男「ここはファンタジーな世界だ」 (7)
友「急になに言い出したかと思えば」
男「そしてこの俺こそが勇者である」
友「ホントに何言ってんのお前」
男「この世界の魔王を駆逐してやる」
友「いいから授業始まるぞもうすぐ」
男「して、友よ」
友「そのしゃべり方なんとかならんのか」
男「この世界の魔王とは一体誰だと思う? ちなみにここでいうこの世界とは、この学校のことを指す」
友「何これ、俺答えないといけないの? すこぶるめんどくさいんだけど」
男「当然だろ? 村人A」
友「俺村人Aかよ!」
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友「まあ……あれじゃね。学校を世界とするなら、魔王はトップだろ?」
友「つまり一番のお偉いさんの校長が魔王ってことだな? 間違いない」
男「実に村人Aらしい、安直な答えだな」
友「なんなのこいつ、ぶっ飛ばしたいんだけど」
男「知りたいか……? 真実を」
友「いや、別にいいわ」
男「知りたいか……? 真実を」
友「いや、だからいいって。なんかねみーし」
男「知りたいか……? 真実を」
友「あ、これロープレにありがちな正解選ばないと先に進めないパターンだ」
男「知りたいか……? 真実を。イエス or はい」
友「ついに口で言っちゃったよ。しかもそれ両方はいじゃねーか!」
男「いいだろう……そこまで言うのなら教えてやる」
友「そこまで言ってたのはお前だろ」
男「ズバリ! この世界の魔王とは、このクラスの鬼担任のことである!」
友「糞せめぇ世界だな」
男「ちなみに学級委員長ちゃんは側近な」
委員長「ふぇっ!?」
友「なんかお前という存在に疲れてきたよ。ゲームなら毒沼に佇むレベル」
男「死ににいってんじゃねーか」
委員長「えと……あの、側近? って、なんですか?」
友「委員長ちゃんは気にしなくていいよ。このアホがいつものようにアホなこと言ってるだけだから」
男「俺のことはブレイバーと呼んでほしいな」
友「お前からヤバめのフレイバーがするよ」
男「じゃあ率直に勇者でいいよ。仕方ないし」
友「わかったから黙ってろ人生の敗者」
委員長「友くんひどい……」
友「嘘だろ」
男「さすが委員長ちゃん。側近なだけあるね」
委員長「え、えへへ……」
友「どうなってんのこの世界。側近が勇者側とか魔王詰んでね?」
委員長「あっ、そろそろ授業始まっちゃうね」
男「なに!? もうそんな時間か。して、敵の名は?」
友「数学だよ。お前の嫌いな」
男「ぐはっ……! 頼む……! 村人Aよ! 我に慈悲の心、ザオリクを……!」
友「万能だな俺。村人Aのくせに。自分で言っててなんか悲しくなってきた。ってかダメージ受けすぎだろ」
委員長「だ、大丈夫?」
友「ほっとけほっとけ。勝手に生き返るから。そいつ半分ゾンビだし」
委員長「……」
友「驚愕の事実みたいな顔しないでくれる? 完全に冗談だから」
数学教師「おーい席つけー。授業始めるぞー」
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男「あっという間に休憩時間な訳だが」
友「お前、あれはちょっと無理あったんじゃねぇの? すげぇ困惑してたぞ、委員長」
男「え? 婚約?」
友「張り倒すぞ」
男「わ、わりぃわりぃ。こえーよ、お前。ちょっとした冗談じゃねぇか」
友「お前が委員長と仲良くなりたいからなんとかしてくれって泣きついてきたんだろが。ちったぁ真剣にやらんかい」
男「ごもっともです」
男「でも、やっぱあれだよ。なんか緊張すんだよ。すげぇ可愛いじゃんだって。何あれ?」
友「俺に聞かれても困る」
男「あんな感じで無理矢理にでも話掛けないとコミュニケーションなんて取れないんだよ俺」
友「気持ちは分からんでもないがただの変人だったぞお前。もっとまともな話題はないんかい。なんだよ魔王って。村人Aって」
男「んなこと言われても……」
友「こりゃ前途多難だな」
男「じゃあ、あれだ。なんつーか見本見せてくれよ、お前」
男「そういうの得意だろ?」
友「別に人並み程度なんだが……。お前が下手くそなだけだと思うけど」
友「でも、まあそうだな。あくまで話し掛けるだけだけど、ちょっとやってみっか」
男「さっすが友さん! 尊敬しちゃうな! 大事な壺勝手に割られても華麗にスルーしちゃうだけある!」
友「おいそれ村人Aだろ、いい加減にしろ」
男「まあまあ。ってことで早速頼む! 今委員長ちゃんどっか行ってるみたいだけど! 教室に戻ってきたらスタートな! オッケー!?」
友「わかったわかった。なんか鬼気迫ってんなお前」
男「当たり前だろ、こちとら絶賛人生のレベル上げ中なんだから」
友「セリフだけ聞くとかっこいいけど、現状ただへたれてるだけだからな」
男「あっ! 戻ってきた!」
友「聞けよ」
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