男「おはよう、幼馴染み」幼「ククク……それは夜を偲ぶ仮の名……」 (33)

幼「私は異世界より召喚されし魔王……人間風情が、気安く私に話しかけるな…」

男「そっか、ごめんね……」

幼「わかればよいのだ……では、今日もあの穢らわしい豚小屋へと向かうとしよう」

男「…………」

幼「…………」

男「…………」

幼「な、なんか喋れアホ!」

男「幼馴染みが言ったんじゃないか」

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幼「ふ、ふんっ!まぁよい。静寂は心地よいが、静かすぎるのも興が乗らぬ。どれ、一つ私を楽しませる話題でも提供してみせい」

男「そんなこといわれても……あ、そうだ。宿題やった?」

幼「何を言い出すかと思えば……宿題など、努力の仕方もわからぬ凡人のために設定された道標のようなものだろう」

幼「王である私が、なぜそんなことをしなければならない?」

男「やってないんだね」

男「言っておくけど、写させてはあげないよ」

幼「えっ……なぁっ!ま、待て!なぜだ!」

男「いつも言ってるでしょ。宿題は自分でやるのが普通なの。中学のころはちゃんと毎日やってたじゃん」

幼「ふ、ふつう……うう……でも、女のやつは一切宿題を出していないぞ?」

男「あいつは普通じゃないからな…」

世を忍べよ

女「おはようございます」

男「お、珍しいね、女がこんな早い時間に登校なんて」

女「今日は早く目が覚めまして…」

幼「フッ、ようやくお前も、私の側近としての自覚が出てきたか…」

女「幼馴染みさんも、おはようございます。今日も素敵な眼帯に包帯ですね」

幼「そうか?出来ることなら、こんなものすぐにでも外してしまいたいがな」

女「えっ、そうなんですか?」

幼「当たり前だろう。寝るときも風呂に入るときもこれらの魔道具は外すことができない。これのおかげで、私の力をある程度封印することが可能となっているのだから」

幼「『力』を持つものの悩みが凡人に理解できるとは思えないが……案外、神経を使うものだよ、この格好は」

女「……そうだったんですかー」

幼「お前達が当たり前の日常を送っていられるのも、私がこうやって力を制御してやってるおかげなのだ。有り難く思えよ?」

>>4 残念ヒロイン設定なのでセーフ

男「あ、そうだ。一応聞くけど、女は宿題やってきた?」

女「してもしなくても成績は変わらないのですからする意味が見当たりません」

男「さすが学年一位はいうことが違うね…」

幼「!……そうだとも、してもしなくても変わらないのだから、私だってする意味はないな!」

男「してから言え学年最下位」

幼「う、うるさい!万年平均!器用貧乏!モブ顔!」

男「ふん」

男「その程度の煽り、もう慣れたよ」

幼「童貞!」

男「よろしいならば戦争だ」

友「相変わらず馬鹿やってんねー」

男「友、おはよう」

友「おう、おはよう。幼馴染みちゃんは相変わらずだね」

幼「ッ!」ズササーーーー

幼「来たな勇者よ……また性懲りも無く、この私に歯向かってくるというのか……」

友「本当に相変わらずだねー」

幼「ククク、いいだろう……そろそろ私も、決着をつけたいと思っていたところだ」

友「それ昨日も聞いたんだけど…」

幼「食らえ! 【ディバインディザスター】!」

友「ぐわーやられたー」

幼「はははは!貴様の力はそんなものか勇者よ!」

幼「今日のところはこれくらいにしておいてやる……次会う時までに、せいぜい力を付けておくことだな!」

幼「はーっはっはっは!!」

友「……また、明日も続くのかぁ、これ…」

男「一時限目なんだっけ?」

友「体育だよ」

女「朝から体育ですか……ただでさえ今日は早起きして眠いというのに…」

幼「体育、ねぇ……強くなるためにわざわざ体を鍛えねばならないとは、人間とは気の毒な生き物だな」

幼「どれ、軽くひねって力の差を見せつけてやろう…魔球【インフェルノパレード】の出番というわけか…」

男「確か今日の体育はクーパー走だよ」

幼「」

[教室]

幼「どけ、愚民共。『王』が通る…」

委員長「幼馴染みさ~ん?」

幼「って、うぇ!?い、委員長!?」

委「何回も警告してるよね!その眼帯、その包帯、そのマント!どれも勉学に不必要なもの!学校はコスプレパーティ会場じゃないのよ!?」

幼「だ、だから言っているだろう!これは世界の均衡を保つために必要なものなのだ!私だってやりたくてやってるわけじゃない!」

幼「だいたい私がどんな格好をしようとも貴様らには何のデメリットも生じないだろう!」

委「メリットデメリットの問題じゃない!学級委員長として、あなたの服装は見過ごせない、それだけなのよ!」

幼「う、うるさい!誰がなんといおうとこの封印は解くことはできない!世界のためにな!」

委「そんなに自分では脱げないというなら…」

幼「……?」

委「力づくで脱がしてあげましょうかぁ!」

幼「ひ、ひぁぁぁっ!?」

男「ま、まぁまぁ委員長もそこら辺にして」肩ポン

委「っ…//お、男くん…」

幼「………」ホッ

男「無理やりってのもアレだし、もうちょっと目を瞑っててあげてくれないかな…」

委「お、男くんがそういうなら……」

男「ありがとう」

友「この光景も何度目だろうね……」

女「困ったものです、本当……」




[体育]

幼「……クッ、右腕が疼く……。どうやら、封印の力が弱まっているらしい……」

幼「すまない、今の私は、加減が効かない。この状態で走りでもしたら、体育館を吹き飛ばしてしまうことだろう……」

幼「人に迷惑をかけるのは私の信条に反す。ここは保健室で疼きが収まるのを待つとしよう」

男「はいはい、じゃ更衣室行こうね」ガシッ

幼「うにゃっ!?ちょっ、だ、だから言ってるだろう!今の私は、下手すれば……!」

男「ここでサボってもどうせまた追試があるよ」

幼「」

幼「うう……」




幼「ひぃ……ひぃ……」

男「幼馴染みー!頑張れー!」タッタッタッタッ

幼「うっ……さい、あほぉ……」

女「……男さん速いですね…」スタスタ

友「今ので5回目だよね、幼馴染みちゃん抜いたの」スタスタ

女「男さんって中学のころから足速かったんですか?幼馴染みさん」スタスタ

友「そういやサッカー部だったって聞いたことあるけどどうなの?」スタスタオイヌキ

幼「……すずしい、かおして、おいぬく、なぁ……」ゼェゼェ

[授業中]

女「」クー

友「机の上に枕&伏せ寝って完全に喧嘩売ってるよね」

男「最近じゃもう女のこと見ないようにしてるもんな先生たち」

先生「……となる。では、この場合はどの公式を使えばよかったかな?幼馴染み、答えてみなさい」

幼「ふぇっ!?」

男(寝てたな)

友(寝てたね)

幼「……ふむ、それは、だな、ええと……」

先生「……わからないのかい?」

幼「いや、そんなことはない!ええと…」

幼(……チラリ)目配せ

男「………」

男(頑張れ) グッ!

幼(この野郎ーーっ!)

[昼休み]

男「そろそろ機嫌直してよ、幼馴染み」

幼「……別に機嫌を悪くしてなどいないぞ?」

男「なら俺と目が合う度にジト目になるのやめてくれよ……」

幼「ふんっ、私はそんなことをしているつもりはない。貴様の気のせいではないか?」

友「まぁいいじゃん、ジト目な幼馴染みちゃんも可愛いでしょ」

女「全くですね。それだけ幼馴染みさんに信頼されていたということだと思えばいいじゃないですか」

男「お前ら幼馴染みのこと好きだなー……」

友「おっ、今日の男のお弁当美味しそうだな」

男「わかる?へへ、昨日田舎からタケノコとかいろいろ届いてさー!ちょっと凝ってみたんだよね」

友「いいなぁ、一口くれよ」

男「いいよ。んじゃ、お前のハンバーグと交換な」

友「代償重すぎね!?まぁ、俺のは所詮冷食だし構わないけど……」

男「交渉成立」

幼「………むう」

幼「男……私とも弁当のトレードをしないか?」

男「えっ、は?」

幼「なんだ、友にはよくて、私にはできないとでもいうのか」

男「いやそういうことじゃないけど、お前と俺の弁当の中身一緒じゃん。交換する意味…」

幼「………別にいいでしょ!いいからしいたけとタケノコこうかん!」

男「あっ!お前それ嫌いなやつ押し付けただけだろ!おいっ!」

幼「ふん、人間風情が、王に逆らうな!」

女「……幼馴染みさん、私のお弁当も少し分けて差し上げましょうか?」

幼「えっ、別にいいが……」

女「そう言わず。どうです?このコロッケなんて自信作なんですが」

幼「う、うむ。配下から貢物を貢がれるのは悪い気はせぬ。くれるというなら、貰っておこう」

女「じ、じゃあ、……幼馴染みさんのお弁当と、交換、しませんか?」

幼「!?そ、それは無理だ」

女「な、何でですか」

幼「……だ、だって……これは、男が私のために作ってくれた弁当だ。だから、他の誰にも渡すわけには……」ボソボソ

男「俺がどうしたって?」

幼「にゃああああ!?き、急に割り込んでくるな!殺されたいのか貴様!」

男「殺す!?」


女「……………はぁ。そうですよね」

[食後]



委「……あのさ、男くん」

男「ん?委員長。どうかしたの?」

委「話があるんだけど、いいかしら?」

男「………うん、いいよ」

[自販機前]

委「単刀直入に聞くね。幼馴染みさんの……ええと、あの趣味、って……いつ頃からのものなの?」

男「趣味、か……」

委「どうかしたの?」

男「いいや、何でも。質問の答えは、高校入学前の春休み、かな」

委「え?」

男「意外?」

委「意外、っていうか……」

男「まぁ普通は驚くか。幼馴染みって中学のころはすごい優等生だったんだよ」

委「……とても信じられない話ね」

男「酷いな……一応ここ進学校だよ?一つの中学から1人か2人出るかってレベルの」

委「……そんな優等生だった幼馴染みさんが、なんであんなことに?」

男「……正直なところ、俺にもわからない」

男「きっとあいつの中にはたくさんの葛藤があって、たくさんの煩悶があって、でもそれを処理しきれなくて、その結果が今のあいつなんだと思う」

男「俺はあいつの幼馴染みとして、それを理解して、それと向き合っていかなきゃならない」

男「……だから、お前があいつのことを案じてくれるのはすごいありがたいし、すごく嬉しいことなんだけど」

男「あいつのことは、俺に任せておいてくれないか。服装のことも、いつか、何とかしてみせるから」

委「…………」

委(……そんな辛そうにお願いされても)



[掃除]

本日の当番:男 女 委員長 ほか

男「」ゴシゴシ

幼「さぁ働け。私のために、この部屋をぴかぴかに磨き上げろ」

委「男くん待ってるだけならあなたも手伝ってくれればいいのに…」

幼「はっ!なぜこの私がごみ掃除などという底辺の仕事をせねばならんのだ」

幼「さぁ憎まれ口を叩いてる暇があれば手を動かせ!なぁ、勇者もそう思うだろう?」

友「男、ちりとり手伝うよ」

男「サンキュー友、助かる」

友「礼なんていいよ。早く終わらせて帰りたいだけだから」

幼「…………」

幼「わ、私もちりとりやる!」スクッ

女「そうですか。ならこっちをお願いします」

幼「うう……わかった……」

[帰り道]

友「そういえばさー、みんな部活ってやらないの?」

女「どうしました急に」

友「いや、話題もないしとりあえず的な」

男「友、なんか入りたい部活とかあるのか?」

友「んー……剣道部とか興味あるけど」

幼「勇者といえば剣だからな!」

男「RPGでよくある剣術と剣道って全く別物な気が……」

女「部活ですか……正直なところ、学校へもそんなに行きたいとは思わないので……」

女「今だって幼馴染みさんが来ているから行っているだけと言っても過言ではないです」

男「女は相変わらずだね……」

友「男は?」

男「ん?」

友「中学のころサッカー部だったんだろ?高校入っても続けようとは思わなかったのか?」

男「……………」

幼「……男?」

男「サッカーは好きだけど練習は嫌いだから俺」

男「帰宅部やりつつたまに遊びでサッカーするくらいが丁度いいよ」

友「……そっか、なるほどな」

男「幼馴染みは入りたい部活とかあるのか?」

幼「愚問だな。なぜこの私が愚民どもと青春ごっこに興じなければならない?」

幼「王とは孤高の存在でなくてはならないのだ」

友「俺らはいいの?」

幼「………ふん」

幼「き、貴様らは……私にとって、特別な存在だ。他の愚民と、一緒になどしない」

女「………~~~~~///」

男「お、幼馴染みがデレた!」

友「明日は隕石が降るぞー!」

幼「なっ……っ~~~///そ、そんなんちゃうわ!」

男「照れなくてもいいのに!」ニヤニヤ

幼「うるさいっ!笑うな!にやにやすんなっ!」バンバンッ

男「叩くな叩くなバッグが痛むだろ!」ニヤニヤ

幼「だからそのにやにやをやめろ~~~!!」バンバンッ

書き溜め消化したので一旦切ります
ひっどい誤字をお見せして申し訳ないです

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