京太郎「新入部員が」ムロ「私だけ!?」3スレ目 (53)

京太郎スレです

咲原作から1年後のお話でした


前々スレ
京太郎「新入部員が」ムロ「私だけ!?」
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京太郎「新入部員が」ムロ「私だけ!?」2スレ目
京太郎「新入部員が」ムロ「私だけ!?」 2スレ目 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430051134/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467304947

エピローグ予定地です
まだ書いてないので、書いたら投下します

>>1
申し訳ないけど髪伸ばしてるムロの画像再うぷできない?
過去ログ読んでたんだけどパート1のdodupの画像消えてた

こんばんわ

夏バテと燃え尽き症候群で全然エピローグ書けてない……
ので、スレ立てておいてSS無いのもさみしいから
今日はムロの新しい能力の解説SS(ちょーみじかい)を投下します

>>7
手元にないのでうpできないです……
かわりにあげてくれる人がいるかもしれません
いなかったらあらためて描くかも。きっとたぶんもしかしたら


それじゃ投下します

トシ「ふむ……ムロの新しい能力の効果をまとめたけど、こんなものかしら?」

京太郎「照さんによると、これが本来のムロの能力なんですね」

まこ「そうらしいのう」


ムロ「うーん、前の能力が使えなくなっちゃったのはイタイなぁ」

京太郎「そういうな。異能があるだけいいじゃないか」

ムロ「いや、コレに限って言えば結構プレイスタイル縛られちゃって……」


ムロ「てか、前のが使い勝手よすぎてつらい」

京太郎「まあな。相手が場を支配するような能力じゃなかったら、やりたい放題だもんな」

まこ「山も相手の牌も視えるなんざ、怖すぎるわ……」

京太郎「今はもう、自分の危険牌しかわからないんだっけ?」

ムロ「そうですね。あと、一巡先の直感も」

まこ「それだけでもかなりのアドバンテージじゃ」


ムロ「その点、新しい能力ときたら」

トシ「すこしクセがあるわね」

まこ「その最大の特徴が……」


京太郎「河の支配。リーチや副露した相手の運を下げる」


ムロ「コレですよ。自分まで対象になるなんて……おかげで気軽にリーチもできない」

まこ「そこはゾーンに入って解決じゃな」

ムロ「……簡単に入れませんよぅ」

京太郎「ふふん、まだまだ修行が足りないな」

ムロ「清水谷さんも言ってましたけど、先輩がおかしいレベルなんです」

トシ「おかげで決勝戦、大星淡のダブリーと宮永咲のカンを封じれたわ」

京太郎「できないわけじゃないんだよな」

ムロ「アクションを起こすと、以前の能力でいう反転状態になりますけど。それでいいなら」


トシ「じつは効果に強弱があるのよね」

まこ「対局開始直後じゃと効果は薄い」

トシ「それで、試合が進むと威力が増してくる」

京太郎「スロースターター的な?」

ムロ「というより、チャージしてる感じ?」


ムロ「それに自分のツモも良くなってるんですよ、後半に進むにつれて」

まこ「プラスの効果もマイナスも効果も、徐々に上がっとるわけじゃな」

ムロ「うまくいって連荘が続いたら、最終的には天和連発も……」

京太郎「ムリダナ」

ムロ「ムリかぁ……」


トシ「名前がほしいわね」

ムロ「え?」

まこ「なんで?」

トシ「いつまでも新しい能力っていうのも呼びにくいし、私が名付け親になってあげる!」

ムロ「おお、お願いします!」

京太郎「乗り気だな……名前ほしいの?」

ムロ「だって嶺上使いとか深山幽谷の化身とか、カッコイイじゃないですか!」

トシ「能力の特徴を踏まえて、それでいて女の子らしい名前がいいわ」


トシ「そうねぇ……『オヒナサマ』なんて、どうかしら?」


ムロ「お雛様?」

まこ「3月の雛祭りに飾る、あの?」

京太郎「そのこころは?」

トシ「たぶん、みんながイメージしてるのとは、ちょっと違うわ」


トシ「雛祭りに飾る人形、あれを飾り雛というんだけど」

トシ「その原型は、流し雛というものなの」

京太郎「ながしびな?」

ムロ「ああ、紙でつくった人形を川に流すやつですね」

まこ「それは、河とかけてですか?」

トシ「ええ。身の穢れを形代に移して川に流す流し雛が、牌を切る動作と似てると思ってね」


トシ「穢れと牌は鳴いた人間に集まって、そのぶん自身の運は上がる」

ムロ「そう言われれば、そっくりです」

京太郎「じゃあ、これからは」

まこ「オヒナサマって呼ばんとイカンのう」

ムロ「え……」

京太郎「オヒナサマ最近調子どう?」

ムロ「……んーと」


ムロ「やっぱナシで」

トシ「えー」


ムロ「私にはもう、インターハイチャンピオンという称号がありますから!」

まこ「そういやそうじゃ」

今日はここまで

宮永大星高鴨メタるウーマン・ムロ
オシラサマとも関係あったりする説があったりするオヒナサマです

こんばんわ

最近はもう夏!といった暑さですね
体調を崩してはいないでしょうか?

私は指先の神経が麻痺してお箸が使えないとかありました
お米離れが加速しますね


さて、今回はエピローグで最終回です
京太郎にもムロにも重要な人物のお話をして終わりたいと思います

それでは投下します。毎度遅くてゴメンなさいでした

むかし住んでた町は、まるで変わっていなかった。

あの頃のままで、私を迎えいれてくれた。

町だけじゃなく友達も、同じように私に接してくれた。



私には選択肢があった。

以前住んでいた町に戻るか。それとも、いま住んでいる町にとどまるか。

また家族と一緒に暮らす時間。いまの友達と一緒にいる時間。

どちらをとるか、とても迷った。

一度はとどまることを選んだけれど……


 『私、2学期が始まる前に転校する事になりました』


……不意打ちだった。

予想外の告白をされて、だから、つい――


 『実は……私も……』


そんな言葉が、口をついた。

そうして、十分にこころの整理がつかないまま、私は阿知賀に戻ることになった。

新しく通う学校は、はじめてじゃなかった。

小学生のころ、なんども通ったことがある。


新入部員として案内された教室。

なんども入ったことがある。


座った雀卓。

なんども、なんども、打ったことがある。



この場所は本当に変わらない。

私は……どうだろう?


どこか変わったところは、あっただろうか。


悩んでるあいだも、時間は過ぎていった。

季節も移りゆく。吉野の桜が散り、紫陽花の花も終わって……


また、あの季節がやってくる。



灼「――はい。では、今日の部活動は終了です。お疲れ様でした」


  「「おつかれさまでした」」


穏乃「あー、今日もやりきったー」

憧「私ちょっと疲れたなぁ……今日いつもよりタイトだったよね?」

玄「地区予選も終わったし、全国に向けてそろそろ本腰入れないと」

穏乃「今年も全国がんばるぞい!」

憧「そういえば、今年はなんかやるの? 他の学校回るとかさ」

灼「晩成との練習試合を予定してる」

憧「へぇ、晩成か。恒例になりつつあるわね」

和「あの、その件についてお話が……」

玄「なになに?」


和「実は、晩成の他にも参加する学校がありまして」

玄「そうなんだ」

灼「清澄も来る」

穏乃「おお! 清澄!」


和「清澄からも、個人ですけど県代表がいるので一緒に参加させてもらえないかと」

玄「和ちゃんの中学の後輩なんだっけ?」

和「はい。そうなんです」

憧「オッケーオッケー。強い相手と戦えるんなら大歓迎!」


玄「練習試合が終わったら、ウチの旅館で打ち上げやるからね」

穏乃「ホントですか? やったー!」

灼「打ち上げってか、後援会の人達に挨拶しないといけな……」

憧「なるほど。でもまぁ結局、宴会になるのよねぇ」


和「ちゃんと夏休みの宿題を済ませた人だけが参加できますので」

穏乃「やだー!」

和「やだじゃありません」

穏乃「……はい」

憧「まだ手ぇつけてなかったの?」

穏乃「机に向かうと落ち着かなくってさぁ」


穏乃「山が……私を呼んでるんだ!」キリッ

憧「そう言って、ギリギリまでやらないじゃん」

和「なんなら、私が監視しましょうか?」

穏乃「監視……? 指導とかじゃなくて監視、だと……?」


和「かくいう私も、宿題をすべて終わらせているわけではありませんが」

憧「そうだ! だったらさ、みんなで勉強会やんない?」

玄「いいねー。それならウチで集まってやろっか」

和「お邪魔してよろしいんですか?」

玄「どうぞどうぞ。灼ちゃんもいいよね?」

灼「うん。じゃあ、お世話になります」


和「そういうわけで、穏乃?」

憧「チャチャっと終わらせちゃうわよ!」

穏乃「おう! 打ち上げ楽しみだなあ」


和(……去年も、優希の追試やら宿題やらでおおわらわでしたっけ)

和(所変われど品変わらず、ですね)


和(あ、須賀君も来ることを伝え忘れてました。まぁ、いいでしょう)

晩成高校
3校合同練習試合


和(ムロが副将で私が大将。このポジション……インターミドルを思い出しますね)

和(あの時は、逆転なんてほぼ不可能なくらいの点差でした)

和(勝てる見込みの無い試合。出番をむかえた私に、申し訳なさそうに帰ってきたムロが、今では――)


和「本当に、もう大丈夫みたいですね」

ムロ「あ……」

和「私も、安心しました」

ムロ「ありがとうございます……!」


和(あの頃の面影はなく、頼りがいのあるチームメイトになりました)

和(もう、教わるだけの後輩ではないんですね)


和(教え子が成長してくれるのは、指導する者にとって嬉しいことです)

和(ですが、ちょっとだけ……さみしい気もします)


和(須賀君も、今年は個人代表として頑張ってる)

和(インターハイチャンピオンの咲さんは言うに及ばず)

和(優希も今や、東風王者として名を馳せている。それなのに、)


和(……私だけ、取り残されたみたいな感覚)

インターハイ 団体戦
控室 阿知賀女子


和「今年のインターハイ、私は出場できません」


和「ですが、自分なりにやれる事はやってきたつもりです」

和「もちろん大会中も、全力でバックアップしますので、よろしくお願いします」

和「全国の舞台で緊張している人もいると思いますが、あまり気を張り過ぎず」

和「プレッシャーに負けないように、がんばってください」


  「「「はいっ!」」」


灼「はじめての公式大会で、いきなり全国っていう子もいると思うけど」

灼「私達も去年、そうだったから」

和「まずは、この空気に慣れるところからですね」


玄「和ちゃんって、全国の団体戦はインハイがはじめてだったんでしょ?」

和「はい」

穏乃「どんな感じだった? やっぱ緊張した?」

和「全国大会だろうと相手が誰であろうと、やることに変わりはありません」

玄「おおぅ、さすがだね」

和「ですが……」


和「自分以外の人の想いを背負って打つのは、特別な感じです」


和「それに、インターミドルの時と違って上級生が相手だったりしますし」

玄「なるほどなるほどー」

灼「今年は私達が最上級生。だからといって、油断できな……」

玄「うん、もちろんだよ!」


  『まもなく、先鋒戦が開始されます。選手はすみやかに……』


穏乃「玄さん、出番です!」

憧「ガンバ!」

灼「気ぃ引き締めて」

和「がんばってください」

  「松実先輩、がんばって!」

    「お願いしますね!」

玄「それでは松実玄、行って参ります!」ビシッ


穏乃「そういえば去年の1回戦、和の試合ってどんなだっけ?」

憧「しずったら、忘れちゃったの? たしか……えーっと、あれ、記憶がない……」

和「出てませんよ」

穏乃「へ?」


和「副将戦まで回らずに終わってしまったので、私と咲さんの出番は無かったんです」

憧「ああ、そうだっけ。中堅でかぁ……玄がガッツリ削ってくれればイケるかなぁ?」

灼「いや、そこまでは期待してな……」


和(あの時は、特になにも思わなかったけど……)

和(今は、試合に出られなくて……さみしいと感じる)

和(変化していく環境の中で、私だけが変わらない)

和(それで、いいんでしょうか?)


和(でも、だからといって、なにができるわけでもないですし)

和(ムダに焦っても仕方のないこと)

和(今は、みんなのサポートに徹する時です)



京太郎「まるでマネージャーだな」

和「実際、そんな感じですよ。私は試合に出られませんから」



インターハイ 9日目
会場 ロビーギャラリー


和「思えば、須賀君はいつもこういうことしてたんですね」

京太郎「まぁ、オレの仕事といったら買い出しとかか。男だし、力仕事は当然だな」

和「大変なんですね」


和「いつも部員のみんなをサポートしてくれて、改めて、ありがとうございます」

京太郎「よせやい。自分にできることをしたまでだよ」


和(自分にできること……やりたいことはあります。でも、それは――)


和「今はインターハイで、私はマネージャー寄りの立場になっているだけです」

京太郎「じゃあ、秋からは選手モードになるんだ」

和「そうなりますね。やっぱりそっちの方が落ち着きます」

京太郎「落ち着くって?」

和「……咲さんや優希、ムロがあの場所に居るのに私が居ない」

和「それがなんだか妙に違和感、というかおさまりが悪いというか……」

京太郎「マネージャーとか監督なんかも似合ってると思うけど」

和「確かに、そういう事もしてきましたけど」


和「選手として、あの場所に立ちたいと思う。私は……そうなんです」

和「ずっとモヤモヤしてるんです」


和(試合に出たい。でもそれで、なにがどう変わるというんでしょうか?)

和(けど、そこに答えがある気がする。言葉では上手く表せない、ぼんやりとした確信が)


京太郎「ああ、それはきっと……いや、なんでもない」

和「えぇ……なおさらモヤモヤするんですが。なんですか? 教えてくださいよ」

京太郎「それは和が自分で考えて、自分で気付いて、自分で解決するものなのだよ、きっと」

和「そういうものですか……」


和(教えてくれてもいいのに、と思ったけど、やはり自分で気付くのが一番ですね)


京太郎「そういうものです。そして悩み、苦しみ、あぐねるがいい」

和(……ヒントくらいは欲しいかも、と思いました)

インターハイ 個人戦 本選終了後
決勝戦出場者用控室


灼「団体戦は残念だったけど、個人戦で穏乃が決勝まで行ってくれた」

憧「うん。あとは優勝して、インターハイに阿知賀の爪痕を残すだけね!」

玄「私の分も頼んだよ、穏乃ちゃん!」

穏乃「もちろんです」


チャッ タン

パタッ

穏乃「テンパイ……っと、じゃあそろそろ行くよ。あ、そうだ」

和「どうかしましたか?」


穏乃「和、言ってたよね。他の人の想いを乗せて打つのは特別だって」

和「はい」

穏乃「私、はじめての個人戦だけど、心持ちは団体戦の時と変わらないんだ」

穏乃「試合に出られなかった人や、進めなかった人……」

穏乃「みんなのために、頑張るよ」


穏乃「絶対優勝して、トロフィー持って帰るからね」

憧「頼んだわよ、しず!」

玄「がんばってね! 穏乃ちゃん!」

灼「気合いれて」

  「高鴨先輩がんばってください!」

    「シズちゃんガンバー!」

和「穏乃に託します」

穏乃「うん」


和「行ってらっしゃい」

穏乃「ああ、行ってくる」



インターハイ
女子個人戦 決勝


ビイィィィィィィッ

恒子『試合終了――!!』


恒子『インターハイ決勝戦、ここに決着ーッ!!』

恒子『全国一万人の頂点に君臨したのは……!』


恒子『長野県代表、清澄高校1年――室橋裕子!』


恒子『新しいチャンピオンの誕生だァ――!!』

ワアアァァァァァ



ガチャッ

穏乃「ただいま」


憧「しず……」

玄「あ、おかえり、穏乃ちゃん」

灼「お帰りなさ……」

和「お疲れさまでした」

穏乃「……ゴメン。負けちゃった」

和「そのわりには、なんだか晴れ晴れした様子ですね」

穏乃「えー、そうかな? そう見える?」

玄「もっと落ち込んじゃうかと思ってたよ」

穏乃「たしかに、そんな気持ちもあります。でも……」


穏乃「今の心境……例えるなら、すごく高い山に登ってて、やっと頂上だって思ったら」

穏乃「その奥に、もっと高い山が連なってるのが見えた時と、同じ気持ち」


穏乃「他の人ならウンザリしちゃうだろうけど」

憧「あー、しずなら違うわ。逆よね」

玄「穏乃ちゃんらしいね」


穏乃「それに、ようやく自分なりのやり方が見つかった気がしたんだ」

穏乃「今は、それを試したくて仕方がない」


穏乃「結果を期待してくれた人には、申し訳ないけど」

憧「しずはよくやったわ」

穏乃「ゴメンね」

和「謝ることなんてないです」

穏乃「期待を背負うには、身の丈が合わないみたいだったよ」

和「そうじゃな……いえ、それも間違いですね」


和「自分で叶えます、これからは」

穏乃「……うん」

和「自分の願いは、自分の力で」

穏乃「うん。それがいいね」


和(他の人には託せない想いがある事を知りました)

和(自分で叶えなければ意味がない願いもある)

和(焦ることなんて、なかったんです)


和(私は、みんなが遠くに行ってしまったように感じて)

和(それで、自分も変わらなければいけないと思ってしまった)

和(どうすれば変われるだろう。何を変えればいいだろう、と)


和(読んでる雑誌? 聞いてる音楽? それとも、住んでる場所?)

和(それも、アリかもしれない)


和(自分と言う存在は、自分だけで構成されるものではないんですね)

和(今まで『自分』だと思っていたもの。それは、ただの自己にすぎない)

和(親や友達とのつながり、他者との関係性もひっくるめて『私』なんだと気付かされました)


穏乃「うおーッ麻雀やりたーい! うおー!!」

憧「さっきまで散々やってたでしょーが!?」

灼「帰ったらね。とりあえず、閉会式とかあるから」

玄「そうだった、穏乃ちゃん表彰されちゃうよ!」


和(であれば、阿知賀に帰ってきた私は取り残されたのでも、ましてや昔に戻ったのでもない)

和(『私』という存在は、常に進化している)


和(周りにいる人達によって)


恒子『1年生がチャンピオンになるのは、なんと2年連続!』

恒子『どんどん新しい世代が台頭してきてますね!?』

健夜『そうですね。宮永プロなんかも、当時は大活躍でした』

健夜『こういった実力のある人材がプロに入って、業界が活性化するのは良いことだと思います』

恒子『なるほど。若い力が巡り巡って、小鍛治プロのいるF2層にも刺激を与えるというわけですね?』

健夜『私まだF1層だよ!? っていうか、プロはそんな区分けしてないから!?』


和(いえ……周りだけじゃない)

和(高遠原、清澄……長野にいた時間があるから、今の私がある)


玄「じゃあ、みんな行くよー」

憧「はーい」

和「あの、灼さん」

灼「どうしたの?」


和(教え子に先を行かれて、嬉しいやら悔しいやら……)

和(ですが、私も黙ったままではいません)

和(追い越されたら、また追いつけばいい)


和「あの話、受けようと思います」

灼「そ、ありがと……」

穏乃「なになに?」

和「実は、次期部長のお誘いをかけられてまして」

灼「まだ正式な手続きはしてないけど、原村さんにお願いする方向で」


穏乃「わぁ! そうなんですか!」

憧「しずー、どうしたの? 行かないの?」

玄「えぇ!? ボイコットはお行儀悪いよ、穏乃ちゃん……」

穏乃「違いますから!?」

穏乃「和が新しい部長になるんだって!」

憧「そうなんだ! まぁ、妥当な人選よね」

和「責任重大です」


玄「そっか。いままでお疲れ様、灼ちゃん」

灼「うん。まだやらないこと残ってるけど」


和(世界が変われば自分も変わると、人は言う)

和(世界が変わったら、自分も変わった)

和(それは、劇的な変化ではありません。けれども確かに、ちょっとづつ)


和(そして変わったからといって、今までの私が無くなったわけじゃない)

和(絶対にブレないところもある)


和(変わったところと、そうじゃないところ。組み合わせて新しい私)

和(『私』は日々の中、アップデートしていってる)


憧「って、遅れちゃう! 早く行くわよ!」

穏乃「急ぐよ、和!」

和「はい。いま、行きます」


和(……今度は、私が――)





1年後


ワアアァァァァ


恒子「第73回全国高等学校麻雀選手権大会女子団体戦!」


恒子「も、ついに決勝! 実況は私、福与恒子。解説は小鍛治健夜プロでお送りします」

健夜「よろしくおねがいします」

恒子「さぁ、小鍛治プロ。いよいよですね」

健夜「そうですねぇ」


恒子「いよいよ小鍛治プロ20代最後の解説となりました」

健夜「いや、ま、まだ3ヶ月あるし!? コクマも余裕で20代だよ!」

恒子「その反応がすでに余裕無いんですけどもね! さて!」


恒子「先鋒戦まもなくスタートとなりますが、ここで各校の選手を紹介します!」



  『まずは東東京代表、臨海女子の先鋒は、片岡優希』

  『東場において右に出る者無し。東風フリースタイル、ツータイム・チャンピオンの登場です』


優希「出陣だじぇ!」

ハオ「頑張ってください」

ネリー「あんまり削り過ぎないで、ネリーの分も残しといてよ!」


  『前回王者、2連覇を狙う白糸台高校からは、宮永咲』

  『宮永照プロの妹、白糸台が誇るダブルエースの一人です』


淡「やっつけまくっちゃえサキー!」

咲「うん、行ってきます」


  『そして、1年振りのインターハイ出場です。長野県代表――』



マホ「ついについに! 決勝戦です!」

ムロ「そうだね。ようやく、ここまで来れた」

  「室橋先輩がんばれー!」

    「やっちゃってください!」

マホ「がんばってくださいー!」

ムロ「うん。その期待に応えれるよう、全力を尽くしてくるよ」


京太郎「裕子」

ムロ「部長……」


京太郎「緊張してる?」

ムロ「ドキドキしてます。悪くないドキドキです」

京太郎「あの卓に座ったからには、楽しまないとな!」

ムロ「もちろん、そのつもりですよ」


京太郎「……正直、めっちゃ羨ましいぞ」

ムロ「……フフン」


京太郎「こやつめ、ハハハ」グリグリ

ムロ「うああぁぁぁ!?」

京太郎「でもまぁ、こればっかりはしょうがない」

ムロ「ふう……聞き分けのいい部長で助かります」


  『長野県代表清澄高校からは、昨年度の個人1位』

  『最強の高校生、室橋裕子が先鋒を務めます』

ワアアァァァァ


京太郎「オレの分も頼む。あいつらにヨロシクな」

ムロ「はい、任せてください!」

決勝戦専用特別対局室


咲「あっ」

ムロ「おとといの準決勝ではどうも」

咲「こちらこそ」

ムロ「今日は本気出すんですよね?」


咲「えー、準決勝でも本気だったよ?」

ムロ「まったまたー」

咲「ホントだってば。ムロちゃんの支配に、なんにもできなかったんだから」ニヤニヤ

ムロ「……顔に出てますよ、宮永先輩」


咲「ウソっ? 相変わらず顔色うかがうの得意だよね……誰に似たんだか」

ムロ「誰にでもわかりますよ。ってか、表情読みしてるんであって、うかがっては……」


優希「なにやら楽しそうにしているな!」

ムロ「優希先輩!」

咲「今日はよろしくね、優希ちゃん」

優希「なにとぞなにとぞこちらこそ」

優希「今日は全力全開! 準決の時みたく様子見してたら危険があぶないじぇ、咲ちゃん!」

咲「あはは……」

ムロ「ホラ、わかりやすい」


咲「さすが臨海女子。優秀な分析チームがついてるね」

ムロ「いやいや。何故かたくなに認めようとしないのか――」


ムロ「あ……」

優希「ん? おおっ、やっと来たな!」

咲「これで揃ったね」


  『因縁の準決勝を突破し、2度目の決勝進出を果たしました』

  『奈良県代表、阿知賀女子』


ムロ「遅いですよ、和先輩!」

和「お待たせしてしまったようですね」


  『先鋒は、3年で部長の原村和。全中王者の経歴を持っています』


和「真打ちは後から登場するものです、なんて」


  『さて、これで各校の選手がそろいました』

  『この先鋒戦の組み合わせ、巡り合わせといいますか』

慕『そうですね。中継をご覧になっている方の中にも、ご存知の方がいらっしゃると思います』


慕『2年前の夏……とある学校の、1年生トリオが話題になりました』

慕『その中には、インターミドルチャンピオンがいたり』

慕『のちのインターハイチャンピオンや、東風フリースタイルチャンピオンがいたりして』

慕『とってもすごい1年生だったんです』


慕『……ですが3人、それぞれの事情で地元を離れる事になりました』


慕『私も小さい頃、育った町を離れなければいけなかった思い出があります』

慕『それでも、また友達に会えるのは嬉しいもの』

慕『特に、麻雀によって繋がる縁は、私にとって喜ばしい事でした』


慕『3年生になって今、同じ卓に座る彼女たちの心境たるや、如何ばかりか……』


慕『そして再会するのは、なにも同級生だけではありません』

慕『そんな、偉大な先輩達の背中を見て後輩は、何を想ったのでしょう――』



和「こうして、みなさんと卓を囲めるなんて……感慨深いです」

咲「うん。ホントだね」

優希「懐かしの清澄メンバー大集合だじぇ!」

ムロ「現清澄もここにいますよ!」


優希「そうだったじぇ。じゃあ、懐かしの高遠原メンバーで」

咲「それだと私がはいってないやつだ」

優希「実は、トーナメントの抽選が終わって組み合わせが発表された時」

優希「この4人で打つ事になるだろうなって、予感してたんだじぇ」


咲「そうだといいなって、私も思ってた」

和「みんな考える事は同じですね」

咲「和ちゃんも?」

和「はい。でも私の場合は、予感というより願望に近いものです」

和「2年生の時は、夏の大会には出られませんでしたから」


和「同輩が活躍してるあいだ、私だけ取り残されたような気分になって……」

和「だから……余計に会いたくなったのかもしれません」


優希「そうだったのか……のどちゃんがそんな風に思ってたなんて」

咲「ちょっと意外だった」

和「それに、ずっと私の後ろについてきてた子が、いつの間にか先を歩いてる」

ムロ「!」


和「私には、いつだって追いかけてくれる人達がいました」

和「同級生に、先輩や後輩。でも、これからは……」


和「今度は、私が追いかける番です」

ムロ「和先輩……」ブルッ

ムロ「……いいですとも! この、インハイチャンピオンが受けて立ちましょう!」

和「おや、勇ましいですね」

優希「ちょっと待てーい! 東風王者を忘れてもらっては困るじぇ!」

咲「も、元チャンピオンも、いるからね?」


優希「どうした怖いか?」

和「試してみますか? 私だって、元全中王者です」


咲「よく考えるとチャンピオンいすぎじゃないかな」

ムロ「ホントですね」

優希「なんだかありがたみが……」

ムロ「チャンピオンのバーゲンセール……いやでも、べつに価値が下がったわけじゃないですから」

和「それもすっかり、みなさんが先輩ですね」


和「そんな先輩方に今日はひとつ、胸を借りるつもりで挑戦しますね!」

優希「ムネを……」


咲「それってイヤミかな?」

ムロ「イヤミなんじゃないですか?」

優希「イヤミだじぇ」

和「そ、そんなつもりで言ったんじゃありません!?」


ムロ「そういえば、ウチの部長が嘆いてましたよ」

和「須賀君が?」

ムロ「せっかく個人戦優勝したのに誰も会いに来てくれないー、って」

和「一応、電話は入れたんですけどね。ふむ……それでは直接、改めてお祝いに伺います」

咲「わ、私もがんばってメール打ったもん」

優希「京太郎には悪いことをしたな。しかし……」


優希「1年ぶりの再会は、どうせなら最高にドラマティックにしたかったんだ。許せ」

ムロ「まぁ、直接言ってあげれば、すぐに機嫌よくなると思うんで」

咲「私も、あとでお邪魔するね」


咲「白糸台の優勝報告のついでに、ね」

ムロ「……へぇ?」


オ オ オ オ オ


優希「臨海を相手に、そう簡単にいくかな?」

咲「楽に優勝できるとは思ってないよ」

和「少なくとも、私……いえ、阿知賀は勝ちを譲る気はありません」

ムロ「もちろん、清澄だって優勝狙いです」



恒子「おや? なごやかな雰囲気から一転、ピリついた空気に変わりましたね」

健夜「試合モードにスイッチしたようですね……間もなく、時間です」


恒子「交差する視線……飛び散る火花に、緊張感は最高潮! 開戦の狼煙は上がった!」

慕『もう、言葉は必要ありません』

慕『想いは牌に乗せて……』


慕『こころのままに、麻雀を打つだけ――!』


ビイィィィィッ

  『さぁ、インターハイ女子団体戦決勝、先鋒戦……』


優希「始めるじぇ……私の起親だ!」ゴォッ

和「……ホゥ」パリッ

咲「ッ――!」ゴッ

ムロ「…………」キィィィィン



  『スタートです!!』


  ワ ア ア ァ ァ ァ ァ ァ




これで、おしまい


なんか打ち切りエンドみたいになっちゃった
もともとお誕生日祝うスレだったのに、1年半以上も続いてしまいました
計画性の無さが出てる
でもよくがんばった方だと思います



おつかれさまでした

依頼だしてきます

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