と名前を聞くプロダクション

叫びたい嬉しさを抑えて、アイスティーを一口飲んだ

――後日、悩むことなく連絡を入れると面接に来てほしいと言われた

「わぁ、大きな建物……」

見上げるほど大きなビルが目の前にある

すぅ、はぁ、と深呼吸を一つ

大丈夫、面接の練習もしたし、アイドルになりたい気持ちは誰にも負けないつもりだ

「よーし!」

ほっぺたを軽く叩いて気合いを入れる

ここまで来たら止まることはできないもんね

「では、明日からよろしくお願いします」

にこりと笑う、先日に会った男性

……あまりに緊張しすぎて、面接の内容を覚えていない

「は、はい! よろしくお願いします」

ぼーっとしている頭をむりやり動かして返事をした

みく、アイドルになれたんだよね?

これで憧れていたアイドルになれたんだ、そう思うと、自然と涙が出てきた

次の日からみくはアイドル見習いとしてプロダクション所属になった

レッスンはとても辛かったけど、たった一つの気持ちがみくを動かしている

アイドルになる、この気持ちだけが

泣いちゃう日も多くなったけど、今頑張ればきっと……って、そう思ってた

レッスンにも慣れてきたときに、プロデューサーから話を持ち掛けられた

「みくさん、スポンサーさんに会ってみませんか?」

スポンサーさんって、あのスポンサーさん?

「えーと、出資者……協力してくれている人って感じかな」

偉い人だよね? でも、みくに関係なくない?

「スポンサーに宣材写真を見せたらえらく気に入ってくれたんです」

「みくを?」

「ええ、そうです」

これってもしかしてチャンスってことかな

「みくさんにプラスになると思います」

笑顔で答えるプロデューサーに頷いて返事をした

……後戻りできるなら、断っておけば良かった


スポンサーさんに招待されたのは高そうなレストランだった

みくみたいな学生にはまったくもって似合わない場所

うわ……メニューが読めないんですけど

「あはは、みくさんは食べられないものはありますか?」

名前も知らないスポンサーさんが笑いながら話しかけてきた

「お魚が食べられません」

そう言うと、少しびっくりした後に

「そうですか、ギャップが可愛らしいですね」

と、笑われちゃった

「みくさんはどうしてアイドルに?」

運ばれてきた前菜にどう手を付けようか悩んでいた時に、ふと、質問された

「ちっちゃい時に見たアイドルに憧れて……」

愛想笑いで返す、それよりどうやって食べるのこれ……

「そうですか、しかし猫キャラと言うのですか、みくさんのスタイルは」

「あはは、それも子供のころの影響です」

流石に今は『にゃ』とか言えないでしょ

はぁ……美味しかった

お肉と甘いものが食べられたから満足

食後の余韻に浸っていると、スポンサーさんが

「もう一軒どうですか? みくさんのことをもっと知りたいんです」

んん……時間を確認すると午後八時、まだ大丈夫だけど……

美味しいものごちそうになったし、いっか

それに自分を売り込むチャンスだしね!

タクシーに乗ること数分、これはバーって言うのかな?

ここも高そうな雰囲気……大人ってお金持ってるんだなぁ

「どうぞ中へ」

エスコートされて中へ入ると、お洒落家具と照明で飾られた空間

「こちらに掛けてください」

おずおずと柔らかそうなソファに座る、うわ……ふかふか

「みくさんはソフトドリンクにしておきますね」

ジュースのことだよね

「はい、お願いします」

横文字でなんやわからないけど、注文をお願いした

二人のドリンクが揃うと

「では、乾杯をしましょうか」

乾杯って言われても何に乾杯するんだろ

「何に乾杯するんですか?」

「それはもちろん、アイドル前川みくさんに」

気障っぽいセリフだけど、こういうの似合う人がいるって初めて知った

ち、ちょっと恥ずかしいけど……

グラスを恐る恐る持ちあげて

「「乾杯」」

何だか大人になったような不思議な感じ

ドリンクに口をつけると、美味しいけど、飲んだことがない味がした

「そうですか、みくさんはそんな経験が……」

んー……何か体が熱い、それに頭がぽやぽやする

空になると運ばれてくるドリンク

綺麗な色でとっても美味しい

飲めば飲むほど、気持ちがふわふわして気持ちいい

「そうにゃ、やっとアイドルになれたんだもん」

いつの間にか素の口調が出ちゃったけど、もういいや

ふわー……くらくらするー

「みくさん?」

心配そうにこっちを見てくるスポンサーさん、そもそも何て名前やのあんた

げらげらと笑うみくを見て

「そろそろ送りますね」

にやりとキモチワルイ笑い方をしたような気がした

ちょっと! そんな引っ張らないで

こいつ、何で勝手にみくの手ぇ掴んでるの?

そんな強気に思っても、体と頭がふわふわして

引っ張られるまま、どこかに連れ込まれた

「さぁ、着きましたよ」

ここどこ?

大きなお部屋に大きなベッド

間違いなく自分の家じゃない

「おうち帰る」

お母さんに電話しとこ

そう思ってスマホに手をかけた時

大きな手が、乱暴に、みくの肩を掴んだ

「おい」

とても冷たい声、相手を威圧するような怖い声

ゆっくりと前を向くと、先ほどまでの笑顔が嘘のような

歪んだ笑顔をしたスポンサーさんがいた

「痛いっ! 離して!!」

ぎりぎりと肩に食い込む手が痛い

振りほどこうとするけど、力が全然入らない

「大人しくしておいたほうが良いですよ」

まるで舐めるように見つめられて、ぞわりと鳥肌がたつ

どうしよう、かなりまずい気がしてきた

「宣材写真より大きいですね」

大きな手がみくの胸を鷲掴みする

「やぁっ!」

全然優しさなんてない、ただ、無理やり触るだけの行為

こんな奴なんかに……

ほいほい付いてきてしまった自分にも腹が立つ

「女性の泣いている顔って素敵だと思いませんか?」

悔しくて、ムカついて、怖くて……目の前がぼやける

でも、泣き声は聞かせてたまるもんか

力はまだ入らないけど、絶対に反撃してやる

そう決めて、みくの体を好き放題触っているこいつを睨む

「我慢できなくなってきましたね」

そう言って、みくの体から手が離れた瞬間

相手の顔を思いっきり引っかいて、所かまわずキックをする

とっても柔らかい感触を足に感じると

「ぐっ……」

相手が蹲って動かなくなった

今しかない、そう思ってスマホを拾ってドアへと駆け出す

変なカギだったらどうしようかと思ったけど、普通に開いて安心した

それからはとにかく走った、ふらふらと足元がおぼつかないけど

でも、長いこと走れなくて転んじゃって

力いっぱい「助けて!」って叫んだ

痛いし、もう訳わからなくなって泣きじゃくって

「どうしました!?」

「ひっ!」

急に聞こえた男の人の声にびっくりする

「今、警察呼びますから安心してください」

これで終わるんだ……そう思ったらいつの間にか意識がなくなってた

「それでそれで? どうなったのみくちゃん!?」

りーなちゃんが身を乗り出して聞いてくる

「えー、どうしよっかにゃあ」

聞いても面白い話じゃないんだけどね

「おーい、準備できたかー?」

あ、Pチャンの声だ

あの時みくを助けてくれた人の声と一緒

「ほら、りーなちゃん! そろそろ行くよ」

「あ、待ってよみくちゃん」

アイドル前川みくはまた走り出す

今度は本当のプロデューサーと出会えたから





おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
みくにゃんのファンは辞めないでくださいね

それでは>>34のお題を頂戴します

亜季「こ、このバイクは……!」頼子「……九七式側車付自動二輪車です。……乗ってみます?」

それでは 亜季「こ、このバイクは……!」頼子「……九七式側車付自動二輪車です。……乗ってみます?」 でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶって頂ければ……

前にも似たようなお題で書きましたけれど、同じ方でしょうか?

目を丸くする、というのはこのようなことを言うのでしょう

亜季さんはまるで小さな子供の様にはしゃいでいます

「頼子殿! 本当に乗っていいんですか?」

「ええ、もちろんです……」

バイクは乗ってこそのもの、おじいちゃんもそう言っていました

それに、私ではまだ乗ることができませんし……

「まさか本物の九七式を見ることができるとは……」

喜んでもらえてなによりです

「どうぞ、亜季さん」

キーを手渡すと、壊れ物を扱うように大事に受け取ってくれた

「では、失礼して」

バイクに跨るとまた「おお!」と感嘆の声を上げています

「ふぅ……よし」

深呼吸をして、亜季さんが真剣な顔になりました

「いきます!」

キックに足をかけて、力いっぱい踏み込むと……

「「わぁ!」」

そんな二人の声をかき消すほどの轟音

身震いしてしまうような生きている音

「一発だ……」

亜季さんが感動して泣いていました

亜季さんほどではないですが、私も懐かしさを感じました

小さいころはこの音が怖くて……泣いてしまったのを覚えています

おじいちゃんが乗れなくなってしまってから、かなりの時間が経ちました

けれど、この子は元気に動いてくれた……

「頼子殿?」

あっ……

「す、すみません……ぼーっとしてしまいました」

「お気になさらず」

にこりと格好良い笑顔の亜季さん

「それでは頼子殿も乗ってくださいね」

「えっ?」

今度は私が目を丸くしてしまいました

「一人で乗るのは勿体ないです、頼子殿もご一緒に」

そう言われれると断りづらいです……

本当のことを言うと、断る理由はないのですが

「それではお願いします」

サイドカーにゆっくりと乗ります

……久しぶりですが、まるで

本当のことを言うと、断る理由はないのですが

「それではお願いします」

サイドカーにゆっくりと乗ります

久しぶりですが、まるで今までずっと乗っていたかの様な感覚……

ここからの景色も良いものですね

「準備は良いですか?」

ヘルメットを被ってゴーグルをつけます

「はい、オッケーです」

「あ、頼子殿は行きたい所はありますか?」

行きたい所……夏……海?

「海なんてどうでしょう……」

安直ですけど、夏っぽいと思います

「うん、良いですね! では出発であります」

ハンドシフトが面倒だが面白いとおじいちゃんが言っていましたけど……

「感動です!」

亜季さんも楽しんでいるようです

夏の暑い空気を吹き飛ばすように

元気な音で九七式が走っていきます……

久々にエンジンに火を入れてくれたのを喜んでいるかのように

青い空が青い海へと変わるまで、二人のツーリングは続きます

んん……風が気持ちいい

そう呟くと、エンジン音が一瞬大きくなったような気がしました……

「綺麗ですね」

「ええ、本当に……」

夕焼けが水平線に沈んでいきます

これで、暑さも少し和らぐでしょうか?

「頼子殿」

「なんでしょう?」

真剣な顔の亜季さんにどきりとしました

「今日は貴重な経験をさせてもらいました」

ああ、そんなにお礼を言われると困ってしまいます

「顔を上げてください……私が亜季さんに乗ってほしかったんです」

そう、これは私のお願いなのだから

「ですから、また九七式を走らせてあげてくださいね……」

「了解であります!」

びしっと敬礼をする亜季さん

大切な人の大切な思い出

受け継ぐ人と受け継いだもの

その思い出が色あせないように、思いを先に繋げるんです

おじいちゃん……

「あ、おじいちゃんから電話です……」

「えっ?」

亜季さんが不思議そうな顔をしています

帰ったらおじいちゃんにいっぱいお話をしてあげましょう




おしまい

読んでくれた方に感謝を
そしてお題ありがとうございました
そろそろ眠ります、再開はお昼頃から……

こんにちは
そろそろ再開したいと思います
では>>58のお題を頂戴します

藍子「ストーカー恐怖 相談できず怯え震える涙の日々」

では 藍子「ストーカー恐怖 相談できず怯え震える涙の日々」 でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶって頂ければ……

こんばんは、高森藍子です

アイドル活動にも慣れて

お仕事が楽しくなってきた頃

不思議なことが起こるようになってきました

始めはちょっとした違和感だったんですが

それが、こんな大事になるなんて思ってもいませんでした……

「お疲れさま、クールダウンしたら上がっていいからね」

ダンスレッスンでのステップの確認、ライブが近いので熱が入ります

「はいっ! 居残り練習は……はい、止めておきます」

プロデューサーさんの悲しそうな顔を見たので止めておきます

「うん、根を詰めすぎるのもよくないからさ」

本当に私のことを見てくれているって実感します

「お疲れ様でした」

トレーナーさんとプロデューサーさんにお辞儀をしてから、家に帰ることにします

私のお家は事務所からそれほど離れていないので送迎はしてもらっていません

あ、朝早かったり、遅かったりするとプロデューサーさんがしてくれる日もあります

夕焼けに染まる道を歩きながら、今日のレッスンを頭の中でイメージ

……うん、いい感じ

これなら次のライブでもファンの皆さんに笑顔になってもらえそう



そう思った時、こう、誰かに見られているような不思議な視線を感じました

背筋がぞわりとして、辺りを見回してみても何もありません

……気のせいかな

うん、きっとそう、早く帰って夕ご飯食べようっと

レッスンのせいで今にもお腹の虫がないてしまいそう

そうやって気を紛らわせていても

じっとりとした視線が消えることはありませんでした

それから何日も不思議な視線を感じたある日

同じようなレッスンの帰り道

いつものように視線を感じると同時にこつりと靴の音がしました

「……」

怖さと不気味さを感じて走って帰ったのを覚えています

家に着いて、後ろ手で鍵をかけて深呼吸を一つ

気のせいじゃないのかな?

「ごちそうさまでした」

「はい、お粗末さまでした」

やっぱりお母さんの料理は美味しい

私もいつかこのくらい料理上手になれたらいいな

洗い物をしようと思ったんですが、お母さんに藍子は疲れてるだろうから、と言われてお部屋で休むことにしました

夜風に当たろうと思ってベランダに出ると

電柱に隠れるようにして、こちらをみている男性がいました

気のせいかと思いたいですが、明らかにこちらを見ているのがわかりました

フードを被っていて表情はわかりませんが、にやりと笑っているように見えて……

あまりに急な出来事で声を上げることも、部屋に戻ることもできませんでした

……しばらくすると、背後の暗闇に溶けるように姿が見えなくなって

それと同時に、立っていることができなくなってベランダに座り込んでしまいました

体がふるふると震えて、自分で抱きしめて何とか落ち着かせました

――「高森さん、最近調子どうかな?」

見透かすようなプロデューサーさんの目つき

「ぜ、絶好調ですよっ!」

これは嘘、きっと、この人は私のことに気付いている

「そっか。何かあったらちゃんと言ってね?」

「わかりました……」

目をそらして返事をする私に、軽くため息をするプロデューサーさん

……ごめんなさい

夜の出来事から、お家に変な郵便物が届くようになりました

可愛いレターセットからは想像できない内容

私を見ているだとか、大好きだとか……

ファンの方だったら申し訳ないですけど、正直キモチワルイと思いました……

私は皆さんに優しく笑ってもらいたいですが、これはちょっと無理です

びりびりと破って、両親にばれないようにゴミ箱に捨てることにしました

ある日、両親が遠方の親戚の法事に出かけて時

偶然にもレッスンもお仕事なく、お家でゆっくりしていました

お家に私だけの時……この瞬間をきっと狙っていたのでしょう

夕飯を食べ終わり、リビングでテレビを見ていると、インターホンが鳴りました

こんな時間に誰だろう?

インターホンの画像を見ると誰も映っていません

悪戯かな? そう思った時にがちゃがちゃとドアノブを回す音がしました

「ひっ!」

この前から続いていることもあって、驚いてしまって変な声がでてしまいました

ソファで耳を塞いで耐えていると、いつの間にか音が鳴りやんで

ああ、これで静かになる……そう思った時に

かちり、と、鍵が開く音が響きました

えっ? 何で!? 頭がパニックになっているとドアが開きます

恐る恐るリビングのドア越しから除くと、またフードを被った人が立っていました

「……」

家の中をゆっくりと見回した後

「こんばんは……」

体に張り付くような低い声

まるで中に私がいることを確信しているような様子でした

「藍子ちゃん……?」

名前を呼ばれて、悲鳴を上げそうだったけど、何とか耐えました

私はいませんから早く帰ってください……!

そう強く願うとドアが閉まりました

すると、紐みたいな器具が隙間から伸びて……

チェーンが嘘のように動いて、かちりと開きました

そこからはスローモーションみたいに、ゆっくりとドアが開いて

私はただそれを見ているだけしかできなくて……

悲鳴も声も上げることもできませんでした

男の人はまるで招待されたかのように、きちんと靴を並べて脱いで

「お邪魔します」

と、悠々とお家へと入ってきました

見たことに対して頭が追い付かなくて、ただ震えることしかできませんでした

けれど、みしりと音を立てて近づいてくる不審者に対して助けを呼ぼうとしますが……

体が震えてしまって、うまくスマホを操作することができません

何とか発信履歴をタップしてプロデューサーさんへ……頼りになる男の人へ電話を

「こんばんは、藍子ちゃん」

コール音を遮るように、男性の声が目の前で聞こえました

びくりとして見上げると、フードの奥から笑う男性と目が合いました

「今日は一人かな? そうだよね」

震える私を舐めるように見てくる視線がとても怖くて、とてもいやらしくて……

「きゃああああ!」

悲鳴を上げると体が動くようになって

男の人をすり抜けるようにして二階に上がりました

その時にスマホを落としてしまいましたが、今は逃げなくちゃ……

安心感がして、自室へ逃げ込んだけど鍵がかからないことに気付いていませんでした

ぎしり……ぎしりと階段を上がってくる音が徐々に近づいてきて

こんこん、とドアのノックされた

「藍子ちゃん? ここにいるんでしょ」

楽しそうな声が聞こえてきて、急いでドアノブを抑えます

その時にスマホを落としてしまいましたが、今は逃げなくちゃ……

安心感がして、自室へ逃げ込んだけど鍵がかからないことに気付いていませんでした

ぎしり……ぎしりと階段を上がってくる音が徐々に近づいてきて

こんこん、とドアをノックする音

「藍子ちゃん? ここにいるんでしょ」

楽しそうな声が聞こえてきて、慌ててドアノブを抑えます

「藍子ちゃん、開けてくれないかな」

ドアノブを抑える手にぎゅっと力を込める

「……開けろって言ってんだろうが!」

力いっぱいドアを叩く音がして、思わず手を離してしまいそうになる

けれど、我慢して泣きながらノブを抑える

「あっ……藍子ちゃんごめんね」

謝らなくていいから帰ってください

「とりあえずお話ししようか」

そういうとドアノブがゆっくりと回り始めて

「藍子ちゃんは恥ずかしがり屋さんだねぇ」

ドア越しに聞こえる笑い声に必死に反抗するように力を込めますが

男の人に力で勝てるわけなくて

「はじめまして、藍子ちゃん」

ドアが開いてしまいました

「こ、来ないでくださいっ!」

腰が抜けてしまって、立つことができません

「大丈夫だから、乱暴しないから」

鼻息が荒くて怖いです……

両手を使って後ずさりしますが、とんっと背中に壁が当たって

「これ以上は逃げられないね」

誰か、誰か助けてくださいっ! プロデューサーさん……

「怖がる藍子ちゃんもとても可愛いね……」

「こっちにこないでくださいっ!」

精いっぱい強がりますが、体は震えて、涙が止まらないことに気付きました

「んー……そんな表情の藍子ちゃん見てるとさ」

部屋の中を見渡して、それを手に取ります

「藍子ちゃんのカメラで撮りたくなっちゃうよね」

カメラに触れられた時、体が不思議と動きました

「それに触らないでっ!」

私の大切な……プロデューサーさんがくれたカメラに触れないで!

「ああ、藍子ちゃんから来てくれるなんて嬉しいなあ」

男の人はそんなのまったく気にしないで、私を撮ろうとします

「ちょっと撮りにくいから、藍子ちゃんごめんね?」

そんな声が聞こえると同時に、ベッドのほうに押し倒された

お腹のあたりに乗られて身動きがまったくできません

「大人しくしててねぇ」

苦しい……怖い……私、どうなっちゃうんですか……

「いやぁ……プロデューサーさん、助けて……」

「あはは、誰も来ないよ藍子ちゃん」

男の人の顔が近づいてきて

「俺と藍子ちゃんの二人きりだから」

耳元で囁かれて……

「プロデューサーさぁん!」

男の人がにやりと笑って、私の服に手をかけた時

「高森さんに何してんだ!」

聞きなれた人の声が

プロデューサーさんの声が部屋に響きました

「プロデューサーさぁん……」

来てくれた……プロデューサーさんが来てくれた

嬉しくて、安心して涙が止まらない



プロデューサーさんが今まで見たことない怖い顔で近づいてくる

「だ、誰だお前……」

慌てたような男の人に

「プロデューサーです、はじめまして」

袖を襟をつかんで、綺麗に投げ飛ばしました

「お待たせ高森さん」

怖い思いをさせてごめんね、と抱きしめてくれるプロデューサーさんに安心して

泣き疲れるまで泣いてしまいました

後日談として

またこんなことが起こるなんじゃないかと不安でしたが

千川さんをはじめ、皆が協力をしてくれて……

あの時の皆さんの顔は思い出すだけで怖いです

それはさておき、私は今でも元気にアイドルを続けられています

ファンの皆さんが優しい気持ちになれるように……





おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
すこし休憩します、しばしお待ちください……

お待たせしました
それでは再開したいと思います
では、>>93のお題を頂戴します

美波「私の可愛い忠犬・番犬・愛犬///」(なでなで)アーニャ「ミナミィィィ///」(尻尾ぶんぶん)

それでは 美波「私の可愛い忠犬・番犬・愛犬///」(なでなで)アーニャ「ミナミィィィ///」(尻尾ぶんぶん) でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶって頂ければ……

「おいで」

両手を広げると、銀色の毛並みの子が飛び込んでくる

「ワン♪」

よしよし、と頭を撫でてあげる

アーニャちゃんの撫で心地がとても気持ちいい

それに、とても良い匂いがする

「アーニャちゃんは今日も良い匂いがするね」

抱きしめて深呼吸すると、アーニャちゃんをすごく感じられる

「ミナミも良い匂いがします、ね」

すんすんと鼻をならすアーニャちゃん

もうっ、くすぐったいよ

「んぅ……ん?」

ほっぺたを何かで撫でられているような感触

暖かくて、ぬるりとしていて……

ゆっくりと目を開くと

「ミナミィ……」

真っ白なほっぺたを少し赤くして

私のほっぺたを舐めているアーニャちゃん

「おはよう、アーニャちゃん」

「きゃあっ!」

朝起こしてくれたお礼に、撫でまわしてあげた

朝ごはんは簡単なもので済ますことが多い

今日はトーストにスクランブルエッグ、レタスとトマトときゅうりのサラダ

後は、ぬるめのホットミルク

ワンちゃんにはミルクだよね

「どうぞ、アーニャちゃん」

「ワン♪」

ぺろりと小さな舌を出して、一生懸命に舐めてる

ふふっ、可愛いな

準備完了っと、ガスの元栓と戸締りを確認して

「アーニャちゃん、行こうか」

「はい、ミナミ」

手を繋いで仲良く事務所へ向かう

寮から徒歩数分なので、朝もゆっくりできる

朝のお日様の光でアーニャちゃんの髪がキラキラしてて、とても綺麗

「おはようございます」

「ドーブラェ ウートラ……おはよう、ございます」

事務所のドアを開けて朝の挨拶

お昼でも夜でも挨拶は『おはようございます』ちょっと不思議

「おはようにゃ、美波ちゃんにアーニャちゃん」

いつの間にかみくちゃんが体を摺り寄せてきた

みくちゃんも撫で心地が良いなぁ

「ふにゃあ……」

目を細めて気持ちよさそうにするみくちゃん

よしよし、良い子良い子

しばらくみくちゃんの撫で心地を堪能していると

「がるるる……」

あ、アーニャちゃんがご機嫌斜めになっちゃった

「ほら、アーニャちゃんも」

「ワン♪」

すぐ焼きもちやいちゃうんだから

二人を交互に撫でていると

「おはようござ……がううう」

凜ちゃんが事務所に入ってきた

「がるるる……」

うーん、凜ちゃんとアーニャちゃんって相性良くないのかなぁ

よし! こんな時は……

「ぎゅー♪」

凜ちゃんはぎゅーってすると機嫌を直してくれる

「くぅん♪」

凜ちゃん素直じゃないもんね

「おはようございます、今日も元気だなぁお前ら」

「おはようございます、プロデューサー」

プロデューサーが事務所に入ってくると凜ちゃんが飛びついた

「わおんっ!」

「よしよし、凜は今日も元気だなぁ」

凜ちゃんとプロデューサーさんはとっても仲良し

……んー、私もプロデューサーさんに撫でてもらいたいかも、なんてね

午前中のお仕事が終わって、お昼休み

「アーニャちゃん、あーん」

おずおずと口を開けて一口かじる

「美味しいです♪」

今日はサンドイッチを作ってきたので、二人でランチ

「うふふ、まゆも混ざっていいですかぁ?」

きゃあ! まゆちゃんいつの間に

「うん、まゆちゃんも一緒に食べよう」

ね、とアーニャちゃんを見ると、私の後ろに隠れてちゃった

どうも本能的にまゆちゃんを見ると怯えちゃうみたい

びくびくとしてるアーニャちゃんを見ると、こうぞくぞくしちゃうのは秘密

「ほら、アーニャちゃん」

「くぅん……」

しぶしぶと私の隣にすわるアーニャちゃん

「うふふ、今日もアーニャちゃんは可愛いですね」

まゆちゃんに撫でられると、びくりとして固まっちゃった

どうも本能的にまゆちゃんを見ると怯えちゃうみたい

びくびくとしてるアーニャちゃんを見ると、ぞくぞくしちゃうのは秘密

「ほら、アーニャちゃん」

「くぅん……」

しぶしぶと私の隣に座るアーニャちゃん

「うふふ、今日もアーニャちゃんは可愛いですね」

「っ……!」

まゆちゃんに撫でられると、びくりとして固まっちゃった

ご飯を食べたらアーニャちゃんのお昼寝タイム

私の膝枕でご機嫌そうに眠ってる

「もう一つの膝を頂きにゃ!」

アーニャちゃんが寝てる隙にみくちゃんが来るのもいつものこと

「みくちゃんもどうぞ」

私は二人の寝顔を見るだけで満足しちゃう

午後のお仕事も終わって寮への帰り道

「ふぅ、今日もお疲れさまアーニャちゃん」

「ミナミもお疲れさま、です」

夕日を背に受けて二人で帰宅する

「今日は何食べたい?」

「んー……ミナミ?」

えっ? 

「ミナミが喜ぶって早苗が教えてくれました」

喜ぶって言うか恥ずかしい……

「ほーら、わしゃわしゃー!」

「わぷっ! ミナミちょっと待ってください」

待ちません

「アーニャちゃんすべすべだね」

玉の肌って言うのかな

肌も白くて、水滴が体を伝っていくのが……はっ!

落ち着くのよ美波 

ふぅ、今日も充実した一日だったなぁ

私の膝で大人しく撫でられているアーニャちゃんをみて思う

「ねぇ、アーニャちゃん」

耳元に口を近づけて囁く

「××××××……」

「ハイ、美波がそれを望むなら」

恥ずかしそうに嬉しそうに笑うアーニャちゃん

うふふ、今日もたくさん可愛がってあげるね♪





おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
……何かお題と離れちゃった気がするんですがごめんなさい

エネルギー補給してきます

お待たせしました
それでは再開したいと思います
では>>116のお題を頂戴します

>>94

では「夏祭りを楽しむメロウ・イエロー」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶって頂ければ……

黄色い缶を想像したそこの貴方……はい、私です

「ほらほら、ゆかりちゃんも早く」

「待ってください法子ちゃん」

浴衣が動きづらくて法子ちゃんに追いつけません

「ゆかりさん、大丈夫ですか?」

有香さんが私のペースで歩いてくれています

「すみません」

「大丈夫ですよっ」

二人に先導されるように道を進んで、一つ道を曲がると

「わぁ……」

暗闇をやさしく照らす提灯

そして賑やかな祭囃子の音色

太鼓と笛が織りなすお祭りだけの演奏会

「ふふ、ゆかりさん真剣な顔になってましたよ」

あ、ついつい聞き入ってしまいました

「法子ちゃんを追いかけましょうか」

「そうですね」

二人で探すとすぐに法子ちゃんを見つけられました

桜色の浴衣にサイドテールが元気に揺れています

「法子ちゃんお待たせしました」

「二人とも遅いよー、そんな二人には、あーん」

有香さんと顔を合わせてほほ笑むと同時に口を開けます

「「あーん」」

「召し上がれ♪」

ゆっくりと噛むと卵とほんのりハチミツの香り

「これはベビーカステラかな」

暖かくて美味しいですね

「有香ちゃん正解! ドーナツみたいで美味しいでしょ?」

「ええ、優しい味で美味しいです」

見かけたら買ってみることにしましょう

「はい、もう一個どうぞ」

……今日は気にしないで食べても大丈夫ですよね?

「あ、金魚すくいですよっ」

有香さんの浴衣も藍色に金魚の模様があしらわれています

「3人でやってみようよ」

法子ちゃんの提案で挑戦することにしました

「えいっ」

集中して……今ですっ

「おお、ゆかりさんやりますね!」

小さいですけど、一匹すくうことができました

「ゆかりちゃん良いなぁ……」

法子ちゃんが残念そうな声で、楽しそうに笑っています

「あ、あのっ」

私の声に2人が振り向きます

「たこ焼き……食べませんか?」

きょとんとして、法子ちゃんが言います

「有香ちゃん、どうする?」

「返事はきまってます」

あれ、私なんでこんなに緊張してるんだろう……

「「とつげーき!」」

有香さんと法子ちゃんに抱えられて、たこ焼き屋さんまで連れていかれました

「たこ焼き、3つ頂けますか?」

じゃんけんで負けた私が買うことになりました

焼きたてを出してくれるそうなので、少し待つことにします

鉄板でじゅうじゅうと音を立てているたこ焼きを見ていると

威勢のいい声でたこ焼きを渡されました

容器から良い匂いが漂っています

3人並んでベンチで食べることにしました

「あつーい! けど、美味しい♪」

はふはふと法子ちゃんが美味しそうに食べています

「うん、美味しいですね」

2人とも喜んでくれて良かったです

あまり食べる機会がないので新鮮な気持ちですね

……かなり食べ答えがあってお腹いっぱいです

川が近いせいか夜風が心地よいです

周りを見渡すと、お祭りを楽しんでいる人の笑顔

こういう独特の空気、とっても素敵だと思います

法子ちゃんと有香さんの笑顔もたくさん見られましたし

それに、私もたくさん笑顔になっていたと思います

「ゆかりちゃん、お腹いっぱいで眠くなっちゃったの?」

「ふふ、大丈夫ですよ」

最後に見たいものがありますから

もうそろそろでしょうか

時計を確認すると同時に、どんっという音が響きました

夜空を鮮やかに咲く光の花

色とりどりの光で楽しませてくれます

「綺麗……」

「そうですね」

「また3人でお祭り行きましょう」

花火で照らされた笑顔はこの夏の思い出になりました

来年も再来年も、またこの3人で……





おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
最後のお題といきたいところですが、都合により明日とさせて頂きます
とりあえず、今日はこれで……

おつ
ところで、これまでに書いたことないアイドルっている?

>>136 逆に、書いたのは三分の一にも満たないと思います

こんばんは
最後のお題の前にもう一つお題を頂戴したいと思います
では>>141のお題を頂戴します

早耶「七海ちゃんと」七海「釣りのお仕事れす」

柚「それなりにがんばる」つかさ「はぁ?」

それでは 柚「それなりにがんばる」つかさ「はぁ?」 でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶって頂ければ……

レッスンが終わった後にそんな言葉が聞こえてきた

えーと、喜多見だったっけ?

それなりねぇ……頑張るのにそれなりとかあんの?

アタシ的にはねーな、それなりなんて

あー何かイライラしてきた

一生懸命やってる奴がいるのにそのセリフはねーだろ



「なぁ、ちょっといいか?」

ストレッチをしている喜多見に声をかける

「んー?」

体柔らけーなこいつ

「お疲れ、さっきのこと聞きたいんだけど」

「さっきのことって?」

さーて、本題を切り込んでみるか

「それなりにがんばる、って何だ?」

こいつはどう答えてくれるんだろう

「んー……それなりはそれなり、かな?」

マジか、答えになってねぇよ

これがゆとりってやつか? あ、アタシもその世代か

まぁ、そんなことはどうでも良いんだ

「頑張るのか頑張らねぇのか、どっちなんだ?」

極端かもしれねぇけど、0か1だろこういうのは

やるならやる、やらねぇんならやるな

時間は無限じゃねぇ、有限だしな

「そりゃー頑張るよ」

まだ煮え切らねぇな

「そっか。けどさ、お前より頑張ってる奴がいるのにそれはねぇんじゃねぇの?」

今でもステップの練習をしてる奴だっている

居残りして練習してる奴だって何人も知ってる

「頑張るっって言ってるんだから良いんじゃないかな」

こりゃずっと平行線か

はぁ……とため息をついた時、思わぬ反撃を食らった

「柚は頑張るって言葉がそんなに好きじゃないんだ」

はぁ? 何言ってんだこいつ

「なんだそりゃ」

「アタシね、部活やってて思ったの」

開脚して床にぺたりと胸をつけながら、喜多見は続ける

「先輩がさ、立てないくらいに練習してそれでも他の人が頑張れって声かけるの」

スポ根ってやつか、気合いと根性の世界みてぇな

「これっておかしくないかな?」

アタシにはわかんねぇな

「どういう意味だよ」

わかんねぇことは素直に聞くに限る

「もう頑張れない人に頑張れって言うの、無責任だと思うんだ」

……一理あるな

「普通さ、倒れてる人って助けるでしょ?」

「……そうだな」

アタシなんて速攻助けんぞ

「それからね、柚はそれなりって言葉を使うんだ」

こいつもこいつで色々と考えてんのか

「本人の気持ちは応援するよ? もちろんね」

んー……こりゃ手痛い反撃だな

「桐生サンはどう思う?」

アタシか、アタシは……

「アタシは何だって死ぬ気でやる、死なねぇけど」

喜多見の考えはわかるけど、アタシの考えは曲げられない

ただし、相手にそれは要求しないけどな

「そっか、それはそれで有りだと思うよ」

ぐっと伸びをした喜多見が立ち上がる

「さて、アタシはもう少し残ろうかなっと」

意外な言葉だった

「あ、意外だなって思ってるでしょ?」

そりゃお前、さっきまでの話聞いたら誰だって思うだろ

喜多見がにこりと笑って

「アタシ、負けず嫌いなんだよっ! それなりに」

その言葉に悔しいけど、吹き出した

「あ、やっと桐生サン笑ってくれたね」

あーおかしい……こいつ面白いな

「不意をつかれただけだよ」

「そっか、じゃあ柚はこれで」

ばいばいと手をふる喜多見

……これでいいのかアタシ? いや、よくねぇだろ!

「アタシも混ぜてくれよ、ただし、それなりじゃねぇぞ?」

喜多見が驚いた顔をして、こくりと頷いた

さて、アタシの全力見せてやるかな




おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
まだ書きたいところではありますが、次のお題を最後とさせていただきます

>>158のお題を頂戴します

>>119

早耶「七海ちゃんと」七海「釣りのお仕事れす」

それでは 「台風でずぶ濡れて藍子とラブホに思わず宿泊、高まっていくHなムード」 でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶって頂ければ……

横殴りの雨のせいで傘が役に立たない

おかげ全身びしょ濡れだ……

隣にいる藍子もびしょ濡れのなっているわけで

淡い色合いのブラウスが肌にぴたりと張り付いて、ボディーラインが浮き出ている

……非常に目に毒だ

しかし、そろそろ良い手を考えないと藍子の体に負担がかかる

横殴りの雨のせいで傘が役に立たない

おかげで全身びしょ濡れだ……

もちろん、隣にいる藍子もびしょ濡れになっているわけで

淡い色合いのブラウスが肌にぴたりと張り付いて、ボディーラインが浮き出ている

……非常に目に毒だ

しかし、そろそろ良い手を考えないと藍子の体に負担がかかる

公共機関もあてにできない今……歩くか?

いや、無謀すぎるだろ……

あーでもない、こーでもない脳内会議をしていると、藍子が弱弱しく呟いた

「プロデューサーさん、寒いです……」

雨で体温を奪われたのだろうか、顔色もよくない

雨風を防げて、温まれる場所……

あるにはあるんだが……問題にならないかな?

間違いなくなっちゃうよね……

けれど、今はそんなこと言ってられないのも事実

決してやましいことなんてない! ……と思う、よ?

一応周りを警戒しつつ、藍子に向き合う

「藍子、休憩していこう」

やべ、言葉選びミスった気がする

ぽかんとしていた藍子だが、休憩という言葉に反応して

「わかりました」

と、頷いた

「よし、ちょっと走るぞ」

藍子の手をぎゅっと握って、走る

お城のような建物へ……走る

中へ入ると適度な空調で心地よい

何より雨風を気にしなくていいのが助かる

他の客と鉢合わせするのに気を付けながら、手早く部屋を選ぶ

まさか担当アイドルをラブホテルに連れ込む日が来るなんて……

ファンにばれたら、そう思うと背筋が凍る

いや、これは藍子のためだから! 俺は悪くないから!

そう考えて、部屋まで藍子をエスコートする

「わぁ……素敵なお部屋ですね」

部屋を見渡して、藍子が言った

「そ、そうだね……」

顔を逸らしながら答える

言えない、ラブホテルの部屋なんて……

「そっちがバスルームみたいだから、先にどうぞ」

つっこまれる前に話題を変えた


「え? でもプロデューサーさんも……」

ああ、こんなプロデューサーにも優しくしてくれる藍子が天使に見えた

「気にすんな、藍子優先なんだよ俺は」

強がり上等だよ、ちくしょう


「え? でもプロデューサーさんは……」

ああ、こんなプロデューサーにも優しくしてくれる藍子が天使に見えた

「気にすんな、藍子優先なんだよ俺は」

プロデューサーはアイドルを優先するんですよ

「だから、ゆっくり温まっておいで」

笑顔を藍子に向けて、あることに気付き慌てて顔を逸らす

「わかりましたっ、待っててくださいね?」

「お、おう……」

顔は逸らしたままで返事をする

ばたりとバスルームに続く扉が閉まる音

それを確認してから大きなため息をついた

今のは危なかった……それはもう危なかった

水色のフリルがついてたなぁ……

今のうちにちひろさんに連絡しておくか

冷蔵庫から有料のビールを取り出す

もう仕事にならないし、良いだろう

電話にしようかと思ったが、あれこれ聞かれるのが面倒なのでLINEにした

ごめんなさい、ちひろさん……後はお願いします

心の中で謝って、ビールを一口飲んだ

ビールの空き缶が2つに増えたころ

扉が開いて、藍子が戻って……こなかった

数秒経った後、ゆっくりと藍子が顔だけ覗かせた

「お待たせしました」

お、いつもの顔色に戻ったみたいだ

「どうしたんだ?」

早くこっちに来ればいいのに

「あの、なんだか恥ずかしくて……」

藍子は恥ずかしがり屋だもんな

よし、こういう時は平然とした態度で接しないと余計に恥ずかしくなるよな

「おいで、藍子」

「はぃ……」

ガウンを羽織った藍子を見て、前言を撤回しようとつよく思った

ほんのり濡れた髪の毛、朱に染まった肌、そして凄い良い匂いがする

やばい! 俺が恥ずかしい

明らかに平然としていないというか、できない、むーりぃ

「変なプロデューサーさん」

柔らかくほほ笑む藍子

自覚してる……変になっちゃったみたいだ俺

「俺も風呂入ってくる!」

逃げるように部屋を飛び出した

「ふぅ……あったけぇ」

湯船に浸かるとお湯が体にしみわたるみたいだ

目を閉じて、さっきの光景を思い出す

風呂上がりの藍子……破壊力抜群だったな

おい、まさか欲望に負けるのか? そんな弱い男なのかお前は?  

繰り返される自問自答

俺は屈しない、プロデューサーを舐めるんじゃあない!


風呂を出た俺の顔は晴れやかだった

鋼の理性を手に入れ、意気揚々と藍子のいる部屋へと戻る

「あー! おかえりなさぁい」

あれ? テンションおかしくないすか藍子さん

俺を見て、けらけらと笑う藍子

「ただいまーって、あ……」

テーブルにある空き缶が増えている

「冷蔵庫にジュースがあったから飲んじゃいましたぁ♪」

た、楽しそうですね藍子さん

そうですか、ジュースですか……

缶に『ほ○よい』って書いてありますけど、そっかージュースかー……

「ビーチ味で美味しいですよピーチ♪」

語尾みたいになってるぞ

やべぇ……飲酒まで……

スポーツ誌の一面を飾っちゃうまであるかもしれない

「そんな顔してないで、はぁい」

いつの間にか急接近した藍子が缶を差し出してきた

「いや、俺はいいよ……」

それどころじゃないんですよ、藍子さん

「ぐすっ……私のジュース飲んでくれないんですね」

喜んで飲ませていただきます!

缶を受け取ると一気に飲み干した

「きゃあ♪ 良い飲みっぷりですね」

喜んでもらえて何よりだよ、あはは……

「私とぉ、間接キスしちゃいましたね♪」

お、お前なんてことを……状況が状況で、その一言に焦る

「私と、間接じゃないキスもしちゃいますか?」

俺の頬を両手で包んで、藍子が艶っぽい笑顔を浮かべる

「藍子?」

「私、ここがどういう所か知ってるんですよ」

藍子の瞳に移る俺が驚いた

「ほら、こんなにドキドキしてるんです」

藍子が俺の手を掴んで胸に手を重ねる

「ふふ、わかりますか?」

音が聞こえるんじゃないかと思うほど、藍子の鼓動は早かった

「私のプロデューサーさん、とっても優しいプロデューサーさん」

藍子の顔がゆっくりと近づいてくる

俺は逃げることも、振りほどくこともできなかった

……まるで、こうなることを望んでいるかのように

「大好きです……」

そう呟いた藍子の唇が、俺の唇に……

「ぐぅ……」

寝ちゃったの!? このタイミングで?

残念なような、ほっとしたような……

ようやく動けるようになった俺は大きく息を吐きだした

「はぁ、びっくりさせやがって」

お礼にかるいデコピンをかます

「ううん……」

藍子が身じろぎをしてくすぐったい

眠ってしまった藍子をベッドへ運ぶ

ソファで寝ようと思ったが、藍子の手が俺の体を離してくれない

どうやってもはずれないし、びくともしない

まじかよ、また耐えないといけないのか……

まだまだ朝まで時間があるってのに

藍子を見ると幸せそうな寝顔だ

……なんだか俺も眠くなってきた

もうこのまま寝てしまおう

明日のことは起きてから考えることにする

だって、今は目の前の眠り姫の寝顔を

堪能しないと勿体ないだろう?



おしまい

以上で【モバマスSS】お題は星の数だけ 9夜目をお開きとさせていただきます
改めて、読んでくれた方に心からの感謝を
そして、たくさんのお題ありがとうございました
また読んで頂く機会があれば、よろしくお願いします

オチが使いまわし? 気のせいじゃないですか(目逸らし)

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