【艦これ】鹿島とプロレスごっこをするだけのお話 (42)





それは、梅の実黄ばむ6月の某日。

雨の止まない、昼下がりの鎮守府でのこと。



提督「な、なに――ッ!」

鹿島「……」

提督「き、君を……もっと前線で使ってほしいだって!?」

鹿島「……はい!」コクッ






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提督「一体どうしてだい?だって、君は……」

提督「君には、練習巡洋艦として……立派に果たすべき責務があるだろう!」

提督「なのに、どうして?」

鹿島「……だ……だって!」



鹿島「私……いつまでも弱い艦のままじゃ、嫌なんです!」グッ

鹿島「もっと、皆の役に立って……そして……!」

提督「!」








鹿島「……」グスッ

提督「……何か、理由があるのか?」

鹿島「……」フイ

提督「答えたくないなら、それでも良い」



提督「だが……死地に赴く艦娘たる者、相応の実力は身に付けなくてはならない」

鹿島「……!」

提督「君には――できるか?」

鹿島「は……はいっ!」








鹿島「この鹿島、強くなるためなら……なんだってします!」

鹿島「だから!」ギュッ

提督「……良い返事だ」フッ


提督「よかろう、では……私が直々に稽古をつけよう」

鹿島「ほ、本当ですかっ!」パァァ

提督「……ついて来い」クルッ

鹿島「はいっ!」



……
…………
………………







鹿島「こ……ここは……?」キョロキョロ

提督「……ここはな、私が私財を投じて2年かけて作り上げた、地下格闘技場だ」

提督「かつて君の姉さんや、陸奥や扶桑……雲龍や天城に稽古をつけてやった場所でもある……」シミジミ

鹿島「か、格闘技場?」

鹿島「提督さん、お言葉ですが……」

鹿島「私は水上戦闘で強くなりたいのであって、決してこんな……」



提督「たわけっ」クワッ

鹿島「きゃっ!」ビクッ








提督「鹿島……君は練習巡洋艦でありながら、こんな基本的なことすら忘れてしまったのか?」

提督「戦闘の最後の決着は……“白兵戦”だ」

鹿島「!」

提督「これは海軍だけではない、この国を鎮守する者すべての共通思想なのだよ」








提督「自らを極限まで鍛え上げ、あらゆる事象に克つ……」グイッ

提督「……どうした、君もリングに上がりたまえ」

鹿島「……はい!」コク

鹿島「……」オソルオソル



提督「……隙アリッ!!」ガバッ

鹿島「きゃあ~っ!?」








提督「グーフーフゥ~ッ」フシューッフシューッ

提督「甘いぞぉ鹿島!」

提督「戦場じゃあ、敵はわざわざ待っていてなんかくれねーぜっ!」ギチギチギチ

鹿島「ウグッ、ぐむむ~っ」

提督「ハァ、ハァ、さっそく顔を真っ赤にして涎を垂らしおって……だらしのない!」

提督「どうしたぁ~!?早く私のスリーパーホールドから抜け出さんかーっ!」

鹿島「ぐむ~っ、むむむぅ!」ジタバタ








鹿島「むう~っ!」ブンッ

提督「あうち!」ゴチン

鹿島「ぷはっ、はぁ……はぁ……!」



提督「は、鼻がぁ~っ、はにゃがぁ~!」ジタバタ

鹿島「……あ、あぁっ!提督さんごめんなさい!」








鹿島「私ったら……勢い余って……!」オロオロ

提督「……」ニヤッ



提督「そぉら!」バッ

鹿島「きゃーっ!」








提督「いやはやぁ、鹿島は優しいナァ……」ガシッ

提督「……だが、その甘さが命取りだ!」グワッ

鹿島「ぐぎぎぎ……!」フルフル

提督「そうやって何度も隙を見せるから、今度は逆さ吊り固めを受けることとなってしまったァ!」グググ…

提督「君のその美しい肢体がしなやかに伸び、リングを照らすライトに君のボデーナイスが艶めかしく照らし出されているぅ……!」

鹿島「ギ……ギブ……!」

提督「ククク……残念ながら、ギブアップは認められんな……」

鹿島「す……すんぬ(そんな)……!」








提督「戦場で捕まえた敵を、そう易々と逃がすものか!」

提督「たとえ如何なる危機においても、自らの力で切り抜ける気兼ね……!」グググ…

鹿島「ヒグゥ~っ!」ギギギ…

提督「私が常に説いて来たものはつまり……そういった精神なのだ――ッ!」

鹿島「ギ、ギグゥ……!」

鹿島(み、自らの力……!)


鹿島(そうだわ……私は今まで……)

鹿島(心のどこかで誰かが助けてくれる、そんな甘えた考えでいた……!)








鹿島(提督さん……鹿島は今、心で理解しました!)

鹿島(あなたのロメロスペシャルを抜け出すには……これしかないわ!)

鹿島「ふ……ふぎっ!」ブンッ

提督「うおっ!?」バサッ


提督(かぶっていた帽子を振り落しただと……!?)

提督「ま、前が……見えん……!」オロオロ

鹿島(クラッチが弱まった!)

鹿島「え、えいっ!」ガバッ

提督「しまっ……!」








鹿島「隙アリです!」

鹿島「提督さん、ご覚悟を!」ガシッ

提督「ぐ……ぐむっ!?」キュッ



提督「グムムウム……!?」ギチギチギチ

提督(首四の字だと……!?)








鹿島「提督さんには申し訳ありませんが……!」グググ…

鹿島「ここで、果てて頂きますっ!」

提督「むほぉ~っ!」

提督(くぅぉぉぉ……程よい硬さの太ももとふくらはぎだぁ……!)

提督(表面がひんやりとしていて、それが私の首と頬を締め上げているぅ……!)

提督(ぎ、ぎんもぢぃ……じゃなかった、苦じいぃぃ……)

提督(こ、このままでは……!)








鹿島(効いてる……!)

鹿島(こ、このまま行けば……あの提督さんを締め落とすことだって……!)

提督「グオゴググぐぐ……!」ギチギチギチ…



ガクッ



提督「」キュウ

鹿島「!」








鹿島「や……やった……!」

鹿島「私、あの提督さんに……か」








――ガシッ



提督「……いい首四の字だったぞ、鹿島」

鹿島「え」








提督「フンッ!」ガシッ

鹿島「きゃっ!」

鹿島「さ、さっきのは演g……!?」

提督「そうだ!」



提督「そして、今から見せるこの技は……!」グイッ

提督「私の正真正銘のフィニッシュホールド、ボストンクラブだぁ――ッ!」グィィーッ

鹿島「きゃああ~っ!!」グググ…








提督「……どうやら、ここまでのようだな」グググ

鹿島「く……悔しい……で……す……!」ポロ…ポロ…



鹿島「て……てい……とく……さ……ん」

提督「……なんだ」



鹿島「……かしま……もっと……つよく……なります……ッ!」

提督「……」








鹿島「今度……MVP……とったとき……!」

鹿島「たくさん……提督さんに……ほめて……もら……」グググ

鹿島「なでな……で……して……も……」ビクッ



鹿島「ため……に……」ビクッ

提督「……あぁ」









ガクッ…


カーンカーンカーンッ!



提督「私も、楽しみにしているぞ」フッ








こうして……提督と鹿島の繰り広げる一進一退の攻防は、試合時間7分42秒。

提督のボストンクラブによって、幕を閉じた。

だが、鍛え上げられた技の応酬……結ばれる絆とは、かくも美しい。

鹿島を破った提督も、敗れた鹿島にとっても、この一戦は芽生えの試合だったことだろう。



やがて、鹿島は順調に鍛錬を重ね、いずれは戦艦水鬼をもステゴロで屠るほどの猛者へと成長するのだが。

……それはまた、別のお話。









提督「……ふふっ」


提督「“白”だったなぁ……」



―――――――fin――――――――




今までで3番目くらいにカーチャンに見られたくないSSを生み出してしまった。

ここまで読んでくださった方、楽しく書かせていただきありがとうございました。

ネプチューンマンktkr

自演かな?

>>35
今週のキン肉マンの感想を述べただけでございます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年06月20日 (月) 10:49:39   ID: hjI-ppqj

何やってんだ?(ほめ言葉)

2 :  SS好きの774さん   2016年06月20日 (月) 12:36:19   ID: fPUPEhcz

戦艦棲鬼をステゴロとかやだ何それ怖い

3 :  SS好きの774さん   2016年06月20日 (月) 12:37:21   ID: fPUPEhcz

あ予測変換ミスった

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