【ミリマス】765学園物語 √Pn (347)

清々しい朝だ

気力が全身に回っていた

内容は詳しくは覚えていないがさっきまで見ていた夢も理由の一つだろう

P「よし、起きるか」

体が軽い

今日は良いことがありそうだ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467727487

P「おはよう」

このみ「あらおはよう、早いわね」

P「自分でもそう思うよ」

このみ「あら?あんた顔つき変わった?」

P「まさか、昨日と変わらないと思うけど」

このみ「気のせいかしら、なんか逞しくなった気がするわ」

P「まあ調子は良いかな」

このみ「じゃあそれでかもね」

桃子が起きてきたので三人で朝食を取り、学園へ向かう準備をする

外に出ると雲一つ無い澄み切った青空が広がっていた

P「良い天気だ」





学園に到着し、クラス表を見に行く

俺のクラスは2-Aだった

クラス表を見ているとき、視界の端にギターケースらしきものを持った生徒を見かけ、それが何故か気になったが、その生徒はさっさと何処かへ行ってしまった

冬馬、翔太、海美のいつメンに加え、恵美、エレナと賑やかし組が同じクラスになった

担任となった黒井先生も面白い人で、今年一年楽しくやれそうだ




全校集会やHRが終わり、生徒は思い思いに行動し始める

俺はと言うと特にやることもないので鞄を持ち、帰るところだ

靴箱まで来たとき、何かが聞こえてきた

P「…何の音だ?」

耳を澄まして音を探る

P「…ギター?」

誰かがギターを弾いているのだろうか

しかしとても引き込まれる曲だ

P「ちょっと探してみよう」

俺は音の出所を探すことにした

歩いていると少しずつ音が大きくなっている

P「こっちか…」

音を追い、辿り着いたのは校舎裏だった

P「ここか…」

ふと角を曲がると

「…」

赤い髪の女の子がギターを弾いていた

ただギターを弾いているだけなのに、その光景は俺の心を鷲掴みにした

曲の方も、スルリと耳に入ってきて心地が良い

心を奪われ俺が呆然と突っ立っていると女の子は手を止め、俺に話し掛けてきた

「そんなとこで突っ立ってないでこっち来たら?あたしに用があるんだろ?」

P「えーっと…」

女の子に言われたように近くに行く

「で、あたしに何の用?」

P「用ってわけじゃないんだけど…」

そこでようやく、女の子の顔を見た

少し濃いメイクに頬に星が書かれている

P「君は…」

「あたしのこと知ってるのか?会ったことあったっけ?」

P「ああいや、俺が一方的に知ってるだけだ」

P「去年の文化祭でステージを見させて貰ったからさ」

「ああ、去年のステージを見てくれたのか、ありがとな」

P「ジュリアさん、だったよな」

ジュリア「ジュリアでいいよ、あたしさん付けされるのあんまり好きじゃないんでね」

P「そうか、じゃあジュリア」

ジュリア「それでいい、それで、なんだっけ」

P「ああ、俺はPって言うんだ」

ジュリア「Pね」

P「それでさっきの話だけど俺はジュリアに用があったわけじゃないんだ」

ジュリア「じゃあなんでここに?」

P「音が聞こえたんだ」

P「その音は俺の耳にスルッと入ってきた、それで音を追ってきたら…」

ジュリア「あたしがいたってことか」

俺は頷いた

P「とても良い曲だった、俺は音楽に詳しくないからあれだけど…あれはなんの曲なんだ?」

ジュリア「さっき弾いてたのはあたしのオリジナルだよ、まだ名前も歌詞もない未完成品だけどな」

P「そうなのか、でも俺はさっきの曲、好きだ」

ジュリア「はは、ありがと」

P「また、ここに来ても良いか?」

ジュリア「あたしは気にしない、それに校舎裏は誰かのものってわけでもないからあんたの好きにしなよ」

P「ありがとう」

ジュリア「ま、あたしとしても観客がいたほうが腕も上がるからありがたいってのもあるからさ」

ジュリア「放課後は大抵ここにいるから、もしいなかったらC組のナツにでも聞いてくれ」

P「わかった」

P「それじゃあジュリア、また明日」

ジュリア「ああ、また明日」

一旦ここまで

とうとう5作目
√Pnをもって765学園物語は終わりでございます

ジュリアと別れ帰路につく

文化祭のライブも凄かったがあの時は激しい曲だった

しかし今日聴いた今日は少し穏やかで、とても心惹かれる曲だった

P「ちょっと興味が湧いたな」

もしあの曲が完成したなら、俺は是非聞きたいと思った

これからも校舎裏に行ってみよう

ジュリアと出会ってから大体1週間程経った、校舎裏で演奏を聴いているとジュリアは手元に目を落としながら話し掛けてきた

ジュリア「なあP」

P「ん?」

ジュリア「あんたギターに興味あるのか?」

P「何でそう思うんだ?」

ジュリア「あたしの手元を見てたから、かな」

確かに興味が無いわけじゃ無い

P「ただ難しそうでな…」

ジュリア「ま、最初はね」

ジュリア「ただ慣れるとそうでもない」

P「そんなもんか」

ジュリア「そんなもんだよ」

翌日、校舎裏に行くといつもと違いギターが二つあった

P「今日は誰か来るのか?」

ジュリア「いや、あんただけだよ」

それならこのギターは…

ジュリア「あんたにギターを教えてやろうと思ってさ」

P「良いのか?」

ジュリア「初心者に教えることであたし自身基本を見直せるからさ、遠慮しないで良いよ」

P「それじゃあお願いするよ」

ジュリア「任せな」

ジュリア「ギターのこと、どこまで知ってる?」

P「正直0に近いかな」

ジュリア「ならまずはギターの基本から教えるよ」

ジュリアに言われた通りにギターを構える

P「こんな感じか?」

ジュリア「足を組むのは構わないけど最初は足を肩幅まで広げた方が良いな」

ジュリア「ギターの弦を左の指で押さえる」

ジュリアの手が俺の手と重なる

少し冷たい小さな手に少しドキッとした

ジュリア「…聞いてるか?」

P「あ、ああ、聞いてる」

ジュリア「それじゃあ次は…」

その後もジュリアに教えてもらいながらなんとか音が出せるようになった

ジュリアは俺の肩越しに文字通り手取り足取り教えてくれたが、俺は背中がジュリアと密着し、自分とは明らかに違う体の柔らかさに終始どきどきしていた

ジュリア「まあ基本はこんなところかな…チューニングとかはまた別の機会にな」

P「ありがとな」

ジュリア「気にしないで良いって言っただろ?それにあたしは誰かがギターに興味を持ってくれるのは嬉しいからさ」

P「ちょっと触っただけだけど、ギターって面白いな」

ジュリア「だろ?」

ジュリアはにかっと笑った

ジュリア「でもな、ちゃんと弾けるようになったらもっと面白いんだ」

ジュリア「だからあんたにその楽しさ、教えてやるよ」

短いけど今日はここまで
確かにちょっと展開は早めてるけど延々と曲を聴く描写入れても仕方ないから許クレ

あ、√Pn多分一番短いです
他4人と違ってジュリアが問題を起こしにくいのが悪いんや…

今日もジュリアにギターを教えて貰っていると、校舎裏に来客があった

恵美「あっれ、Pじゃん」

P「恵美」

恵美「どしたの、こんなとこにいるなんて珍しい」

恵美「…ってP、ギターやってんの?」

P「最近ジュリアと知り合いになってさ、演奏を聞いてたら興味が湧いたから触らせて貰ってるんだ」

恵美「へえ~、じゃあさ、ちゃんと弾けるようになったらアタシに聴かせてよ!」

P「ああ、ちゃんと弾けるようになったらな」

恵美「へへ~、楽しみにしてるから!」

ジュリア「いちゃつくのは良いけど、他所でやってくれよな~」

恵美「そ、そんなんじゃないって~」

P「そうそう、恵美はただの友達だからそんなんじゃないって」

恵美「…」

ジュリア「ああ…」

ジュリアが呆れた顔で額を抑えている、何故だ

恵美「あ、それよりはい、差し入れ」

ジュリア「いつもサンキューな」

恵美「良いって良いって、代わりに今度ドリンクバーよろしく!」

ジュリア「はいはいっと」

ジュリアは受け取った水を飲んだ

P「二人は知り合いなのか?」

恵美「友達、ジュリアとは一緒に遊びに行ったりするよ」

ジュリア「恵美はファッションセンス良いからさ、ライブで使うアクセとかよく見て貰うんだよ」

P「へぇ~」

やっぱり恵美の交友関係は広いんだな

恵美「けどジュリアとPが知り合いだったのにはびっくりしたかな~」

P「偶然ジュリアの演奏を聴いてな、気が付いたら音を追い掛けてたんだ」

恵美「あ、それアタシも何となくわかるよ」

ジュリア「あたしはまだまだだけど、そうやって褒められると悪い気はしないな」

P「俺も早く人並みに弾けるようになりたいもんだ」

ジュリア「練習あるのみだって」

P「ああ」

恵美「あ、それならさ、ジュリアの使ってないギターとか、貸してあげたら良いんじゃない?」

P「ほ?」

恵美「そしたらPも家で練習出来るしさ」

P「いや、それは流石に…」

気が引ける…と言おうとしたが

ジュリア「実はあたしも考えてた」

P「えっ」

ジュリア「ただまだ出会って1週間位しか経ってないしPが本当に信用出来る人間かどうか判んなかったからさ」

ジュリア「ギターはあたしの宝だ、それを信用出来ない人間にはもちろん渡せない」

ジュリア「でも今日恵美の反応を見て、あんたを信用してみようと思った」

ジュリア「だからあんたにあたしの持ってるギターを渡す、今触ってるやつで良いか?」

P「俺は構わないけど…本当に良いのか?」

ジュリア「恵美があんたには心を開いてるんだ、それだけで信用出来る」

もしかしてジュリアは恵美のあれを知っているのだろうか

P「…ありがとうジュリア、大切に使わせて貰うよ」

ジュリア「明日は本とか持ってくるからさ、家ではそれで練習したら良い」

P「何から何まで悪いな」

ジュリア「気にすんなって」

恵美「もし上手くなったらさ、Pも今年の文化祭に出ちゃいなよ」

P「いやいや、流石に無理だろ」

ジュリア「流石にそれは無理だな、時間が足りない」

恵美「そっか~、アタシは見てみたかったけどね~」

ジュリア「来年ならちゃんと練習してればいけるかもな」

その後も少しだけ練習し、良い時間になったので帰る準備をする

恵美は楽しそうに俺達を見ていた

ジュリアと別れ帰路につく

恵美「やー、しかしPがギター始めるとはね~」

P「俺自身驚いてるよ」

恵美「ま、でも良いんじゃない?色んな事に挑戦するのはさ」

P「俺もそう思うよ、新しい趣味になると良いな」

二人で話しながら帰った

まずい意識が沈む、今日はここまで
√E思案中

P「ただいま」

桃子「お帰りお兄ちゃん…それ、どうしたの?」

桃子がギターケースを見て聞いてくる

桃子「急にギターなんて、何?お兄ちゃん色気付いたの?」

P「いや、友達にギター教えて貰ってるんだけど楽しくてさ」

P「家でも練習出来るようにって貸して貰ったんだ」

桃子「ふーん…練習するのは良いけど、あんまり遅くまでやらないでね」

P「ああ、それはもちろん」

夕食を食べ終え部屋に戻ると俺はPCの電源を入れた

PCを立ち上げると、ネットを開き初心者向けのギター練習サイトを開いた

モニターの位置を見やすいように調整すると俺はベッドに座ってギターを取り出した

P「ここがこうで…」

サイトの解説通りに指を進める

P「…ジュリアの教え方の方が圧倒的に良いな」

ジュリアは教え方が上手いんだなと感心しながら手を動かす

練習を続け、多少先に進んだころ、窓を開けて海美が部屋に入ってきた

海美「よっと」

P「おいこら」

海美「あれ、P何してるの?」

P「ん、ちょっとな」

海美「わ!これ、ギターだ!どうしたのこれ」

P「友達に借りたんだよ」

海美「へえ~」

海美は俺を色んな角度から見ると

海美「うん、よく似合ってる!格好いい!」

と楽しそうに言った

短いけど一旦ここまで
ポケモンGoが楽しみすぎて眠れない

海美「劇?」

放課後の事務所、百合子がこんなことを言いだした

百合子「はい!去年私のクラスでやったんですけど…」

琴葉「百合子ちゃんのクラス、確かに劇をやってたわね、確かマイティーヒーローズ…だったかしら」

百合子「はい!世界征服を企む悪の組織、デストルドーとそれを阻止する正義の味方、マイティーセーラの戦いの物語です」

琴葉「見回りで立ち寄ったけれど、中々ストーリーが凝っていて面白かったわ」

百合子「私と仲の良い杏奈ちゃんが脚本を書いてくれたんです」

P「で、その杏奈ちゃんが続編をやりたいと?」

百合子「はい、それで海美先輩と琴葉先輩に主役として出て欲しいなって思いまして」

誤爆

君達は何も見なかった、良いね?

海美「あ、新刊出てる」

海美は俺の本棚から漫画を何冊か取り出すとベッドに転がって読み出した

俺は気にせずにギターの練習を続ける

ジュリアに教わったことを思い出しながら少しずつ弾いていく

ドレミファソラシド、ドシラソファミレドを繰り返す

指が慣れてきたのか、繋げて弾けるようになってきた

P「何か弾いてみるか…」

検索サイトでドレミの歌の譜面を開く

しかし…

P「よく考えたら俺譜面読めないじゃん…」

早速壁に当たってしまった

P「これも教えて貰うしかないか…」

ギターの手入れをした後、寝ていた海美を起こして家に帰し、俺は布団に入った

冬馬「ん?お前ギター始めたのか」

P「ああ」

翔太「へぇ~」

ギターケースを持って登校すると冬馬達が声をかけてくる

やはり目立つようだ

P「といってもまだドレミを繰り返すのが精一杯だけどな」

冬馬「へっ、それなら練習あるのみだろ」

P「おうよ、練習は楽しいからな」

翔太「楽しんで練習するって良いことだよ」

放課後、校舎裏で練習をする

ジュリア「やっぱり練習時間伸ばすとその分上達も早いね」

P「昨日帰ってから4時間くらい触ってたかな」

ジュリア「あたしもそんなもんだよ」

P「ところでジュリア、譜面を読むのってやっぱり難しいか?」

ジュリア「ああ、そうか、あんた譜面読めないのか」

ジュリア「正直譜面自体はそんなでも無いよ、その気になればすぐ覚えられるよ」

P「教えてくれないか」

ジュリア「そうだな、ギターが弾けるようになっても譜面読めないと意味ないから教えるよ」

一旦ここまで
誤爆した時肝が冷えた

なぁにこれぇ

ジュリアに譜面の読み方を教えて貰った

ジュリア「あんた割と覚えるの早いな、教え甲斐があるよ」

P「ジュリアの教え方が上手いからだよ」

恵美「お?やってるやってる」

P「恵美」

ジュリア「珍しいな、いつもなら週1くらいのペースなのに」

恵美「にゃはは、なんとなくなんとなく!」

恵美は椅子を広げるとそこに座って俺達の練習を見ていた

別れ際、ジュリアから本を借りる

ジュリア「あんたはもう基礎が出来はじめてる、後は本を皆がら二日くらい練習したら簡単な曲くらいは弾けるようになると思う」

P「ならこの週末、しっかり練習させてもらうよ」

ジュリア「週明け、楽しみにしてるぜ?」






恵美「あ、週末遊びに行って良い?」

P「俺は構わないけど…ギターの練習するから来ても暇だと思うぞ?」

恵美「良いの良いの、練習見てたら面白いし」

P「じゃあ週末」

恵美「うん、連絡するから」

ピンポーン

呼び鈴がなる

桃子が対応しているようだ

少ししてから階下から桃子の声が聞こえてきた

桃子「お兄ちゃーん!恵美さん来てるけど-?」

P「今行くからちょっと待っててくれ-!」

ギターを置き、玄関へ向かった

P「お待たせ」

恵美「お邪魔しまーす」

桃子「桃子勉強してるから、あまりうるさくしないでね」

P「わかってる」

P「それじゃあ恵美、部屋に行こうか」

恵美「う、うん」

恵美「ここがPの部屋かぁ」

P「そういえば恵美は入るの初めてだったな」

恵美「うん、いつもはリビングだったから」

恵美「そっか、これが…」

恵美は物珍しそうに部屋を見渡している

恵美「さて、男子の部屋に来たらやることは一つ!」

P「なんだ?」

恵美「エロ本探しに決まってんじゃーん!」

言うが早いか恵美はベッドの下を覗き込んだ

しかし恵美の思い通りには行かない

恵美「あれ?エロ本も何もない…ベッドの下にあるのがセオリーなのに」

P「残念だったな、俺はエロ本なんか…」

海美「Pが持ってるえっちな本なら本棚を回転させた場所に置いてあるよめぐみー!」

ビクゥと恵美の体が跳ねた

恵美「う、海美いつからそこに!?」

海美「めぐみーが部屋に入ってきた時には」

恵美「最初からじゃん…」

P「ていうかなんで場所知ってるんだ」

海美「カーテン開けたまま隠しても見えちゃうよ」

P「くっ、迂闊だった」

昔からの習慣でカーテンを閉めるのを忘れていた

次からはきちんと閉めておこう

海美「この本棚をこうやって」

海美が本棚を回転させる

海美「ほら、めぐみー」

恵美が一冊手に取りページをめくる

すると見る見る顔が赤くなっていった

恵美「Pの趣味ってこんな感じなんだ…お尻とかSMとか…」

顔を真っ赤にした恵美が聞いてくる

P「いや、別に」

恵美「えっ」

P「尻は間島の、SMは武内から預かってるだけだ」

恵美「そ、そうなんだ」

P「だから俺は別に見られても恥ずかしくない」

恵美「こっちの年上のやつは?」

P「冬馬の」

P「さて、エロ本はそれくらいで良いだろ、俺は練習するけど」

恵美「あ、じゃあアタシジュース入れるね」

海美「お菓子もあるよ!」

P「こぼすなよ-?」

恵美「だーいじょぶだって」

三人で楽しい終末を過ごした

一旦ここまで
自分でもわかってるけど恵美が動かしやすくてつい優遇してしまう
そしてメイン二人のうち恵美をまだ振ってなかった

>>91
三人で楽しい終末を過ごした ×
三人で楽しい週末を過ごした ○

今日はなしで

週明けの放課後、俺は校舎裏でジュリアを待っていた

しかし一時間ほど待っていたがジュリアは校舎裏には現れなかった

P「もしかしたから今日は学園を休んでるのかもしれないな」

帰り支度をしていると足音が聞こえてくる

もしかしてジュリアが来たのだろうか

手を止め、足音のする方を見ると

恵美「あ、やっぱりいた」

恵美が姿を現した

P「恵美か、どうしたんだ?」

恵美「や、ジュリアから伝言頼まれてさ」

P「伝言?」

恵美「うん、今日バイトなんだって」

P「バイトか」

恵美「Pの連絡先知らないからアタシに頼んだみたい」

そういえば連絡先交換してなかったな…

P「バイトなら仕方ない、教えてくれてサンキューな、恵美」

恵美「良いって良いって、あ、それよりもさ」

P「ん?」

恵美「時間空いたなら暇でしょ?買い物付き合ってよ」

P「良いぞ」

恵美「じゃ、行こっか」

恵美と買い物をした

家に帰りギターの練習をする

恵美と町に出たとき、1軒の楽器屋を見つけた

中には入らなかったが色んな種類のギターが置いてあり、見ているだけで楽しかった

最近はギターにダダハマりしており、自分のギターが欲しいと思うようになっていた

P「けどやっぱり高かったなぁ…」

当然値は張る、安いギターでも俺の小遣いでは普通に厳しい

…となると

P「俺もバイトするか…」

自分で働いて買うのが一番早いだろう

P「ちょうどさっきの楽器屋も求人してたし」

楽器屋で働けたらついでにギターも見れる、しかも中々に高時給だ

P「ゴールデンウィークが始まる前に応募しよう」

バイトの意志を決め、俺は練習を再開した

一旦ここまで
志保とタコのコラで遊んでたらこんな時間に

次の休み、俺は面接を受けるために町の楽器屋に来ていた

P「…」

面接は初めてで結構緊張している、履歴書は必要ないと言われたので尚更だ

P「けどなんか聞き覚えのある声だったな…」

つい最近どこかで聞いた気がするが…

P「…まあ良いか」

俺は扉に手をかけ、店内に入った

少し薄暗い店内、その奥にあるカウンターに店の人がいた、おそらく店長だろう

「やあやあ良く来たねPくん、ささ、そんなところに立っていないでこっちに来たまえ」

P「は、はい、失礼します」

やはり聞き覚えのある声だ

声に従い奥に行くと顔が見え…見え…

店長らしき人の顔は黒くて見えなかった

P「えっと…?」

影になっているのかと思い少し移動するがやはり黒くて見えなかった

「ん?どうしたのかね」

P「あ、いえ、なんでもありません」

「?まあ良い、それでは面接を始めようじゃないか」

P「は、はい、よろしくお願いします!」

「もう知っているとは思うが改めて自己紹介をしよう、私が責任者の高木順二朗だ」

P「高木順二朗って…高木先生!?」

二「うん?もしかして気付いていなかったのかな?」

P「はい、よく似た人だなとは思っていましたが…顔が見えませんし」

二「はっはっは、この顔は日焼けだよ」

P「日焼けでしたか」

二「まあ君も知っての通り765学園で教師をやらせて貰っているよ」

P「はい」

二「さて、Pくんのプロフィールは知っているから改めて聞きはしないが…ふぅむ」

高木先生はこちらをまっすぐ見つめている

P「…」

じっと視線に晒されていると少し居心地が悪くなってくる

二「うむ、やはり君はティンと来る」

P「え?」

二「採用だよ、Pくん、君の力をこの店で存分に振るってくれたまえ!」

あっけなく採用されてしまった

P「あ、あの、高木先生」

二「ん?」

P「終わり…ですか?」

二「そうだよ?」

P「良かったら採用理由が聞きたいんですが…」

二「私がティンと来たから」

P「はあ…」

ティンって一体…

二「ところでPくん、この後時間はあるかね?」

P「え?はい、時間ならありますが」

二「それならもうすぐ、君の先輩となる子が店に来るから顔合わせをしておこうじゃないか」

P「わかりました」

数分後、店の扉が開いた

「おはようございます」

二「やあおはよう、今日もよろしく頼むよ」

「はい」

二「おっとそうだ、実は新しい子を雇ってね、顔合わせをしてほしいんだよ」

「新しいバイトを?」

二「うむ、先輩として色々教えてあげて欲しい」

「はい」

二「それじゃあPくん、来てくれるかな?」

「え?」

P「はい」

名前を呼ばれ奥から顔を出す

するとそこにいたのは…

「お、お前…」

P「ジュリア…!?」

校舎裏で俺にギターを教えてくれている女の子だった

一旦ここまで

任命権者の了承を得ている設定だから問題なし

二「ん?二人とも知り合いかね?なら話は早い、ジュリアくん、後は任せたよ!」

ジュリア「え!?」

高木先生は手を上げると店を出ていった

店内には俺とジュリアだけが残された

ジュリア「…ナツか恵美に聞いたのか?あたしがここでバイトしてるって」

P「いや…ジュリアがバイトしてるって話は聞いたけどどこで何をっていうのかまったく知らなかった」

ジュリア「まあ知ってたらあんなに驚かないか…」

知り合いにバイトしてるところを見られて気恥ずかしいのか、ジュリアは少し顔を背けていた

ジュリアは仕事だからか、普段とは違いメイクをしていない素の顔だった

新鮮だったのでまじまじと眺めてしまう

ジュリア「な、なんだよ…」

P「あ、いや、すっぴんのジュリアは可愛いなって」

思わず考えたことを口に出してしまった

ジュリア「は、はあ!?な、何言ってんだよバカP!」

P「あ、違う!口が勝手に!」

ジュリア「からかうなよ!…まったく」

ジュリアから大体の業務内容を教えて貰う

ジュリア「まあ…ほとんどカウンターにいるだけだよ、社長が出て行って帰ってくるまでの間な」

P「それだけ?」

ジュリア「後は雑誌を入れ替えたり掃除したり、そんなもんだよ」

ジュリア「社長が道楽でやってる店だからその辺は適当なんだよ」

P「そうなのか」

時給が良いので厳しいのかと思ったが…

ジュリア「仕事中はカウンターから離れなきゃある程度自由にしてて構わない」

P「ジュリアは何してるんだ?」

ジュリア「あたしは曲を創ったり雑誌を読んだりしてる」

ジュリア「大体はこんな感じ、何か質問はあるか?」

P「今のところは大丈夫だ」

ジュリア「今日から出られるんだっけ?」

P「ああ」

ジュリア「じゃあ奥にバッチがあるからそれをつけてきてくれ」

P「わかった」

天使のような形をしたバッチを胸元につけ、俺はジュリアの元に戻る

P「つけてきた」

ジュリア「よし、じゃあ仕事するか」

こうして俺の初めてのバイトが始まった

P「…」

店は綺麗に整頓されている

雑誌もまだ入れ替えの日じゃない

カウンターにはジュリアがいる

P「あの」

ジュリア「ん?」

P「俺の仕事は?」

ジュリア「…さあ」

P「ええ…」

ジュリア「暇ならさ、話でもしない?」

P「話?」

ジュリア「そ、夢の話とかさ、あたしらはお互いの事を名前くらいしか知らない」

ジュリア「この先一緒に働くんだ、お互いのことを知っておいて損はないだろ?」

P「それもそうだな」

ジュリア「あたしはさ、ロックシンガーになりたいんだ」

P「ロックシンガー?」

ジュリア「ああ」

一旦ここまで
ロックの知識がだりー未満だから調べないと…

P「ロックってあれだろ…その…ほら」

P「鍵かけるやつ」

ジュリア「それ違うロックだろ」

P「すまん、ロックってよく知らなくて」

ジュリア「別に良いよ」

そういうとジュリアは一口ヒーコーを飲んだ

ジュリア「ここは新しいギターも入ってくるし雑誌も他の店に並ぶより早く読める」

ジュリア「勉強するのにうってつけさ」

P「なるほど」

ジュリア「で、あんたは?」

P「俺か…俺は夢は特にないけどさ」

P「ジュリアにギターを教えてもらって、ギターの楽しさを知ったんだ」

P「家で練習してるうちにさ、自分のギターが欲しくなった」

P「けど俺が自由に出来る金は限られてるから悩んでたら恵美と一緒に買い物に来たときにここを見つけたんだ」

P「まあまさかここにジュリアがいるなんて夢にも思わなかったけどな」

ジュリア「なるほどね」

P「まあ働くのも初めてだし良い経験が出来そうだよ」

ジュリア「あたしはあんたがそこまでギターに夢中になってくれて嬉しいよ」

ジュリア「ま、せっかく同じ職場なんだ、次はギター持ってきな、見てあげるからさ」

P「おお、助かる」

ジュリア「そろそろ曲を聴きながら弾いてみるのも良い練習になる、だからあたしが何か持ってきてやるよ」

P「何から何まで悪いな」

ジュリア「あたしが好きでやってることだから気にすんなって」

それからはジュリアに手渡された雑誌を読んだり、カタログを見ながら時間を過ごした

高木先生は夜頃に帰ってきた

二「Pくん、ジュリアくん、今戻ったよ」

P「お帰りなさい」

ジュリア「お帰り」

二「うんうん、留守番ご苦労だったね!何か変わったことはあったかな?」

ジュリア「いつも通り、何にも」

二「そうかそうか、何にせよありがとう、二人とも、今日は店仕舞いだから上がってくれたまえ」

P「わかりました」

二「Pくん、今日一日働いてみてどうだったかな?」

P「ええっと…」

二「暇だっただろう?」

P「…ええ、まあ」

誤魔化す意味もないので正直に答える

二「今はそれで良い、きっと君にも店が暇な理由がわかる時が来る」

P「?」

二「期待しているよ」

高木先生は俺の肩を叩くと奥に行ってしまった

ジュリアと一緒に店を出る

ジュリア「そういえば社長がさっき言ってたんだけど、店の倉庫の楽器、ちゃんと片付けるなら好きに使って良いってさ」

P「マジか」

そんなに暇なのかこの店…大丈夫なのか?

ジュリア「相変わらず社長も何考えてんのか良くわかんねーや」

P「この店、大丈夫なのか?」

ジュリア「給料の未払いとかは一度もないし大丈夫だとは思うけどね」




ジュリアと話しながら歩いていると

ジュリア「じゃああたしはこっちだからさ」

P「あ、送っていこうか?」

ジュリア「良いよ別に、それじゃまた」

ジュリアは歩きながら手を上げ、振り返らずに歩いていった

P「ただいま」

このみ「お帰り」

桃子「お兄ちゃん今日どこ行ってたの?海美さんが部屋に侵入してお兄ちゃんがいないって騒いでたけど」

P「ん、ああ、実はバイト始めてさ」

桃子「バイト?」

P「ああ」

このみ「どこで働いてるの?」

P「町にある楽器屋、高木先生がやってるんだけど」

このみ「…ああ、あそこね…なるほど」

P「?このみ姉さん知ってるのか?」

このみ「まあね」

P「まあ変な店だけど、なんとかやっていけそうだよ」

桃子「ふーん…お兄ちゃんがバイトね…」

このみ「ま、頑張りなさい」

P「ああ」

その後三人で夕食を食べ、部屋にいた海美の相手をしながらギターの練習をして眠りについた

一旦ここまで

リアルで使用できるスパドリください

冬馬、翔太、恵美と昼飯を食べていると恵美がふと思い出したように聞いてきた

恵美「そいやさ、もうすぐゴールデンウィークだけどPは何か予定ある?」

P「ゴールデンウィークか…ちょっと用事があるな」

恵美「何の用事?アタシに手伝えるなら手伝うけど」

P「実はバイト始めてさ」

冬馬「バイトね…」

冬馬が興味なさげに相槌を打つ

翔太「Pくんバイト始めたんだ、どんなバイト?」

P「普通の接客業だよ」

恵美「どこでバイトしてんの?」

P「町にさ、楽器屋があるだろ?あそこだよ」

翔太「そういえば確かに求人広告だしてたね」

恵美「楽器屋…ってもしかしてジュリアが働いてるのと同じトコ?」

P「ああ、顔を合わせてびっくりしたよ」

恵美「そっか、あそこかー」

翔太「今度働いてるところ見に行くよ」

P「来なくていい」

恵美「まあバイトしてるなら仕方ないね」

P「悪いな」

P「って話を昼にしててさ」

ジュリア「ふーん」

放課後、ギターを弾きながらジュリアと店番をする

ジュリア「今のところ、音程ズレてるぞ」

P「おっと」

ジュリア「けどアンタ、ゴールデンウィーク中毎日バイト入れてんのか?」

P「?そうだけど」

ジュリア「熱心だな…あたしはゴールデンウィーク中はライブに行くから来ないぞ?」

P「えっ」

ジュリア「あたしはチケット外したんだけどナツの友達が連番で当ててさ、それに行くんだよ」

P「そうなのか…」

ジュリア「ま、CDとかは置いていくからさ、それで練習していいぜ?」

P「ああ、ありがとう」

ジュリア「あたしはもちろんライブを楽しんでくるけどさ」

ジュリア「帰ってきたとき、アンタの練習の結果を見るのも楽しみにしてるから頑張れよな!」

ばんっとジュリアが背中を叩いてにっと笑った

P「おう、任せろ」

だから俺はそれに笑顔で答えたのだった

ゴールデンウィークはバイトをして過ごした

ゴールデンウィークが明け、帰ってきたジュリアに練習の成果を披露した

P「…どうだ?」

ジュリア「…」

ジュリアは腕を組み目を瞑った後

ジュリア「いくつかズレてるところはあった、けどまあ」

ジュリア「始めて一ヶ月ちょっとでここまで弾けたら充分だと思うぜ?」

P「そうか!」

ジュリア「後は譜面を覚えてあんまり見なくて済むようにしないとな」

P「次の課題はそれだな…」

一息ついていると店のドアが開いた

P「いらっしゃいませー」

ジュリア「いらっしゃいー」

店に入ってきたのは

恵美「来ちゃった」

恵美だった

P「恵美、どうしたんだ?」

恵美「ちょっと近くに来る用事があったからね~、頑張ってる二人に差し入れ持ってきた」

恵美がコンビニの袋を渡してくる

P「お、悪いな」

ジュリア「近くに来る用事…ね」

一旦ここまで
何でかなー、ジュリアと遊ぶシーンのイメージが浮かんでこない

先に言っておくとジュリアのプロデュースはなし

http://imgur.com/YWwZM0I.jpg
水着だああああああああ!

球技大会が終わり夏の足音が近付いた頃、俺はジュリアと恵美に演奏を聴いてもらっていた

P「…どうだ?」

ジュリア「…うん、あたしが聴いてた限りは特に音も外れていなかった」

P「恵美の方は?」

恵美「アタシは良くわかんないけど、ジュリアがそう言ってるなら間違いないって思うよ」

P「そうか…ふぅ…」

ジュリア「お疲れさん」

恵美「はいお茶」

P「サンキュー」

恵美に冷たいお茶をもらい、一気に飲み干した

ジュリア「正直短期間でここまで上達するとは思わなかったよ」

P「毎日触ってたからなぁ」

ジュリア「ほんと、そこまで気に入ってもらえたなら勧めた甲斐があるよ」

P「勧めてもらって感謝してるよ」

ジュリア「そこまで行けたなら、一回あたしと弾いてみるか?」

P「え?」

ジュリア「一人より二人の方が楽しいぜ?」

P「わかった、足を引っ張らないようにしよう」

ジュリア「そんなの気にしないで、楽しめば良いさ」

それから何曲かジュリアとセッションした

とても楽しく、このまま終わらなければ良いのにと思える瞬間だった

ただジュリアとセッションしてわかったのは、自分の実力はジュリアには程遠く、先が見えない

隣に立って演奏するのはまだまだ先になりそうだ

もう一つはジュリアとセッションしていた時の恵美の反応だ

何か一言呟いた気がしたのだが、本人に聞いてもはぐらかされてしまった

恵美が何を言ったのか、それを知ることなく季節は夏を迎える

…海水浴だ

765学園では毎年一回、近所の砂浜を貸し切って学園全体での海水浴を実施している

この時持ってくる水着は特に指定されておらず、学園指定のセーラー水着でも自前の水着でも構わない

もっとも、毎年何人かは過激な水着を持ってくる生徒がいて、問題になってるらしい

辺りを見渡す

「静香ちゃん!静香ちゃん!しっかりして!」

「未来が…未来が…」ブクブク

「ちょっと誰か!救急車呼んでください!早く!もう時間がないんです!」

「泡!静香ちゃんが泡吹いてる!」

「でへへ~」

…なにやら人混みが出来ていた

恵美「あ、いたいた」

P「お、恵美」

実は今回恵美に誘われていた

特に誰かと遊ぶ予定もなかったので恵美に付き合うことにしたのだ

恵美「いや~晴れて良かったね!」

P「ああ、眩しいな」

かんかん照りの太陽は俺達に降り注ぎ、容赦なく肌を焼いていた

恵美「日焼けしちゃうかもしんないしさ、後で日焼け止め塗ってよ」

P「…気が向いたらな」

P「で」

さっきから恵美の肩口から赤い髪が見え隠れしている

P「ジュリアはなんで恵美の後ろに隠れてるんだ?」

赤い髪がビクッとしたのが見えた

恵美「もう、しょうがないなぁ~ジュリアは」

スルッと恵美がジュリアの後ろに回り込んだ

ジュリア「ちょっ」

恵美「ほらほら、恥ずかしがらなくて良いじゃん!」

ジュリア「め、恵美!」

ジュリアはパレオ水着だった

完全にすっぴんで、水着を着たジュリアはいつもとは全然違い

P「ジュリア…お前ほんと可愛いなぁ…」

思わず口に出してしまった

ジュリア「んな!」

ジュリアの顔が髪の色と似た色になる

ジュリア「ババババカP!からかうな!」

P「別にからかったわけでは…」

ジュリア「うるさい!あたしは可愛いのは似合わないんだよ!」

P「そんなことはないと思うけどなぁ」

恵美「うんうん」

ジュリア「はあ…」

ジュリアは額に手を当ててため息をついた

恵美「ところでアタシは?」

P「ああ、恵美も…そうだな、可愛いぞ」

恵美「にゃはは!ありがと!」

恵美「とりあえず向こうにパラソル立ててあるからさ、一旦移動しようよ」

P「そうだな」

パラソルの下に移動すると恵美は俺に日焼け止めクリームを手渡すと

恵美「んじゃお願い」

俯せになった

P「俺はまだやるとは…」

恵美「まあ良いじゃん」

P「やれやれ」

恵美「ジュリアもやってもらったら?」

ジュリア「あたしは良いよ」

恵美「だ~めだめ、紫外線は肌の天敵、ジュリアも女の子なんだからちゃんと手入れしないと」

一旦ここまで
ここ数日ちょっとモチベが下がり気味
なんとかして持ち直さねば

P「さて、と」

俺はクリームを伸ばし、手に馴染ませる

P「それじゃあ恵美、塗るぞ」

恵美「ん、お願い」

手始めに恵美の背中に指を這わせた

恵美「ひゃっ」

指を前後に動かす

恵美「く、くすぐったいって」

何往復かしたあと、掌を背中につける

恵美「…っ!」

そして俺は恵美の身体に馴染ませるようにクリームを塗り始めた

恵美「な、なんかP、慣れてない…?」

P「んー、家族で海に行ったりする時に大抵莉緒さんが着いてくるんだよ」

P「で、莉緒さんにオイル塗ったりするからそれで慣れたのかも知れん」

ここ二年ほどは両親が忙しいため行っていないが毎年海美の家族と一緒に海に行っていた

小学校に上がる前はもう一組の家族がいた気がするがよく覚えてはいない

このみ姉さんの親友である莉緒さんはよく一緒に参加しており、その時にオイルを塗っていた

…まあ実際は莉緒さんがいつも通り間違った知識を披露してオイルを頭から被ったため、俺が塗ることになっただけなのだが…

サンオイルを塗ると良い女になる→じゃあ頭から被ろうという意味不明の考えだそうだ

シャンプーか何かと勘違いしてたんだろう

恵美「…」

P「ん?どうしたんだ、恵美」

恵美「なんでもない」

P「そうか…?」

少し機嫌が悪くなった気がする

…まあ良いか

P「よし、終わったぞ」

背中に満遍なく塗った俺は恵美から手を放した

恵美「…まだ」

P「?」

恵美「まだ足とお尻、終わってない」

P「えっ」

無心…無心だ…無心になるんだ…

結局背中から下もやることになってしまった

P「…行くぞ」

恵美の腰から徐々に手を尻の方に動かす

そして山の入り口に至った時、恵美の身体がぴくっと震えた

そして俺は…

P「そうか…そういうことだったのか…サンオイルとは…オイルマッサージとは…!」

真理に達した

そんな俺を横で見ていたジュリアは

ジュリア「P…あんた…ロックだよ」

と呟いた

P「…はっ!」

一瞬意識が飛んでいた

冷静になり周囲の状況を確認すると

恵美は腰が砕けてぐったりしていた

ジュリアは顔を赤くしてドン引きしていた

P「俺は…何を…」

ジュリア「…」

P「ジュリア、俺は何をしたんだ…?」

ジュリア「…すけべ」

P「ええ!?」

結局何があったのかは誰も教えてくれなかった

一旦ここまで

志保は所謂パッケージヒロインの予定
DC2で言うならエリカポジ

その後、ジュリアにオイルを塗るのを拒否されたので恵美が塗ることになった

ジュリア「はあ~…あたしは別に日焼け止めなんて…」

恵美「はいはい、んじゃ塗るよ~」

ジュリア「ひゃあっ」

恵美「にっひひ~」

ジュリア「めぐ、恵美!いきなり!」

恵美「まあまあ良いじゃん良いじゃん」

ジュリア「ちょっ!?どこ触って!」

恵美「おお?ここがええんか?ここがええんか?」

ジュリア「やめ…!ひゃん!」

恵美「姉ちゃんええ声で鳴くやんけ~」

ジュリア「なんでエセ関西弁…!」

P「…ゴクッ」

恵美に責められ悶えているジュリアを見ていると…こう…ふふ

ジュリア「み、見るなバカP!」

P「ふぐっ!」

ジュリアが投擲した中身入りのラムネ瓶が俺のディグダに命中し、俺は地に倒れ伏した

日が水平線に沈み始める

ジュリアは沈み行く太陽を一人で眺めている

俺はそんなジュリアの隣に並んだ

P「今日は楽しかったな」

ジュリア「ああ」

沈み行く太陽は楽しい時間が終わってしまうことを示していて、少し寂しくなってしまう

ジュリア「あたしさ、夕焼けが好きなんだよ」

P「へえ?」

ジュリア「消える前の一瞬、最高に熱くなれる瞬間を見ている気になれるんだ」

P「…」

ジュリア「そんな生き方も悪くない、あたしはそう思う」

P「ジュリア…」

ジュリア「さ、帰ろうぜ」

P「ああ」

俺達は太陽を背にして、集合場所へと向かった

一旦ここまで
ポケモンGOが配信されたから今日が休みなのを良いことに歩きすぎて足が痛い
歩行距離41kmとか我ながらアホかと

夏休みの出来事一つ募集

提供感謝

ようやく学園が夏休みに入った

俺はというともうすぐギターが買える目標金額に到達するので、これ幸いとバイトを入れていた

そんなある日

ジュリア「なあ、P」

バイト中、ジュリアが話し掛けてきた

P「ん?」

ジュリア「8月のこの日とこの日、空いてないか?」

P「この日とこの日は確か何も予定はなかったはずだ」

ジュリア「じゃあさ、フェス、行かないか?」

P「フェス?」

ジュリア「夏フェスがあってさ、元々はナツと行く予定だったんだけどナツの方は仕事が入っていけなくなったんだ」

ジュリア「チケット余らせるのも勿体ないし、それにアンタにとっては勉強にもなる、どうだ?」

P「願ってもないことだ、ありがたくご一緒させてもらうよ」

ジュリア「それじゃ、その日バイト入れるなよ?」

P「ああ、ありがとうジュリア」

ジュリア「べ、別にあたしはチケット余らせたくなかっただけだ」

ジュリアにお礼を言うとジュリアは顔を赤くして照れていた

冬馬「うぃーっす」

P「お、来たな」

冬馬が店に入ってきた

恵美「いやー、今日もあっついねぇ」

続けて恵美も店に入ってくる

P「奥、空いてるぞ」

冬馬「おう」

恵美「んじゃ借りるね」

冬馬と恵美は奥にある演奏スペースへと入っていった

何に影響されたかは知らないが冬馬は突然

冬馬『バンドをやろう』

などと言いだした、そして…

冬馬『チーム名は…リト』

直感的にヤバそうな気配がしたので口を封じたが、バンドがやりたいというのは本当だったらしい

それを聞いた恵美も乗り気になり、楽器が自由に使えるこの店に顔を出すようになった

それからは定期的にこうやって練習している

二人とも上達が早く、このまま練習を続ければ学園祭でステージに立てるかも知れない

ジュリア「アンタそろそろ上がる時間じゃないか?」

P「あ、ホントだ」

時計を見るともうすぐ働き始めて8時間といったところだ

ジュリア「後はあたしに任せな」

P「ありがとうジュリア、夏フェス、楽しみにしてる」

俺はバッジを外すと、ギターを持って奥に向かった

そして8月、とうとうこの日が来た

二「Pくん、今日もご苦労だったね」

二「それではお待ちかねの給料を渡すとしよう」

P「ありがとうございます!」

社長から給料袋が手渡される

何度か繰り返した事だが、やっぱり自分で働いてお金を受け取るというのは嬉しくなる

これが労働の喜びというものだろうか

ジュリア「これで必要な分貯まったんじゃないか?」

P「ああ」

5月分、6月分、さらに今回の分を合わせるとギターに必要なセットが買えるだろう

P「社長、今ここでギターを買っていっても良いですか?」

二「うむ、構わないよ」

P「ありがとうございます」

P「俺の買うギターは」

初めて聴いた時から決めていた

P「これです」

二「ほう」

ジュリア「レスポールか…」

P「俺がギターに興味を持ったきっかけはジュリアが奏でていた音を聴いたからだ」

P「俺はあの音に心を奪われた」

P「だから決めてたんだ、俺を夢中にさせた音を、俺が最初に買うギターにしようって」

俺は壁に掛けてあったレスポールスペシャルを手に取る

P「ありがとうジュリア、俺に音を聴かせてくれて」

P「ジュリアに逢えて本当に良かった」

ジュリア「…」

ジュリアはそっぽを向いていたが僅かに見える肌は赤くなっていた

そして俺は自分のギターを手にしたのだった

8月の某日

俺は町のバスターミナルに来ていた

今日と明日は夏フェスがある日だ、だから俺はジュリアと待ち合わせをして会場に向かうことになっている

ジュリア「お、早いな」

P「よう」

バスターミナルに着いてから5分程でジュリアがやって来た

P「ジュリアも十分早いじゃないか」

ジュリア「それだけ楽しみにしてたって事だよ」

P「俺も、楽しみだ」

俺達は他愛ない話をしながらバスに乗り込み、目的地へと向かった

そしてバスや電車を乗り継ぐこと7時間弱、15時には会場に着くことが出来た

P「座りっぱなしだから肩が凝るな…」

ジュリア「始まったらそんな疲れ、一瞬で吹き飛ぶぜ?」

P「楽しみだよ」

荷物を預け、指定された地点へ向かう

P「暑いな」

ジュリア「熱中症にならないようにちゃんと水分摂っときなよ」

ポカリを飲みながら開演を待つ

そして16時、いよいよライブが始まった

それは爆音だった

CDやテレビで聴くのとはモノが違う

臨場感も、周りの空気も、何もかもが別物だった

ジュリア「どうだ?乗ってくるだろ?」

爆音の中ジュリアが声をかけてくる

最初は爆音に気圧されるだけだったが今は不思議な高揚感が身体の奥から湧いてきていた

P「…ああ、楽しいな!」

ジュリア「だろ!もっと乗っていこうぜ!」

ジュリアと熱い夜を過ごした

フェスの一日目が終わり、俺達は宿泊するホテルに来ていた

…しかし

P「部屋が取れていない?」

ホテル側の言い分としては団体の予約がいっぱいで、一人一部屋の俺達は空けて欲しいとのこと

ジュリア「マジかよ…」

P「今から宿を探すにしても…ネカフェもないみたいだし」

このままでは野宿するはめになる

P「…え?」

俺達はホテル側の指示に従って部屋に向かった

そこで俺達が見たのは

ジュリア「…マジかよ」

置いてあるのはダブルベッド

カップル用の二人部屋だった

一旦ここまで

だってキスさえ危ういし…√Pn

P「…」

ジュリア「…」

部屋を眺めて立ち竦む

P「…どうする?やっぱり俺はネカフェに行こうか?」

ジュリア「…」

自分は少し考えた後…

ジュリア「…いや、このままでいい」

ジュリア「アンタも宿泊費を出してるのにネカフェに泊まらせるわけにはいかないからな」

P「そうか…」

とりあえず荷物を置き、部屋を調べる

特に変わったところのない普通のホテルの一室といった感じだ

P「普通の部屋だな」

ジュリア「ああ」

ジュリアも冷蔵庫を開けたり窓を眺めたりしていた

P「…」

ジュリア「…」

確かに普通の部屋だ

だからこそダブルベッドが異彩を放っていた

一人用のベッドを二つ並べたダブルベッドよりも明らかに小さい

大体1.5人分くらいの大きさだ

P「…どうしよう」

ジュリア「…これで寝るしかないだろ、床で寝かすわけにもいかないし」

ジュリアと同じベッドで寝る…考えただけで緊張する

ジュリア「…とりあえずあたしは汗を流してくるから」

P「あ、ああ」

ジュリアは着替えを持って脱衣所へ向かった

扉一枚を挟んでジュリアがシャワーを浴びている

俺はそれを意識しないように椅子に座り、精神を統一するために目を閉じた

目を閉じ、心を落ち着かせる

体から力を抜き、リラックスすると頭の中に何かが浮かんできた

シャワーシャワーシャワーシャワーシャワーシャワー

P「…」

精神統一はまったく効果がなかった

P「はあ…俺は何を考えてんだか」

椅子にもたれ掛かり、再び目を閉じる

シャワーの音を聴きながら、俺の意識は遠退いていった

「おい」

P「ん…」

誰かに身体を揺すられる

「おいってば、こんなとこで寝てたら風邪引くぞ」

P「後5時間弱…」

「起きろっての」

P「いでっ」

脳天に拳骨が突き刺さる感覚で目が覚めた

P「あれ…」

見知らぬ部屋だ

ジュリア「汗掻いてるんだ、そのまま寝たら風邪引くだろ」

P「あれ…ジュリア、なんで」

ジュリア「寝惚けてるのか?さっさとシャワー浴びてこい」

P「んー…」

頭が回らない

ジュリア「あんた寝起き悪いな…ほら」

ジュリアに手を引かれ、脱衣所らしきところに連れて行かれた

ジュリア「さっさとシャワー浴びてきな」

P「わかった…」

シャワーを浴びるために服を脱ぐ

ジュリア「ばっ!?」

ジュリア「あ、あたしが出てから服脱げよな!」

バチンと背中を叩かれ、その痛みで目を覚ました

P「いっ!?」

ジュリア「まったく!」

ジュリアは顔を赤らめ脱衣所から出て行った

P「…すごい目指し効果だ」

俺は頭を冷やすため、少し時間をかけてシャワーを浴びた

シャワーを終えて部屋に戻ると、ジュリアは既にベッドの中にいた

ジュリア「…」

髪を乾かし、俺もベッドに入るとジュリアの肩がビクッと跳ねた

P「あ、あのさ、ジュリア」

ジュリア「何も言うな」

ジュリア「…あたしにも良くわかんないんだよ、何でこんなに緊張してるのか」

ジュリア「…別に嫌なわけじゃない、でもすごく緊張するんだ」

P「…」

ジュリア「だから何も言わず考えず、さっさと寝よう」

ジュリア「明日も体力使うから、な?」

ジュリアはそれだけ言うと、そのまま黙ってしまった

P「…ああ、そうだな」

俺もその考えに従い、たったと寝ることにした

P「おやすみ」

ジュリア「…ああ、おやすみ」

睡魔はすぐにやって来た

一旦ここまで

翌日、目を覚めた時に俺の顔が目の前にあったことに動転したジュリアは俺の顔面に肘を叩き込んだ

そして俺はその痛みで目が覚めた

ジュリア「ごめん」

P「気にすんなって」

ティッシュを鼻に詰めながら何ともないとアピールする

P「けどジュリアがあんな悲鳴をあげるなんてな」

きゃあっと女の子らしい悲鳴をあげていた

P「やっぱり女の子らしい可愛いとこあるじゃん」

ジュリア「女の子らしい肘鉄のおかわりは如何?」

P「せっかくだけど遠慮します」

荷物をまとめ、チェックアウトする

P「…かなり安上がりだったな」

ジュリア「ああ…」

ホテルは迷惑をかけたお詫びに、と料金を四分の一にしてくれた

P「これなら新幹線取れるんじゃないか?」

ジュリア「ああ、じゃあ予約しとくよ」

P「これで帰りの足も心配ないな」

ジュリア「心置きなく、楽しもうぜ」

P「ああ」

俺達は会場へ向かった

熱いライブが終わった

さっきまでの熱気が嘘だったかのように今は静かだ

殆どの人は既に会場から去っており、俺達は誰もいないステージをただぼんやりと見ていた

P「熱かったな」

ジュリア「ああ、熱すぎて汗だくだよ」

素晴らしいライブだった

しかし俺の中で、何かが引っ掛かった

何が引っ掛かっているのかは判らない

だが何か棘のようなもどかしさが俺の中に残った気がする

それがわからずに空を見上げる、そこには…

P「これは…」

ジュリア「そろそろ行こうぜ」

P「ジュリア、空を見てくれ」

ジュリア「空?」

俺の言葉にジュリアも空を見上げる

ジュリア「…」

ジュリアの口から感嘆の息が漏れる

俺達が見上げている空には満天の星空

そしてそれを横切るように流れる流星群があった

俺は願い事をするのも忘れ、ただただ流星群に目を奪われていた

そんな俺の隣で、ジュリアは何かを閃いたような

そんな表情で空を見上げていた

こうして楽しい夏休みは過ぎ去っていった

夏休みが明け、学園が始まる

P「うっしこんなもんか」

冬馬「大分息が合ってきたな」

俺と冬馬と恵美は変わらずバンドの練習を続けていた

恵美「文化祭まで後二ヶ月だしもっと煮詰めないとね~」

俺の知らない間に文化祭に出られるかもから文化祭に出るに変わっていたらしい

恵美「ジュリアもどう?」

ジュリア「悪い、あたしはもうナツと約束してるんだ」

恵美「そっか~、残念だね」

P「そろそろ休憩にするか」

冬馬「賛成だ」

俺は持ってきた業界紙を取り出すと、座って読み始めた

恵美「ん?何その本」

P「業界紙だよ、有名バンドのプロデューサーインタビューとか、バンドのインタビューが乗ってたりするんだ」

恵美「へえ~」

夏フェス以来俺はこういった雑誌も読むようになっていた

将来の選択肢として真剣に考えてもいる

一旦ここまで

今日は無しだす
すまぬ

恵美「Pは将来バンドでもやるの?」

P「どうだろうな、音楽の道に進みたいとは思ってる」

P「…ただ…」

恵美「ただ?」

P「なんだろうな、今ギターにハマってるのに将来楽器を使ってる自分が想像出来ない」

恵美「どういうこと?」

P「わからん」

冬馬「俺もちょっと想像出来ねえ」

冬馬が会話に入ってくる

恵美「あまとう、どういうこと?」

冬馬「あまとう言うな」

冬馬「長い付き合いだから色々見てきたんだがよ、こいつ人前に出たがらないんだよ」

冬馬「裏方大好き人間って言われるくらいにな」

P「それ誰が言ってたんだ」

恵美「あー、なんとなくわかるかも」

冬馬「所も裏方気質だしお前ら結構お似合いかもな」

恵美「な、何言ってんのそんなことないって~」

ジュリア「…」

恵美が照れ隠しに冬馬の背中を叩く

恵美「けど音楽界の裏方って?」

冬馬「作詞作曲とかディレクター、プロデューサーとかだな」

P「まあ、またまイメージ出来ないってだけでなんだかんだでギター弾いてるかも知れないけどな」

ジュリア「未来は誰にも見えないもの、だから誰もが夢を見てる…か」

P「?」

ジュリア「社長の口癖だよ」

冬馬「とんだロマンチストだな」

P「ま、まだ時間はあるから焦らず行くよ」

P「それじゃあそろそろ再開しようぜ」

冬馬「おう」

裏方…か

もし音楽界に裏方として入った時、俺は何がしたいだろう、誰を支えたいんだろう

俺のやりたいことは…

そんなことを考えつつ、がっつり練習した

一旦ここまで
ネタが切れて大ピンチ

路上ライブか…〆に繋げられそうだしいただきます
提供感謝

10月に入った

文化祭のステージに立つためのプロダクションへの書類も提出し、許可も下りている

後は練習を続け、本番に備えるだけだ

そんなある日

冬馬「ライブがしてえ」

P「は?」

冬馬「ライブがしてえ」

P「寝言は寝て言え」

冬馬「別に会場を借りてとか、そんなんじゃねえ」

恵美「じゃあどうすんの?」

ジュリア「…路上ライブか」

恵美「路上ライブ?」

冬馬「町でもたまにやってるだろ?」

P「あれか…」

ジュリア「路上ライブはやめとけ」

冬馬「何でだよ」

ジュリア「ハマる」

冬馬「…へっ、逆に都合が良いぜ」

ジュリア「路上ライブやるなら市やサツに許可を取らないと無理だぞ」

冬馬「その辺りはPに任せる」

P「は?」

冬馬「お前そういうの得意だからな、俺らがやるより良いだろ」

P「丸投げかよ…」

ジュリア「あたしは路上ライブやった事あるから申請の仕方とか教えてやるよ」

P「助かる」

ジュリアから路上ライブのあれこれを教えて貰いながら申請する

数日後、道路の使用許可がおりた

P「許可がおりた」

冬馬「流石」

P「メンバーは三人で行くのか?」

冬馬「いや、ジュリアにも付き合って貰おうと思ってる」

P「ジュリアに?」

ジュリア「あたしは別に構わないけど」

P「悪いな」

ジュリア「路上ライブは楽しいからな」

P「そっか」

冬馬「お前にはもう一仕事してもらうぜ」

P「なに?」

冬馬「お前にはセットリストや演出を考えてもらいてえ」

冬馬「お前のセンスなら良い物が出来るはずだからよ、頼んだぜ」

P「いやいやいや」

冬馬「楽器のチューニングや機材調達は俺達がやるからよ、お前はそっちに専念してくれ」

冬馬に丸投げされた仕事を考えているとあることに気が付いた

P「…楽しい」

ギターを弾いているときとは、また違う楽しさがあった

自分達で何かを作り上げる、そのための土台作りをしている

この瞬間が楽しかった

P「そうか、この気持ちが…」

俺が今こうやって音楽の道を進んでいるのも、ジュリアがいたからだ

偶然だったとはいえジュリアが俺の土台を作ってくれた

なら俺は裏方として音楽業界に入ったとき、誰を支えたいのか

それはジュリアに他ならない

俺の土台を作ってくれた彼女の夢を叶えるための土台を作る

それが俺のやりたいこと

それこそが俺の道を示してくれた彼女への感謝の気持ちだ

P「…」

例え裏方でもギターを棄てるわけじゃない

いつだって弾ける

なら俺は、その道に進もう

そう決意した俺は職業について調べ始めたのだった

演奏が終わった

俺の作ったセットリスト、演出を出し切った

僅かな静寂の後

お客さん達が拍手をくれた

恵美は笑顔になり、冬馬もドラムの下でガッツポーズをしている

ジュリアも口の端が上がっていた

そして俺は、そんな三人を見て達成感と感動を覚えていた

冬馬「お前に任せて正解だったよ」

冬馬が拳を出してくる

俺はその拳に拳をぶつけ

P「俺も、任されて良かったよ」

冬馬にお礼を言った

俺達の初のライブは成功だった

機材を片付けているとジュリアが話し掛けてきた

ジュリア「お疲れさん」

P「ジュリアも、お疲れ」

ジュリア「あんたの作ったライブ、なかなか楽しかったぜ」

P「それなら良かった」

ジュリア「ナツとやるのとは違う、なんていうか、高揚感があった」

ジュリア「あんたにならこれからも任せられるって思った」

ジュリア「だからこれからもよろしくな」

そういってジュリアは歯を見せて笑った

その笑顔を見て、俺は気付いた

俺の土台を作ってくれたからとか、そういうのはどうでも良くて

俺はただ、ジュリアが好きだから支えたいんだと

一旦ここまで
後一二回で終了予定
ジュリアが想像以上に難しかった

自覚さえしてしまえば後は簡単だ

ジュリアがどう思っているかはわからないが、告白すればいい

仮にきっぱりフラれたとしても後腐れがない…と思う

いずれにせよ動かないことには始まらない

目先の仕事が終わったら、動きだそう

P「そういえばジュリア」

ジュリア「ん?」

P「俺達が初めて会ったときに弾いてた曲、あれどうなったんだ?」

ジュリア「ああ…あれは…まだ完成してない」

P「そうなのか、じゃあさ」

P「あれ、完成させてみないか?」

ジュリア「簡単に言うなよ、流星群は確かにすぐ出来たけどあの曲はもう三年も未完成のまんまだ」

ジュリア「そんな簡単に出来るならとっくに完成させてる」

P「そうか…」

あの曲はとても心に響いた

だからこそ俺はあの曲が完成して、ジュリアが弾くところを…見たい

P「まあ、俺達で力になれることがあったら言ってくれよ」

ジュリア「…気が向いたらな」

P「完成したらさ、聴かせてくれよな」

ジュリア「………き、気が向いたらな」

P「楽しみにしてる」

ジュリア「う、うるさい練習しろ!」

P「はいはい」

俺は笑いながら練習を再開した

数日後、重ねてきた練習が無駄になった

文化祭を目前に控えたある日のバイト帰り、それは起きた

夜道を歩いていると、突然身体を衝撃が襲った

何かに弾き飛ばされたようだ

俺の横を車が蛇行しながら走って行った

そして右腕に激痛が走る

視線を向けると腕が変な方向に曲がっていた

P「」

痛みで声が出ない

なんとか動く左腕で携帯を取り出し、LINNEで文字を入力した

たすけて

誰にメッセージを送ったかは確認していない

それよりも俺は…

俺の側に落ちていたひしゃげたギターケースをただ、見ていた

一旦ここまで
また怪我させてしまった
物理的にギターを弾けなくするにはそれ以外思い付かなかった

右腕骨折全治二ヶ月

それが俺の負った怪我だった

飲酒運転の車に後ろから撥ねられたらしい

腕だけで済んだのはギターケースがクッションとなり体が守られたからだそうだ

LINNEを見て俺の帰る方角へ走ってきたジュリアが警察と救急通報をしてくれた

俺を撥ねた車は40m先で電柱に衝突していたのですぐに逮捕されたらしい

治療費と慰謝料、壊されたギターの代金を渡されたが、俺は新しいギターを買う気にはなれなかった

P「…」

吊り下げられた右腕を見る

腕がこれでは文化祭など出られぬ

重ねてきた練習も、何もかも無駄になってしまった

P「…」

文化祭のステージは辞退することになるだろう

腕がこれでは出場なんて出来ないしジュリアも他の人と出るので俺の代わりに出て欲しいなど口が裂けても言えない

P「…学校行くか」

気が重いが桃子に着替えを手伝ってもらい、学校に行くことにした

冬馬「大丈夫か」

教室に入ると冬馬がすぐに声をかけてきた

P「ああ」

冬馬「そうか…骨を折られたって聞いた」

P「飲酒運転の車に後ろから撥ねられた、だけどギターケースが身代わりになって腕だけで済んだんだ」

恵美「P!大丈夫!?」

P「恵美、大丈夫だ」

冬馬「そいつは捕まったのか?」

P「ああ、飲酒運転にひき逃げで重くなるってさ」

P「それよりも二人とも、済まない」

P「大切な時期にこんなことになって、文化祭のステージに出られなくなっちまった」

冬馬「気にしてねえよ」

恵美「うん、それよりもPが無事で良かった」

冬馬「来年までたっぷり練習出来るんだ、良いじゃねえか」

P「…悪いな」

俺は二人の心遣いにただひたすら感謝した

一旦ここまで
思うように進まんね

海美「私、Pの腕を折った犯人の骨折ってくるね!」

P「落ち着け、犯人は留置所だ」

翔太「けどその右腕、不便じゃない?」

P「まあ不便なのは間違いないけど、なんとかなるさ」

貴音「らあめんを食べれば早く治ると聞きます」

P「それは貴音だけだろ…」

冬馬「とりあえずスパドリ飲んどけよ」

P「ああ」

スパークドリンク、通称スパドリ

成分不明の炭酸飲料で飲むと元気が湧いてくる不思議な飲み物

浅い切り傷や掠り傷くらいなら一瞬で治る治癒能力もあり、骨折や靱帯断裂をした生徒もよく飲んでいるらしい

P「一本で一日分と考えると一気に30本飲めば治るんじゃないか」

冬馬「その代償にお前は髪の毛がなくなるわけだ」

P「やめろ」

一日に二本以上飲むと毛根にダメージがいくそうだ

P「とにかく、一日でも早く治さないとな」

多少毛根が死滅してでも複数飲むべきかな

俺がスパドリを飲んでいるとジュリアが教室にやってきた

ジュリア「…」

P「ジュリア、どうしたんだ?」

ジュリア「あんたとあまとう、恵美に話がある」

冬馬「あまとう言うな」

恵美「話って?」

ジュリア「ついてきてくれ」

空き教室でジュリアの話を聞く

P「…つまり、ジュリアも文化祭のステージに出られないって事か」

ジュリア「…ああ」

話を聞いたところジュリアの相方に仕事が入ってしまい、文化祭に出られなくなってしまったらしい

ジュリア「あいつもまだ駆け出しだからさ、そっちを優先させてやりたくて」

恵美「そっか」

冬馬「…」

P「あ、それならさ」

俺は思い付いたことを口にする

P「ジュリアが俺のポジションに入れば出られるんじゃないか?」

ジュリア「あたしが?」

P「ああ、ジュリアなら俺達の練習を見てたし合わせられると思うんだ」

P「それにジュリアが入ってくれるなら俺達も、ジュリアも文化祭に出られる」

P「どうだろうか」

ジュリア「…」

冬馬「俺は賛成だ」

恵美「アタシも、どうせならジュリアと一緒にやりたいって思ってたし」

ジュリア「…あんた自身はどう思ってるんだ」

ジュリア「あんたのポジションにあたしが入って、それで納得できるのか」

P「俺も、ジュリアが入ってくれたら嬉しい」

P「それにジュリアが入ってくれたら心置きなく裏方に回ってサポートが出来る」

P「だから、頼む」

ジュリア「…わかった」

ジュリア「あんたの分も、あたしが魂を震わせてやるよ」

P「ありがとう、ジュリア」

ジュリア「あたし自身文化祭を諦めきれなかったからな、全力でやるさ」

冬馬「助かる」

恵美「流石ジュリア!今度お胸のマッサージしてあげる!」

ジュリア「いらない!め、恵美!指をわきわきさせながら近寄るな!」

恵美「良いではないか良いではないか!」

ジュリア「あたしに近寄るなぁぁぁ!」

ジュリアが逃げ恵美がそれを追う

そんな楽しそうな光景を見ながら俺は三人のステージプランを考えていた

ジュリア「ひっ!」

恵美「あれ?ちょっと大きくなった?」

P「ほう、どれどれ?」

ジュリア「このバカP!」

俺の額にピックが刺さり、俺は意識を失った

一旦ここまで
後一二回とか大嘘にも程があった

放課後、三人の練習を眺める

ジュリアは俺達の練習を見ていた

しかし練習を見ていてたからと言っていきなり合わせられる訳もなく…

冬馬「またズレてんな」

ジュリア「こういうのは慣らしていくもんだからそう簡単には合わないよ」

恵美「あんまり時間もないし早く慣らさないとね」

ジュリア「とりあえずもう一回一からやるぞ」

冬馬「ああ」

三人が練習を再開する

P「…」

俺はと言うと三人のセットリストを考えていた

ジュリアのやる予定だった曲と俺達がやる予定だった曲を半々にし、それを組んでいく

すまんね、土日と熱中症で入院してた
後二三日待って欲しい

うみみ誕生日おめでとう

これが中々に難しい

色々なアーティストのセットリストを見たりして参考にしているが簡単にはいかない

P「うーん…」

ジュリア「悩んでるみたいだな」

P「ジュリア」

いつの間にかジュリアが側に来ていた

P「そうだな、バランスとか、練習量とか考えないといけないし…なかなか上手くいかないもんだ」

ジュリア「…あたしは今回あんた達のおかげで出られるだけでもありがたいと思ってる」

ジュリア「だからあたしから言うたった一言だけ」

ジュリアは拳を突き出すと

ジュリア「頼りにしてるぜ!」

いい顔でそう言った

P「…おう、任せとけ!」

俺はジュリアの期待に応えるため、全力を尽くす

みんなで必ず、文化祭のステージを成功させるんだ

それから俺は三人の意見を聞きながらセットリストや演出を考え、三人は練習に励んだ

そしていよいよ文化祭の日がやって来た

ここまで
日を空けるといかんね、何が書きたかったのか思い出せなくなる

P「いよいよ文化祭だ」

冬馬「ああ」

恵美「調整はバッチリだよ」

ジュリア「…」

P「…ジュリア?」

ジュリア「…ん、なんだ?」

P「いや、なんでもない」

冬馬「もうすぐ俺達の番だな、用意しとけよ」

冬馬と恵美は控室に入っていった

ジュリア「…ふぅー、あたしも準備するよ」

P「ジュリア」

ジュリア「…なんだ?」

ジュリアが振り返らずに聞く

P「こっちを向いてくれ」

ジュリア「嫌だ」

P「何でだ」

ジュリア「…別に、何でも良いだろ」

P「緊張してるからか?」

ジュリア「…」

P「なあジュリア」

ジュリア「もし」

ジュリア「もしあたしが2人に合わせられなくて失敗したらって思うとさ」

ジュリア「はは…今まで何回も人前でやって来たことなのに、あたしは怯えてるんだよ、情けないことにさ」

ジュリア「ちょっと環境が変わるだけでこの様だ…」

P「…ジュリア」

ジュリア「先に謝っとく、失敗したらごめん」

ジュリアがこちらに向き直り、頭を下げた

…違う

俺はジュリアのこんな表情が見たかったんじゃない

P「ジュリア、顔を上げてくれ」

P「前にジュリアが教えてくれたよな」

P「ロックは技術じゃなくて…」

俺はジュリアの胸に手を置いた

ジュリア「!?」

P「ここで弾くんだって」

P「だからさジュリアの熱いハートを、みんなにぶつけてやろうぜ!な?」

ジュリア「…」

ジュリアが肩を震わせている

やはりまだ緊張しているのだろうか

ジュリア「こんの…バカP!」

P「ふぐお!」

ジュリアの右ストレートが鳩尾に決まった

ジュリア「い、いきなり胸を触るなんて信じらんねえ!」

ジュリア「バカ!バカ!バカ!バカぁ!」

〆のアッパーを受け俺は膝をついた

ジュリア「はあ…はあ…はあ…」

P「げ、元気は出たみ…ごほっ」

ジュリア「ふんっ!」

ジュリアは俺に背を向け歩き出そうとする

だから俺はその背中に声をかける

P「ジュリア!」

ジュリア「なんだよ変態、まだ貰い足りないか?」

振り返ったジュリアに拳を突き出し

P「頼りにしてるぜ」

そう言った

ジュリア「…ふん、頼られたよ」

ジュリアは拳に拳をぶつけ、顔を赤くしながらそう言った

ジュリア「あ、あたしの胸を触ったことはこのみ先生に報告するから」

P「勘弁してください」

とうとう出番が回ってきた

四人で顔を合わせ、最後のミーティングをする

P「俺に出来るのはここまでだ」

P「だから後は、お前達に託す」

冬馬「任せろ」

恵美「ウチらなら出来る!」

ジュリア「…託されてやるよ」

P「これが終わったら美味いものでも食いに行こうな」

冬馬「おう!」

恵美「ファミレス行こうよ!」

ジュリア「Pの奢りだからな」

P「それじゃあ、頼んだ!」

三人は楽器を持ってステージへ向かう

光の向こうへ行く背中を、俺は後ろから見ていた

二「やあPくん」

P「高木先生」

二「君のプロデュースした彼女たちの活躍、私も興味があってね」

P「プロデュースだなんて、そんな大それたものじゃないですよ」

二「そうかな?まあ、私も楽しませて貰うよ」

P「はい、楽しんでください」

みんな、頑張れ

俺は舞台袖から見ていた

ハートで弾く、ハートを震わす音楽を

俺が憧れた、その光景を

そして思い知らされる

俺ではそこに到達出来ないということを

P「…」

同時に思うのは、この音楽をもっと高みへ連れて行きたいという野心だった

P「そうか…」

もっとハートを震わせたい、世界に響かせたい

俺がそれを支えれば良い

俺が補助輪になれば良い

そうすればきっともっともっと輝ける

ジュリア達のハートが世界を揺らせる

そんな確信が、俺にはあった

二「Pくん、君には今何が見えているかね?」

P「そうですね…」

このステージを一言であらわすなら…

P「新しい世界、ですかね」

二「実に私好みな答えだ」

高木先生は満足そうに頷いた

ステージが終わり、万雷の拍手が会場を埋め尽くす

それを聞きながら俺は三人を迎えた

P「お疲れさま」

冬馬「おうよ」

冬馬とハイタッチする

恵美「うわぁぁぁぁん!うまぐいっでよがっだぁ!」

恵美が抱き付いてくる

P「柔らかい!」

ジュリア「…」

ジュリアの冷たい目線が突き刺さる

P「ジュリア」

ジュリア「ん」

P「最高だった」

ジュリア「当然だろ?任されたんだから」

ジュリアと拳をぶつけ合う

四人で喜びを分かち合っていると舞台袖にスーツを着た男が入ってきた

男は挨拶をすると名刺を差し出した

P「○○プロ?」

男は芸能プロダクションのスカウトマンで、優秀な人材を探していたらしい

そしてたまたまうちの文化祭のステージを見て、ジュリアに目をつけたそうだ

男はうちに来ればもっとハイレベルなステージに出来るとあれこれ言ってジュリアを勧誘する

正直不愉快だ

当のジュリアは…

ジュリア「もっとハイレベルなステージ…ねえ」

P「ジュリア?」

ジュリアの興味が引けて後一押しだと思ったのか、畳みかけてくるスカウトマン

そろそろ退場してほしいと思ったとき

ジュリア「悪いけど、行く気はないな」

ジュリアがそう言いきった

予想外の回答に呆気に取られて動かないスカウトマンに対し

ジュリア「確かに待遇とかは悪くなさそうだしハイレベルなステージっていうのも本当だろうけど」

ジュリア「あたしの仲間を馬鹿にするようなところに、あたしは絶対に入らない」

ジュリア「どんなに条件が良くても、それだけは許さない」

ジュリア「さ、いこうぜ」

ジュリアは踵を返すとさっさと控室に戻っていった

俺達もそれに続く

最後にちらりと振り返ったとき、スカウトマンは未だ固まったままだった





文化祭の最終プログラム、キャンプファイヤーを屋上から見下ろしていると扉が開く気配がした

ジュリア「こんなとこにいたのか、恵美とあまとうが探してたぞ」

P「ジュリアか」

ジュリア「ここ、風が気持ちいいな」

ジュリアが隣にやってくる

P「あの時ほどじゃないけど、星がよく見えるな」

ジュリア「…ああ」

しばらく2人で空を見上げる

そして俺は

P「なあジュリア」

ジュリア「ん?」

P「好きだ、付き合ってくれ」

ジュリアに気持ちをぶつけた

ジュリア「…?」

ジュリア「…」

ジュリア「!?」

言葉の意味を理解するのに時間がかかったらしい

表情が二転三転して、真っ赤になった

ジュリア「は、はあ!?何言ってんだよ!」

P「俺は本気だ」

ジュリアの右手を握る

P「もし嫌なら俺の手を振り払ってくれ」

躊躇なく振り払われた

P「…」

割と真剣にへこむ

ジュリア「あ!いや!別に嫌って訳じゃなくて!…その」

ジュリア「…まだ、付き合うには早いだろ」

P「えー…」

ジュリア「ま、まだそういうことしてないのに付き合ったり出来ない!」

P「あらやだこの子乙女だわ」

ジュリア「だから…その…友達からなら…いいぜ」

P「マジ?」

ジュリア「な、何回も言わせるなよバカP!友達!あくまでも友達だからな!」

P「ぷっ、今はそれで満足するよ」

ジュリア「な、なんで笑うんだよ」

P「気にするなって」

ジュリア「なんか納得いかねえ…」

P「…ふぅー…それじゃあ改めて」

P「よろしくな、ジュリア」

ジュリア「…ああ、よろしく、P」

文化祭の夜、俺とジュリアは友達になった

P「俺達友達だからキスしようぜ!友達だからな!」

ジュリア「…調子に乗るなバカP!」

早く友達以上になりたいものだ

尾張名古屋

その辺りはAで

とにもかくにもこれにて765学園物語は終幕
途中だれたけど最後までお付き合いいただき読んでくれた人には感謝しかない
残り12本頑張りまする

というわけで新スレにご招待
【ミリマス】765学園物語HED √LR
【ミリマス】765学園物語HED √LR - SSまとめ速報
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