【はいふり】ましろ「艦長。免許証は持ってますか?」 (33)

ミケ「え?何の?」

ましろ「スキッパーの免許です」

ましろ「まさか持っていないなんて言いませんよね?」

ミケ「…………」

ミケ「……スキッパーって、免許必要だったの……?」

ましろ「」

ましろ「はぁ……今まで無免許で乗り回していたのか…………」

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ミケ「でも、スキッパーの免許なんてどこで取れば良いのかなぁ」

ミケ「それに免許を取るには試験も受けなきゃダメだよね?」

ミケ「うーん……何を勉強すれば良いのかな?」

ましろ「……仕方ない。私がスキッパーや免許について、一から説明する」

ミケ「良いの?シロちゃんありがとう!」

ましろ「か、艦長が無免許運転で捕まったら困るだけだ!くっつくなぁー!」

ましろ「……さて、まずは基礎知識のおさらいから始めましょう」

ミケ「うん!お願い!」

ましろ「えー……まず、艦長がいつも乗っているスキッパーですが、その正式名称はご存知ですか?」

ミケ「えっと……水上オートバイ……だよね?」

ましろ「その通りです。メーカーによって名称は異なりますが、それらをまとめた名称が『水上オートバイ(水上バイク)』です」

ミケ「スキッパーの他にはどんな名前があるの?」

ましろ「カワサキ製は『ジェットスキー』、ヤマハ製は『マリンジェット』、ボンバルディア製は『シードゥー』という名称で商標登録されています」

ミケ「ボンバル……何?」

ましろ「ボンバルディア。2003年に設立したカナダの企業です」

ましろ「水上オートバイの他には雪上車や全地形対応者等も造っています」

ミケ「雪上車や全地形対応者はカナダならではって感じだけど……」

ミケ「カナダでスキッパーって寒そうだよね」

ましろ「私もそう思って調べてみましたが、バンクーバー等が位置する西海岸の沿岸部は暖流の影響で比較的過ごし易いそうですよ」

ミケ「へぇー」

ミケ「あ、ジェットスキーは聞いたことあるよ!」

ミケ「でも水上オートバイもそうなんだけど、他の呼び方はあまり聞かないなぁ」

ましろ「文房具等によく見られる『商標の普通名称化』と呼ばれる現象ですね」

ましろ「近頃はジェットスキーという名称が浸透し、それが水上オートバイ全体を指す名称であるかのように思われています」

ミケ「うーん……私も全部スキッパーって呼んじゃうなぁ」

ましろ「ちなみに現実ではスキッパーと呼ばれる水上オートバイはありません」

ミケ「ええっ!?そうなの!?」

ましろ「はい。その代わりにこんな物が……」

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ミケ「え……何これ……怖い」

ましろ「失礼ですよ」

ましろ「次は水上オートバイの分類の話です」

ミケ「うん」

ましろ「水上オートバイはサイズによって二つのサイズに分かれます」

ましろ「まず一人乗りのスタンドアップタイプ」

ミケ「私が入学式の日に乗って行ったのもスタンドアップタイプだね」

ましろ「はい。あの時の艦長の印象は最悪でした」

ミケ「えへへ……」

訂正

二つのサイズ→二つのタイプ

ましろ「そしてもう一つのタイプはランナバウトタイプ(シッティングタイプ)」

ましろ「こちらは二~四人乗りの水上オートバイが該当します」

ミケ「晴風に積んでるスキッパーもこっちだよね?」

ましろ「その通りです」

ましろ「サイズによる違いを説明しましたが、エンジンにも違いはあります」

ミケ「えー……」

ミケ「エンジンってそんなに違いあるの?」

ましろ「2ストロークと4ストロークとで大きく違ってきますよ」

ミケ「どっちが良いエンジンなの?」

ましろ「断然4ストロークエンジンです」

ミケ「どうして?」

ましろ「水上オートバイによる環境破壊が問題視されているのは知っていますか?」

ミケ「うん……排出されたガソリンが海や川を汚染しているんだよね」

ましろ「はい。その結果、生態系にも影響が出ています」

ましろ「ガソリンだけではなく、ジェットによる水流も問題です」

ましろ「10m以上先の泥をかくはんする程強力で、浅瀬にある海藻や小魚の産卵場を押し流してしまいます」

ミケ「そうなんだ……」

ミケ「まあ私は乗るけど。楽しいし」

ましろ「そして、そんな中登場したのが4ストロークエンジンです」

ましろ「4ストロークは2ストロークに比べて環境に優しいので、余程のこだわりでもない限りは4ストロークを選ぶべきでしょう」

ミケ「実習が終わったら私のスキッパーも確認しなきゃ……!」

ましろ「次は水上オートバイの長所と短所です」

ましろ「艦長は水上オートバイの長所はなんだと思いますか?」

ミケ「うーん……環境破壊してるって感じがして気持ちい……じゃなかった」

ミケ「停める場所に困らないことかなぁ」

ミケ「小さいから何処にでも停められるんだよね」

ましろ「今艦長が挙げたのも、スキッパーの大きな魅力の一つですね」

ましろ「他には船体価格が比較的安い、燃費が良いなどがあります」

ミケ「安いって言っても、高校生が手を出せるような値段じゃないよね」

ましろ「それはまぁ……」

ましろ「後は狭い水路でも通行が可能、スピンターンの回転半径が小さい……という点もありますが……」

ミケ「どうかしたの?」

ましろ「……これは反対に、短所にもなりえます」

ミケ「!!」

ましろ「水上オートバイはモラルが低い操縦者が多い。これは操縦にも言えることです」

ミケ「あー……なんとなく分かっちゃった」

ましろ「それと、これは通常のオートバイにも言えることですが、事故に遭った場合、身を守る術がありません」

ましろ「なので、スキッパーに乗る際は必ず救命胴衣を着用して下さい」

ミケ「うん。分かったー」

ましろ「本当に分かっているんですか?」

ミケ「は、はい……」

ましろ「次は水上オートバイの危険性についてですが……」

ましろ「特別講師のスキッパー三銃士を呼んでいます」

ミケ「スキッパー三銃士。」

ガチャッ

ましろ「スキッパーの修理はお手の物。柳原麻侖」

マロン「特別講師の柳原麻侖でぃ!」

ましろ「魚になる為に海に飛び込んだ駿河さんを救助した、勝田聡子」

聡子「よろしくぞな」

ましろ「シュペーから亡命して来た、ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルク」

ミーナ「よっす。よろしく頼むぞ」

ミケ「…………」

ミケ「なんで3人も呼んだの」

マロン「ジャンケンの結果、残るのはマロンでぃ!」

ミケ「うん。よろしくね、マロンちゃん」



聡子「負けちゃったぞなー」

ミーナ「ワシなんかシュペーからわざわざ来たんじゃぞ」

ミケ「ごめんね二人とも……」

マロン「スキッパーの危険性かー……」

マロン「スキッパーにはブレーキが付いてないのは知ってるよな?」

ミケ「水の抵抗でスピードを落とすんだよね」

マロン「そうだな。でも、スキッパーはスピードを出している間は意外と安定すんだけど、スピードを落とすと不安定になんだ」

ミケ「私もそれで転んだことあるなぁ」

マロン「意識をなくしてそのまま溺れることもあるから気い付けろよ」

ミケ「こ、怖いね……」

マロン「あと、雨の日には乗らねぇ方がいいなぁ」

ミケ「前が全然見えなくなるもんね」

マロン「その通りでぃ!」

マロン「雨の日は視界が悪くなるから極力乗らない、乗るにしても低速で安全に……だな」

ミケ「うん。分かった」

マロン「後は……漁船には絶対に近づくなよ」

マロン「スキッパーは船舶と比べて小さいため、水面では目立ちにくいんでぃ」

マロン「そんで、スキッパー乗りの中には、漁をしている最中に隙間を縫って走ったりする奴がいんだけど、たまにスキッパーを見落として衝突しちまうんでぃ!」

マロン「実はウチのおじいちゃんも……」

ミケ「ひぇぇ……」

マロン「後は……確か、ウォータージェット推進装置から噴き出した水が、ケツから入って、死んだって事故もあったな」

ミケ「」

ミケ「な、なんだかスキッパーに乗るのが怖くなってきちゃった……」

マロン「なーに!メンテナンスをしっかりして、気を付けて乗れば大丈夫でぃ!」

ミケ「そうかな……」

マロン「というわけで、次はメンテナンスするべき箇所を教えてやらぁ!」


①船体外部
・船底やカ?ンネルなと?に損傷はないか。
・ ト?レンフ?ラク?のハ?ッキンか?劣化していないか。また、 確実に締まっているか。
・エンシ?ンフート?、シート及ひ?物入れのハッチは確実にロックて?きるか。また、ハ?ッキンは劣化していないか。
・ 吸水口及ひ?ノス?ルに異物か?詰っていないか。
・ 塩分、砂なと?を十分に 水で洗い流したか。

②船体内部
内部にクラックなと?はないか。
・ 内部(エンシ?ンルームや物入れ)にヒ?ルシ?はありないか。
・ シート及ひ?ハッチを開け換気を十分に行ったか。

・ ト?レンフ?ラク?を外し塩分、砂なと?を十分に水て?洗い流したか。

③機関
・ エンシ?ンに影響のある錆や破損はないか。
・ホースやクランフ?に緩み、割れや曲か?りはないか。

・ 始動後、冷却水出口から水か?出ているか。

・ 清水て?冷却系統の洗浄を行ったか。

・ 排気系統に溜まった水を排出したか。

・スロットルケーフ?ル、チョークケーフ?ル等に潤滑剤をつけたか。

・ スハ?ークフ?ラク?に異常はないか。
・ フレームアレスターの点検、清掃を行ったか。

④燃料

オイルは十分に入っているか。また、漏れはないか。

・ オイルは汚れていないか。

・ オイルフィルターにコ?ミや水はないか。

・ 固定用の「コ?ムハ?ント?」または「ストラッフ?」は劣化していないか。

etc……

ミケ「こ、こんなに……!?」

マロン「安全なスキッパーライフには必要なことでぃ!」

ミケ「私ほとんどやってなかったよ……」

ミケ「故障なんて全然なかったし、前にも故障したと思ったらすぐに直ったしなぁ」

マロン「実習が終わったらしっかりメンテナンスしてやんな!」

ミケ「うん!」

ましろ「私はちゃんとメンテナンスしてたのに1週間で壊れた」

マロン「んじゃ話終わったし帰るけど、最後に一つ言わせてもらうぞ!」

ミケ「なになに?」

マロン「もし乗ってたスキッパーが故障しても、ぜってぇに海に放置すんなよ!」

マロン「漁船の妨げになったり、ぶつかって傷になるんでぃ!」

ミケ「うん。わかったよ!」

ミケ「でもそんな酷いことする人がいるんだねー」

ましろ「さて、いよいよ免許制度についての話題です」

ミケ「待ってました!」

ましろ「ボートライセンスには3つの種類があります」

ましろ「操縦できる水面の範囲や船の種類によって 分かれていて、一級小型船舶操縦士、二級小型船舶操縦士、特殊小型船舶操縦士の3種類ですね」

ミケ「スキッパーの場合はどれを取ればいいの?」

ましろ「一級小型船舶操縦士はボートライセンスの最上級で、操縦できる範囲に制限もありません」

ミケ「その気になればヨットで世界一周も出来るってこと?」

ましろ「規定ではそうなりますね」

ましろ「次に二級小型船舶操縦士。これは沿岸でのレジャー向きのライセンスです」

ましろ「操縦出来る範囲は5海里以内。約9キロメートルですね」

ミケ「へぇー。その二つはスキッパーは乗れるの?」

ましろ「乗れません。水上オートバイに乗るには、最後の特殊小型船舶操縦士のライセンスが必要です」

ましろ「これは水上オートバイ専用のライセンスで、逆にボートの操縦は出来ません」

ましろ「ちなみにライセンスを取得出来る年齢ですが……」

ましろ「艦長の誕生日は確か7月ですよね?」

ミケ「うん。7月20日だよ」

ましろ「特殊小型船舶操縦士の受験資格は15歳9ヶ月以上となっています」

ミケ「じゃあもう免許は取れるんだね」

ましろ「いえ。それが、免許取得資格は16歳以上なので、今試験に合格しても、免許を取得出来るのは誕生日を迎えてからです」

ミケ「うーん……ややこしいね」

ミケ「試験はどんなことをやるの?」

ましろ「まずは身体検査です」

ましろ「視力検査や色覚検査が行われますが、艦長は問題なさそうですね」

ミケ「うん」

ましろ「学科試験は①小型船舶操縦者の心得及び遵守事項。②交通の方法(特殊)。③運航(特殊)の三科で、全40問です」

ましろ「合格基準ですが、科目ごとに半分以上の正解、かつ各科目合計問題数の65パーセント以上の正解で合格となります」

ミケ「65パーセント以上か~大丈夫かなぁ」

ましろ「まだまだ時間はあるのでじっくり勉強しましょう」

ましろ「最後は実技試験ですが、これも大丈夫でしょう」

ましろ「3人乗りの水上オートバイで試験時間は20分です」

ミケ「うん。これなら大丈夫そう」

ましろ「無免許運転で慣れてますからね」


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ミケ「シロちゃん!今日は色々教えてくれてありがとう!」

ましろ「お礼を言うのは合格してからにして下さい」

ましろ「まだ試験勉強を始めてすらいないんですから」

ミケ「あっ……そういえば、教材はどうしよう!」

ミケ「教材がないと勉強が出来ないよ!」

ましろ「大丈夫ですよ。艦長」

ミケ「シロちゃん!」

ましろ「こんなこともあろうかと、私の家で出している、水上オートバイ免許の教材を持って来ました」

ましろ「親切な解説付きで、今ならたったの1万円です」

ましろ「ちぇっ。ちゃっかりしてるなぁ」

ガバッ!

ミケ「…………」

ミケ「…………」

ミケ「…………」

ミケ「…………」

ミケ「夢か……」





終わり

く疲こ完です!
間違った情報があったらすみません!
僕も水上オートバイが欲しいなぁと思うのですが、かっこいいデザインの物は100万超えするみたいでバイブス下がってます!
はいふりコラボはよ

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