男「ミヤコ、飯だぞ」ミヤコ「……」(25)

ミヤコ「……」

男「…そんな顔するなよ。お前の大好物は売り切れだったんだ」

ミヤコ「……」モグモグ

男「……」モグモグ

男「…テレビ、付けるか」

ミヤコ「……」モグモグ

ピッ

『アカン!ほんまアカンて!アッ、アァァァァァァ!!』ドッ

男「……」モグモグ

ミヤコ「……」モグモグ

『CMの後、怒涛の片栗粉攻めが○○を襲う!!』

『…CMをご覧の皆様に大切なお知らせです』

男「ッ」ブチッ

ミヤコ「……?」

男「…なんでもないよ、大丈夫だからな」ナデナデ

ミヤコ「……」ケプッ

男「…大丈夫…大丈夫だから…」ナデナデ

男「じゃあ、仕事行ってくるからな。大人しくしてるんだぞ?」ナデナデ

ミヤコ「……」スリッ

男「いってきます」

ガチャ……バタンッ

ミヤコ「……」

男「おはようございまーす」

『おはようございます』

男「…ふー…」ギシィ…

後輩「先輩先輩」

男「ん?」

後輩「○○商事の○○さんから電話があったみたいっす」

男「げっ。もしかして今回のあれか?」

後輩「の可能性が高いっすね。…どうします?」

男「電話するしかねーよ。…お前、今日の予定は?」

後輩「きちきちっすよ!!なんなんすかこの予定!?」

男「文句は予定組んだ自分に言え。…はあ、今日は遅くなるな…」

後輩「え、大丈夫なんすか?家に…ぁ」

男「…別に予定とかないしな。その日の事はその日のうちに、だ」

後輩「…すね。じゃあ頑張ってくださいっす」

男「おう、お前もな」

後輩「…はぁぁぁぁ…」

同期「相変わらずお前はあれだな、考えてもの言わないよな」

後輩「うっせ、盗み聞きしてんじゃねぇよ」

同期「…男さん、どうよ」

後輩「…やっぱ元気ねーよ…そりゃ、あんなに仲良しだったんだし…」

同期「待ち受けにもしてたぐらいだしな…」

後輩「でもこればっかりはよぉ…」

同期「…んだな。飲みにでも誘ってみるか?」

後輩「おう、今度の金曜日行かないか聞いてみるわ。…ってやべ、朝一に打ち合わせがあったんだ!」

男「あ゛ぁぁぁぁ…やっと終わった…」ドサッ

男「(あのジジイ同じこと何回も説明させんなよ…あーもう20時じゃねぇか…はぁ…)」

男「(事務処理…は明日でいいよなもう…疲れた…)」

男「……」スマホスッスツ

男「…チッ…何が保護だよ…」

男「…帰ろ」

男「(昨日はササミにしたし…今日の飯は…)」

??「……」

男「(というかまだスーパーやってんのか?22時くらいまでやってたよな…)」

??「…あの」

男「(頼むぞー…最悪コンビニか…高いんだよなコンビニ…)」

??「あ、あああの!」

男「(え、俺?)はい?」

??「え、えっと…あの…」

男「(こんな時間に中学生…か?まさか痴漢冤罪?)」

男「…なんですか?」

??「…お、お願いが…あるんですが…」

男「お願い?」

男「(金はありませんよ?)」

??「……」

男「(いや、俯いてないで早く言えよ)」

男「あの…」

??「…一晩…」

男「(げっ)」

??「ひ、一晩でいいので…泊めていただけませんか…?」

男「あー…」

男「(うっわ…まじかぁ…噂の神待ち?って奴か…ってかなんかやたら荷物持ってるしどっちかって言うと…家出少女?)」

男「いや、悪いけど俺犯罪者になるつもりは…」

??「一晩だけで良いんです!ご、ご飯とかは自分でなんとかしますから!」

男「いや、そういっても君は未成年でしょ?もう少しで21時になるしお家に…」

ガサゴソ

男「…ん?」

??「あっ!だ、だめっ!!」ガバッ

ジー

男「(うわ…目が合っちゃったよ…)」

男「…おいおい、まじかよ…」

??「っ!?わ、私はこれで失礼しますっ!!」

ガシッ

??「は、離して…っ!!」

男「(……別に匿うんじゃない、ただ、知らないかもしれないから…教えるだけだ)」

男「…安心しろ。通報したりはしない」

??「…ぇ…?」

男「…まあなんだ、腹減ってないか?」

男「荷物は適当に置いといてくれ。『ソレ』は…まあ、肌身離さず持っといて」

??「は、はい。お、お邪魔します…」

男「悪いけど俺は着替えるから居間の方で待っててくれ」

??「わかりました」


??「(な、なんだかよくわからないうちにお家に来ちゃったけど…と、泊めてくれるのかな?)」

??「(ドア、開けたら男の人がい、いっぱいいるとか…ない、よね?)」ソッ

ミヤコ「……」

??「あ」

男「……」

??「こんばんは、私はみよこって言いますー」

ミヤコ「……」ジー

みよこ「怖くないよー。私は敵じゃないよー」ニコニコ

ミヤコ「……」ジー

みよこ「ほーら、こんな所にちび人間さんがー♪」指トコトコ

男「…なにしてんだ?」

みよこ「ひっ////!?」

男「……」

ミヤコ「……」ジー

みよこ「…////」

男「…ごほん。さて、まずは自己紹介からだな。…俺は男。しがない会社員で…」チラッ

ミヤコ「……」カオアライ

男「ミヤコの…いや、ミャー子の飼い主だ」

みよこ「あ、ミャー子ちゃんって言うんですね。…ミヤコ?」

男「ミャー子はすでに施設に預けた。…っていう体にしている。だから人間っぽい名前にしてるんだよ」

みよこ「あ…なるほど、です」

男「だから俺の家にまだミャー子がいる事は俺とお前しか知らない秘密だ。…バラすなよ?」

みよこ「もちろんです!誰にも言いません!」

男「ならよし。…で、そっちは?」

みよこ「…え、えっと…」

男「……」

みよこ「みよこっていいます。高校2年で…○○市に住んでます」

男「(○○市?結構遠くからだな…って高校生かよ)…それで、こんな時間にあんな所にいた理由は…家出か?」

みよこ「…はい」

男「(しか考えられないわなぁ…)」

みよこ「……」

男「…理由は、その子か?」

みよこ「…はい」

鞄『……』ゴソゴソ

ミヤコ「……」ジー

男「…知らない場所だと暴れたりする?」

みよこ「い、いえ!ケイはすっごく頭が良くて良い子なんです!だから暴れたりしません!」

男「なら、鞄の中から出していいよ。ただし、ミヤコがいるからキャリーからは出さないでくれ」

みよこ「い、いいんですか?」

男「鞄の中にずっと入れとくのも可哀想だしね。鳴き声は…まあ、ここに来るまで鳴かなかったし大丈夫だよな?」

みよこ「はい!滅多に鳴きません!!」

男「わ、わかった。じゃあ鞄から出していいよ」

鞄『』ゴソゴソ

みよこ「ありがとうございますっ!ケイー?お外だよー!」

ケイ「……」ジー

ミヤコ「……」ジー

みよこ「ごめんね、お外に出してあげられなくて…」指キャリーに入れ

ケイ「……」スンスン…スリ

みよこ「ふふ…あ、ミヤコちゃん仲良くしてあげてね?」

ミヤコ「……」ジー

ケイ「……」ジー

みよこ「お友達になれるといーね♪」

男「ミヤコにちょっかい出したら許さねーぞ?…さて、本題に入ろうか」

みよこ「あ、すいません。…本題?」

男「まあ、大体予想はつくけどな。…なんで家出したんだ?」

みよこ「…!そ、それは…」

男「その黒猫…いや、ケイが処分されそうになったからか?」

みよこ「ッ!!」

男「当たりか…しかし、思い切ったな。わざわざ家出しなくてもよかっただろ」

みよこ「…で、でも…」

男「処分されるのが嫌なら施設に預けることだって出来たろ。たしか、市役所から案内が来るはずだが?」

みよこ「…ケイは家族です。家族を守るのは当たり前です」

男「なら動物愛護団体が設立した保護施設に預ければよかっただろ…」

みよこ「…なら、男さんはミヤコちゃんをなんで施設に預けてないんですか?」

男「……っ」

みよこ「多分、男さんと同じ理由です」

男「…愛護団体が信用出来ないのか?」

みよこ「そうです」

男「なるほど。だけど、実際に預けている人達もいるだろ?」

みよこ「でも…私、とても信じられなくて…だって、約1000万頭の猫を保護するんですよ?お金や場所の問題が絶対出てくるはずです…預けた後ケイになにかあったら…しかも、一度預けたらワクチンが出来るまで引き取る事は出来ないって…」

男「……」

みよこ「なのに…お母さんとお父さんは…っ…ケイを…」

男「で、家出してきたと…」

みよこ「……」

男「…いつから?」

みよこ「…昨日からです」

男「まさか野宿?」

みよこ「いえ、ファミレスとかで…」

男「なら今日もファミレスで良かったんじゃないの?」

みよこ「…その、あの…」モジモジ

男「ん?」

みよこ「お、お金が…」

男「あぁ…高校生だもんなぁ…」

みよこ「バイトしたことないし、お年玉もお母さん達が預かってて…」

男「で、お小遣いが底をついて途方に暮れていた、と」

みよこ「…はい」

男「……」

みよこ「……」

男「…ふぅー…」

みよこ「っ」ビクッ

男「…正直に言うとな、俺は家に帰るのを勧める。もし金がなくて帰れないって言うなら貸してやる」

みよこ「…でも」

男「君の両親は君を守るためにケイを施設に預けようとしてるんじゃないか?」

みよこ「ケイは家族です!なのに…!」

男「そうだな、家族だな。…だが、所詮は猫だ。人の命には変えられないだろ?」

みよこ「でも…でも…!」

男「俺は君の両親が間違っているとは思ってないよ。寧ろ正しいと思っている」

みよこ「……」

男「だから、家出なんてやめて家に帰りな。今ならまだ終電に間に合うから」

みよこ「…男さんは」

男「ん?」

みよこ「…男さんは所詮猫だって言いましたよね」

男「ああ」

みよこ「だったら、なんで男さんはミャー子ちゃんを匿ってるんですか…?」

男「ミャー子がいないと俺は死ぬ」

みよこ「え?」

男「ミャー子は俺の全てだ。たとえ世界が敵になったとしても俺はミャー子が死ぬまでずっと一緒にいるさ」

みよこ「そ、そんな…」

男「ミャー子が俺を救ってくれた。ミャー子が居てくれたから今の俺がいる。たとえミャー子が原因で死んだとしてもなんの悔いも…いや、俺が死んだら誰がミャー子の世話を…?だめだ、ミャー子の為に死ぬわけにはいかない」

みよこ「……」

男「…ま、まあなんだ。君は違うんだからしっかりよく考えな?」

みよこ「…わ、私だって…私だってケイの為なら…っ!」

男「あー…そこ拾っちゃうかぁ…」

男「……」

みよこ「……」

男「…帰らないの?」

みよこ「帰りません」

男「えぇ…」

みよこ「泊まらせてください」

男「いや、帰れよ…独身男の家に泊まるとかなに考えてんだよ…」

みよこ「泊まらせてくれなきゃミャー子ちゃんの事を…」

男「あ゛?」

みよこ「ひっ」

男「…はぁー…わかったよ。一晩泊めてやるから頭冷やせ」

みよこ「あ、ありがとうございます!」

男「トイレとか風呂場ならキャリーから出していいから…さて、それじゃ遅くなったけど飯にするか」

みよこ「本当ですか!?やったぁ!お腹ぺこぺこです!」

男「…はぁ、どうしてこうなったんだか…」

また書き溜めたら投稿します

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