凛「卯月の髪に顔をうずめて死にたい」 (61)

百合&鬱要素ありです

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未央「しぶりん!誕生日おめでとう!」

凛「どうも」

未央「えー?反応うすっ!」

凛「別に、みんなからも祝ってもらったし……今さら未央に言われても、ね」

未央「そんなこと言っていいのかなー?このアイドル未央ちゃんに誕生日を祝ってもらいたい男子がどれだけいることか……!」

凛「私、男子じゃないんだけど」

未央「ま、茶番はこれくらいにして……ほいっ」

凛「……え?なにこれ」

未央「なにこれ?……じゃないよ、しぶりん!誕生日なんだからプレゼントに決まってるじゃん!」

凛「ああ、そっか」

未央「プレゼントでもここまで反応が薄いとは……このアイドル未央ちゃんにプレゼントをもらいたい男子が……」

凛「それはもういい」

未央「あ、はい」

凛「まぁ、素直に嬉しいよ」

未央「ぬー、なーんかひっかる言い方」

凛「そう?私なりに喜びを表現してるつもりだけど」

未央「喜んだら普通、うわー!やったー!って飛び跳ねるものじゃない?」

凛「ただのプレゼントもらっただけでそんな反応するの、未央だけだよ」

未央「えー?じゃあ、何をもらったらしぶりんは喜びを爆発させてくれるんだい?」

凛「んー、私は……」

未央「なんだい、なんだ~い?」

凛「卯月が欲しいかな」

未央「へ?」

凛「卯月の側で思い切り息を吸い込みたい」

未央「お、おおう?」

凛「卯月の香りを一人占めしたい」

未央「ちょ、しぶりんさん?」

凛「知ってる?卯月っていつもすごくいい香りがするから、ずっと嗅いでても飽きないんだよね」

未央「し、しらんわ!」

凛「卯月という可憐な花の蜜に魅せられ儚く飛び回るだけの蝶になりたい」

未央「なんか綺麗なこと言ってるけど……つまり……?」

凛「卯月の髪に顔をうずめて死にたい」

未央「ぜんぜん綺麗じゃない!」

凛「卯月の吐いた息……肺がいっぱいになるまで吸いたいなぁ……」

未央「う、う~ん……」

未央(さ、さすがに本人に報告するのはまずいよね……)

未央(ここはなんとか、代わりのもので我慢してもらおう)

未央「凛さん凛さん、しまむーの髪に顔を……っていうのは難しいかもだけど、似てるものなら用意できるかも!」

凛「ほ、本当に!?」

未央「ふっふっふ、この未央様に任せなさい!」

凛「ありがとう……!未央が友達で本当に良かった……!」

未央「やっほ、しきにゃん~」

志希「やっほ~♪どしたの、みおにゃん?」

未央「実はさ、しぶりんがかくかくしかじかで……」

志希「なるほど~、卯月ちゃんの香りかぁ」

未央「そうそう、しきにゃんの力でなんとか作れないかな~?」

志希「あの子の香り、確かに素敵だもんね~♪うんっ、参考資料はなくても作れそうかな」

未央「おお!恩に着ます!」

志希「その代わり、あとで未央ちゃんのサンプルちょうだいね♪」

数時間後

未央「やぁやぁ、お待たせしぶりん!」

凛「まったく……どこ行ってたの?」

未央「おっと、それは聞かない約束だ」

凛「いつしたの、そんな約束」

未央「いいから、いいから!じゃーん!」

凛「ん?なに、その小瓶?」

未央「ふっふっふ、知りたいかい?」

凛「それが新しいプレゼントってわけ?」

未央「いやいや、こんなものじゃないって!」

凛「じゃあ何なの?」

未央「実はもう一人ゲストをお呼びしています」

凛「ゲスト?」

未央「カモーンみなみん!」

美波「はい!美波いきます!」タッ

未央「みなみん、急に呼んで悪かったね」

美波「それは別に構わないけど……あ、凛ちゃん、誕生日おめでとうね」

凛「……どうも」

美波「それで未央ちゃん、私はどうすればいいのかな?」

未央「みなみんはそこで立ってくれてればいいよ!」

美波「それだけでいいの?」

未央「そして、この小瓶に入った香水をみなみんの髪に振りかけます」パッパッ

美波「え、ええっ!?変なにおいじゃないよね?」

未央「だいじょーぶ、だいじょーぶ♪そしてよく髪になじませます」ワシャワシャ

美波「んっ、あっ、くすぐったい」

未央「これくらいでいいかな……さ、しぶりん!」

凛「さ、って言われても……」

未央「ほらほら、嗅いでみてっ」

凛「えぇ……?」クン

凛「ん?」

未央「どうかな、どうかな?」

凛「これ……卯月の香り……」

未央「おぉー!さっすが、しきにゃん!」

凛「卯月の、お花みたいな香りだ……!」

未央「堪能していいんだよ、しぶりんだけが」

凛「卯月……うづき……!」クンクン

未央「ほれほれ、顔をうずめちゃいなよYOU」

凛「んっ……はぁ……うづきぃ……」ポフッ

美波「えぇっ!?ちょ、凛ちゃん!?わ、私は新田美波だよ?」

未央「みなみん、ここは聖母の心で見守ってやってくだせえ」

美波「えぇー……?どうして私がこの役目を……?」

未央「髪の長さがしまむーと同じくらいかなって」

美波「それだけ!?」

凛「んんんぁぁあ……うづきぃ……もっと嗅いでいい……?」ギュッ

美波「あっ、ちょ、腰に手を回したらくすぐったいからっ……」ビクン

未央「ほっほっほ、効いてますな」

美波「未央ちゃん!見てないで助け……んっ……!」

凛「すぅ……はぁ……あぁぁ…………ん?」

未央「お、しぶりん?」

凛「あれ……?あれ?」

美波「凛ちゃん……?どうしたの?」

凛「……なんか、違う。卯月はもっとこう……」

未央「おやおや?」

凛「卯月はもっと腕の中にすっぽり収まる感じで、ほどよく柔らかい肉感が……」パッ

美波「はぁっ……ようやく離してくれた……」

凛「あ、ごめん、美波」

未央「んー!しぶりんの喜び爆発まではもう一歩だったか!」

凛「ま、いい線いってたかな」

未央「みなみんも協力ありがとね!」

美波「ううん、力になれたのなら、良かった……のかな?」

未央「では、この香水の残りはしぶりんに進呈しよう」

凛「……もらっとく」

未央「それと!しきにゃんから伝言!」

凛「ん、なに?」

未央「誕生日おめでとう、にゃはは♪だって!」

凛「……そっか」

加蓮「あ~、凛、こんなところにいたんだ」

凛「あ、加蓮と……奈緒?」

奈緒「まったく、探したんだからな~」

凛「え?なんか約束してたっけ?」

奈緒「いや、別にしてないけど……」

加蓮「こういうのはやっぱり直接の方がいいかなって」

凛「こういうの?」

加蓮「ほら、奈緒、言ってあげなよ」

奈緒「え、ええ!?なんであたしから!?」

加蓮「いいから、いいから」

奈緒「ん……こほん……あー、凛」

凛「なに?」

奈緒「誕生日おめでとう」

加蓮「はっぴーばーすでー♪」

凛「ああ……さっきメールでも来たよね」

加蓮「だから、それより直接の方が良かったでしょ?」

凛「……あんまり変わらないかな」

奈緒「なんだよ冷たいなー」

加蓮「じゃあこれなら喜んでくれる?」スッ

凛「ああ、プレゼント?」

奈緒「あたしからも!すっげー悩んで選んだんだからな」スッ

凛「……ありがと」

加蓮「ありゃ、これでもダメか」

未央「ふふ、この未央先生が助け舟を出して進ぜよう」

奈緒「うわっ、未央もいたのか!」

加蓮「ごめん、全然気づかなかった」

未央「いいっていいって!実はかくかくしかじかで、しぶりんに喜びの舞を踊ってもらおうと頑張ってるところ!」

加蓮「なるほどね……そこまでしてもダメだったなんて……」

奈緒「凛、卯月の香り以外でほしいものとかないのか?」

凛「まぁ……あるけど」

加蓮「なになに~?何でも言って~」

凛「卯月を……食べたいかな」

奈緒「え?」

加蓮「わ~……」

凛「卯月のすべてを味わいたい」

奈緒「は、はぁ……?」

凛「卯月の油断だらけの身体に、歯を立てて、舌を這わせたい」

加蓮「わーお……」

凛「月光に照らされた絹のような肌の上で麗しい姫君とワルツを踊りたい」

未央「つまり……?」

凛「卯月をお腹いっぱい食べて死にたい」

加蓮「アタシより病気だね」

奈緒「言ってやるなよ……」

凛「卯月の指先から髪の毛の先までしゃぶりたいなぁ……」

未央「分かった、どうにかしよう!」

凛「本当に!?」

奈緒「できるのかよ!」

未央「誕生日に願いを叶えてあげる……それが友達ってもんよ」

加蓮「そうね、アタシもできる限り協力するよ」

奈緒「お前らの適応力なんなんだよ……」

未央「やっほ、みむっち」

かな子「わぁ、未央ちゃん、どうしたの?」

未央「実はかくかくしかじかで、しぶりんにしまむーを食べさせてあげたいのだ!」

かな子「なるほど~、それなら材料もあるしできそうかも」

加蓮「アタシと奈緒も手伝うからさ」

奈緒「あたしもかよ!まぁ……いいけど」

かな子「うん、みんなでやればきっと美味しい卯月ちゃんができるよ~」

数時間後


未央「お待たせ、しぶりん!」

凛「まったく……待ちくたびれた」

加蓮「まぁまぁ、そう言わないでよ」

奈緒「自信作!持ってきたから!」

凛「自信作……?そういえば甘い香りがするような……」クン

未央「それでは今回もスペシャルゲスト、どうぞ~!」

かな子「は~い、凛ちゃんにプレゼントで~す」

凛「か、かな子?」

かな子「凛ちゃん、誕生日おめでとう~」パカッ

凛「あっ……!これ……卯月だ……!」

未央「どうかね?三村シェフの特製、しまむのーの似顔絵ケーキは!」

かな子「赤いところはラズベリーソース、黒いところはブルーベリーソース、肌の濃淡はカラメルソースで表現してるんだよ~」

凛「た、食べていいの?この卯月を」

加蓮「もちろん、そのために作ったんだから」

凛「いただきます……!」ペロッ

奈緒「なんか……犬みたいな食べ方だな」

加蓮「卯月を舐めたいって言ってたから、そういうことだね」

凛「卯月……はぁ……甘い……」ペロ ピチャ

かな子「ふふっ、夢中になって食べてくれるなんて作った甲斐があるよ~」

凛「うづきのソース……すごく甘くてトロッとしてて……美味しい」

奈緒「わー!完ペキ駄目な発言だろいまの!」

加蓮「まぁまぁ、凛があんなに幸せそうなんだから」

凛「はぁっ……ん……もぐ……美味しい……美味しいよ……あ?」

奈緒「お、どうかしたか?」

凛「卯月……いなくなっちゃった」

かな子「分かるよその気持ち……食べ物って美味しいけど、食べると無くなっちゃうんだよね……」

凛「そっか……もう卯月のこと食べられないんだ……」

加蓮「凛、そんなに落ち込まないでよ」

かな子「またいつでも作ってあげるよ」

凛「うん……ありがとう」

未央「これでもしぶりんの狂喜乱舞は見られずか~」

奈緒「なかなかハードルが高いよなー」

未央「こうなったら奥の手を使おう!」

奈緒「奥の手?」

未央「アイデアがダメなら、数で勝負だ!」

数時間後

未央「しぶりん!今度こそ喜んでもらうよ!」

凛「ねぇ、そろそろ帰りたいんだけど」

奈緒「あー、待て待て!これだけは!」

加蓮「そうそう、集めるの大変だったんだから」

凛「……はぁ、こんどは何?」

未央「じゃーん!最後のスペシャルゲストはこいつらだー!」


アイドル達『凛(ちゃん)、誕生日おめでとう!』ワー

凛「…………」

加蓮「どう?事務所にいた子みんなに声かけてきたんだから」

奈緒「さすがに少しは嬉しかっただろ?」

凛「…………」

未央「よーし、みんな、もう一声だ!」

みりあ「凛ちゃーん!おめでとー!」

みく「おめでとうにゃー!」

菜々「誕生日おめでとうございます!歳を重ねるのを喜べるのっていいですよね!」

凛「…………」

小梅「……凛ちゃん、おめでとう……あの子も……そう言ってるよ……」

藍子「おめでとうございます、凛ちゃん」

蘭子「魂の環が重なり、新たな次元が開かれるわ」

きらり「にょわー!お誕生日、はぴはぴだにぃ☆」

楓「凛ちゃん、おめでとうございます」

凛「……て……」

智絵里「誕生日おめでとうございます、凛ちゃんはいつも格好良くて尊敬してます」

幸子「おめでとうございます、凛さん。ボクの誕生日には倍返ししてもらいますからね」

アーニャ「ズドニョーム・ラジジェーニィヤ おめでとう、ございます」

奏「おめでとう」

美嘉「おめー★莉嘉もおめでとうだってさ」

杏「ん、おめでと」

未央「ほら、みんなこんなに祝ってくれて――」

凛「やめて!!!」

未央「……え?」

凛「もうやめて!私は祝われたくなんかない!」

加蓮「こらこら、皆こうして集まってくれてんだからさ」

凛「うるさい!なんでみんなはそんな普通にしてられるの!」

未央「なんで……って、友達の誕生日を祝うのは普通じゃん?」

凛「やめてよ……!私はそんな気分になれない」

奈緒「せ、せっかくの誕生日なんだから……」

凛「そんなのどうでもいい……」

凛「だって今日は……」

凛「今日は……」

凛「卯月の命日でもあるのに」

未央「……」

凛「卯月は、去年のこの日、私の誕生日会を開いてくれた帰り道、交通事故に遭った」

加蓮「そう……だね」

凛「忘れてないよね?私に『おめでとう』って手を振ってた卯月のこと」

凛「あの直後、卯月は車に轢かれた。全部、私のせいだ」

奈緒「凛の……せい?」

凛「そう……卯月が死んだのは私のせい……私が8月10日なんかに生まれたせいだよ」

未央「……違うよ」

凛「あの日は、帰省ラッシュでいつもより交通量が多かった。私の誕生日がこの日じゃなければ……私が生まれてこなければ……卯月はまだ元気にアイドルをやれてたんだ!」

凛「卯月はきっと私のことを恨んでる。誕生日会なんて開くんじゃなかったって後悔してる」

奈緒「そんなわけないだろ!」

凛「小梅、近くに卯月はいる?」

小梅「いないよ」

凛「嘘だっ!卯月に伝えてよ!こんな日に生まれてごめんって!」

小梅「もういないよ、卯月ちゃんは」

凛「なんで……!?小梅には幽霊が見えるんでしょ?」

小梅「幽霊になるのは、この世に憎しみや恨みを残している人だけ……卯月ちゃんはそうじゃないんだよ」

凛「やめて……!卯月は私を恨んでるに決まってるのに……!」

凛「何かいいことがあるかもって一年間生きてきたけど、卯月と一緒にいること以上に楽しいことなんてなかった!」

未央「それはさ、これから作っていけばいいじゃん?」

凛「無理だよ、卯月がいなくなってから輝いて見えるものはなくなった……」

凛「私はもう……死んだ方がいい」

凛「死ぬなら、卯月の髪の中が良かったけど、それももう叶わない」

凛「ならせめて卯月の命日に、一緒に死にたい」

未央「……しぶりんっ!」バシッ

凛「……っ痛……!」

未央「ごめん。でも、しまむーが大好きだったしぶりんを死んでもいいなんて言う人は、たとえ本人でも許せない」

凛「未央に……なにが分かるの……?」

未央「……覚えてる?去年のあの日、誰よりもしぶりんにおめでとうって言ったのは、しまむーだったんだよ」

凛「……覚えてるよ」

未央「だから今年は、しまむーに負けないくらいおめでとうって言ってあげて、寂しい思いさせないようにしようって頑張ったんだけど……ごめん」

凛「……足りない」

未央「……」

凛「……足りない……卯月は朝からずっと、別れる時までずっと祝ってくれた……それに比べたら……全然足りない……!」

未央「回数や人数じゃない、代わりのものじゃ意味ない。そんなの私たちだって分かってたよ」

奈緒「でもな、いい加減前を向いてほしいんだよ!」

加蓮「凛は何のためにアイドルになったの?」

凛「私は……卯月がいたから、向いてないアイドルだって頑張れた……!いつも卯月が笑顔でいてくれたから……!」

奈緒「ならこれからも頑張れよ!人は死んだら終わりか?違うだろ!卯月が残した笑顔はまだ忘れてないんだろ?」

凛「……っ……それは……っ」

奈緒「本当は、卯月が死んで寂しい、ってだけじゃないんだろ?」

未央「しまむーに伝えたいけど伝えられなかったことがあるんじゃない?」

凛「……つたえたかった……こと……?」

加蓮「もう一年も経つんだよ、そろそろ素直になってもいいんじゃない?」

凛「……っ……私は……うづきのこと……」

凛「……好きだった」

加蓮「うんうん、バレバレだったよ」

凛「でも卯月は全然気づいてくれなくて……」

凛「そうだ……卯月に……謝らなきゃ……」

未央「何をかな?」

凛「卯月はいつでも無邪気な笑顔を向けてくれてた……」

凛「それなのに、私は心の中で卯月を辱めるようなことばっかり考えてて……」

加蓮「そっか、そっか」

凛「ごめん……ごめん……うづきぃ……」

加蓮「おー、よしよし」ナデナデ

未央「懺悔したいのはそれだけ?」

凛「……着替え、こっそり盗撮して、ごめん……」

加蓮「大丈夫大丈夫、卯月は怒らないよ」

凛「寝てる卯月に、キスして……ごめん……」

奈緒「なんかまだまだ余罪がありそうだな……」

凛「水着の卯月と一緒に撮影したとき……」

未央「よ、よーし!そこまで!」

凛「……?」

未央「大丈夫、しまむーなら全部許してくれるよ」

凛「いや……でも……申し訳なくて……!」

加蓮「しちゃったものはしょうがない、それよりも、これからどうやって罪を償うかでしょ?」

奈緒「いま凛が死んだら、それこそ卯月に恨まれるぞ」

凛「……そう……だね」

凛「……ふふ、なんかすっきりしたかも」

未央「お!しぶりんの笑顔いただきー!」

凛「まったく……未央はやり方が強引なんだから」

未央「まぁまぁ、病気のしぶりんにはこれくらいしないとね!」

凛「はぁ、未央といるとなんか疲れる」

未央「ほほう、それは光栄ですなー」

凛「なにそれ……ふふっ」

奈緒「そうそう、凛は笑ってた方が可愛いぞ」

加蓮「そう言う奈緒も可愛いけどね」

奈緒「な、な、な!今はそういう場面じゃないだろー!」カァァッ

加蓮「やー、怒ってるのもかわいーいー」

凛「ふふっ……」

凛「…………みんな、ありがと」ヒソッ

未央「ん?しぶりん、なんか言った?」

凛「ううん、何でもない」

凛(この世に卯月はもういない)

凛(それでも、卯月がくれた笑顔は残り続けるんだ)

凛(それなら私はまだ頑張れる。卯月への罪を晴らして、恩返しをするために)

凛(私は卯月を忘れない。将来、誰かに恋をしても、卯月を好きだったことは忘れない)

凛(それが生まれ変わった私の道標)

凛(そう、今日こそが、新しい私の誕生日だ)

―――
――



凛「…………」

卯月「…………」

未央「以上!どうだったかね、みおちゃん特製のうづりんSSは!」

卯月「あ、あのー、なんというか……か、感動しましたっ」

凛「卯月、無理しなくていいよ……」

未央「しぶりんをお祝いするために徹夜で書いたんだから、何度も読み返してよねっ」

卯月「よ、良かったですね、凛ちゃん!」

凛「いや、良くないよ……身内で死ネタとか未央の人間性を疑うよ」

未央「あれ、意外に不評!?」

凛「当たり前だよ、卯月の髪に顔をうずめたいって、どんな変態?」

未央「えー?うずめたくないと言うのかい?」

凛「普通、しないでしょ」

卯月「え……?」ピシッ

凛「ん?」

卯月「そ、そうですよね……私の髪なんて、ごわごわだし匂いも良くないし……」

凛「卯月……?」

卯月「あ、あはは……ちゃんと洗ってるんだけどなぁ……今度シャンプー変えてみようかな……あはは……」ズーン

凛「あ、いや!ちがう、卯月の髪はすごくいい匂いだよ!」

未央「ほう?」

卯月「ほ、本当ですか?」

凛「もちろん!お花みたいないい香りがするし、つやつやで柔らかいし」

卯月「で、でも顔をうずめたくはないんですよね……?」

凛「いや、普通はしないってだけで……全然、その、うずめたい……です……」カァァァッ

卯月「……えへへ、凛ちゃんにそう言ってもらえると、嬉しいです」

未央「ほうほう?」

卯月「あ、あの、もし良かったら……今すぐでも……」

凛「い、いいの!?」ガタッ

卯月「は、はい、まだ汗もあんまりかいてないので、大丈夫です」

凛「……それはちょっと残念だけど……」ボソッ

凛「卯月がいいって言うなら……いくよ……?」

卯月「きてください、凛ちゃん……」ウルッ

凛「……っ、卯月っ……」ポフッ

卯月「……凛ちゃん……あったかい」

凛「ん……すぅ……はぁ……いい香りだ……」クンクン

卯月「あっ、もぉ、息が首にあたって……ひゃっ」

凛「は……は……ん……もぐ……」クンクン

卯月「えへへ……凛ちゃん子犬みたいでとっても可愛いです……」ナデナデ

凛「ん……はぁっ……うづきの方が……かわいい……よ」クンクン

未央「あれ?これ、私が死んだ方がいいの?」

凛「ごめん、卯月、いっぱい嗅いじゃって」

卯月「いいですよ、こんなもので凛ちゃんが喜んでくれるならいつでも」

凛「ううん、誕生日限定にしとくよ。続けてたら頭がおかしくなりそうだし」

卯月「それじゃあ、また来年、ですね」

卯月「あっ、私はそろそろ次のお仕事に行ってきますね!」ガタッ

凛「う、うん、行ってらっしゃい」

卯月「えへへ、頑張ってきます!」タタッ

凛「……ふぅ」

未央「しぶりん、いま新婚さんみたいって思ったでしょ?」

凛「は、は!?思ってないし……!」

未央「いやー、私のSSのしぶりんみたいに素直になればいいのにー」

凛「べ、別に、現実の卯月は生きてるんだから……」

未央「うんうん、距離感も大事だよね」

凛「……未央のくせに、分かったような口を……」

凛「ところで、未央、いつ私の携帯みたの?」

未央「え?何の話?」

凛「いや、卯月の着替えの写真撮ってるの知ってたから」

未央「は?」

凛「寝てる卯月にキスしたのとかも、あの時未央いたっけ?」

未央「あ、いやいやいや、あれは創作であって事実とは……って、え?」

凛「え?」

未央「え?」

凛「え?」

未央「…………よし!今日も元気にお仕事だー!」

凛「まって」ガシッ

未央「な、なんだい」

凛「わすれて」

未央「なにを」

凛「いまの」

未央「み、みおちゃんは何も聞いてませんぞ!」

凛「着替えてる卯月を」

未央「盗撮」

凛「忘れて!」

未央「わー!しぶりんが怒ったー!」ダッ

凛「あ、こら、未央!待て!」

未央「にっげろー!!」タッタッタ




―完―

読んでいただいた方ありがとうございました。
しぶりん誕生日おめでとう

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