希「また、いつの日か」 (70)

ウチ、東絛希!

後数十日で高校三年生になる現高校二年生!

…とはいってもそれ以外特に何かあるわけやないし…まぁどこにでもいるような普通の学生…なはず!

あ、HR終わったからそろそろ帰らないとね

ウチは帰宅部!だから帰るよ、それじゃあまたいつか!

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「結構前に生徒会長になった人、とっても優しくてほんと生徒会長って感じなのよ!」

「へぇ~そういう人が生徒会長になるのは安心よね」

希「………」

希「はぁ…学校も面白くないな…」

希「友達を作るとか部活に入るとかまず楽しもうとしてないウチが悪いんやろうけど…」

希「…早く帰ってゲームしよ」

~家

希「よし!国士無双!」

希「これはデジタルゲームやからイカサマやないで~ウチの運やで~」

希「ふぅ…ウチ運だけはいいからこういうのは強いんよ~」

希「さて次のところいこ」

ピンポーン

希「あ、はーい今出まーす」



希「お届けものとか言われて貰ったけど…」

希「なにこれ…タブレット…?」

希「ウチ携帯は持ってるしお母さんが間違えて送ったんかな」

希「あ、紙があった、なになに…」

『お客様は三日間過去に戻れるタブレットの抽選に当選いたしました!おめでとうございます!
使い方は簡単!タブレットの電源をつけ過去に戻るという項目をタップするだけ
万が一過去で何かあった時用に過去に行ってもすぐこの世界に帰れるので安全性も保証できます!
その他の事は実際に過去にいきタブレットをつけ電子説明書を見てご確認ください』

希「過去に戻る…?なんやそれ、スピリチュアルやね」

希「でもなんか面白そうやな、学校はつまらないし麻雀も勝ちすぎていい加減飽きてきたから使ってみようかな?」

希「ジョークならジョークでいいし」

ポチッ

希「わぁ…なんかシンプルな画面やな…ど真ん中に過去に行くだけしか書いてないし…」

希「これで過去に戻れたら何しようかな~とりあえず散歩でもしよ」

希「…えーっと行きたい季節を選んでください…か、散歩するのに冬は寒いから冬はパスやね、暑いけど色々あって楽しい夏にでもしよ」

『過去に行く』

ピッ

希「……?」

希「何も起こら……?!」

希「うが…くるし……」ジタバタ

希「う………あぁ…」バタッ

~~~

希「ん……まぶし…」

希「…ここは」キョロキョロ

希「公園…?」

希「…あれ、ウチ家にいて過去に戻れるとかいうタブレット使ってそれから……」

希「どうしたんだっけ…」

希(というかなんでウチ、制服でバック持っていかにも帰る途中みたいな感じになってるん…)

コッチコッチー!ワー!マテマテー!

希「微笑ましいなぁ、ウチも子供の頃は……」

希「友達いなかったね…全然違った…」

希「…羨ましいなぁ、ウチもああやってはしゃぎたいよ…」

希「友達なんていないし…」

「あなたには友達いないの?」

希「ん?」

「あなたには友達いないの?って聞いてるの!」

希「そうやなぁ、ウチ自身作ろうと努力しないから友達は一人もいないんよ…」

「ふーん、なら私がなってあげるわ!」

えり「このかしこいかわいいえりーちかが!」

希「かしこいかわいいえりーちか?なんやそれ」

えり「私のことよ!かしこくてかわいい私を表してるの!」

希「えりーちかって名前なん?」

えり「違うわよ!えりよ!えり!」

希「ふーん…」

えり「あ!私のこと変な風に見てるでしょ!」

希「うぇ?!そ、そんなわけないやん?」

えり「動揺したから図星ね!私は変じゃない!」

希「…ふふ、確かにかしこいかもなぁ」

えり「ほんと?!やった!」

希「皆のところに行かんでいいの?あそこで皆遊んでるよ」

えり「…今の私にはあそこに行く勇気がないの」

希「勇気?」

えり「私なんかいれてもらえないよ…」

希「さっきまで強気だったのに急に弱気になるんやね…」

えり「………」

希「…あの子たちと何かあったん?」

えり「……喧嘩した」

希「あちゃー…そういうことか、確かに行きづらいやんな…」

希「……なら、行きたい時に行けばいいと思うよ」

えり「え?」

希「ウチ、友達いないからどんなアドバイスしていいんだか分からないけど今謝りたくないなら別に無理して謝る必要はないと思うんよ」

希「焦って悪化でもしたら大変やん?」

えり「…うん!」

希「なんか納得してもらえたようでよかったよ」

えり「その分お姉ちゃんが遊んでくれるんだよね!!」

希「えぇ?!」

えり「だって私一人ぼっちは嫌だもん!だからお姉ちゃんが一緒にいて!」

希「うーん……」

希(色々巡ろうかと思ってたけどこの子無視して泣かせるわけにもいかないしなぁ…)

希「仕方ないなぁ、せやけど何するん?」

えり「………」

希「決めてなかったんや…」

えり「……ブランコ」

希「え?」

えり「ブランコやるわよ!」ダッ

希「あ、ちょっと!」

希「まったく適当やなぁ…」



希「久々にブランコなんて乗ったなぁ、友達いなかったから公園すら行ってなかったし…」

えり「こぎかた知ってる?」

希「まぁ一応はね」

えり「ふーん、ならいいわ」

希「えりちは今小学生なん?」

えり「なに、えりちって」

希「えりーちかじゃ長いからえりちに略すよ」

えり「ふーん…」

希「それでさっきの話だけど小学生なん?」

えり「うん、小学三年生」

希「そっか、じゃあこれからやね」

えり「お姉ちゃんは?」

希「ウチは高校二年生…あ、でももう高校三年生かな?」

えり「ふーん…」

希「これからを大切にしなよ?ウチみたいにならんように」

えり「え?お姉ちゃんみたいになっちゃダメなの?」

希「当たり前やん、友達は一人もいなくて部活にも入らないで家帰ってゲームしてなんて高校生がやるような生活じゃないやん」

えり「……確かに」

希「せやろ?だからもっと今を大切にせなあかんよ?」

えり「うん…でもお姉ちゃんが悪いっていうのは違うと思う!」

希「ん?どういうこと?」

えり「お姉ちゃん優しいもん、皆はただお姉ちゃんのいいところに気付いてないだけだよ」

希「あはは…そうだったらいいんやけどなぁ…」

えり「でも!私が友達になったからにはもう大丈夫よ!」

希「あ、強気に戻った」

えり「ねぇ!私のお家に来てよ!」

希「えぇ?!流石にそれは…」

えり「ダメなの?」

希「いやえりちの親御さんが許してくれないやん?」

えり「大丈夫大丈夫!」

希「ホントかなぁ…」

えり「大丈夫よ!私を信じて!」

希「うーん…」

希(ここで断ったら信じてないことになっちゃうし仕方ないなぁ…)

希「わかったよ、じゃあいこっか」

えり「うん!行こ!」

~えり家

えり「ただいまー!」

希「お邪魔しまーす…」

えり母「おかえりなさいってあなたは…」

えり「私が連れてきた!お姉ちゃんと遊ぶの!」

希「なんかすいません…流れできてしまって…」

えり母「…そう、まぁ音ノ木坂の子みたいだし分かったわ」

えり「じゃあいこ!お姉ちゃん!」

希「う、うん!」



希「普通の部屋やね、本があって勉強机があって人形があってベットがあって…」

えり「ねぇお姉ちゃん!」

希「ん?なに?」

えり「勉強教えて!」

希「え?」

えり「ここ難しくてみんな解けてなかったから私だけ解いて自慢したいの!」

希「なんか自己顕示欲がすごいお願いやな…」

えり「お願い!」

希「はぁ…仕方ないなぁ…どこ?」

えり「ここ!」

希「あぁ…みんな解けないって引っ掛け問題のことね、まずここをこうして…」

えり「…あっ!」カキカキ

希「簡単でしょ?仕組みさえ分かれば簡単なんよこういうのは」

えり「すごいすごい!お姉ちゃん頭いいんだね!」

希「まぁ上位になんとか入れるには…」

希(半分くらい運だけど…)

えり「…お姉ちゃん頭いいのにどうして友達はいないの?」

希「それは…よくわからんなぁ…」

希「なんでなんやろうね……」

希「ウチが聞きたいくらいだよ」キッ

えり「…なんかごめん」

希「別に怒ってないよ、どうする?これから」

えり「お姉ちゃんいると勉強すぐ終わるからこっちのワーク全部終わらせよう!」

希「…まぁいっか、ウチの初めての友達なんやし」

~三時間

希「ふはぁ…」グデー

えり「疲れた…」クラクラ

希「学校のワークと夏休みの宿題やれるやつ全部を一日でやるのは流石に頑張りすぎやない…?」

えり「全部やっちゃえば後は楽でしょ?」

希「随分と合理的というか後楽したいタイプなんやね…」

えり「お姉ちゃんは後にやるの?」

希「ううんコツコツと進めて終わらせるタイプ」

えり「ふーん…そういう感じなのね」

希「もう八時やん…帰らないと…」

えり「え?!泊まっていかないの?!」

希「いやいやそんなん悪いやん!」

えり「ううん!大丈夫!もうお母さんから許可もらってるから!」

希「はっや…」

~お風呂

えり「うわぁ大きい…」モミッ

希「ちょ、そういうのはアカンって!」

えり「私もこのくらいになりたい!」

えり「どうやったらなれるの?」

希「えぇ…?」

希(…適当にいっとこ)

希「持ってる夢が大きければ胸も大きくなるんよ!」

えり「お姉ちゃんはそんな大きい夢持ってるの?」

希「え……」

希「…そうなんよ!親友が出来るように祈ってるんよ!」

えり「それって大きな夢なの?」

希「……そ、それは人それぞれやん、ウチには友達がいないから…ね?」

えり「ふーん…そんなものなのね」

希「そんなものなんよ」

えり「お姉ちゃん友達いないんじゃ学校つまらないでしょ」

希「…そうやなぁ呆れるほど退屈や、何しに行ってるんだろ」

えり「……お姉ちゃんはそれでいいの?」

希「うーん…良くはないけどどうにか出来る問題でもないし仕方ないって感じやね」

えり「…仕方ない、か」

希「ん?どうしたん?」

えり「仕方ないから私がお姉ちゃんの親友になってもいいんだよ?」フフン

希「ふふふ、それはとっても嬉しいなぁ」

希「…えりちは優しいんやね」

えり「困ってる人がいるんだから助けて当然でしょ!」

希「あはは…」

希(なんでウチこんな小さい子相手に感動してるんやろう…)

希(小さいときからこんな友達いればウチも幸せだったんだろうなぁ…)

希「………」ポロッ

えり「…?お姉ちゃんどこか痛いの?」

希「え?なんでこと聞くん?」

えり「涙出てるよ?」

希「…あれ?ホントだ、あはは…どうしたんやろうね?」

希(はぁ…親友なんて初めて言われたなぁ、嘘だとしても嬉しい一言だったし一生忘れないようにしとこ…)

~~~

希「誰かと寝るなんて何年ぶりだろ…」

えり「お姉ちゃんはお母さんとかと寝ないの?」

希「ウチ一人暮らしやからお母さんは家にいないんよ」

えり「え?!一人暮らしなの?!」

希「そうやね」

えり「そっか、じゃあどこにいても寂しいね」

希「……そうやね」

えり「私はお姉ちゃんの親友だよ?頼ってもいいんだよ?」フフン

希「そうやなぁ…でも大丈夫や」

えり「…?どうして?」

希「えりちは自分の事を考えてればいいんよ、ウチの事はウチでなんとかするし」

えり「お互いを支えあうから友達なんでしょ?お姉ちゃんに何かしてもらって私は何もしないじゃ友達じゃないよ」

希「そうなん?友達作ったことないからどうしていいかわからないんよ」

えり「そうだよ!」

希「そっか、それでもウチのことはウチてなんとかするよ」

えり「どうして?」

希「…どうしてやろ、分からないんよ」

希「頼りにしていいよって言われるとなんか怖くなるんよ、何か言うのが」

えり「………」

希「えりち?」

えり「………」

希「…寝ちゃったか、おやすみ」

えり「お姉ちゃんはずっと独りぼっちだったんだね…」ボソッ

~~~

希「…はぁ、朝からボール遊びって元気やね」

えり「当然でしょ!元気にいかないと!」

希「ウチにもその明るい行動力が欲しいよ…」

えり「お姉ちゃんこっちこっち!」

希「え?あぁはいはーい!」

希「…これは?」

えり「けんけんぱだよ!」

希「うっわ懐かしい…」

えり「けん!けん!ぱっ!ほらお姉ちゃんも!」

希「あ、うん!けんけんぱ!」

希「その片手に持ってるのは?」

えり「なわとび!私得意なんだよ?最高回数は504回!」

希「よくそんなん飛べるなぁ…ウチには無理やわ」

「はわわ…うぅ……跳べないよぉ…」ポロポロ

希「ん…なんか困ってる子がいるね」

えり「私行ってくる!」

えり「どうしたの?」

「みんなで大縄するっていうからなわとびで練習してるんだけど…跳べなくて…」

えり「なるほど!ならかしこいかわいいえりーちかが教えてあげるわ!」

希「また言ってるよえりち…」

「ほんと?!」キラキラ

希(KKEスルーされてるし…)

えり「お姉ちゃん!この子になわとび教えてるよ!」

希「教える言ってもウチなわとびはそこまで得意じゃないんよね」

えり「得意じゃなくても教えるの!」

希「う、うん…」

希「お名前は?」

はなよ「はなよです!」

希「そっか、はなよちゃんよろしくね」

はなよ「はい!」

えり「それでなわとびっていうのは────」

えり「やってみて!」

はなよ「はい!」ピョンピョン

えり「ほら!跳べた!これを繰り返せばいけるわよ!」

はなよ「わぁ!」パアアア

希(とっても微笑ましいなぁ、ああいうのを友達っていうんやね…助けた本人は何も得しないのになんて思ってるウチが惨めに見えてくるよ…)

希(…どうしてウチには友達がいないんやろ)

希「…はぁ」

「なんでため息してるの?」

希「んー…なんでやろ、とっても寂しい気持ちだからかな?」

「なら楽しいことで寂しい気持ち上書きしようよ!」

希「楽しいことで…かぁ」

「鬼ごっこしようよ!」

はなよ「あ、りんちゃん!」

えり「友達?」

はなよ「うん!」

りん「かよちんもやろ!鬼ごっこ!」

えり「私もやる!」

りん「うん!やろっ!」

えり「お姉ちゃんもやろうよ!」

希「う、うーん…」

希(まぁどうせ暇やしいっか…)

希「わかった、やろっか」

~二十分後

希「ちょ、ちょっとタンマ…」

りん「えぇー…お姉ちゃんバテるの早いよ~」

はなよ「きゅうぅ~」バテッ

えり「ふはぁ…疲れた」

りん「みんなバテるの早いよ~」

希「り、りんちゃんは疲れてないん?」

りん「うん!全然!」

希「…家でゲームばっかしてたのがこんな形で響くとは思わんかった」

えり「うっ……」クラクラ

希「えりち大丈夫?」

えり「なんかクラクラする…」

希「ちょ、それ大丈夫なん?」

えり「なんか目の前がぼやけてみえる…」

えり「う…あ、れ…?」バタッ

希「ちょ、えりち!」

はなよ「えりちゃん!」

りん「ど、どうしたの?!」

希「よいしょっと…」

希「ごめん、りんちゃんはなよちゃん一度帰るね」

はなよ「う、うん…お大事に…」

りん「分かったにゃ!」

希「えっとえっと…」

希(…どこにいけばいいんやろ、とりあえずえりちの家に向かおうか)

希「あれ…えりちの家ってどっちだっけ…」オロオロ

希「…あ、思い出した」

~~~

えり母「すいません、わざわざ…」

希「いえいえ…」

えり母「熱中症らしくてあのままだったら命にも関わったみたいだったんですがあなたが運んでくれたおかげで何も問題はないそうで…」

えり母「本当に…ありがとうございました…」

希「あぁ、はい…」

希(…なんであんなに焦ったんやろ、ウチ)

希(普通なら救急車呼ぶはずなのに…)

希(…まだえりちと会って二日目なのになんでこんなにえりちが苦しんでるのを見ると悲しくなるんやろ…)

希(…これが友達っていうんかな)

希「…今日は帰りますね」

えり母「はい、わかりました」

希「………」

希「…学校のつまらない日々なんか比べ物にならないくらいに楽しいんやな、みんなで遊ぶって」

希(初めて隣に人がいるっていう楽しさに気がついた気がする、子供相手でも遊んだり話したりすると楽しめるもんなんやね)

ギコーッギコーッ

希「あ、あの子は確か…」

希「ね、ねぇ君!」

「…ん?私?」

希「そうそう、こないだここで鬼ごっこしてた子だよね?」

「うん…」

希「今日はみんないないの?」

「みんな帰っちゃって私だけ…」

希「…そっか、それは残念やね」

希「ねぇ、えりち…えりちゃんと喧嘩したん?」

「…!!」

「……うん」

希「そっかぁ、喧嘩か~…」

希「なんで喧嘩したとは聞かないけどはよ仲直りしなよ?きっと仲直り出来るから」

「ほんと?」

希「うん!出来るよ」

希(えりちもしたがってたし…)

「…うん!わかった!明日するよ!」

希「そっか、じゃあ仲直り出来るように応援してるね」

「うん!ありがとお姉ちゃん!」

希「いいっていいって」

「じゃあ私も帰るね!ばいばい!」

希「ばいばい!」

~家

希「あ、このタブレット…」

『過去にようこそ!それでは三日間素敵な昔体験をお楽しみくださいませ
また、当社が指定した座標地点だけは現代の形を残しております 残り二日目』

希「指定した座標地点ってここか…」

希「…現代に戻るっていう項目をタップすれば戻れるんか」

希「楽しむつもりできたけどなんか真面目な感じになっちゃったな…」

希「……帰ろうかな」

希「………」

希「帰ってゲームでも……ってウチ、なんでそんな惨めな考えしてるんやろ…」

希「…でも友達っていっても所詮は過去の世界の友達やもんな…」

希「三日間だけしかいれない友達なんて…」

希「…はぁ、こんな辛い思いするなら過去なんて来なければよかった」

希「えりちが仲直りするところだけみて帰ろ…」

~次の日

えり「お姉ちゃん!どうして昨日は帰っちゃったの?!」

希「そりゃあえりちが熱中症で倒れたからやん、そこにウチがお邪魔するとこではないやん?」

えり「いてくれればよかったのに…」

希「そんなん言われてもなぁ…」

えり「ねぇお姉ちゃん」

希「ん?なに?」

えり「私、将来お姉ちゃんの学校にいくよ!」

希「え?」

えり「おとのきざか!お母さんがいってた!」

希「せやけどウチはいないよ?」

えり「ううん!お姉ちゃんみたいになりたいからおとのきざかにいく!」

希「いったやん、ウチみたいになったらダメだって」

えり「お姉ちゃんみたいに優しくなりたいから!」

希「…ふふ、そっか」ポロッ

希「せやけどえりちは充分優しいよ?ウチより優しいやん」

えり「ううん!お姉ちゃんの方が優しいよ!」

えり「私ね!お姉ちゃんが私を頼ってくれない理由知ってるもん!」

希「じゃあそれってなんなん?」

えり「お姉ちゃんは私が初めての友達だから大切にしたいんでしょ!」

希「………」

えり「どう接していいか分からない、傷付けたくないって!」

希「うーん…どうなんやろ、正直当たりなのかわからんなぁ…」

希「…でもそうなのかもしれない、ウチ確かにえりちを傷付けるのは怖いもん」

えり「ほら!やっぱり!」

えり「お姉ちゃんはこんな小さい私にでも気を使ってくれてる!それが優しさ!」

えり「お姉ちゃんの“仕方ない”が優しさだよ!」

希「…!そっか、ありがと」

希「…あ、えりち、あの子がきたよ」

えり「あ、うん…」

希「絶対仲直り出来るからいくんや!」

えり「………」

「…えりちゃん、ごめんなさい!」

えり「…う、うん!こちらこそごめんなさい!」

希「ふふふ、良かったやん…」

えり「ほのか、ごめんね…」

ほのか「ううん、悪いのは私だよ…」

希「これでえりちは大丈夫そうやね…」

ほのか「あ、昨日のお姉ちゃん!」

希「仲直り出来て良かったね!」

ほのか「うんっ!」

希「…じゃあウチは用事があるから帰るね」

えり「え?!もう帰っちゃうの?!」

えり「じゃあ明日もこの時間来てよ!」

希「…ごめん、明日はいけないんよ」

えり「じゃあ明後日!」

希「明後日もいけないんよ…」

えり「明明後日!」

希「明明後日も…」

えり「何かあるの?」

希「………」

希「実はウチ、遠くに行くことになったんよ」

えり「え?!どこ?!」

希「それは…海外、海外に行かなきゃならないんよ」

えり「海外って?!海外のどこ?!」

希「……ロシア」

希「………だからごめん!もういくね!」ダッ

えり「あ、待って!お姉ちゃん!じゃあ名前教えてよ!」

希「……ウチ、東絛希!ラッキーガール!」ニコッポロポロ

希「…っ!」ダダッ

えり「お姉ちゃん!」

希「!!!」ピタッ

えり「また、いつの日か絶対に会おうよ!!」

希「………っ!!」ダダッ



希「はぁ…はぁ…」

希「うぅ…うう…!」ギリッ

希(泣くなウチ…泣いたら本音が出るやん……)

希「…く…うぅう…いぃ…」

希「う、うぁ…うわあああああん…!」ポロポロ

希「えりちいいいいぃ…!!」

希「ウチの初めての友達だったのに…!ウチに優しさを教えてくれた人だったのに…」

希「……どうして?!」ポロポロ

希「う、うあああああん!!」

~家

希「………」

希「……えりち仲直り出来てよかったやん」

希「ウチがやり残したことは……?」

えり『お姉ちゃんの親友になってあげるわ!』

希「…まだまだあるやんな、まだやりたいこといっぱいあるのに……」ツー

希「……!」フルフル

希(もう泣かないって決めたんや…!)

希「もっとえりちと居たかった…見知らぬ私に親友とまで言ってくれたあの優しさが痛いよ…」

希「…友達、頑張って作ろ」

希「現世に帰ったら友達作って…部活始めて…外でも遊ぶようにして…勉強ももっと真面目にやって…」

希「未来のえりちに色々教えられるようにしないとね…」ポロポロ

希「……っ!!」ゴシゴシ

えり『また、いつの日か絶対に会おうよ!!』

希「…また、いつの日か絶対に会おうね…えりち…」

『現代に戻る』

ピッ

希「…う、いた…い……」

希「つ…ら………い」バタッ

~~~

希「ん…ここは…」

希「…家か、戻ってきたんやね」ガサゴソ

希「……あれ?ない…ない…ない!」

希「…!!もしかして…」

希「過去に携帯落としてきたぁ!!」

希「はぁ…やらしかた…」

希「…でもいっか、今のウチにそんなもの必要ないし」

希「あれって何年前なんやろ…分からないや…」

希「今頃えりちは何してるんやろ、頑張ってるんかな」

希「…きっと頑張ってるだろうからウチも頑張らなあかんね、勉強もちゃんとやろ…」

希「ゲームは少しの間やめ…るしかないか」

希「変われたらいいな、ウチも」

~三年生

先生「えぇ~今日はこのクラス全員一言ずつ自己紹介をしてもらう、適当でもいいからとりあえず内容が伝わるように」



絵里「絢瀬絵里です、生徒会長をやってます、よろしくお願いします」

希(新学期早々えりちと同じ“えり”なんて名前の人がいるなんてこれも運命やね)

希(しかもポニーテールに黄色い髪ってえりちそっくりやん、ちょっと泣けてくるからやめてほしいわぁ)



希「ウチ東絛希!運の良さだけが取り柄のラッキーガール!よろしく!」

ガタッ

希「…?」

絵里「東絛希…ラッキーガール…」

絵里「…もしかしてお姉ちゃん…?」

希「…!まさかえりちなん…?」

オネエチャン?モシカシテシマイ?ザワザワ

絵里「そうよ!絵里!かしこいかわいい」

希「えりーちか!」

絵里「そうそう!」



絵里「お姉ちゃんがどうしてここに…?」

希「ん?いやぁあはは…スピリチュアルパワーで…」

絵里「…?なにそれ…」

希「にしてえりちには驚いたよ、生徒会長をやってるなんて…」

絵里「勉強頑張ったからね」フフン

絵里「あ、そうそう!はいこれ!」

希「あ、これウチの携帯…」

絵里「当時は何も思わなかったけどお姉ちゃんと初めてあった当時はまだスマートフォンも出てない頃よね?どうしてお姉ちゃん持ってたの?」

希「それは……」ダラダラ

絵里「…お姉ちゃん友達いる?」

希「あはは…一人もいないよ…」

絵里「…やっぱり」

絵里「でも、私とお姉ちゃんは“親友”でしょ?」

希「…うん!」

絵里「私、お姉ちゃんに会うためにロシアにいったのよロシア語もちゃんと勉強して三年間留学したんだから」

希「そ、そんなに…」

絵里「でも会えなかった、私お姉ちゃんが言うように夢をずっと持ってたのよ?お姉ちゃんに会えますようにって」

絵里「そしたらほら、こんなに大きくなって…」ボインッ

希「…確かに大きい」

絵里「ここで会えるなんて思ってなかったわ」

ダキッ

絵里「お姉ちゃん、これから絶対に私から離れないで…」

絵里「寂しかった…私あの後勉強全然出来なかった…テストはいい点取れなかったし…」

絵里「ポンコツかわいいえりーちかなんていわれててイヤだったんだから…」

絵里「だから私必死に勉強したのよ…?お母さまは一年間全てのテスト100点取れたらロシアにいかせてくれるっていったから私本気で勉強した…」

希「まさか全部100点とったん?」

絵里「当たり前じゃない、お姉ちゃんに会いたかったんだもん、ロシア語を勉強して中学生活は全てロシアに費やしたわ」

絵里「…でも会えなかった」

絵里「何週間泣き続けたか…もう…」

希「………」

絵里「だからお願い…私から離れないで…?」

希「…うん、絶対に離れないよ」ギュッ

絵里「………」モギュッ

希(これが本当の運命と呼ぶんやと思う)

希(ウチの新たなスタートはとてもいいスタートやね!」

~~~

希「生徒会副会長として任命された東絛希です!よろしくお願いします!」

絵里「ということで皆おね…希をよろしくたのむわ!」

希(あれから一週間、ウチの学校生活は180度変わった)

希(生徒会副会長を任されえりちと毎日いるようになった、部活にはまだ入れてないけどこれから入れればいいと思う)

希(勉強も真面目にするようになった、ウチの家でえりちの隣に座って勉強を教えたり教わったりの日々)



希「はい、あがり~」

凛「あぁもう!希ちゃん強すぎるよ!」

穂乃果「五連続大富豪って希ちゃんいつまで大富豪なの…」

花陽「な、なんとしてでも都落ちを目指しましょう!」

絵里「ここは四人で協力よ!」

凛「富豪には協力したくないにゃー」

絵里「あぁ酷い!」

希「落とせるもんなら落としてみい?」

凛「にゃー!覚悟しろにゃ!」シャー

希(これもまた奇跡、過去であったりんちゃんとはなよちゃん、そしてほのかちゃんもここの高校だったみたい)

希(それでね、よく…というか毎日どこかに集まってはこうして遊んでる)

希(なぁ…過去のウチ…今は友達が四人もいるんよ…?だからこの時まで頑張って生きようや…)

希(この時は言葉じゃ表しきれないほど楽しいで…?)

~~~

「「「廃校?!」」」

絵里「えぇ…そうみたいなの…」

希「………」

穂乃果「…私ね、丁度いい案があるの」

凛「なになに?」

花陽「いい案とは…」

穂乃果「それはね─────」



絵里「ねぇお姉ちゃん」

希「なに?えりち」

絵里「穂乃果の言ってたこと、やる?」

希「そうやなぁ…ウチは…」

ギュッ

希「えりちがやるならやるよ」

絵里「…ええ!私もお姉ちゃんがやるならやるわ!」

希「頑張ろ!廃校阻止の為に!」

絵里「もちろん!」

海未「ワン!ツー!スリー!フォー!」

海未「真姫!動きが遅れてます!」

真姫「わかったわ!」

海未「…ふぅ、少し休憩しましょう、十分後に再開します」

ことり「お疲れ様穂乃果ちゃんっ♪はい飲み物だよっ」

穂乃果「ありがとうことりちゃん!」

にこ「講堂のライブ頑張るわよ!」

絵里「そうね!張り切っていくわよ!」

八人「うん!」

希(ウチの所属先はアイドル部というところ、穂乃果ちゃんの提案は今流行りのスクールアイドルで廃校を阻止するというもの)

希(今ウチには八人友達がいる、生徒会繋がりでもっと友達は増えたよ、ウチ変われたよね?)

~~~

希「ふぅ…疲れたぁ…」

絵里「お疲れ様お姉ちゃん!」

希「お疲れ様、えりち」

絵里「喉乾いたわね、飲み物買ってくるわね!」

希「あ、いいよえりち、ウチが買ってくる」

希「えりちはゆっくり休んでて?」

絵里「え、えぇ…」



希「ただいま、スポーツドリンクだけどよかった?」

絵里「えぇ、大丈夫よ」

希「ふぅ!生き返るぅ~…」

絵里「…ねぇお姉ちゃん」

希「なに?」

絵里「もっと私を頼ってよ…」

希「え?」

絵里「私とお姉ちゃんは親友でしょ?だからもっと頼ってよ…」

絵里「私、お姉ちゃんが思ってるほどそんな簡単に傷なんてつかないから…」

希「……わかった、じゃあえりちに早速お願いしていい?」

絵里「………」コクコク

希「ウチと生涯を共にしようや」

希「ずっと、ずーっと…それは綻びないずっとでありたいから…」

希「その綻びないずっとで、一緒にいよ?」

絵里「…うん!もちろん!」

ダキッ

絵里「ずっと、一緒にいましょう?」

希「うん!えりちならそう返してくれるかと思った!」ジワッ

絵里「お姉ちゃん」

希「なに?」

チュッ

希「………」

絵里「………」

絵里「しちゃったわね…」

希「しちゃったやんな…」

希「続きはこの話を形にしてからにしよか」

絵里「えぇ、わかったわ!」

希「それじゃあまた、明日」

絵里「えぇまた、明日」

希(また、いつの日か…そんないつの日は明日になってた)

希(これがウチの新たな人生、ウチ変われたよ、すっごく輝いてる)

ウチ、東絛希!

最近二年生から三年生になった高校生!

生徒会副会長、趣味は占いとゲーム!

そしてはウチは普通の学生とは比にならないくらいに輝く学生や!

あ、HR終わったからそろそろ行かないとね

絵里「お姉ちゃん終わったから行くわよ!」

希「うん!」

ウチはアイドル部!だから練習にいくよ、それじゃあまた明日!

おしまいです、ここまで見てくれた方本当にありがとうございました

前作もよかったらどうぞ

穂乃果「え?私…じゃなくて俺?」
https://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1467296027

そしてよければ次の時もよろしくお願いします

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