【AC】哀れな戦士 (36)
アーマードコアのSSです。
時代や企業名は決めていませんが、すべてのシリーズは過去のものとして扱われます。
機体は3~LR基準です。
単体でも読めるようには作っていますが、前作と対になるように作ってありますゆえ、是非ともそちらと一緒にご覧になって頂きたい。
話の流れも意図的に似せています。
前作 【AC】傭兵の仕事
http://elephant.2chblog.jp/archives/52172953.html
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469199097
『おはようございます』
眩しい。
ただひたすら眩しい目覚めだった。
脳に電気でも流されたような感覚だ。
網膜に眩い光が走り、手足の先が痺れた。
最近こんな目覚めを繰り返している。
何故かいつも決まってコックピット内で目を覚ます。
食事はちゃんと取っただろうか。記憶が定かではない。
出不精はいけない。体に毒だ。
体調管理を疎かにしてはいけない。
だが多少の不調で動転してはならない。
仕事に支障が出ては困る。
そう自分に言い聞かせ、頭痛を押し殺した。
思考がまとまらない。
少し混乱しているのかも知れない。
『新着メールが一件』
早速仕事だ。
私は傭兵をしている。
ただ現在はフリーの傭兵ではなく、一時的にB社という企業に雇われている。
強制ではない。信条の一致があった為だ。
皆は汚れ仕事だと言うが、己の良心に基づいて仕事を選べる上、直接戦いに介入することで、虐げられる者たちを守護し、奪われる者たちを救済することができる。
指を咥えてただ見ているだけでは無く、自らの手で。
それは悪魔にも救世主にもなれる仕事だと私は思っている。
任務内容は、とある列車の護衛だった。
何でも、最近起きたA・C社間の抗争で被害を受けたB社管轄のコロニーから生存者を別のコロニーに移送するらしい。
B社は貧しい市民の為にコロニーや資源、食料提供している人道的な企業だ。
私はその理念に賛同し、ここを選んだのだ。
私は即座にミッションを契約し、出撃の準備をした。
とは言っても、弾薬の補充も損傷の修復も既に完了している。ここのスタッフは優秀だ。
作戦は夜明け前、砂漠の外れにある大破したコロニーから始まった。
僚機と共にひび割れたコロニー外壁近くに佇み待機していると、物資搬入口から物々しい装甲に身を包んだ列車が現れた。これが今回の護衛対象だ。
これに住まいを奪われた哀れな民衆が肩を寄せ合っているのだ。
何としても守り抜き、彼らを新たな住まいに送り届けよう。
微笑み列車を見下ろしながら、私はそう誓った。
この頃にはもう頭痛のことなど忘れていた。
列車が動き出した。
伴って私と無口な僚機は滑走を始める。
途中の補給所で列車と私たちの燃料を補給する予定だそうだ。
実に長い道のりである
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