【モバマスSS】です
――――エレベーター内
志希「むふふー、どうでしょすごいでしょー! まだ試作段階だから量は少ないけどねー」プシュープシュープシュー
志希P「またあなたはそんな変なものを……毎回言っていると思いますが、騒ぎを起こしたら怒られるのは自分なんですよ」
志希「細かいことは気にしないきにしなーい♪ これ、キミや李衣菜ちゃん達と北海道に行った時に閃いた奴なんだ」プシュープシュープシュー
志希P「あぁ、そういえば野性的な匂いを抽出すればどうのと言っていましたね……できたんですか!?」
志希「にゃは、流石に全部抽出するのは無理だったから、いくつかの成分の作成や細かい調整はあたしのほうでやったよー」プシュープシュープシュー
志希P「だとしても凄まじいことです。相変わらずそういうこと得意ですね志希さんは……それで」
志希「なになに?」プシュープシュープシュー
志希P「さっきからなにを?」
志希「よくぞ聞いてくれました! 実はね、この香水使った回数によって解放される野性の強さが変化するようにあたしは作ったの」プシュープシュープシュー
志希P「はぁ」
志希「それで予想だと6回以上香水ふりかけちゃうと、もう人間やめちゃうレベルの凶暴な野性が現れるはずなんだけど、どうかにゃ~?」
志希P「……」
ドクンッ
志希P「…………いえ? とくになにも」
志希「あれっ!? おっかしいなー、試しに自分に1回ふりかけてみた時はすぐに効果が現れたのに……ホントになにもないの~?」ジトーッ
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ドクンッ
志希P「……だから、なにもないですよ。それより志希さん、あなた自分でその香水を試したって、その時は大丈夫だったんですか?」
志希「もちろんちゃーんと野性消失香水っていうこの解毒剤みたいなのも作ってるから~、その点は安心していいよ♪」
志希P「……それは良かった、ではその2つの香水は没収させて頂きます」
志希「ええなんでー!?」
志希P「そんな物を志希さんに持たせたままでは、なにが起こるか分からないじゃないですか。さあ志希さん、香水をこちらに」
志希「むぅー……しょうがないなー、はいどーぞ……と見せかけて! よっと!」ポチッ
ポーン
音声『12階です』ガー
志希P「あっ、こら勝手に!」
志希「にゃはは! キミに予想してた効果が出なかった以上は他で試すしかないよねー。大丈夫、あんまり騒ぎは起こさないようにするから♪」トンッ
志希P「ま、待ちなさい……待って……!」グラッ
志希「それじゃプロデューサーまた後でー♪」ヒラヒラ
志希P「志希さ――」ガー
志希「さてさて、今日はちひろさんもいないし、怒られる前にいっぱい実験しちゃおーっと♪」クルッ
――――事務所、休憩室前、廊下
志希(とは言ったものの、いつものことならすぐにプロデューサー来ちゃうんだよねー。うーん、どうしたものか)
志希「どこに行ってもあっさり見つけられちゃうし、あたしより鼻がいいのかなあの人……今度色々試してみたり――」
トントン
志希「っと、にゃはは、なんでもないよっ! けど、もー見つけるの早いよプロデュー……サー……?」
周子「はーい、新しく志希ちゃんのプロデューサーになったシューコちゃんだよー」
志希「わぁびっくり! あたしのプロデューサーが超可愛くなっちゃった! ……って違うでしょ周子ちゃん♪」
周子「……志希ちゃんに突っ込まれるなんて新鮮な体験だわー。それで、どしたのこんなところでフラフラと」
志希「ん? んー、実はちょっと新しい香水を作ったから、その効果の検証をしにきたのー。周子ちゃんもどう?」スッ
周子「いやー遠慮しとくわ。それ絶対ろくなことにならない奴でしょー」
志希「そんなことないよ? こうやって1回ふりかけるだけでー」プシュー
周子「おっと」スイッ
志希「にゃ!? もう避けるのなしだよ周子ちゃん! 試作品だから香水の量ちょっとしかないのにー」プンプン
周子「ごめーん、でも志希ちゃんが試しに作って効果を調べてる最中って、絶対にヤバイ奴だと思うしさー」
志希「ひどい! もー、そんなこという周子ちゃんにはこの香水使ってあげなーい」プンプン
周子「うん、ありがとー。ところでずっと廊下で喋ってるのもなんだし、休憩室入ろうよ」
志希「そだねー、ここなら人も結構いるだろうし……ところで一つ聞いていい周子ちゃん?」ガチャ
周子「どうぞー」
志希「あたしのプロデューサー途中で見なかった?」
周子「志希ちゃんのプロデューサーさん? いやー、あたしは見てないけど……」
志希「……ならいいや。うん、それだけだよー」
志希(……変だなぁ、どうしたんだろう? いつもなら探さなくていいって言っても見つけてくるのに……)
周子「なになに、もしかしてプロデューサーさんと喧嘩でもした?」
志希「そんなんじゃないってばー。あんまり気にするならやっぱりこの香水かけちゃうぞ!」
周子「わー、それは勘弁ー。じゃ、あたしはあっちのソファーでくつろいでるから、用があったら呼んでね」
志希「そうするー♪ ……さて、周子ちゃん以外に休憩室にいるのは……」
アーニャ「それでミナミ、ここはなんて……」
美波「あっ、その部分はね……」
志希(ラブライカの二人と)
※アナスタシア(アーニャ)
http://i.imgur.com/OZPr6fG.jpg
※新田美波
http://i.imgur.com/wk1ZaKf.jpg
忍「それにしても穂乃香ちゃんまたぴにゃこら太グッズ買ったの?」
穂乃香「そうなんです。今度は新しいキーホルダーで……でもこれを買いに行った時に見つけたもう一つのグッズは手が出せなくて」
あずき「穂乃香ちゃんが手が出せないぴにゃこら太グッズとは一体……あっ、柚ちゃんまだポッキーいる? あーん」スッ
柚「パクッ! もぐもぐ……美味しいっ!」
志希(フリルドスクエアの四人かー、ふむふむ……さて、どう香水を使っていこうかな……っと?)
美波「――ふぅ、アーニャちゃんは勉強熱心だからすぐに時間が過ぎちゃうね。ちょっと休憩しようか」
アーニャ「ダー。休憩室を使っていて、休憩しないの少しおかしい、ですね」ニコニコ
美波「ふふっ、そうだね。ちょっと待ってて、なにか適当なお菓子と飲み物用意してくるから」スクッ
アーニャ「はい!」
志希「……うーん、これはこれは」
アーニャ「キャ!? し、シキ!? い、いつまのに……」
志希「にゃはは、驚かせてごめんねー。それにしてもアーニャちゃんすごいね、ノートにびっしり日本語の使い方書いてる」
アーニャ「これ、ですか? そうですね、ミナミの教え方はとってもローフキィー……アー」
志希「上手、でしょ? うんうん、見てて分かるよ。だから勉強するのが楽しいってところかにゃ?」
アーニャ「はい! ミナミとお勉強する時間はとっても楽しい、です!」ニコニコ
志希「ほほーう? なら、そんなアーニャちゃんにちょっとしたご褒美をあげちゃおー♪」プシュープシュープシュー
※桃井あずき
http://i.imgur.com/QJaKJpR.jpg
※工藤忍
http://i.imgur.com/JkyZIfh.jpg
※綾瀬穂乃香
http://i.imgur.com/3ArkWll.jpg
※喜多見柚
http://i.imgur.com/BAIF3fd.jpg
アーニャ「ッ!? な、なんですか一体――」
ドクンッ
アーニャ「ア……」
志希「あたしの予想だと3回この香水を浴びるとね、理性で抑えてた行動を躊躇なく行えるようになるはずなんだー。アーニャちゃんは」
アーニャ「――……シキ、どいてください」
志希「え? うわぁ……アーニャちゃん顔怖い」
アーニャ「シキ? 邪魔するんですか?」ニコォ
志希「いやいやそんな、はいどうぞ~」スッ
アーニャ「спасибо……ミナミ!」ダダッ
美波「きゃあ! ど、どうしたのアーニャちゃん? 抱きつかれるとお菓子こぼしちゃ――」
アーニャ「ミナミはキレイです、ミナミはカワイイです! ミナミはステキ、です!」ギュゥウ
美波「えっ、えっ、本当にどうしたのアーニャちゃん!?」アセアセ
アーニャ「ミナミはステキだから、きっと男の人にもヴァージヌィにされます! そしていつか……でも、そうしたら私の、私は……!」
美波「お、落ち着いてアーニャちゃん! 冷静になって……!」
アーニャ「私は冷静、です! ミナミのことを考える時はいつだって! 私は……!」ギュウウ
美波「あっ……や、やだ、アーニャちゃん、そんなに強く抱き締められたら……///」
アーニャ「――Но без тебя меня нет」ギュウウ
美波「えっ……?」
志希「……わぉ」
アーニャ「Я всегда буду любить тебя. Я нужно, чтобы ты навсегда」ギュウウ
美波「アーニャちゃん……? ま、待って、なにを……」
志希「美波ちゃんおめでとー♪」
美波「志希ちゃん!? あなた、アーニャちゃんがなにを言っているか分かるの!?」
志希「すごく大胆なこと言ってるよー♪ いやぁ、アーニャちゃんの野性ってスゴイにゃ~」
美波「や、野性……? どういう……」
アーニャ「……ミナミ、他の人と話をしちゃ、やです……今は、アーニャがいるのに……」ギュゥウ
美波「あっ……また力が強く……だ、だめ……抗えない……!」
アーニャ「ミナミ……私はもっとあなたのこと、知りたい……まだミナミだけしか知らないことまで……だから」ヒョイ
美波「ひゃあ!? そ、そんなアーニャちゃんお姫様抱っこなんて……! だ、だめ、降ろして!」
アーニャ「恥ずかしがらないで……всё в порядке、優しく、します」ニコッ
美波「えっ、ちょ、ちょっとアーニャちゃんどこにいくつもりなの!? や、あ、志希ちゃん!」
志希「はいはーい♪ 効果の検証としては十分だから助けるよー。アーニャちゃん、少し止まってー」
アーニャ「……」キッ
志希「にゃ!?」ビクッ
アーニャ「邪魔したら、アー……ストゥラーシヌィ、ですよ、シキ?」
志希「……美波ちゃん、ごめんね。これは想定外だった」
美波「えっ、そ、そんな! や、あ、アーニャちゃんだめ、力……強い……///」
アーニャ「いい子ですねミナミ。では、シキ、邪魔しに来ないでくださいね?」ニコッ
志希「う、うん、楽しんできてねー♪」ヒラヒラ
バタンッ
志希「こ、怖かったにゃー……アーニャちゃんどうしよう……」
――邪魔したら
志希「……んー、ま、いっか! あたしのほうで打ち消さなくても、アーニャちゃんの野性が満足したら自然と香水の効果は切れるはずだし♪」
志希(それにしても軽々と美波ちゃんを抱えてたあたり、予想通り身体能力も香水を吹きかけた回数に応じて上がっていく感じかー)クルクル
志希(1回だと五感が強化されてー、3回でああなら、人間の範疇に収まる予定の5回とかどうなっちゃうんだろう~♪)ワクワク
トントン
柚「ねーねー志希チャン」
志希「んー?」
柚「さっき見てたんだけど、アーニャチャンどうしたの? すっごい剣幕だったよっ」
志希「ありゃ、気になっちゃったー?」
忍「同じ部屋にいた子が突然人が変わったようになったら少しはね」
あずき「あんなアーニャちゃん見たことなかったしっ!」
志希「それはねー、これが原因なんだ♪」コトッ
穂乃香「これは……香水ですか? 妙に瓶が小さいようですが……中身ももう半分ないみたいですし」
志希「試作品だからね~。それで、さっきアーニャちゃんにその香水を試してみたらああなっちゃって」
柚「ええっ、香水浴びただけでああなっちゃったの!? もしかしてそれ、志希チャンが作ったのカナ?」
志希「正解ー! これは野性解放フレグランスっていって、こうやってシュシュっとすると」プシュープシュー
4人「「「「きゃ!?」」」」
志希「回数に応じて色んな効果が現れるって予想なのだ!」
忍「ちょ、ちょっと!? じゃあそんなのいきなり吹きかけられたら……!」
あずき「あずき達もさっきのアーニャちゃんみたいになっちゃうってこと!?」
ドクンッ
穂乃香「あっ……!?」グッ
柚「むぅ!?」
忍「な、なんか身体熱くなってきた……」
あずき「んっ……あずきの中で……なにかが……!」
志希「おおっ、やっぱり効き目は速攻かー。アーニャちゃんの時もそうだったし……んー、こうなるとプロデューサーがホント謎だなぁ」
柚「れ、冷静に分析してないでなんとかしてよ志希チャン!」
志希「みんなの身体になにが起きてるか聞いてからちゃんと治してあげるから。それで、身体が熱くなってきた以外で感じることは?」
忍「なんだか、色んな匂いを感じる……すごい、こんなに一杯匂いってあるんだ」
あずき「身体をすごい動かしたい! 街の中駆け巡る大作成したい! いっぱい視線集めたい!」タンタンッ
柚「……ふ、二人の声がすごく甘く聞こえる……遠くの物音もはっきり聞こえるし……」
志希「ふむふむ、五感の強化に加えて欲望が表に出やすくなってるのかな? けど少し理性のほうが勝ってるみたいだし、2回だとこんなもんか」
柚「これでいいカナ? 早くなんとかしてほしいよー!」
志希「そーだね、予想を上回る効果はなかったし……よしよし、それじゃあこっちの野性消失香水を――」
穂乃香「決めました!」
志希「わわっ!?」ポロッ コンッ コロコロ……
志希「あっ、瓶が滑って! ま、まって~!」タタッ
穂乃香「いま、やっとわかったんです! 我慢してたって意味が無いって! だから決めました、私、買います!」
あずき「な、なにを……?」
穂乃香「これです!」バンッ
柚「なになに~? 『あなただけのぴにゃこら太着ぐるみ』……お値段40万円!」
忍「なっ……まさかさっき手が出せないって言ってたグッズってこれ!?」
穂乃香「はい。丁度今、近くのデパートでぴにゃこら太特別展示会をやっているのですが、そこに一体だけ置かれていて」キラキラ
あずき「待った待った! まずぴにゃこら太の展示会ってなにっ!?」
柚「というかこれ、基本はお客さんに観てもらう用で買われることは想定してない奴じゃないカナ?」
穂乃香「で、でも価格が書いてあるってことは買っていいってことですよね? だったらここで我慢しちゃだめだって……だから」
忍「穂乃香ちゃん……でも40万円なんてすぐに出せるの?」
穂乃香「うっ……で、でも、プロデューサーさんに頼んでお給料をどうにか前倒しで貰えれば……」
忍「……そんなことしないでギリギリ出せるお金は?」
穂乃香「……貯金している10万円です……」
忍「……じゃあ4人で割って丁度10万円ずつだから、なんとかなりそうだね」
穂乃香「えっ、忍ちゃん……?」
あずき「もぉそういうことは早く言ってよ穂乃香ちゃん! そういうことならみんなでお買い物大作戦だっ!」
穂乃香「いいんですか……? だって、ぴにゃこら太のことみんな……」
柚「ブサイクとは思ってるけど……正直嫌いじゃないよ、こういうのが近くにあったらいいなって思うくらいには!」
忍「遠慮しないでよ穂乃香ちゃん、アタシ達の中でそういうのは無し。友達でしょ?」
穂乃香「みんな……!」グスッ
あずき「よーし、そうと決まったらすぐに出発! 善はなんとかって言うもんねっ」
忍「急げ、だね。その通り、穂乃香ちゃんの熱気にあてられちゃったし、やってやろうよ!」グッ
穂乃香「はい! みんなありがとうございます! では、お金を下ろしたらすぐにデパートに行きましょう!」タタッ
柚「おーっ! ……あれ、なにか忘れてるような……ま、いっか!」タタッ
バタンッ
志希「――むぅぅ……ソファーの下に入り込んじゃって……よいしょ! ふぅ、やっと取れた~、さてと、四人ともおまたせ」クルッ
シーン
志希「……ありゃいない? 周子ちゃーん」
周子「穂乃香ちゃん達ならぴにゃこら太の着ぐるみ買いに行っちゃったよー」パラパラ
志希「あれ? でも野性消失香水……」
周子「ちょっと遅かったかなー」
志希「……香水を浴びた回数が少なくても場合によっては人に影響されて大胆な行動に移っちゃうのかー、これはちょっと予想外……覚えとこ♪」
周子「そもそも、穂乃香ちゃん達はあのままで大丈夫なの?」
志希「ぴにゃこら太の着ぐるみってのを買ったら香水の効果は切れるはず……だから多分大丈夫!」
周子「いいのかなぁ」
志希「しかし困った。あと香水を4回か5回ふりかける相手がいなくなっちゃった、どうしよう周子ちゃん!」ジリジリ
周子「微妙に近づいてくるのやめよう? あたしにするつもりなら流石に怒っちゃうよ?」
志希「だよね~♪ はぁ、仕方ない、他のところに移って」
ガチャ
みちる「フゴフゴ……あれ? 今日は休憩室に人が少ないですね」モグモグフゴフゴ
志希「あ、でもその必要なくなったみた~い、やった!」
周子「……え、まさかみちるちゃんに使うつもり?」
志希「そうだよ~、丁度いいところに来てくれたし♪」
周子「いや、やめておいたほうが……みちるちゃんの野性が解放されたら嫌な予感が」
志希「危険そうだったらすぐに野性を消失させちゃうから大丈夫だって~♪ それに5回未満なら人間をやめないはずだからにゃー」
周子「本当にー?」
志希「……まぁそれを今調べてるわけだからね! とにかく周子ちゃんは心配しないでいーよ♪ おーいみちるちゃーんちょっといいかなー!」
周子(不安だなぁ)
みちる「はい? 志希さんがあたしに用なんて珍しいですね、パンが欲しいんですか?」
志希「パンはいらないけどちょっと調査を手伝ってほしくて♪ この香水を4回浴びてもらうだけでいいんだけどっ!」
みちる「はぁ……それくらいなら別にいいですよ」モグモグフゴフゴ
志希「にゃっはーありがと! それじゃ失礼してー」プシュープシュープシュープシュー
みちる「むっ、これはなかなか良い匂いですね! なんていう――」
ドクンッ
みちる「……!」
志希「さ~て、どんな反応を見せてくれるのかな~♪」
みちる「あ……あ……」ブルブル
みちる「――……」スポッ
志希「えっ」
周子「……今、みちるちゃんの持ってた紙袋からパンが一瞬で消えたような……」
みちる「……ない」ボソッ
志希「み、みちるちゃん……?」
みちる「足りないたりないたりない足りない満たされないみたされないお腹がすいたもっともっともっとぉおおお!!」ヒュウオオオオオ
周子「うわーっ!? か、風が! みちるちゃんの口に向かってすごい風が!?」
志希「す、吸い込んでる……? まるで掃除機みたいに!」
みちる「パンはあっちかぁあああああ!!」ヒュウオオオオオ
ドサドサッヒューン
周子「きゅ、休憩室に置かれてる菓子パンが!」
スポポポポポン
みちる「フゴフゴ!」
志希「みちるちゃんの口に吸い込まれて消えていった……す、すごーい! どうなってるのみちるちゃん!?」
周子「感心してる場合じゃないでしょ! これって完全にマズイ状態だよねっ!」
志希「あ、た、確かに。でも予想だと4回香水ふりかけただけでここまで人間技じゃないことが出来るはずは……」
みちる「……まだたりないたりなああああい!!」ヒュウオオオオオ
バタバタバサバサ
周子「でも実際に目の前でそういうことが起きてるんだから、志希ちゃんの予想が間違ってたってことじゃ」グラッ
周子「うわわっ!? みちるちゃんの吸い込む勢いが強すぎて引っ張られる……!」
ヒューン
周子「あぁ! あたしの八つ橋がー」
スポンッ
みちる「フゴッ!」ヒュウオオオオオ
志希「にゃ、にゃは……止まる気配が見えない……あれだけ食べてまだみちるちゃんの野性は満足しないんだ」
周子「と、とにかく志希ちゃん早くみちるちゃん元に戻して! このままじゃなにが起きるか分からないよ!?」
みちる「もっともっともっとぉおおお!!!」ヒュウオオオオオ
志希「よ、よーし、野性消失成分、散布ー!」プシュー
みちる「フゴッ!?」ヒュオオオ
みちる「――……ごほっごほっ……はっ!? あたしは一体……!」
志希「よ、よし、これで一安心」
みちる「志希さん、今のは一体! あたし、いっぱい食べたいって気持ちがぐわーって湧いてきたと思ったら、あんな……」
志希「え、ええと、それはこの香水の効果でみちるちゃんの野性が解放されて……」
みちる「……はぁ、野性ですか……確かに吸い込むのをやめないとって考えるのも難しかったですし……なるほど」
志希「……あれ、それだけ?」
みちる「それだけとは?」
周子「みちるちゃん、ここは怒っていいんだよ。志希ちゃんがひどいことしたんだしさー」
みちる「うーん、でもおかげで色んなパンを一瞬で同時に味わう不思議な体験が出来ましたからね! こうして元に戻った以上気にしません!」
周子「……ええ子や……」ホロリ
みちる「でも2時間は保たせる予定だったパンが全部なくなっちゃったので、また買いに行く必要があるのが辛いですね」
志希「あ、じゃあちょっと待って……あたしの手持ち今これだけしかないけど、パン買うのに使って!」スッ
みちる「いいんですか!」
志希「いいのいいの、貴重なデータになったし、迷惑かけちゃったお詫びってことで~」
みちる「ありがとうございます! 一万円もあればいっぱい……早速買いに行かないと! それではまたっ!」タタッ
バタンッ
周子「ふぅ……もう志希ちゃん、やっぱりその香水危ないって。まだ効果を調べるなんて言わないよね?」
志希「でもみちるちゃんが特別だった可能性とかー、あと香水を5回ふりかけるとどうなるかを調べられてないし~♪」
周子「志希ちゃん?」
志希「にゃは、冗談冗談、4回ふりかけて予想外の事態になった時点で検証は一旦中止!」
周子「それでよーし。それにしてもみちるちゃんすごかったし、もし5回以上香水浴びた人がいたらどうなってたのやら」
志希「やー、そんな人がいたら今頃もっと大変なことに――プロデューサー……?」
周子「ん、どしたのー?」
志希「あ、いや、ちょっと……ごめん、あたしちょっと電話」ピピッ
周子「……? いいけど」
志希(……もしかして、あの時プロデューサーってもう……!)プルルルルル
ガチャ
志希「もしもしプロデューサー!? ねぇキミ今――」
音声『こちらは留守番電話サービスです――』
志希「……あ」
周子「もしかして志希ちゃんのプロデューサーさん、電話に出ないの?」
志希「……いつもなら必ず出るのに……」
周子「そういえば最初に会った時、志希ちゃんプロデューサーさん探してたけど……やっぱりなにかしちゃったの?」
志希「香水を5回どころじゃない回数浴びせかけちゃった……」
周子「……みちるちゃんに起きたこと考えたら、それ相当マズイことになってるんじゃ?」
志希「で、でもエレベーターで見た時はなんともなさそうだったから!」
周子「とにかく、志希ちゃんのプロデューサーを探してその、野性消失香水? だっけ、それを使わないと」
志希「そ、そうする! とりあえずプロデューサーは電話に出ない……ちひろさんもいない……だったら!」プシュー
ドクンッ
志希「……っ!」
周子「ちょ、ちょっと志希ちゃんなにしてるの! プロデューサーさん探すのに野性を解放しちゃう香水使ったら!」
志希「だ、大丈夫にゃー……1回だけの使用なら、五感がすっごく研ぎ澄まされるだけだから……ひゃう!?」クンクン
周子「志希ちゃん!?」
志希「ハスハス……なにこれ、こんなに濃いプロデューサーの匂い初めて……♪ どうなってるの……?」
周子「そ、そんなに匂うの……?」
志希「うん、すっごく! どうして気づかなかったんだろう……それとも、プロデューサーに香水を使って時間が経ったから?」ハスハス
志希「とにかくこの匂いを追っていけばプロデューサーが見つけられそう! 周子ちゃん、あたしちょっと行ってくる!」クンクン
周子「う、うん、気をつけてね」
志希「そうする! とりあえずまずは下に行かないと――」
バタンッ
――――二日後、事務所、ロビー
周子「――っていうことがあったんよー」
フレデリカ「へぇー、アタシがありすちゃんと買い物に行ってた日にそんなことが」
周子「あれ、そういえばあの日見かけないなーって思ってたけど、ありすちゃんと一緒にいたの?」
フレデリカ「そうだよー☆ ちょっとありすちゃんにアドバイスをしてたの!」
周子「それはまた気になることを……」
フレデリカ「でもでも、それより問題なのは志希ちゃんだよ! 昨日全然連絡取れなかったし!」
周子「あたしも志希ちゃん見てないんだよね……心配だわ……」
志希「なにがー?」
周子「……うん、今すごい心配してたこと後悔した」
フレデリカ「わぉシキちゃん久しぶり! シューコちゃんから話は聞いたよ、大丈夫?」
志希「心配してくれてありがと~! でもこの通り問題ないにゃ~♪ ちひろさんにすっごく怒られたりはしたけど」
周子「やっぱり……それで、結局志希ちゃんのプロデューサーさんはどうだったの?」
志希「まぁ色々あったけど、とにかくなんとかなったよ。まぁあたしのプロデューサーだからね~♪」ニコニコ
フレデリカ「……? 志希ちゃん、なんだかすっごく……」
※宮本フレデリカ
http://i.imgur.com/kija9e2.jpg
志希「あっ、そうだフレちゃんか周子ちゃんに渡すものがあるんだった! はいこれ」スッ
周子「……これ、その問題起こした香水のセット?」
志希「そうそう、野性解放するのと、野性消失させるの。あたしが作った試作品の最後の1セット!」
周子「なんでまたそれを」
志希「ちひろさんに許してもらうために製造方法やライセンス全部ちひろさんに渡しちゃって、あたしが自由に使えるのこれだけになっちゃって」
フレデリカ「えー、そんなの貰ってもいいの?」
志希「いいのいいの♪ もうあたしには必要なくなったからね~」
周子「あれ、もう必要なデータは取れたってこと?」
志希「ん~、そうともいえるし、違うともいえるし……」
ポンポンッ
志希P「もういいかな。そろそろ次の仕事現場に行きますよ」
志希「えー、もうちょっとだけ♪」
志希P「駄目です」
志希「む~!」
志希P「すみませんねお二人共、そういう訳なので志希はもらっていきます。ほら、行きますよ」
志希「はいはい、少しだけ待って♪ というわけでフレちゃん、周子ちゃん、それ、有意義に使ってくれると嬉しいにゃ~♪」
周子「……考えとく」
フレデリカ「シキちゃんまたねー☆」
志希「うんまたー♪ ――そんじゃ行こっか、失踪しないようにキミの腕にくっついてあげる♪」
志希P「そりゃどうも。でも志希、現場ではしないように」
志希「にゃは♪ 分かってるって~♪」スリスリ
――スタスタスタ……
フレデリカ「……やっぱりなんか志希ちゃん変わった気がする。さっきのもそうだけど、うーん……上手く言葉にできない☆」
周子「でもフレちゃんの言いたいことあたしも分かるよ……多分、これが原因だろうけど」コトッ
フレデリカ「野性を解放する香水かー……周子ちゃんは使いたい相手いたりしちゃう?」
周子「……フレちゃんは?」
フレデリカ「アタシはいないかな☆ だからシューコちゃんが好きな人に使うといいよ!」
周子「いいの? ……ありがと」
フレデリカ「どういたしまして~。あ、そんなこと言ってたら」
周子P「――はぁ……はぁ……やっと見つけた、周子、なんで携帯の電源切ってるんだ探したぞ……」
周子「んー、ちょっと志希ちゃんの真似ー。でも見つけてくれたし流石プロデューサーさん」
周子P「と、当然だろ……まったく、心配させるな」
周子「ふふっ……ところでプロデューサーさん」
周子P「ん、なんだ?」
周子「志希ちゃんから、ちょっと良い物貰ったんだけど――」
〈終〉
北海道アイプロの志希にゃんの台詞見返してて思いついたネタ
アイプロは上位目指すとイベントの中でも相当苦痛だけど、楽しむだけなら本当にいいイベだと思う
読んでくださった方ありがとうございました
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