瑞樹「あの子、今何してるかしら…」 (25)
アニメ準拠はほとんどありません
草が生えてますので気分を害された方がいらっしゃったら申し訳ありません
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468646496
早苗「…」
友紀「…」
菜々「…」
瑞樹「…」
早苗「…何よいきなり…」
瑞樹「…だって、もう3年も経つのよ?」
友紀「…」
菜々「…」
瑞樹「そろそろ、笑い話にしたっていい頃合いだと思わない?」
早苗「…もう十年は…待ちなさいよ。それ」
瑞樹「どうして?」
菜々「…」
早苗「…結果的には、ウチらにとんでもない迷惑かけてくれたのよ?あの二人…」
友紀「…」
瑞樹「そうかしら?別にアンタ怒ってないじゃない」
早苗「だから結果的にはっつってんでしょ。346プロ全体よ。全体の事考えて言ってんのよ」
瑞樹「…」
友紀「…」
菜々「…でも…」
早苗「…」
菜々「…遅かれ早かれ、こうなることは分かっていたんじゃありませんか?」
瑞樹「…」
早苗「…」
友紀「…」
瑞樹「…まさか楓ちゃんがこの中で一番早く結婚するなんてね」
早苗「どう見ても一番早そうじゃない。既に相手いるようなもんだったし」
菜々「…でも、まさか本当にいくとは…」
早苗「からかわれても、本心は固まってたみたいね」
瑞樹「…聞くだけなら、素敵なドラマみたいな話よね」
菜々「聞くだけならって…そんな他人事みたいな…」
瑞樹「…もう、他人事じゃない」
菜々「瑞樹さん!」
早苗「他人事よ」
菜々「…!」
友紀「…」
早苗「他人事じゃない。本人もそう言ったんだし」
瑞樹「…貴方だって分かってるんじゃないの?子供じゃないんだから…」
菜々「…」
早苗「…ちょうどこの時期だったかしらねぇ」
瑞樹「…そうね。いつもみたいに一番遅く来て、おはようございますって座ってね」
菜々「…でも、とても嬉しそうでした」
早苗「演技派なあの子があんな純粋な笑顔するんだなぁってね、思ったわね。何処かの誰かと違って」
友紀「…」
瑞樹「そんな事はどうでもいいのよ」
友紀「…」
瑞樹「それでね?聞いてみたらねぇ…」
早苗「「秘密です」」
瑞樹「何があったかなんて、一瞬で分かるわよね」
菜々「その時はみんな、ついに射止めたんだ!って笑ってましたね」
早苗「…その時は、ね…」
瑞樹「…」
菜々「…でも、会社側からしてみたら…」
早苗「…そりゃあ、ああもなるわよね…」
菜々「…あんな調子だと、すぐにバレますよね」
早苗「そうね…オマケに…オマケというか…」
瑞樹「…」
早苗「…うん…」
瑞樹「二人仲良く依願退職…ねぇ…」
早苗「…」
菜々「…せめてもの、情けですかね…」
早苗「それ以外何が考えられんのよ」
瑞樹「あのまま続けられる?パパラッチにでも撮られたら本当終わりよ?」
早苗「…」
菜々「アイドルを引退して、モデルに戻って…」
早苗「女優もやるようになって…」
瑞樹「…」
早苗「…結婚、ねぇ…」
菜々「流石に引退して数ヶ月で結婚は無理でしたからね…」
早苗「だから、数年…」
瑞樹「…ファンを騙してたっていうのは、否定出来ないわね」
早苗「…そうね」
菜々「でも、駄目なんでしょうか?」
早苗「?」
菜々「誰だって、恋はします」
早苗「そうねぇ」
菜々「アイドルだって、好きになる人はいます」
瑞樹「ええ」
菜々「勿論そのアイドルを好きになる人だっているのは分かってます。でも、だからって…」
早苗「…」
菜々「良いじゃないですか。恋したって。誰が、誰に」
瑞樹「…まあ、確かにそうね」
早苗「同性愛ですら認められてるこの世の中で、アイドルだけは恋愛しちゃいけないってのはどうかと思うわね」
瑞樹「『自分達も恋愛してないんだから、アイドルも駄目」」
早苗「恩着せがましい言い方してくれるもんよね。何様のつもりって感じよ」
瑞樹「何様って、ファン様じゃない」
菜々「でも、アイドルはファンの奴隷じゃありません」
瑞樹「お客様は神様よ」
菜々「でも…!」
瑞樹「少数の意見に耳を傾けてくれる程、この世の中は甘くないのよ」
菜々「…」
早苗「アンタの言うことは、正しいわよ」
菜々「…」
早苗「…アイドル側から、したらね…」
瑞樹「良い意味でも、悪い意味でも、日本は民主主義よね」
早苗「でも、幸せそうな顔してたじゃない。これまでにないくらい」
瑞樹「そうねぇ。私もあんな顔見たことないわ」
早苗「…」
瑞樹「…」
菜々「…」
早苗「…結婚式、結局行かなかったわね」
瑞樹「それが、私達と、楓ちゃんの選んだ道よ」
菜々「…」
瑞樹「もう会う事は無いわ。あの子は私達よりも大きな幸せを手に出来たんだから」
菜々「…本当ですか?」
瑞樹「ええ」
菜々「…」
瑞樹「…何よ」
菜々「…本当は…」
早苗「…」
菜々「本当は…嫉妬してるんじゃないですか?」
瑞樹「誰が行き遅れよ」メリメリメリ
菜々「痛だだだだだだ!!!違いますよ!!違いますって!!」
早苗「…相棒が、盗られた」
瑞樹「!」
菜々「…」
早苗「…そんなところじゃないの?」
瑞樹「…」
早苗「もう何年もの付き合いかもしれない可愛い後輩が、まさかの相手に持ってかれるなんてね」
菜々「…」
瑞樹「…妥当な相手じゃない。少なくともそんじょそこらの男の人に比べたら相当マシよ」
早苗「…ま、伊達に近くで見てないもんねぇ…二人とも」
菜々「…」
早苗「…だから、余計に腹が立つんでしょ?」
瑞樹「…!」
早苗「…自分よりも頼りにされてて、自分よりも色んな笑顔を見てて、自分よりもあの子の事を分かってる、そんな彼に…」
瑞樹「…」
早苗「…彼に持っていかれた、楓ちゃんに…」
菜々「…」
菜々「…楓さんからお手紙が届いた時は、ちょっと嬉しかったですよ。ナナは…」
早苗「アタシらだって嬉しくないことはないわよ」
菜々「文も簡潔で、楓さんらしいなって思いましたね…」
早苗「…」
瑞樹「…」
菜々「…ナナ達の事なんて、忘れちゃったのかな…」
早苗「忘れたんじゃないの?」
菜々「…!」
早苗「忘れたから、346プロが困ってた時も何もリアクション起こさなかったんでしょ?」
菜々「…」
早苗「瑞樹ちゃんが怒ってるのは、それもあんのよ」
瑞樹「…」
早苗「やっぱ1、2年だけじゃ、足りなかったかしらねぇ…」
瑞樹「…でも、もう終わったことじゃない」
早苗「…そうね」
瑞樹「終わったんだから。だから私達もまた始めなきゃ」
菜々「…」
瑞樹「…」
早苗「…でも、子供の顔くらいは、見てみたいわね…」
瑞樹「…」
菜々「…」
瑞樹「…そうね」
菜々「そうですねぇ…」
菜々「…でもまさか、武内さんがこの業界から足を洗うなんて思ってもいませんでした」
早苗「そんなの、簡単よ」
菜々「え?」
早苗「彼なりの、ケジメよ」
菜々「あ…」
瑞樹「…アイドルに手を出した自分への報い…」
菜々「…」
瑞樹「そんなところかしらね」
早苗「ま、アレなら何処行っても何とかなるでしょ。素直で真面目で実直だし」
瑞樹「そうねぇ。人相は悪いけれど、人格者みたいな人間だからね」
菜々「ナナも、あの人のおかげで立ち直れた事があります」
早苗「…あれ?ちょっと待って?」
瑞樹「?」
早苗「…あれ?武内君って…」
菜々「…」
瑞樹「…」
早苗「…これ、逃がした魚でかくない?」
瑞樹「…」
菜々「…」
瑞樹「まあ正直それはあるわね」
菜々「ナナも、ちょこっと頭過ってました」
早苗「…確かに、あの人ならねぇ…うん。浮気なんて絶対無いわ」
瑞樹「浮気のうの字でもやりそうになったらその場で切腹しそうだものね」
菜々「…でも、あの真面目で、愚直で、寡黙で優しくて、アイドルのこと凄く大事にしてくれる人が、アイドルと結婚したんですよね」
早苗「…」
菜々「…きっと、それだけのものを持ってたんですね。楓さんは」
瑞樹「…持ってるわよ。あの子は」
早苗「少なくとも、アンタよりは」
菜々「お二方に言われたくないです」
瑞樹「…お似合いの夫婦じゃない」
早苗「…」
菜々「…」
瑞樹「…あら?」
早苗「…」
瑞樹「…あら…?」ポロポロ
菜々「…瑞樹さん…」
早苗「…瑞樹ちゃん…」
瑞樹「…ご、ごめんなさいね。どうしてかしら…」
早苗「…良いわよ」
瑞樹「え?」
早苗「見てないから。携帯いじってるから」
菜々「…ナナも、見てませんから…」
瑞樹「…」
早苗「安心して…鼻でも、かんで…なさい…よ…」ポロポロ
菜々「…」ポロポロ
瑞樹「…早苗ちゃん…菜々ちゃん…」ポロポロ
早苗「…あ、ちょっと待って。ティッシュどこ?」
友紀「はい」
早苗「ん」チーン
瑞樹「ごめんね。らしくなかったわ」
早苗「良いじゃない。こんな時くらい」
菜々「それに、ナナ達だって同じですから」
瑞樹「全くもう…変なところで気を使うんだから…」
早苗「それくらいの距離感が丁度良いのよ」
菜々「そうですよ。それにこれからも…ですから」
瑞樹「…たまには、連絡するのも良いのかしらね…」
早苗「今でも可愛い後輩って思ってるならね」
瑞樹「…思ってないわけ…ないじゃない」
菜々「…」
早苗「…そうね」
菜々「…そうですよ」
早苗「そんなのはMAXだけで十分よ」
菜々「ン゛」
瑞樹「…住所とか、変わってないわよね?」
早苗「何ビビってんのよ。それこそアンタらしくないわ」
瑞樹「…」
早苗「…いや、逆にアンタらしいのかしらね」
菜々「…」
早苗「本当は怖がりな癖に、いつも強がって」
瑞樹「…」
早苗「…心配しなくても、アンタが築き上げてきたもんはそんな簡単に崩れやしないわよ」
瑞樹「…」
菜々「…そうですよ」
瑞樹「…」
菜々「…それとも、ナナ達じゃ頼りないですか?」
早苗「…」
菜々「…」
瑞樹「…そんなわけ、ないじゃない」
早苗「でしょ?」
瑞樹「ええ。……ふふっ」
菜々「ふふふっ」
瑞樹「…どう?」
早苗「…『拝啓 武内楓様』…」
菜々「…」
早苗「『お久しぶりです。まず、結婚式に出席出来なかった事、お手紙の返事を書けなかった事をお詫びします』…」
瑞樹「…」
早苗「いや無いわ」クシャクシャ
瑞樹「どうして?」
早苗「何で他人行儀なのよ。いつもみたいにジャイアンニズム発揮しなさいよ。この手紙で褒めるところって字が上手いねくらいしかないじゃない」
菜々「いやでも、手紙でジャイアンニズム発揮する社会人ってどうなんですか?」
早苗「でもさぁ…」
瑞樹「こういうのには形式的なものも必要なのよ」
早苗「年賀状とか送る雰囲気で良くない?」
瑞樹「例えば?」
早苗「こう」
【おめでた】
瑞樹「却下よ」ビリビリ
早苗「何でよ」
菜々「四文字ってなんですか。っていうかあけおめみたいな感じで書かないで下さいよ」
早苗「その四文字に100の意味を込めたつもりよ」
菜々「メンタリストでも無理ですよ」
瑞樹「そもそも子供産まれたかどうかも知らないわよ」
早苗「じゃあ…」
【おひさ】
瑞樹「だからね?」ビリビリ
菜々「何で一個にまとめるんですかだから」
早苗「それに1000もの意味を込めたつもりよ」
菜々「増えてるんですけど」
瑞樹「圧縮され過ぎてブラックホール出来るわよ」
早苗「あ、今ドヤ顔したわよこいつ」
菜々「見逃しませんでしたよ」
瑞樹「いやだから…もう良いわ。みんなで書きましょ」
早苗「そうね。…あ、ボールペンもう一本なかった?」
友紀「はい」
早苗「ん」
瑞樹「…」
早苗「…」
菜々「…」
瑞樹「…これ、長くなる予感するわね」
早苗「そうね…」
菜々「それだけ、思いが強いって事ですよ」
瑞樹「…そう、かしらね…」
菜々「そういうものですよ」
早苗「…」
瑞樹「…」
菜々「…本当、今何してるんでしょうかね…」
早苗「何って…」
瑞樹「…」
早苗「ナnンブッフ」ベシィ
瑞樹「言わせないわよ」
菜々「こんな話の時にそんな冗談良く言えますよね…」
早苗「冗談でも言わなきゃ続かンフフ…続かないじゃないこの話」
瑞樹「まあそうよね」
菜々「まあそうですね」
楓「本当ですね」
友紀「…」
瑞樹「あらいたの?」
楓「いましたよ。割と最初の方から」
早苗「あ、そんな前からいたの」
楓「というより、何ですか今の寸劇」
早苗「いやアンタが結婚したらのシミュレーションよ」
楓「どうりで友紀ちゃんが参加してないと思いました」
友紀「演技とか無理ですもん」
早苗「10年後とかに使いなさいよ。美談で」
楓「台本作られてる時点で美談じゃないです」
瑞樹「でも流石に3年は無理があったわね」
早苗「5年くらいが良いんじゃないかしら」
菜々「やっぱり即興じゃ無理がありましたね」
楓「そういう問題じゃないです。っていうかアドリブだったのね」
早苗「そもそも3年後ってアンタいくつよ」
瑞樹「私とアンタが31、2で、友紀ちゃんが24?楓ちゃんもアラサーの仲間入りして…」
早苗「アンタは?」
菜々「17です」
瑞樹「え?」
菜々「17です」
早苗「ンッフ」
瑞樹「そもそもどうして17にしたのよ。一番誤魔化しづらい年齢じゃない」
菜々「ウサミンは歳を取りません」
早苗「身体は取ってるわよ」
菜々「取りません」
早苗「デビューシングルで正体70%くらい明かしてる癖によく言うわね」
楓「あの」
早苗「何?」
楓「少しは悪びれてほしいです」
瑞樹「いつも遅い貴方が悪いのよ。たまには一番早く来てお茶でも淹れておきなさいよ」
楓「こんな根も葉もないフィクション作られるって分かってたら早く来ましたよ」
友紀「フィクションですって」
早苗「だったら武内君譲っときなさいよ。専務辺りに」
楓「ン゛ン゛」
瑞樹「とりあえず貴方が結婚したらこんな感じにしようかなって思ってるのよ」
楓「微塵も思ってないじゃないですか。学生の悪ノリと変わりませんよ今の」
早苗「ポイントはアタシらと楓ちゃんが一回縁を切るってとこよ」
楓「ポイントって何ですか」
瑞樹「でもこれだと私達が行き遅れて嫉妬してるみたいな感じになってるわよね。やっぱり」
早苗「ただのMAXよね」
菜々「MAXは置いときましょうよ」
楓「だから」
早苗「正直普通に祝ってそうね。アタシら」
瑞樹「まあそうよね」
菜々「友紀さんどうですか?」
友紀「…んっ!?」
早苗「寝てた?」
友紀「…ちょっと」
瑞樹「姿勢悪い状態で寝ると体調崩すわよ」
友紀「…あ、ちょっと体ギシギシ…」
菜々「ほらー…」
楓「ちょっと!!」
瑞樹「wwwwwww」
早苗「wwwwwww」
楓「…もう…」
早苗「…でも最近武内君フリーになったからね」
瑞樹「たまにあちらこちら覗きに来てるらしいわね」
早苗「親バカってかアイドルバカよね」
菜々「だから皆さんに好かれるんじゃないですか?」
瑞樹「…」
早苗「…」
菜々「…」
楓「…」
友紀「?」
楓「からかうのは良いですけど、度が過ぎてますよ」
早苗「何照れてんのよ」
瑞樹「顔が真っ赤っかよ」
楓「…」プイ
友紀「珍しく怒ってますね」
楓「酷いわ。みんなして」
早苗「でもこんな感じになりそうよね」
瑞樹「分からないわよ。普通にお互い別の人と結婚するってことも」
楓「ン゛ン゛ッン゛!!!」
早苗「wwwwwww」
菜々「wwwwwww」
友紀「デレデレじゃないですか」
瑞樹「これ行き過ぎるとまゆちゃんになりかねない感じよ」
早苗「武内君が自分以外と結婚したら…」
菜々「メールに「さよなら」って包丁を…」
楓「…!!」バンバン
早苗「だけどいつかは二人とも結婚するだろう年齢になんのよ」
楓「…」
早苗「その時が来たらどうすんのよ。今みたいにウジウジしてんの?」
楓「…」
瑞樹「考えられるのは、杏ちゃんと、きらりちゃん…」
菜々「ニュージェネレーションズのお三方も分かりませんよ」
早苗「…ま、どうなっても、それがアンタの人生よ」
瑞樹「後悔だけは、しちゃいけないからね」
菜々「…だから、時には一生懸命想いを伝える事も大事ですよ」
楓「…」
友紀「…あの」
瑞樹「どうしたの?」
友紀「えっと…」
早苗「何よ。はっきり言いなさいよ」
楓「…」
菜々「…」
武内P「…」
瑞樹「あ」
早苗「あ」
菜々「あ」
楓「」
友紀「…はぁ…」
終わります
恋愛話書くのムズイです
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません