※初投稿です。掲示板利用自体初めてに近いです。
※スマホで考えながら書いているので、投稿スピードも遅いです。
他にも至らない所が多々あると思いますがそれでもよろしければどうぞ
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些細な事で勤めていた職場をクビになった。
なけなしの貯金も1月経てばすっからかんで、それなのに次の仕事も探さずに炎天下の中をブラブラと歩いていた。
元々働く気力もなかったし、自分に期待もしてなかったから、少ない金をギャンブルに突っ込んだのも後悔していない。
ただ、生きている限りは腹が減るし、何もできないのも暇でしょうがない。
支払いの期限も迫っていて、さてどうしたものかって時にそれが目に飛び込んできた。
「あなたの思い出買い取ります」
普通だったら見向きもしない。
でも何しろ暇だったから、掲示板に貼られた広告をとりあえず読んでみることにしたんだ。
広告にはその文句と簡単な地図しか書いてなくて、どうやらここからそう遠くないらしいから、詳しいことを聞きに向かってみることにした。
何度も言うけど、暇だったんだ。金も欲しかったしね。
なんかげんふうけいリスペクトっぽい
歩いて数分もするとボロい雑居ビルに着いた。
ビルよりボロい看板を見ると、3Fに「思い出屋」と書いてある。
4Fの金貸しとどちらに行こうか迷ったけど、既に別の所に借りていたし、当初の予定通り3Fへの階段を上ることにした。
トビラを開くと嫌な感じにギキィと音がなって、建てられてから俺が初めてドアを開けたんじゃないかと心配になった。
でも、すぐに座ってる人影が見えたんでその心配は消し飛んだ。
「いらっしゃい」
声からすと少年らしい。
声を聞いて帰ろうかなとも思ったんだが、店内の雰囲気が何というか魅力的で、ここで出たらもったいない様な気分にさせられた。
「どこで知りました?」
数秒経ってから自分が聞かれていることを理解して、「広告」とだけぼそっと答える。
すると「どこの?」と聞いてくるので、必要かと思いながら見つめると「重要なことです」と先きほどとトーン変えずに言ってくる。
それが重要じゃないことは直感で分かった。
「駅の近くの自販機横だよ」
答えないと話が進まなそうだったから、またボソッと答える。
「じゃあ、売りにきたんですね」
と言われたので
「買うこともできるのか?」
と聞き返すと
「もちろん」
と幼い顔が笑いながら言った。
「最近は買う方が多いので、あの広告を出したんです」
金がある奴は俺なんかとは使い方も違うらしい。
三日間の幸福っぽい
軽い説明を受けて奥の部屋に通される。
部屋には簡易ベッドが何台も置いてあって、そのどれもに変な装置がついていた。
その装置を頭に着けて横になる。
話によると思い出を探る機能があるらしい。
まずリラックスした状態(意識がない状態の方が尚いい)で、売れる思い出があるか査定して、それから売るかどうかを決められるとのこと。
未だに半信半疑だったけど、自分の思い出の価値を知れる機会もそうないからお願いすることにした。
タダだったのも大きい。
>>10
原題の方を読んだことあると思います
勝手ですがオマージュみたいなものだと思っていただければ
あまりにもアレだったり、不快になる様でしたら止めます
「おきてください」
ぼーっとする。
何だか幸せな夢を見ていたような。
「もう終わったので、起きてもらって結構ですよ」
時計を確認すると1時間くらい寝ていたらしい。
「位くらだった?」
目をこすりながら尋ねた。
「4つで107万と2千500円です」
驚く程目が覚めたのを覚えている。
「内訳をお聞きになりますか?」
黙って頷く。
「まず、4歳~9歳までの幸せな思い出がまとめて60万、20歳の時の不幸な思い出が40万、17の時のが7万、最近のが2千円、残りの500は新規のお客様へのサービス料です」
予め言うことが決まっていたのか流れるようにスムーズだ。
「4歳~9歳までのは分けれないのか?」
理解は出来てなかった。が、気になった部分を尋ねてみる。
「詳しい事はこちらの用紙に書いてありますのでご確認ください」
その時は深く考えず、折角なので1番安い思い出を売ることにしたんだ。
帰り道、手にした金でビールを買って、紙に目を通した。
どうやら俺が売った思い出はクビになった原因らしい。
殴ったのだ。上司を。余りにも理不尽だったから。
それがキッカケで今に至る。
他の思い出の内容を飛ばして、注意事項の欄を見る。
・貴方が当店に売却するのは記憶ではなく思い出です。ご確認下さい。
・思い出を売ったことによる影響や損失に関して、当店は一切責任を負いません。ご了承下さい。
・貴方の思い出の権利は、お売り頂いた時点で当店に帰属するものとします。買い戻しができない場合がございます。ご理解下さい。
買い戻す気など起きないだろう。むしろ、あんな思い出が2千円で売れたのは儲けもんだと思った。
翌日は電話の音で目が覚めた。
寝ぼけながら出ると、俺に殴られた上司の声がする。
「今何時だと思っているんだ??」
「じ、10時です」
怒鳴られたもんだから、つい反射的に答えちまった。
が、怒鳴られる理由がない。
「会社を辞めたのに、何故怒られなきゃいけないんですか?」
当然のことだが苛々していた。
「何を言っているんだ?」
それはこっちの台詞だ。
「俺はあんたを殴って、、、、、、」
そこまできて漸く昨日の出来事を思い出す。
どうやら俺は思い出を売ったみたいだ。
会社に着いて、説教を食らってる間も俺は昨日のことを思い出していた。
俺が売ったのは思い出だ。記憶じゃない。
しかも売ったのは俺だけのはずだ。
同僚に確認してみると、上司を殴った事実はなくなっていて、俺は長期の休暇を取ったことになっていた。
左頬の殴られた痕について尋ねると、酔っ払いに絡まれたと上司は言っていた。
訳が分からなかったし、ちょっと、いやだいぶ気分も悪かったから早退して、駆け足であの店に向かった。
思えば俺はいつも後先を考えていない。
「いらっしゃい」
「どういうことだ」
「何のことですか?」
「周りの記憶が違った」
「そうですか」
「説明してくれ」
「用紙はご覧になりました?」
「注意事項は読んだ」
「そこではなくて、『はじめに』の所です」
おれは持っていた紙にもう1度を目を通した。
はじめに
この度は当店をご利用頂き、誠にありがとうございます。
当店は数ある系列店の中でも、とりわけ安心・安全であることを自負しております。
それは、お客様がご満足頂けるよう、充実・信頼されるサービスを心がけているからです。
査定や受け渡しに関しては、お客様のご負担にならぬよう迅速
に行い。また、取引後のケアも万全です。
お客様にも大変ご納得頂けることかと存じます。
次ページからの取引内容、思い出内容、注意事項を確認していただき、契約書にサインして下さい。
これにて契約は完了致します。
またのお越しをお待ちしております。
スタッフ一同
今から読むけど、げんふうけい俺も好きよ
スレタイ見たとき少し嬉しかったわ
「昨日契約時に説明しましたよね」
相変わらずトーンは一緒だ。
「説明はされたけど、万全のケアとか曖昧じゃないか」
「聞いてこなかったじゃないですか。それに、取引内容にも書いてありますよ」
少しトーンが変わる。
「いいですか。取引内容にはその時売買する思い出と、購入する場合、売却される場合の対策が書いてあります。売却される場合はその思い出が他の思い出に影響が出ないようにしています」
それを聞いてますます不思議になる。
「実際、影響が出ただろ」
「出てませんよ。思い出には」
つまりこういう事だった。
本人の他の思い出と他人の思い出には影響が出ないようにしている。しかし、注意事項に書いてある通り他への影響に関しては一切責任負わないと。
「納得できない」
「サインされてるんですから納得してもらわなければ困ります」
サインはした。したが、
「上司の俺に殴られた思い出は?」
「正しく言うと人に殴られた思い出です」
頭の中にハテナは増える。
「その上司にとって誰かは重要じゃないんです。だから影響が出ない様に記憶を改竄させて頂きました。これも注意事項に書いてありますが、思い出は記憶とは別物です」
>>21
ありがとうございます
他の作業しつつ、スマホで連絡も取っているので、超ゆっくり投稿になりますが、楽しんでもらえたら幸いです
まだ納得できない顔をしていると、
「もういいですか?」
相手も納得していないみたいだ。
「また、取引する時がきたら質問にもお答えします。」
入り口まで案内される。
「あなたが思っているより、あなたは人の思い出に残らないってことです。」
理解してくると軽くショックを受ける。
「あなたもそうでしょう?」
「またのご来店、心よりお待ちしております」
少年は笑っていた。
とりあえずここまでで、「2千円の思い出」篇は終了です
自己満足になると思いますがもうしばらく続きます
まだ読んでいる方がいらっしゃったら、質問・注意などを受け付けますのでおっしゃってください
続き書いていきます
質問等は随時受けてます
よろしくお願いします
結果として俺はもう1度職に就くことができた訳だがそんなことはどうでもいい。
正直色んなものがついていかなかった。
去り際の笑顔が忘れられない。
接客の無機質な笑顔とはまた違った気がする。
そもそもあいつは少年だったのかも疑わしい。
俺はたった2千円で何かとんでもないことをやっちまった気分だった。
次の日から真面目に仕事をしたよ。
早くあの顔と出来事を忘れたかった。
辞める前より打ち込んだじゃないかな。辞めたことはなしになったんだけどな。
でもまぁ、ここまで長々と話聞いてたなら分かるだろ。
そうなんだよ。おれはまたあの店を訪れることになる。
「いらっしゃい」
少年の声がした。
「あっ、お久しぶりです」
笑顔だ。前みたいな不気味さは感じられない。
「どちらですか?」
「売りにきた」
察して答える。
「また無一文ですか?」
少しにやけてるみたいだった。
「違うよ。おかげさまで仕事はしている」
その時には俺も笑う余裕くらいはあったんだ。
「その、、やな思い出も買い取ってくれるだろ?」
不安気に尋ねる。
「もちろん、そういう方も多いですから」
「そもそも前回も嫌な思い出ですよね?」
「俺にとってはどうでもいい思い出だったよ。あの時は」
少年はゴソゴソと何かを探している。
「どうした?」
「いや、前回の資料を」
「とってあるのか」
「大切なお客様の情報ですから。もちろん、取扱いに細心の注意を払ってますよ」
前のことがあったからか口調が柔らかい。
「あった。では、こちらへどうぞ」
例の部屋に案内される。
「また査定するの?」
「前回から3ヶ月経ってますし、思い出も増えてるかも知れないですよ」
売る思い出は決まっていたが、流されるままに横になる。
おつ
げんふうけいよりも世俗的かも
期待
17の時の俺は、俺だけじゃなく大抵の男子がそうだと思うが、本当にどうしようもない奴だった。
そんなどうしようもない俺にも幼馴染なんて洒落たもんがいて、これまた愚かにも淡い片思いを抱いていた。
当然気持ちの制御なんか出来なくって、なんなら8割方成功するつもりで告白したよ。
だから、「君とは付き合えない」って澄んだ瞳で言われた時は、あんたが今思っている以上にダメージがでかかったなぁ。
話を戻そう。
えぇぇと、、、、、、そうだ。
思い出を売った事による影響の大きさを実感して、1ヶ月位経った頃かな。おれは素晴らしいアイデアを閃いたんだ。それがあの店に再び赴いた理由な訳だけどさ。
思いついてから実行に移すまで、仕事のやり繰りに時間がかかっちまったが、どうにか休みが取れそうだってんで、準備して店に向かった。
それで土曜日よ。
3連休にした理由はきっと彼女との時間を大切したかった、とかそんなようなもんだったと思う。
目的の駅は休日にしては人が少なかった。
日が昇ってきたこの時間の空気は気持ちいい。
やることが決まっていたので、さっと地図を確認して足早に歩いた。
仕事の合間に用紙を確認して、告白した時の思い出が入ってることに気づいた時は思わず声を上げてしまった。
どうやったかは謎だが、記憶を改竄して辻褄を合わせる。クビの件でそれは確かだ。
俺はこれを上手く利用できないかと考えた。
きっと幼馴染の思い出は「誰かを振った」ことなのだろう。
彼女とは卒業以来会っていない。それが良かった。他の思い出に影響が出なくて。
今更彼女と付き合おうという気はさらさらないが、昔の様に良き幼馴染に戻りたかった。
それこそ高校の時の笑い話をして、あの笑顔をもう1度見れれば十分だ。
気まずさから会わずにはいたけど、連絡先は知っていたし、住んでる場所も知っていた。
「こっちに来てるんだけど会えないかな」と伝えると「明日なら空いてる」と変わらない声で答えてくれた。
声を聞くだけで嬉しいもんだな。
とりあえずはビジネスホテルに泊まって、明日の昼に彼女と会うことにした。
思い出を売る人は、お金よりもこういう目的の人も多いんじゃないかなんて考えながら眠りに就いた。
その夜久しぶりに夢を見たよ。ゆっくり休めたことや彼女に会えるってこととは無関係じゃないだろうな。
でも、夢の中に出てきたのは彼女じゃなかった。
少年が出てきてこう囁く、
「あなたが思っているより、あなたは人の思い出に残らないってことです」
前に言われた台詞だ。
場面が入れかわる。初めての査定の時だ。
「17の時のが7万」
更に場面が変わっていって、最終的に上司を殴ったところで目が覚めた。
殴られたんじゃなくて殴って起きるとは。
同じ人を2回も殴ることになるなんてな。
目覚め方が悪かった。が、それ以上に悪い所はたくさんある。
余裕が有っても思慮が足りない。
店の中でも夢の後でも、幼馴染に振られた思い出が何故7万もしたのかを考えもしなかった。
ほんの少しでも考えていれば、違う未来もあったのかもしれない。
俺はあの時から成長していなくて、本当にどうしようもない奴だった。
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